指導者 熊野町立熊野東中学校 教諭 内藤 泰子 1 日 時 平成 27 年 10 月 14 日(水)3校時 10:50~11:40 2 場 所 わかば学級教室 3 学年・学級 第3学年(男子1名,女子1名 計2名) 本学級は,第3学年男子1名,女子1名(計2名)の生徒が在籍している知的障害特別支援学級であ る。 本学級の生徒は,学校での学習や生活において意欲をもって取り組もうとしているが,次の活動を考 えて自ら行動せず,指示が出るまで待っていたり,発表を促しても失敗を恐れて積極的な言動ができに くかったりと,自信をもって取り組んでいるとまではいえない。また,経験したことを説明したり,質 問されたことに適切に受け答えしたりすることに苦手さを感じている。そのため,自分を否定的に考え やすく,自己肯定感が低くなっている様子が窺える。作業を伴うような学習場面では,指示を守って取 り組んでおり,必要な用具を適切に選択することもできるようになってきている。細かい作業を継続し, 協力しながら作り上げるという経験も増えつつある。 さらに,生徒は,中学校卒業後の進学先として,特別支援学校高等部を考えている。将来の生活を考 え,就労を含む社会的自立を意識している。そのため,学校での進路に関わる学習では,昨年度,職場 体験学習で地域の事業所での職業体験を経験したり,特別支援学校高等部のオープンスクールに参加し, 実践的な接客の知識・技能を身に付けるための作業学習の様子を見たりした。 個々の生徒の実態は,次のとおりである。 生徒 学年等 障害等 国語科に関すること 数学科に関すること 職業・家庭科に関すること 自立活動に関すること A 3年 男子 知的 障害 ○ 自分の思いや 意見を表出しよ うとするが,発 音が不明瞭なた め,苦手意識が あり,言いたい ことが伝わらな かったり,聞き 返されたりする と「もういいで す。」と表出をあ きらめてしまう ことがある。 ○ 買い物では, 代金を合計し, おつりを計算す る こ と が で き る。 ○ 物 を 作 っ た り,作物を育て たりすることが 社会に役立つこ とが分かり,自 分の仕事の意味 を理解できてい る。 ○ 他者とのコミ ュニケーション を図ることはで きるが,場や相 手の状況に応じ て,主体的なコ ミュニケーショ ンを展開するこ とは難しい。 B 3年 女子 知的 障害 ○ 自分の思いや 意見を表出しよ うとするが,質 問されたことに 対して,適切に 受け答えするこ とは難しい。 ○ 買い物では, 一つのものを買 っておつりを計 算することはで きるが,二つ以 上のものを買っ て計算すること は難しい。 ○ 物を作った り,作物を育て たりすることが でき,仕事や実 習の意味を理解 することができ る。 ○ 他者とのコミ ュニケーション を図ることはで きるが,場や相 手の状況に応じ て,主体的なコ ミュニケーショ ンを展開するこ とは難しい。
第3学年 特別支援学級(知的障害) 学習指導案
教科等・単元名: 生活単元学習「私たちのわかばコーポレーション」
生徒実態
○ 困ったときに 何も言わずにじ っと指導者の顔 を見て待ってい ることがある。 本単元では,授業そのものを「企業・わかばコーポレーション」と見立て,作業製品の販売活動を行 う。自分たちで作ったものを販売する活動では,相手と受け答えしやすくなると考える。また,「教えて ください。」などという場面を設定し,尋ねたことで活動できたという成功経験をすることで,安心して 活動でき,自信となっていくと考える。さらに,第三者との直接的な関わりを経験することで,集団の 一員としての自覚をもち,社会的自尊感情を高めることができる。そして,自らの役割が全体の中でど う生かされているのか,自らの役割を意識できると考える。 ○ 手掛かりを基に経験したことを振り返ったり説明したりすることができる。 ○ 困ったときに,「○○が難しいので教えてください。」などと言うことができる。 ○ 相手の話題に対して適切に受け答えることができる。 ○ 人との関わりの中で自己肯定感を高め,学習活動に意欲的に取り組むことができる。 指導と評価の計画(全 16 時間) 次 学習内容 (時数) 評 価 評 価 規 準 評価 方法 生徒A 生徒B 第 一 次 学 習 の 計 画 を立てよう (2時間) ○ 自分から進んで挙手や発表をし ている。 ○ これまでの経験を基に,準備しな くてはいけないことを言っている。 ○ 話の内容を的確に理解し,分から ないときに「○○が難しいので教え てください。」などと言っている。 ○ 自分から進んで挙手や発表をし ている。 ○ 話の内容を的確に理解し,分から ないときに「○○が難しいので教え てください。」などと言っている。 行動 観察 第 二 次 商品を作ろう (10 時間) ○ モデルを基に,商品を作ってい る。 ○ 困ったときに自ら「○○が難しい ので教えてください。」などと言っ ている。 ○ モデルを基に,商品を作ってい る。 ○ 困ったときに自ら「○○が難しい ので教えてください。」などと言っ ている。 行動 観察 第 三 次 開 店 準 備 を しよう (3時間) (本時 3/3) ○ これまでに準備してきたことを, 手順書や商品を見ながら振り返っ ている。 ○ 困ったときに,自ら「もう一度質 問してください。」と言っている。 ○ 話題の中心に応じて,作り方の説 明を具体的にするなど,適切な受け 答えをしている。 ○ これまでに準備してきたことを, 思い出しながら振り返り文章にま とめている。 ○ 困ったときに,どのように対応し たらよいかを自分で考えたり,help カードを提示するなど,自分で判断 して行動したりしている。 ○ 話題の中心に応じて,材料の名前 を言うなど,適切な受け答えをして いる。 行動 観察
単元の目標
指導と評価の計画
単元について
第 四 次 振 り 返 り を しよう (1時間) ○ 思い出すことをあきらめずに,ヒ ントを基に,学習内容を振り返って いる。 ○ ヒントを基に,学習内容を振り返 っている。 行動 観察 指導に当たっては,自己肯定感を高め,自立につながる活動にするために,次のことを改善のポイン トとした。 「学習活動において経験や感情の共有体験を通して,自己を肯定的に捉えられるようにする。」 また,そのために次のことを指導上の工夫と言語活動の充実に取り組むこととした。 【指導上の工夫】 ・ うまくいかなかったり,どうしたらよいか分からなかったりするような場面を意図的に設定し, 解決に向けて自らが行動を起こすことを促す。 ・ パターン化されたものから外れるような,想定外のことが起きたときにも,自分たちでやり遂げ られ,乗り越えられるように,場の設定を工夫する。 【言語活動の充実】 ・ 「○○が難しいので教えてください。」などと,自分で支援してほしい箇所を具体的に述べさせる ようにする。また,尋ねたことそのものを称賛し,成功経験を積ませる。 (1)本時の目標 ア 全体の目標 ○ これまでに準備してきたことを,手掛かりを基に振り返ることができる。 ○ 困ったときに,手伝ってほしいことを自ら依頼することができる。 ○ 話題の中心に応じた適切な受け答えをすることができる。 イ 個々の目標 生徒 これまでの様子 目標 A ○ 言葉だけの指示では理解が難しい。 ○ 困ったときや分からないときに,尋ねる ことが難しい。 ○ 言いたいことが伝わらなかったり,聞き 返されたりすると「もう,いいです。」と表 出をあきらめてしまうことがある。 ○ これまでに準備してきたことを,手順書や 商品を見ながら振り返ることができる。 ○ 困ったときに,自ら「もう一度質問してく ださい。」と言うことができる。 ○ 話題の中心に応じて,作り方の説明を具体 的にするなど,適切な受け答えをすることが できる。 B ○ 一度の指示で動くことができる。 ○ 困ったときや分からないときに,答えて くれるまでじっと指導者の顔を見続けるこ とがある。 ○ これまでに準備してきたことを,思い出し ながら振り返り文章にまとめることができ る。 ○ 困ったときに,どのように対応したらよい かを自分で考えたり,help カードを提示する など,自分で判断して行動したりすることが できる。 ○ 話題の中心に応じて,材料の名前を言うな ど,適切な受け答えをすることができる。
本時の学習
本時における指導改善のポイント
(2)本時の学習展開 学習活動 指導上の留意事項(□課題,○支援,☆評価) A B 全体 ・ あいさつを する。 ・ 本時の目標, 活動内容を知 る。 ・ 質問係(お 客さん)と発 表係(店員) に分かれてこ れまでの作業 の様子や内容 などを説明す る。 ・ お客さん役 の授業参観者 から,制作の 過程や,材料, 金額などにつ いて質問して もらい,販売 ○ まわりの状況を確認 し て 号 令 を か け さ せ る。 ○ 昨年の文化祭での販 売の様子を思い出させ る こ と で 関 心 を 高 め る。 ○ 学習シートに一人で めあてを記入させる。 ○ 発 表 係 を す る 際 に は,前時までにまとめ た文章を用意し,その 中から話題の中心に応 じた適切な受け答えを 選ばせる。 ☆ これまでに準備して きたことを,手順書や 商品を見ながら振り返 ることができたか。 ○ 前時までにまとめた 文章を基に,初めての お客さんに対して説明 させる。 ○ 学習の始まりを意識 させる。 ○ 1学期の野菜の販売 の様子を思い出させる ことで学習の動機付け とする。 ○ 学習シートに一人で めあてを記入させる。 ○ 発 表 係 を す る 際 に は,作り方,作業の内 容などを,商品や活動 の写真,手順書などを 提示し,話題の中心に 応じた適切な受け答え が で き る よ う に さ せ る。 ☆ これまでに準備して きたことを,思い出し ながら振り返り文章に まとめることができた か。 ○ 作り方,作業の内容 などを,商品や活動の 写真,手順書などを基 に,初めてのお客さん に対して説明させる。 ○ あいさつにより,学習の 始まりを意識させる。 ○ 学 習意 欲を 高 めるた め に,これまでに作ったリー ス(商品)を見せる。 ○ めあてを意識させるため に,学習シートに記入させ る。 ○ 質問係(お客さん)が運 営しやすいよう,メモを用 意しておく。 ○ 発表係(店員)が話題の 中心に応じた適切な受け答 えができるようにするため に,ヒントを用意する。 ○ 自分の言葉で伝えること が難しい場合には,必要に 応じてホワイトボードに書 いて伝えるよう促す。 ○ 質問に応じて臨機応変に 応 対 で き る よ う 練 習 さ せ る。 ○ 質問の中心を捉えさせる ようにメモを活用させる。 ○ 自分の言葉で伝えること が難しい場合には,必要に 1 本時のめあてを確認する (7分) 2 これまでの活動の様子を発表する (15 分) 姿勢を正して「お願い します。」と声に出して 言う。 号令をかける。 これまでの作業を振り返り,商品の説明をするこ とができる。 ホワイトボードに注目し,めあてや学習内容を知 る。 3 商品の説明・販売のリハーサルをする(授業参観者がお客さん役) (20 分) 自分の役割に応じた表現活動をする。 授 業 参 観 者 に お 客 さ ん役を依頼する。
のリハーサル をする。 ・ 本時の振り 返りを行う。 ・ あいさつを する。 ☆ 困ったときに,自ら 「もう一度質問してく ださい。」と言うこと ができたか。 ☆ 話 題 の 中 心 に 応 じ て,作り方の説明を具 体的にするなど,適切 な受け答えをすること ができたか。 ○ 困っていたら,指導 者の言葉かけにより, めあてに対する頑張っ たところや工夫したと ころを学習シートに記 入させる。 ○ 学習シートに記入し た内容を読んで発表さ せる。 ○ 学習の終わりを意識 させる。 ☆ 困ったときに,どの ように対応したらよい かを自分で考えたり, help カードを提示す るなど,自分で判断し て行動したりすること ができたか。 ☆ 話題の中心に応じ て,材料の名前を言う など,適切な受け答え をすることができた か。 ○ めあてに対する頑張 ったところや工夫した ところを自分の言葉で 学習シートに記入させ る。 ○ 学習シートを基に, 自分の言葉で発表させ る。 ○ 姿勢を正してあいさ つさせる。 応じてホワイトボードに書 いて伝えるように促す。 ○ 初めてのお客さんに応対 する練習として,授業参観 者をお客さん役にする場を 設定し,課題の解決に向け て自らが行動を起こすこと を促す。 ○ 自分たちだけで解決でき ないときの対応の仕方につ いて確認する。 ○ あいさつにより学習の終 わりを意識させる。