著者
日高 哲志
雑誌名
南太平洋海域調査研究報告=Occasional papers
巻
46
ページ
30-34
別言語のタイトル
Tree plants of Uttchima Island
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宇 治 島 の 有 用 樹 種 及 び ウ サ ギ 害 の 調 査
日高 哲志
鹿児 島大学多島圏研究セ ンター
Tree plants
of Uttchima
Island
HIDAKA
Tetsushi
Research
Center
for the Pacific Islands,
Kagoshima
University
植 生 概 況 海 岸 部(小 浦 波 止) 上 陸 は 、避 難 港 と し て コ ン ク リ ー トの 岸 壁 及 び 防 波 堤 も 整 備 さ れ て い る 、南 西 部 海 岸 の 小 浦 波 止 で あ っ た 。 こ こ は そ の 南 に 続 く 片 浦 波 止 と と も に 、本 島 に 発 達 し て い る わ ず か な 小 扇 状 地 の 一 部 と な っ て お り 、い ず れ も 高 さ10∼30mの 海 食 崖 で 囲 ま れ て い た 。 そ れ ら 海 食 崖 と コ ン ク リ ー トの 間 の わ ず か な 空 き 地 、 あ る い は コ ン ク リ ー トの 割 れ 目や 海 食 崖 を 形 成 し て い る 岩 の 所 々 に 、ギ シ ギ シ 、ハ マ ウ ド、 ハ マ ユ ウ 、ハ マ ナ タ マ メ 、オ ニ ヤ ブ ソ テ ツ 、ツ ル ナ(1人 で 食 べ 尽 くせ る 程 度?) な ど の 海 岸 植 物 が 点 在 し て い た 。 小 浦 波 止 ∼ 小 扇 状 地 海 岸 部 に 流 れ 込 ん で い る 小 さ な 流 れ の 両 脇 に 広 が っ て い る 小 扇 状 地 は 、 海 抜 20m近 く ま で ニ オ ウ ヤ ブ マ オ の 群 落 と な っ て お り 、 そ の 下 部 に は 所 々 コ ウ ラ イ シ バ が 生 え て い た 。コ ン ク リ ー トの 廃 屋 の 後 ろ に は ク ロ マ ツ が3本 並 ん で 生 え て い た が 、 こ れ は 人 為 的 に 植 栽 さ れ た も の の よ う に 見 え た 。 そ の ま ま ニ オ ウ ヤ ブ マ オ の 間 を 海 抜10mほ ど ま で 上 っ て 行 く と 、扇 状 地 か ら 南 の 谷 へ 入 っ て い く 、南 日 岳 へ 続 く コ ン ク リ ー トの 階 段 が 現 れ た 。 南 日岳 西 ∼ 西 南 部 山 地 南 日岳 へ と続 く 階 段 を 上 っ て い く と 、 ニ オ ウ ヤ ブ マ オ の 群 落 は す ぐ に 終 わ り、 樹 高5∼7mの モ ク タ チ バ ナ が 優 占 種 と な っ て い る 林 の 中 を 進 ん だ(図1)。 林 は 、 ハ マ ビ ワ 、 ヤ ブ ニ ッ ケ イ 、 タ ブ 、 イ ヌ ビ ワ 、 ク ワ ノ ハ エ ノ キ な ど の 他 、 ま だ 若 い 果 実 を つ け た シ マ グ ワ(図2)な ど が 混 じ っ て い た 。 シ マ グ ワ は 直 径20∼30cm
ほ どの 大 き さ の 木 も認 め られ 、 ム ベ(図3)な ど も巻 き 付 い て い た 。 林 床 に は イ シ カ グ マ 、ハ チ ジ ョ ウ シ ダ 、 フ ウ トウカ ズ ラ な どが認 め られ 、 ま た 、本 島 の 特 産 と され て い る ナ ン ゴ ク ア オ イ の 小 群 落(図4)が あ ち こ ち に 点 在 して い た 。 階 段 を 上 る に つ れ 、ハ マ ビ ワが か な り多 くな っ た が 、林 床 に は ナ ン ゴ ク ア オ イ の 小 群 落 と と も に 、ム サ シ ア ブ ミの 小 群 落 も あ ち こ ち に 目立 ち 、妖 艶 な 花 を 咲 かせ て い る も の や 幼 果 を つ け た もの も認 め られ た 。 階 段 を 上 りき る とす ぐ に南 日岳 頂 上 で 、こ こ に は 灯 台 が 設 置 され て い た。 こ の 灯 台 に 至 る 階 段 の 途 中 、 海 抜80mほ どの と こ ろ か ら、 モ ク タ チ バ ナ や ハ マ ビ ワ が 混 じ る斜 面 を 南 西 方 向 に巻 き 、標 高65mほ どの 片 浦 波 止 直 上 部 に 向 か っ た 。 こ の 付 近 の モ ク タ チ バ ナ や ハ マ ビ ワは 樹 高4∼5m前 後 で 、階 段 が あ る谷 部 の そ れ ら よ りや や 樹 高 が 低 く、 ま た 、樹 冠 も粗 で 、や や 開 け た 林 とな っ て い た 。南 日岳 南 部 の尾 根 付 近 か ら東 部 一 帯 に は リ ュ ウ キ ュ ウ チ ク の 群 落 が 広 が っ て お り、そ れ に 続 く片 浦 波 止 直 上 の 海 食 崖 上 部 の 尾 根 一 帯 に は ハ マ ヒサ カ キ が 美 しい 群 落 を 作 っ て い た 。 ハ マ ヒサ カ キ の 群 落 を左 に 見 て そ の ま ま 進 む と、 シ ャ リ ンバ イ 、 トベ ラ、マ ル バ グ ミ(図5)な ど綾 性 木 が 点 在 す る 片 浦 波 止 を 囲 む 海 食 崖 の 直 上 に 出 た 。付 近 は 一 部 裸 地 と な っ て い る と こ ろ も あ り、注 意 し な い と、海 側 に 滑 落 して し ま うよ うな と こ ろ も あ っ た 。付 近 に は オ キ ナ ワハ イ ネ ズ の 小 群 落 も認 め られ た 。 ウサ ギ 片 浦 波 止 直 上 の 海 食 崖 上 部 尾 根 の 海 岸 側 裸 地 部 分 に3カ 所 の 兎 の 巣 穴 が あ り (図6)、 周 辺 に は新 しい 糞 も認 め られ た(図7)。 そ の 他 、 リュ ウ キ ュ ウチ ク が ま ば ら に 混 じ る南 日岳 か ら小 浦 波 止 に 至 る 北 西 部 斜 面 上 部(図8)、 及 び そ れ よ り下 部 の モ ク タ チ バ ナ や ハ マ ビ ワな どが 混 じる 林 内 に も巣 穴 が 認 め られ た。海 岸 部 の小 浦 波 止 に 続 くニ オ ウ ヤ ブ マ オ が 群 生 して い る 小 扇 状 地 に お い て も、多 数 の 糞 が あ ち こ ち に 認 め られ た が 、ニ オ ウヤ ブ マ オ 群 落 内 及 び 周 辺 の 丘 陵 部 に は 巣 穴 は 認 め られ な か っ た 。 こ れ らの こ とか ら、調 査 した 範 囲 で は 、巣 穴 の 多 くは 低 地 よ りは 高 い と こ ろ に あ る も の と思 わ れ た 。 片 浦 波 止 直 上 の 海 食 崖 上 部 は一 部 裸 地 とな っ て お り、枝 先 が 枯 死 して い る木 や 、 完 全 に 枯 死 した 木 も認 め られ た 。調 査 中 、他 の 地 域 にお い て も枝 先 が 枯 死 して い る樹 木 が 多 数 認 め られ 、ま た 、一 部 稜 線 上 で も完 全 に枯 死 して い る木 が 認 め られ た が 、 こ れ らは 、 昨 年(2004年)の 台 風 が 主 な 原 因 と思 わ れ た 。 片 浦 波 止 直 上 部 の巣 穴 周 辺 部 の 裸 地 化 や 樹 木 の 枯 死 も 台 風 の影 響 が 大 き い と思 わ れ る が 、木 の 直 下 、根 の 部 分 に 巣 穴 が あ る も の も あ り、ウ サ ギ との 関 連 は 完 全 に は 否 定 で き な か っ た 。 しか し、調 査 した 範 囲 で は 、新 し く食 害 を 受 け た と思 わ れ る 木 は認 め ら れ ず 、特 有 種 と され る ナ ン ゴ ク ア オ イ の 群 落 も特 に 被 害 を受 け て い る と は 思 わ れ
32 な い 。兎 の 食 草 と して は 草 本 種 が 主 要 な もの と思 わ れ る が 、片 浦 波 止 の 小 扇 状 地 部 で ウサ ギ を 見 た との 長 嶋 教 授 の 報 告 も あ り、ウ サ ギ害 調 査 の た め に は 、さ らな る調 査 が 必 要 と思 わ れ る 。 宇 治 家 島 の 有 用 樹 種 有 用 樹 種 と して 、 以 下 の 種 が 上 げ られ る 。 ク ワ科 Moraceae
イ ヌ ビ ワ Ficus erecta Thunb. 紫 黒 倒 卵 ∼ 球 果7∼17mm食 、若 葉 若 芽 食 、
葉飼料
オ オ イ タ ビ Ficus pumila L. 雌 嚢 果 可 食 、 台 湾 で ア イ ギ ョ クイ タ ビ と 同様 の 清 涼 食 品(愛 玉 子)を 作 る 、 果(木 饅 頭)薬 用 止 潟 、 茎 葉 根 薬 用 解 毒 打 ち 身
シ マ グ ワ Morus australis Pair. 暗 赤 集 合 果 食 酒 、 黄 褐 心 材 淡 黄 辺 材 床 柱
家具器具楽器
ア ケ ビ科
ム ベ
Lardizabalaceae
Stauntonia hexaphylla (Thunb.) Decne. 紅 紫 卵 ∼ 楕 円 漿 果5∼10cm
非 裂 開 生 食 、 果 皮 調 理 食 、 根 茎 薬 用 利 尿 強 心 、根 鎮 痛(図3) バ ラ科 Rosaceae
シ ャ リ ン バ イ Rhaphiolepis indica (L. ) Lindl. var. integerrima (Hook. & Arn.) Kitamura 紫 黒 球 果7∼13mm食 、 種 子 粉 食
リ ュ ウ キ ュ ウ バ ラ イ チ ゴ Focke ブ ドウ科
果食
Vitaceae テ リ ハ ノ ブ ド ウRubus rosaefol i us J. E. Sm. var. maximowz czi i
Ampelopsis brevipedunculata (Maxim.) Trautv. forma
g-labrifolia
(Honda) Kitamura
エ ビ ヅ ル
グ ミ科
Vi tis ficifolia Bunge Elaeagnaceae
マ ル バ グ ミ
若芽煮食
粉 白 球 黒 紫 漿 果6∼11mm食 、 若 葉 調 理 食
Elaeagnus macrophylla Thunb. 赤 漿 果12∼20mm径7∼10mm、
液 果 肉や や 酸 食 リ キ ュ ー ル(図5)
ユ リ科 Liliaceae
図1.南 日 岳 頂 上 へ 続 く 階 段 図2.シ マ グ ワ と そ の 幼 果
図3.ム ベ 図4.ナ ン ゴ ク ア オ イ
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