笠岡市安全・安心まちづくり協働推進条例（案）
朱書きは，検討委員会による説明
（目的）
第1条 この条例は，市民が安全で安心して暮らすことができるまちづくり（以下「安全 で安心なまちづくり」という。）について，基本理念を定め，市の責務並びに市民，市民 団体及び事業者（以下「市民等」という）の役割を明らかにするとともに，市民生活に危 害を及ぼす犯罪，交通事故等の未然防止，青少年の健全育成等のための基本的事項を定 めることにより，安全で安心なまちづくりに関する施策を総合的に推進し，市民が安全 で安心して暮らすことができる社会の実現を目的とする。
・この条例の安全で安心なまちづくりの対象は，人為的なものによる被害の未然防止等を 基本として，防犯，交通安全，青少年の健全育成のための基本的事項を定めるものとして いる。
（定義）
第２条 この条例において，次の各号に掲げる用語の意義は，当該各号に定めるところに よる。
(１) 市民 市内に住所を有する者，市外からの通勤及び通学者及び市内に滞在する者を いう。
(２) 市民団体 ボランティア団体，民間非営利組織，自治会・町内会，その他の地域的 な共同活動を行う団体をいう。
(３) 事業者 市内で，事業を行う個人又は法人をいう。
・事業所について，「営利を目的とする事業を行う・・・」か「事業を行う・・・」とする かの判断において，より幅広く対象とするため，後者の表現としている。
（基本理念）
第３条 安全で安心なまちづくりは，市と市民等の適切な役割分担並びに協働の下に推進 されなければならない。
２ 安全で安心なまちづくりは，子どもが伸び伸びと成長し，高齢者等が安心して過ごす ことができる健全な地域社会の構築を基本として推進されなければならない。
３ 安全で安心なまちづくりは，地域の安全は地域で守るという意識に支えられた市民等 の自主的な活動を尊重して推進されなければならない。
・基本理念でのキーワードは，３つの柱，１．「適切な役割分担と協働」２．「健全な地域 社会の構築」 ３．「地域の安全は地域で守る自主的な活動」です。
（市の責務）
第４条 市は，安全で安心なまちづくりに関する施策を総合的に推進しなければならない。 ２ 市は，前項に規定する施策の計画及び実施にあたっては，市民等及び関係行政機関と
協力し，密接な連携を図らなければならない。
３ 市は，安全で安心なまちづくりについて，市民等に対し情報の提供や啓発に努めなけ ればならない。
４ 市は，安全で安心なまちづくりの推進のため，市民及び市民団体の自主的な活動に対 し，積極的な支援に努めなければならない。
・市は「責務」という表現で，次条以下の「○○の役割」という表現より強いものとしてい る。各項の文章のしめも「・・・・なければならない。」の表現としている。
・第４項の自主的な活動に対する支援は，積極的な支援に努めるべきとしている。
（市民の役割）
第５条 市民は，安全で安心なまちづくりに理解を深め，健全な地域社会の構築に，自ら 努めるものとする。
２ 市民は，地域における絆を深め連帯意識を高めるとともに，相互に協力して，安全で 安心なまちづくりの自主的な活動を推進するよう努めるものとする。
３ 市民は，市民団体，市及び関係行政機関が実施する，安全で安心なまちづくりに関す る施策及び活動に協力するよう努めるものとする。
・市民の役割のキーワードは，「自ら努める・地域における絆・自主的な活動を推進」です。 ・本条の市民，第６条の市民団体，第７条の事業者は，自主的に活動が拡がり活発化して いくことが望ましいこと，協働の推進においても，お互いの「役割」の中で，それぞれが取 り組むことが大切であることから，「責務」として決めてしまうのではなく，「役割」とし ている。そして，各項の文章のしめは「・・・・するものとする」の表現としている。
（市民団体の役割）
第６条 市民団体は，安全で安心なまちづくりについて理解を深め，安全で安心なまちづ くりに関する活動の主体的な企画及び実施に努めるとともに，その活動に関する市民の 理解を深めるよう努めるものとする。
２ 市民団体は，市及び関係行政機関が実施する，安全で安心なまちづくりに関する施策 及び活動に協力するように努めるものとする。
・「市民団体の役割」を定めている市は多くないが，市民団体の自主的な活動が活発な実態， また，市民団体の役割の重要性から，この条文を設けている。
（事業者の役割）
全で安心なまちづくりの活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。
２ 事業者は，従業員等が，安全で安心なまちづくりに関する活動に参加しやすい環境を 整備するよう努めるものとする。
３ 事業者は、市民団体，市及び関係行政機関が実施する，安全で安心なまちづくりに関 する施策及び活動に協力するように努めるものとする。
・安全で安心な活動に積極的に取り組む努力を求めるとともに，従業員等が活動に参加し やすい環境整備に努めるように求めている。
(交通安全)
第８条 市は、交通の安全を図るため，関係行政機関と連携しながら，交通安全施設等の 整備を促進し，良好な交通環境の確保に努めなければならない。
２ 自動車，原動機付自転車及び自転車（以下「自動車等」という。）の運転者は，常に法 令を遵守し，譲り合いの精神をもって安全運転に努めなければならない。
３ 歩行者は，常に法令を遵守し，自動車等に十分注意しながら譲り合いの精神をもって 通行するように努めなければならない。
・良好な交通環境の整備のハード面と，自動車等の運転者，そして歩行者の安全確保のソ フト面を定めている。また，運転者側だけでなく歩行者側の注意も定め，運転者，歩行者 ともに法の遵守は当然として，「譲り合い」をキーワードとしている。
(青少年の健全な育成)
第９条 市は，青少年がすこやかに成長するよう，青少年の自主性を尊重しつつ，市民等 及び関係行政機関と連携し，青少年の健全な育成に関する施策を推進しなければならな い。
２ 保護者（親権者，未成年後見人，児童福祉施設の長その他青少年を現に監護する者を いう。以下同じ）は，青少年の養育と健全な成長について責任があることを自覚し，愛 情をもってふれあい，青少年がすこやかに成長するよう努めるものとする。
３ 家庭を構成する者は，お互いに協力し，健全な家庭づくりを進めることによって，青 少年がすこやかに成長するよう努めるものとする。
４ 学校，その他青少年の育成に携わる関係者は，地域社会と一体となって，お互いに協 力し，青少年がすこやかに成長するよう努めるものとする。
５ 市民等は，地域の中でそれぞれの役割を果たし，青少年がすこやかに成長するように 努めるものとする。
・「青少年がすこやかに成長するよう」をキーワードに，まず市について定め，そして第２ 項からは，青少年の健全な育成に関わる順番の考え方として，保護者，家庭を構成する者， 学校とその他関係者，市民等とし，順にそれぞれの役割を定めている。
第１０条 学校等を設置し，又は管理する者（以下「学校等の設置者等」という。）は， 当該学校等の施設内において，児童等の安全を確保するように努めるものとする。 ２ 学校等の設置者等は，必要があると認めるときは，関係行政機関の職員及び児童
等の保護者，市民等の参加を求めて，当該学校等における安全の確保を推進するた めの体制を整備し，必要な措置を講じるよう努めるものとする。
・第１０条から第１２条は，子ども等の安全確保のための内容であり，特に市として関わ りの強い，学校，通学路，そして，安全教育について定めている。
（通学路等における安全の確保）
第１１条 通学路等（児童等が通学，通園等に利用している道路及び児童等が日常的 に利用している公園等をいう。以下同じ。）を管理する者，学校等の設置者等，児童 等の保護者，市民等及び関係行政機関は，必要に応じて連携し，通学路等における 安全の確保を推進するための必要な措置を講じるよう努めるものとする。
２ 市民等は，通学路等において，児童等が危害を受け，又は受けるおそれがあると認め られるときは，警察官への通報，避難誘導その他必要な措置を講じるよう努めるものと する。
（安全教育の推進）
第１２条 保護者は，家庭等において，児童等が犯罪や交通事故に遭わないため，ま た，起こさないための教育や対話に努めるものとする。
２ 学校等の管理者は，保護者や地域の人と連携して，児童等が犯罪や交通事故に遭 わないため，また，起こさないための教育に努めるものとする。
・アンケート結果において，防犯，交通安全ともに，家庭での教育や話し合いが必要 との回答は非常に多く，安全教育の推進においては，まず，家庭での教育や話し合い に努めるように定め，そして，学校等の管理者も教育に努めるよう定めている。 ・教育の内容は，遭わないためだけでなく，起こさないための両面が必要としている。
（高齢者の安全の確保）
第１３条 高齢者は，犯罪による被害の防止や交通安全に特に配慮が必要であり，市 は関係行政機関と連携して，高齢者が犯罪や交通事故に遭わないため，また，起こ さないための情報の提供や啓発に努めなければならない。
・高齢者の犯罪被害や交通事故の発生状況から，高齢者の安全確保についても項目を 設けることとしたもの。前条と同様に，遭わないためと起こさないための両面で取り 組むべきとしている。
（安全に配慮した道路等の整備）
する者は，当該道路等が犯罪の防止や交通安全に配慮した構造，設備等を有するものに なるよう努めるものとする。
・犯罪発生の不安場所（アンケート結果）や交通安全の確保から，ハード整備の面から配 慮するように求めている。なお，駐車場・駐輪場は民間にも該当するため，「努めるものと する。」の表現にしているが，行政機関の場合には「努めなければならない。」と理解してい ただきたい。
（空き家等の管理）
第１５条 空き家等（空き家または空き地をいう。以下この条において同じ。）を所有 し，または管理する者は，当該空き家等について，出入口の施錠やさくの設置及び 草刈り等，犯罪や交通事故を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければ ならない。
２ 市は，空き家等の管理状態が防犯または交通安全上支障があると認められ，また ， 地域での自主的な対応が困難であると認められるときは，関係行政機関と協議のう え，当該空き家等の所有者または管理者に対し，必要な改善を行うよう指導するこ とができる。
・市が，空き家・空き地にどこまで関わることが出来るか，非常に難しいことと認識 している。しかし，アンケート結果では，犯罪の発生場所として，空き家・空き地で の不安を感じる人が多いことから条文化することとしたもの。
まず，所有または管理する者に「必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」 と，責務としている。また，地域のことは地域での考え方を優先し，地域での自主的 な対応も困難な場合には，市が指導することが出来るとしている。
・実効性の困難さは想定できるものの，今後，社会的に問題化も想定される事案であ り，条文化することにしたもの。
（推進体制の整備）
第１６条 市は，市民等と協働して安全で安心なまちづくりを推進するための体制を整備 するものとする。
・市が市民等と一体となって，安全で安心なまちづくりを推進するためには，体制整 備が必要との考え方により定めている。
(委任)
附 則
