2015年
度
学位論文
学校 が保護者 の障害理解 を促進す るための
働 きかけに関す る研究
兵庫教育大学大学院
学校教育研究科
特別支援教育専攻
障害科学 コース
M14105G
高森かな
目次 I。 Ⅲ。研究 2 第 1節 第2節 問題の所在 と目的 第 1節 法的背景 第2節 学校 と障害理解 第3節 障害 に関す る意識 調 査 第4節 本研 究 の 目的 研 究 1 第 1節 目的及 び方 法 第2節 結果 及 び考 察 1 3 5 6 Ⅱ. 7 9 目的及 び方 法 結 果及 び考察 19 21 44 45 49 51 Ⅳ
.総
合考察 第 1節 第 2節 第 3節 第4節 回収 率 につ い 保護 者 の障害 研 究 を振 り返 今 後 の課題 理解 を促進 す る働 きか け … … つて ……… … V。 文献 ◇参考資料 ◇訪寸辞 52I。 問題 の所在 と 目的 第 1節 法 的背 景 我 が 国 は、
2007年
に障害者 の権利 条約 に署名 し、それ 以 降 、様 々 な障 害者 施 策 の改 正 等 の法整備 が行 われ て きた。20H年
に は、障害者 基本 法 が改 正 され 、全 て の国民 が 、障害 の有無 にかか わ らず 、等 しく基本 的人 権 を享 有 す るか けが えの ない個 人 と して尊 重 され 、障害 の有 無 に よつて 分 け隔 て られ る こ とな く、相 互 に人格 と個性 を尊重 し合 い なが ら共 生す る社 会 の実現 を 目指す た めの指針 が示 され た。 同法 第16条
で は、 国及 び 地方公 共 団体 が 、障害者 に、そ の年齢及 び能 力 に応 じ、かつ 、そ の特 性 を踏 ま えた十分 な教 育 を受 け る こ とがで き る よ うに、可能 な限 り障害 者 で あ る児 童 生 徒 が 障 害者 で な い児 童 生 徒 と共 に教 育 を受 け られ る よ う配 慮 し、必 要 な施 策 を講 じる こ とを定 めて い る。 さ らに、 同法 で は、 障 害者 の定義 の 中に新 た に 「発 達 障害 」が含 め られ 、近年 、発 達 障害 の あ る人 を支 え るた めの法整 備 や 支援 体制 も急 速 に整 え られ て い る。それ らに伴 い 、2007年
よ り実施 され てい る特別 支援 教 育 が さ らに推 進 され 、 共 に学 び 生活 す るた め にイ ン クル ー シブ教 育 シス テ ム を作 り上 げ る こ とが よ リー層 必 要 とな つてい る。 文部 科 学省 (2012)の 「共 生社 会 の形成 に向 けたイ ン クル ー シブ教 育 シ ステ ム構 築 の た めの特別 支援 教 育 の推 進 (報告)」 で は 、個 別 の教 育 的 ニー ズ の あ る幼児児童 生徒へ 、 自立 と社会参加 を見据 えた 、教育 的ニー ズ に応 え るた めの指 導 を提供 で き る、多様 で柔軟 な仕組 み を整 備 す るこ とが重 要 で あ り、小 中学校 にお け る通 常 の学級 、通 級 に よる指 導 、特別 支援 学級 、特別 支援 学校 とい った 、連続性 の あ る 「多様 な学 び の場 」 を 用 意 してお くこ との必 要性 が 明確 に示 され た。 そ して 同報 告 で は、学校 にお いて 、次代 を担 う子 どもに対 す る、イ ンクル ー シブ な社 会 の構 築 に① 障害 の あ る子 どもが 、そ の能力や 可能性 を最 大 限 に伸 ば し、 自立 して 社 会 参加 が で き る よ う、 医療 、保 健 、福 祉 、労働 等 との連 携 を強化 し、 社 会全 体 の様 々 な機 能 を活 用 し、十分 な教 育 が受 け られ る よ うに、障害 の あ る子 どもの教 育 の充 実 を図 る こ と。 ② 障害 の あ る子 どもが 、地域 社会 の 中で積 極 的 に活 動 し、そ の一員 と し て豊 か に生 き る こ とが で き る よ う、地域 の 同世 代 の子 どもや 人 々の交流 等 を通 し、地域 で の生活基盤 を形成 す るた め、可能 な限 り共 に学 ぶ こ と が で き る よ う配 慮 す る こ と。 ③ 障害者 理解 を推 進 す る こ とに よって 、周 囲の人 々が、障害 の あ る人や 子 ども と共 に学 び合 い生 き る中で、公 平性 を確 保 しつ つ社 会 の構 成員 と しての基礎 を作 る こ と。 そ の た め、特別 支援 教 育 の推進 を行 い 、障害 の あ る児 童 生徒 と障害 の ない児 童 生徒 が、で き るだ け同 じ場 で共 に学ぶ こ とが で き る環 境 の整備 や 専 門性 の あ る人材 を確 保 してい くこ とが 、これ か らの大 きな課題 とな るだ ろ う。
2014年
1月 に障害者 権利 条約 が批准 され 、 同条約 の24条
に は、人 間 の潜 在 能 力 並 び に尊 厳 及 び 自己 の価 値 につ い て の意識 を十 分 に発 達 さ せ 、並 び に人 権 、基 本 的 自由及 び 人 間 の多様 性 の尊 重 を強化 す る こ と、 障害 の あ る者 が 、人格 、才能 、創 造 力 、精神 的及 び身体 的 な能 力 を可能 な限 り発 達 で き る こ と、障害 の あ る者 が 自由な社 会 に効果 的 に参力日で き るこ とが示 され た。また 、2016年
4月 に施行 され る、障害 を理 由 とす る 差別 の解 消 の推進 に 関す る法律 に よ り、学校 にお け る 「障 害 を理 由 とす る不 当な差別 的 取扱 い の禁 止 」 と 「合 理 的配 慮 の提 供 」 が 義 務 化 され 、 今 後 、学校 の支援 体制 の さ らな る強化 や個 々の教員 の専 門性 の 向上 が望 まれ てい る。第
2節
学校 と障 害 理解 特 別 な支 援 を必 要 とす る児 童 生徒 と共 に学 び 生 活 が で き る よ うにす るた め に は、そ の児 童 生徒 が抱 え る困難 さを把握 し、物 理 的 な壁 を取 り 払 うた めの環 境 の整備 や 、必 要 な支援 を受 け る こ とが で き るた めの支援 体 制 の整備 、そ して 、心理 的 な壁 を取 り払 い 、お互 い の障害 に対す る適 切 な理解 (以下 、障 害理解)を
促 進 す るた めの 障害理解 の促 進 が不 可欠 だ と考 え られ る。 特 に、障害理解 の促 進 は、授 業 のみ で理解 を促 す だ け で は な く、児童 の様 々 な要 因 (例 えば、定型 発 達 の児 童 生徒 の発 達 の状 態 や 育 って きた環境 等)を
踏 ま え、それ らを考 慮 しなが ら適切 な方 法 で 障 害理解 を促 進 して い くこ とが求 め られ る。 障害 理解 は、障 害 に関す る科学 的認識 を もつ こ とが大 きな特 徴 とされ てお り(徳田・ 水 野 、2005)、 芝 田(2013)は
、障害理 解 に 関 して 、憲 法 11条 の 「基本 的人 権 」や 教 育基本 法 に あ る 「個 人 の尊厳 」等 の個 々の違 い を相 互 に容認 して い く とい う人 間理解 が必 要 で あ る と同時 に、それ が 障 害理解 を促 す 土台 とな る と述べ てい る。また 、徳 田 。水 野 (2005)は 、 子 どもの障害 に対 す る価 値観 は親 や保 育者 、教 師等 の周 りの大 人 の対応 に大 き く影 響 され 、特 に子 どもの年齢 が小 さい場 合 には、親 の障害 に対 す る価 値観 が直 接 的 に子 ど もの 障害 理 解 に結 び つ い て い く こ とを述 べ て い る。 これ らの こ とか らも、子 どもの障害観 や 、そ の基礎 とな る人 間理解 の 土台 は、親 の価 値観 や 養 育環境 等児童 が育 って きた背 景 に大 き く影 響 し てい るので は ない か と推 察 で き る。 また、それ らの 中に は、差別や偏 見 等 歪 め られ た理解 等 が含 まれ てい る可能性 もあ り、芝 田(2013)は
、学 校 にお いて しつか りと した障 害理 解 を促 す教 育 (以下 、障 害 理解 教 育) を行 つていた と して も、家庭 にお い て障害 に対す る不適切 な言 動 が あれで 、障害理 解 教 育 を行 うと同時 に保護 者 に対 して も障 害理 解 を促 進 す る た めの働 きか けを行 つて い くこ とは、定型発 達 の児童 生徒 の 障害理解 を よ り深 め るた めに有効 で あ る と考 え られ る。 児童 の 障害 理解 を促 進 す る働 きか け と して 、学校 で は、共 に学 び合 う 中でお 互 い の理 解 を促 進 す るた め に、「交流 及 び 共 同学 習 」 が積 極 的 に 取 り入 れ られ て い る。 しか し、富永 (2011)は 、 これ らの取組 み は 、障害 理 解 そ の もの に本 格 的 に取組 む とい う姿勢 が 曖 味 に な っ て しま うケー ス が あ る と述 べ てお り、障害 につ いて の認 識 の形 成 へ の取組 み が不 十分 に な つて しま う可能性 を指摘 して い る。 また、児 童 生徒 の障 害理解 を促 進す るた め に、学校 にお い て行 われ てい る様 々な体験 にお い て も同様 で あ り、形 式 的 な ものや 、ただ の恐怖 体験 で終 わ つて しまい 、か えって障 害理解 を遠 ざけて しま うとい うこ とも少 な くないだ ろ う。 さ らに、金子 (2011)は 、教 員 障害理解 の程度 が 、児童や保護 者 の障害理解 に も影 響 し て い る と述べ てお り、教員 の人 間理解や 障害理解 や 障害理解 教 育 に対す る知 識 や 理 解 を よ り高 め る こ と も児 童 の 障 害 理 解 を促 進 す るた め に は 必 要 で あ る。 近年 で は 、就 学相 談 の制度 も定着 し、保 護者 と保 育 園や 幼 稚 園 が小学 校 と相 談 を行 い 、特別 支援 学校 に在籍 す るか 、それ とも通 常 学校 の通 常 学級 か特別 支援 学級 に在 籍 す るか を、決 め られ る よ うにな ってい る。 障 害 のあ る子 を抱 え る保 護 者 は 、わ が子 の将 来 を考 え、可能 な 限 り地域 の 学校 に入 学 し、生 き る力 を養 って い くこ とがで き る こ とを望 み 、地域 の 学校 に入 学 を して くる児 童 もた く さん見受 け られ る。金 子 (2011)は 、保 護者 は 自 ら進 路 を決 定 して も、不 安 や 葛藤 を抱 えてお り、教 員 はそ の こ とを考慮 しな が ら、保護 者 を支 え る姿勢 が大切 で あ る こ とを示 唆 してい る。
第
3節
障害 に 関す る意識調 査2014年
に、株 式 会社WINGLEが
会員330名
と一般 の 20∼30代
の男女300名
を対象 に行 つた 「発 達 障害 に関す る意識 調 査 」 で は、周 囲か ら理 解 され てい る と感 じて い る保護者 は3割
と少 な く、6割
以 上 の人 が 、発 達 障 害 につ い て名 前 以 上 の知 識 を持 つて い な い こ とが 明 らか に な つ て い る。また 、2012年
に行 われ た全 国の20歳
以 上 の3000人
を対 象 と した 内閣府 に よる 「障害者 に関す る世論調 査 」 で は、障害 の あ る人 に対 して 障害 を理 由 と した差別 や偏 見 が あ る と思 うか 、 とい う質 問 に 「あ る」回 答 した人 の割 合 は 89。2%と
依 然 と多 く、同様 に法務省 が行 つた 「人権擁 護 に 関す る世 論 調 査 」 にお いて は、障害者 に関す る人権 問題 にお い て起 きて い る もの と して 、「じろ じろ見 られ た り,避
け られ た りす る こ と」 や 、「差別 的 な言 動 を され る こ と」、「職 場,学
校 等 で嫌 が らせ や い じめ を受 け る こ と」等 の項 目が上位 を 占めてい る。 教 育現場 にお い て も、長年 にわ た つて 「ガイ ジ」や 「ポイ ジ」等 の差 別 語 が確認 され お り、学校 の 中で児 童 生徒 の障害理解 を促 進 す るた めの 取組 み を推進 す る こ とや (毎 日新 聞、2015)、 家 庭や 地域 と連 携 を行 い な が ら、子 ども一 人 一 人 が大事 に され る環境 を作 り、児童 同士 がお互 い を 大切 に思 い合 うこ とので き る環境 を整 えて い くこ とが必 要 で あ る。そ の た め に、学校 と保 護 者 が 同 じ方 向性 を持 ち、児童 の人 間理解 教 育や 障害 理解 の促進 を行 つて い くこ とが必 要 で あ り、学校 にお い て 、保 護 者 が人 間の多様 性 や 障害理 解 を見つ め直す た めの機 会や 、働 きか け を行 うこ と が必 要 で あ る と考 え られ る。第
4節
本研 究 の 目的 金 子(2011)が
発 達 障害 の あ る児 童 の保 護 者 に対 して 、学校 に望 む 障 害理解 につ い てイ ンタ ビュー調 査 を行 つた研 究 で は、学校 現 場 にお いて、 「教員 の障害理解 」や 「連携 」、そ して、「適切 な障害理解 教 育」 を求 め る声 が上 が ってお り、まだ周 囲へ の障害理解 を促 す 環 境 が整 ってい ない こ とが 明 らか にな って い る。 また、 中学校 にお い て保護 者 ・ 地域 に発 達 障害 に関す る障害理解 の啓発 状 況 を調査 した研 究 で は、実施 状 況 は低 く、 「何 を してい いのかわか らない」や 「必要性 がない」 とい う回答 も見受 け られ (松 田 0芝 田、2014)、 保 護者 へ の障 害理 解 の働 きか けの必 要性 はま だ 中学校 で は あ ま り浸透 して い ない とい うこ とが わか る。 障害理解 教 育 に関 して述べ た研 究 は多 く見受 け られ るが 、保 護 者 の障害理解 を促 進 す るた めに、学校 が行 つてい る働 きか けに関 して調 査 を行 つた研 究 は 少 な く、特 に、人 間理解 を高 めて い くこ とを基礎 とす る小 学校 段 階 にお い て 、保 護者 に対す る障害理解 を促進 す る働 きか け につ い て の実施 現状 を把握 す る必 要 が あ る と考 え られ る。 そ こで本研 究 で は 、保護 者 の障害理解 を促 進 す るた めに、学校 は どの よ うな働 きか けを行 えば よい のか 、そ の在 り方 を明 らか にす る こ とを 目 的 とす る。 6第 1 . る 3 . Ⅱ 。 研 究 1 1節 調 査 目的及 び方 法 調 査 目的 調 査 目的 は 、小 学 校 が 特 別 支 援 教 育 の 推 進 の た め に 行 つ て い る 取 組 み 及 び 、保 護 者 の 障 害 理 解 を促 進 す る た め に働 き か け を お こ な っ て い る か 実 態 を 把 握 す る こ とで あ る。
2.調
査 対 象 調 査 対 象 は 、X県
のA市
とB市
に あ る6区
中A市
に 隣 接 す る3区
で あ 調 査 手 法 調査 手法 は 、郵 送 に よる質 問紙 調査 で あ る。対象校宛 に、調 査依 頼文 、 質 問紙 、返 信 用 封 筒 を送付 し、回収 を行 つた。 回答者 は 、送 付 先 の学校 長 に指 名 され た者 で 、校 内の特別 支援 教 育 につ い て の取組 み を よ く把握 して い る教諭 と した。 回答方 法 は2件
法 及 び4件
法 に よ る項 目、1つ
選 択 可能 な項 目、複 数 選 択 可能 な項 目で あ る。4.調
査 内容 調査 内容 は 、小 学校 が行 つてい る特別 支援 教 育 に関す る取組 み に関す る内容6項
目 と、保 護 者 とのか か わ りに関す る内容4項
目で あ る。質 問 紙 の作成 に 当た つて は、特別 支援 教 育 を専 門 と してい る大 学 教授 や 大学 院 生数 名 と内容 を吟 味 した後 、 よ り妥 当性 を得 るた め に、教 育委 員 会 の 方や現職 の学校 長 数名 に助言 を頂 いた。 また、選択 回答 の項 目につ い て は 、今枝 ・ 金 森 (2014)、 松 田・ 芝 田(2014)の
調 査 結 果 を参 考 に作成 した。質 問紙 上 にお い て は、回答 者 が 回答 しや す い よ うに、「障害理解 」 とい う言葉 で は な く、「特別 な支援 を必 要 とす る児 童 へ の理解 」 と して い る。 以 下 に、そ の概 略 を示す。①特別支援教育等 の言葉 の教育現場への浸透度 ②教員 の行 つてい る言葉 か けや支援 と連携 ③ 定型発達 の児童 の特別 な支援 を必要 とす る児童 に対す る受容性 ④教員 の障害理解促進 のための研修実施 とその内容 ⑤児童 の障害理解促進す るための取組み 2)保 護者 とのかかわ り ①保護者 の障害理解 の必要性 ②特別 な支援 を必要 とす る児童 の保護者 か らの要望 ③学校 が行 いやす い保護者 の障害理解 を促進す るた めの取組 み 5。 調査期 間 調査期 間は、
2015年
5月 ∼8月 である。6.回
収率 回収率は、質 問紙 を送付 した75校
中41校
か らの返送 を得 ることがで き(回収率 54.7%)、 その うち有効回答 は、38校
(50。7%)で
あった。有 効回答以外の3校
につ いては、小規模校 であ り特別 支援学級 がない学校 や 、筆者 の説 明不足 に よ り回答方法に不備 があつたため、有効 回答 に含 めることがで きなか つた。第
2節
結 果及 び考 察 1)特 別 支援 教 育 に 関す る取組 み ① 特別 支援 教 育 等 の言 葉 の教 育 現 場 へ の浸透 度 「特別 支援 教 育」 とい う言葉 の浸透度 は38校
中38校
が 「浸透 してい る」 と回答 し浸透 率 は100.0%で
あ つた。 また、「イ ン クル ー シブ教 育」 とい う言 葉 は、38校
中 11校が「浸透 して い る」と回答 し浸透 率 は 28。9%
で あつた。 結果 よ り、「特別 支援 教 育 」 とい う言葉 の浸 透 度 は、「イ ン クル ー シブ 教 育」 とい う言葉 に比べ て は るか に低 か った。 これ よ り、現在 の教 育現 場 にお い て は 、「特別 支援 教 育 」 とい う言葉 が よ く使 われ てお り、「イ ン クルー シブ教 育」 とい う言葉 は、まだ 、 あま り使 われ てい ない こ とが分 か つた。 文部 科 学省 (2012)は 「共 生社 会 の形成 に 向 けたイ ン クル ー シブ 教 育 システ ム構 築 の た めの特別 支援教 育 の推進 (報告)」 の 「1.共
生社 会 の形 成 に 向 けて」 にお い て 、共 生社 会 の形成 には、障害者 権利 条約 に 基 づ くイ ン クル ー シブ教 育 システ ムの理念 が重 要 で あ り、そ の構 築 には 特別 支援 教 育 を着 実 に進 め る必 要 が あ る こ とを述 べ て い る。今 回 の結果 よ り、現在 の教 育 現場 にお い て は、イ ン クル ー シブ教 育 を構 築す るた め に必 要 な特 別 支 援 教 育 が着 実 に浸透 して きて い るの で は な い か と推 察 で きる。 そ の た め、今 後 、特別 支援 教 育 の視 点 を さ らに広 げ、環境 面 の 配 慮 や 支 援 体 制 等 を よ り柔 軟 に対応 して い く中で イ ン クル ー シブ教 育 を推進 してい くこ とが必 要 とな るだ ろ う。 ② 教員 の行 つて い る言葉 か けや 支援 と連 携 「教員 の方 々は特別 な支援 を必要 とす る児童 に対 して言葉 か けや支援 を行 つて い ます か」 とい う質 問 に対 して 「よ くあ る」 と回答 した学校 が38校
中37校
(97.4%)、 「た ま に あ る」 と回答 した学校 が1校
(2.6%)で
児 童 の保 護 者 や 特 別 支援 教 育 コー デ ィネ ー ター の方 等 と連 携 を行 つて い ます か」 とい う質 問 に対 して 「よ くあ る」 と回答 した学校 が
38校
中34校
(89.5%)、 「た ま に あ る」 と回答 した学校 が38校
中4校
(10。5%)
で あつた。 結果 よ り、教 員 の特別 な支援 を必要 とす る児童 に対 す る言 葉 か けや 支 援 の有 無 につ い て 、す べ て の学校 が 「あ る」 と回答 し、 日頃 か ら、校 内 に お い て教 員 が 特 別 な支 援 を必 要 とす る児 童 に対 して 声 か けや 支 援 を してい る姿 を 目にす る機 会 が多 い とい うこ とが推 察 され る。 また 、連携 の有無 につ い て も、す べ て の学校 が 「あ る」 と回答 し、特別 な支援 を必 要 とす る児 童 の学 級 担任 は、そ の児童 の保 護 者 や 特別 支援 教 育 コーデ ィ ネ ー ター とよ く連 携 してい るこ とが分 か つた。 これ らの こ とよ り、校 内 にお い て、学校 長 や 特別 支援 教 育 コーデ ィネ ー ター を中心 に、校 内体制 が整備 され てお り、そ のた め、積 極 的 に連 携 を行 え る環境 が作 られ て い る と考 え られ る。 そ の 中で、児童 の個 に応 じた言葉 か けや 支援 の方 法 を 共 有す る こ とが で き、教員一人 一人 が 自信 を もつて言 葉 か けや 支援 を行 うこ とがで き る こ とが 、言葉 か けや 支援 が 「よ くあ る」 と回答 した学校 の割 合 が 97。4%と
い う高 い結 果 につ な が った ので は ない か と考 え られ る。 ③ 定型 発 達 の児 童 の特 別 な支 援 を必 要 とす る児 童 に対 す る受 容 性 「子 どもた ちは、特別 な支援 を必要 とす る児童 と一緒 に楽 しく遊 んで います か」 とい う質 問 に対 して、「よ くあ る」 と回答 した学校 が38校
中31校
(81.6%)、 「た ま に あ る」 と回答 した学校 が38校
中7校
(18.4%)
で あ った。 ま た 、「子 どもた ちは 、特別 な支援 を必 要 とす る児 童 が 困 つ て い る時 、必 要 な支 援 を行 つてい ます か」 とい う質 問 に対 して 、「よ く あ る」 と回答 した学校 が38校
中26校
(68.4%)、 「た ま に あ る」 と回答 した学校 が38校
中11校
(29.0%)、 「あま りない」 と回答 した学校 が 1 10校
(2.6%)で
あ っ た (Figurel)。 露よくある 恭たまにある 鐘あま りない ■ないFigurel
定 型 発 達 の 児 童 か らの 支 援 結 果 よ り、「子 ど も た ち は 、 特 別 な 支 援 を必 要 とす る 児 童 と一 緒 に 楽 し く遊 ん で い ま す か 」 とい う質 問 に 対 して す べ て の 学 校 が 「あ る」 と回 答 して い た 。 これ よ り、児 童 が お 互 い に 楽 し く遊 ん で い る様 子 を よ く 目 に して い る こ とが 推 察 で き る。 ま た 、 子 ど もた ち は 、 特 別 な 支 援 を必 要 とす る児 童 が 困 つ て い る 時 、 必 要 な 支 援 を行 っ て い ま す か 」 とい う質 問 に 対 して 、「あ る 」と回 答 した 学 校 の割 合 が97.4%で
あ っ た 。これ よ り、 定 型 発 達 の 児 童 は 、特 別 な 支 援 を 必 要 とす る児 童 と 日頃 か らか か わ りを も ち 、 困 つ て い る 時 に は 支 え よ う とす る意 識 が 高 い こ と が 推 察 で き る。 しか し、「子 ど も た ち は 、特 別 な 支 援 を必 要 とす る児 童 が 困 つ て い る時 、 必 要 な 支 援 を 行 つ て い ま す か 」 とい う質 問 で は 、「子 ど も た ち は 、 特 別 な 支 援 を 必 要 とす る児 童 と一 緒 に 楽 し く遊 ん で い ま す か 」 とい う質 問 よ り も 、「 よ く あ る 」 の 回 答 率 が 低 く、 定 型 発 達 の 児 童 は 、「支 援 をす る」 とい う こ と に つ い て 、「一 緒 に 遊 ぶ 」 よ り も難 し く感 じて い る 可 能 性 が 考 え られ る。 そ の た め 、 学 級 の 中 で 、 お 互 い に どん な 時 に 困 る か 、 どん な 風 に 支 え て も らい た い か 具 体 的 な 方 法 を 考 え る機 会 を設 け る等 、お 互 い が 困 つ た 時 に 何 を して ほ しい か 伝 え られ る 関係 性 を築 け る よ うに 、言④ 教員 の障 害 理 解 促 進 の た めの研 修 実施 とそ の 内容 「学校 の 中で教員 の方 々の特別 な支援 を必要 とす る児童 に対す る肯定 的 な理解 や 支援 方 法 を促 す た めの研修 等 を行 つて い ます か」 とい う質 問 に対 して、「行 つてい る」 と回答 した学校 が
38校
中38校 (100.0%)で
あ った。 ま た 、行 つて い る研 修 内容(複数 選 択)と して 、「特 別 支 援 学校 の 授 業 の見学 」 は7校
、「実 践事例 等 の紹介 」 が29校
、「講 師 に よ る話(特 別 支援 教 育 の現状や 基本 的 な指 導 法等)」 が37校
で あ った(Figure2)。 そ の他 と して得 られ た 回答 を以 下 に示す。 ・ 研 究授 業や公 開授 業(ユニバ ー サル デ ザイ ン、特別 支援 学級) ・ 教 育セ ンター に よる訪 問指 導 ・ ソー シ ャル ス キル トレー ニ ン グ ・ ケー ス会議 ・ 定期 的 な情 報 共有及 び共通理解 0特別 支援 学校 の児童 との地域 交 流 ・ 全教員 に よ る個別 の指 導 計画 の作成 ・ 児童理解研 修Figure2
研 修 の 内容(複数 回答) 結 果 よ り、校 内で教員 の障害 につ いて の知識 や 支援 の方 法等 を促 す研 修 につ い て は 、質 問紙 を送 付 したす べ て の小学校 が行 つて いた。 この よ うな研 修 体制 が確 立 され て い る こ とが 、教員 の特別 支援 教 育 につ い ての・8一
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0 5 0 5 0 5 0 5 0 4 3 3 2 2 1 1理 解 や 意 識 を 高 め 、児 童 へ の 支 援 や 連 携 へ とつ な が つ て い る と考 え られ る。ま た 、行 わ れ て い る研 修 内 容 に つ い て は 、校 内 で 行 う こ と が 可 能 で 、 す べ て の 教 員 が 参 加 しや す く、学 校 の 実 態 や 児 童 の 様 子 等 に 合 っ た も の が 多 か っ た 。 しか し、 実 践 的 な 支 援 や 授 業 に つ い て は 、 特 別 支 援 学 校 と 連 携 し、研 修 を 行 う方 が よ り現 場 に 即 した 知 識 や 工 夫 を 得 る こ とが 可 能 で あ る。 そ の た め 、 今 後 は 、 特 別 支 援 学 校 の セ ン タ ー 的 機 能 を 活 用 し、 特 別 支 援 学 校 の 方 に 授 業 研 究 に 入 つ て も ら う工 夫 を行 っ て い く こ とで 、 よ り教 員 の 専 門 性 を 高 め る こ とに つ な が る だ ろ う。 ⑤ 児 童 の 障 害 理 解 促 進 す る た め の 取 組 み 「学 校 の 中 で 、 児 童 の 特 別 な 支 援 を必 要 とす る児 童 へ の 肯 定 的 な 理 解 を深 め る 取 組 み を行 つ て い ま す か 」とい う質 問 に つ い て 、「行 つ て い る」 と回 答 した 学 校 が
38校
中38校
(100。0%)で
あ つ た 。 「学 校 で 特 別 な 支 援 を 必 要 と して い る児 童 へ の 肯 定 的 な 理 解 を促 す 働 き か け と して 行 い や す い と感 じ る も の に ○ を 付 け て く だ さ い (複数 回 答 可)」 とい う質 問 に つ い て 、最 も 多 か っ た も の が 「交 流 及 び 共 同 学 習 」 で あ り38校
中35校
、 次 に 「専 門 家 の 講 演 」 で あ り38校
中25校
、「子 ど も の 様 子 等 の 説 明 」は38校
中24校
で あ つ た 。ま た 、38校
中9校
が「障 害 シ ミ ュ レー シ ョン 体 験 」、「 ビデ オ や 読 書 教 材 で の 説 明 」、38校
中8校
が 「障 害 の あ る人 の 講 演 」、38校
中3校
が 「保 護 者 の 講 演 」、「パ ン フ レ ッ トの 配 布 」 を 選 択 して い た (Figure3)。 さ ら に 、 そ の 他 で 得 られ た 回 答 と して 以 下 に 示 す 。 ・ 特 別 支 援 学 級 に つ い て の 学 習 (特性 を 示 した 自作 の 紙 芝 居) 。学 年 集 会 等 で の 特 別 支 援 学 級 の説 明 ・ 総 合 で 作 業 所 や 施 設 の 方 と交 流・ 読 書 教 材 を用 い た 授 業
9
一
■
一
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/ ヾ ク 24 S ′ク 25 込3
5
〆
5 0 5 0 0 5 0 5 0 ・ ・ 4 3 3 2 2 4マ '‐J 4 一 が 3 一 4 ダ √ 3 一 一 ヽ Figure3 児童 に行 いやす い働 きか け(複数 回答) 結 果 よ り、 児 童 へ の 障 害 理 解 を促 進 す る 取 組 み は 、 す べ て の 学 校 が 行 つ て お り、そ の 中 で 最 も取 組 み や す い も の が「交 流 及 び 共 同 学 習 」や 「児 童 の 様 子 の 説 明 」 等 、 実 際 に 学 校 生 活 を 共 に して い る児 童 に 関 す る 取 組 み が 上 位 に 見 られ た 。 これ よ り、 特 定 の 障 害 に つ い て 理 解 を促 進 す る傾 向 が 高 い こ とが 推 察 で き る。 しか し、 特 定 の 障 害 の み で は な く、 人 間 理 解 に 基 づ く障 害 理 解 も求 め られ る。 そ の た め 、 特 定 の 障 害 へ の 理 解 を促 す と と も に 、 そ こ か ら、 人 間 理 解 や 他 の 障 害 の 理 解 へ とつ な げ て い く こ とが 必 要 で あ る と考 え られ る。 2)保護 者 との か か わ り ① 保護 者 の 障害理 解 の必 要性 「保護者 の方 の特別 な支援 を必要 とす る児童へ の理解 は必要 と感 じま す か」 とい う質 問 に対 して、「感 じる」 と回答 した学校 が38校
中38校
(100,0%)で
あ つた。「保 護者 の方 に特別 な支援 を必 要 とす る児 童 へ の理 解 を促 す た め に学校 が働 きか け を行 うこ とが必 要 か」 とい う質 問 に対 し て 「必 要 で あ る」 と回答 した学校 が38校
中38校 (100.0%)で
あ り、「実 14際 に 働 き か け を行 つ て い る 」 と回 答 した 学 校 が
38校
中33校 (86.8%)で
あ っ た 。 ま た 、「行 つ て い な い 」 と回 答 した 学 校 の 理 由 と して 、「取 り扱 い が 難 しい 」 と回 答 した 学 校 が5校
中4校
、「対 象 児 の 保 護 者 が 求 め て い な い 」と回 答 した 学 校 が5校
中4校
、「何 を して 良 い の か わ か らな い 」 と回 答 した 学 校 が5校
中1校
で あ っ た 。 結 果 よ り、す べ て の 学 校 が 保 護 者 の 障 害 理 解 が 必 要 で あ る と感 じて お り、 そ の た め に 学 校 が 働 き か け を 行 うこ とが 必 要 で あ る と回 答 して い る。 しか し、 そ の 中 の す べ て の 学 校 が 実 際 に働 き か け を 行 つ て い る とい う結 果 で は な か っ た 。働 き か け を 行 つ て い な い 学 校 の 主 な 理 由 と して は 、「取 り扱 い が 難 しい 」 とい う回 答 が 多 く、 次 い で 「対 象 児 の 保 護 者 が 求 め て い な い 」 とい う回 答 が 多 か っ た 。「内容 の 取 り扱 い 」 に 関 して は 、 十 分 な 配 慮 を 必 要 とす る た め 、 ど の よ うな 内 容 を ど の よ うに 伝 え て い くか 、 学 校 長 や 特 別 支 援 教 育 コー デ ィネ ー タ ー 、 必 要 に 応 じで 、 特 別 な 支 援 を 必 要 とす る 児 童 の 保 護 者 と よ く話 し合 い 内 容 の 吟 味 を 行 う必 要 が あ る だ ろ う。「対 象 児 の 保 護 者 が 求 め て い な い 」 こ と に 関 して は 、 保 護 者 の 積 極 性 や 保 護 者 の 障 害 受 容 の 程 度 等 様 々 な 要 因 が 考 え る こ と が で き る。 しか し、学 校 が 保 護 者 に 対 して 障 害 理 解 を促 進 す る働 き か け を行 うこ と は 、 文 部 科 学 省 (2005)の 「特 別 支 援 教 育 を推 進 す る た め の 制 度 の在 り方 に つ い て 」 に お い て 、 児 童 や 保 護 者 の 協 力 を得 る た め に 障 害 理 解 を促 進 す る こ とが 必 要 で あ る と示 され て お り、特 定 の 障 害 の 理 解 を促 進 す る こ と も大 切 で あ る が 、 人 間 理 解 や 一 般 的 な 障 害 の 考 え 方 に つ い て 理 解 を促 進 す る 等 の 働 き か け を行 つ て い く こ と も必 要 で あ る。 ま た 、1-⑤
の 「児 童 の 障 害 理 解 を促 進 す る た め の 取 組 み 」 (p.13)よ り、 す べ て の 学 校 が 児 童 の 障 害 理 解 を促 進 す る 取 組 み を行 つ て お り、 行 い や す い 取 組 み を 複 数 回 答 で 回 答 して も ら つ た も の の 中 に は 実 際 に 行 つ て い る 取 組 み が 含 ま れ て い る こ とが 推 察 で き る。 これ らの 取 組 み の 状況 や 、 そ の 時 の 児 童 の 様 子 や そ の 後 の 変 化 を 、保 護 者 に 伝 え て い く こ と で 、 定 型 発 達 の 保 護 者 の 障 害 に つ い て の 考 え 方 を 見 直 す 契 機 や 特 別 な 支 援 を 必 要 とす る 児 童 の 保 護 者 が 障 害 受 容 を 前 向 き に 考 え る こ と が で き る よ うな 環 境 を 作 りだ す こ と も期 待 で き る。 そ の た め 、 学 級 担 任 は 児 童 が 学 校 で 学 習 した 障 害 理 解 に 関 す る授 業 の 内 容 や 体 験 した 事 に つ い て 、 学 級 通 信 等 で 知 らせ る こ とや 、保 護 者 会 で 伝 え た り して い く 中 で 、 学 校 や 学 級 の 保 護 者 の 障 害 理 解 を促 進 しな が ら、 特 別 な 支 援 を 必 要 とす る 児 童 の 保 護 者 と信 頼 関 係 を 作 つ て い く こ と が 求 め られ る だ ろ う。 ② 特別 な支援 を必 要 とす る児 童 の保 護 者 か らの要 望 「特別 な支援 を必要 とす る児童 の保護者 か ら、周 囲へ の理解 を促 して ほ しい等 の要 望 が あ るか 」 とい う質 問 に対 して 、「よ くあ る」 と回答 し た学校 が
38校
中3校
(7.8%)、 「た ま に あ る」 と回答 した学校 が38校
中29校
(76.3%)、 「な い 」と回答 した学校 が38校
中6校
(15。8%)で
あった (Figure4)。 目よ くある 嵐たまにある 霊ないFigure4
障 害 の あ る児童 の保護 者 か ら周 囲へ の障害理解促 進 の要 望 これ らの結 果 よ り、「よ くあ る」 とい う回答 した学校 にお い て は、学 校 の 中で保護者 が不安 や 要望 を伝 え る環境 が で きて い る こ とや 、特別 な 支 援 を必 要 とす る児 童 の保 護 者 の積 極 性 が 高 い こ とが考 え られ る。「な 16い 」 と回 答 した 学 校 に つ い て は 、 不 安 や 要 望 を 出 す 必 要 性 が な い 環 境 で あ る こ とや 保 護 者 の 積 極 性 が あ ま り高 く な い の で は な い か 等 の 要 因 が 考 え られ る。「た ま に あ る 」 に 関 して は 、 今 回 の 調 査 に お い て 、 そ れ ら の 要 望 が い つ の 時 期 に 出 る か 、 どの よ うな 内容 が 多 い か 等 の 詳 細 ま で 尋 ね る こ とが で き て い な い た め 深 く言 及 す る こ と は で き な い と考 え る。 ③ 学 校 が 行 い や す い 保 護 者 の 障 害 理 解 を促 進 す る た め の 取 組 み 「学 校 か ら保 護 者 の 方 へ 特 別 な 支 援 を必 要 とす る児 童 に 対 す る肯 定 的 な 理 解 を促 す 働 き か け と して 行 い や す い と感 じ る も の に ○ を 付 け て く だ さい(複数 回 答 可)」 とい う質 問 に 対 して 、 最 も多 か っ た の が 「保 護 者 会 等 で の 説 明 ・ 啓 発 」 で あ り
38校
中31校
、 次 に 「特 別 支 援 学 級 等 の 紹 介 」 で あ り38校
中26校
、「学 校 便 り・ 学 級 通 信 等 」 が38校
中24校
で あ っ た 。 ま た 、38校
中17校
が 「パ ン フ レ ッ トの 配 布 」、38校
中9校
が 「保 護 者 の 交 流 会 」、38校
中8校
が「保 護 者 の 講 演 」で あ つ た (Figure5)。上
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1 5 0 5 0 5 0 5 0 3 3 2 2 1 1 3. 2 62
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〆
Figure 5 保護者 の障害理解促進 のために行 いやす い取組 み さ らに 、 そ の 他 の 回 答 と して 得 られ た も の に 「授 業 参 観 」 が あ っ た 。 結 果 よ り、 学 校 が 保 護 者 の 障 害 理 解 を促 進 す る た め に 行 い や す い 取 組 み と して 、「保 護 者 会 等 で の 説 明 」 や 「学 校 便 り 。通 信 等 」 が 上 位 に 見 受 け られ た 。「特 別 支 援 学 級 の 紹 介 」 に お い て も 、 行 う手 段 と して は 、保 護 者 会 や 学 校 通 信 等 が 考 え られ 、保 護 者 会 や 通 信 等 は 、 比 較 的 行 わ れ る頻 度 や 配 布 され る頻 度 が 高 く、保 護 者 へ の働 き か け と して は とて も 良 い 機 会 で あ る と考 え られ る。 少 数 で あ る けれ ど も 、保 護 者 同 士 の 交 流 会 や 特 別 な 支 援 を 必 要 とす る保 護 者 の 講 演 を行 つ て い る所 も あ り、 これ に 関 して は 、 当 該 保 護 者 の 積 極 性 や 、 障 害 受 容 の 程 度 、 教 員 と の 信 頼 関 係 等 を 考 慮 す る 必 要 が あ る と考 え られ る。 18
第 1 . Ⅲ 。 研 究 2 1節 調 査 目的 及 び 方 法 調 査 目的 調 査 目的 は、研 究
1の
結果 を踏 ま え、学校 が行 つて い る障害理解 を促 進 す るた めの取組 み や 、保護 者 の障害理解 を促 す た めに行 つてい る取組 み の内容 を調 査 す る こ とで あ る。2.調
査 対象 調査 対象 は、研 究 1の結果 よ り、定型 発 達 の児童 の保護 者 に対 して働 きか け を行 つてい る と回答 の あった学校 で あ り、A市
が2校
、B市
が 1 校 で あ る(以下 【Al】、【A2】、【Bl】 と示す)。 対 象校 の選 定 は、研 究 1の 質 問紙 の項 目 「2.保
護 者 との か か わ り」 の② よ り、特 別 な支援 を必 要 とす る児童 の保護 者 か らの要 望 が、「よ くあ る」 と回答 した学校 、「た ま に あ る」 と回答 した学校 、「ない」 と回答 した学校 か ら1校
を選 び 、 了 承 を得 られ た学校 で あ る。「よ くあ る」と回答 した学校 が 【Al】 で あ り、 回答者 は特別 支援 教 育 コー デ ィネ ー ター 、「た ま に あ る」 と回答 した学 校 が 【A2】 で あ り回答者 は、学校 長 、「ない 」 と回答 した 学校 が 【Bl】 で あ り、回答者 は、特別 支援 学級 の担任 で あ る。3.調
査 手法 調査 方 法 は 、調 査者 が学校 へ 出向 き、研 究 のね らいや個 人 情報 の取 り 扱 い等 につ い ての イ ン フォー ム ドコンセ ン トを行 い、半構 造 化 面接 の方 法 に よ リイ ンタ ビュー調 査 を行 つた。 また 、そ の際 、回答者 の許 可 を得 て 、 レコー ダー でイ ンタ ビュー の 内容 を録 音 した。4.調
査 内容 調 査 内容 は 、郵 送 した ア ンケー トを も とに、学校 で特別 支援 教 育 を推 進 す るた めに行 つて い る具体 的 な働 きか け、健 常児童 の保 護 者 に障害理 解 を促 進 す るた め に行 っ て い る具体 的 な働 きか けにつ いて で あ る。聞 き 取 り調 査 の 質 問 項 目を 以 下 に 示 す 。 (1)特別 な 支 援 を 必 要 とす る児 童 に 対 して 行 う言 葉 か け や 支 援 (2)教員 の 知 識 や 理 解 を促 進 す る た め の 具 体 的 な 研 修 内 容 (3)学校 内 や 学 校 外 で の 連 携 (4)定型 発 達 の 児 童 の 障 害 理 解 を促 進 す る た め の 取 組 み (5)保護 者 の 障 害 理 解 促 進 に 向 け た働 き か け
5.調
査 時 期 調 査 時 期 は 、2015年
8月 ∼9月 で あ つ た 。 6。 分 析 方 法 【Al】、【A2】、【Bl】 で聞 き取 つた回答 か ら、障害理解 を促 進 す るの に 有 効 と思 われ るキー ワー ドを抽 出 し、そ の キー ワー ドに関連 す る取組 み の 内容 や 、それ らに よつて生 じた変化 に着 日し分析 を行 う。そ の際 、個 々 の学校 や 自治 体 で行 つてい る独 自の取組 み につ い て も取上 げ 、環境 的 な 要 因 につ い て も分析 した。 20第
2節
結 果 及 び考 察 (1)特別 な支 援 を必 要 とす る児童 に対 して行 う言葉 か けや 支 援 【Al】 ① 「共通 理解 」、「支 援 委員 会 」 本校 で は 、私 が作成 した ソフ トに よって約350人
のす べ て の子 どもの 学 習 面 、発 達 面 、心理社 会 面 、家庭 面 、 をプ ログ ラム され た一 覧化 され たデー タ を把 握 して い る。 そ の 中に、特 に発 達 系 で ピ ックア ップ され て い る児童 がお り、そ の子 た ちの個別 の指 導計画 を作成 して い る。本校 で は、月 1回 の支援 委員 会 に加 えて 、 ロン グの 「子 どもを見 つ め る会 」 と い うのが学期 に 1回 、必 ず あ る。 そ して 、 シ ョー トの 「子 どもを見つ め る会」 とい うの が毎週 終礼 の前 に行 われ て い る。子 どもに声 か けす る よ り何 よ り、職 員 間 がお互 い に共通確認 す る場 が た く さん あ る。 声 か けを す る際 に、全職 員 で確認 してい る こ とは、プ ラス の声 か け をす るつてい うの は校長 の方針 と して 出てい る。 ② 「予 防 的 な声 か け」 気 を付 けて い るの は、予 防的 な声 か けで あ る。個 々の児 童 の特性 をみ ん なで共通理解 して い るので、注意 が必 要 な場 面 の少 し前 に声 をか け る よ うに してい る。 特別 支援 学級 の児童 だ けで は な く、通 常学級 に も支援 を必 要 とす る児 童 が多 い ので 、そ の児 童 につ い て はみ ん なで共 通確 認 を 行 い 、事 前 に して ほ しい声 か けを伝 えてい る。 【A2】 ① 「共 通 理解 」、「肯 定 的 な声 か け」 発 達 に課 題 の あ る子 ど もや 情 緒 的 に不 安 定 な児 童 は禁 止 の 声 か け に 敏感 に反応 し、イ ライ ラ感 が増 し、パ ニ ックや 、破 壊 的 な行 動 につ なが る こ とも多 い。 そ の た め、職 員 会議 で共 通 理解 を行 い、児 童 の安 全や周 りの児 童 の身 に危 険 が あ る と感 じられ る とき以 外 は禁 止 の言 葉 を使 わない よ うに して い る。 あい さつ等 肯 定的 な声 か け をす るよ うに努 めてい る。 【Bl】 ① 「発 達 に応 じた対 応 」 理解 で きる言葉 を選 び 、声 か け を してい る。 学年 に あ つた言葉 づ かい を して い る。 結果 よ り、【Al】、【A2】 の回答 よ り、「共 通 理解 」 とい うキー ワー ドが 抽 出で きた。 これ に よ り、言 葉 か けや 支援 を行 う際 には職 員 間 にお いて 共通理解 を行 い、児 童 に対 し、 どの よ うな時 に どの よ うな言葉 か け を行 うの か等 の確 認 を行 うこ とが重 要 で あ る こ とが分 か つた。 特 に、【Al】 が行 って いた 定期 的 な共 通 理 解 の場 で あ る 「子 どもを見つ め る会 」 は、 児 童 の 状 況 の変 化 や 保 護 者 か らの要 望 等 を共 有 す るた め の有 効 な場 で あ り、 この よ うな場 を専用 に設 け る こ とに よつて 、教員 一 人 一 人 が よ り 児 童 の実 態 と向 き合 うこ とにつ なが る と考 え られ る。 ま た 、【Al】 の 回答 よ り、「予 防的 な声 か け」や 、 【A2】 の 回答 にお い て得 られ た 「肯 定 的 な声 か け」 につ い て も有 効 な キー ワー ドで あ り、教 員 の この よ うな接 し方 は 、定型発 達 の児童 が言葉 か け を行 う際 の見本 と して作用 す る こ とが考 え られ る。 そ の た め、 日常 的 に教員 が 、 この よ う な働 きか けを積極 的 に行 うこ とに よつて 、定型発 達 の児童 が特別 な支援 を必 要 とす る児童 に言葉 か けや 支援 を行 いや す くな る こ とや 、定型発 達 の児童 の人 間理解 が肯 定 的 に促進 され るこ とも期 待 で き るだ ろ う。そ の 際 、【Bl】 よ り得 られ た 、「発 達 に応 じた対応 」 も重 要 で あ り、児童 の発 達 の段 階や特性 に応 じた 、声 か けや 支援 の工夫 を行 うこ とが必 要 とな る。 (2)教 員 の知識 や 理解 を促 進 す るた めの具体 的 な研修 内容 【Al】 ① 「個 別 の支援 計 画 の作 成 」
全 教 師 で 個 別 の 支 援 計 画 の 作 成 を 、 夏 休 み 、 冬 休 み 、 春 休 み に 行 つ て い る。 通 常 学 級 の 児 童 の 個 別 の 支 援 計 画 を全 職 員 で 作 つ て い る。 チ ェ ッ ク リス ト方 式 の も の を 用 い て い る。 み ん な で チ ェ ッ ク して 、 グ ラ フ を 見 て 、 だ い た い
30分
程 度 で 、 作 れ る よ うに な っ て い る。 ② 「講 話 」、「特別 支 援 教 育連 盟 」 講話 は、今 年 は私 が 5月 に行 った。 毎年 い ろい ろ異 な るけれ ど、本校 で は、事例 検 討 会や 、講話 を聞い てい る。また 、必 ず授 業公 開が あ つて、 特別 支援 学級 の授 業公 開 と研 修 会 、 こち らの研修 会 で は 、事務 所 等 か ら 講 師 を招 き、研 修 会 を行 つてい る。 特別 支援 学校 の見学 につ いて は、特 別 支援 学級 を担 当 して い る先 生方 が行 つてい る。 地 区特 連(地区 の特別 支援 教 育連 盟)と い うものが あ り、そ この研 修 会 に、 うちか ら希 望者 が だ いぶ 参カロしてい る。 ④ 「就 学移 行 支援 キ ャ ンプ」A市
で は、行 政 の行 つてい る研 修 会 と して 「就 学移 行 支 援 キ ャ ンプ」 とい うものが あ る。 そ こには、保護 者 や 子 どもや 大学 の先 生や 、ST、 OT 等 が集 ま り、一 人 一 人 の支援 策 を立 て てい る。 その研 修 会 は、 とて も良 い学 び の機 会 とな る。 そ の キ ャンプ は、見学依頼 が とて も多 い。 ⑤ 「研 修 へ の 工夫 」 気 を付 けて い るポイ ン トや 大事 に して い るポイ ン トと して は 、教 師が、 「これ な らで き るか も」や 、「これ は、や つてい るか も しれ ない」 の よ うに、今 す ぐや つてみ たい と思 え る よ うな もの をな るべ く設 定す るよ う に してい る。A市
の先 生 は とて も よ く頑 張 つてい る よ うに感 じる。 けれ ども、特別 支援 の視 点 で見 た 時 に、価 値 あ るこ とをた くさん して いて も、 そ の こ とに意 味づ けが され て い ないた め、や っていて疲 労感 が あ り、本 当に これ で い い のだ ろ うか と悩 ん で しま う。 しか し、 自分 のや って い る気 も高 ま って い く。 なお かつ 、子 どもの立場 に立 て る よ うな ものが 、あ った らい い な と思 つて い る。 【A2】 ① 「授 業研 究 会 」、「講 師 に よる研 修 」 「授業研 究会」 とい うものは毎年行 ってい る。特別 支援 学級 とい うの は経験 が ない教員 に とって は未 知 の世界 で 、特別 支援 学級 で の学習 の仕 方 は、通 常 の学級 と全 然違 う。 そ のた め、 どの よ うな授 業 を行 つて い る の か校 内研 修 会 と して授 業研 究 を設 定 して い る。 そ して、授 業研 究 の後 は 、協議 会 を開い てい る。 特別 支援 学級 で の学 習 と通 常学級 で の学 習 が つ なが り、特別 支援 学級 でつ けた力 が、み ん な と一緒 の学習 の 中に生 か され る こ とが 、子 どもた ちの肯 定感や 自信 の 向上 につ なが って い く。 そ の た め、お互 い に授 業 を見合 うこ とや 、通 常学級 の 中に も個別 の支援必 要 な児 童 もい るの で 、理論 的 な面や 、 どん な支援 を した らい い のか等 具 体 的 な支援 の仕 方 につ い て は、講 師 を招 いて研 修 会 を開い た りも してい る。 ② 「特別 支援 教育研 究連 盟 」 全 職員 が参加 す る講 師 を招 い て の研 修 会 は、だ い た い年 1回行 つてい る。 しか し、特別 支援 学級 の先 生 の研 修 会 は年 間 5、
6回
程 度行 つて い る。 そ こでは、他 の学校 の特別 支援 学級 の先 生等 が集 ま って い る。A市
の 、「特別 支援 教 育研 究連 盟 」 とい うものが定期 的 に(月 に1回
程度)主 催 す る研 修 会 で は、他 の学校 の授 業 を見 た り、講 習 を した り、お互 い の 実 践 の交流や 講話 等 が行 われ てい る。 障害 の種別 で学級 が あ るので 、そ の学級 と同 じ学級 の先 生 が集 ま り、 自分 の作成 した教材 や 、教材 の交流 や 、悩 み事等 の情報 交換 も年 間 の研修 会 の 中で行 われ てい る。講 師 の先 生 (例 えば特別支援 学校 の先 生 とか)の
、講 演 会 等 も行 われ て い る。 【Bl】 24① 「支援 委員 会 」 支援 委 員 会 とい うものが 、月
1回
あ る。 そ こで職 員 同士 で の共有や 、 支援 方 法 をそれ ぞれ の立場 か ら話 し合 つてい る。 結果 か ら、【Al】、【A2】 よ り 「特別 支援 教 育研 究連 盟 」、「授 業研 究会」 【Al】 よ り、「個別 の支援 計 画 の作成 」、「移行 支援 キ ャ ンプ」、 とい うキ ー ワー ドが抽 出で きた。 「特別支援 教 育研 究連盟 」の よ うに、市 内の特別 支援 学級 の教員 が集 ま る機 会 で は、教員 が児童 の支援 をす る際 に抱 いた疑 問や 不安 等 を交流 す る こ とが で き る。 そ のた め、教員 の悩 み に応 じた実践 的 な情 報 交換 の 場 とな るだ ろ う。 また 、専 門性 の高 い教 員や 、経験 の豊 富 な教員 か らの ア ドバ イ ス も得 る こ とがで き、教員 の不安解 消や 意欲 や 専 門性 の 向上 に もつ な が る こ とが期 待 で き る。 ま た 、「個別 の支援 計 画 の作 成 」 につ い て は、【Al】 独 自の取組 み で あ る。 これ は、【Al】 の回答 者 の専 門性 が高 く、大学 院 で移 行 支援 計画 につ い て の研 究 を行 つてお り、そ こで作成 し た ツール が あ った た め(重富 、2014)、 この よ うな取組 み を行 うこ とがで きた と推 察 で き る。 「移行 支援 キャンプ」 とい うのは、平成18年
度 よ りA市
で行 われ て い る、特別 事 業 で あ り、参加 す る子 どもの保護 者 をは じめ、保 育士 、教 員 、 臨床 心理 士 、保 健 師 、行 政職 員 等約90名
が参加 し、保護 者 と対象 児 、担 当者 (各 1名 )、 助 言者(複数)を 1ユ ニ ッ トと した実践 的 なケー ス カ ン フ ァ レンスで あ る。 この事 業 で は、前 日の事 前研 修 を含 め4日
間、 教 育 的 ニー ズ の把 握 や 将 来 の ビジ ョンの共有等 を療 育や 、保護 者 を踏 ま えた ミー テ ィン グ、ス タ ッフに よる事例検討 を踏 ま え 「成 長 記録 フ ァイ ル 」 を作成 して い く。 この事 業 と並行 して、教 育委員 会 主催 の就 学相 談 も実施 され てお り、個別 の指 導 計画や 教 育支援 計画 の作成 も円滑 に進 めよ り、教 育委員 会 が 、医療 や保健 、福祉 等 の 関係 機 関 と連 携 し、発 達 障 害 へ の 早 期 支 援 を総 合 的 に行 うた め の実 践 的 な研 究 を行 うた め の モ デ ル 地域 に指 定 され て い る(大神 、2008)。 この よ うな、行 政 を挙 げた連携 の場 は、保護 者 の不 安 を取 り除 くこ とや 、教員 の指 導 の専 門性 を高 め る こ とにつ なが り、顔 の見 え る支援 体制 の構 築 が期 待 で き る。 ま た 、
A市
で は、市 民啓発 や 専 門性 の向上 を 目指 した取組 み と して「発 達 コ ロキ ウム」 と称 す る誰 で も参加 で き る研 修 会 も開催 して い る(大神 、 2008)。 この よ うに発 達 障 害 に限 らず 、地域 の特性 に応 じ、様 々 な障害 種 につ い て行 政 が積 極 的 に理 解 を促 進 す るた め の 取組 み を行 つ て い く こ とに よつて 、障害 につ い て知 る機 会や 、 当事者 の抱 え る困難 さに気 づ くこ とが で き るだ ろ う。 そ して、 この よ うな行 政 か らの後 押 しは、教 育 や 福祉 に関わ る人 た ちが 、 リー ダー シ ップ を発 揮 して行 動 を行 いや す く な る環 境 を作 り出す こ とが期 待 で き、今 後 、 さ らに必 要 とな るだ ろ う。 「授 業研 究会」で は、特別 支援 学級 の授 業 を見学 し、協議 会 を行 うこ とや 、専 門家 を呼び 、授 業後 に研 修 を行 つて い る とい う回答 を得 る こ と が で きた。 これ は 、【A2】 ① 「授 業研 究 会 」、「講 師 に よ る研 修 」 の 中 に もあ つた よ うに、経 験 の ない教員 に とつて は、特別 支援 学級 の学習 の仕 方 は 、想 像 し難 く、「見 る」 とい うこ とが 、児 童 との接 し方 や 、授 業 の 際 の工夫 等 、参考 にす る こ とが で きる。これ は、「特別 支援 学校 の見学 」 にお い て も同 じこ とが言 え る。 しか し、す べ て の教員 が特別 支援 学校 ヘ 行 き、授 業 を見学す る こ とは、行 い難 く、特別 支援 学校 のセ ンター 的機 能 を活 用す る等 して 、授 業へ の工夫や配 慮す る点等 につ い て 、 よ り専 門 性 の高 い教員 の視 点 を踏 ま えた研 修 会 を行 つて い く と良い だ ろ う。 また 、 そ の 際 に は 、 【Al】 ⑤ 「研 修 へ の 工夫 」 に あ った よ うに 、 た だ 研 修 を行 うので は な く、教員 が取組 みや す い ものや 、今行 つて い る こ と に意 味 を見 出す こ とが で き る よ うな研 修 を行 うこ とが大切 で あ り、学校の実態 や 教員 の要 望 を把握 す る こ と等 の配慮 が望 まれ るで あ ろ う。 (3)学校 内や 学校 外 で の連携 【Al】 ① 「要保 護 児 童 ネ ッ トワー ク」、「市役所 」 担任 や保 護 者 の方 以外 で の連 携 と して は、「要保護 児 童 ネ ッ トワー ク」 や 子 どもに関す る全 体 の こ とを担 って くれ てい る所 と して 「市役所 の こ ども課 」 が あ る。 例 えば、特別 支援 学級 の児童 の保 護 者 に知 的 な課題 が あ る保護 者 が いた場合 には、 こ ども課や お母 さん の ジ ョブ コー チや児童 クラブ の方 も合 わせ て会議 を開 き、通 常学級 の児 童 で発 達 の状 態 が厳 し く、虐 待 報 告 が あ つた場 合 は、や は り子 ども課 の方 と SSW(school social worker)の 人 と連携 をす る こ ともあ る。 ② 「校 区事 業 」
A市
で は 、校 区事 業(中学校 を も とに して集 ま って くる小 学 校 との連 携)が とて も盛 ん にお こな われ て い る。 そ こで 、小 中連 携 と保 幼 小連 携 と中高連携 を行 つてい る。 そ のた め、交流 もす るけれ ど、幼 稚 園 に出向 い て様 子 を見 て担任 の先 生や保 護 者 の方 と会議 を行 い 、保 育 園 の先 生 と 移 行 支援 計 画 を作 つて 、学校 に もつて上 が る よ うに な つて い る。 また、 小 学校6年
生 は保 護 者 と一緒 に移 行 支援 計 画 をつ くって 、中学校 に もつ て い き、 中学校 の先 生 と一緒 に会議 を行 う。 それ は、高校 ま で行 つてい る。 ③ 「システ ム化 」 連携 をす る際 に難 しい こ とは、い か に システ ム にす るか で あ る。や は り、 リー ドす る人 が大切 で あ る と感 じる。私 は今年 で この学校 が6年
目 なので、受 け継 ぐ人や 、つ なが る よ うに システ ム化 で き る よ うに、な る べ く手 を引 きなが ら、サ ブの特別 支援 教 育 コーデ ィネ ー ター を置 いて、 引継 ぎなが ら一 緒 に行 うの だ けれ ども、や は り、そ こに溝 が で きて はいけ ない と思 う。 それ が一番 大 きな課題 で あ る。 ④ 「人材 不足 」 小学校 は
SSWや
SC(school counselor)が あ ま りい ない の で 、本校 は、 人権 同和 で一枠 担任 してい ない人 がい るの で、動 くこ とが で き るけれ ど も、他 の学校 は人材 が少 な く、そ うい う人 を呼 び 、ア ドバ イ ス を受 けた いのだ けれ ども、 なか なか臨機 応 変 にそれ を行 えない とい う話 は、 よ く 聞 き く。 【A2】 ① 「校 内支援 委員 会 」、「人材 不足 」 学校 組 織 の 中 に校 内支 援 委 員 会 を位 置 づ け定 期 的 に連 携 を行 っ て い る。子 どもの状 況 は 日々変化 す るので 、定期 的 に見通 しを もつて支援 を 行 うこ とはす ご く大 事 にな る。 けれ ども、臨機 応 変 に対応 して い くこ と もか な り多 く、そ の時 に担任 は授 業 を行 つて い るた め動 け る人 が 限 られ てい る。 そ の場合 は、担任 以外 の人 が動 か な けれ ばい けな い の で 、普 段 か ら担 任 との連 携 や 教 員 同士 の横 のつ な が りを もつ こ とが 必 要 とな っ て い る。 ② 「状 況 に応 じた指 導 支 援 」 連携 を行 う際 に感 じる困難 点 は、状況 に応 じて の指 導支援 は 、教員 の 主案 にか か つてい る所 が あ るので難 しい と感 じる。 関わ る人 は誰 で もい い わ けで はな く、誰 が どん な声 か けや指 導 を して い くか、誰 が そ ば にい るか、児童 に対 して 、異 な つて くる。 また 、 とっ さに ど う行 動 し対応 し て い くか も難 しい。 【Bl】 ① 「生活 面 で の安 定 」 連 携 の際 の工夫 は、まず は、学習 よ りは生活 面(気持 ちの面)が安 定 で き る よ うに してい る。結 果 よ り、 連 携 の 中 身 と して は 、 教 員 や 保 護 者 等 との 連 携 で あ る 「学 校 内 連 携 」 と幼 稚 園 や 中 学 校 、 市 役 所 等 との 連 携 で あ る 「学 校 外 連 携 」 の
2つ
に 分 け る こ とが で き た 。 これ らは 、 児 童 の 実 態 や そ の 状 況 下 に 合 わ せ て 進 め て い く こ とが 求 め られ る。 ま た 、「学 校 外 連 携 」 を 行 う際 に は 、校 内 の 関 係 者 や 保 護 者 の 方 と共 通 理 解 を 測 つ て お く こ とが 必 要 で あ り、 そ の 際 に 「学 校 内 連 携 」 を うま く活 用 して い く こ とが 望 ま しい で あ ろ う。 「学校 内連携 」 と して 【A2】 、 【Bl】 よ り 「校 内支援 委 員 会 」 とい うキ ー ワー ドが抽 出 され た。 これ は 、(1)の 「特別 な支援 を必 要 とす る児童 に対 して行 う言葉 か けや 支援 」 にお いて得 るこ とが で きた 、教員 間で の 「共通理解 」 を図 るために必要 な場 で あ る と考 え られ る。特別 支援学級 の教員 等 と交 流学級 の担任 が活 発 に情報 交換 を行 い 、特別 な支援 を必 要 とす る児 童 の学 習 が どこま で進 ん でい るか等 を共 有 す る こ とに よつて、 一 緒 に活動 を行 う際 に同 じ内容 を扱 う活動 を行 うこ とが で き、児童 同士 で の交流 が行 いや す くな るだ ろ う。 そ して、「校 内支援 委 員 会 」 は(1)で 共 通理解 を図 る場 で あ つた 「こ どもを見つ め る会 」 にお い て述 べ た よ う に、何 につ い て話 し合 うか を明確 に位 置 づ けた場 で あ るた め、教員 一人 一 人 が 、児童 が どの よ うな状 況 下 にあ り、 どの よ うな支援 を してい くの か につ いて 、積極 的 に考 え、理解 をす る場 と して有 効 とな る。 「学校外連携 」 と して は、【Al】 よ り「要保護 児 童 ネ ッ トワー ク」、「こ ども課 (市役 所)」 、「校 区事 業 」 とい うキー ワー ドが抽 出 され た。 【A2】 の よ うに、児 童 の抱 え る事 情 に応 じて地域や行 政機 関 と積 極 的 に連携 で き る環境 を整 える こ とに よつて、児童 や そ の保護 者 に対 して包 括 的 な支 援 を行 うこ とが で き、学校 外 で も児 童 を支 え る体 制 を築 くこ とが で き る。 また 、「校 区事 業 」 で は 、 同 じ校 区の 中で交流や 個 別 の移 行 支援 計 画 のを行 うこ とが で き る こ とや 、地 域 の 中 で お 互 い に 気 に か け あ うこ とに つ な が る と考 え られ る。 連携 をす る際 の 困難 さ と して 、【Al】 、【A2】 よ り 「シス テ ム化 」、「人 材 不足 」や 、「状況 に応 じた対応 」とい うキー ワー ドが抽 出 され た。【A2】 ② 「状 況 に応 じた指 導支援 」 の 中の 「何 か あ った時 に動 け る人 が 限 られ てい る」 とい う回答 か らも、教 育現場 の余裕 の な さや 多忙 さを感 じ取 る こ とが で き る。 そ のた め、外 部機 関 と連携 を しよ うと して も、そ こまで 手 が回 らない こ とや 、児童 の状 況 に応 じた対応 や 十分 な話 し合 い が で き ない ま ま移 行 支 援 計 画 を作成 入 学 して しま うとい う可 能 性 も考 え られ る。 この よ うな こ とを避 け るた め に も、校 内 に ゆ と りので き る校 務 分掌 を配置す る等 、学校 長 を中心 に余裕 の な さや 多忙 さを緩 和 す る工夫 を行 う必要 が あ るだ ろ う。 また、「システ ム化 」 につ い て は、教 員 は
3年
∼6 年 程度 で人事 異動 に よ り、違 う学校 に勤務 す る こ とにな る。それ に よ り、 これ まで作 り上 げて きた 「システ ム」が根付 く前 に学校 を移 動 して しま うとい う可能性 も考 え られ る。 そ のた め、「システ ム」 を どの よ うに次 に引 き継 いで い くの か が重要 で あ り、余裕 を もつて 引継 ぎ をで き る工夫 を行 うこ とが望 まれ る。 連携 の際 に、行 つてい る工夫 と して は、【Bl】 よ り「生活 面 で の安 定」 が抽 出で きた。 この よ うに、支援 をす る際 に、大切 な視 点 を共有 させ る こ とに よつて、 どの教員 も一 貫 した支援 を行 うこ とが可能 にな る。 た く さん の注意事 項や 配 慮 事 項 を伝 え る こ とも大切 で あ るが、 まず は、支援 を行 う時 に どの 面 を重 視 して支 援 を行 うの か を 明確 に示 す こ とに よっ て、支援 す る こ とに慣 れ てい ない教員 で も躊躇 す る こ とな く的確 な支援 を行 いやす くな るだ ろ う。 (4)定型 発達 の児 童 の障害理解 を促 進 す るた めの取組 み 【Al】① 「特 別 支援 学級 の話 」、「人権 教 育 の手 引 き」 4月 に全 ク ラス に特別 支援 学級 につ い て の話 をす る。本 年度 か ら、「人 権 教 育 の手 引 き」 を、
A市
で 作成 して使 い始 めて い る。 そ の 中に例 文 が 書 い て あ り、そ の例 文 につ い て話 をす る よ うに して い る。 基本 的 に、全 て の学級 に特別 支援 学級 の児童 が い るので、それ につ い て の話 をす る よ うに して い る。 手 引 きの 中には、低 学年 用 と高学年 用 が あ り、教員 がそ れ をア レンジ して話 してい る。担任 が特別 支援 学級 で のそ の子 の頑 張 り を ク ラス の 中で報 告 はす る よ うに してい る。子 どもの発 達 段 階 に応 じて、 教材 を選 び、そ の教材 を どの よ うに伝 え るか等 も、先 生 に よって違 って い る。 ② 「交 流 及 び 共 同学習 」 交流 を よ く行 つてい る。 お そ らく、他 地 区で は、現 学級 が特別 支援 学 級 で通 常 学級 に通 つてい るの だ ろ うけ ど、A市
で は 、現 学級 が通 常学級 で 、特別 支援 学級 に通 つて い る。ここが 、大 きな違 い で あ る。そ のた め、 特別扱 い してお らず 、 自分 の特性 に合 わせ て 、そ の時 だ け、い ろん な と ころで学 習 してい る とい う意識 が あ る。 ③ 「福 祉 体験 」、「居 住 地 交流 」 授 業 で は、4年
生 は、車 いすや アイマ ス ク体験 や 盲導 犬等 の福祉 体験 を行 って い る。 また 、居住 地校 交 流 と して 、年 に1∼ 2回
、3人
の特別 支援 学校 のお子 さん と1年
生 の時 か ら交流 を行 つて い る。 そ の際、児童 の特性 等 を どの よ うに伝 えて い るか につ いて は、そ の子 た ち とは、保 育 園 が 同 じで あ つた。 だか らお互 い に 「久 しぶ りだね」 の 関係 にな る。 た だ、お互 い に細 か く好 きな こ との連絡 は取 り合 って い る。 いつ も と違 う 環境 に入 る方 が緊 張す るので、特別 支援 学校 でや つて い る こ とや 、児童 の好 きな こ と等 を大事 に して授 業 を組 み 立 て る よ うに して い る。 【A2】① 「日常 的 なや りと り」 特別 支援 学 級 に在 籍 して い る児 童 も通 常学級 に在 籍 して い る児 童 も、 基 本 はみ ん な と一 緒 に過 ご したい とい う気持 ちが あ る。 そ のた め、朝 の 会 や掃 除 、給食 等 学級集 団 と して活動す る内容 で は、一 緒 に活 動 し、特 別 支援 学級 に在 籍 して い る児童 も、通 常学級 の一員 だ と 自然 に感 じる こ とがで き る よ うに してい る。 そ の際 は、特別 支援 学級 に在 籍 して い る児 童 の こ とを、周 りの児童 がマイナ ス に提 えない よ うに、で きない か ら特 別 支援 学級 に行 くので はな く、 自分 のわか りや す い学習 の方 法 で学習 し てい る とい うこ とを、担任 が理解 し児童 に伝 えて い る。 ま た 、特別 支援 学 級 に行 く時 は 、「行 つて きます 」、「行 つて らつ しゃい」や 「た だ い ま」、 「お帰 り」 とい う日常的 なや りと りを して、意識 が 自然 に身 につ くよ う に してい る。 ② 「新 入 生へ の紹 介 」 入 学後 す ぐは 、 特別 支援 学 級 の児 童 自身 も、「な ん でみ ん な と一緒 に 学 習 しな い の か な」 や 、「なん で 自分 だ け この教 室 に行 くの か な」 とい う不安 を もつてお り、通 常学級 の児童 と一 緒 に特別 支援 学級 で学習 の体 験 や 、 ち ょつ と した レクを行 つて い る。 特別 支援 学級 には、異学年 が一 緒 に集 ま ってお り、異 学年 の児童 との交流や 、特別 支援 学級 の先 生 が 1 年 生 の学級 に入 り、特別 支援 学級 での学習 を紹介 してい る。 ③ 「伝 え る活 動 」 特別 支援 教 育 と人権 教 育や道徳 教 育 とは、相 手 の こ とを考 え、思 いや る とい う部 分 で共 通 す る部 分 が あ るよ うに思 う。授 業 の 中で は、道徳 の 時 間 に、「ガ イ ジ」 とい う発 言 につ い て の授 業や 、言葉 の大 切 さを伝 え る授 業 を行 な つて い る。 また 、道徳 以外 の授 業 の 中で も、 自分 の考 えを 伝 え られ る よ うに、隣 同士 で 自分 の考 え を伝 えあ う活 動や 、2∼