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The Effect of Clonidine on the Activity of Neurons in the Rat Dorsal Raphe Nucleus In Vitro

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Academic year: 2021

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博士 (医学 )マリアエレナアロハド

学 位 論 文 題 名

The Effect of Clonidine on the Activity of Neurons      in the Rat Dorsal Raphe Nucleus In Vitro

( ラ ッ 卜 背 側縫 線 核 ニュ

J

□ ン 活動 に 対 する ク 口 ニジ ン の

    

抑 制 作 用 : 脳 幹 ス ラ イ ス 標 本 を 用 い て )

学位論文内容の要旨

  背側縫線核は下部脳幹の正中線上にある縫線核群に属し、主としてセロトニン含有ニューロ ンにより構成されている。この核は、興奮陸アミノ酸、セロトニン、ドバミン、ノルアドレナ リンなどを含む様々な神経細胞から直接投射を受け、その上行性およぴ下行 陸投射により侵害 受容に対する調節に重要な役割を演じている。

  中枢神経系のノルアドレナリン作動性神経系は心血管系の調節や痛みの伝達の制御などに重 要な役割を果たしている。背側縫線核のセロトニン含有ニューロンの活動性は主としてaアド レナリン受容体の活性化により修飾されていることが薬理学的、生理学的に証明されており、

ノルアドレナリンはラット背側縫線核において興奮性伝達物質として働いている。したがっ て、ノルアドレナリン神経終末からのノルアドレナリンの持続的放出により背側縫線核ニュー ロンの発射活動の維持に寄与している。

  最近、C2アドレナリン作動薬であるクロニジンが広く麻酔科領域で用いられ、特に鎮痛薬と して使用されている。クロニジンの抗侵害刺激作用は主にa2アドレナリン受容体への作用によ ることが示されている。

  本研究では抗侵害刺激作用に対するクロニジンの関与をさらに解明するため、背側縫線核 ニューロン活動に対するノルアドレナリンの影響を明らかにするとともに、クロニジンがその 発射活動にどのような影響を及ぼすかについて解析した。

実験方法

  実 験 に は 体 重2030gの 幼 若 ラ ッ ト40匹 を 用 い た 。 動 物 を3% ハ ロ タ ン で 麻 酔 し た 後 断 頭 し 、 迅 速 に 脳 を 摘 出 し た 。 氷 温 に 冷 却 し た 人 工 脳 脊 髄 液(pH7.4NaCl145KC14NaH2P04 1.25; MgC1211,5CaC12.2;glucose10;N.【2・hydroxyethy11piperazine・NI.12・ethanesulfonicacid1,6

mM) ) 中 で 、 振 動 式 ス ラ イ サ ー に よ り 厚 さ400Pmの 冠 状 断 脳 幹 ス ラ イ ス を 作 製 し た 。2ま た は 3枚 の ス ラ イ ス を30℃ に 維 持 し た 記 録 槽 に 移 し 、 酸 素 化 し た 溶 液 を3mlminで 灌 流 し た 。   3molNaC1で 満 た し た ガ ラ ス 管 微 小 電 極 を 実 体 顕 微 鏡 下 に 背 側 縫 線 核 に 刺 入 し 、 単 一 ニ ュ ー ロ ン 活 動 を 細 胞 外 よ り 導 出 し 、 オ シ ロ ス コ ー プ に 表 示 し た 。 ウ イ ン ド ウ デ イ ス ク リ ミ ネ ー タ ー お よ ぴ パ ル ス カ ウ ン タ ー を 用 い ニ ュ ー ロ ン 活 動 の 発 射 頻 度 ヒ ス ト グ ラ ム を 作 製 し た 。 背 側 縫 線 核 ニ ュ ー ロ ン を 同 定 す る た め に 興 奮 陸 ア ミ ノ 酸 で あ るNー メ チ ル ーDー ア ス バ ラ ギ ン 酸 (N methylDaspartateNMDA) を 使 用 し 、 安 定 し た 発 射 活 動 を 示 すNMDA感 受 性 背 側 縫 線 核 ニ ュ ー ロ ン を 解 析 対 象 と し た 。3か ら5分 間 安 定 し た 発 射 活 動 を 確 認 し た 後 、 試 験 薬 を 約3分 間 投 与

‑ 302 ‑

(2)

し、その間の背側縫線核ニューロン活動を継続して記録した。記録した細胞の発射頻度が基準 値の20%以上変化した場合、有為な効果と判定した。

結果

  40匹のラットから74個の背側縫線核ニューロン活動を記録した。興奮性アミノ酸を加えなく ても自発発射がみられたのは5個のみであった。自発発射の発射頻度は0.2から5スパイク/秒 であった。

  ノルアドレナリン50ロmol/Lの投与は74個のニューロンのうち68個のニューロン(92%)に おいて発射活動を誘発した。これらのニューロンは薬物投与開始より15から30秒後から、O.2 ないし10スパイク/秒で発射しはじめた。この発射活動はノルアドレナリン投与を中止した後 も長く続いた。

  この実験では20ばmol/Lのクロニジンを用いた。安定した自発発射活動のみられた全ての背 側縫線核ニューロンにおいて、クロニジンは30秒以内に発射頻度を漸減し、その後完全に発射 活動を抑制した。これら発射活動を停止したニューロンはノルアドレナリンの投与で再び発射 活動を示した。

  あらかじめノルアドレナリンで発射活動を誘発した背側縫線核ニューロンの発射頻度はクロ ニジンで減少し、あるものはクロニジン除去後22秒で回復した。一方いくつかのニューロンで はク ロ ニ ジン が 記 録槽 か ら 除 去さ れ て から 発 射 活動 の 回 復ま で1分以 上 か かっ た。

考察

  痛みのコントロールに関与する神経機構について上行性および下行性のセロトニン経路が示 されている。鎮痛作用は、セロトニン作動系を介して前脳へ上行し、また脊髄へ下行する複雑 な多シナプス経路によりもたらされる。背側縫線核の活動はそこに多数存在するセロトニン ニューロンの活動性に依存する。背側縫線核のセロトニンニューロンの発射活動はQアドレナ リン受容体作用薬、拮抗薬によって修飾されている。本研究では背側縫線核ニューロンの92% がノルアドレナリンの投与で発射活動を示した。このことはノルアドレナリンが背側縫線核 ニューロンを直接興奮させることによってその発射活動を誘発することを示唆する。背側縫線 核ニューロンの発射活動はノルアドレナリン性入カがアドレナリン受容体作用薬で減少または 遮断されると失われる。

  本研究ではクロニジン20ロmol/Lは、背側縫線核ニューロンにおいてノルアドレナリンで誘 発された発射活動およぴ自発発射活動を抑制した。クロニジン投与でみられた背側縫線核ニュ ーロンの発射活動の減少はC(2受容体を介した阻害によるものと考えられた。クロニジンはその a2作 用 に よ ル ノ ル ア ド レ ナ リ ン の 放 出 も 阻 害 す る こ と が 考 え ら れ た 。

結語

1)クロニジンは背側縫線核ニューロンの活動をa2受容体を介して抑制する。

2)背側縫線核中のノルアドレナリン神経終末から放出されるノルアドレナリンが背側縫線核     ーユーロンの活動性の維持に影響している。

3)クロニジンは背側縫線核ニューロンに対するノルアドレナリンの興奮作用を抑制した。

4)以上の成績から、クロニジンは背側縫線核のセロトニンニューロンの発射活動を減少さ   せ、背側縫線核と入出力関係をもつ異なる系において複合的反応をもたらし、侵害受容を     修飾すると推定された。

303

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

The Effect of 'Clonidine on the Activity of Neurons      in the Rat Dorsal Raphe Nucleus In Vitro

(ラ ッ ト 背側 縫 線核 ニ ュ 一口 ン 活動 に対する ク口ニジ ンの

    

抑 制 作 用 : 脳 幹 ス ラ イ ス 標 本 を 用 い て )

  

背 側 縫線 核 は、主と してセロ トニン含 有ニュー ロンによ り構成さ れ、その上 行性 お よ び下 行性投 射により 侵害受容 調節に重 要な役割 を演じて いる。背側 縫 線核 の セ ロト ニン含 有ニュー ロンの活 動性は主 として アドレナ リン受容体 の 活性化に より修飾 され、ノ ルアドレ ナリンi まラ ット背側 縫線核において興奮性 伝達 物 質 とし て 働い て い る。 最 近、

a2

アド レ ナ リン 作 動薬 で あ るク ロ ニジン が鎮 痛 薬 とし て 広く 使 用 され て いる が 、 その 機 序 とし て

a2

ア ド レナ リ ン受容 体へ の 作 用に よるこ とが示さ れている 。本研究 では抗侵 害刺激作 用に対する ク ロニ ジ ン の関 与を解 明するた め、背側 縫線核二 ユーロン 活動に対 するノルア ド レナ リ ン の影 響を明 らかにす るととも に、クロ ニジンが その発射 活動にどの よ うな影響 を及ぼす かについ て解析し た。

  

実 験 には 体 重20 ‑30g の 幼 若ラ ッ ト40 匹 を用い た。麻酔 下に脳を 摘出し、 振 動式 ス ラ イサ ー によ り 厚 さ400 ば

m

の 冠状 断 脳 幹ス ラ イス を 作 製し た 。 スライ スを

30

℃に 維 持した記 録槽に移 し、酸素 化した人 工脳脊髄 液を

3ml /min

で灌 流 した 。 ガ ラス 管微小 電極をを 用い背側 縫線核の 単一ニュ ーロン活 動を細胞外 よ り導 出 ・ 記録 した。 背側縫線 核ニュー ロンを同 定するた めに興奮 性アミノ酸 で あ る

N

ー メ チ ル ー

D

ー ア ス パ ラギ ン 酸(N‑methyl ‑D‑aspartate :NMDA) を使 用 し 、 安 定 し た 発 射 活 動 を 示 す

NMDA

感 受 性 背 側 縫 線 核 ニ ュ ー ロン を 解 析対 象 とし た 。 記録 した細 胞の発射 頻度が基 準値の

20

% 以上変化 した場合 、有為な効 果と判定 した。

  40

匹の ラ ッ トから74 個の 背側縫線 核ニュー 口ン活動 を記録し た。興奮 性アミ ノ酸 を 加 えな く ても 自 発 発射 が みら れ た のは

5

個のみで あった。 自発発射の 発 射頻 度 は

0

2

から5 スバ イク/秒 であった 。ノルア ドレナリ ン

50

ばM の投 与は74 個の ニ ュ ーロ ン のう ち

68

個 の ニ ュー ロ ン(92 %)に おいて発 射活動を 誘発し、

哉 一

秀 研

藤 間

齋 本

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

その発射活動はノルアドレナリン投与を中止した後も長く続いた。安定した自 発発射活動のみられた全ての背側縫線核ニューロンにおいて、クロニジン(20 メM) は30 秒以内に発射頻度を漸減し、その後完全に発射活動を抑制した。こ れら発射活動を停止したニューロンはノルアドレナリンの投与で再び発射活動 を示した。あらかじめノJ レアドレナリンで発射活動を誘発した背側縫線核ニュ ーロンの発射頻度はクロニジンで減少し、あるものはクロニジン除去により回 復した

  

疼痛制御に関与する神経機構について上行性および下行性のセロトニン経路 が示されている。鎮痛作用は、セロトニン作動系を介して前脳ヘ上行し、また 脊髄ヘ下行する複雑な多シナプス経路によりもたらされると考えられている。

背側縫線核の活動はそこに多数存在するセロトニンニューロンの活動性に依存 しており、その発射活動は アドレナリン受容体作用薬、拮抗薬によって修飾 されている。本研究では背側縫線核ニューロンの92 %がノルアドレナリンの投 与で発射活動を示した。このことはノルアドレナリンが背側縫線核ニューロン を直接興奮させることによってその発射活動を誘発することを示唆する。背側 縫線核二ユーロンの発射活動はノルアドレナリン性入カがアドレナ1J ン受容体 作用薬で減少または遮断されると失われる。本研究ではクロニジン20 ロmo l/L

i

ま、背側縫線核二ユーロンにおいてノルアドレナリンで誘発した発射活動およ び自発発射活動を抑制した。クロニジン投与でみられた背側縫線核二ユーロン の発射活動の減少はa2 受容体を介した阻害によるものと考えられた。クロニ ジンはそのa2 作用によルノ渺アドレナリンの放出も阻害することが考えられ た。

  

公開討議は約25 名の中で行われ、発表の後討議が行われた。3 名の審査員に 共通した質問として、背側縫線核ニューロンに対するノルアドレナリンの興奮 作用およびクロニジンの抑制作用における受容体機序について、特にal およ びa2 アドレナリン受容体、およびシナプス前およびシナプス後作用との関連 性についての質問があった。副査の本間教授と主査の斉藤教授から幼若ラット における疼痛受容の完成度と成熟ラットとの差異について質問があった。本間 教授より、本研究で解析した背側縫線核ニューロンがセロトニン作動性ニュー ロンである可能性、副査の劔物教授からは、invi tro 標本を用いたことの利 点、ノルアドレナリンおよぴクロニジンの濃度と背側縫線核ニューロンの活動 性の関係について質問があった。さらに、斉藤教授からは侵害受容反応を修飾 する上行路および下行路における背側縫線核の位置づけ、クロニジンの降圧作 用に関与する中枢神経路についての質問などがあった。申請者はこれらの質問 に対し、本実験データを踏まえ、これまでの研究成果および既知の実験事実を 引用しながら適切な回答および考察を行った。

  

本研究は、既に臨床的には鎮痛効果が明らかにされているクロニジンについ

て、invitro 標本を導入することにより背側縫線核ニューロンに対するクロ

ニジンの抑制効果ならびにノルアドレナリンとの相互作用を解析し、これまで

不 明 確 であ った 背側 縫線核 の疼 痛制 御に おける 関与 を強 く決 定づけ たっ

(5)

  

審査員一同は、これらの成果を高く評価し、また研究者として誠実かつ熱心 であり、大学院過程における研鑽や取得単位なども併せ申請者が博士(医学)

の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た っ

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