はじめに 感染性物質の運搬についてはそれを規制する法律や 規則が存在し,そして臨床材料や培養物を運搬する目 的は疾患の検査,臨床試験,サーベイランス研究,治 験,ドーピング検査,健康診断のため,新薬の開発な どだけでなく,生物テロのような突発的な感染拡大や 未知の感染症が発生した場合,その原因を特定し感染 拡大を阻止するために運ぶこともある.この場合,ワ クチン開発も目的であることを忘れてはいけない.多 くの社会的意義をもつ感染性物質の運搬であるが,運 搬している郵便,航空会社,その他の輸送業に携わる 人々は容器の破損,漏れ,または不適切な梱包により 漏れ出した感染性物質の暴露によって自らが感染する のではないかと懸念しているのも事実である(国立感 染症研究所,2013). 感染症法 生物テロに使用される可能性があり,国民の生命お よび健康に影響を与えるおそれのある感染症の病原体 等の管理を強化するために特定病原体等の管理規制 (厚生労働省,2007a)が感染症の予防および感染症の 患者に対する医療に関する法律(通称,感染症法:以 下,管理規制とする)として 2007 年 6 月 1 日に施行さ れ,微生物名がリスト化された.特定病原体等は一種 病原体等(以下,一種),二種病原体等(以下,二種), 三種病原体等(以下,三種)および四種病原体等(以 下,四種)に分類(表 1)されており,この管理規制 には施設基準・保管基準・運搬基準があり,そのなか の病原体等運搬マニュアルに特定病原体等の運搬に使 用する容器・梱包や緊急連絡体制などが書かれてい る. 感染症法は特定病原体等の培養物・意図的に特定病 原体等を添加した試料等が対象で臨床材料は含まれな い(表 1). IATA の航空危険物規則書 航空輸送において国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization:ICAO)が作成する国際 基準は拘束力をもち,国際航空運送協会(Internation-al Air Transport Association:IATA)は ICAO の基 準を組み込んだ「航空危険物規則書」(以下,規則書) (2015)を発行している.この背景については実験室バ イオセーフティ指針(WHO 第 3 版)(バイオメディ カルサイエンス研究会,2008)「感染性資料の運搬序 論」の国際輸送規則で説明されているが,その内容は 主に荷主責任と教育訓練,分類,梱包(容器・ラベリ ングとマーキングなど),危険物申告書の書き方など である. 規則書における危険物(表 2)は 9 つに分類され,第 6 分類の「病毒を移しやすい物質」とは「病原体を含 んでいる,あるいは合理的に含んでいると推測される 物質」をいい,病原体とは人または動物に病気を起こ すことができる微生物(バクテリア,ウイルス,リ ケッチア,寄生虫,菌類を含む)であり,カテゴリー
感染性物質を安全に運搬するために
鹿住祐子
国立感染症研究所薬剤耐性研究センター 〒189-0002 東京都東村山市青葉町 4-2-1How to transport infectious substances safely
Yuko Kazumi
National Institute of Infectious Diseases: Antimicrobial Resistance Research Center (AMR) Aoba-cho 4-2-1, Higashimurayama-shi, Tokyo 189-0002
キーワード:感染性物質,感染症法,航空危険物規則書,特定病原体等,カテゴリー A,カテゴリー B
寄 稿
A とカテゴリー B がある.カテゴリー A(病毒を移し や す い 物 質:UN2814 は infectious substance affect-ing human,UN2900 は infectious substance affectaffect-ing animals)の対象となる微生物は管理規制の特定病原 体等に該当するものがあるが,必ずしも一致しない. カテゴリー A のリストで cultures only が付いていな いものは培養物に加えて臨床材料も対象となる.そし てカテゴリーB(カテゴリーA の基準に合致しない病 毒を移しやすい物質:UN3373 biological substance category B)は培養物と臨床材料が対象で,たとえば 研究機関や病院細菌検査室で培養された緑膿菌や細菌 性感染症が疑われた患者の血液や尿などである. 管理規制と大きく違う点の一つは管理規制では同定 されたものを対象とするのに対し,規則書はその疑い が生じた段階から対象となることである. 荷主責任 包装物に対する責任は荷主(通常荷送人)が負う. 荷主責任は主に 1) 運搬物の分類(カテゴリー A・B,適用を受けな いもの,非危険物)は荷主が行うこと. 2) 適切な容器を使用すること. 3) 決められた梱包方法(ラベリング・マーキング) で荷物を作ること. 4) 運搬手段を選ぶこと(表 3). 5) 運搬業者・交通機関(使用する場合)・必要に応 じて公的機関に感染性物質であると申告(許可 申請・届出)すること. 6) 事故(または紛失)対応について知識を有するこ と.(荷受人でもよい) 運搬物の分類 まず梱包しようとしている微生物がカテゴリー A なのか,カテゴリー B なのか,そして病原体等がいる 可能性がきわめて低いため適応を受けない exempt human(animal)specimen,または非危険物である かを判断しなければならない.非危険物の例は除染済 みの医療廃棄物や臨床廃棄物,感染性物質を排出し空 にした医療機器,感染性物質を含まないもの,食品や 水のような環境検体,便潜血反応検査サンプル,輸血 用の血液や臓器移植用の臓器,dried blood spot:濾 紙などに血液を 1 滴垂らして dry にしたもの,無力 化・不活化された物質などである(IATA,2015,丸 尾,2015).もし,包装物の分類に迷ったときは自己判 断せず,病原体等に対する専門知識を有しリスクや分 類基準に精通した人に相談すべきである. 表 1 感染症法で対象となる特定病原体等 特定病原体等 病原体等の名称 一種 エボラウイルス,マールブルグウイルスなど 二種 ペスト菌,重症急性呼吸器症候群(SARS コロナウイルス,ボツリヌス毒 素など) 三種 結核菌(イソニコチン酸ヒドラジド,リファンピシンその他結核の治療に 使用される薬剤として政令で定めるものに対し耐性を有するものに限る), 重症熱性血小板減少症候群(SFTS ウイルス),狂犬病ウイルスなど 四種 三種以外の結核菌,コレラ菌,黄熱ウイルス,ウエストナイルウイルス, デングウイルス,腸管出血性大腸菌など 表 2 IATA 航空危険物規則書による分類 分類 物質種類 例 第 1 分類 火薬類 花火,発煙筒 第 2 分類 ガス類 喫煙用ライター,消火器 第 3 分類 引火性液体 ガソリン 第 4 分類 可燃性固体自然発火性物質 ナフタリン,安全マッチ 第 5 分類 酸化性物質,およびエチル・メチルなど有機過酸化物 過マンガン酸ナトリウム 第 6 分類 毒物 臭化シアン 病毒を移しやすい物質 カテゴリー A,カテゴリー B 第 7 分類 放射性物質 第 8 分類 腐食性物質 塩酸,水酸化ナトリウム 第 9 分類 環境有害物質を含むその他の有害物質および物品 リチウムイオン電池,ドライアイス
容器 1)カテゴリー A の病原体輸送用の容器 カテゴリー A を運搬するには既定の試験に合格し た国連規格容器(IATA,2015)を使用しなければな らない.感染症法の特定病原体等の場合,厚生労働省 の告示(厚生労働省,2007b)を参照する. 国連規格容器は通常,防漏型の 2 次容器とこれを保 護するための 3 次容器からなり,2 次容器は-40℃〜 55℃の温度範囲で少なくとも 95 kPa の圧力差を生じ る内圧に耐え,他に 1 次容器と 3 次容器を加えて 3 重 包装したうえで,散水試験または低温調整後の落下試 験,破裂試験など厳しい検査に合格しなければならな い.これは運搬中の急激な圧や温度の変化,衝撃や水 漏れ等の条件下でも病原体等の漏出を防止するためで ある.そして内容物を守るのは容器だけではなく,液 体検体を収納した 1 次容器は全量を吸収できる吸収材 に包み,また 1 次容器と 2 次容器の隙間にクッション を詰める.3 次容器にはカテゴリー A のラベル(図 1) を貼り,該当する国連番号と正式輸送品目「UN2814 infectious substance, affecting humans, ま た は UN2900 infectious substance, affecting animals」を記
載する.規定量以上1 の液体であれば相対する 2 側面 に天地無用のラベルを貼り,荷送人・荷受人の住所お よび氏名・施設名や,事故時に遭遇したときに連絡す る責任者の氏名と電話番号なども記載する. 2)カテゴリー B 用の容器 カテゴリー B の場合,必ずしも国連規格容器である 必要はないがカテゴリー B の要件を自主試験しなけ ればならない.3 重梱包(規則書の包装基準 650)であ り,容器は防漏型で,1 次容器または 2 次容器(通常 は市販されている)は-40℃〜55℃の温度範囲で少な 1 規則書:50 ml を超える量,管理規制:量に関係なく. 図 1 カテゴリー A 用のラベル
Infectious substance, affecting humans Biological substance category B図 2 カテゴリー B 用のマーク
表 3 感染性物質を運搬する手段a 輸送手段 特定病原体等 規則書の分類 一種 二種 三種 四種 カテゴリー A カテゴリー B その他 ゆうパック ─ ─ ─ ○ ● ○ ○ A 社 ─ ○ ○ ○ ● ○ ○ B 社 ─ ─ ─ ─ ─ ○ ○ C 社 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ○ 公用車等 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ a: 病原体の国内輸送について(平成 27 年度病原体等の包装・運搬講習会資料) の一部を抜粋(厚生労働省,2015). ○:通常取り扱い可能. ●:一部取り扱い不可能であるものも含まれるため注意が必要.
くとも 95 kPa の圧力差を生じる内圧に漏洩すること なく耐えなければならない点は国連規格容器と同じで あり,実際,これを自主試験することは難しいため市 販品の購入を勧める.そして吸収材やクッションを使 用し,3 次容器に UN3373 のマーク(図 2)を貼り,正 式輸送品目「biological substance category B」を記載 するなどマーキングを施す.
3)Exempt human(animal) specimen 用の容器 病原体が存在している可能性がきわめて少ないが空 輸する場合,IATA 規則書に準拠し,外装容器表面に exempt human(または animal) specimens と表示し, 容器は万が一を考慮して 3 重梱包で防漏型の 1 次・2 次容器と十分な強度をもつ 3 次容器でなければならな い. 4)ドライアイスを入れる容器 ドライアイス自身が分類 9 の危険物のため UN1845 用のラベル(図 3)が必要であり,2 次容器(密封容 器)に入れると気化したドライアイスにより二酸化炭 素ガスが膨張し破裂するため 2 次容器の内側に絶対に 入れてはならない(伊木,2012).そしてドライアイス を入れた容器は気化したガスが抜けるようにする. 梱包のセミナー
アメリカの National Institute of Environmental Health Sciences(NIEHS)の Laboratory Shipping
Proto-cols2 には「危険物の運搬を担当する者は IATA の適 切な訓練を受ける必要がある」と記載されており,以 前,筆者がカテゴリー B(非病原性菌)を日本からア メリカに輸出しようとした際,FedEx から「IATA の diploma をもっている人の梱包した荷物でなけれ ば受け取りません」と言われたことがある(2017). 日本国内で受講できる梱包の講習会 1)航空危険物規則に関するセミナーがあり,試験に合 格すると国際免許である diploma の資格が与えられ る.日本では航空危険物安全輸送協会(JACIS)と航 空貨物運送協会(JAFA)がセミナーを行っており, 座学のみで実習はないが,陸海空の運搬のなかでも法 的に一番厳しいといわれ,危険物運搬の基本的なルー ルを学ぶことができる. 2)ゆうパックを利用して検体を送付する場合の包装 の研修 管理規制の 2 法令(7)通知(厚生労働省,2007a) に「ゆうパックを利用して検体を送付する場合の包装 に関する遵守事項」があり,特定病原体等の四種とカ テゴリー B をゆうパックにより輸送する際には事業 所内に以下の包装責任者3 をおくとともに下記(1)〜 (5)の要件に従わなければならない. (1) 1 次容器から 3 次容器までは規則書(あるいは管 理規制)に従った容器を使用する.2 次容器の表 面には,「中にドライアイスを絶対に入れない」 旨の表示が必要である. (2) 4 次容器(overpack)であるジュラルミンケース (金属容器)に 3 重梱包品を入れる. (3) 荷送人及び包装責任者によるダブルチェックを行 い,包装責任者シール(安全性適正包装確認済み ラベル)を貼る.これは包装物の適合性等安全性 を担保し適正な包装物であることを証明するため で,包装責任者によるダブルチェックが済んでい ることを示すものである. (4) 送り状に,臨床検体の場合は「臨床検体・危険 物」,病原体の場合は「病原体・危険物」と書く. ドライアイスが使用されている場合は,適用欄に 「ドライアイス在中」と記載する. (5) 郵便局の窓口で開披を求められたとき,断ること 2 https://brd.nci.nih.gov/brd/sop/download-pdf/944.最終訪問日 2018 年 4 月 13 日. 3 包装責任者:国若しくは都道府県等により主催される知識及び技能を修得するための研修を受け主催者の証明を得た者, 又はこれと同等の知識及び技能を有すると認められる者. 図 3 ドライアイス用のラベル
はできないが,公共の場で開けてよいか安全性を 考慮しなければならない. この他にもいくつか条件があるが,包装の安全性に 関し不適切な事実が判明した場合,違反した施設だけ でなく全国の病原体等輸送におけるゆうパックの利用 が終了する可能性があり,包装責任者のみならず,す べての関係者は遵守事項に従うことの重要性を認識し なければならない. 適切な運搬業者と窓口 ゆうパックで四種およびカテゴリー B を送ること ができるが(厚生労働省,2015),陸路のみで航空機は 利用不可である.そして利用する際は郵便局の窓口に 持って行き,コンビニから出すことは絶対にできな い.病原体等について,郵便事業株式会社本社から全 国すべての郵便局に通知がなされているが,コンビニ の窓口は何も知らされていないためである.アルバイ トが窓口に立つこともあり,適切な梱包や表示がされ ていたとしても病原体等を引き渡すことは不適切であ る. また,表 3 に感染性物質運搬手段について示すが, 知識を有する運搬業者(A 社・B 社)は非常に少なく, 運搬業者が積極的に取り組まないのは一般市民やマス コミの反応(風評被害)と事故による感染を懸念して いることが原因と考えられており,今後の大きな課題 である(伊木,2012).感染性物質運搬を拒否している 運搬会社(C 社)にカテゴリー A はもちろんカテゴ リー B も委託することはできない.感染性物質を業者 委託する場合は,事前に各運搬会社に問い合わせて確 認する必要がある. 申告(届出) 感染性物質であることを運搬業者に申告し,場合に よっては公的機関に届け出る. 1) カテゴリー A を航空機に搭載するときは航空会社 に対して危険物申告書の提出が必須であり,いか なる場合も無申告は認められない. 2) カテゴリー B は危険物申告書を必要としないが, カテゴリー B であることを運搬業者に申告する. 3) ゆうパックの送り状に「病原体・危険物」または, 「臨床材料・危険物」と書く. 4) 一種,二種と三種は事前に各都道府県の警察本部に 設置されている公安委員会への届出を必ず行わな ければならない.届出を行わずに運搬することは 感染症法違反となるので注意する.この届出はセ キュリティ上のリスク低減が目的であるため,最 短の移動距離と時間厳守が原則であり,届け出後 は勝手に変更してはならない.事前に運搬当日マ ラソン大会のようなイベントがないかなどを調べ ておく必要がある.また,事故や紛失などのトラブ ルがあったときに警察がすみやかに協力体制を取 ることも届出の目的の一つである.したがって,交 通渋滞により 30 分以上予定時刻より遅延した場合 は,管轄の公安委員会に連絡を入れなければなら ない. 緊急時対応 特定病原体等の一種から三種を運搬するときは包装 物と一緒に消毒液と消毒に必要な資器材(例:手袋, マスクなど),交通事故を想定して発煙筒や三角板, keep out テープ,イエローカード(図 4)などを携帯 することになっている.四種やカテゴリー B には消毒 薬やその携行資器材の記述はないが,応急措置ができ る程度の資器材の携行を勧める. もし,感染性物質を運搬しているときに交通事故に 遭ったときは 110 番通報する.もちろん火災が発生し ている場合やけが人がいる場合は 119 番通報も必要と なるが,人身事故の場合は人命救助が第一である.病 原体輸送容器の破損を確認した場合は,特定病原体等 であれば厚生労働省への通報も必要となる. 110 番通報すると,通信指令本部が出て,「事故です か事件ですか」と聞いてくる.「事故です」と告げ,こ のとき,隠さず「感染性物質を積んでいます.微生物 の名前は○○○です」と言い,「これは非病原性菌だ から重大なことではない」などと勝手に自己判断しな いことが重要である. その情報を得た警察は後の対応が変わり,次々に質 問されるのでそれに従って答えていく.たとえば「事 故が発生しました.感染性物質を積んでいます.場所 は○○○です.ワゴン車に追突されましたが怪我人は いません.感染性物質の感染事故防止のため,停止表 示と立入禁止措置を取りました.破損漏洩について は,拡大を防ぐために消毒と拡散防止のためのシート 処理をしてあります.何かほかにすることはあります か.また連絡を入れますが,何か指示がありましたら ○○○に連絡してください」である.破損が目視確認 できない場合でも,破損していないと過小評価するこ とのないようにし,破損の可能性を常に念頭におく. このときの消毒作業は専門書を参考にする(国立感染 症研究所,2013;バイオメディカルサイエンス研究
会,2008). 運搬中に感染性物質が盗取,所在不明などが発生し た場合,一種から四種は厚生労働省に届け出るが,カ テゴリー B であっても荷主(荷送人か荷受人)が近く の交番か警察署に遺失届を出しておく.これは後日, 思わぬところから見つかったときに役立つ. おわりに 玩具用の花火を適切な保安検査を受けないまま航空 輸送したとしてある大手 2 社の民間運搬会社が行政処 分を受けたことがある.国土交通省の HP のコメント に適正な梱包と申告等がされていなかったと書かれて いる(国土交通省,2009).この場合,注目すべきはこ れによって事故が発生したのではなく,梱包と申告に 問題があっただけで行政処分を受けたという点であ る.危険物輸送が法的にきびしいものであることの例 であると思われる.しかし,法を守ったうえでの輸送 はかなり安全といえる.「感染性物質の輸送規則に関 するガイダンス」(国立感染症研究所,2013)の事故 報告では規則書の包装基準 620(UN2814 用)と包装 基準 650(UN3373 用)を遵守した梱包で,ある研究 所から世界各地事務所に 2003 年に輸送された 492 万 個 の 一 次 容 器 の う ち 損 傷 が あ っ た の は 106 個 (0.002%),そのうち漏洩した内容物は吸収材によって 封じ込められ,2 次容器や外装容器に損傷はなかった と報告している. 最後に,運搬を行ううえで荷主・運搬関係者・緊急 時対応者などの関係者が想定される危険性を認識し, 適切な教育訓練を受け,情報を共有し一般社会から信 頼されるようにならなければならず,大腸菌や緑のう 菌などの非病原性菌や患者検体であっても立場が異な るとそれは危険物に該当し,守らなければならない規 則があることを認識しなければならないと思われる. 謝 辞 稿を終えるにあたり,病原体運搬についてご指導い ただきました当研究所バイオセーフティ管理室の伊木 繁雄先生に感謝申し上げます. 文 献 バイオメディカルサイエンス研究会 2008.実験室バ イオセーフティ指針(WHO 第 3 版). FedEX 2017.梱包の手引き.http://www.fedex.com/ downloads/jp/packagingtips/pointers.pdf.最終訪 問日 2018 年 3 月 23 日. IATA 2015.航空危険物規則書,第 56 版. 図 4 特定病原体等を運搬するときに携帯するイエローカード http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/pdf/03-69.pdf
伊木繁雄 2012.我が国における病原体輸送の課題と 対策.モダンメディア 58:329-336. 国土交通省 2009.危険物(火薬類等)を航空輸送した 事案に係る行政処分等について.http://www.mlit. go.jp/report/press/tokatsu03_hh_000009.html.最 終訪問日 2018 年 3 月 23 日. 国立感染症研究所(翻訳・監修) 2013.World Health Organization(WHO)感染性物質の輸送規則に関 するガイダンス 2013-2014 版(日本語版). 厚生労働省 2007a.感染症法に基づく特定病原体等の 管理規制について.http://www.mhlw.go.jp/stf/ seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kekkaku-kansenshou17/03.html.最終訪問日 2018 年 3 月 23 日. 厚生労働省 2007b.厚生労働省告示第 209 号「特定病 原体等の運搬に係る容器等に関する基準」. 厚生労働省 2015.病原体の国内輸送について(平成 27 年度病原体等の包装・運搬講習会資料). 丸尾 進 2015.解説:病原体等の航空安全輸送規則 の概要(危険物輸送の国際ルール).JBSA Newsletter 5(2):16-28.