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海の利用・保全と法 : 日独比較法研究序説

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(1)海の利用・保全と法. 論 説. 海の利用・保全と法 ―日独比較法研究序説―. 高橋 寿一 1.問題の所在 (1)はじめに 近年、海の利用調整に関する報道を眼にすることが多い。八方を海に囲まれ ているわが国では十分にありうることであるが、筆者の研究対象であるドイツ においては、北部諸州が北海とバルト海に面しているに過ぎないにも拘らず、 海の利用・保全に関しては各方面の利用・保全をめぐる要求が輻輳しており、 これらの要求をいかに調整するかが喫緊の課題となっている。 わが国においても、陸域に眼を転じると、各種の利用・保全の諸要請相互間 の法的調整については、従来は、公法では国土総合開発法(現在では国土形成 計画法) 、国土利用計画法、都市計画法、農振法等、私法では民法、借地借家法等、 国土ないし土地の公法上および私法上の利用調整に関する諸立法によって、そ の解決が図られてきた。これに対して、海域についても、今日では利用・保全 に関する諸要請が強まってきているにも拘らず、法制度上の整備は未だ不十分 であると言わざるを得ない。たとえば、公法上では、港湾法、海岸法、公有水 面埋立法、公有財産法等があるが、その多くは沿岸域のしかもその一部につい てのみ適用されるにすぎず、領海全体や排他的経済水域(以下、EEZ という) 1.

(2) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). まで視野に入れた法制度は少ない。他方、私法レベルでは、海面下の土地所有 権の成否や漁業権を中心にした議論は行われてきて、最高裁判例も存在する所 ではあるが 1)、ここでも念頭におかれているのは主として沿岸域であると同時 に議論自体はさほど活発であったということはできない 2)。これに対して、近 年では自然・環境保全や余暇利用、経済的利用等の観点からの海の利用・保 全の要請は高まってきており、既存の法制度や法理論のみでは十分な対処が できない事態が生じている 3)。 わが国のかかる動向は、ヨーロッパでも顕著であって、近年の EU では、海 の利用調整を計画法論的な観点すなわち海洋空間計画(Maritime Spatial Plan, 以下、MSP と称する)の観点から捉えようとしている 4)。EU で海の利用調整 に大きな関心が寄せられている契機の一つは洋上風力発電である。とりわけ、 従来から原子力発電に対して懐疑的な眼を向けてきたドイツ、イギリス、北欧 諸国等は、洋上風力発電を促進すべく、海の利用・保全に関する諸要請相互間 の調整に関する法整備を進めているのである。 わが国でも今回の原発事故を契機とする代替エネルギー開発の必要性は、む しろ EU 以上に喫緊の課題であるともいえ、代替ないし再生エネルギーの供給 力を高め、原子力発電への依存度を逓減していくことは、今日不可避の課題で あろう。この課題との関連でわが国でも洋上風力発電の促進に向けた議論や実 験が目立ってきた 5)。わが国の場合には建設・運営主体、買取価格の設定、送 電との関係、コスト・パフォーマンス等々あまりにも多くの困難が横たわって おり、その汎用化までには長い道のりを歩まねばならないが、八方を海に囲ま れたわが国の場合、海の多面的な利用は今後その需要が高まることが予想され、 洋上風力発電を含めた多様な利用要請をいかに法的に調整するかが問われてい ることは疑いない。 本稿では、この問題を、洋上風力発電をめぐるドイツの近年の動向を素材と しながら、海に関する他の利用主体との利用調整ないし位置の選定を中心とし た法制度的側面を考察することによって、わが国の今後の同種の議論に対して 2.

(3) 海の利用・保全と法. 幾ばくかの寄与をすることを試みるものである。なお、国連海洋法条約等国際 法については筆者の能力との関係で検討の対象からは外しており、この点予め ご海容頂きたい。. (2)公物法論的アプローチと計画法論的アプローチ わが国における海の利用・保全に関する法的考察は、従来は公物法理論から のアプローチが一般的であった 6)。もとよりこれは、海を公物として捉えるこ とによって海に対して国ないし公共団体が利用・保全を含む実効的な管理を行 いうることを意図していた。 ところで、従来の公物法理論においては、公物管理をめぐって下記の二つの 特徴を指摘することができるように思われる。 第一に、公物管理権の根拠をめぐる問題である。この問題については、従来 から周知のように、当初の公所有権説と私所有権説との対立を経て、現在では (a)所有権にその根拠を求める見解と(b)所有権とは別のものであって公物 法によって公物管理権者に与えられる特殊な包括的権能とする見解(これが通 説とされている)とが対立している 7)。さらに近年では、 (c)公物が有する本 来的公共性に原理的根拠を求める見解も提唱されている。 (c)の見解は、従来 の公物概念の外延を大幅に拡大し、都市空間全体を一つの公物(環境公物)と して捉えることによって、私的所有権の支配に服する都市内の土地について も、自由使用・許可使用・特許使用という公物使用の法関係を用いることを通 じて、都市空間の公的コントロールを可能としようとする試みであってもとよ り海の利用・保全にも応用可能な理論である 8)。 上記の内、 (a)説は、公物であるためには国ないし公共団体にその所有権が 帰属しなければならないので、明治 7 年 11 月 7 日の太政官布告 120 号(地所 名称区別改定)9)等を根拠にして海を国有と考えるのに対して、 (b)説と(c) 説は、国公有・私有を問わず公物に対しては国ないし公共団体の管理権限が発 生することになる。また、 (b)説は、当該物についての公物法が存在する場合 3.

(4) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). に公物管理権を基礎づけることができるのに対して、 (a)説は個別の公物法が なくても国ないし公共団体が所有権を有していれば公物管理は可能となる。こ のことは、換言すれば、 (b)説は、いわゆる法定外公共用物について管理権 を根拠づけるのが難しいが 10)、 (a)説では法定外公共用物についても所有権 さえ有していれば管理権が生じることになる 11)。そして、 (c)説では、 「本来 的公共性」を帯有する物はすべて公物性を取得するので法定外公共用物という 概念そのものが不要となるであろう。 第二は、公物管理権の内容ないし外延をめぐる問題である。通常、ここでい う「管理」は、 財産管理のみならず、 公物管理(機能管理)をも含めて使われる。 ただし、後者については、従来「公物管理」の外延が論者によって必ずしも一 致していたとはいえない。たとえば、公物の補修・浚渫や障害の除去等が典型 的な管理行為にあたることは異論を見ないが、その他にもたとえば人工公物の 場合には建設まで含める見解、また、利用主体間の調整や公物の立地選定まで 含める見解等、 「公物管理」の外延は論者によって必ずしも一致しないように 思われる。しかし他方で、これらの見解は、ほぼ共通して、自然公物・人工公 物を含む公物の管理行政に際して、公物利用者である国民・市民に対する積極 的な情報提供のみならず、これらの者を管理行政の意思決定に参加させ、さら には彼らに対して異議申立てをする権利を認めることを主張している 12)。そ して、人工公物の場合には、国民・市民によるかかる関与は、その建設段階に おいても要求されることとなるし、さらには建設の際の立地の選定や当該土地 をめぐる他の利用競合者との調整のプロセスにまで及ぶことになる 13)。近時、 道路その他の公共施設建設に際して住民参加や環境アセスメント等が実施され る状況は今日広く見られる所であるが、かかる動向は、公物法論の近年の動向 からも正当化されることになる。 このように、今日では公物法論の見地からは多様な法律構成が説かれている のであるが、眼をドイツ法に転じてみると事態は大きく異なる。結論的に言え ば、少なくとも海の利用をめぐってわが国のように公物法論が説かれることは 4.

(5) 海の利用・保全と法. ほとんどない。これは、いかなる事情に由来するのであろうか。 ドイツの公物法論においても、わが国と同様に、自有公物については公物管 理権を認めることが容易であるし、他有公物についても公物管理法が定められ ていればここから公物管理権を基礎づけることができる 14)。実際、道路等の 人工公物に関しては個別の公物管理法が存在し(連邦遠距離道路法等) 、これ を根拠として公物管理が行われている。しかし、公物法論はそれ以上の広が りを示すことはなく、とりわけ自然公物の中でも法定外公共用物については公 物法論の観点からはその管理が議論されることは少ない。これは、おそらく一 つには、公物については法定外公共用物も含めて、公物法の他に計画法によっ て、公物管理の一端が実質的に担われていることによるものと考えられる。す なわち、わが国でいうところの都市計画法その他都市建設関連法規を集成した 法律である建設法典(Baugesetzbuch)によれば、B プラン策定地域(7 頁参照) と既成市街地( 「連坦建築地区」という)を除く国土は外部地域(Außenbereich) と称され、私有地も含めて建築行為が原則として禁止される(建築(開発)不 自由の原則) 。そして、要件を満たした場合にのみ建築・開発行為が個別的に 許可される(35 条) 。具体的には、農業関係の施設や電気・ガス等のインフラ 施設、外部地域でしか建設できないような迷惑施設が挙げられており、風力発 電の研究・開発・利用施設もここに挙げられている(建築が許されるこれら の建築案を「特例建築計画」 (privilegiertes Bauvorhaben)という) 。列挙さ れていない建築案についても公益を侵害しない場合にのみ個別的例外的に許可 される。注意すべきは、許可を要する行為は建築行為に限られないことであ る。すなわち、建物の建築・改築・用途変更のみならず、 「比較的規模の大き い」15)土盛りや土掘り行為(砂利の採取などもここに含まれる) 、掘削行為(鉱 山の掘削等)や貯蔵も含めた集積場としての土地利用についても 35 条に基づ く許可が必要とされる。したがって、建物建築に限らず、区画形質の変更を伴 う土地そのものの利用についても広い範囲にわたって公的コントロールが可能 となる。上記の点を公物法論的に言えば、 〈国土は公物ないしは公物的性質を 5.

(6) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). 有するものであるが故にこれらの利用については許可を得て初めて利用が可能 となる(いわゆる許可利用) 〉と説明されるのであろうが、本条の解説書を読 んでも公物法論的な説明は一切ない。本条は、あくまでも国土整備計画ないし 都市計画の文脈の中で土地の所有・利用に関わる用途制限ないし公用制限の問 題として位置づけられている規定なのである 16)。したがって、上記の建設法典 35 条は、公物法論の上記の二つの特徴との関係でいえば、 (イ)公物管理の内、 利用調整に限ってではあるものの 17)、 (ロ)公物か非公物かに関わりなく、ま た(ハ)公物についてはその所有権の帰属を問うことなく、実質的には公物管 理の一端を担っているということができよう。 したがって、上記の理論が、仮に海にも適用されるとすれば、これは海の利 用を公的にコントロールするための極めて有力な手段の一つとなるであろう。 ちなみに、近年の EU では、海の利用調整を計画法論的な観点、具体的に は MSP の観点から捉えようといていることは前述したが、MSP は、ドイツ では ”maritime Raumordnung”(MRO)と称されている。Raumordnung とい う用語は、そもそもドイツで戦前に起源を持ち戦後に発展した空間整備計画 (Raumordnungsplan、なお、わが国では「国土整備計画」という訳が定着し ており、本稿でもその訳語を用いる)に由来する。このことは、ドイツでは、 MSP(MRO)が国土整備計画の延長線上で位置づけられていることを意味し ている 18)。本稿では、海域と国土整備計画との関係に関するドイツの動向を 洋上風力発電を素材としながら分析・検討することによって、海の利用に関す る制度的対応の一つのあり方を考えてみたい。. 2.ドイツの国土整備計画法制 (1)基本的構造 ドイツでは、F プランや B プランなどの都市・土地利用計画が著名である が、これらの計画の最上位に位置するのが国土整備計画である。国土整備計画 6.

(7) 海の利用・保全と法. は連邦ないし州の全域にわたる各種の土地利用を総合的包括的に調整し方向づ けるものである。国土整備計画は連邦レベルのそれと州レヴェルのそれとがあ るが、実質的に重要なものは州レヴェルでの国土整備計画である。州レベルで の国土整備計画は州国土整備計画(Landesraumordnungsplan)ないし州発展 計画(Landesentwicklungsplan)を頂点として、各行政管区毎に広域地方計画 (Regionalplan)が策定される。そして、この下に位置するのが市町村が策定 する建設管理計画(Bauleitplan(以下、BL プランと称する) .市町村全域を対 象とする F プラン(Flächennutzungsplan)と主として街区を単位として策定 される B プラン(Bebauungsplan)から成る)である。国土整備計画を頂点と し市町村の B プランに至る計画は、それぞれの計画主体が管轄区域全域にわ たってあらゆる土地利用の諸要請を比較衡量しながら策定していくので、総合 計画(Gesamtplan)と称されている。 これに対して、道路や鉄道、送電網等の各種のインフラ整備などを目的とし て、当該施設の建設・整備のための計画も策定される。この系列の計画は上記 の総合計画に対して部門計画(Fachplan)と称される。部門計画ももとより 国土整備計画の中に位置づけられるが、特定の施設等の建設のみを対象とす る点で総合計画とは別の系列に属する。部門計画については、州が主体となる 場合が多く、また、その実施のための法律が個別に制定される。たとえば、連 邦遠距離道路法、連邦鉄道法、エネルギー経済法、連邦イミッシオン防止法 等である。これらの個別の法律によって施設建設の可否が判断されていくの であるが、その許容性の判断手法は、大きく分けると、 (イ)計画に基づく比 較衡量手続を通じて行う法制度と、 (ロ)許可手続を通じて行う法制度とがあ る。 (イ)は計画策定権者が各種の利害を総合的に衡量して当該施設建設の適 否を判断していくのであるが(計画裁量) 、 (ロ)は法律に掲げる要件の充足性 の有無が問われる。なお、 (イ)は計画確定手続(Planfeststellungsverfahren) を伴うものが多い 19)。計画確定手続とは、当該施設建設に伴って必要となる その他の法律に基づく許認可の判断を一括して行う手続を指し、計画の迅速か 7.

(8) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). つ効率的な実施のためには極めて有効な手続である(これによって各種の法律 に基づく許認可が集中的に処理されるので、この手続から生じる効果を集中効 (Konzentrationswirkung)という) 。ただし、 (ロ)の許可手続のルートでも、 集中効が採用されている場合もある(例、連邦イミッシオン防止法 13 条、後 述 3(2) (b)も参照) 。 以上が、ドイツの国土計画法制の極めて大雑把な概要である 20)。ドイツに おいて施設建設や何らかの事業が実施される場合には、それに関する根拠法は 上記のいずれかの系列ないしルートに位置づけられることになる。 本稿で取り上げる洋上風力発電施設も同様である。本施設は部門計画の系列 に属するが、その法制度上の位置づけは、ここ 10 年の間に後述のように飛躍 的に発展した。その方向性とは、洋上風力発電施設を国土整備計画法制の中に 明確に位置付けていこうというものである。重要な点は、かかる方向が具体的 にいかなる意味を有するものであるかであるが、この点を検討するためには国 土整備計画法の展開過程を鳥瞰しておく必要がある。. (2)国土整備計画の詳細性・実効性の確保 (a)はじめに 21) ドイツの国土整備法制は、ナチス期にヒトラーが飛行場や連邦高速道路網の 国土全域での敷設等を内容として国土整備計画法制を策定したのが始まりであ る。国土全体にわたる空間整備計画の策定という視点は戦後の西ドイツにも継 承され、州レヴェルではすでに 1950 年前後から、州毎に国土整備計画が策定 されていた。 連邦レヴェルでは、1965 年に国土整備法(Raumordnungsgesetz)が成立し 運用されてきたが、今日の同法と比較すると内容的にはかなり簡素である。し かし、簡素ではあるものの、 (イ)開発のみならず保全をも意図しており、 (ロ) 国土を全体として捉え、地域間や産業間で不均衡が生じないようなバランスの とれた国土の発展を志向していたことは注目に値する。ドイツでは地域間の発 8.

(9) 海の利用・保全と法. 展の不均衡が少ないとしばしばいわれるが、このことに本法の寄与する所は少 なからざるものがある。 国土整備法が大きく改正されたのは、1989 年になってからである。改正の 中心は、国土整備手続(Raumordnungsverhfahren)の導入である(6a 条)22)。 国土整備手続とは、大規模施設(たとえば、原発施設、ゴミ処理施設、排水施 設、大型商業施設等の政令で定められているもの)の建設事業が国土整備計 画に合致しているか否かを審査する手続であって、 (イ)地域にとって重要な (raumbedeutsam)計画・措置と国土整備の諸要請との適合性、および(ロ) これらの諸計画 ・ 諸措置間の整合性・実現可能性の確保、さらには(ハ)環境 適合性が審査される(以下、 (ハ)の審査を環境影響評価と称する) 。従来から かかる手続を規定していた州もあったが、 89 年改正法はこの手続を連邦全土 で実施することを各州に義務付けた。これによって施設設置に際して本法の有 する意義が格段に高まったといわれている 23)。後述するように領海内で洋上 風力発電施設を建設する場合は原則としてこの手続に服することになる。 (b)1997 年改正 1997 年国土整備法の改正は 30 年ぶりの大改正であった。改正の内容は一言 でいえば、 (イ)上位計画の計画としての法的拘束力を強化し、 (ロ)計画策定 手続への関係者の参加可能性を拡大することである。 (イ)は、従来計画法制 としての位置付けが必ずしも明確ではなかった国土整備計画(州国土整備計画、 州発展計画、広域地方計画等)に対して上位計画としての一定の法的拘束力を 付与するとともに、部門計画を総合計画としての国土整備計画の中に位置付け ることを意味し、 (ロ)は、かかる計画策定手続に際して関係者(とりわけ計 画の拘束力が及ぶ者)の参加可能性を拡大することである。 (イ)と(ロ)は、 いわばコインの表裏の関係にある。すなわち、法的拘束力を及ぼすためには当 該法的拘束を受ける当事者その他の利害関係者を手続に参加させることが必要 であり、他方、手続に参加させるからこそ参加者に対して策定された計画の法 的拘束力を及ぼすことが正当化されるのである。 9.

(10) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). 具体的には、以下の通りである。 ①公的諸機関にその遵守を義務づける国土整備計画上の指定である 「目標」 (Ziel)が、計画確定手続その他許認可手続を通して一定の私人に対しても法 的拘束力を有するようにされた(4 条 1 項、3 項) 。ある区域が「目標」として 指定されると、他の行政機関および一定の私人による尊重義務が生じ(国土整 備法 4 条 1 項、建設法典 1 条 4 項) 、市町村はかかる指定に反する BL プラン を策定することができない。 ② 「目標」 策定プロセスにおける私人の参加可能性が承認された(7 条 5 項) 。 ③部門計画の総合計画における位置付けを明確化することによって、計画(間) の整合性・実現可能性が実効的に確保された(7 条 3 項) 。 ④国土整備計画の 「目標」 に矛盾する事業を禁止した(12 条) 。 ⑤計画実現手法を導入した(13 条) 。 これらの改正点を総合的に見た場合、国土整備計画に対して BL プランのよ うな法的特徴を付与して行くことが本改正の基本的方向性であるといえるで あろう。たとえば、法的拘束力の付与以外にも、④は、Bプランの指定に反 した建築を禁ずるために形質変更を禁止したり建築許可を保留したりする建 設法典 14 条以下の規定を想起させるし 24)、⑤は、法的強制力を有しないソフ トな手法であるが、建設法典 175 条以下の建築命令等の都市建設命令を想起 させる 25)。要するに計画としての拘束力および実現可能性を高めて行こうと いう方向であって、後述する 2004 年改正法案ではかかる方向性がより一層強 められている。 (c)2004 年改正 国土整備法については、上位計画としての拘束力と実効性の強化を内容とし た 97 年法を前提として、2004 年の改正では、新たに環境評価手続(前述の環 境影響評価手続とは別の手続であるが内容的には類似)が国土整備計画の各段 階で導入され、また、計画策定における第三者の参加手続も大幅に拡充された。 ①環境評価手続の国土整備計画への導入 10.

(11) 海の利用・保全と法. 州レヴェルおよびその下位の行政管区レヴェルでの計画(州(発展)計画、 広域地方計画)の策定・変更に際して、環境評価の実施と環境報告書の作成が 義務づけられた。環境報告書は、国土整備計画に添付される理由書の独立した 一部とされる。他の計画との重複審査を回避するための規定も新設されている (7 条 5 項) 。 ②計画策定における第三者の参加手続の拡充 官庁のみならず市民にも早期かつ効率的に意見表明の機会を付与することが 義務づけられた。これは、国土整備計画素案、理由書、環境報告書のすべてに ついて実施される(同条 6 項) 。 なお、②の第三者参加手続において提出された意見は比較衡量手続において 考慮され(同条 7 項) 、その結果決定された国土整備計画は理由書とともに意 見提出者も含めた関係者に通知される(同条 9 項) 。 このように、国土整備計画レヴェルにおいては、とりわけ 1990 年代後半以 降上位計画としての拘束力の強化、上位計画策定手続への第三者の参加可能性 の拡大、という基本的傾向を看取することができる。そして、かかる動向を背 景としながら、国土整備計画法制は、2004 年改正以降、陸域のみならず海域 にもその適用範囲を拡大するようになってくる。. 3.領海における利用・保全調整 (1)領海への国土整備計画法制の適用 本稿の問題意識との関係で重要な国土整備法(連邦、州の双方を含む)と建 設法典は、海域にも適用されるのであろうか。 結論的には、領海についてはこれらの法制度はそのまま適用される。領海は ドイツの主権が及ぶ領土の一部であって、連邦と並んで州もまた海域を含む各 州の領域に対して管轄権を有し、各州は各々国土整備計画を策定する権限を 有する(連邦国土整備法 8 条 1 項参照) 。また、建設法典も連邦法であるので、 11.

(12) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). 基本的には属地的支配権の及ぶ全国土にわたって適用される。もっとも、建 設法典については、各市町村の区域は半潮水位線(Mitteltidehochwasserlinie) までとされているので、海域は特定の市町村に編入された場合等一定の場合を 除いて原則的には沿岸市町村の区域には含まれず、市町村は海域については、 前述の F プランや B プランを策定して開発・建築行為をコントロールする権 限を有しない 26)。 他方、建設法典 は、前述 し た よ う に B プ ラ ン 策定区域 や 既成市街地 な ど を除いた全国土にわたっていわゆる「建築(開発)不自由の原則」を採用し ており(35 条) 、特例建築計画を中心に例外的に建築が許容されるにすぎな いものの、建築が許可される場合には単体規制を中心とする州の建築秩序法 (Bauordnungsrecht)が適用され法定の基準を満たしさえすれば州による許可 がおりるため、外部地域における建築行為の立地選定を計画的にコントロー ルする機能は必ずしも十分ではなかった。そこで、1996 年に建設法典 35 条 が改正され、35 条 1 項 2 号ないし 6 号に掲げる施設(風力発電施設もここに 含まれる(6 号、現行法 5 号) )の建設は、それが、 (イ)F プランの指定また は(ロ)国土整備計画上の「目標」として一定の区域で許容されている場合に は、当該区域外での建設は公益に対立するものとして許されないとこととされ た(同条 3 項 3 文) 。この改正によって、外部地域において許容される施設の 立地を計画的にコントロールすることが可能となった。国土整備法には、特 定の施設を一定の地域に集中ないし誘導させるための区域指定の手法として は「優先地区」 (Vorranggebiet) 、 「留保地区」 (Vorbehaltsgebiet) 、 「適性地区」 (Eignungsgebiet)の三種がある(8 条 7 項 1 文) 。優先地区は、当該地区内で の許容された用途に合致しない用途は排除されるが、許容された用途を地区外 で排除することはできない。これに対して、適性地区は、地区外での同種の利 用が排除される 27)。他方、留保地区については、これが指定されても諸利益 の衡量に際して留保地区内で指定された用途には特別の比重がおかれるにすぎ ず(国土整備法 8 条 7 項 1 文 2 号) 、留保地区内外での想定せざる土地利用を 12.

(13) 海の利用・保全と法. 排除することができない。したがって、留保地区は、立地コントロールという 点では他の 2 つに比べると法的拘束力が弱い。それ故、上記(ロ)では優先地 区と適性地区のみが、建設法典 35 条 3 項 3 文の「国土整備計画上の目標」に なることができる。そして、建設法典のこの規定が適用されると、優先地区や 適性地区の指定は一般の私人に対しても法的拘束力を生ずる 28)。ただし、優 先地区と適性地区の上記の性格の差異は 35 条 3 項 3 文においてもそのまま存 続するため、ゾーニングによる特定の用途の誘導という点で最も効果のある、 指定地区外についての排除効(注 27 参照)を有する地区の典型は適性地区と いうことになる 29)。. (2)洋上風力発電の建設 洋上風力施設を建設する場合にも、上記の法制度が適用される。連邦政府は、 2001 年 9 月 3 日の閣議決定(Beschluß der Ministerkonferenz)において、風 力発電施設の洋上への建設を促進するために、12 海里ゾーンすなわち領海に 国土整備計画の適用を拡張すべき旨の要請を北ドイツ諸州に対して行うことを 決定した 30)。国土整備法を領海に適用することは制度上は以前より可能であっ たが、この閣議決定を契機として、北ドイツ諸州は領海をも対象として国土整 備計画を積極的に策定するようになった。 そこで領海で風力発電を建設する場合具体的には下記の点が問題となる。 (a)国土整備計画法制との関係 (イ)まず、既存の州国土整備計画(ないし州発展計画)および広域地方計 画上の諸指定との整合性がチェックされる。すなわち、大規模施設の国土整備 計画法上の立地の適否や事業の範囲・時期等を審査する手続は、前述の国土整 備手続によって審査される。そこでの実施主体は、上級州計画庁(行政管区) であって、事業者の申請または職権によって手続が開始される。その際、関係 行政機関(連邦、州、関係自治体、広域地方会議等)へ 通知 が な さ れ 参加 の 機会(縦覧、聴聞、意見陳述)が付与される。国土整備手続においては公衆 13.

(14) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). (Öffentlichkeit)参加は義務的ではないが(15 条 3 項 3 文) 、それをおく州も 多い(ヘッセン州、 バーデン・ビュルテンベルク州、 シュレスビッヒ ・ ホルシュ タイン州等) 。審査によって、適合性評価がなされ、手続が終了する。ただし、 この結果は他の行政機関の計画策定や事業の許認可手続に際して「考慮」され るにとどまり、私人への拘束力もない。また、この評価が独立の訴訟の対象と なることもない。 ただし、実際には国土整備手続は、洋上風力発電施設を含む大規模施設建設 の立地の選定にとって非常に大きな意味を有し、ここでの決定がその後の許可 手続や計画手続の際に事実上の前提となることも多い。 (ロ)他方、州国土整備計画(および広域地方計画)において、すでに洋上 風力発電施設のための地区指定(優先地区、適性地区)がなされている場合に は、当該事業案が当該地区内で計画されている限り、国土整備手続は立地に関 しては(イ)の場合ほど厳格に審査される必要性は少なくなり、審査は、実際 上は事業の具体的内容・範囲・時期などが中心となろう。そして、上記の建設 法典の規定(35 条 3 項 3 文)によって、指定された地区内でのみ建築をする ことが許容され、地区外での施設建設は適性地区を中心として(この点につき 前注 27 参照)排除されるとともに、 かかる効果は一般私人にも及ぶことになる。 すなわち、領海においては、市町村の管轄権が及ばず BL プランの策定を通じ て市町村が立地コントロールをすることができないにも拘らず、外部地域にお ける上記の計画的手法を用いることによって、州が計画主体となって位置コン トロールをすることができるのである。したがって、建設法典 35 条に対して 主として陸域を念頭に従来から期待されてきたスプロール開発の防止機能(同 条 4 項参照)が、海域とりわけ領海域においても実現されることになる。 (b)イミッシオン防止法との関係 次に、風力発電については、陸上洋上を問わず、騒音の発生その他環境への 悪影響を及ぼす恐れがあるため、発電所施設本体については、連邦イミッシオ ン防止法に基づく施設の建設許可が必要である(4 条) 。とりわけ、連邦イミッ 14.

(15) 海の利用・保全と法. シオン防止法第 4 次施行令で、6 基以上を設置する場合には通常手続(同令 10 条) 、3 ~ 5 基の場合には簡易手続(同 19 条)がとられる旨定められている(同 付録 1.6 参照) 。ちなみに、通常手続は下記の通りである(なお、より詳細な 手続は連邦イミッシオン防止法第 9 次施行令に規定されている) 。 ①当該事業案が連邦イミッシオン防止法第 4 次施行令に定める施設であること ②申立:説明書等の資料を添付する(連邦イミッシオン防止法 10 条 1 項) 。 ③事業案の公告(官報および地方紙) ・縦覧(公告後 1 ヶ月間) (同条 3 項) ④異議申立(縦覧後 1 ヶ月以内) :申立権者に限定はない。 ⑤異議申立期間経過後のすべての異議申立ての排除(実体的排除効の付与) (同 条 3 項) ⑥他の行政庁の意見聴取(同条 5 項) ⑦聴聞(討議) :適法になされた異議申立てについて、許可官庁が許可申請者 および異議申立人と討議(erörtern)する(同条 6 項) 。 ⑧環境影響評価の実施:環境影響評価法の定める施設については連邦イミッシ オン防止法第 4 次施行令に基づく環境影響評価が実施される。なお、この際の 評価主体は許可官庁と同じである。 ⑨許可決定(連邦イミッシオン防止法 10 条 7 項) ⑩許可決定に対する争訟方法:行政裁判所への取消訴訟(行政裁判所法 42 条) 以上のように、連邦イミッシオン防止法における許可手続では、利害関係者 の広範な参加が認められ、聴聞手続も定められている。なお、本法の許可には 集中効が付与されており、一定の例外はあるものの、当該施設建設に関わる他 の行政法上の許認可や同意等が本法の許可に包含・代替されることになる(13 条) 。したがって、前述の州建築秩序法上の建築許可手続もここで集中して行 われることになる。. 15.

(16) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). (C)送電線の敷設手続 ドイツでは、歴史的経緯等から、発電所施設本体と送電線の建設はそれぞれ 別の法律に服せしめられている。送電線については、一方では国土整備計画法 上の国土整備手続が適用され、この点では発電所施設本体と同様の審査に服す ることになる。ところが、送電線については、これに加えて、従来から部門計 画系列に属する「エネルギー経済法」 (Energiewirtschaftsgesetz)において計 画確定手続によって送電線の敷設が決定されることとされてきた。洋上風力発 電の場合には、送電線は海底ケーブルの敷設という形態をとり、エネルギー経 済法では 43 条 1 文 3 号で、 「領海における海底ケーブル」が明示されている。 計画確定手続は、前途のように関係する許認可を一つの手続ですべて行って しまうことにより(集中効) 、当該事業計画の実現可能性を見通しのよいもの とし計画の迅速な実現を図ろうとするものである点に一つの大きな特徴がある が、他方で、関係機関ないし公衆参加の機会が保障されていることも注目すべ き特徴である。計画確定手続は、連邦遠距離道路法、連邦鉄道法、エネルギー 経済法等の各個別の法律の中で規定が置かれているが、行政手続法の中にも第 5 部「特別手続」の第 2 章として計画確定手続が規定されている(72 条ないし 78 条) 。手続の流れを概要のみ述べれば、 「基本計画に基づく事業案の提出→ 事業主体による計画確定手続申請→関係行政機関の意見聴取→事業計画案等の 縦覧→異議申出→聴聞期日の指定→聴聞(討議)→聴聞行政庁の意見提出→計 画確定庁による計画確定裁決→工事開始」という流れである。 (d)私法上の権原との関係 ところで、上記のように領海内での様々な海洋利用に関する諸要請間の調整 ができ、洋上風力発電施設が建設可能となった場合、発電所施設本体と送電線 はいずれも海底の当該部分を独占的に利用することになるために、海底の利用 権原に関する法的調整が必要となる。 ドイツでは、1806 年の償却令以降、海や河川の所有権は、個々のラントま たは私人に帰属していた。かかる状況は、1871 年のドイツ帝国の成立や 1900 16.

(17) 海の利用・保全と法. 年の民法典(BGB)の施行によっても変わることがなかった。しかし、海の 利用とりわけ船舶の航行に関する政治的経済的ニーズが高まると、海や河川 をライヒ(国)の管轄下に置く必要性が急速に高まった。そこで、1919 年の ワイマール憲法は、一般交通の用に供する水路はライヒの所有であって、そ の管理はライヒが行わなければならないと規定して(97 条 1 項) 、それま でのラントや個人を所有主体とする権利関係を大きく転換した。この原則 は、1921 年 7 月 21 日のライヒと関係ラントとの国家条約(水路国家条約法 (Wasserstraßenstaatsvertrags-gesetz(Reichsgesetz vom 29. Juli 1921(RGBl. 961) ) )においても確認され、戦後は基本法において「連邦は、従来のライヒ 水路の所有者である」 (89 条 1 項)という規定として引き継がれ今日に至って いる。ところで、本条にいう「水路」の外延はかなり広い。海水路については、 (イ)船舶の航行可能性を考慮して、既存の航路のみならず領海全体を含むと ともに、 (ロ)海面や海上のみならず、 海水(Wassersäule)や海底(Gewässerbett) も 含 む と さ れ る。上記(イ)に つ い て は 学説上異論 も あ る が、連邦水路法 (Bundeswasserstraßengesetz(WaStrG)vom 2. April 1968)で は 明文 が 設 け られているし(1 条 2 項) 、判例上も連邦裁判所(BGH)および連邦行政裁判 所(BVerwG)での判断はすでに固まっている 31)。このように現在のドイツで は、領海内の海の所有権は連邦に帰属するので、洋上風力発電施設を建設する 場合、建設主体は、前述の国土整備法、連邦イミッシオン防止法、エネルギー 経済法等に定める諸手続(なお、連邦自然保護法との関係も重要であるが、こ の点は別稿で論じたい)を踏まえると共に発電所本体および送電線の海底敷設 部分に関する利用権原 32)を連邦から取得しなければならない。したがって具 体的には、一方では公物である海底を発電ないしケーブル事業者に独占的に利 用させるためには、連邦水路法 31 条に基づいて水路の特別使用に伴う許可を 水路・航路局(Wasser-und Schiffahrtsamt)から受けなければならず 33)、他方 では事業者は、 連邦との間で海底の当該部分の利用に関して制限的人役権(eine beschränkte persönliche Dienstbarkeit) (BGB1090 条)の設定契約を締結する 17.

(18) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). ことによって利用権限を取得することが多いようである 34)。. 4.EEZ における利用・保全調整 (1)適用法律と管轄主体 1996 年に批准された「海洋法に関する国際連合条約」 (国連海洋法条約)に よって、EEZ(排他的経済水域(ausschließliche Wirtschaftszone. ド イ ツ で は AWZ と略称する) )について、沿岸国に一定の主権的権利ないし施設の設置・ 利用に関する管轄権が認められたことによって、この水域についても洋上風 力施設を建設することができるようになった。連邦政府は、EEZ については 連邦法が及ぶこととし、この水域についても連邦国土整備法が適用されるよ うに本法の改正を 2004 年に行った。そして、本法上での EEZ の管轄権につい ては、州ではなく連邦のみがこれを有することとしたのである。その理由は、 (イ)EEZ に存在する資源の秩序だった利用のためには、法的経済的な統一的 枠組みが必要であること、 (ロ)州の管轄とすると EEZ では州毎に異なる法律 が適用されることになり、取引の安全や合理的な競争秩序が不安定になること、 (ハ)連邦法としての本法は、従来から陸域での多様な主体の様々な利害の調 整に際して実績を挙げてきており、本法を EEZ にも適用するのが望ましいこ と、 (ニ)従来から EEZ には施設の建設、運営および重要な変更に際して連邦 の行政庁の許可を得ることを要件とする海洋施設令(Seeanlagenverordnung) が適用され、連邦が管轄してきたこと 35)、 (ホ)EEZ では州相互間の調整や他 国との調整も必要であり、これは連邦に委ねることが適切であること等であ る 36)。 これらの諸理由のうち、 (ハ)は連邦国土整備法を適用すべき理由を述べて おり、それ以外は連邦が EEZ について管轄権を有することの適切性に関する 根拠である。本稿ではさしあたり、 (ハ)の論拠に注目しておきたい。すなわち、 国土整備法は陸域においては有効に機能してきたと連邦政府には認識されてお 18.

(19) 海の利用・保全と法. り、陸域での国土空間計画の有用性の認識ないし成功体験があるからこそ、こ れを海洋上での空間計画にも応用することに踏み切ったのである。かかる構造 を有する計画法体系を EEZ にも適用するとしたことの EEZ における利用調整 上の意味には非常に大きいものがあると評すべきであろう。もっとも、建設法 典は領海の外に位置する EEZ には適用されないため、前述した 35 条 3 項 3 文 の規定によって施設の位置コントロールをすることはできない。したがって、 EEZ では後述のようにこの問題が題在化してくることになる。. (2)国土整備法(2004 年)と海洋施設令 EEZ については 2004 年の国土整備法改正法に基づいて連邦が管轄権を有す ることとされ「ドイツの排他的経済水域における国土整備」という条文が 18a 条として新設されたが、本条によって具体的に連邦はいかなる権限を有するこ ととされたのであろうか。 (イ)連 邦 交 通・建築・住宅省(Bundesministerium für Verkehr, Bau- und Wohnungswesen, 以下、BMVBW と称する)は、EEZ の経済的科学的利用、 航行の安全・容易および海洋環境の保護について、 「目標」と「原則」を定め る(18a 条 1 項 1 文) 。 (ロ)州の国土整備計画に関する手続はほぼ準用される(同条同項 2 文) 。し たがって、たとえば、優先地区、留保地区、適性地区(前述 3(1)参照)の 各地区を指定することができ、環境評価手続の実施、関係行政機関や公衆の参 加、国土整備計画の理由書の添付・公告の実施、国土整備計画の実施が環境に 及ぼす影響についてのモニタリングの実施等が義務づけられる。これによって、 連邦政府の計画策定については州の計画の策定に関する前述した重要な規定 (2(2) (b)および(c) )のかなりの部分が準用されることとなった。ただし、 国土整備手続(15 条)については準用されておらず、連邦政府はこれを実施 する義務はない。 (ハ) (ロ)の手続については、具体的には権限官庁である「連邦船舶航行水 19.

(20) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). 路機構」 (Bundesanstalt für Seeschiff und Hydrographie, 以下、BSH と称する) が実施する。BMVBW は、隣接する州間の利害の調整を行う(18a 条 2 項) 。 (ニ)EEZ に連邦国土整備法が適用されることになると、それまで EEZ に 適用されてきた海洋施設令との関係の調整が必要となる。海洋施設令において は洋上風力施設のための「特別適性地区」 (besonderes Eignungsgebiet)を指 定することができるので(海洋施設令 3a 条 1 項) 、国土整備法で優先地区、留 保地区、適性地区が指定された場合における双方の関係が問題となる。特別適 性地区は、自然保護官庁等の関係官庁との協議や公衆参加手続を経て、施設の 建設許可の拒否事由が存在せず、かつ、連邦自然保護法 57 条(EEZ において 保護地区の指定を可能とする規定)に基づく保護地区が指定てれていない場合 に指定され、地区指定がなされると、その後の建設許可手続において施設の位 置選定に関しては鑑定書が備わっているのと同様の効果が生じる(同条 2 項) 。 すなわち、これによって位置選定の適切性に関する申請事業者の立証の負担が 大きく緩和されることになり、許可手続が迅速化されるのである。他方で、連 邦国土整備法の上の 3 つの地区指定については、EEZ では適性地区を指定す ・ ・ ・ ・. ・. ・. ・. ・ ・ ・. ることができない。なぜならば、適性地区とは、 「建設法典 35 条 に よって 都 市建設上審査され、計画空間内の他の場所ではその建設が排除される、空間 上重要な特定の事業にとって適切である地区」と定義されており(7 条 4 項 3 号、傍点は筆者) 、適性地区は建設法典が適用されない地域においては指定す ることができないからである。また、留保地区は、前述のように位置のコント ロール手法としては有効な手法とはいえない。それ故、連邦国土整備法の 3 つ の地区の内、実際に使われうるのは主として優先地区ということになる。そこ で、海洋施設令の特別適性地区と連邦国土整備法の優先地区との関係が問題と なるのであるが、この点、2004 年の国土整備法では、 「国土整備の「目標」と して洋上風力発電のための優先地区が定められた場合には、この地区指定は、 海洋施設令に基づく施設の許可手続においては、位置の選定に関する鑑定意見 (Sachverständigengutachten)の効力を有する」という規定が新設された(18a 20.

(21) 海の利用・保全と法. 条 3 項 1 文) 。国土整備法上、優先地区が「目標」として指定されれば、それ は地区内部に限ってではあるものの一定の私人に対しても拘束力を有するので あるが、本規定によって、優先地区としての指定は海洋施設令の許可手続にお いては鑑定意見と同程度の法的位置づけしか与えられないことになるため、地 区外部はもとより地区内部においても異種の建築物を排除しえない可能性が生 じる。国土整備法上の優先地区に関する規範的効力が、本規定によって脆弱化 されたと言えよう(37)。. (3)2008 年国土整備法改正法 以上のように、EEZ に対しては 2004 年以降国土整備法が適用され、そこで は連邦が管轄権を有することになった。その際、州レヴェルで適用すること が想定されていた各種の規定が、連邦が EEZ で国土整備計画を策定する際に も準用されたものの、他方で、海洋施設令での特別適性地区との関係で、むし ろ国土整備法の有する利用規制としての本来の効果が減殺されており、また EEZ には国土整備手続も適用されない等国土整備計画法制からみるとなお不 十分な計画法であったと評することができる。2008 年改正法における注意す べき変更点は下記の通りである。 (イ)上記の 18a 条は、2008 年に改正され 17 条 3 項へ移された。そこでは、 従来の 18a 条 3 項が削除されており、 上記(2) (ニ)に掲げた問題点が解消した。 そして、EEZ でも優先地区は、同時に適性地区として効果を有するように指 定する手法が認められたため(8 条 7 項 2 文) 、これによって、EEZ でも地区 外での排除効を伴う優先地区の指定が可能となり、特定の利用を空間的にコン トロールすることが可能となった 38)。 (ロ)また、EEZ に対する連邦の計画的規制が強化された点も重要である。 たとえば、建設法典や国土整備法で拡充されてきた計画保全規定(国土整備法 では 12 条)が、連邦による国土整備計画の場合にも準用されるようになり(20 条)39)、国土整備計画の「目標」とは異なる国土整備計画を策定する場合には 21.

(22) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). 一定の要件に服させるという従来州に適用されていた規定(同 6 条)が連邦の 国土整備計画にも準用されたり(21 条) 、また、国土整備計画の 「目標」 の実 現を不可能にしたり著しく困難にする事業の実施や決定を一定期間禁止する規 定(14 条)が連邦国土整備計画にも準用される旨の規定(22 条)等が新設された。 かかる動向は、従来連邦レヴェルでの国土整備計画については空間計画として の計画法的整備が必ずしも十分ではなかった状況に鑑みて、州計画レヴェルで の適用を想定して作られた国土整備法の諸規定を連邦レヴェルの国土整備計画 にも及ぼしていこうとする潮流である。これによって、連邦、州、市町村の各 レヴェルを包摂する国土整備計画体系を陸域のみならず海域にも及ぼし、双方 を含む国土空間全体を総合的に秩序立てて整備する計画を作り上げようとした のである。もっとも、前述した国土整備手続を EEZ で実施することまではな お認められていない。. (4)私法上の権原との関係 EEZ についても、領海について述べたのと同様に海底の利用権原が問題と なる。結論的には、EEZ(大陸棚も同様)については、その海底部分は私的所 有権の対象とはならないと解されている(40)。したがって、洋上風力発電施設 を建設する場合、発電会社は海底についての所有権や人役権等の私法上の権原 をそもそも取得することができないし取得する必要もない。なお、ケーブル敷 設に関しては、他方で連邦鉱山法(Bundesberggesetz)133 条によって、BSH その他の州官庁の許可を取得しなければならない(133 条) 。. 5.むすびに代えて (a)領海および EEZ を含む海域での近年の多様な利用要求を相互に調整す るための手法として EU で重視されている海洋空間計画は、ドイツでは国土整 備法(領海ではこれに加えて建設法典)を媒介として具体化されていることが 22.

(23) 海の利用・保全と法. 明らかとなった。そして、その動向を簡潔に表現すれば、 (イ)領海に関する 国土整備計画主体を州として、州レヴェルで適用することが予定されている国 土整備計画手法(州発展計画、広域地方計画等)を領海にも積極的に適用し、 それを建設法典 35 条によって補完すること、および(ロ)EEZ に関する国土 整備計画主体を連邦とし、その際従来連邦レヴェルでの国土整備計画について は空間計画としてのコントロール手法が必ずしも十分ではなかった状況に鑑み て、州計画での適用を想定して作られた諸規定を連邦レヴェルの国土整備計画 にも及ぼしていこうとする潮流である。すでに 2(2)で述べたように、従来 陸域での主たる適用が想定されていた国土整備計画法制自体が、1990 年代以 降とりわけ 1997 年改正の際に、建設法典の BL プランについて徐々に整備さ れてきた手法を自らの内に積極的に取り込んでおり 41)、このように再編され た国土整備法が、領海そして EEZ へとその適用範囲を拡大してきたのである。 建設法典における BL プランを中心とする計画的コントロール手法は歴史的に は都市自治体のイニシアティブで徐々に整備・充実されてきたものであって、 いわば「下から」の計画法制である(それを連邦法として採用したのが 1960 年の連邦建設法(建設法典の前身)であった) 。かようにして発展してきた計 画法的なコントロール手法が 1990 年代後半に国土整備法制に採り入れられ、 2000 年以降は領海と EEZ を包含する海域にも「水平的に」その適用範囲を拡 大してきている事実は非常に興味深い。ただし、海域への適用に関しては本文 で述べたように法制度の展開自体まだ日が浅く、制度そのものにもなお不十分 な点(EEZ における国土整備手続の不適用等)が残されており、その評価は なお日を待たなければならない。 (b)公物法との関係についても付言しておきたい。ドイツにおける洋上風 力発電所の建設については、公物法の果たす意義は決して大きいとはいえない。 前述したように、領海内の海底の該当部分を事業者が使用する場合にこそ連邦 水路法に基づく許可が必要とされるものの、位置の選定等の利用調整は、公物 法ではなくそれに先行する国土整備法やイミッシオン防止法等に基づく施設建 23.

(24) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). 設に関わる手続の中で決定されて行った。かかる構造は、わが国の理論や実務 が海洋空間の利用については主として公物法に基づく処理を志向しているのと は対照的であり、また公物管理規定の充実を求めるわが国の近年の傾向とも大 きく異なる。わが国で公物法論的アプローチが主流であるのは、おそらくはわ が国における都市・空間計画法が必ずしも十分な展開を遂げておらず、陸域に おいてすら良好な成果を挙げてこなかった法制度を海域に適用したとしても満 足な結果をえられそうもないという(残念ながら悲観的な)展望を実務のみな らず学界でも共有していたことにその原因の一端があるのではなかろうか。し かし、計画法論的アプローチによって海洋空間をコントロールする可能性はな お追及するに値すると思われる。たとえば、計画法論的アプローチでは、公物 法論におけるように公物所有権の帰属主体は問題とはならず、公物の外延を確 定する必要もない。また、各種の利害調整手続についてもたとえば計画確定手 続等の優れた手法が編み出されており、この手法等に依拠して海洋空間をコン トロールする可能性は改めて検討に値すると考える。 1)たとえば、阿部泰隆「海面下に土地所有権は成立するか」 『ジュリスト』476 号(1971 年) 130 頁、新田敏「いわゆる海面下の土地所有権について」 『法学研究』51 巻 7 号(1978 年) 1 頁、幾代通「海面 と 土地所有権」同『不動産物権変動 と 登記』 (一粒社、1986 年)199 頁等参照。最高裁判例 と し て、最判昭和 52 年 12 月 12 日判時 878 号 65 頁、最判昭和 61 年 12 月 16 日民集 40 巻 7 号 1236 頁等参照。 2)なお、漁業法は領海外にも適用されるし、その他領海外にも適用される国内法は決して 少なくはないのだが(海難審判法、海洋水産資源開発促進法、鉱業法等) 、他の利用主体 との調整に関する規定はほとんど含まれていない。 3)この点を比較的早期に指摘したものとして、横山信二「海洋公物管理論」 『松山大学論集』 2 巻 2 号(1990 年)53 - 61 頁参照。 4)Z.B. Fahrplan für die maritime Raumordnung: Ausarbeitung gemeinsamer Grundsätze in der EU, KOM 2008, 791; Maritime Spacial Planning in the EU-Achievements and Future Development, KOM 2010, 771. 5)たとえば、日経新聞 2011 年 11 月 27 日参照。 24.

(25) 海の利用・保全と法. 6)たとえば、磯部力「公物としての海域と海域利用権の性質」 『新海洋法条約の締結に伴う 国内法の研究』2 号(1983 年)157 頁、来生新「海の管理」雄川一郎 / 塩野宏 / 園部逸夫 編『現代行政法体系 9』 (有斐閣、1984 年)342 頁、横山信二・前掲(注 3)53 頁、同「海 の利用関係」 『松山大学論集』5 巻 3 号(1993 年)43 頁、梅田和男「沿岸域および海域に かかる管理法制について」成田頼明 / 西谷剛編『海と川をめぐる法律問題』 (河中自治振 興財団、1996 年)29 頁、橋本博之「海洋管理 の 法理」碓井光明 / 小早川光郎 / 水野忠恒 / 中里実『公法学の法と政策(下) 』 (有斐閣、2000 年)672 頁、三浦大介「公物管理と財 産管理」 『高知論叢(社会科学) 』69 号(2000 年)71 頁等。 7) たとえば、 (a) 説をとるものとして塩野宏 『行政組織法の諸問題』 (有斐閣、1991 年)318 頁、 (b)説をとるものとして田中二郎『新版行政法中巻〔全訂第 2 版〕 』有斐閣、1976 年)317 頁、 原龍之助『公物営造物法(新版) 』 (有斐閣、1984 年)219 頁。なお、これらの学説の分布 状況については、来生・前掲(注 6)344 頁以下、寶金敏明『里道・水路・海浜―法定外 公共用物の所有と管理』 (ぎょうせい、1996 年)63 頁以下が詳しい。 8)磯部力「公物管理 か ら 環境管理 へ」松田保彦 / 山田卓生 / 久留島隆 / 碓井光明編『国際 化時代の行政と法』 (良書普及会、1993 年)27 頁以下、同・前掲(注 6)157 頁以下参照。 9)ここでは、 「山岳丘陵林薮原野河海湖沼沢溝渠堤塘道路田畑屋敷等其他民有地ニアラサル モノ」は第三種官有地に編入された。 10)  ただし、この説の中には法定外公共用物については「慣行」を根拠としての管理権を基 礎づける見解もある。田中・前掲(注 7)317 頁参照。 11)ただし、 (a)説に立つ場合は所有権を根拠とするのであるから、所有者としての当該物 への支配・管理権を主張すれば足り、あえて公物であることを強調する必要はないよう に思われる。 12)たとえば、 磯部・前掲(注 6)163 頁、 田村悦一「公物法総説」雄川 / 塩野 / 園部・前掲(注 6)255-256 頁。 13)田村・前掲(注 12)255 頁。 14)ド イツ公物法の現状を分析する邦語文献とし、大橋洋一「公物法の日独比較研究・序 論(1)~(4)」『自治研究』70 巻 11 号~ 71 巻 2 号(1994、1995 年)参照。 15) 「比較的規模 の 大 き い」と は、当該行為 が 土地法上重要 な 意味 を 有 す る 場合 を 指 す が、特定の数値があるわけではなく、当該地域の具体的諸事情によって異なりうる ( Battis,Ulrich/Krautzberger, Michael/Löhr, Rolf-Peter, Baugesetzbuch, 9.Aufl., 2005, Rdn. 22 zu §29) 。 16)この観点から海の管理を行うべきことを強調するものとして、多賀谷一照「沿岸域の法 理への視角」 『千葉大学法学論集』12 巻 3 号(1998 年)42 頁以下参照。また、海につい 25.

(26) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). て公物法による処理に慎重なものとして、成田頼明「国内法から見た領海」 『新海洋法 条約の締結に伴う国内法の研究』2 号(1983 年)155 頁、櫻井敬子「公物理論の発展可 能性とその限界」 『自治研究』80 巻 7 号(2004 年)24 頁等がある。 17)したがって、たとえば海底の清掃、浚渫、異物の除去等の通常の管理行為については、 計画法論的アプローチによる対応には限界がある。その意味で、本稿は計画法論的アプ ローチでのみ海の管理を十全にできる旨を主張するものでは全くない。 18)この点は、ドイツの各種の文献で指摘されているところである。なお、成田頼明教授は、 ドイツの国土整備計画が、EU の MSP に大きな影響を与えたと指摘されている(エネル ギー法研究所研究会「海の開発利用検討班」第 7 回(2011 年 5 月 10 日)議事録参照) 。 19)ドイツの計画確定手続については、わが国では早くから多くの研究者が注目してきた。 たとえば、その初期のものとして、成田頼明「西ドイツの計画確定手続について」 『時 の法令』1024・1025 号(1979 年)66 頁以下参照。 20)上記のドイツの計画法制については、高橋寿一「ドイツにおける計画・収用法制と 「第 三者」」 ( 『大規模施設の立地計画・収用に関する法制度』日本エネルギー法研究所、2003 年)242 頁以下参照。 21)以下の記述については、高橋寿一『地域資源の管理と都市法制』 (日本評論社、2010 年) 98-99 頁、112-114 頁、122 頁等参照。 22)国土整備手続 に つ い て は、山田洋『大規模施設設置手続 の 法構造』 (信山社、1995 年) 240 頁以下に詳しい。 23)もっとも、本文(ハ)の環境適合性審査に関する規定は、国土整備法の 1993 年改正で 削除され、再び州の任意とされた。 24)立法担当者の指摘するところである。Bundestags-Drucksache. 13/6392, S. 40-41. 25)なお、ノルトライン=ヴェストファーレン州の国土整備法 21 条では、州行政庁が州国 土整備ないし発展計画の策定命令を発することができる旨定めている。 26) Erbguth,Wilfried, Planungs- und genehmigungsrechtliche Aspekte der Aufstellung von Offshore-Windenergieanlagen, DVBl 1995, S. 1270; Hübner, Offshore-Windenergieanlagen, ZUR 2000, S. 139; Zimmermann, Andreas, Rechtliche Probleme bei der Errichtung seegeschützter Windenergieanlagen, DÖV 2003, S. 133( 136 ); Wustlich, Guido, Das Recht der Windenergie im Wandel, ZUR 2007, S. 122(123) . また、成田頼明「ドイツにお ける洋上風力発電と海の利用をめぐる法制度(中) 『 」自治研究』79 巻 7 号(2003 年)4 頁。 27)Battis/Krautzberger/Löhr, a.a.O.( Anm.15 ) , Rdn.78 zu §35; Bielenberg, Walter/ Runkel,Peter/Spannowsky,Willy, Raumordnungs- und Landesplanungsrecht des Bundes und der Länder, 2004, Rdn.103ff. zu K§7; Ernst, Werner/Zinkahn,Willy/ 26.

(27) 海の利用・保全と法. Bielenberg,Walter, BauGB, 2006, Rdn. 123ff. zu §35. ちなみに、計画で許容されている利 用以外の土地利用を排除する効果を排除効(Ausschlußwirkung)という。優先地区に ついては地区外での同種の土地利用に関する排除効の存否、また、適性地区については 地区内の異種の土地利用に関する排除効の存否については見解が分かれている。判例 は、前者の優先地区について、地区の指定が地区外についても排除効を有するために は、優先地区を定める国土整備計画(州発展計画ないし広域地方計画)が、計画対象区 域全域について明晰な(schlüssig)計画コンセプトを有していることが必要であるとす る(BVerwG, Urteil vom 13. 3. 2003-4C4/02, BVerwGE 118, S. 33; BVerwG, Urteil vom 13. 3. 2003-4C3/02, NVwZ 2003, S. 1261; BVerwG, Beschluß vom 28. 11. 2005, DVBl 2006, S. 459) 。平たく言えば、優先地区指定に際して、当該国土整備計画が地区外について同種 の建築物の建設を排除する意図を有していたか否かによるということである。土地利用 計画において用途指定を伴う地区指定をしても当該指定が当該地区内での効果のみを前 提としている限り、地区外の地域は「白地」 (weiße Flächen)であって、かかる土地利 用計画には地区外での同種の用途を排除する効果を持たせることはできない。他方、用 途指定を伴う地区指定が、地区外での同種の用途を禁止する趣旨をも同時に有する場合 には、地区外の地域は「白地」ではなく、当該土地利用計画によって同種の用途が排除 された「計画された土地」 (beplannte Flächen)になるのである。   な お、上記 の 地区指定 を、洋上風力発電 と の 関係 で 解説 す る も の と し て、Koch, Hans-Joachim/ Wiesenthal, Tobias, Windenergienutzung in der AWZ, ZUR 2003, S. 350ff (354) ;Wustlich, a.a.O.(Anm. 26) , S. 122ff(123) . 28)これに対して、 国土整備法上のみの指定(一定の地域の「目標」や「原則」としての指定) の場合には効力が及ぶ私人の範囲が限定される(国土整備法 4 条 1 項) 。 29)もっとも、1997 年の連邦国土整備法改正以降、空間上重要な用途に関する優先地区の 指定に際しては、同時に適性地区の効果をも有するように指定できるようになったため (2008 年改正法以前は 7 条 4 項 2 文、2008 年改正法 8 条 7 項 2 文) 、これによって、領海 においては地区外での排除効を伴う優先地区の指定が可能となり、特定の利用を空間的 にコントロールすることが可能となった。 30)Beschluß der Ministerkonferenz “ Raumordnerische Positionen zur OffshoreWindenergie-Nutzung vom 3. September 2001“, in:Bielenberg/Runkel/Spannowsky, a.a.O.(Anm. 27) , S. 137 zu B320. 31)学 説 と し て、von Mangolt, Hermann/Klein,Friedrich/Starck,Christian, GG, Rz. 20 zu 89; Wurmnest, Wolfgang, Windige Geschäfte? Zur Bestellung von Sicherungsrechten an Offshore-Windkraftanlagen, RabelsZ 72(2008) , S. 236ff(251) . また、 (イ)に関しては、 連邦裁判所の判例として、たとえば、BGH, Urteil vom 25. 6. 1958, BGHZ 28, S.34ff; BGH, 27.

(28) 横浜国際経済法学第 20 巻第 3 号(2012 年 3 月). Urteil vom 24. 2. 1967, BGHZ 47, S.117ff; BGH, Urteil vom 24. 11. 1967, BGHZ 49, S.69ff; BGH, Urteil vom 9 .7. 1987, BGHZ 102, S.1ff; BGH, Urteil vom 22. 6. 1989, BGHZ 108, S.110ff. 連邦行政裁判所の判例として、BVerwG, Urteil vom 30. 12. 1990, BVerwGE 87, S.169ff. さ らに、本文の(ロ)についても、連邦裁判所の判断は確定している。BGH, a.a.O.(25. 6. 1958) , S.37; BGH, a.a.O.(24. 11. 1967) , S.71。ただし、海水については、 「物」とは言え ないので、民法上の所有権は成立しないとする者も多い(Staudinger, Kommentar zum Bürgerlichen Gesetzbuch mit Einführungs- und Nebengesetzen, Buch I, Allgemeiner Teil, 2004, Rz. 48 zu §§90-113 ; Palandt, Kommentar zum BGB, 2008, Rz.1 zu §90) 。 32)この場合、基本法 89 条によって所有権は連邦に帰属するとされているため、連邦は海 底敷部分の所有権を譲渡することはできない。 33)Erichsen, Hans-Uwe/Martens, Wolfgang, Allgemeines Verwaltungsrecht, 8. Aufl., 1988, S. 494-495(Salzwedel) . 34)た と え ば、ニーダー・ザ ク セ ン 州 の 領海内 に 近年建設 さ れ た 洋上風力発電 パー ク “Nordergründe“ の 送電線敷設 に 関 す る 計画確定手続 の 際 に 提出 さ れ た 事業 者(TenneT) の 説明資料 に よ る(TenneT, Planfeststellungsunterlagen nach §43 Energiewirtschaftsgesetz(EnWG) , Erläuterungsbericht, 2011, S. 57) 。 35)本令は、1994 年の EEZ の設定に伴って、同水域における施設の建設・運営等を規制す るために 1997 年に制定された、海事法(Seeaufgabengesetz)9 条 1 項に基づく法規命 令である。本令については、成田頼明・前掲(注 26)10 頁以下参照。 36)Bundestags-Drucksache, 15/2250, S. 71-72. 37)Maier, Kathrin, Zur Steuerung von Offshore-Windenergieanlagen in der Ausschließlichen Wirtschaftszone(AWZ) , UPR 2004, S. 103ff(108). 38)S ö f k e r , W i l h e l m , Z u m E n t w u r f e i n e s G e s e t z e s z u r N e u f a s s u n g d e s Raumordnungsgesetzes(GeROG) , UPR 2008, S. 161ff(168) 。この規定(8 条 7 項 2 文)は、 すでに 1997 年の国土整備法改正以降 7 条 4 項 2 文として設けられていた規定であるが (前注(29)参照) 、2008 年改正法の下での新たな条文ではその適用が建設法典の適用区 域に限定されず EEZ にも適用しうるように改められた。 39)計画保全規定については、高橋・前掲(注 21)第 7 章参照。 40)Vitzthum, Graf, Handbuch des Seerechts, Rz. 216 zum Kap. 3( Lagoni/Ploelß ) ; Wurmnest, a.a.O.(Anm. 31) , S. 252. 41)この点については、高橋・前掲(注 20)251 頁および同「ドイツにおける収用法制」 ( 『大 規模施設の立地計画・収用に関する法制度』日本エネルギー法研究所、2003 年)46 頁以 下参照。 28.

(29)

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