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「「神話の創造」「新しい担い手」と商店街の活性化に向けた持続可能なまちづくり― 春日井市勝川駅前通り商店街の取り組みを事例として2011 ―」

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「神話の創造」「新しい担い手」と商店街の

活性化に向けた持続可能なまちづくり

Sustainable community building through

the reactivation of shopping street by means of creating a myth

―Using as a model the case of Kachigawa Shopping Street

in Kasugai city 2011―

羽 後 静 子

Seiko HANOCHI

「地域に根,商店街は植物」―商店街は,動物ではなく植物です。地に根を 張って生かされている。地域が衰退したら,経営が成り立たない。だから物 を売るだけでなく,地域コミュニティの担い手として活動を続けています。 (坪井明治全国商店街振興組合連合会理事長 中日新聞 2011 年 12 月 21 日)

Ⅰ.プロジェクトの背景

―ネットワーキングから生まれる大学と地域をつなぐパワー 羽後静子(中部大学国際関係学部国際関係学科准教授)

1.3 .11 からの再出発

2011 年3月 11 日に日本を襲った東日本の巨大地震,津波,福島原発事故は,1つの 「神話」の崩壊であった。戦後私たちには,「天皇神話」に代わる新しい神話が必要で あった。それが原子力の「安全神話」であった。原発神話の崩壊は,戦後の経済成長を 支えてきた原子力「安全神話」の崩壊であった。戦後の日本人が信じ,「安全神話」に依

―春日井市勝川駅前通り商店街の取り組みを事例として2011―

岡 本   肇

Hajime OKAMOTO

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存した日本が築きあげてきた科学技術を基盤にした現代文明の核となった原子力の安 全神話とそれに依存した経済成長が,今回の巨大地震と津波によって,砂上の楼閣の ように,もろくも崩壊し,戦後築き上げてきた現代文明そのものが,多くの命ととも にすべて海に流されてしまった。しかし私は,どこかで,津波との出会いもまた「縁」, とコメントした被災者の記事をどこかで読んだことがある。日本人の中にある自然に 対する無常観に重ね合わせているように思える。 グローバル経済の発展は,人類史上比類のない経済的豊かさと物質文明をもたらし たが,同時にこの文明は,人類史上比類のない生態系の大規模な破壊と地球環境全体 の破壊をもたらした。生物多様性の激減により,生態系全体のシステムの持続可能性 が失われているのだが,これは実は,経済システムによる生命の商品化の結果であり, 原発への依存で起きた一切を商品化する大量生産・大量消費・大量廃棄の現代の経済 システムの必然的結果である。 「経済」の持続不可能性が「生態系」にも影響しているのである。一方,この「経済シ ステムの持続不可能性」は,「社会」の持続不可能性をももたらしている。グローバル 化する「経済システム」は,南北格差を複雑にして南北両側で貧富の格差を生み出し 先進国と途上国の両方において新しい貧困層を作りだした。これまでの外圧による経 済開発,工業開発がグローバルなレベルでの工業化先進国と開発途上諸国の社会の分 解を引き起こして,生態系の破壊,社会不安の醸成,社会秩序の崩壊,女性やこどもに 対する搾取や暴力など人権侵害を引き起こしている。その結果,「社会システム」の持 続可能性も失われ始めているのである。一方で,温暖化防止や生物の多様性を回復し, 環境破壊を食い止めるだけでなく,もっと積極的に環境対策を雇用の拡大や地域復興 につなげることをめざす「グリーン・エコノミー」注1)という概念や政策あるいは経済 活動が近年提唱されてきている。 ブラジルなど新興国,途上国では,グリーン・エコノミーをてことして,再び大規 模な経済成長を行おうという動きもあるが,グリーン・エコノミーは,まさに「まち づくり」であるという見解もある注2)。その見解にたてば,地域や村,まちを単位とし て貧困の削減,雇用の拡大による地域経済社会の活性化こそがグリーン・エコノミー の本質となる。 2012 年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催される地球サミットは,1992 年 環境サミットから 20 年経つことから「リオ+ 20」と呼ばれているが,正式には「国連 持続可能な開発会議」である。グリーン・エコノミーの目標や国際的なガイドライン が討議される予定である。 そのような世界的な情勢のなかで,21 世紀に生きる人々が信じる「神話」とはいか なる物語であろうか。わたしたちは,この勝川からどのような勝川の将来のビジョン を描くべきか,それでは私たちのプロジェクトは,「新しい神話」と「新しい担い手」を 切り口にして,このようなグローバル化した世界にあって,私たちが本来大切にして

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きた地域に歴史や,文化,人々が大事にしてきた人間関係の絆を再評価し,過去の時 間と未来の時間をつなぎ結ぶことによって,歴史と伝統をベースにした新しい神話を 創造しようとする壮大な構想である。まちづくりの将来ビジョンを発現するためにい わば土台工事をやろうとしているのである。

2.勝川の将来ビジョンをいかに構築するか

ーアニメとSNSによるまちづくりー 後にくわしく岡本報告が述べるように,中部大学や愛知文教大学の教員と勝川駅前 商店街や商店街周辺の住民,春日井市,名古屋市からのサポーターとの月1回の二水 会では,商店街を勝川と春日井市の地域コミュニティの活性化の中心,またより広く 中部地方の地産・地消にむけての農商連携・漁商連携の中心地域にするためにどうす べきかについて,知恵を絞ってきた。その話し合いから出てきたことは,商店街での 売り手と買い手が一緒になって,勝川商店街に独特な人々の触れ合いの「勝川スタイ ル」(図1-1参照)をつくろうということであった。これは,現在の勝川駅前商店街 周辺地区の住民のライフスタイルを提案し,50 年先まで見据えたライフスタイルとそ のライフスタイルにあったまちづくりを提唱しようという運動である。この「勝川ス タイル」は,商店街がただ「ものを売り買いする場所」であるばかりでなく,商店街を 訪れる事で,ほかではできない他人とのふれあいの場所,コミュニティに仕立てるこ とと定義できる。このコミュニティの体験には,いろいろな側面があるけれども,一 つの「スタイル」として商店街で触れあう人々が共有する一つのものの考え方あるい は,「知の作法」をつくることが,商店街を独特のコミュニティとして意識するうえで 必要・不可欠であることが,上記の話し合いで次第にハッキリしてきた。 勝川商店街では,毎月第 3 土曜日に大弘法市をひらいてきた。「弘法市」と名付けた のは,商店街が勝川駅と大弘法像とを結ぶ所にあるという掛け替えのない場所をしめ ていることを,勝川スタイルの中心にすえようという意図からであった。もっとも, 弘法市を開くことにしたときには,「勝川スタイル」という考えがあったのではなく, 自然発生的にまず大弘法市がつくられ,そのことがもとになって,ここにまとめて紹 介する「勝川スタイル」とその「知の作法」が理論化されたというところに,この社会 実験の意味がある。社会学的に追記すれば,ここで紹介することは,最初に「構想」が あって,それを現実にあてはめる「計画」ではなく,自然に動いて,動きながら考える 自己組織システムとしての「知の作法」の自律的な形成であったということである。 「かちかわ弘法市」は,毎月第3土曜日に開催されていて新旧住民の触れ合いの場と もなっている。弘法市を立ち上げた商店街のリーダーたちによれば,この「市」を中心 に商店街の活性化の役割を担わせようとしてきた。設立者たちは,「消費者も大量消 費を止め,生活の価値観も大きく変わりつつある中で,我々は,商店街にサードプレ

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イス(家と仕事場の間を取り持つ第3の場所)としての役割,そして本来の「市」の機 能を再生させる時ではないかと考え,市民が一体となったおらがまちの「市」をつく りあげました」とアピールしている。大弘法市を毎月一回開くことの意味は,日本古 来の「知の作法」の特色となってきた「はれ」と「け」を循環する時間の流れを活用し て,大弘法市という「はれ」の触れ合いを経験することで,弘法市での共同体の意識を, 「け」(図1-2参照)つまり普通の日常的な商店街の活動のなかに,さきに触れた地産 地消の中心となる商店街の経済活動のなかに,「はれ」(図1-3参照)の体験をもとに した「触れ合い」の共同体を自然に作り出していこうということであった。 さらに今年度から愛知文教大学の川田准教授を迎えて,「アニメによるまちづくり」 を柱の1つにすることにした。川田報告にあるように,最近アニメ・キャラクターを 使った地域振興は一定程度の有効性が評価されている。アニメで描かれている風景の 場所を観光し,追体験をすることを「聖地巡礼」とよぶらしいが,勝川の場合,従来の 「アニメ聖地巡礼型まちづくり」でなく,勝川のシンボルである,弘法大師や小野道風 をモデルにしたキャラクターにした一味アニメサイネージによるまちづくりを模索し ている。 図1-1 図 1-2 図 1-3 勝川スタイル 「知の作法」 {はれ} 大弘法市 = 大弘法像 = アニメ {け} 知の市場 = エコ・多文化市場

{け}の構造

= 商店街中心の地域社会活性化 {はれ} {け} ・ ・「いちば」を市場に吸収するグローバル経済 ・ 市場経済の中心に「いちば」をはめ込む 「はれ」と「け」の循環 これを修正する商店街=農商工連携

{はれ}の構造

勝川駅前商店街 {け} 大弘法像 弘法塾 [学びあい] 大弘法市 [出会い] SNSアニメ 密教=>民衆の即身成仏 草木国土悉皆成仏=ESD シルクロードの知識集約= 多文化共生 知識いちば エコいちば 多文化いちば

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3.勝川駅前商店街をグリーン・エコノミーの拠点に

―勝川「知の構造」― 昔日本の村落社会には,一定の時間が経過すると時間は古くなり,汚れて否定的な ものに転じるという考え方が潜んでいた。汚れた時間は害虫,疫病という形で日常的 な秩序を脅かす。祭りは,災いを吸収してくれる役割を担っていた。こうした村落の 時間の中で,古来,日本の村落で,祭りをきっかけにして村に定住する生活者集団と 外から祭りで厄払いをする移動の漂泊芸能民の集団とが一体となって祭りの華やか さをも盛り上げていた。勝川駅前商店街(以下、勝川商店街と略す)が弘法市という祭 りを商店街の再活性化の中心に据えたのは,このような日本古来の村や町の伝統にあ やかって,まちづくりの円環時間のなかの結節点にしたと考えることができるであろ う。 勝川商店街は,「大弘法市」という「はれ」の活動をすすめるとともに,「け」の商業 活動において,2006 年に「リサイクル」商店街サミットをひらいて,いち早く,勝川商 店街をグリーン・エコノミーの拠点とすることに勝川スタイルの「け」の側面での特 色をうちだしていた。 また,中部大学の教師・学生の協力を得て,春日井市の外国移住者コミュニティと の多文化共生を進めようとし,在来の韓国系のレストランや沖縄料理店の存在を生か すばかりでなく,「大弘法市」で,フィリッピンやネパールの食材などを楽しむことが できるように工夫した。生態環境の多様性と文化の多様性を「勝川スタイル」の二つ の特色とするようになったわけである。いわば,勝川商店街を「エコ市場」,「多文化市 場」とすることを,「勝川スタイル」の「知の作法」の中心におく「知の市場」ということ になっていったのである。「知の市場」には,春日井市が小野道風の生誕地であるとい う神話と「大弘法像」を中心とする商店街の神話の好転で,書道が「勝川スタイル」の 「知の作法」にくわえられたことも,ここに特記すべきであろう。(図1-4を参照) 大弘法像は,ある意味で,上記の書への関心のみならず,エコ市場,多文化市場とし ての勝川商店街の「知の作法」を支える大切なしくみを提供することになった。それ は,勝川商店街に設立された「弘法塾」という形で実現した。 「勝川スタイル」はエコ市場・多文化市場として,農商連携・漁商連携という形で, 地域の一次産業の産物を地域で消費する「け」と,知の市場として,商店街に定住する 売り手と訪れる「買い手」市民が,生物多様性の生態環境面と多文化共生の社会・経 済面の「知」的な触れ合いの場となるという「はれ」の側面を組み合わせることを,近 代風にいえば,「持続可能な開発」教育(ESD)ということになる。しかし,このことを もっと勝川スタイルとして,この「はれ」の面を商店街の売り手と買い手に共有して もらうためには,大弘法像につながる「神話」をもって,この面のことを「知の作法」 の枠のなかで説明することが必要になってくる。その場合に弘法大師の事績をふりか

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えってみると,今日の持続不可能な環境問題と経済社会問題を生んでいるグローバル 化した世界にローカルなコミュニティの生活が浸透・侵害されていることの問題に似 た歴史状況の中に立つ弘法大師の姿を振り返ることを「知の作法」の「はれ」の部分で 浮き立たせることができる事に気付かされる。 図1-4 弘法大師像は,笠をかぶって行脚する姿で勝川商店街を見下ろしている。信者たち と同行二人の巡礼をすることで,日本各地の伝統的な知を杖で歩いた弘法大師は入唐 して,宇宙と一体になる密教を学んだ。彼は,長安で仏教のみならず回教(イスラーム)

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や景教(キリスト教)にも接し,シルクロードの多文化世界に接している。生命とその 多様性と,文化の多様性と共生を学んで日本に帰ってきた弘法大師は,日本で民衆の 知恵を共有して池をつくったり温泉を見つけたりした。このような弘法大師の二つの 側面によって,日本古来の知恵と先進国大唐のグローバルな知識をつなぐことで,当 時の日本の持続可能な歴史の発展を可能にした。今日の日本で,勝川スタイルが求め ていることは,ある意味で弘法大師の時代と同じともいえるが,グローバル化のなか でのローカルな民衆の生活の知恵がグローバルな西欧近代の知識に引きずられる状況 にあり,これをうまく持続可能な形で共生することをねらっている。かつての密教の ように民衆には知らされない科学技術の知識を民衆の知恵とつなぐことが,今の勝川 スタイルがねらっている知の市場としての特色であるといえる。 その意味で,科学技術を研究者の独占物にしないこと,これをむしろ市民の知恵の 立場で考え直す,そういう知的な活動をする場所として,「弘法塾」をつくるという構 想がうまれたのは,弘法大師を中心にしたおかげで,このような歴史の読み方をする ようになったからであるといえる。

4.弘法塾開催

以上述べたような経緯を経て,中部 大学の学生,市民,外国からの留学生 をも交えた多文化の学びの場で,科学 技術の問題と経済社会の問題とを一緒 に学ぶ場として「弘法塾」が生まれた。 「弘法塾」は,正式名は,中部ESD白 熱講座といい,マスコミでも話題に なったハーバード大学のサンデル教授 の白熱教室「これからの正義を考えよ う!」からヒントを得た。しかしこち らは,白熱教室のような大学教授からの一方的な講義ではなく,中部大学の学生・教 員・市民が輪になって議論する対話型市民講座である。 弘法塾は,原発依存によってのみ可能であった「大量生産,大量消費・廃棄型社会」 から再生可能エネルギーへの転換による「持続可能な自立分散・地域循環型社会」へ の変革のための学びを目指している。国家中心から地域・市民中心へ,人と人,人と 自然,人と地域との共生関係を学ぶことから生物の多様性と文化の多様性を中心にし た持続可能な発展を学びあう。このように勝川スタイルの「知の構造」は,弘法市と弘 法塾で支える構造になった。1年目の内容は以下のとおりである。

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第1回 弘法塾 日時:5月 28 日(土)13:30 ~ 16:30 「エネルギー問題から考える地球環境の持続可能性」 講師:山羽基(中部大学教授) コメンテーター:越田清和 主催:中部ESD拠点推進会議 共催:勝川商店街+サポーター会議(二水会) 協力:「中部大学地球環境論―持続学のすすめによる実践型人材の育成」 第2回 弘法塾 日時:6月 25 日(土)13:30 ~ 16:30 「バイオマスを中心の再生可能エネルギーについて議論しよう!」 講師:行本正雄(中部大学教授) 第3回 弘法塾 日時:7月 23 日(土)13:30 ~ 16:30 「これからの日本,『脱成長』について議論しよう     エネルギー問題から考える地域の持続可能性」 講師:駒宮博男(ぎふNPOセンター理事長) 第4回 弘法塾 日時:9月 24 日(土)13:30 ~ 16:30 「『関係性』が新しい幸せの形,改めてコミュニティーを考える ―人と人,人と自然,世代間の関係性が良好であることが『幸せ』の定義」 講師:駒宮博男(岐阜NPOセンター理事長) 第5回 弘法塾 日時:10 月 22 日(土)13:30 ~ 16:30 「地域ブランドと農商連携」都市のスタイルを考える 講師:西脇正倫(西脇プランニングオフィス) パネルディスカッション:水野隆,西脇正倫 事例発表:地域SNSサイネージ 上田敦彦(春日井SNS研究会)      サボテンプロジェクト 林越(春日井商工会議所職員)

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第6回 弘法塾 日時:11 月 26 日(土)13:30 ~ 16:30 「これからの産業を考えよう!」  ①第1次産業・第2次産業・第3次産業の産業構造  ②雇用から見た起業・従業・隋業(造語)  ③TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について 講師:木村正彦(中部ESD拠点推進会議幹事) 第 7 回 弘法塾 日時:12 月3日(土)13:30 ~ 16:30 「企業の視点から考える!」 講師:黒岩恵(トヨタ社友),木村正彦(中部ESD拠点推進会議幹事)

「弘法塾」開塾の由来と理念

この度,国連大学認定・中部ESD拠点の事務局(中部大学内)の所在地で ある春日井市の勝川駅前商店街にある大弘法のもと「中部大学ESD白熱講 座」を中心に,日本の未来を,中部地域の未来を担う人材育成を目的に「弘法 塾」を開くこととなった。 「弘法塾」と塾名がなったのは,東北関東大震災の震災,津波,原発事故(放 射能汚染)の三重苦を目の当たりにし,これを乗り越え,近代合理主義から 生み出された価値観のもとひた走ってきた生き様を反省し,地球環境と調和

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した「新しい生き様」を日本列島の各地に開く「世直しの智慧」を弘法大師の ように身につけようという想いを表明する為です。 「即身成仏」を説いた弘法大師,日本各地を行脚した弘法大師,顕教に頼る 民衆に密教を説いた弘法大師,今も遍路の「同行二人」に付き添う弘法大師 のように,「密教(自然の法則)」と「日常」とを結ぶ「智慧」を研き,「英知」を 生み出す白熱した議論を,世間一般の場で,学生や市民の立場でする場とな るような塾を開くのです。 「貪欲」を原動力とするグローバル経済の為に,持続不能となりつつある地 球環境,商店街,大学,限界集落,就職競争の場,失職におびえる職場などで 「世直し」に立ちあがろうとしている市民や学生の毎日の生活と,原発などの 科学技術が生み出す光と闇との関係を理解し,虚言を見破り,真実を見抜き, 「密教(自然の法則)」を知る「智慧(英知)」を身につけることに努めるのです。 東北地方が 1945 年の敗戦当時に戻ったような日本列島の中で,もっとも 豊かなモノづくり地域である中部地方に暮らす者として,お遍路さんが「弘 法大師との同行二人の巡礼」で「貪欲」などの雑念を払うような気持ちで,参 加者一同が議論することで「英知・智慧」を生み出す場を作り上げていきた いのです。 私どもは,この「英知と智慧」を持って生活する人々,地球の環境と調和し た社会をつくる人材を,この「弘法塾」で生み出していく覚悟です。 皆さまの,ご参加,ご理解,ご支援,ご協力を,心よりお待ち申し上げてお ります。   平成 23 年4月吉日 塾長 武者小路公秀 (元 国連大学副学長)

注1)グリーンエコノミーについては,政府,企業,自治体,NPOなどによる多様な見解,意見が あり,政府レベルと市民レベルでの論争もある。世界的にリードしているEUがグリーンエ コノミーの政策化を議論している。それについては以下を参考。ニコラス・ヘンリー,欧州 委員会『環境に優しい経済(グリーンエコノミー)への移行』低炭素推進国際会議,2009 年 10 月5日,横浜。 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tkk2009/23EU_AM_Jap.pdf 注2)筆者が参加した 2012 年 6 月に開催される「地球サミット リオ+ 20」に向けた一連の研究会 でそのような議論,外務省担当者の意見があった。

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Ⅱ.

「商店街+サポーター会議」

(二水会)の活動展開

岡本 肇(中部大学中部高等学術研究所講師) 水野 隆(春日井市商店街連合会副会長)

(1)二水会の体制・目的

「商店街+サポーター会議」 (通称:「二水会」)は,勝川 駅前通り商店街(以下「勝川 商店街」)の地元リーダーと 商店街の外部から支援を行う 一般市民,大学教員など約 10 名が,商店街内部の運営に関 わる担い手(勝川駅前通商店 街振興組合など)に対して, 商店街でのまちづくりに関す る事業・将来像などの提案や, 商店街内部の担い手の事業の 評価・協働活動を行うことを 目的に活動している組織であ る(図2-1参照)。2009 年7 月から,原則毎月第二水曜日に,勝川商店街の再開発ビルの中にある会議室で定例会 を開催している。

(2)二水会の描く中心市街地像と担い手像

二水会の描くこれからの中心市街地のあり方として,単に商店街の個店が従来のよ うにただ商品を売ればいい,あるいは商店街だけ発展すればいい,という観点だけで はなく,以下のような機能を持つことが不可欠であると考えている。 ・地域アイデンティティを支える文化・交流・情報発信拠点 ・高齢化社会を支える福祉拠点 ・人口減少・低炭素化時代における集約的都市構造(コンパクトシティ)実現の ための人口の受け皿etc つまり,勝川駅前商店街のようないわゆる中心市街地としての役割を担う商店街 図2-1 二水会の体制 ・ 目的

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は,周辺地域あるいはそれを超えた広域的な地域からみた,より公共的な位置づけに よって形成されるべきものであると考える(またそうでなければ従来の商店街として の機能もこれからの時代は成り立ち得ない)。 商店街やその周辺地域の運営に関係する担い手は概して,商店街振興組合や町内会 等のような古くからの経営者・住民による慣習的な関係性で成り立っているコミュニ ティによって形成されている。商店街を構成するこのような従来型のコミュニティの 存在と絆の強さは,商店街存続及び中心市街地活性化のために不可欠ではある。しか し固定化・高齢化しつつメンバーによるルーチンや,商店主の後継者不足・町内会等 の加入者率低下による限界も顕在化している。商店街という場をより公共的な位置づ けに昇華させていくための新たな価値によるヴィジョン・サービス・事業を創造して いくには,従来型の担い手に加え,NPO,市民活動,民間企業,大学等,商店街の外部 者を含めた様々な担い手の協働による多様なプロジェクトを通して,総合的・持続的 な運営を目指す「パートナーシップのまちづくり・地域運営」が必要であると考える。 二水会は上記のような中心市街地像やそれを支える担い手像を念頭に入れており, 勝川での実践においては,(1)に記したように商店街の「外部」の「担い手」候補者が どうやって商店街や商店街周辺地域の新しい価値や将来ヴィジョン,事業を創造して いくか,そのための場づくり,将来ヴィジョン・事業を創造するまでのプロセスの設 計,運営方法等を実験的に試みている。

(3)二水会の活動の展開

1)平成 21 年度(表2-1参照) 二 水 会 の 定 例 会 は,現 在 (2012 年 1 月)までに,計 25 回開催されている。初年度で ある平成 21 年度は,他事例の 活動の学習や,勝川駅前商店 街周辺地域および春日井市を 象徴する地域資源(書道,サ ボテン等)に纏わる事業等の 動向を共有することに重点が 置かれた(「学びの段階」)。 2)平成 22 年度(表2-2参照) 平成 22 年度は,Ⅰ.二水会 が勝川駅前のまちづくりで 定例会議題 平成二十一年度 第 1 回 7月 8日 ◎講演『勝川駅前開発 20 年の歩み』◎講演『巣鴨商店街の町並み』(岡本肇)(水野隆) ◎二水会の今後の展開について 第 2 回 8 月 4 日 ◎国際的な書の活動を通じた「書のまちづくり」へ向けた報告(波多野明翠氏(書道家)) 第 3 回 9 月 9 日 ◎講演『兵庫県佐用町の水害ボランティア報 告―物を運ぶことは心を運ぶこと―~地 域SNSを災害時にどう役立てるのか~』 (今枝久氏(リリオの会)) ◎『春日井サボテンラボ&ショップ こだわり 商店―スタートまでの経緯とウチワサボテ ンの効果・効能について―』(出口美紀氏) 第 4 回 10 月 14日 ◎講演『ひまわりからつくる地域のエネルギー』(山羽基氏(中部大学)) 第 5 回 11月 9日 ◎講演『SPACIA とまちづくり』(村井亮治 (株式会社都市研究所スペーシア)) 第 6 回 1月 19日 ◎地域SNSについて ◎COP10 に向けて 第 7 回 2月 16日 ◎講演『市民活動を通じて感じたこと―地 域の持続発展に向けて―』(今西實氏) 第 9 回 3月 10日 ◎WS(勝川のいいところ・悪いところ・じゃ あどうする?をKJ 法で抽出) 表2-1 二水会の定例会の議題(平成 21 年度)

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何を担うことができるか?, Ⅱ.勝川のまちの将来ヴィジョ ン の あ り 方 は?,Ⅲ.将 来 ヴィジョンを実現させるため の何を行うか?,の3項目に ついて議論することに重点が 置かれた(「将来のヴィジョ ンやまちづくり事業の事業化 について議論する段階」)。こ れらⅠ,Ⅱ,Ⅲは,先年度の 最後の定例会(第9回,表2 -1参照)で行われたワーク ショップ(勝川のいいところ, 悪いところをブレーンストー ミングで抽出し,これからの まちづくりの論点をまとめ, 共有することを目的とした) での議論を端緒にしている。 また7月には,「春日井SNS 研究会」によって地域SNS 「愛っち」が稼働した(「春日 井SNS研究会」の代表は二 水会のメンバーでもある上田 敦彦氏であり,二水会の定例 会でも「愛っち」の活用方法 等が議論された)。 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲに関しての議論 や,6 月に実施された「まち あるき」(岡本(2010)によっ て詳細は報告)での調査結果 を通じて,二水会が次年度(平成 23 年度)以降取り組むべき課題の論点として,筆者 によって図2-2のように体系的にまとめられた。この年度の最終定例会(第 19 回, 表2-2参照)では,この図2-2を基に議論が展開し,次年度の平成 23 年度では, ① SNSサイネージ・空間形成プロジェクト ・商店街内及び周辺地域との回遊・交流・つながりや商店街内の滞留を促すため 表2-2 二水会の定例会の議題(平成 22 年度) 定例会議題 平成二十二年度 第 10 回 4 月 21 日 ◎WS の議論をまとめたものをたたき台 に「今後,二水会が勝川駅前のまちづく りで何を担うことができるか?」につい て議論 第 11 回 5 月 19 日 ◎上田敦彦による『駄菓子屋プロジェク ト』の提案 ◎「勝川語り部の会」,「勝川検定」に関して ◎弘法市講座(羽後ゼミ)の報告 第 12 回 6 月 16 日 ◎講演(社本太郎氏(株式会社モンシェル) ◎「まちあるき」について ◎「ひまわりプロジェクト」の経過報告 ◎その他(勝川検定,駄菓子屋提案の議論 の続き) 6 月 18 日 まちあるき 第 13 回 7 月 21 日 ◎「まちあるき」の報告とそのまとめを基 にした議論 ◎「ひまわりプロジェクト」の経過報告 ◎「SNS愛っちオープンセレモニー」の報 告 ◎COP10 へのブース展示について 第 14 回 8 月 18 日 ◎アニメ・漫画文化を勝川駅前商店街の活性化にどう活かすか ◎COP10 でのシンポジウム開催について 第 15 回 9 月 29 日 ◎講演(川田健)◎アニメ・漫画文化を勝川駅前商店街の 活性化にどう活かすか 第 16 回 11 月 24 日 ◎COP10 の報告 ◎「丸一日・中心市街地活性化塾」の報告 ◎土地区画整理事業と野田農場保全問題 ◎グローバルESD 対話フォーラム(1 月 23 日)への参加について 第 17 回 1 月 12 日 ◎中部大学産業経済研究所への報告書と 報告会準備 ◎ 4 月以降の文部科学省「地球環境論」講 座への協力 第 18 回 2 月 9 日 ◎講演(近藤尚氏)(中部大学) ◎中部大学産業経済研究所への報告書と 報告会準備 ◎フィリピン調査とフェアトレードの可能性 についての報告 ◎ 4 月以降の「白熱教室」について 第 19 回 3 月 30 日 ◎中部大学産業経済研究所発表会の報告 ◎ 5 月 21 日の勝川のイベントについて ◎ESD 白熱教室について ◎この1年間の二水会のふりかえり・まとめ

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に,サイネージの活用・配置や商店街の空間について提案していくプロジェクト ② 勝川駅前商店街の物語・業種業態を考えるプロジェクト ・商店街独自の文化・歴史に基づいた方向性・物語の発掘・創出や,それに基づ いた業種業態・地域ブランドのあり方を提案していくプロジェクト 図2 2 平成 22 年度の議論のまとめ

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③ 弘法塾プロジェクト ・商店街そのものの持続可能性や,持続可能な社会づくりの発信の場としての商 店街のあり方を提案していくプロジェクト。23年度は商店街で行われる中部大 学「白熱教室」のコンテンツを考えていく。 ④ 勝川検定プロジェクト ・勝川の歴史・地域資源・トリビア等を収集しクイズ化して,勝川の酸いも甘い も一般市民に発信させていくプロジェクト ⑤ 商店街への将来像の提案 ・①~④や図2-2を元に,二水会としての商店街の将来像・提案書を作成し, 振興組合にプレゼン・提出をする。 の5つのプロジェクトを立ち上げることが合意された。 ◆上記プロジェクト(特に①②)に集約されるまでの経過 平成 22 年度の議論の中で,特にⅡ.を考えるにあたり,勝川のこれからのブランド イメージを形成できる「勝川ならではの地域資源の発掘」が重要であるとの認識が, メンバーたちの中で顕在化した。その結果,定例会や「まちあるき」等を通じてでの議 論では,とりあえず「勝川3点セット」として地域資源を「弘法様」,「書」,「サボテン」 というカテゴリーにまとめてみたものの,これらに関係する何がしらのものがただ地 域に存在し,従来の方法でPRしても限界があるのでは?という意見が大勢を占め た。加えて,勝川駅前商店街のメインストリート内には,消費者・来訪者が滞留でき る空間(ポケットパーク等)が無く,また買い回り店と魅力ある地域資源が存在する 「場所」も少ないため,商店街内あるいは商店街と周辺地域を回遊させるまちの構造に なっていないことが指摘された。 そこで新たに意見として出されたのは,ブランドイメージが形成できる可能性があ る地域資源が存在しないのならば我々で作り,それを基に勝川の新たな地域ブランド を発信し,その地域ブランドによって付加された何がしらの価値を回遊・滞留空間の 形成に活用してみたらどうか,という発想である。そしてこの発想に則する意見の中 で特にメンバー間の目に留まったのは,「漫画・アニメーション」というキーワードで 何か仕掛けよう,という意見であった。ただこの時点では,秋葉原地区や名古屋市大 須地区等の雑多で界隈的な商業地域の「漫画・アニメーション」の活用による成功イ メージもあり,勝川地区の路地等が残る同様な雑多で界隈的な雰囲気が何となく「漫 画・アニメーション」と関わりうることができるのでは?という程度の認識であった。 このような認識の中,勝川駅前再開発地区在住の「漫画・アニメーション」に明る い研究者(愛知文教大学川田健氏)を,メンバーの一人とのつながりで定例会に招くこ とができた。この後種々の議論を経て,川田氏の研究室の学生が制作の実行部隊とな りながら,勝川の地域イメージやブランドの発信を,商店街及び周辺地区の文化・歴

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史に基づきながら発信してい く勝川発のアニメーションを 作成していく運びになった。 また同時に,アニメーション のキャラクターを活用しなが ら,文化・歴史を踏まえた上 でのこれからの勝川の業種業 態についても検討していくこ とになり,プロジェクト②を 二水会の事業に位置づけるこ とに至った。 そして滞留・回遊空間に関 しては,春日井SNS研究会 の代表を務める上田敦彦氏が, 7月に稼働した地域SNS 「愛っち」で発信されている地 域情報や商店街・個店のPR・ CM等を商店街内に設置する モニターで発信させていく事 業(「SNSサイネージ」)を構想しつつあったので,この「SNSサイネージ」のコン セプトの具体化と設置場所等の検討と併せて,これからの商店街の滞留・回遊空間づ くりや街並みづくりについて検討していくことになり,プロジェクト①を二水会の事 業に位置づけることに至った。 3)平成 23 年度(表2-3参照) 平成 23 年度(今年度)は,各プロジェクトの立ち上げを受けて,定例会とは別に各 プロジェクトチームで臨機応変に日程を組み議論・作業を行った。その結果,(4)に 記すようなプロジェクトの事業化の達成・運営までこぎつけるまでに至った。特にプ ロジェクト①②に関しては,勝川駅前商店街周辺地域の地元組織である,「勝川駅周辺 まちづくり協議会」1)の事業として位置づけられた。これは二水会の活動が一定程度 商店街側から評価された証だと言える。 プロジェクト④⑤に関しては,上記のように各プロジェクトを掛け持ちしている構 成員が多いためなかなか手が回らず,作業チーム開催までにも至ることはなかった。 来年度以降,プロジェクトそのものの必要性をも鑑みながら,作業チームの体制や運 営方法の見直しをする必要があるものと考える。 表2-3 二水会の定例会の議題(平成 23 年度) 定例会議題 平成二十三年度 第 21 回 5 月 18 日 ◎勝川駅前商店街の物語・業種業態を考え るプロジェクトに関して ◎SNSサイネージ・空間形成プロジェク トに関して ◎ 5 月 21 日のイベントに関して 第 20 回 4 月 12 日 ◎プロジェクトグループで話合われた内容の発表・議論 第 22 回 6 月 15 日 ◎さいねー寺運用とコンテンツ制作のた めの組織形態の検証(SNSサイネージ チーム担当) ◎アニメキャラクターの具体化,神秘化, 地域への浸透の方法の戦略案等(勝川駅 前商店街の物語・業種業態チーム担当) 第 23 回 10 月 19 日 ◎サイネージプロジェクトについて ◎弘法塾について ◎二水会の今後について 第 24 回 11 月 16 日 ◎サイネージプロジェクトについて ◎弘法塾について ◎『勝川スタイル』について ◎二水会の今後について 第 25 回 1 月 25 日 ◎SNSサイネージプロジェクトの活動報 告・今後の展開について ◎「カフェ ・ びくとりばー」の活動報告・今 後の展開について ◎弘法塾の活動報告・今後の展開について ◎「勝川スタイル」について ◎中部大学産業経済研究所論文作成について

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(4)各プロジェクトの成果

各プロジェクトの成果をまとめると,以下の通りである。 ① SNSサイネージ・空間形成プロジェクト ・勝川駅前商店街でのSNSサイネージ設置・運営(勝川駅周辺まちづくり協議 会の事業として位置づけられる) ② 勝川駅前商店街の物語・業種業態を考えるプロジェクト ・地域イメージ形成アニメーション「カフェ・びくとりばー」制作およびSNSサ イネージでの放送 ③ 弘法塾プロジェクト ・中部大学「白熱教室」(弘法塾)の共同開催 プロジェクト①の詳細は,「Ⅲ.ICT(情報通信技術)と地域情報共有が果たすべき 役割とSNSサイネージの意義」で,②は「Ⅳ.地域イメージ形成ツールとしてのアニ メーションによる物語発信の意義・事業展開―限られた資源でのコンテンツ作成の方 法と問題点」で述べる。またプロジェクト③に関しては,「Ⅰ.プロジェクトの背景― ネットワーキングから生まれる大学と地域をつなぐパワー」で述べた通りである。

1)昭和 52 年春日井市策定の勝川駅周辺総合整備計画は,勝川駅周辺の区画整理事業や再開発事 業,中央線立体交差事業等約 13 の事業を提案し進められたが,これらの事業を住民サイドか ら考え支援する組織として勝川駅周辺まちづくり協議会(以下協議会という)が設立された。 この協議会は,勝川地区の三商店街の代表の他,勝川地区,松新地区の両再開発組合の代表, 勝川区,松新区,柏井区の住民代表,さらに行政,商工会議所で構成されたが,勝川駅周辺の 開発の方向性について,各事業の進捗度合いが違う為,各々単独で考えざるを得ない状況に あり,勝川地区としての統一した「顔」「アイデンティティ」などが未整理で,特に再開発地区 と商店街との,街としての背骨(中心線)・連続性を表現することが非常に重要な課題となっ ていた。そこで中心市街地活性化基本計画(TMO構想)の活用により,勝川駅周辺のイメー ジと名称を統一し街全体の活性化を図るとともに,来街者に強いアピールを発信することを 目的として課題ごとに委員会を設置し検討を重ねた。 まず,協議会の考え方を整理する意味で,勝川の状況の考察し意見交換することから始まっ た。古くは「郡政の中心」「買い物町」「宿場町」「街道の追分・交通の分岐点」「家康が名づけ た縁起のよい町」「小野道風の生誕地」「区画整理前は狭苦しいごみごみしたまち」「駅が至近

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なまち」現在は「駅前商店街を持つまち」「通勤通学のまち」「弘法まつりでは,賑うまち」「商 店に魅力のないまち」「区画整理と再開発のまち」「名古屋志向のまち」「名古屋のとなりまち」 と整理した。さらに近代の勝川の立地及び都市機能については,北に国道 19 号線,西に国道 302 号線と東名阪,名古屋犬山線まで5分,春日井ICまで 10 分ほどと昔と変わらぬ追分と しての機能をもつ道路網が整備され,さらにJR中央線で名古屋駅まで 17 分,乗り継ぎで栄 まで 20 分,平安通で地下鉄と接続した名鉄小牧線味美駅まで5分と名古屋に至る駅としては 類を見ない鉄道網が充実し,さらに名古屋北部地域をつなぐ城北線の起点でもある。また,バ ス路線は,発着本数に多少はあるが,市内では,春日井市民病院,県コロニー,JR春日井駅, 名鉄味美駅,二子山公園,藤山台・高森台,平和公園行きがあり,市外には,県営名古屋空港, 名鉄小牧駅,行きがあり,遠くは,新宿西口行きがあり便利であるとの比較優位性を再認識す ることが出来た。 この様な,勝川の背景から,まちづくりのテーマとして「春日井の西の玄関」「副次核にふさ わしい生活・交流拠点の創造」「ルネッサンス・シティ」「浪漫シティ」「回帰=かえる」「で愛 ふれあい」等を挙げることが出来,「回遊性」「賑わいの創設」「安心・安全」「利便性」「健康」等 のコンセプトをさらに追及する事で,他地区との差別化を図ることが重要と結論付けられた。 これらの考察からメインキャチフレーズは,「ルネッサンス・シティ勝川」=不変のものとし, まちづくりのメインコンセプトは,「あるく」を基本にし,勝川に来る人の受け皿として,エ リア方式(※)で勝川に不足するものを作り,各エリアを歩いて回遊できる町にする提案がさ れた。 ※例:駅前周辺「文化と健康のある町」 健康の森構想医者とギャラリーを中心とした町 商店街(駅寄り)は「生活に潤いがある町」 生鮮3品を中心としたデイリーな町 商店街(国道寄り)は「おいしい町」 飲食店を配置し賑わいを演出 八光線は「おしゃれな雰囲気がある町」 ブティックなど買回り品の町 弘法様周辺は「歴史とロマンの町」 高齢者が安心して集える町 これに沿って再開発事業におけるテナント誘致が行われ松新地区再開発では,病院(医院)が 誘致され,さらに勝川地区再開発では食品スーパーを誘致することになる。 さらに商店数の増加,弘法市を中心とした賑わいの演出等以下の観点から提案が行われた。 ① かつて買い物町としてにぎわった勝川を再興するためには,再開発ビルを含め勝川に不 足している商店の誘致,特に飲食店と人気店を作りあげる仕掛け,人気の弘法市を始め 二七の市の場所・規模の拡充など,イベント事業に積極的に取り組む。

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② 勝川駅ホームの明治レンガを利用した散策道(明治のレンガに導かれる路),花壇,モニュ メントなどをつくることで歴史ロマンのなごりを残し,歩く路すがらの風景を安らぎのあ るものとするために花・緑の場所を用意するとともに町並みデザインを個人にも奨励し, よいものを表彰する等イベント化する。また,安全で安心な休息場所,便所を設置する。 ③ 駐車場は,市営と再開発で約 1100 台整備されることとなっており,駐輪場は,JR高架 下の有料市営が約 3000 台,少し離れた場所に無料市営が約 1000 台の計画があり,勝川 地区の再開発駐輪場などで約 5000 台規模となることを念頭に増大を考える。 ④ 道路も「あるく」をコンセプトに歩行者優先の歩道部をカラー舗装等で区分けし,勝川の 身の丈にあったものとして整備し,前述の散策路とあわせて歩行者の安全で快適な通路 動線を確保する。また,交通規制もあわせて再考する。街路灯もただ上空から道路を照ら すものだけでなく,間接的照明も考慮し,イルミネーション,ライトアップ等取入れ街の イメージアップ,ムードづくりに努める。 この他にもペデストリアンデッキの形状や,道路交通網の整理について考察を加えたが,こ の様に,協議会はまさに,住民参加のまちづくりを可視化し実現する組織としての役割を果 たすとともに,今後は,再開発が完成した後のまちづくりをどうするのか新たな役割が求め られている。

Ⅲ.ICT(情報通信技術)と地域情報共有が果たすべき役割と

SNSサイネージの意義

上田敦彦(春日井SNS研究会代表)

(1)背景と意義

1)日本国内におけるインターネット変遷の時代背景と問題提起 ICT・情報通信技術を用いた施策の今後と,さらなる期待される効用とは,少子 高齢化,生産年齢人口の減少による経済構造の変化によって,従来の拡大を基調とし たインフラ整備が不可能となる中で,さらに悪化しつつある環境問題と東日本大震災 の発生がこれらの問題を緊急の課題としての対応を社会に求められており,そうした 課題への対応としての構造改革への効果的な手法として技術面のみならず,失われた 人間社会のコミュニケーションの補完をなすものとして両面から期待されている点に 集約されている。 もはや,成長経済の中で成し遂げられた過去の手法は活かせず,現状維持または縮 小する市場の中で,一つはいかに技術的に効率化して,省力化するかという課題,そ

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してもう一方では,消費拡大することで達成されてきた諸問題の解決プロセスを,拡 大基調から脱却し新たな手段で横断的に構築するという,2つの面があり,さらにそ こに現実的な問題として加わるのが,財政事情の悪化による市場経済の縮小面におい てのセーフティネット・社会保障的な雇用という問題で,このセーフティネットを疎 かにすると世界に貧困が拡大し,結果として再び国家間紛争・戦争と言う極論の時代 に戻る危険性がある。 こうした背景から,ICTのこれからの展開とは,単純に市場原理の効率化という 言葉だけでは解決してはならないという新たな側面を見据えないと,間違った答えを 導く事になる。未だ社会は高度成長期の幻想を抱いており,そのような社会情勢の中 でICTは効率を優先し,人間の介在を不必要とする技術の革新のみであってはなら ない。これから求められるICTはあくまでそれ自体が手段として,そこに人の介在 を肯定し,低成長社会の中であらたな交流の手段を生み出し,互いを活かしながら, 新しい産業の創造やシェアリングに寄与し,セーフティネットを築けるものとして存 在をしなければならない。 その具体的な方法と分野とは例えば以下のような課題が想定される。 ・防災のための官民共同のネットワーク構築 ・観光,交通産業の育成と普及活動 ・農商工連携等,異分野,異業種間の交流・連携を促進し産業を育成する ・環境保護のための知恵の集積・共有・連携の拡大 ・福祉介護・育児支援のサポート ・高齢化社会における弱者サポートと地域の地縁の再生 これらの分野の新たな取り組み・研究・情報交換・研究の拡大のための効果的な方 法としてのICTの新しい技術・普及が必要であるとの観点が,今回の基本的な我々 の考え方と立場の根幹を形成するものである。 防災面は,情報のクロス化による連絡網の拡大と,非常時だけ使えればいいという 机上の空論からの脱却であり,観光や農商工連携は,新しい産業の育成と雇用の拡大 につながり,情報共有を進めることで,知識の向上と普及が環境保護の精神や,啓発 につながり介護・育児支援の効果的な連携を後押しするものとなる。従来型の地縁組 織が,核家族化で崩壊している現状を直視し,バーチャルな手法がリアルな社会の補 完構造として,きちんと定義して認識できる概念を構築して,共通の認識を持つこと が大切であると考える。 その中で,特に我々が取り組んで来ているのが,インターネットを使った技術,ソー シャルネットワーキングサービス(SNS)と,SNSサイネージと言う手法である。 幸いなことに,2011 年にツィッターとフェースブックという,それまでに世界で認知

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されたソーシャルネットワーキング技術が日本でも広く知られる事となり,特に国際 関係では「アラブの春」と呼ばれた政治体制を生み出し,東日本大震災では,行政ネッ トワークが一時的に崩壊する中で,見事,情報伝達と民間を主体とする支援体制に一 役買ったことで,国民の幅広い認知と理解を生み出すことが出来たことで,ICTの 新しい理念のベースが生まれたものと考える。なぜなら,この2つのソーシャルネッ ト技術は,それまでにも似たような技術として存在していたものとは,いくつかの「概 念・思想」において明確な違いがあるためである。特に,それまでの日本における,ネッ トワークは初期のパソコン通信時代のフォーラムを除けば匿名を基本とした無責任投 稿に占拠され,多くは生産的な意味を持つことなく,興味本位の烏合離散を繰り返し, 結果として技術だけが先行する浮沈を繰り返して来た。人間関係の促進を基調とした ツールになりえていなかったのである。 匿名性は責任の所在があいまいで,正論が中傷によって駆逐されてしまう構造であ り,到底,真摯な議論や問題解決のプロセスが描けなかった。古来,日本人が持ちあわ せていた美徳は,ネット社会では,匿名が故に一部の発言が全体の意志と錯覚され, 単純化された不満のはけ口として誹謗中傷が繰り返され,モラルや尊厳が駆逐された 状態になってしまったのである。 この日本国内のネット社会の閉そく感を打ち破る契機となったのがSNS,ソー シャルネットワーキングサービスであり,特に意義が大きいと思われたのは,例えば フェースブックの最大の特徴でもある,「実名制」である。日本がSNSのこの最大の 価値を認めず,現状の匿名ネット社会を擁護していたならば完全に情報ネットワーク の後進国として取り残される状況下にあったと思われる。実はこの背景こそ,現代日 本社会の転換点を認識する上で極めて重要な要素であると主張するのは,1980 年代 に始まったパソコン通信技術が 1990 年代にインターネットに進化する中で,逆に人 間社会は,象徴的な言葉として2チャンネル化と称される「オタク化」の中で,退化・ 荒廃してしまったという危機意識を共有しないと,後述の定義の意義を理解できない ことになるからである。 90 年代のバーチャルなネット社会は現実の社会構造が崩壊していく中で,バーチャ ルな幻想で,それらを空想の世界で身勝手な論理で補完構築して行ったのであり,人 間関係が年々希薄になる中で,「匿名」という武器を得た空想社会の住人達は現実社 会に背を向け,身勝手な自己防衛術と他者への攻撃性のみを増大させていくことにな る。こうした内向的なネット社会の転換点になったのが東日本大震災と,ソーシャル ネットの出現であり,責任主体のある発言が,実名制という枠組みで発言者の立場と 尊厳が守られるということが,切っ掛けとなり,それまでのネット社会の荒廃に嫌気 がさしてた人々に,再び意欲を呼び覚ますこととなった。すなわち正論の議論が賛否 という反応ならいざ知らず,次元の違う誹謗中傷でかき消され続けて事に対する嫌悪 感を取り除き,真摯で生産的な対話の中に,新たな枠組み作りへの期待感が膨らむと

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同時に,硬直化した組織社会の中で疲弊していた構造を,ボトムアップ・ピアツーピ アの意識の連携で打破する期待感が満ちて来たためである。ネットの変遷と進化の過 程によって,これを人の意志だけではなく,ICTという技術的な面でカバーしうる 仕組み作りが,ようやく出来がってきたということである。 とはいえ,ネット社会はどれだけ技術が進歩しようと,あくまで手段で,そもそも の人間関係をバーチャルなもののみでで完結させてはならない。それは人間自身の退 化に直結するからである。この点を原則とした研究を進めることが重要である。パソ コン画面で恋愛しても,ゲームでどれだけアイテムを勝ち取り,レベルを上げたとし ても現実社会にプラスの効果は何一つなく,大切なのは,ICTという技術を用いた 結果として実社会にプラスの効果が出ることで,SNSサイネージはまさに,その1 つの方法論として生み出されたICT技術といえよう。 2)SNSサイネージとは~地域SNSと動画配信コンテンツの合体 2000 年代に入り,掲示板,チャットと言った単純なコミュニケーションツールの中 で前述の様な,匿名性による弊害が大きくなる中で,ミクシィのような囲い込みによ る安全な環境構築へと,ネット社会はソーシャルネット(SNS)へと移行していく のだが,それもまだ進化の過程にあった。それはまだどちらかと言えば,ICTを省 力化,人間の非介在を前提としたツールでしかなかったからである。そのような時代 背景の中で,異なる背景を元に誕生して来たのが地域SNSである。 地域SNSのベースには地域活動やコミュニティ活動を通してリアルな人間関係が 得て来たノウハウを基本コンセプトとして技術開発に注ぎ込まれたために,形状はほ ぼ似たような姿であっても,理念の違いで,異なった進化を遂げることになる。2012 年現在,この理念の違う歩みを見せたそれぞれのSNSは互いの価値を吸収し,再び 接近はしてきている。そこにユーザー側の利用面としての東日本大震災と言う条件が 加わり,阪神淡路大震災時では構築できなかったコミュニケーションツールとして ツィッターとフェースブックと言う全世界的な波が波及,合流し,それぞれの価値観 と理念が融合,刺激し合いながら融合していく関係が現在の姿であるが,成長してき た基盤の違いにより,やはりそれぞれの存在価値はすこしずつ違ってはいる。人間は その間を多重人格化しながらもブリッジングし,TPOを身につけるように進化をし ている。匿名性の社会では自己の存在を消して詮索をして自己防衛の用心をし,広域 のSNSではビジネス面でのリサーチをかけ,そしてローカルな地域SNSでは人間 の情愛を育むようになる。 地域SNSは,地域の狭いエリアの人間関係の絆の復活がキーワードであり,その ツールに介在した人間同士を引き合わせる,つまりリアルな人間関係の補完のための 位置づけなので,言葉通りのソーシャルな活動に意義を見出すことが出来る。我々はこ のことを実証するべく,昨年までの実証実験として,春日井市・勝川地区を基盤とした

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地域SNS愛っちの運用を開始した。そこに今回加わったのが,その地域SNSのサー バ運用を活かしたSNSサイネージである。なぜ,地域SNSのみならず,SNSサイ ネージに本年度傾注したかは,前述までの理念を元に以下のような理由が挙げられる。 ・パソコン,携帯端末等の媒体を使った拡散には参加者の限界がある ・金銭的な受益関係がない対等な人間関係の元では押しつけの情報網では拡散し ない ・ネット社会が普遍化し,それ自体の興味本位としての価値は低下した ・価値観の低下と共に人の情報源が分散化し,情報の多角化が求められている こうしたネットへの人間の関わり方を考慮した上で,まちづくりという基点にたっ た上での商店街の位置づけとの融合性である。つまり,多くの人が公共交通機関を利 用して通過する環境でありながら,従来の物の売り買いの機能が年々弱体化するなか での,商店街自体の付加価値を情報媒体として考える試みである。 ・サイネージビジョンを通して,映像としての情報が発信出来る ・テレビ放送と違い,ローカルな情報に特化出来,地域の情報が共有出来る ・デジタルデバイド世代にも同質の情報が供給出来る ・情報発信機能を商店街にもたせることで,人をつなぎとめる価値が生まれる ・サイネージを積極利用することで,地縁のつながりを呼び覚ますことが出来る 例えば本来,常時共有するべき,街の防災情報や安全情報は,緊急時だけ使用する には無理があり,常時使われているシステムだからこそ,緊急時への対応がスムース に切り替わるのである。運営者がその地域の住人であるために,情報の視点もまた ローカルであり,より身近な情報サービスの提供により,昔は近所付き合いで伝えら れていた地域情報の補完をし,ローカルコミュニティへの参加意欲を促すことにもつ ながるのである。こうした地域だけの情報を投下することでの価値観を作り,発信源 としての商店街の付加価値を高めようとするのが,SNSサイネージの目的となるの である。 試験第一号機は 2011 年9月に,JR勝川駅前に設置をされ,放送が開始。市販の液 晶テレビに,情報端末となるセットトップボックス,つまりキーボード等の付属品が 極端に省略されたパソコンとインターネット回線(勝川では無線LANを採用)をセッ トし,発信側のサーバーから映像をコントロールするシステムである。 勝川商店街の歩行者に,この勝川で知って欲しい情報を映像コンテンツにてイン ターネット回線を通じてリアルタイムで流すことが可能となる。このSNSサイネー ジの放送の考え方は,大都市近郊の商店街におけるサスティナビリティをマネジメン

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トする上でも役割を果たすと考える。モノの売り買いの拠点から情報の共有拠点とし ての街のあり方を考え,持続可能な社会を構築するにあたってのテーマやライフス タイルの提案出来るツールとしての情報共有媒体としての位置づけを確立し,商店街 自体の付加価値とすると側面がある。この点の具体的な検証については後述の,アニ メーション・勝川スタイルで紹介を行う。 ~サスティナビリティ(持続可能性社会)のマネジメント ICTを活用した街づくりとグローバル展開に関する懇談会より引用 なお余談であるが,自治体が発信する情報,例えば防災情報などは限界点があるこ とを東日本大震災は教訓として我々に伝えており,実は阪神淡路大震災も踏まえる と,それらの教訓が未だ生かされていると言えない状況ある。被災地の自治体は一時 的にせよ麻痺状態になることが解っていても,カバーをする手段の研究は個々の自治 体では始まっていない。自治体そのものが,そもそも横の連携を取れるようにはなっ ておらず,フォローすべき国や県が満足に補完したかは,過去2つの震災を見れば, 結果として出来なかったことが明らかになっている。帰宅困難者の研究ですら,今, 始まったばかりであるが,SNSサイネージ放送では,実験を始めた直後に起きた豪 雨による庄内川増水と浸水の緊急通報を行ったが,その情報を見て,近隣河川の氾濫 を知ったという市民が存在し,こうした経験から情報は官民を交えたいたる所でのク ロスメディア的な考え方にて情報を編み込むように拡散出来る仕組みを構築していか ないと効果が部分的になるということを証明したのである。

(2)体制・プロセス・事業スキーム

1)システム自体のバックアップ体制(緊急時の補完関係の構築) SNSサイネージの最大のメリットは既存のSNSサーバがそのまま使用できる 点にあり,SNS愛っちのサーバは兵庫県にあることで,愛知県を中心とした災害が発 写真3-1 サイネージビジョン(架台) 写真3-2 でじたる山さいねー寺(設置方法)

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生してもシステムダウンの危険 性を回避している。また最近で は全国に展開をする地域SNS 同士が連携を組み,緊急時の互 いのフォローアップを考えてい る。図3-1は東日本大震災直 後に実施された学び応援プロ ジェクトの連携模式図で,広島 をスタートし,兵庫を経由,愛 知県で東海三県下の支援物資を 積み,掛川,東京葛飾を通って 岩手の岩手大学に運びこんだ時 の各地のSNS連携の構図であ る。盛岡のSNSが現地の支援ベースになっており,各地のSNSが連携を取り,ネッ ト上で対策会議を行って調整したものである。 こうした取り組みは,その前の兵庫県佐用町の豪雨水害でも連携が実施されてお り,そうした経緯を元に共同研究の立場を共有し,なおかつ,防災や互いのシステム の研究のために意志のある運営側のメンバーが互いにそれぞれのSNSに登録し合 い,さらに,広域的なフェースブックのようなSNSで全国的なつながりを持ち,1 つのシステムがダウンしても,どこかのラインが生きるという考えに基づいて行動し ている。その普段からの行動が実際に非常時となった東日本大震災の発生時に,活か された実例として証明されたのであり,非常時のみの運用を基本とした自治体の単独 システムにおいては,災害地自体が電源が消失すると同時に該当地域のシステム全般 が使えなくなるという側面を踏まえ,実効性に問題があるとする所以である。 この相互補完を前提としたSNSサーバ運用において,さらにサイネージ放送を開 始するにあたり,発想の転換となったのが,メンバー個々人の趣味の動画を集めてい たシステムの概念を変えて,最初から街頭放送を前提とした市民発コンテンツの集積 と地域毎の番組編成の概念で,前述の地域SNS連携がコンテンツ共有という意味で も役立つという点にある。単にそれぞれの投稿者が投稿していた動画を,コンテンツ という概念に変え,それぞれに管理者を置いて選択式で番組を編成し,インターネッ ト回線を通じて,端末のあるテレビに情報を流せるようにしたものである。なので, サイネージを追加したことによる基本的な体制については,特に新たな要員を必要と しない。今後,地域に放送の可能性が広がったことで,考えられるのは,住民ディレク ターとしての市民参加であろう。 図3-1 学び応援プロジェクトの連携模式図

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2)モデルケースとしての勝川の導入経過について サイネージ放送で商店街が享受するメリットとは,ずばり発信力を持つ。というこ とである。そこに優れた商材があったとしても,従来の広告媒体では多額の費用がか かり,個人店が,たびたび広告を打つことは難しくなっている。SNSサイネージは 導入費用が,従来のサイネージに比べて数分の1で構成される。端子がある液晶テレ ビさえ所持していれば,セットトップボックスとイニシャライズコスト,約5万円で システムを構築できる。すべてを購入しても 25 万~ 30 万で1セットが組み上がり, 配信に関わる特別の追加費用は発生しない。番組はSNSサーバで,1台毎に構成さ れ,インターネット回線を通じて日常的に更新される。個店がオリジナルな番組を流 したければ,独自のコンテンツを構成し,例えば,パワーポイントや,ワードのような 一般的なソフトで,特売情報なる番組を作り,放映する事も可能となる。サイネージ 管理者は,1台毎に管理人を置き,独自のコンテンツを,共有コンテンツと交互に放 送する事が可能だからである。 商業集積という面では平成の時代,商店街の機能は,全国的に失われつつある。商 店街を切り口にした,我々は過去,商店街の機能について,ソフト面から検討を重ね てきた。勝川は特に,駅前再開発というプロセスを経て,近代的な街並みに変貌を遂 げたが,中身の機能が特段,優れたものを有したとは言えず,他の商店街同様,物の売 り買いと言う点では,大規模商業に顧客を奪われ,じり貧のままである。アーケード を新調したり,舗道を綺麗にしただけでは,顧客は戻ってはこない。顧客に対して,ど のようなアプローチが商店街として出来るのか,がテーマとなっていたところでのサ イネージの活用という案が浮上した理由であり,もう一面で考えられるのは,駅前商 店街の機能とは,本当に,モノの売り買いだけでいいのか?という視点である。 昭和の時代,商店街が果たしていて,商店街の衰退に並行して失われたと仮定する 要素がいくつか我々の研究課題で浮上していた。それは,例えば地縁の絆であり,コ ミュニティとしての存在価値であった。隣人が誰だか解らない世の中になって,孤独 死の問題が起き,身近なところで,麻薬の密売が市民のすぐ横まで広がり,モンスター ペアレントという流行語を生みだし,虐待の事例が後を絶たない平成の世となった が,これらはかつて,地域のコミュニティがフォロー出来ていたものが,沢山ある。子 供会が崩壊し,町内会の組織率が下がり,老人会に入るのを拒絶して孤独に生きる人 がいる。絆の崩壊は,互いが補完していた情報を断ち切ることではなかったのか?と いう結論を元に,どこかで人はつながって生きなければならない。セーフティネット の網をかぶせなくてはならない。という使命感が,商店街の機能としてあってもいい のではないかという,仮説に基づく実証実験の意味合いを持ってくるのである。 一般的に認知されているサイネージとは,その場所で,例えば企業CMだったり限 定的な情報を流すためのものでしかないが,このSNSサイネージは完全独立の放送 局と同じ意味を持ち,これらの意味を具現化するものとして,地域の情報を流し,そ

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