Ⅱ 実践論文
「語彙学習力」育成のための実践的研究
―表現学習における語彙指導の意義と方法―
萩 中 奈 穂 美 キィワード:語彙学習力 語彙指導 表現学習 語彙体系 使用語彙 類義語 中学校 1 .問題の所在と研究の目的 平成29年版学習指導要領では、「語彙指導の改善・ 充実」が、「国語科の改訂の趣旨及び要点」の「学習内 容の改善・充実」の筆頭に謳われた。これを受け、指 導者の語彙指導への関心は以前より高まっている が、意識は学習者の語句を増やすことに向かう傾向 が見受けられる。それも必要ではあるが、学校教育 の中で指導できる語彙の限界に鑑みれば、言語生活 の中で与えられずとも自らの意志で学んでいく能力 を育成することが重要になる。身に付けたい語句を 並べた学習用書籍などが刊行されているが、文脈の ない習得には限界がある。実際は、言語生活上の機 会を捉えて、自身の熟知度や必要性を判断しながら 学んでいくしかない。またそのために重要なのは、 語彙を拡充する意義を自覚し、既有語彙をベースに 自ら学んでいくという自立的な能力である。この能 力は、発達段階が上がるほど強く求められる。 こうした語彙を自ら学ぶ力とそれを育成すること の必要性については従前から指摘がある。ただ、「語 彙学習力」「語彙習得力」「語彙獲得力」等、用語そのも のにも、この力の内実にも揺れが見られる。早くか らこの力の必要性を主張している田中(1958)や斎藤 (1958)は、語句を類推したり辞書などを用いて新語 を獲得したりする力に重点を置いており、このように 捉える傾向は現在もなお強い。菅井・湯沢(1988: 46) は、林四郎(1982)のいう「語彙学習力」を引いて、「新 しい語を獲得していく力」ではなく「自分のなかにあ る語彙をより確かなものにしながら、次々に新しい 語を吸収することによって、一層豊かなものにして いく力」だと解釈し「発展性」を重視した。本研究もこ の立場をとっている。(なお本研究では、生涯を通し て学び続けるという意味で「語彙学習力」を用いるこ ととする。)また、浮橋(1977)、安達(1973)は、これ とは異なる観点で捉え、語彙への意識や無意識的な 語彙習得の方法への自覚を強調した。一方、鳥居 (1978: 15)は「語彙は自然発生的に拡充されるもので はない」として「訓練」の必要を述べた。最近では、山 本(2006)が「語彙学習力」として3つの要素(語彙論に 関する知識、語彙操作力を充実向上させる技能、語 彙学習に取り組む姿勢)を挙げた。これらはいずれも 重要な見解だが、現在のところ内実は不明瞭なまま である。 さらに教育実践に関わる大きな課題は、「語彙学 習力」に言及した論考のほとんどが、本題に追加し た形でその必要性を指摘し「今後の課題である」と結 び、その育成のあり方については具体的な提言が見 られないことである。 その中で注目されるのは、浜本(1990: 15)であ る。浜本は「語彙の構造化と体系化は、学習者に『言 語について考える』興味と習慣を育てることができ る」と提案した。これは「語彙学習力」に繋がる。ま た、「既得の語彙への習熟と語彙の構造化・体系化 とをあいともなわせることを通して、新しい語句を 自力で習得できる学習力を育てるようでありたい」 とも述べた。「新しい語句」を対象にしているもの の、先の提案と重ねれば、浜本は「語彙の構造化・ 体系化」を「語彙学習力」育成の鍵にしたと言える。 語彙が体系を成すことは、山本(2006)のいう「語彙 学習力」の一つ目の要素「語彙論に関する知識」に含 まれる。また、中学生は語彙を「体系的に把握する ようにな」り「それは語彙習得を能率的にする」とい う斎藤(1958: 209)の指摘からは、中学校における語 彙の体系指導の適時性を確認することができる。 これらの先行研究から、語彙の体系化が「語彙学 習力」の育成に繋がる可能性が見出される。この語 彙の体系化の指導を表現学習において行い、「語彙 学習力」育成の在り方についての知見を導出すること が本研究の目的である。すなわち、実践研究の仮説 として「表現の文脈において語彙の体系的な認識を促 すことで語彙学習力を育成する」ことを設定した。 表現学習において行う理由は、以下の考えに基づ いている。中学生は読む場面よりも書く場面で自身の語彙力を望む傾向が見られる1。現場の指導者も、 表現場面で語彙力不足を嘆く学習者の姿を認めてい る2。こうした傾向は、斎藤(1958: 208)が指摘した「理 解語彙と使用語彙の差が大きくなる」や「むずかしい 語彙を使いたがる」という中学生の発達的特性と重な る。しかし、学習者には、使用語彙を拡充するため に積極的に学ぶ様子はあまり見られない。こうした 中学生に、満足のいく表現を求めて語彙を学んだら 思うような文章が書けたという経験を提供したい。 ところが、先行研究では、読解学習における指導に 対し、表現学習における指導は少ない傾向にあった。 井上(2001: 460-461)は「表現指導の内容を充実させる ことがそのまま語彙指導とな」り「表現過程の諸段階 の指導が全て語彙指導と関連してくる」とその有用 性を述べた。また田中(1958: 197)は「指導の機会」 として作文の中での指導(文章の準備、記述中、推 考)を挙げ、推考ではもっとくわしくはっきりとす るように書き改めるときに、表現の対象をあらわす 語を細かくしていくなどして表現のために使う語を 増したり、的確なものにしたりするとし、これを学 級全体で行うこともあると述べた。 これらを踏まえ、本実践では、書くことの学習に おける語句選択の場面に、語彙の体系を作る活動 (以下「マップ」作り)を取り入れた。 2 .実践の方法 2.1 対象 T県T中学校(実践時の稿者の勤務校) 第3学年の1学級(40名) 2.2 単元 「○○はこんな人です∼言葉を吟味して 書こう∼」(エピソードを含めた約300字程度の文 章) 2.3 実践期間 2018年5月中旬から6月中旬 2.4 授業者 稿者 2.5 目標 ・最適の語句を選んで文章を書く能力を高める。 ・語句を他の語句との関係で捉える力を高める。 ・類語辞典の使用方法を理解し、使うことができる。 2.6 学習指導計画(全 6 時間) 第一次 第1時 担任M先生の人物像を伝える文章を書く。 第2・3時 語句を再検討して文章を批正する。 ①用いた語句について課題意識を持つ。 ② 全員で「優しい」を中核とした語句の「マップ」を 作る(以下「協働マップ」)。 ③「協働マップ」を生かして文章を批正する。 第二次 第4時 自分が選んだ人物の人物像を表す語句の 「マップ」を作る(以下「個人マップ」)。 第5時 「個人マップ」を使って文章を書く。 第三次 第6時 学びを振り返り、まとめる。 2.7 授業の実際的展開 本実践では、文脈において語彙を体系的に認識さ せるため、体系を学習者が作り上げること、それを 具体的な表現対象と照らして行うことの2点を重視 した。なお、語彙の体系は観点の設定によって多様 にありうるが、今回は意味上の体系を扱った。 2.7.1 学習者が作り上げる語彙の体系 学習者は、語彙の体系化の経験はなく、体系的なイ メージはほとんど持っていない。そこで第一次の、担 任であるM教諭の人物像を書いた文章の推敲場面に 「協働マップ」を作り上げる活動を取り入れた。広い意 味をもち使用頻度の高い語句(本実践では「優しい」)を 中核に据え、類義語を比較・分類し、可視化しながら 黒板に位置付けていった。途中には語句の位置を検討 する話合い活動を取り入れた。このようにして第一次 では、語彙の体系的なイメージと体系化で働かせる思 考方法を学ばせ、第二次では別の語彙の「個人マップ」 を類語辞典も使って自力で作らせた。 2.7.2 具体的な表現対象と照らした体系化 言語生活上の語彙の習得は、なんらかの具体的な 文脈を通して行われている。そこで「マップ」作りで は、抽象的な辞書上の意味で検討するのではなく、 具体的な表現対象(本実践では人物像)と照らして語 句を捉えることとした。理解語彙を扱うため可能で ある。そうすることで、語句相互の関係を検討しや すく、実感を伴う「マップ」を作り上げることができ る。また「マップ」作りは、語句の探索活動に相当す るため、語句の選択に生かしやすく、語彙を学ぶこ との意義を感得しやすいと考えた。 2.8 実践の評価方法 語彙の体系的な認識を獲得したか、それを表現に 活用することができたか、また、これが「語彙学習 力」に繋がったかについて、以下のように評価し た。語彙の体系的な認識の獲得については、第一次 と第三次の振り返り、第二次の「個人マップ」、単元 終了時の自己評価項目への回答内容をもとに、語彙 の体系化の表現への活用については、体系化の前後
の作文と語句選択の説明記述をもとに、「語彙学習 力」への繋がりについては、第三次の振り返りの記 述内容をもとに分析した。 3 .実践の結果 3.1 語彙の体系的な認識の獲得について 3.1.1 第一次の振り返りの記述内容から 表1は、第一次の「協働マップ」作りとそれを使っ た文章の批正後の振り返り(「言葉」について気付い たことを書くよう指示した)をもとに、語彙に関わ る記述内容を分析した結果である。表1のアからキ に該当する内容があれば一定に語彙を集合体として 理解できたものとして、分析対象とした。その中で もさらにアからカのような内容があれば、語彙の体 系的イメージを獲得できたとみなした。全体として は、語彙の体系的イメージを獲得した学習者は 65.0%(26/40名)であった。この時点で一定数の学習 者は体系的な認識を獲得したことが確かめられた。 観点別に、体系にどのようなイメージを持ったか分 析すると、最も多かったのはアの「大きい言葉と小さ い言葉」であった(11名、例:「優しいという言葉は広 くて、同じ優しいでもその中にいろいろな優しさを表 す言葉があることが分かった」)。広い意味の語句「優 しい」を細かくしていくという体系化の流れが反映さ れたものと認められる。また、イの「いろいろなまと まり」が8名と2番目に多かった。これは、「協働マッ プ」作りの中で、意味上の共通性に着目して語句の大 まかな分類を行ったことの反映だと考えられる。 3.1.2 単元終了時の自己評価項目から 単元終了時の自己評価項目「集めた類義語について 観点を見出しながら分析して整理することができた」 への回答結果は、十分できた51%、できた33%、だい たいはできた16%、できなかった0%であった。この ことから、学習者自身も語句を分析して語彙の体系を 作り上げられたという自覚を得たことが認められた。 3.1.3 学習者が第二次で作り上げた「個人マップ」 の内容分析から 学習者が第二次で作り上げた「個人マップ」の内容 を分析した結果、語彙を体系化できたものは87.5% (35/40名)であった。できなかった学習者は12.5% (5/40名)であった。判断基準としては、類義語をそ ばに位置付けたり囲んだりする、関係を見出した語 句を線で結ぶ、語句の上位・下位を囲みや線や階層 で示す、適切な位置に語句を移動する、のうちいず れかを行っていれば体系化できたとみなした。 一方、類義語を多数集めて書き出すだけであれば体 系化できなかったとみなした。 図1には、体系化ができた例としてA生の「個人 マップ」を示した。A生は第一次の序盤の段階では 体系的なイメージはもてなかった学習者である。し かし、第二次では「頑張る」を中核にして、熟知して いる「一生懸命」や「全力」等を書き、次に、類語辞典 で見付けた「打ち込む」「一心不乱」等の語句を位置付 けた。さらに「熱心」の類、「努力」の類、「全力」の類 を囲み、共通する漢字に印も付けた。イメージだけ でなく自力で語句を分析し、語彙を体系化する技能 も一定に身に付いたと言える。 3.1.4 第一次の振り返りの記述内容から 第一次に書いた振り返りの記述内容には、語彙の 体系を認識できただけでなく、体系作りをする中 で、自身の語彙構造を思い浮かべ、体系を再構造化 していることが窺われる例があった。2名だけでは あったが語彙学習につながる重要な反応例として、 1例を示す。これについては後で考察する。 〔B生〕初め、おおらかとおだやかはゆったり しているというところが似ているから同類だと 思っていたけど、おおらかは確かに細かいこと を気にしない意味があって、心が広いにも近く て、だからおおらかはおだやかと心が広いの間 に入れるべきだと思いました。 3.2 語彙の体系化の表現への活用について 3.2.1 第一次で当初の作文に用いた語句を再検討 して、選び直した状況の分析から 第一次において、「協働マップ」作りの後に加筆修正 した作文をもとに、選ばれた語句を分析した。その結 果、当初「優しい」を使った18名が全員、自分が表そ うとする「優しさ」について別の言葉に換えたり別の言 表 1 振り返りに見られた語彙に関する記述内容 語彙の体系に関わる表現 延べ人数 ア 大きい言葉と小さい言葉 広い言葉の中に細かい言葉がある 11 イ いろいろなまとまり 8 ウ 近く同士でも違う 7 エ 見方によって位置が変わる いろんな見方ができる 4 オ みんなつながる 1 カ 複雑になっている 1 キ 様々な語句・たくさんの語句がある 16 (注)記述中に複数の内容があればそれぞれカウントした。
葉を書き加えたりした。選ばれたのは、「愛情深い」「頼 りがい」「親身になる」等、後掲の表2に示したⅡ群の語 句が多く「協働マップ」が活用されたことが分かる。 また、作文に加えて書いた、語句選択の理由説明 の内容を分析した。選択した語句と「協働マップ」の 中の他の語句との違いを示して理由を説明する学習 者が13名いた。例えば、「優しい」を「面倒見がいい」 に換えたD生は「『尽くす系』の中で、『献身的』も近い 気がするけど、それだとM先生が嫌々やっている感 じもして、そうだとしても子供のぼくがそういうの は失礼だと思ったから」と書いた。「面倒見がいい」と 同様に「尽くす系」に分類された「献身的」と比べ、意 味の違いを明らかにして選択理由を説明している。 「協働マップ」だけでなく、これを作り上げる過程で 働かせた周囲の語句との違いを捉える思考が役に 立っていることが分かる。 3.2.2 「個人マップ」とそれを使って書いた文章及 び振り返りの記述(第三次)の内容から 以下に示すのは、第二次において、選んだ人物を 表す「個人マップ」(図1)を作成し、それを使いなが ら書いたA生の文章の一部である。 ある日の部活動の時間。その時期は大会が近 かったが、運動会明けでみんなやる気が出ずだ らだらしていた。そんな中、彼女は誰よりも早 く部活にいき、黙々と練習に励んでいた。そん な彼女のひたむきな姿に心を打たれ、やる気を もらった。(下線稿者) 「個人マップ」(図1)の中の「励む」「ひたむき」また 「こつこつ」から連想したという「黙々」を使ってい る。多くの学習者がA生のように「個人マップ」を作 成しながら文章で使う語句を探索し、その中から適 切な語句を2語程度選んで使っていた。また「いつ もは使わない語句を使っていい作文が書けた」と満 足する声も聞かれた。 また、この中で、第三次の振り返りに1名では あったが、第二次で作成した「個人マップ」が作文に 生かせなかったというものがあった。課題とされる 文脈における語彙学習の難しさを露呈している学習 者の言葉として示し、後で取り上げて考察する。 〔L生〕文の中であまりマップの言葉は使わなく て、正直内容が濃くならなかった気がする。で も、その人に合う言葉探しをしているといろん な語句が出てくるから自分のためにはなった。 3.3 「語彙学習力」への繋がりについて 語彙の体系的な認識の獲得とそれを表現に用いた ことが「語彙学習力」につながったかについて、第一次 と第三次の振り返りの記述を分析した。ただ「語彙学 習力」の構成要素に定義があるわけではない。そこで 今回は、浜本の「語句・語彙を自力で習得する学習力」 (1990)、山本(2006)の「語彙学習力」、北村(1986)の 「語彙に対する人間らしい態度能力」、小川(1988)の 「自己教育力」等の知見を参考に、次の4つを仮の枠組 みとして措定し分析した。表1と同様に、同一学習者 が書いた複数の内容はそれぞれカウントし、延べ数 で表した。それぞれ先に示した数値が第一次、後が 第三次における人数である。 ⓐ 語彙の価値への気付き 32名・13名 ⓑ 語彙への興味・関心 19名・8名 ⓒ 自身の語彙使用の省察 11名・5名 ⓓ 語彙学習の方法知 7名・8名 第一次あるいは第三次で、ⓐからⓓのいずれかに 該当する内容を記述をした学習者は85.0%(34/40 名)であった。このことから、措定した枠組みにお いては、本実践が「語彙学習力」の育成につながった ということができる。以下はそれぞれに該当する記 述内容とその特徴である。 ⓐ「語彙の価値への気付き」に関する内容 「表現・伝達の価値」と「認識の価値」が確認でき た。「表現・伝達の価値」には「言葉がたくさんある おかげで、M先生は優しい先生だと言ってもその優 しさの受け止め方の違いまで分かって、言葉は偉大 だ」があった。また「認識の価値」には「『面白い』の言 葉マップをつくっていると、類語辞典で言葉がたく 図 1 A生が自力で作成した「個人マップ」の一部
さん出てきて『そっか、そういういいところもあっ た』ってなった。自分からは出てこないのが悔しいで す」があった。なお「認識の価値」への言及(14名)は 「表現・伝達の価値」への言及(34名)よりも少なく、 気付きにくかったことが分かる。 ⓑ「語彙への興味・関心」に関する内容 語彙への興味を書いた「優しいにもこんなにいろ いろな言葉があって日本語は面白い」や「言葉が広 がっていくのが楽しい」のほかに、「『助ける』や『包 む』という大きなまとまりがあって、それを詳しく 伝える細かい言葉があって、言葉と言葉のつながり は果てしないと感じた。『優しい』の他の言葉でも やってみたい」のように、学びを他の語彙でも試そ うとする探究心が見られるものもあった。 ⓒ「自身の語彙使用の省察」に関する内容 例えば「言葉には広い意味の言葉と狭い言葉が あって、僕は今まで広い言葉ばかり使っていた。そ れは広いからどんなときにも当てはまって便利だか らだ。でもそれではだいたいの意味は伝わるが、本 当に伝えたいことは伝わりにくくなる」では、自身の 語句選択の傾向と理由、問題点まで省察している。 ⓓ「語彙学習の方法知」に関する内容 発見した方法知には、学習する方法に関するもの と思考の働かせ方に関するものがあり、ともに習慣 化を目指す書きぶりが目立った。前者には「読書する ときも言葉に注意するようにする」「暇なとき辞書を 引く」「人との会話で言葉を自分のものにする」、後者 には「ぴったりか考えて言葉を探すくせをつける」「大 きい範囲から絞っていく」などがあった。 4 .考察 4.1 語彙の体系的な認識の獲得について 4.1.1 語彙の体系的なイメージの獲得 (1)語句の選定と段階的提示による体系化への導き 第一次では体系のイメージを持たない学習者が 「協働マップ」を作り上げていった。表2は、その際 に扱った語句の特徴とその扱い等をまとめたもの で、これが体系化への導きになったと考えられる。 Ⅱ群の語句カードは、黒板に貼ってくるようにと だけ指示した。5組ほどはカードを座席に持ち帰 り、Ⅰ群の体系を眺めて目星を付けたが、多くはす ぐに黒板の前に行き、目の前に貼ってある語句と比 べて貼っていた。中には何も考えずに貼付したペア もいたが、周囲の語句との関係の中で「適切な」位置 があるという語彙の見方に気付いていった。また、 別の位置に貼り換えるケースも見られ、語彙への可 変的なイメージと受け止められる。こうした動きか らは、学習者が語彙に対して、語句が離散的に集 まっているイメージから、語句が他の語句と関係を 結んだり全体の中で有意味に位置付いたりしてネッ トワークを成しているイメージへと変容させていく 様子が窺えた。第一次の後の振り返り(表1)では、 キ「様々な語句・たくさんの語句がある」が16名と 多数いた。これはよく使う「優しい」という語句を中 核にした「協働マップ」作りを通して、その類義語の 多様さに驚いたものと思われる。このことと重ねる と、語彙の体系的な認識に当たっては、まずは、語 彙は多様な語句の集まりであるとの実感を持たせた い。その上で、さらにいくつかにまとまる、それぞ れが何らかで繋がるなど、体系性に気付かせていく ことが大切である。そのためにも語彙の体系は可視 化しながら作り上げることが重要である。 一方で、問題も見られた。今回は、理解語彙を積 極的に使用語彙にしていくことを重視し、その習熟 度を推測して段階を付けたが、話合いでは「語彙が 少なくて分からない」というつぶやきも聞かれた。 「学習基本語彙表」3等を活用して選定の妥当性を確 認する必要がある。また、体系的イメージを持たせ るねらいであれば、今回なら特にⅡ群については熟 知度だけでなく、語句相互の関係の種類や捉えやす さという観点で語句を吟味し、選定する必要がある。 (2)思考操作の可視化と語句相互の関係の言語化 学習者が用いた「大きい中に小さい言葉」「まとま り」「つながり」「複雑」「近い・遠い」等の表現は、今 井・針生(2014: 276)のいう「単語はクモの巣のよう な緊密で複雑なネットワークの中で他の単語と関係 づけられて」いるというイメージに当たる。こうし たイメージが形成されたのは、語彙体系を与えるの ではなく、学習者自身が語句を操作しながら作り上 げるようにしたからだと考えられる。特に重要だっ たのが、体系を作っていく思考操作を可視化したこ とである。黒板一面を俯瞰し、可動式の語句を新た に位置付けたり移動したりまとめたりして語彙体系 を作り上げていくようにさせた。加えて各語句群 (表2)を貼付した後に、語句の位置付けについて検 討する話合いを設けたことにも意味があった。例え ば「お人好し」と「おせっかい」の関係が検討された際 に、「どっちも何でもいいよってやるという意味だ
けど、『お人好し』は度が過ぎなければ『人がよい』 で、やりすぎは『おせっかい』になる」という発言が あった。二語について意味上の共通点を見出し、「度 合い」の観点で相違点を述べたと言える。このように 語句と語句との関係を見出すときに働かせた思考を 積極的に言語化して説明させることは、語句が異 なってもその語句を他の語句との関係の中で捉える 力を育てることになり得る。 (3)可能性としての語彙体系の変容 ここで、3.1.4で示したB生の振り返りに関して 考察する。塚田・池上(1998: 125)は「語の獲得変容 とは、子ども個々の既有の語彙体系に未知の語が組 み込まれたり既知の語の意味が変容したりして、こ の固有の体系が変化することである」と述べ、井上 (2001: 6)も「自らの語彙構造を再構造化」する必要 を述べた。体系への語の組み込みについては、今回 の体系の作り方と一致し、学習者もそうした感覚で 活動に取り組んでいたと考えられる。「再構造化」に ついては指導の射程ではなかった。しかし、3.1.4 に示したB生の記述には「再構造化」する様相を確認 することができる。塚田・池上(1998: 125)は「語が 獲得されたり変容されたりするためには、その子ど もの既有の知識体系(の一部)がその学習のために呼 び覚まされてこなければならない」とも指摘した。 B生の場合、無自覚であった自身の語彙の一部が、 可視化された「協働マップ」によって「呼び覚まされ」 た状態になり、論議に参加する中で、B生の語彙構 造が「再構造化」された可能性がある。 4.1.2 語彙の体系作りの方法知の獲得 (1)協働での体系作りにおける個別性の保証 先に示したように学習者の87.5%が「個人マップ」 を作り上げることができた。これは、第一次に全員 で「協働マップ」作りをしながら方法知を習得したこ と、これに加えてその最終段階であるⅢ群提示後 に、個別性を保証する活動を行ったことによるもの と考えられる。語彙の体系は個々の観点の設け方に よって多様である。そこで、授業者が仕上がりを予 想して作成しておいた「協働マップ」と同様のもの (あえて不適切な位置に置いた語句もある)を個人に 配付した。指示したのは、黒板の「協働マップ」の語 句配置にこだわらず自分の判断で語句の位置を修正 したり気付きを書き込んだりすることである。全員 での「協働マップ」作りでは、語句のニュアンスに対 する個人差から、時々納得できないという反応が あった。翻れば、一つの体系を協働で作ろうとした ことが、こうした語彙の個別性の自覚を促したとも いえる。語彙体系を完成体ではなく、可変的で個別 的な存在として認識することは、自身の語彙を自覚 的に変容させていく上で重要である。 (2)語句相互の関係性を表す方法の言語化 第二次において、「個人マップ」を体系的に作成す ることができない学習者が17.5%見られた。要因の 一つに、第一次での体系の表し方の指導の不十分さ がある。「ここらへんは『助ける系』」という発言を受 けて、なぜまとまるのかは問題にしたが、ここで「ま とまりは囲むといいね」など、その表し方も言語化 する必要があった。囲む、線で結ぶ、線で分岐させ る、共通点と相違点をベン図で表すなどである。こ れは方法知の獲得につながると考える。 表 2 「協働マップ」の作成で取り上げた語句の特徴とその 扱い等 群 群としての 語句の特徴 提示した語句 と総数 語句選定の 方法 語句の提示 方法・扱い方 中核 広 い 意 味 を 表 し 類 義 語 が 多 い 語 句。 安 易 に用いるため、 使 用 頻 度 が 高 い語句。 優しい M 先 生 の 人 柄 か ら 授 業 者 が 事 前 に 想 定 し ていた。 体 系 化 に 当 た り、先 だ っ て、 黒 板 の 中 央 に 位置付けた。 Ⅰ群 既 に 使 用 語 彙 と な っ て い る ため、さらに習 熟 さ せ た い 語 句。 思 い や り、親 切、お お や か、 お だ や か、子 供 思 い、心 が 広 い、温 厚、他 〈12 語〉 作 文 に 使 っ て い た り、「 優 し い」の類義語と して、学習者が 提 出 し た り し た。 授 業 者 が 体 系 を想定し、意味 上で分類して位 置 付 け た。 学 習者には伝えな かった。 Ⅱ群 理 解 語 彙 と 使 用 語 彙 の 境 に あり、知ってい る の に 使 い こ な せ て い な い 語句。 頼りがい、人が よ い、人 の 痛 み が 分 か る、 人をかばう、お 人 好 し、器 の 大 き い、面 倒 見 が い い、親 身 に な る、他 〈20 語〉 授 業 者 が 学 習 者 の 使 用 実 態 を 経 験 知 か ら 予想し、事前に 選定した。 2 名 1 組に 1 語 ず つ 担 当 さ せ て、黒板に貼付 させた。 Ⅲ群 理 解 語 彙 で は あ る が 使 用 語 彙 に は な っ て おらず、ほとん ど 使 わ な い た め、この機に使 わせたい語句。 手 を 差 し の べ る、心 を 尽 く す、心 安 ら ぐ、 寛 容、 心 を 汲 む、 情 け 深 い、 他 〈50 語〉 授 業 者 が 選 定 した。 別 黒 板 で 一 覧 さ せ た。 そ の 後、事前に授業 者 が 予 想 し て 作成した「協働 マップ」と同様 のもの(あえて 不 適 切 な 位 置 に 置 い た 語 句 もある)を配付 し 個 人 で 書 き 込みをさせた。
4.2 語句選択における体系化の活用について (1)表現対象と照らした語句の検討 第一次では、「協働マップ」とこれを作る過程で働 かせた思考が語句の再選択に生かされた。表現対象 と照らして考えたことが効果的であったと思われ る。例えば、話合いの中でS生は「ぼくは『優しい』を 『頼りがいがある』にした。運動会の応援が決まらな くて困っていたときにアイディアをくれて、本当に 助かった。助け船を出してくれたってことだから『助 ける系』の中から『頼りがい』を選んだ」と語った。こ れに対して授業者は「親身になる」と「頼りがい」の関 係を問うた(この直前に、G生がM先生に相談にのっ てもらった体験を出して「親身になる」の意味を説明 していた)。すると「『親身になる』は(G君にとって は)そばにいてほっとする、安心って感じで『頼りが い』は頼りになるな、助かったって感じで、違う」と 答えた。このように、日頃のM先生の言動や自分や 級友の体験エピソード等、具体的な表現対象と照ら すことで、抽象である語句の「マップ」に具体である 文脈が重なったのだと考えられる。その結果、学習 者は、「協働マップ」の中のどの語句が自分の表現し たい内容を表現し得るのかを判断していくことがで きた。文脈が体系化に機能し、体系化が文脈に機能 したものと捉えられる。 ただし、表現対象と照らしながらの体系作りを協 働で行えたのは、誰にも優しいM先生が共通題材で あったからである。こうした活動を可能にする汎用 的な題材の開発が求められる。 (2)表現学習における語彙の体系化の必然性 斎藤(1958: 234)は、語彙指導が主題のある他の学 習の中で機会を捉えながら行う宿命にあることを捉 えて「かたわら指導(学習)」と称した。そして「『かた わら学習』にあまり力を入れると学習主題を見失う おそれがあり、また、学習主題に熱中すれば語彙は 忘れられるか取り上げる余裕がなくなるものであ る」とやっかいさを指摘した。第一次では、M先生 の人物像を書くことを主題としながら、一旦選んだ 語句を見直す目的のもとで体系化という語彙学習を 行った。M先生は皆がよく知るため表現対象と照ら した体系化を協働で行うことができた。そのため、 学習者に意識の途切れや混乱は見られず、再び文章 を書く学習に戻ることができた。 ここで、3.2.2に挙げたL生の第三次の振り返り 記述の内容を検討する。第二次の「個人マップ」が作 文にはさほど役立たなかったが言葉の学習にはなっ たという内容であり、語彙学習が自己目的化したこ とが分かる。安易に「優しい」を使う実態にあった第 一次では、学習者の感じる様々な「優しい」をカバー する多数の類義語を含んだ広い「マップ」を作る必然 性があった。しかし第二次では、第一次で学習済な ので語句を吟味して選択する意識が育っていた。そ れにもかかわらず「協働マップ」に近いものを作成し た。想起できない語句を類語辞典で引き出すことで 結果的には、知っているが使わない語句や使えてい ない語句を作文に使ったり「個人マップ」を作成しな がら人物の新たなよさを発見したりする効果が見ら れた。しかし、L生の場合、その人物を表す候補に なり得る狭い範囲の語彙のみを体系化すれば十分で あった。日常生活で機会を捉えて効果的に「かたわ ら学習」をする習慣を作るには、表現上の必要に合 わせて、語彙の「一部」だけを扱うなど、語彙体系の 扱い方の調整が必要である。 4.3 語彙学習力の要素とその育成について 本実践では、「語彙学習力」として、語彙の価値へ の気付き、語彙への興味・関心、自身の語彙使用の 省察、語彙学習の方法知の高まりを確認することが できた。なお、3.3に示したⓑⓒⓓのような態度的 能力に関する記述は「言葉のつながり方は果てしな い」「言葉には広い意味の言葉と狭い言葉がある」の ような、新たに知った語彙の特性に続けられる傾向 があった。このことから、語彙の体系化が語彙学習 へ向かう意欲や意識を喚起したと言える。「1問題の 所在と研究の目的」で引用した浜本(1990)は「語彙の 構造化と体系化は、学習者に『言語について考える』 興味と習慣を育てることができる」ことを示した。本 研究ではこのうち「習慣」は確認できないものの、「興 味」の育ちについては実証することができた。 ⓐにある語彙の価値に関する内容は、他の要素ⓑ ⓒⓓに比べて多く、自分の表現に語彙の体系が役 立った実感と合わせて書かれる傾向があった。この ことから、文脈の中で語句を捉え、それを表現に生 かす指導が、語彙の価値への気付きを促したと考え られる。なお言葉の価値は、それが表す内容に価値 があることで実感できる。最終的に「いろいろ優し いM先生が担任でよかった」や「友達の長所に気付け てもっと好きになった」など、自分にとって価値あ る認識に至れたことも作用した可能性がある。
5 .まとめと今後の課題 本研究では、表現の文脈において体系的な認識を 獲得させることが「語彙学習力」の育成に繋がるとい う仮説を立て、実践的解明を試みた。 明らかになったのは、表現対象と照らしながら自 身で語彙の体系作りを行うことによって、学習者は 語彙の体系的な認識を獲得し、「語彙学習力」を高め ていくことができたということである。 体系作りでは、語句を可動式にして位置付けたり 複数をまとめたり結び付けたりして思考操作を可視 化すること、見出した語句相互の関係を言語化する ことが有効であった。さらに協働的な体系化に個人 での活動を挿入することは、語彙の固有性に応じる 上で意義があると同時に、体系化の技能も身に付き やすいことが分かった。ただ、体系化する語句の選 定、提示の仕方、扱い方については、さらに検討が 必要である。このようにして獲得した語彙の体系的 な認識は、語彙への興味・関心、語彙の使用傾向の 自覚などにつながる可能性が示唆された。 また、表現学習において、具体的な表現対象と照 らしながら語彙について検討することは、抽象的な存 在としての語彙体系に具体性をもたせる効果があっ た。作り上げた語彙の体系と体系化の過程で働かせ た思考は、語句選択に活用することができた。このよ うに文脈に照らして体系化し、その体系化を文脈に生 かすことは、語彙の価値への気付きを促す可能性も示 唆された。語彙に価値を見出すことは、語彙を学ぶ意 欲、さらには意志を強くする。そして、その意志が「習 慣」を作ると考える。「語彙学習力」として重視したい。 最後に今後の課題である。先行研究をふまえる と、語彙の体系化を「語彙学習力」の育成に繋げるに は、体系的な認識の獲得に加え、自身の語彙を「再 構造化」することが必要である。本実践でその可能 性を示す姿も見られた。日常的な語彙学習に繋げる ためにも、表現場面で必要に応じて自分の語彙の 「一部」だけを呼び出して、再構造化を図る力を育成 する必要がある。この視点からの指導の在り方を考 えたい。さらに今回措定した「語彙学習力」の4つの 構成要素についても、先行研究と実践の成果をもと に再構築していく必要があると考えている。 【注】 1) 稿者が実施した質問紙調査(H30年5月にT県T 中学校3年生78名を対象に実施)による。 2) 稿者が実施した質問紙調査(調査①:R2年1月に T県T市中学校国語教員82名を対象に実施、調 査②:R2年2月にA県I市中学校国語教員10名 を対象に実施)による。 3) 様々な語彙表が甲斐睦朗編(1992)『語彙指導の方 法[語彙表編]』光村図書出版に紹介されている。 【引用・参考文献】 安達隆一・二川小学校(1973)『語い指導の系統と方 法』明治図書 井上一郎(2001)『語彙力の発達とその育成−国語科 学習基本語彙選定の視座から―』明治図書 今井むつみ・針生悦子(2014)『言葉をおぼえるしく み 母語から外国語まで』筑摩書房 浮橋康彦(1977)「『表現』に目ざめ言語感覚を磨く」日 本国語教育学会編『月刊国語教育研究』第59号、 24‒28 小川末吉(1988)「自己教育力」の項、国語教育研究所 編『国語教育研究大辞典』明治図書 北村季夫(1986)「語彙指導の諸問題―実践への提言」 国士舘大学文学部人文学会『国士館大学文学部人 文学会紀要』第18集、59‒76 斎藤喜門(1958)「語彙教育の体系と方法(中学校)」 『国語教育のための国語講座 第4巻 語彙の理論と 教育』朝倉書店 菅井建吉・湯沢正範(1988)『ことば=語彙の教育』三 省堂 田中久直(1958)「語彙教育の体系と方法(小学校)」前 掲 斎藤の文献に同じ 塚田泰彦・池上幸治(1998)『語彙指導の革新と実践 的課題』明治図書 鳥居一夫(1978)「語句と語彙の指導−言語行動を支 えるものは―」日本国語教育学会編『月刊国語教育 研究』第70号、8‒15 林四郎(1982)『私の国語教育論』東京書籍 浜本純逸編(1990)『中学校語彙指導の活性化』明治図書 文部科学省(2018)『中学校学習指導要領(平成29年 告示)解説 国語編』東洋館出版社 山本建雄(2006)「語彙力」の項、大槻和夫編『国語科 重要用語300の基礎知識』明治図書 【謝辞】本研究は、科学研究費(課題番号:19K23337) の助成を受けた研究成果の一部である。 (福井大学) 2020.8.31 発送
「語彙学習力」育成のための実践的研究
――表現学習における語彙指導の意義と方法――
萩 中 奈 穂 美
本研究では、「語彙学習力」育成のための、表現学習において体系的な認識を獲得させる語彙指導 のあり方を考察した。重点を置いたのは、語彙の体系を学習者が作り上げること及びそれを具体的 な表現対象と照らしながら行うことである。中学校第3学年の授業実践をもとに、語彙の体系的な認 識は獲得できたか、それを表現に生かせたか、さらに「語彙学習力」を高めたのかについて、振り返 りの記述や作成した「言葉マップ(語彙の構造図)」等をもとに考察した。その結果、語彙の体系を可 視化しながら作り上げること、また、文脈を体系化に生かし、その体系を表現に活用させることが、 語彙への興味・関心、語彙使用の省察、語彙の価値等、すなわち「語彙学習力」の向上を促すことが 明らかになった。Practical research for the development of “vocabulary learning ability”:
Significance and Methods of Vocabulary Instruction in Expression Learning
Naomi HAGINAKA
This study examined ways to instruct students to understand the meanings of words systematically to develop their “vocabulary learning ability.” The research focused on the following two points: first, we asked students to create a semantic network of words on their own, and second, I instructed them to keep in mind the context in which each word was used when they made the network. I used our vocabulary instruction method in a Japanese class for third-grade junior high school students. I evaluated whether the students could understand the meanings of words systematically, whether they could use those words effectively in writing, and whether they could improve their “vocabulary learning ability” based on their “word maps (semantic network of words)” and reflections on the “word map” activities.
I found that by visualizing the network of words, considering the words in their context, and utilizing the network in writing, the students’ interest in vocabulary increased. Additionally, they became more reflective about how to use words and realized the importance of vocabulary. Therefore, this vocabulary instruction method helped them to improve their “vocabulary learning ability.”