環境保全における集団生物学理論の役割
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(2) 74. 殖率が減少する率を表している。. 適応進化に必要な遺伝変異(種内の遺伝的多様性)が. 新たな生息地に少数個体が植民した個体群以外では,. 維持できなくなるので,あらゆる環境変化に耐えられ なくなってしまうのである。. 実際の野外の個体群がこのようなロジスティック式の. 本稿では,主に人為的な原因による環境変化が生物. 成長を示すことばまれだろう。むしろ,実際の個体群. 個体群の絶滅リスクにどのようなインパクトを与える. は,環境収容力の周りで変動していると考えられる。. かを,集団生物学の特に理論的な側面から解説したい。. 個体数変動の要因は天敵や競争者など他種の効果,気. 人為的な絶滅要因は,乱獲,開発による生息地の破壊,. 候などあらゆるものが考えられるが,簡単のため,ラ. 縮小,分断化や,生活排水や産業廃棄物などの放出,. ンダムな環境要因によるものと仮定しよう。すると,. 酸性雨などによる環境汚染などがあげられる。次に,. 上記のモデルに環境変動の項が加わり,. これらの要因の生態系へのインパクトを,個体群の絶 滅リスクとして評価する可能性を中心に,保全生物学. 晋=可1一昔トⅣ. (2). の理論がどのように利用できるか考察したい。 となる。ここで,どは環境変動を表す確率変数(平均. 0,分散〃)である。個体群は環境収容力の近くに達. 2.人口統計学モデル. した後は,確率的な環境変動によって環境収容力の近. 環境変化による絶滅リスクを考える場合に,最初に. くで変動していると考えられる。このとき,上記の式. 重視しなければならないのは,遺伝的な質の変化より. から個体数〟に関する拡散方程式を導き,それを解. むしろ個体数の減少という量的な変化がもたらす直接. くことによって個体数が0になるまでの平均時間を計. の効果だろう。なぜなら,遺伝的な質の低下による適. 算するのである。ただし,密度依存の項が入った上記. 応能力の減退は,個体数の減少が徐々に引き起こす長. の式を解析的に解くのは非常に困難である。最近,九. 期的かつ間接的な効果だが,個体数減少の直接の効果. 州大学理学部の箱山と巌佐(私信)は,拡散方程式を. は即座に絶滅リスクに跳ね返ってくるからである。. 多くのパラメータ値について数値的に解き,多重回帰. このような,個体数の減少の効果は,個体群生態学. 分析と似た方法で経験式を導き出した。また,. モデルによって多くの研究がなされている。大まかに. Lande(1993)やFoley(1994)は,上のロジスティッ. 言うと,個体群生態学モデルに基づく絶滅確率(平均. ク方程式を仮定する代わりに,個体群が指数的に増殖. 絶滅時間)の理論的研究は,拡散近似に基づくもの. し,環境収容力に達するとそれ以上は増殖せずに跳ね. (FeldmanandRoughgarden,1975;Leigh,1981; 返って少し減少すると仮定することによって,比較的. Tier and Hanson,1981;Lande,1993;Foley, 簡単に解析解を導き出した。このように,環境収容力 1994),分枝過程として解析するもの(Keiding,1975),. を拡散理論で言う反射壁として扱うことで数学的には. カタストロフ的事象を考慮するもの(Milton and. 大変に簡略化されたが,結果はかなり正確なようであ. Belair,1990;Ludwig,1996),レスリー行列などの. る。ここでは,Foley(1994)の解をあげておこう。. 線形モデルを使ってシミュレーションをするもの. T=忘(巧1−β一独0)−2∫乃。). (RAMAS models)などがある。これらをすべて解 説することはできないので,最も仮定が一般的な拡散 近似による理論モデルを紹介しよう。. ここでた=加茸,ぶ=γル,乃〃=J乃〃〃,〃♭は初期個体. 多くの生物個体群は,初期個体数が小さければ,次. 数である。. のロジスティック方程式に従って増殖することが知ら. どのモデルでも,環境収容力と内的自然増加率が大. きいはど,環境変動が小さいはど平均絶滅時間は長く. れている。. なる(っまり絶滅しにくくなる)。特に,内的自然増 −(ご一可−. (1). ). 加率と環境変動の比率(γル)は,平均絶滅時間に 大きな影響を与える。つまり,内的自然増加率が小さ. ここで,〃は個体数,γは内的自然増加率,∬は環 境収容力である。γは個体群の潜在的な最大増殖能力 を,∬は特定の生息域で生息できる最大個体数を意味. いほど,環境変動による個体数の変動が大きい程,個 体群は絶滅しやすいのである。. ただし,パラメータ〃によって表現される環境変動. する。括弧内の項は密度効果を意味し,個体群が最大. は,温度や餌条件の変動など,短期間に自然に起こる. 個体数に達するに従って,他個体の悪影響によって増. 比較的小さな環境変動である。それに比べ,環境汚染. (3).
(3) 75. や生息地の破壊,乱獲などの人為的要因による環境変. それぞれの絶滅要因による絶滅リスクが,個体群パラ. 化は長期間にわたり一定の方向性をもって進行する。. メータの変化に対してどのように変化するかという傾. 例えば,生息地の破壊を考えてみよう。生息地の一部. 向は多くの理論モデルで一致しており,次に述べる. が破壊されてしまえば,それだけそこに生息できる個. “スケーリング法則(scalinglaw)”としてまとめ. 体数が減少するだろうから,環境変動の増加よりむし. ることができる(Lande,1993,1998)。. ろ環境収容力の低下と扱うことが出来ると考えられる。. (1)環境の確率性が絶滅の要因であるとき,絶滅時間. もちろん,好適な生息地であるためには空間的な構造. は,環境収容力(平衡個体数)が減少するにしたがっ. が重要である場合があり,面積として生息地の3分の. てべき関数的に短くなる。つまり,絶滅時間は“個. 1が破壊されたことが直ちに環境収容力の3分の1が. 体数の何乗”という形で表され,絶滅時間の対数は. 減少したことを意味しないかもしれない。また,平衡. 環境収容力に比例する。べき関数の指数は環境変動の. 個体数が極端に減少してしまえば,後に述べる近交弱. 大きさに依る。環境変動が小さいとき,環境収容力の. 勢などが生じ 個体群の遺伝的質が低下するので,環. 減少にともなって絶滅時間は線形的な減少より急速に. 境収容力だけでなく個体の繁殖力を反映する内的自然. 減少する。逆に,環境変動が大きいときは,絶滅時間. 増加率の減少をも引き起こすかもしれない。これらの. は環境収容力の減少に対して線形的な減少より緩やか. ことに注意しなくてはならないが,粗い近似としては. に減少する。. 開発などによる生息地の縮小を環境収容力の減少とし. (2)人口学的確率性が絶滅の要因であるとき,絶滅時. て扱うことができるだろう。. 間は,環境収容力が減少するにしたがって幾何級数的. 以上で説明した絶滅モデルが扱った要因は,環境要 因がランダムに変動することによって引き起こされる. もので, 環境の確率性 (environmental. に短くなる。つまり,個体数が大きくなると急に絶滅 しにくくなるのが人口学的確率性の特徴である。 このように,スケーリング法則は絶滅確率がどれく. stochasticity)という。これは,大きな個体群でも,. らいかという絶対値に関しては何も教えないが,絶滅. ある程度の変動がある環境に生息している個体群であ. 時間が大まかにどう変化するかという直感的な把捉に. ればすべての個体群が被る要因である。これに対して,. は大いに役に立っであろう。. すでに何らかの要因によって個体数が減少してしまっ. ている個体群では,環境変動以外に人口学的確率性 (demographicstochasticity)と呼ばれている要因 が重要になる。人口学的確率性とは,産仔数が雌個体. 3.個体群の適応と絶滅リスク これまで,環境変化による個体群の遺伝的な質の変. によってばらついていたり,性比がちょうど1対1に. 化は考慮せずに個体群の絶滅リスクを述べてきた。し. ならないことによって個体群の増殖率が低下すること. かし実際には,生物はあらゆる種類の長期的な環境の. で,個体数が小さくなるほどその効果は大きくなる。. 変化に適応していく。適応は,個体が環境の変化に順. これに対して,環境的確率性の大きさは個体数とは関. 応していく順化とはちがって,世代を経るごとに徐々. 係がない。環境の確率性として扱われる環境要因は数. に蓄積されていく遺伝的な反応である。適応によって,. 学的には個体数の白色ノイズであり,長期間にわたっ. 生物はある程度の環境変化に耐えていくことができる。. て平均を取れば0になるような良くも悪くもならない. 環境変化に対する遺伝的適応は,生物進化の基礎と. 変動である。しかし,多くの個体群は,生息地の破壊. なるもので,小進化と言われている。従来,適応進化. や乱獲,さらに環境汚染によって徐々に個体数を減少. の過程は非常にゆっくりしたもので,オオシモフリエ. させており,このような“減少しっつある個体群”. ダシャク(月Zsね几むeと比∼αriα)の工業暗化などの例. の絶滅リスクは,定常的な個体群とは別の評価方法が. 外を除き観察できないものだと考えられてきた。しか. 必要だろう。また,小さな個体群では,有害遺伝子が. し,近年の進化生態学的な研究によって,生物のあら. 徐々に固定していくことによって衰微していく効果も. ゆる形質には十分な遺伝的な変異が保有されているこ. 無視できないかもしれない。 これらの絶滅要因に関しては,多くの理論的な研究 が行なわれてきたが,結果はモデルの仮定や数学的手. と,野外で推定される自然選択はしばしば人為選択と 同じくらい強い場合があり,小進化の速さはダーウィ ン自身が考えたようにゆっくりとしたものではないこ. 法によって異なる。また,個々の研究はいずれかの絶. となどがわかってきた。環境が安定していれば生物は. 滅要因に焦点が当てられているので,異なる絶滅要因. ずっと変わらないが,環境が変化すれば生物は比較的. の相対的な重要性を比較するのは困難である。ただし,. 速く変わるのである。ガラパゴス諸島に生息するダー.
(4) 76. ウインフィンチ類の嗜の形態など,小進化を野外の個. い,つまり選択差が0だからである(5=0)。この. 体群で実際に測定できた例も報告されている. ような時,形質の集団平均値はその環境にとって最も. (Grant,1986)。. 都合の良い状態にあるので,進化する必要がないので. ある。このことを,適応度という概念を使って模式的. 人為的な原因でもたらされた環境変化に生物が適応. に説明しよう(図1)。. した例も多く知られている。古典的な例はイギリスの 工業地帯におけるオオシモフリエダシャクの工業暗化. 図1の横軸は形質値で,たとえばダーウィンフィン. である。多くの農業害虫では,殺虫剤に対して次々と. チの嗜であれば嗜長のような計量した値である。緩や. 抵抗性が進化している。最近,農業害虫ではないユス. かな曲線は適応度曲線で,横軸に相当する形質値を持. リカなどの水生生物の野外個体群でも,いくつかの殺. つ個体が平均して次の世代にどれだけ子孫を残せるか. 虫剤に対する抵抗性が進化している証拠が得られてい. という量である。フィンチのような果実食の鳥類では,. る(菅谷,1997)。. 最適な嘩のサイズは果実の大きさによって決まってい. る。図で,小さな釣り鐘状の曲線は形質値の頻度分布. このような適応による応答は,もっと大域的な環境 変化,たとえば気温や水温の上昇などに対しても起こっ. を表わすから,集団平均値を持っ個体が最も適応度が. ていると考えられる。適応進化が起こる条件は,十分. 高く都合がいい。このとき,集団で最も頻度が高い個. な遺伝変異が個体群内に保有されていることと,環境. 体が最も適応度が高いので,集団の平均適応度も一番. 変化の速度が速すぎないことである。適応の速さ(進. 高い状態にある。. 化速度)には限度があるので,環境が急に変わると,. 環境が変化すると,適応度の曲線が変化する(図1. 生物の適応がそれに付いていけなくて絶滅してしまう。. 参照)。たとえばガラパゴス諸島では,干ばっが起こっ. 一方,世代時間が短く,増殖能力が高い種は適応能力. た年には果実の欠乏が起こり,普段は食べない固い果. も高い。では,どのくらいの速さの環境変化なら,生. 実を砕くことのできる大きな太い噴が有利となった. 物は適応によって対応していけるだろうか?このこと. (Grant,1986)。適応度の曲線は,形質値の大きい方. を予測するためには,それぞれの生物種によって異な. 向,つまり右側にシフトしたのである。このとき,集. る増殖率や遺伝変異のパラメータを組み込んだ理論モ. 団で最も頻度の高い個体はもはや最も適応度が高いわ. デルが必要である。. けではなくなり,集団の平均適応度は低下する。多く の個体が死んだり繁殖できなくなったりして,個体群. 一般的に,表現形質の小進化の速度は次の式で予測. の増殖率は低下するのである。ただし,形質値の大き. できる。. い個体を有利にする方向性選択が作用しているので, 点=ゐ2s (4). ここで,月 は,形質値の集団平均値が世代当たり に遺伝的に変化する量で,遺伝的応答という。′‡2は 遺伝率で,形質の変異が遺伝子によって支配されてい. る割合を表す。が=1のとき,形質の個体変異はす べて遺伝的に決定されている。′乙2=0.5のとき,形質 の変異は遺伝因子と環境要因によって半分ずっ支配さ れていることになる。Sは選択差と言い,形質に作用 する自然選択(方向性選択)の強さを表す。自然選択 とは,形質値の違いによって次世代に残す子孫の数に 違いが生じることである。自然選択は小進化の原動力 だが,遺伝率も進化速度を予測するうえで重要なパラ メータである。遺伝変異がなければ(ゐ2=0),自然. 選択が強く働いても進化は起きない(以上 Fal− coner,1989[ファルコナー,1993])。 さて,環境が変化したとき生物の適応形質はどう進. 適応の遅れ. 図1 環境変化における適応度プロフィール 環境が安定しているとき,生物の形質は最適な状態 にあり,集団平均値と適応度最大点が一致する(上 図)。環境が変化していくとき,適応度の最適点は 集団平均値から偏った位置にある(下図)。このと き方向性選択が生じ 形質は適応度最適点の方向に. 化していくだろうか。環境が安定でずっと変わらなけ. 進化するが,適応度最適点が毎世代変化する限り,. れば,形質は進化しない。それは方向性選択が働かな. 集団平均値と適応度最適点との偏りは存続する。.
(5) F−..1.1−■..一−. −.−− −. 77. 形質は次の世代には適応度の曲線がシフトした方向に. 動いていくので,それに伴って追いかけるように形質. 少し進化する。環境の変化がゆっくりしたものであれ. も進化していく。ただし,形質の進化速度には,形質. ば,この小進化による適応が環境変化についていくこ. の遺伝変異の大小に応じて限界がある。進化速度が十. とができる。逆に,環境変化が急激であったり,個体. 分に速くなければ,環境の変化に形質の進化が追いっ. 群に十分な遺伝変異が蓄積されていなかったりすれば,. いていけず,いっも最適値よりずれた状態に留まるこ. 適応による応答が環境変化についていけず個体群は絶. とになろ。このことば生物の集団の増殖を阻害するこ. 滅してしまう。. とになる。内的自然増加率が0より小さくなったとき. 形質が環境変化に適応することによって個体群が存. 個体群は絶滅すると仮定する。. 続できるかどうかを予測する理論モデルが考えられて. 量的遺伝学の理論より,形質の進化率は,. いる。進化的変化を偏りのある拡散過程と扱うことに よって,個体群が絶滅を免れる条件が解析的に解かれ. 血佃=G(拇ト∬)/山+と. (7). ている(Lynch and Lande,1993;Burger and Lynch,1995)。個体群が有限な大きさである限り,. である。ここで,Gは遺伝的変異の大きさを表すパラ. 進化的変化にはランダムな変動が生じる。このことを. メータで,相加的遺伝分散と言う。この微分方程式の. 集団遺伝学では機会的遺伝浮動と言っている。機会的. 解と,内的自然増加率の定義(式[5])から,内的自. 遺伝浮動が大きければ,でたらめな方向に進化してし. 然増加率の期待値が計算できる。個体群が絶滅しない. まう確率が高くなるので,個体群の存続にとっては不. 条件(γ≧0)は,. 利となる。拡散近似では,この遺伝浮動の効果を進化 的変化の確率変動と扱っている。ここでは,彼らの計.  ̄・−」 ̄. 2‰一意−(意+1). (8). 算結果を簡単に解説しよう。 表現形質には,安定化選択が作用しており,内的自. である。ここで,凡は個体数(集団の有効な大きさ),. 然増加率は形質値エが最適値∂にある時(∬=の最. げgは最適値の分散(どの分散)で環境変動の大きさ. 大であるとする(γ=γ仙打)。形質や環境は連続的な. を表す。この不等式は,個体群が絶滅しないで環境変. ものであれば基本的には何でもよいが,たとえば,温. 化に適応し続けられるための,環境変化率の限度を与. 度の変化や湖沼中の化学汚染物質濃度などが考えやす. えている。環境変化率が右辺より大きくなれば,個体. いだろう。形質の最適値∂は,特定の環境にとって最. 群の適応は環境変化に追いっいていけなくなり,絶滅. も適応した形質の状態である。平均形質値が最適値か. する。右辺は複雑で解釈しにくいが,個体数と遺伝分. らずれるに従って,内的自然増加率は低下する。その. 散が小さく,環境変動が大きいはど個体群は絶滅しや. ことを次の2次関数で表現する。. すいことがわかる。 条件式をもう少し実用的にするために,個体数が十. γ=㍍皿一(ェーの2/(2(d). (5). 分大きく,環境変動が小さいと仮定して,1/代書0 およびα2/αパ⊇0と近似する。すると条件式は. ここで,山は2次関数の曲率を決め,小さいはど曲 線が急で,形質と内的自然増加率との関係が緊密であ. ん/ノ百≦ゐ2. 2‰(意). ることを意味する。つまり山が小さいぼど自然選択は. と簡略化できる。ゐ2は遺伝率,Vpは表現型分散であ. 強くなる。 環境が変化すれば,それに伴って最適な形質の状態. る。左辺は,環境変化の限界値が形質の標準偏差の何. も変化するので,最適値も変化する。ここでは,毎世. 倍かを表す。Vp/山は多くの形質で10 ̄3から10 ̄2と推. 代ほぼ一定の率で変化するが,わずかにゆらぎがある. 定されている(Endler,1986)。環境変化のもとでは. と仮定しよう。たを環境変化の速さを表す定数(環境. 強い選択が作用するだろうから,これを大きめに設定. 変化率),eを環境変化の変動とすると,形質の最適. して,略/αトミ10 ̄1とする。単位時間当たりの個体群. の増殖率(内的自然増加率)を0.01と仮定しよう。. 値は時間gの関数として. 遺伝率は多くの形質で0.5から1までの値を取る。代 β(f)=如+e. (6). 表的な値として,ゐ2=0.5を仮定すると,条件は た/ノ百≦2.2×10 ̄2==10 ̄2となる。つまり,個体群. と書ける。環境変化によって平均んの速さで最適値が. は,世代当たりの変化が形質の標準偏差の100分の1. (9).
(6) 78. 以下というゆっくりとした環境変化には耐えられるが, それ以上の急速な環境変化には耐えられない。しかし,. 度は低下し,個体群の存続が危うくなると考えられる。 近交弱勢による絶滅で顕著な点は,いったん近交弱. 野外個体群において内的自然増加率が0.01以上であ. 勢によって個体数が減少し始めると,まるで何かが断. る場合はまれであるし,安定化選択係数(Ⅴ云/u)が. 崖から落下するように急速に絶滅してしまうというこ. 0.1より小さくなるような強い自然選択も自然集団で. とである。このことば,まだ実証研究によって十分確. はまれなので(Endler,1986),限界環境変化の推定. かめられていないが,理論的には十分考えられる現象. 値は過大推定ではあってもこれより甘くなることはな. で,“絶滅の渦巻き現象(extinction vortex)”と呼. いだろう。. ばれている(Gilpin and Soule,1986)。渦巻き現. ∈のようなモデルは,火力発電所建設に伴う河川水. 象が起こる仕組みは,個体数の減少とヘテロ接合性の. 温の上昇や,農薬,界面活性剤などの化学汚染による. 減少との間の相互作用によって説明することが出来る。. 個体群の絶滅リスクを評価するのに適用することが出. すなわち,なんらかの原因でいったん個体数が減少す. 来るかもしれない。実際,殺虫剤に対する抵抗性は,. ると,個体群のヘテロ接合性が減少し,ヘテロ接合性. 農業害虫でない種でも,農薬の散布が頻繁な汚染した. の減少は個体群の平均適応度を低下させることによっ. 環境の方が高い傾向がある。薬剤耐性に関しては,害. て個体数をさらに減少させるのである。. 虫の抵抗性の獲得という観点からしか考えられてこな. 近交弱勢のメカニズムについては,かって集団遺伝. かったが,このことは,野生生物も殺虫剤などの化学. 学において論争があり,未だに明らかになったわけで. 物質に対する耐性を進化させることを示している。前. はないが,劣性有害遺伝子と超優性遺伝子が有力な仮. にも述べたように,形質が進化するということは,自. 説であり,特に劣性有害遺伝子がより一般的であると. 然選択によって除かれる個体がいるということであり,. 考 え ら れ て い る (Charlesworth and. 個体群の増殖は低下する(選択荷重)。よって,抵抗. Charlesworth,1987;Lynch,1991)。劣性有害遺伝. 性に関して十分な遺伝分散が保有されており,内的自. 子は,正常な塩基配列を損傷させることによって個体. 然増加率に余裕のある種だけが殺虫剤抵抗性を進化さ. の生存や繁殖に悪影響を及ぼし,しかも少なくとも部. せ,存続することが出来る。一方,内的自然増加率が. 分的には劣性であるような突然変異遺伝子である。超. 低く,抵抗性の遺伝分散が小さな種はすぐに絶滅して. 優性遺伝子は,対立遺伝子として有害というわけでは. しまうだろう。逆の言い方をすれば,コナガ,アブラ. なく,ヘテロ接合体がどちらのホモ接合体よりも有利. ムシなどの重要な農業害虫は適応力が高く(遺伝変異. となる遺伝子をいう。どちらの場合もヘテロ接合体の. が大きく),繁殖力(内的自然増加率)も高い性質を. 割合が減少するはど個体群の平均適応度も減少すると. もった種だったのかもしれない。一方,環境汚染によっ. いう傾向は一致している。したがって,個体のヘテロ. て消失していく種は,抵抗性の遺伝分散が少なく,内. 接合性(ヘテロ接合体の遺伝子座が全遺伝子座に占め. 的自然増加率の低い好一戟略的な種*なのかもしれな. る割合)と適応度との正の相関は,近交弱勢の間接的. い。. な証拠となる。近交弱勢のより直接の検証は,近親交 配を経代的に繰り返したときに生じる平均適応度の世. 4.近交弱勢と絶滅の渦巻き現象 個体群の遺伝的多様性が減少することによって引き 起こされるもう1つの遺伝的なリスクは,対立遺伝子. 代ごとの減少分を測定すれば得られる。 次に,渦巻き現象をコンピュータ・シミュレーショ ンによって調べた研究例を紹介しよう(Tanaka, 1997,1998)。まず,基本的なモデルを説明しておこ. 間のヘテロ接合度が低下することによる近交弱勢であ. う。簡単のため,劣性有害遺伝子の場合だけを説明し,. る。小集団では,個体群を構成する個体が多かれ少な. 超優性の解析は省略する。2つの対立遺伝子A,aの. かれ血縁関係を持っことになるので,交配がランダム. 遺伝子頻度を♪,qとおく。これらの遺伝子がハーディー. であっても,遺伝的には近親交配が起こると考えられ. ・ワインベルグ平衡にあるとすれば,3つの遺伝子型. る。近交弱勢は,産卵(仔)数や生存力といった個体. AA,Aa,aaの頻度はが,2如,〆である。さらに,. の適応度を大きく左右する形質に悪影響を与える。し. 簡単のため有害遺伝子が完全劣性(ヘテロ接合体の適. たがって,近交弱勢が大きけ Lば,個体群の平均適応. 応度が正常ホモ接合体と同じ)と仮定すると,これら. *潜在的な繁殖力を高め,内的自然増加率を最大化する方向に進化した種をγ一戦略的な種,逆に,種内競争能力を高め, 環境収容力を最大化する方向に進化した種をK一戦略的な種と言う(McArther and Wilson,1967参照)。.
(7) 79. の適応度はそれぞれ1,1,1−Sとなる。ざは有害. けではなく,過去の平衡個体数も考慮しなくてはなら. 遺伝子ホモ接合体の適応度の低さを示す指数で選択係. ないことを示している。たとえば,今の個体数が数百. 数という。Sが1のとき劣性ホモ接合体の適応度は0. しかない個体群でも,過去何万年にもわたって小さな. となり,完全に除去される。. 個体群だったと考えられる食肉類と,過去数世代まで. 近親交配が起こると,ヘテロ接合体の頻度は,ハー ディー・ワインベルグ平衡を仮定した期待値より低く なる。近親交配の度合いを示す近交係数Fでそのこと. 何百万頭もいた有蹄類などとは遺伝的劣化による絶滅 リスクには大きな違いがあるかもしれない。 このことば,平衡個体数の大きい小型のげっ歯類な. を表わすと表2−2のようになる。近交係数は,同一個. どでは有害遺伝子が多く保有されているが,平衡個体. 体の対立遺伝子が同じ遺伝子の複製である確率と定義. 数のもともと小さな食肉類では有害遺伝子がほとんど. されている。平均適応度は,各遺伝子型の適応度1,. 保有されていないことと一致している(Ralls et. 1,1一ぶの遺伝子型頻度による重み平均なので,. al.,1988)。ただし,小さい個体群は遺伝的劣化以外. 面=トsヴ2一月昭(ト牒)となる。このように,個体. の要因による絶滅リスクが大きいことを忘れてはなら. 群の平均適応度は,近交係数が上がるにしたがって低. ないだろう。高い免疫力を維持するためには,有害遺. 下する。. 伝子の有無とは関係なくヘテロ接合性そのものが必要. 近交係数は,近親交配が毎世代重なるにしたがって. だと考えられる。絶滅の主な原因と考えられる環境変. 増加していく。突然変異と選択が伴うとき,近交係数. 動や人口学的確率性(性比のゆらぎ)も小集団になる. のダイナミックスは,次の漸化式で表わされる。. はどその効果が大きくなる。. 彗.1⊆(去+(ト去)中一2〟)(ト「押)伽) ここで,〝は有害遺伝子の座位あたり突然変異率, Ⅳは個体群の(有効な)サイズである。 近交係数,遺伝子頻度,個体数は,突然変異,選択, 近親交配がもたらす平衡値に達する。この平衡値は局. 5.メタ個体群動態と生物種の絶滅 これまで,環境変動によって被る個体群の絶滅リス クについて述べてきた。これまで説明してきた個体群 の絶滅は,単一の個体群が個体数を激減させることに よって消失する過程のことであった。しかし実際には,. 所的に安定で,個体群を擾乱する要因がなければ,近. たいていの生物種は多くの個体群から成っており,1. 交弱勢だけで個体群が自滅していくということはない。. つの個体群が絶滅したからと言って直ちに種の絶滅に. しかし,毎世代ある一定の率で個体数を減少させると,. 繋がる訳ではない。自然個体群は多くの局所個体群ま. 個体数の減少による近交弱勢と,近交弱勢による内的. たは地域個体群に分割しており,局所的な地域個体群. 自然増加率の減少との相互作用によって個体群が急速. の絶滅と,存続している個体群から絶滅した生息地へ. に絶滅する場合がある。個体群の撹乱率は,それだけ. の移住を繰り返しながら個体群全体が存続している。. では個体群が絶滅しない値を設定しているので,絶滅. そのような,分割した地理的構造を持った大きな個. するのは遺伝的劣化が原因となっていることがわかる。. 体群をメタ個体群と言い,メタ個体群全体における個. 個体数の撹乱は,生息地の破壊や乱獲などの外因によ. 体数の増減をメタ個体群動態と言う。最も古典的なメ. る個体数の減少を念頭においたものである。. タ個体群モデルは,局所個体群が占めている生息場所. 急速な絶滅が起こるのは平衡個体数がある程度大き. と,局所個体群が絶滅したまま空いている生息場所か. な個体群で,平衡個体数が小さな個体群はかえって近. ら成っている。局所個体群が占めている生息場所の割. 交弱勢による絶滅が起こりにくいという結果が示され. 合♪の動態は次式で表される。. ている(Tanaka,1997)。これは,小さな個体群で は,平衡状態でヘテロ接合性が低く,劣性有害遺伝子. 郎 扇−=噸(1−♪トゆ. が常に除かれていたことによって集団中に保有されて. いないからである。これた対して,大きな個体群では. ここで,椚は絶滅した空きの生息場所が移入によっ. 比較的ヘテロ接合性が高く,有害遺伝子がヘテロ接合. て新たに占有される確率,βは局所個体群が絶滅する. 体の保因者によって個体群に維持されるので,いった. 確率である(Levins,1969)。占有された生息場所の. ん個体数の減少が他の要因で起こると,近交弱勢が働. 割合が変化しない平衡状態は,郎/dJ=0より,. いて個体群の急速な絶滅をもたらすことになる。この. ♪=1−β/∽である。局所個体群が絶滅する率に比べ. ことは,個体数を考えるときに,現時点での個体数だ. て移入率がずっと高ければ,メタ個体群中のはとんど. (川.
(8) 80. の局所個体群が占有されることになる。逆に,絶滅率. 薬圭一内的自然増加率曲線. eが高くなるはど占有される個体群の割合は減少し,. e=∽のとき,♪=0,つまり占有される局所個体群 がなくなって,メタ個体群は絶滅する。存続している 内的自然増加率. すべてのメタ個体群は,局所的な絶滅率より移住率の はうが高い(∽>g)はずである。 この単純明解な結果から,環境保全にとって重要な 二つの結論が導き出される。それは,(1)開発などによっ. ¢. て局所個体群問の移住のために必要な通路を破壊して しまうとメタ個体群全体の絶滅リスクを上げることに なる(生息地の分断化),(2)空間構造そのものは保全 されても,環境の悪化などによって個々の局所個体群. D05亡L亡▼亡I. 化学物質濃度bpm). の絶滅率が上昇すれば,メタ個体群全体の絶滅リスク. 図2 ミジンコにおける化学汚染(銅)による内的自. も上昇することである。. 然増加率の減少. これらは当たり前のような結論だが,動態モデルに よってより明確になっている。特に(1)の結論は,野生 生物の保全を考える人は常に心しておいたほうが良い. に紹介し,本稿を閉じたい。それは,環境汚染の生態. だろう。欧米では,野生生物が局所個体群間を移住す. リスク分析と言われる環境科学の分野である。産業廃. るための通路(corridor)を確保することが重要な. 棄物,生活排水などの有害化学物質や有機物質による. 課題と考えられているようである。ただし,通路を確. 環境汚染は,生物個体群や生態系の破壊をもたらす人. 保することがメタ個体群の存続に寄与するかどうかは. 為的な環境変化だと言えるだろう。環境汚染にかかわ. パッチの占有率や移住成功率などにも大きく左右され,. る化学物質には,フェンバレレート,フェントエート. 一般的な傾向については明らかでない。また,実験ま. などの殺虫剤,プレチラクロール,シンメトリンなど. たは野外データによる理論の検証も行われておらず,. の除草剤,アルキルスルホン酸などの界面活性剤など. 今後の課題である。. 多岐にわたる。これらの環境汚染によって多くの生物. 個々の個体群の平均絶滅時間(了1)がわかってい. の生存率や繁殖力が低下することが,生態毒性学的な. 研究からわかっている(Bartellet al.,1992;. るとき,次の比較的簡単な式によってメタ個体群の平. 均絶滅時間(TM)が計算できる(Gurney and. Suter,1993)。最近はさらに,TBT,DESなどの環. Nisbet,1978;Nisbetand Gurney,1982)。. 境ホルモンと総称される化学物質が,生物の妊性を低 下させたり,雄の雌化を引き起こしたりすることが注. ㍍=ちg(肝)/(2(卜♪)). ㈹. 目されるようになった(コルポーン他,1997)。これ ら多様な化学物質の作用機構は非常に多様なので,使. ここで,ガは有効な生息場所(パッチ)の数,♪. 用量や環境中濃度の適正な規制を行うためには,自然. は定常状態において局所個体群によって占有されてい. 環境へのコストを統一的な基準で表わす必要がある。. る生息場所の割合である。この式から,生息場所占有. その基準の一つとして,個体群の絶滅確率が上げられ. 率が一定なら,生息場所の数が増えるにしたがってメ. るだろう。作用機構が様々で,有害効果が生活史の異. タ個体群の絶滅時間が幾何級数的に長くなることがわ. なったステージで現れるとしても,個体群の増殖率と. かる。つまり,パッチの数が増えれば,メタ個体群全. いうパラメータとして効果の強さを表わせば,より一. 体は急に絶滅しにくくなるのである。局所個体群の絶. 般的な毒性の評価になるだろう。また,化学汚染の効. 滅時間は,前に述べた環境変動による個体群絶滅モデ. 果を生物個体群の絶滅確率(または平均絶滅時間)の. ルから予測することができる。. 変化に換算することが出来れば,質的に異なった他の 要因(生息地の破壊,乱獲など)によるリスクと比較. 6.環境汚染による絶滅リスク. することが出来る。このことは,単なる比較という以 上に重要である。包括的で定量的な環境アセスメント. 最後に,これまで述べてきた集団生物学や保全生物. の枠組みの素地になり得るかもしれないからである。. 学の理論や研究法が適用できる新たな研究分野を簡単. 化学汚染物質が最も悪影響を与えやすいのは,水界.
(9) 81. 生態系である。また,化学物質の効果は生物の生活史. おわりに. 段階によっても大きく異なることがわかっている (Suter,1993)。化学汚染に対して最も敏感なのは,. 環境変動のもとで生物個体群が存続・絶滅していく. 魚類で言うと稚魚,仔魚などの生活史初期における生. 要因を個体群生態学と集団遺伝学から概観した。保全. 存力と,産仔(卵)数,精子量などの繁殖力である場. 生物学が応用科学として十分役に立っようになるため. 合が多い。これらの生活史特性は個体群の内的自然増. には,生態学と遺伝学のどちらの原理も必要であり,. 加率に大きく寄与するため,汚染物質の個体群レベル. 両者の垣根を二取り払うことが肝要である。そのことが,. での効果は内的自然増加率の低下として現れると考え. 集団生物学そのものの今後の発展にも繋がるだろうと. られる。個体群の平均絶滅時間は,式(3)からもわかる. 思われる。. ように内的自然増加率の増加関数なので,化学汚染に. 本稿を閉じるにあたって,普段から励ましの言葉や. よって内的自然増加率が低下する分が推定できれば,. 討論の機会を与えて下さっている巌佐庸,中西準子両. それによって絶滅時間がどれだけ短くなるか予測する. 博士に感謝の念を表したい。本稿は科学技術振興事業. ことが出来る。. 団戦略的基礎研究推進事業(研究代表者:中西準子) の援助を受けた。. 個体の生活史特性と個体群の内的自然増加率の関係 は,個体群が定常齢分布に従えば(各齢群の個体数比 率が定常状態に達していて変化しないこと),次のオ. 引用文献. イラー・ロトカ方程式として知られる関係式で表現で. Bartell,S.M.,R.H.Gardner & R.Ⅴ.. きる。. 0’Neill1992.且cogogよcαg 月よsゐ 且s£よmα£Zo7l,. ∞ 1=∑β ̄わg卿f. (1識. 252pp.,Lewis Publishers.. f=1. Burger,R.&M.Lynch1995.Evolution and ここで,㍍ 二研一はそれぞれ齢fまでの生存率と齢f における産仔数である。汚染物質の効果がg′や椚fの 変化として推定されれば,内的自然増加率への効果も 計算できるのである。図2は,そのような方法で推定 された生態毒性試験の結果である。化学物質(銅)の. extinctionin a changlng enVironment:a quantitativeTgenetic analysIS.Euolution 49: 151−163.. Charlesworth,D.&B.Charlesworth1987.InT. breeding depression andits evolutionary. 濃度が高くなるに従ってオオミジンコ(刀α如花王α. COnSequenCeS.A7mu.Reu.Ecol.Syst.18:237−. mαg71α)の内的自然増加率が低下し,ある濃度から. 268.. は増殖を停止する,つまり内的自然増加率が0に低下 することがわかる。このような個体群は自然界ではす ぐに絶滅してしまうだろう。 この化学物質濃度と内的自然増加率との関係(2次 関数で近似した)を,上記の絶滅時間予測式における 内的自然増加率の項に代入することにより,化学物質. コルポーン・シーア他(長尾力訳)1997.『奪われし 未来』,366pp.,翔泳社.. Endler,].A.1986.NatlLralSelectionin the mld,336pp.,Princeton University Press. Falconer,D.S.1989.Introductionto QuantitaT tiue Ge7Wtics.2nd ed.Longman.(田中嘉成・. 汚染の絶滅リスクを計算することが出来る。そのよう. 野村哲郎訳,1993『量的遺伝学入門』,546pp.,蒼. にして汚染物質の毒性を個体群の絶滅時間として表現. 樹書房). することができる。実際の環境汚染の絶滅リスクを評. Feldman,M.W.&].Roughgarden1975.A. 価するためには,環境中における化学物質の濃度の測. POPulation’s stationary distribution and. 定が必要であり,濃度の時間的,空間的な変動の効果. chance of extinctionin a stochastic environ−. も考慮する必要がある。. ment with remarks on the theory of.species. このように,汚染物質●の毒性データと生態学モデル から個体群や生態系のリスクを予測する試みは,生態. PaCking.Theor.PQPul.Biol.7:197−207. Foley,P.1994.Predicting extinction times. リスク分析といわれ,最近の環境科学で特に発展して. from environmentalstochasticity and carry−. いる分野である。米国では,群集動態モデルに毒性デー. 1ng CaPaClty.Cons.Biol.8:124−137.. タを適用して生態系へのリスクを予測しようと言う試 みもなされている(Bartellet al.,1992)。. Gilpin,M.E.&M.E.Soule1986.Minimum. Viable populations:the processes of species.
(10) 82. extinction.In:Soule,M.E.,ed.Conserua−tinction in response to environmental fZoJl戯ogogッ.・亡んeScZe71Ce q′ScαrCZ£ツα花d刀よ−. Change.In:Kareiva,P.M.,Kingsolver,L.. uersity,Sinauer Associates,PP.13−34.. G.,Huey,R.B.,eds.BioticInteractions and. Grant,P.R.1986.Ecology and Euolution qF GlobalChange,Sinauer,PP.234−250. Darwin’sFinches,458pp.,PrincetonUniver−. McArther,P.H.&E.0.Wilson1967.The Theo7ワ qFIsland Biogeography.Princeton. Slty Press,Princeton.. Universlty Press,Princeton. Gurney,W.S.C.&R.M.Nisbet1978.Sin−. gle species population fluctuationsin patchy. Milton,].G.&].Belair,1990.Chaos,nOise,. and extinctionin models of population. environments.Am.Nat.112:1075−1090.. growth.Theor.Pqpul.Biol.37:273−290.. Keiding・,N.1975.Extinction and exponential growth an random environments.Theor.. Nisbet,R.M.& W.S.C.Gurney1982.. Pop比g.月Zog.8:49−63.. 〟0(ゴeg∠Z花g 刑㍑Cとααf乙花g Pqp比gαとわ花S.Wiley,. Lande,R.1993.Risks of population extinc−. tion from demographic and environmental. New York.. Ralls,K.,].Ballou&A.Templeton1988.Es−. timates oflethalequivalents and the cost of. StOChasticlty and random catastrophes.Am.. inbreedingln mammals.Cons.Biol.2:185−. Ⅳα£.142:911−927.. Lande,R.1998.Anthropogenic,eCOloglCaland. genetic factorsin extinction and conserva−. 193.. Raup,D.M.1991.Exti7Wtion:Bad GeTWS qF BadLuch?Norton,New York.. tion.Res.PQPul.Ecol.(inpress). 菅谷芳雄1997.セイジュスリカ(Cんよro花OJ乃弘S Lawton,].H.& R.May1995.Extinction Rates,233pp.,0Ⅹford University Press,0Ⅹ−. ッosん∠mα£s比よ)における殺虫剤感受性の種内変異.. ford.. 〟ed.肋≠omog.Zoog.48:345−350.. Leigh,Jr.E.G.1981.The averagelifetime ofSuter,G.W.1993.EcologicalRish Assess− a populationin a varylng enVironment.]. r九eor.月Zog.90:213−239.. ment,538pp.,Lewis Publishers. Tanaka,Y.1997.Extinction of populations. due toinbreeding depression with demo−. Levins,R.1969.Some demographic and ge−. netic consequences of environmentalhetero−. graphic disturbances.Res.PQPul.Ecol.39:. geneityforbiologlCalcontrol.Bull.Entomol.. 57−66.. 50C.Am.15:237−240.. Tanaka,Y.1998.Theoreticalaspects of extinc−. Ludwig,D.1996.The distribution of popula− tion survivaltimes.Am.Nat.147:506T526.. tion byinbreeding depression.Res.Popul. Ecol.(inpress).. Lynch,M.1991.The geneticinterpretation Tier,C.&F.B.Hanson,1981.Persistencein of. inbreeding depression and outbreeding de−. denslty−dependent stochastic populations.. PreSSion.Euolution45:622−629.. 凡才αとん.月よoscZ.53:89−117.. Lynch,M.&R.Lande1993.Evolutionand ex−.
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