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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 王   蔚

    学 位 論 文 題 名

Mechanical properties and biocompatibility of bulk carbon nanotubes for implant prepared by spark plasma slntering     ( 放 電 プ ラ ズ マ 焼 結 法 に よ り 作 製 し た イ ン プ ラ ン ト 用     カ ー ボ ン ナ ノ チ ュ ー ブ 固 化 体 の 機 械 的性 質 およ び 生 体適 合 性)

学位論文内容の要旨

1.研究の目的

    現在、インプラントに最も良く使われているチタンは耐食性、生体適合性、機械 的信頼性等、ほぼ理想的な特性を兼ね備えているが、なおヤング率は約lOOGPaと骨 の20GPaに比ベ乖離しており、応力集中や新生骨の菲薄化等の問題を起こす欠点が ある。新素材として多くの領域で注目されているカーポンナノチューブ(CNTs)は,チ ユーブ状構造を有し空隙率が高いため密度が低いこと,またハイドロキシアパタイト に比較し靭性に優れることから,バルク体として成形できれぱ、骨に機械的特性が類 似したインプラント材料として医学領域での応用が期待される。しかし、カーボンナ ノチューブは難焼結性材料であり、これまで、固化は実現できなかった。本研究では、

耐熱性が高い多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)に、放電プラズマ焼結法を適用し、

第一部:固化促進のためポリカルポシラン(PCS)を結合材として添加したMWCNTs固 化 体、第二部 :焼結条件を改善したMWCNTs/PCS固化体、第三部:結合材無添加の 純MWCNTs固化体を作製し、種々の観察を行うとともに,機械的性質と生体適合性 の 評価を行い 、生体にやさしいインプラント材料を開発することを目的とした。

2.研究内容・結果 (1)材料および方法   第一部

    PCS粉末含有量が5,10,15,20,25wt%となるような割合でnヘキサンに溶解後,

MWCNTsを 加 え , 十 分 に 攪拌 , 混合 し ,n・ ヘキ サ ンを 自 然 蒸発 さ せ乾 燥 後,

MWCNT・s信CSの混合粉末を得た。この混合粉末を20¢X50nIn1のグラファイト製モ ールドに積層充填後,放電プラズマ焼結装置で焼結温度1200℃、圧力20、40、60MPa で 焼結した。 焼結後得られたMWCNTs伊CS固化体をダイヤモンドディスクにて切り 出 し,各種観 察および試 験用の試料 とした。試 料表面をSEM,TEM、X線分析顕微 鏡韜よびラーマン分光測定装置にて観察し、機械的性質として,ビッカース硬さ、嵩 密度およぴ比表面積を計測した。また生体適合性を検索するため,ラット皮下組織お

(2)

よぴ 大腿 骨内 に埋 入し て, 組織 学的 に検 索し た。

    第二 部

    第一 部と 同様 に、PCS含有量20,30,40wt%について、温度1000℃、圧力120MPa で 放 電 プ ラ ズ マ 焼 結 し 、 試 料を 作 製 し た 。SEM,TEMお よ びX線 分 析 顕 微 鏡 観察 、 ビッ カー ス硬 さ、3点 曲げ 、圧縮 の各 種機械的試験、嵩密度、ヤング率の計測、ラッ トを 用い た皮 下組 織茄 よぴ 大腿 骨内 埋入 試験 を行 った 。

  第 三部

    第 一 部 と 同 様 に 、 結 合 材 無 添 加 のMWCNTsを 温 度1100℃ 、 圧 力40MPaで 放 電 プラズマ焼結し、第二部と同様に各種機械的試験、嵩密度とヤング率の計測およびラ ット を用 いた 皮下 組織 および 大腿 骨内 埋入 試験 を行 った 。

(2)結果と考察     第一部

    焼結 圧120MPa(PCS5‑25%)およぴ焼結圧80,100MPa(PCS含有量25%)では焼結処 理後、取出時に試料の崩壊が認められた。焼結圧20MPa(PCS5‑25%)および焼結圧40, 60MPa(PCS25%)では崩壊は認められず経時的に安定であった。PCS量と焼結圧が増加 す るとと もに固化体の比表面積、嵩密度およびマイクロビッカース硬さは増加する傾 向 が 認 め ら れ 、 焼 結 圧60MPa、PCS量25wt% に おい て最 大値 を示 した 。各 種条件 下 で 固化し た試 料の 比表 面積 はす べて59.5m2/g以上の値を示し、最大値はll4.5m2/gで あった。嵩密度の最大値はl.44g/cm3で、マイクロビッカース硬さの最大値は29.5を 示 した。 ラー マン スペ クト ルお よびX線回折により、いずれの焼結条件においても、

CNTsとSiCの ピ ー ク が 検 出 さ れ た 。 ま たSD江 観 察 に お い て 、CNrSの 周 囲 にSiCと 考 えられ る粒状物が認められた。これらの結果から、PCSが分解してSiCとなり、CNTS の 結 合 に 寄 与 し て い る こ と が 推察 さ れ た 。TEM観 察 に よ り のm但CS固 化 体 は,sPS で 焼結後 も,特有なナノサイズのチューブ状構造を保持していることが明らかとなっ た 。CNTsの 原 粉末 を軟 組織 に埋 入す ると 、1週 後で は周 囲に 肉芽 組織 が認 められ 、 マ クロフ ァージが多数観察されたが、固化体では線維性結合組織で被包されていた。

ま たPCS含 有 量 が 多い程 、結 合組 織内 の炎 症反 応は 強く なる 傾向 を示 した 。これ ら の 結 果 か ら 、CNTsを固 化す るこ とに より 炎症 反応は 抑制 され るこ と、 またPCSが 炎 症反応に関与することが示唆された。

    第二部

    PCS含 有量20,30,40wt%に 対し、焼結圧120MPa、焼結温度1000℃で固化するこ とが 可能 にな り、 機械 的性 質を著 しく改善することができた。PCS量の増加とともに 固化 体の嵩密度,ヤング率,マイクロビッカース硬さ、曲げ強度およぴ圧縮強度が増 加する傾向が認められ,PCS量30wt%において、嵩密度2.16g/crri3,ヤング率51.2GPa, マ イ ク ロ ビ ッ カー ス 硬 さ124.7、 曲 げ 強 度410MPaお よ ぴ 圧 縮 強 度608MPaの最 高値

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を示した。これらの特性値は、ほば骨の2倍程度であった。固化体の結晶構造は第一 部と同様にチューブ状構造を保持し、SiCがCNrI・sの結合に関与していた。皮下埋入 試験ではPCSの濃度が高くなると周囲組織の炎症反応が強くなる傾向を示したが、

変性・壊死などの強い炎症反応は認められなかった.骨髄内埋入試験では新生骨の形 成 が 認 め ら れ , 一 部 で は 骨 組 織 が 固 化 体 表 面 に 直 接 接 触 し て い た 。

    第三部

    結合材無添加のまま、焼結圧40MPa、焼結温度1100℃の条件で純CNTを固化す ることが可能になった。の冊固化体は、嵩密度1.95g/Cm3,ヤング率20くma,マイク ロビッカース硬さ44、曲げ強度172MPaおよび圧縮強度249MPaを示した。これらの 特性値は、骨とほば同程度であった。X線回折により、の冊のピークのみが検出さ れた。1EM観察によりのm固化体は,焼結後も,特有なナノサイズのチューブ状構 造を保持していた。また皮下組織内埋入試験では,線維性組織が観察されたが,強い 炎症反応は認められず、CNT侶O%PCSに比較し、軽度であった。骨髄内埋入試験では、

1週後、CNTS固化体周囲に幼若な新生骨が認められ、のm侶0%PCSの結果と明瞭な 差は認められなかったが、4週後ではCNT固化体のほうがより多く新生骨と直接接 触していた。これらの結果から、PCSを含まない純のm固化体のほうが生体適合性 および骨伝導性に優れることが示唆された。

3.結論

    難焼結性のCNTsに対し、放電プラズマ焼結法を使用することにより、PCSを結 合材としたCNTs/PCS複合材およぴCNTsl00%固化体を作製することが可能になった。

焼結体の機械的性質はSPSの焼結条件とPCS含有量に依存し、CNTsl00%固化体では 骨に類似しており、PCS30%添加時には骨の2倍程度の最高値を示した。動物埋入実 験により、CNTs固化体は生体適合性を有することが示された。以上の結果から、本 研究で開発したCNTs固化体は生体適合性を有し、機械的特性がほぼ骨に類似した、

生 体 に や さ し い イ ン プ ラ ン ト 材 料 と し て の 可 能 性 が 示 さ れ た 。

(4)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Mechanical properties and biocompatibility of bulk carbon nanotubes for implant prepared by spark plasma slntering      ( 放 電 プ ラ ズ マ 焼 結 法 に よ り 作 製 し た イ ン プ ラ ン ト 用      カーボンナノチューブ固化体の機械的性質および生体適合性)

  審査は,最初に論文提出者に対して提出論文の要旨を説明させ,ついで論文の内容につい て審 査委員によ る口頭試 問を行っ た,以下 に,提出論文の要旨と審査の内容を記す.

  カーボンナノチューブ(CNTs)は,密度が低く,靭性に優れることなどから生体材料と しての応用が期待されるが,難焼結材料であることから,これまで固化することは困難であ った.論文提出者は,生体にやさしいインプラント材料開発を目的に,放電プラズマ焼結法 を用 いて多層 カーボン ナノチュ ーブ(MWCNT)固化 体を作製し,その性質を評価した.

  提出論文は,三部より構成される.

第一部:固化促進のためポリカルポシラン¢CS)を結合材として添加したMWCNrs固化体   PCS粉末含有量が5,10,15,20,25M%となるような割合で,MWCNTs暦CSの混合粉末を 調整し,放電プラズマ焼結装置で焼結温度1200℃,圧力20,40,6()Mpaで焼結した.焼結後 得ら れたMWCNTs債CS固 化体の表面をSEM,TEM,X線分析顕微鏡およぴラーマン分光測定 装置にて観察し,機械的性質として,ビッカース硬さ,嵩密度および比表面積を計測すると ともに,生体適合性を検索した.PCS量と焼結圧を増加すると,固化体の比表面積,嵩密度 およぴマイクロビッカース硬さは増加する傾向が認められた.ラーマンスペクトルおよびX 線回折より,いずれの焼結条件でも,CNrsとSiCのピークが検出され,SEM観察では,のnふ の周囲にSiCと考えられる粒状物が認められた,以上の結果から,PCSが分解してSiCとな り,の瓜の結合に寄与していることが推察された.TEM観察によりの汀 S暦CS固化体は,

焼結後も,特有なナノサイズのチューブ状構造を保持することが明らかとなった.CNrsの 原粉末をラット皮下組織に埋入すると,1週後では周囲に肉芽組織が認められたが,固化体 では線維性結合組織で被包されていた.またPCS含有量が多いほど,炎症反応は強くなる 傾向を示した,以上の結果から,CNrSを固化することにより炎症反応は抑制されること,

またPCSが炎症反応に関与することが示唆された,

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郎 夫

敦 文

山 理

横 亘

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

第二部:焼結条件を改善したMWCNTs暦CS固化体

  第一部と同様,PCS含有量20,30,4弧黼について,温度1000℃,圧力12()Mpaで焼結した.

  焼 結 圧12()MPも 焼結 温度1000℃で固化す ることが可能となり,機械的性質を著しく改善 する こ とが でき た.PCS量の 増加 と とも に固 化体 の嵩 密度,ヤング率,マイクロビッカース 硬さ , 曲げ 強度 およ び圧 縮強 度が 増加 する 傾向 が認 めら れ,PCS30耐 %に おい て,骨の2 倍 程 度 の 機 械 的 性 質が 得ら れた .皮 下埋 入試 験で はPCSの濃 度が 高く なる と炎 症 反応 が強 くなる傾向を示した.骨髄埋入 試験では,ー部の新生骨組織が固化体表面に直接接していた,

第三部:結合材無添加の純MWCNrs固化体

  結 合 材 無 添 加 の まま ,焼 結圧40MPa,焼 結温 度1100℃ の条 件下 で放 電プ ラズ マ 焼結 法に よ り 純CNTsを 固 化 す る こ と が 可 能 で あ っ た .CNrs固化 体の 機械 的性 質の 値は 骨 とほ ば同 程度 で あり ,純CNTs固化 体のほうが生体適合 性および骨伝導性に優れることが示唆された.

  以 上三 部の 論文 から ,プ ラズ マ放 電焼 結法 を 用い たCNTs固 化体 は, 生体 適合 性を 有し,

骨に類似した機械的特性を持つ生体にやさしいイン プラント材料としての可能性が示された.

  以 上 の 要 旨 説 明 に 引 き 統 き 質 疑 応 答 を 行 っ た . 主 な 質 疑 応 答 を 以 下 に 示 す . 1MWCNTs固 化体 のイ ン プラ ント 材料 とし ての 可能 性に つい て

  結 合 材 無 添 加 の 純MWCNTs固 化 体 の 機 械 性 質 は 骨 と近 似し ,骨 補填 材と し ての 可能 性が 示唆 され たが ,デ ンタ ルイ ンプ ラントとし ての機械的強度は十分ではなく,チタンやハイド ロ キ シ ア パ タ イ ト と の 複 合 やMWCNTs/PCS固 化 体 と の 傾 斜 化 等 を 考 慮 す る 必 要 が あ る ・ 2CNTsの長 さに つい て

  今 回 の 実 験 に 供 し たCNTs長 さ は 数umで あ る が , 長 い サ イ ズ のCNTsを 使 用 し た 場 合 , 破壊 強度 等の 機械 的性 質は 向上 する もの と考 えら れ る.

3. PCSの 作用 につ いて

  PCSは , 焼 結 時 に 熱 分 解 さ れSiCに 変 化 し , 結 合 に 関 与 し て い る と 考 え ら れ る . 4.CNTs固 化体 の生 体適 合性 につ いて

  CNTsを 固化 する こと によ り, 起炎 性は 減少 した が ,骨 伝導 性は チタ ンや ハイ ドロ キシア パタ イト に比 較し 劣る ため 今後 さら なる 改良 が必 要 であ る.

5PCS含 有量 と機 械的 強度 につ いて

  CNTs/PCSの 機械 的強 度は ,PCS含有 量が30% まで は増 加し たが,400/oでは低下した.こ の 理 由 と し て ,CNrs同 士 の 間 隙 が 広 く な る こ と , の 冊 とPCSの 分 散 が 不 均 一 に なり やす いこ と,PCSの量 が多 く なる と焼 結後 緩圧 する 際に 強い 引つ 張り応カが生じることなどが推 察さ れた .

  質疑 応答 にお いて 論文 提出 者は,上記のような回答と説明を行い,本論文の内容に 関係す る 事項 につ いて も十 分な 知識 を有していた.さらに今後の研究の明確な展望も有して おり,

将 来性 の点 にお いて も高 く評 価できる.よって,学位申請者は博士(歯学)の学位授 与にふ さ わし いも のと 認め た.

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参照

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