オ イ コ ノ ミ カ 第42巻 第3・4号,2006年,pp.67-77
知 識 集 約 的 資 本 主 義 へ の 転 換 期 に お け る雇 用 政 策 ・
ネ ッ トワ ー ク 型 国家 ・ガ バ ナ ンス
若
森
章
孝
1.複 雑 さ と知 識 の 増 進 に よる雇 用 契 約 の 変 容 1990年 代 か ら21世 紀 初 頭 に か け て のIT革 命 は先 進 工 業 諸 国 の 社 会 経 済 シス テ ム に お け る 知 識 集 約 型 産 業 と知 識 の 比 重 を著 し く高 め て い る.ド ラ ッ カ ー[8]はIT革 命 の行 方 を,「知 識 が 中核 の 資 源 と な り,知 識 労 働 者 が 中 核 の 働 き手 と な る 」(ド ラ ッ カ ー[8],p.7)知 識社 会 の 出現 と して描 写 して い る.神 野 直 彦[21]は90年 代 以 降 の 時 期 を,「 機 械 化 と テ ー ラ ー 主 義 」 に よ る生 産 性 上 昇 に も とつ い て い た 工 業 社 会 か ら,人 間 の 知 識 の 向 上 と知 的 交 流 に よ る 生 産 性 上 昇 に も とつ く知 識 社 会 へ の 転 換 点 と して理 解 して い る.バ ー トン ージ ョー ンズ[3]は,物 的 生 産 手 段 よ りも知 識 や知 識 の 創 造 が 重 要 に な りつ つ あ る 現 代 資 本 主 義 を端 的 に「知 識 資 本 主 義 」 と規 定 して い る.野 口 宏[31][32]は21世 紀 初 頭 のIT革 命 を 「ポ ス ト産 業社 会 に 向 け た 社 会 革 命 」 と 「〈質 的 な豊 か さ 〉の た め の ネ ッ トワ ー ク連 携 」の は じま り と理 解 し,こ の よ うな ネ ッ トワー ク生 産 や 知 識 の創 造 ・活 用 や ク リエ ー ター(知 識 労 働 者)に よ っ て特 徴 づ け られ るポ ス ト ・フ ォー デ ィズ ム を,フ レキ シ ブ ル生 産 や 情 報 の 共 有 ・活 用(企 業 情 報 化)や 多 能 工 化 に よ っ て特 徴 づ け られ る,1970年 代 か ら20世 紀 末 まで の ア フ ター ・フ ォー デ ィ ズ ム か ら峻 別 す る. IT革 命 や そ れ を促 進 す る グ ロ ー バ リゼ ー シ ョ ンが こ の よ う な知 識 集 約 的 資 本 主 義(知 識 社 会)と して の ポ ス ト ・フ ォー デ ィズ ム へ の変 化 を進 展 させ て い る こ と は確 か で あ る.し か し, 知 識 の 重 要 性 の 高 ま りは よ り根 本 的 に は,社 会 経 済 シ ス テ ム の複 雑 性 の増 大,す な わ ち 複 雑 系 と して の 社 会 経 済 シ ス テ ム の 進 化 と密 接 に 関 連 して い る.複 雑 性 の概 念 は そ の 定 義 が 難 しい こ とで 知 られ て い るが,こ こ で は 「現 象 の 複 雑 さ は,そ れ を構 成 す る要 素 の 数 に よっ て で は な く, そ れ を構 成 す る 要 素 の あ い だ の 相 互 作 用 の 多 様 性 に よ っ て測 定 され る 」(StenしG[40],pp. 215-216)と い う意 味 で こ の術 語 を用 い る こ と に した い1).経 済 的 複 雑 さの 増 進 は,「 人 間 相 互 間 お よ び,人 間 相 互 とテ ク ノ ロ ジー の あ い だ の 多 様 な 相 互 作 用 が 進 展 して い くこ と」,そ して,す べ て の 複 雑 系 と同 じ よ う に 「予 測 で き な い 」 変 化 や 出 来 事 に 支 配 さ れ て い る こ と を 意 味 す る 1)津 田 一 郎 も 『岩 波 哲 学 思想 事 典』 にお い てStent,G.[40]と 同 じ観 点 か ら複 雑 系 をつ ぎの よ うに定 義 して い る.「 多 数 の 要 素 か ら成 る系 にお い て,要 素 間の 動 的 な 相互 作 用 に よ って 多種 多 様 な部 分 系 が 生 成 され る と き,こ の よう な系 を 複雑 系 とい う」.複 雑系 を 明快 に説 明 して い る西 山賢 一[33]も 参 照 され た い.(Hodgson,G.M.[12],p.181).社 会 経 済 シ ス テ ム の 複 雑 性 が 増 進 す る と,シ ス テ ム の 諸 要 素 の相 互 作 用 の 多 様 化 や 多種 多 様 な 思 い が け な い 出来 事 を理 解 しそ れ ら に適 応 す る た め に,ま す ます 多 くの情 報 と知 識 が 必 要 と され,労 働 者 に は絶 え ず よ り高 水 準 の 知 識 ・技 能 ・適 応 力 が 求 め られ る よ うに な る. 現 代 進 化 経 済 学 の 旗 手 の 一 人 で あ る ポ ジ ソ ン は,経 済 の 複 雑 性 の 増 大 → よ り高 水 準 の 知 識 ・ 技 能 → 学 習 ス ピー ドと専 門 的 知 識 の 重 要 性 → 知 識 集 約 経 済 の 進 展 とい う,今 日の 先 進 資 本 主 義 諸 国 の 出来 事 を5つ の命 題 と して 定 式 化 す る(Hodgson,G.M.[12],pp.181-182). ① 生 産 過 程 お よ び そ の 生 産 物 の複 雑 さ の増 大 ② よ り高 水 準 の 知 識 や技 能 の必 要 性 ③ 専 門 的技 能 に た い す る信 頼 の 増 大 と新 しい 専 門家 の 出 現 ④ 経 済 活 動 に お け る情 報 の 利 用 と移 転 の重 要 性 ⑤ 将 来 の 出 来 事 の 予 測 の 難 し さ と経 済 生 活 にお け る不 確 実 性 の 増 大 この よ うな 複 雑 で 知 識 集 約 的 な社 会 経 済 シス テ ム で は,学 習 ス ピー ドが重 要 で あ っ て,行 為 主 体 は 「学 習 し適 応 す る 仕 方 」 を 学 習 しな け れ ば な らず,技 能 は 行 為 中心 的 な も の か ら知 識 中 心 的 な も の に 転 換 す る. こ こで 重 要 な こ とは,21世 紀 の 資本 主 義 の 複 雑 さ と知 識 の 増 進 が 雇 用 契 約(雇 用 関係)と い う資 本 主 義 の 基 本 的 特 徴 に ど の よ う な影 響 をあ た え る か,と い う論 点 で あ る.雇 用 契 約 は サ イ モ ン[37]や コー ス[6]が 指 摘 す る よ うに,そ の 「契 約 の 不 完 備 性 」 とい う性 格 に よ っ て,取 引 され る商 品 に つ い て の 明 細 が 契 約 で 詳 し く明 文 化 さ れ て い る販 売 契 約 か ら区 別 さ れ る.雇 用 契 約 の 不 完 備 性 と は,契 約 に お い て あ らか じめ 「労 働 の 仕 方 や 様 式 」 を詳 細 に明 記 で きな い こ と を意 味 す る.雇 用 契 約 の こ の不 完 備 性 は,人 間 を不 可 欠 の 要 素 とす る生 産 シス テ ム が 本 質 的 に 複 雑 で 不 確 実 な プ ロ セ ス で あ る こ と に 由 来 す る.雇 用 契 約 は,雇 用 労 働 者 の や る気 や 責 任 と い っ た 非 契 約 的 要 素(不 純 物)に 依 存 して い るの で あ る.し か し,こ の契 約 の 不 完 備 性 だ け で は,雇 用 契 約 と役 務 契 約(サ ー ビス 契 約)と を 区別 す る こ とが で き な い.雇 用 契 約 は,マ ル ク ス が 『資 本 論』 にお い て 「労 働 者 は,彼 の労 働 の 帰 属 者 た る資 本 家 の 統 制 の も と で労 働 す る. 資 本 家 は,労 働 が 整 然 と進 行 … … す る よ う に 見 張 っ て い る」(マ ル ク ス[24],p.157)と の べ て い る よ う に,雇 い 主 が 「労 働 の仕 方 や 様 式 を統 制 す る権 利 」 を もつ と い う点 で,役 務 契 約 か ら 区 別 され る.雇 用 契 約 の 本 質 は,生 産 シ ス テ ム の 複 雑 性 を反 映 す る契 約 上 の 「不 完 備 性 」 で は な く,雇 い 主 に よ る 「労 働 の 仕 方 や 様 式 の統 制 」 に求 め るべ きで あ る. 現 代 資 本 主 義 にお け る 複 雑 さ ・知 識 ・不 確 実 性 の増 大 は,雇 用 労 働 者 に絶 えず よ り高 い 水 準 の 知 識 や 技 能 や 適 応 力 を要 求 す る こ と に よっ て,高 度 の技 能 や 専 門 的 知 識 を 有 す る労 働 者 を生 み 出 す が,こ の よ うな 知 識 労 働 者 は 労 働 の統 制 が 難 し く監 督 で き ない 存 在 で あ る.ド ラ ッ カ ー [8]は 増 加 しつ つ あ る知 識 労 働 者 の カ テ ゴ リー と して,医 師 や 弁 護 士,科 学 者,教 師,聖 職 者 とい っ た 旧 来 の 知 識 労 働 者 に くわ え て,医 療 テ ク ノ ロ ジ ス ト(X線 技 師,超 音 波 技 師,理 学 療
法 士,歯 科 技 工 士,精 神 科 の カ ウ ンセ ラ ー,栄 養 士,看 護 士),コ ン ピ ュ ー タや 製 造 や教 育 にお け るテ ク ノ ロ ジス ト(コ ン ピ ュ ー タ技 師,プ ロ グ ラ マ ー),事 務 テ ク ノ ロ ジ ス ト(例 え ば,弁 護 士 補 助 職),デ パ ー トの テ ク ノ ロ ジ ス ト(バ イ ヤ ー,イ ンテ リア,外 商,販 促,宣 伝 の 担 当者) とい っ た新 種 の 知 識 労 働 者 を挙 げ て い る. この よ うな 労 働 統 制 の 困 難 な知 識 労 働 者 の 増 加 は 「雇 用 労 働 に た い す る 雇 い 主 の統 制 」 と い う雇 用 契 約 の根 本 的 性 格 を希 薄 化 させ,労 働 の 管 理 者 と労 働 の遂 行 者 と の境 界 を掘 り崩 す こ と に よ っ て,雇 用 と 自営 業 の 区別 を 次 第 に あ い まい にす る.雇 用 と 自営 業 の 区 別 が あ い まい に な る とい う事 態 は,社 会 的 経 済 シ ス テ ム に お い て 専 門 的 な 知 識 や 技 能 を有 す る こ と の重 要性 が 高 ま り,物 的 生 産 手 段 を所 有 す る こ と の重 要 性 が 低 下 して い る こ と を意 味 して い る.こ の 事 態 は, Hodgson([12],pp.205-227)が 指 摘 す る よ う に 賃 労 働 者 を 「労 働 者 と生 産 手 段 の分 離 」 に も とつ く支 配=統 制 か ら解 放 す る可 能 性 を含 ん で い る とは い え,社 会 的 経 済 シス テ ム に新 しい 問 題 を発 生 させ る こ とに な る.第 一 は,雇 い 主 が 判 断す る こ とが で き な い,労 働 統 制 の 困 難 な知 識 労働 者 の 知 識 や 技 能 の レベ ル を 第 三 者 機 関 を通 じて い か に認 定 す るか とい う問 題 で あ る.こ こか ら,知 識 労 働 者 の 能 力 や 技 能 を評 価 ・認 定 す る メ カ ニ ズ ム(高 等 教 育 機 関 や 専 門家 とい っ た 第 三 者 機 関 の 認 定 書,資 格 証 明 書)の 必 要 性 が 生 じる が,そ れ と同 時 に,競 争 し合 う複 数 の 認 定 機 関 の うち の どの認 定 書 が 信 頼 で きる の か,さ らに 認 定 機 関 を認 定 す る 上 位 の認 定 機 関 の 認 定 能 力 は信 頼 で きる の か,と い う 「認 定 の 認 定 』 問 題 も発 生 す る.第 二 は,雇 い主 た る企 業 が,高 い技 能 や 専 門 的 知 識 の あ る人 を雇 用 契 約 よ り も役 務 契 約 を通 じて 手 に入 れ る 問 題 で あ る. 役 務 契 約 の場 合,労 働 時 間 で は な く専 門 的 サ ー ビ ス の提 供 が 契 約 の 対 象 に な るの で,雇 用 契 約 が 法 律 上 の 自営 業 に とっ て 代 わ られ る.ア メ リ カ経 済 に お け る 人材 派 遣 業 や 雇 用 業 務 代 行 業 の 増 加 は,企 業 が 雇 用 契 約 よ り も役 務 契 約 を選 択 す る傾 向 を表 現 して い る.第 三 は,専 門 的 知 識 や技 能 や 学 習 能 力 の あ る 労 働 者 とそ うで な い 労 働 者 とで は,「雇 わ れ る能 力 」や 賃 金 に お い て 大 きな 差 が あ る,と い うデ ジ タル ・デ ィバ イ ドの 問 題 で あ る(木 村 忠 正[23]).21世 紀 の 資 本 主 義 にお け る知 識 集 約 経 済 の 進 展 は,専 門 的知 識 や 学 習 ス ピー ドに 欠 け る低 技 能 労 働 者 の 雇 用 リ ス ク を高 め て い る(エ ス ピ ン ーア ンデ ル セ ン[9]). 2.構 造 転 換 政 策 と し て の 雇 用 政 策 と ネ ッ トワ ー ク 国 家 現 代 の 社 会 経 済 シ ス テ ム に お け る 複 雑 さ と知 識 の増 進 は,以 上 の よ うな 問 題 を 内 包 しなが ら, 知 識 を基 盤 とす る資 本 主 義 を発 展 させ て い る.し か し,1990年 代 にお け る ア メ リ カ とス ウ ェ ー デ ン の 経 験 が 示 す よ う に,知 識 集 約 経 済 の 発 展 は均 質 的 な もの で は な い.Esping-Andersen ([12],pp.28-29)は,知 識 経 済 の将 来 二 つ の シ ナ リ オ と して,ア メ リカ 型 の 「無 知 の 大 海 に 浮 か ぶ 卓 越 の 島 」 を促 進 す る不 平 等 な軌 道 とス ウ ェ ー デ ン型 の 「少 数 の小 波 で 揺 れ る穏 や か な 池 」 の よ うな 平 等 な軌 道 を対 置 し,前 者 で は 世 界 に君 臨 す る科 学 研 究 の拠 点 と基 礎 的 な 認 知 能
力 に欠 け る20%の 階 層 が 同居 して い る の に た い し,後 者 で は世 界 的 な研 究 拠 点 は な い が 基 礎 的 な 認 知 能 力 に 欠 け る 階層 は5%以 下 にす ぎな い,と 指 摘 す る.キ ャペ リ[5]が 鋭 く描 い て い る よ う に,1980年 代 以 降 の ア メ リ カ の雇 用 シス テ ム は,長 期 雇 用 と企 業 内 訓 練 の 「内部 労 働 市 場 型 」 か ら短 期 不 安 定 雇 用 と 自 己責 任 に よ る ス キ ル形 成 の 「外 部 労 働 市 場 型 」 へ と劇 的 に 転 換 し た が,こ の外 部 労 働 市 場 型 の 雇 用 シス テ ム は教 育 訓 練 投 資 の イ ンセ ン テ ィブ を欠 き,不 可 欠 の 技 能 や 労 働 意 欲 を確 保 す る う え で 困 難 を抱 え て い る の で あ っ て,知 識 集 約 経 済 に適 合 した シ ス テ ム で は あ りえ な い.し か し,ア メ リ カ経 済 で は,雇 用 シス テ ム を ガバ ナ ンス す る 団体 的 諸 制 度(雇 用 主 団 体 や 労 働 組 合)が 発 達 して い な い が ゆ え に,大 学 をベ ー ス に した 諸 企 業,ベ ン チ ャー ・キ ャ ピ タ ル,州 政 府,国 家(軍 部),科 学 者,エ ン ジニ ア の ネ ッ トワ ー ク が 発 達 し,い くつ か の 有 力 な ネ ッ トワー ク を通 じて,航 空 機 超 短 波 通 信,集 積 回路,コ ン ピ ュ ー タ,核 エ ネ ル ギ ー,新 素 材(チ タ ン,強 化 プ ラ ス チ ッ ク,高 強 度 鉄 合 金),数 値 制 御 工 作 機 械 な どが 開 発 され た.ア メ リ カ経 済 は,ネ ッ トワ ー ク とい う,知 識 集 約 経 済 に適 合 し た ガ バ ナ ンス 形 態 を も っ て い るの で あ る.ア メ リ カ型 の知 識 経 済 は,ネ ッ トワ ー ク に よる 高 度 の イ ノ ベ ー シ ョ ン と雇 用 労 働 者 の 大 部 分 に とっ て の 知 識 や技 能 の 衰 退(社 会 的 衰 退)と を ど こ ま で 両 立 させ る こ とが で き るだ ろ うか2). 篠 田武 司[38],神 野 直 彦[21],二 文 字/伊 藤[18],宇 仁[41]な どが 明 らか に して い る よ う に,バ ブ ル 崩 壊 後 の ス ウ ェ ー デ ン経 済 は,ITを 駆 使 した 知 識 集 約 産 業 を発 達 に よ っ て 経 済 の 回復 に成 功 し,経 済 成 長 率,実 質 賃 金 上 昇 率 失 業 率 製 造 業 産 出 高 成 長 率,製 造 業 労 働 生 産 性 の い ず れ に お い て も,ほ ぼ 同 じ時 期 にバ ブ ル の 崩 壊 を経 験 し長 期 停 滞 を つ づ け て い る 日本 経 済 を上 回 っ て い る.ス ウ ェー デ ンの 産 業 構 造 と雇 用 構 造 に特 徴 的 な こ とは,衰 退 産 業 の 縮 小 と 成 長 産 業 の拡 大 が 同 時 に 進 行 し,多 数 の 労 働 者 と資 本 が 成 長 産 業 に移 動 して い る こ とで あ る. この よ う な 産 業 の 高 度 化 と雇 用 創 出 を可 能 に す る仕 組 み が 「積 極 的 労 働 市 場 政 策 」 で あ っ て, 労 働 市 場 プ ロ グ ラ ム(LMP)と 成 人 教 育 事 業 か ら成 っ て い る3).LMPは,失 業 者 に雇 用 訓 練 や 職 場 経 験 公 共 雇 用,創 業 助 成 な どの 支 援 プ ロ グ ラ ム を提 供 し,プ ロ グ ラ ム 参 加 者 に 失 業 手 当 と同 額 の 訓 練 手 当 を給 付 す る制 度 で あ る.成 人 教 育 事 業 は,教 育 レベ ル の低 い 人 々(と くに失 業 中 で 高 校3年 間 の 課 程 を修 了 して い な い 人 々)に た い して 学 習 機 会 を提 供 し,短 期 間 に国 民 の 知 識 レベ ル を向 上 させ よ う とす る 制 度 で あ って,そ の ね らい は低 技 能 労 働 者 を知 識 集 約 経 済 に 適 合 で き る技 能 労 働 者 に 変 え る こ とで あ る.LMPも 成 人 教 育 事 業 も,従 来 の 失 業 手 当 を技 能 や 知 識 を 向 上 させ る た め の 教 育 訓 練 投 資 と して 利 用 す る試 み で あ り,労 働 市 場 政 策 の刷 新 と 2)Esping-Andersen,G.([10],p.29)は,ア メ リ カ型 の知 識 集 約経 済 の 動態 が,多 数 の国 民 が知 識 集 約 的 製 品 を消 費す る能力 を欠 く こ とか ら生 じる需 要 サ イ ドの 制 限 に ぶつ か る可 能 性 を指摘 して い る.ホ リ ング ワー ス[15]も 地域 や 地 方 レベ ルで アメ リカ経 済 を ガバ ナ ンスす る制 度 や規 範 が 危機 に あ る こ とを指 摘 し, アメ リカ企 業 の 主要 な ガバ ナ ンス形 態 で あ る ネ ッ トワ ー クが各 種 の 集 団 的行 動 形 態 の う ちに埋 め込 まれ る 必 要性 を 強調 して い る. 3)ス ウ ェ ーデ ンの積 極 的 労働 市 場 政 策 につ いて は,篠 田武 司編 著[38],伊 藤 正 純[18]を 参照.
教 育 政 策 の刷 新 を結 び つ け る こ とで,知 識 集 約 経 済 の 発 展 と雇 用 創 出 を確 保 し よ う とす る新 し い福 祉 国家 戦 略 で あ る.「 知 識 社 会 の生 産 性 を決 定 す る要 因 が,個 人 の 知 的 能 力 と,そ う した 知 的 能 力 を相 互 に与 え あ う人 間 の きず な で あ る 社 会 資 本 か ら構 成 さ れ る 知 識 資 本 」(神 野 直 彦 [21],p.124)で あ る とす れ ば,21世 紀 初 頭 の ス ウ ェー デ ンは そ の よ うな 「知 識社 会 」 の 発 達 を基 盤 とす る福 祉 国家 へ の 転 換 を め ざ して い るの で あ る4). 知 識 集 約 経 済 の 進 展 と グ ロ ーバ ル 化 す る市 場 で の競 争 に直 面 す る国 家 の構 造 転 換 政 策 は,「ポ ス トナ シ ョナ ル な シ ュ ンペ ー ター 的 勤 労 福 祉 レ ジ ー ムPost-national schumpeterien Workfare Regime」(ジ ェ ソ ップ[19])と 規 定 す る こ とが で き る.「 ポ ス トナ シ ョナ ル な 政 策 レジ ー ム 」 と い うの は,国 民 国 家 の 経 済 的 ガ バ ナ ンス の 一 部 が,一 方 で は グ ロ ーバ ル ・レベ ル やEUの よ う な超 国 家 的 地 域 に,他 方 で は 一 国 内 の諸 地 域 に移 譲 され つ つ あ るか らで あ る.「 シ ュ ンペ ー タ ー 的勤 労 福 祉 レ ジー ム」 とい う の は,ケ イ ンズ 的福 祉 国 家 が 需 要 サ イ ドへ の介 入 に よ っ て マ ク ロ 経 済 の 規 則 性 を維 持 し,失 業 手 当 の 給 付 に よ って 失 業 者 を消 費 者 と し て社 会 経 済 シ ス テ ム に統 合 した の とは 対 照 的 に,と くに供 給 サ イ ドへ の 介 入(テ ク ノ ロ ジ ー や 製 品,製 造 工 程 の 絶 え ざ る イ ノベ ー シ ョン)に よ っ て,グ ロー バ ル な 競 争 に お け る国 民 的 領 域 の構 造 的 競 争 力 を 高 め る 経 済 政 策 を 実 行 す る か らで あ り,教 育 シ ス テ ム や 職 業 訓 練 シ ス テ ム の 質 的 改 善 に よ っ て 国 民 の 学 習 能 力 を 高 め て,知 識 集 約 経 済 に 適 合 した 人 材 を育 成 す る雇 用 政 策(職 業 訓 練 プ ロ グ ラ ムへ の 参 加 義 務 を と も な う失 業 手 当 の 給 付 を含 む)を 志 向 す るか らで あ る.欧 州 委 員 会 も 『成 長, 競 争 力,雇 用 』 白書(1993)に お い て,民 間 や 地 域 の イ ノベ ー シ ョン を促 進 す るサ プ ライ サ イ ド政 策 と勤 労 者 の 学 習 や技 能 や 適 応 能 力 の 向 上 と を結 び つ け る 能 動 的 雇 用 政 策 を提 唱 して い る (中村 健 吾[28]). しか し,構 造 転 換 政 策 と して の シ ュ ンペ ー ター 的勤 労福 祉 レジ ー ム を担 うの は,市 場 原 理 主 義 で も,そ の 他 の ガバ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ム か ら相 対 的 に 自律 した 集 権 的 国家 で も,あ る い は ま た,従 来 の 政 労 使 の コー ポ ラ テ ィズ ム で もな い.そ れ は,多 様 な ガ バ ナ ンス ・ネ ッ トワ ー ク を 調 節 す る能 力 で あ る戦 略 的 指 導 力strategic guidance(Amin,A.et HausnerJ.[1],p.18)を 備 え た 国 家 で あ る.戦 略 的 指 導 力 と い う概 念 は,支 配 的 集 団 の 同 意 獲 得 能 力 を意 味 す るヘ ゲ モ ニ ー概 念 とは 異 な り,関 係 的 相 互作 用 を促 進 す る反 省 的 な統 治 能 力 と誘 導 ・調 停 を主 要 な 任 務 とす る リ ー ダ ー シ ップ との 複 合 を 意 味 す る.国 家 の役 割 は,社 会 的 複 雑 さ を い か に統 治 す るか とい う文 脈 で検 討 さ れ ね ば な らな い.社 会 的 複 雑 さ を統 治 す る 国家 は,何 よ りも,そ の 他 の 社 会 的 行 為 主 体(市 場 や私 的 ヒエ ラ ル キ ー,団 体,コ ミュ ニ テ ィ,ネ ッ トワ ー ク な どの ガ バ ナ ン ス ・メ カ ニ ズ ム)が そ れ 固 有 の役 割 を遂 行 で き る よ うに 働 きか け る,パ ー トナ ー の役 割,す な わ ち,社 会 的 相 互 作 用 の 促 進 者 と して の役 割 を 果 た さね ば な ら な い.Amin,A.et Hausner J. ([1],p.24)は こ の よ う な 国家 を 「相 互 作 用 促 進 国 家facilitativestate」 と呼 ん で い るが,ガ バ 4)ス ウェーデ ンの新 しい福祉 国家戦略につ いては,宮 本太郎[26],エ ス ピン ーア ンデルセ ン[9],若 森章 孝[42]を 参照 されたい.
ナ ンス 間 の ネ ッ トワ ー ク とそ の相 互 作 用 を促 進 す る とい う意 味 で は 「ネ ッ トワー ク 国家 」 と呼 ぶ こ とが で きる.21世 紀 の 国 家 は 戦 略 的指 導 力 を有 す る ネ ッ トワー ク 国家 と して,社 会 的 複 雑 さ を統 治 す る こ と を通 じて,シ ュ ンペ ー ター 的 勤 労 福 祉 レ ジ ー ム を構 築 す る こ とが で き るの で あ る. 3.勤 労 者 社 会 の 転 換 とガ バ ナ ンス の ガバ ナ ンス 20世 紀 は,自 動 車 や テ レ ビ とい っ た 耐 久 消 費 財 の大 量 生 産 と賃 金 生 活 者 の 大 量 消 費 と を結 び つ け る,フ ォー デ ィ ズ ム と呼 ば れ る 高 度 経 済 成 長 を作 り出 した が,注 意 す べ き は,フ ォー デ ィ ズ ム 的 経 済 と と も に,国 民 の 大 部 分 を賃 労 働 者 と して の み な らず 消 費 者 と して も資 本 主 義 市 場 経 済 に統 合 す る 「勤 労 者 社 会 」 が 誕 生 した こ とで あ る.勤 労 者 社 会 に あ っ て は,労 働(雇 用) は 賃 労 働 者 に と っ て,た ん に賃 金 を得 る た め の 手 段 で は な く,収 入 や 医 療 ・年 金 へ の ア クセ ス が保 証 さ れ る こ とで あ り,社 会 的 に 認 め られ る こ とで あ り,職 場 や 労 組 とい っ た 集 団 に 帰 属 す る こ とで あ り,自 己実 現 の 機 会 を得 る こ とで あ る.要 す る に,労 働 は勤 労 者 社 会 に お け る社 会 統 合 の 中心 的 要 素 に な っ て い る. 21世 紀 を向 か え た今 日,人 々の 経 済 活 動 と 日々 の 生 計 の前 提 で あ っ た この よ うな 「経 済 」 と 「社 会 」 の仕 組 み が 大 き く揺 ら ぎ,大 転 換 に 直 面 して い る.知 識 集 約 度 の 高 低 に よ る雇 用 労 働 者 や 製 品 ・サ ー ビス の 二極 化 を推 し進 め る グ ロー バ ル 市 場 で の競 争 の な か で,低 技 能 労 働 者 を 工 業 製 品 の 大 量 生 産 に 吸 収 して雇 用 を確 保 して い た フ ォー デ ィズ ム が 衰 退 し,低 技 能 労働 者 は 雇 用 危 機 の 下 に お か れ て い る.工 業 雇 用 が 大 量 に失 わ れ 新 しい雇 用 の 大 部 分 が サ ー ビ ス 経 済 の 発 展 に よ っ て しか 確 保 され え な い 「脱 工 業 化 」 とか,「 ポ ス ト工 業 社 会 」 とか 呼 ば れ て い る経 済 環 境 の 中 で,さ ま ざ まな タ イ プ の 資 本 主 義 は 労 働 市 場 の リス ク(失 業)と 雇 用 の 創 出 に そ れ ぞ れ独 自の 戦 略 で 対 応 して い る.市 場 主 導 型 の ア メ リカ 資 本 主 義 が 失 業 問題 に 労 働 市 場 の 規 制 緩 和 と低 賃 金 雇 用 の 拡 大 に よ っ て対 応 して い る の に た い し,労 使 交 渉 主 導 型 の ヨー ロ ッパ 資 本 主 義 は 失 業 問題 に 一 人 稼 ぎ手 と して の 男 性 労 働 者 の 雇 用 を維 持 しな が ら早 期 退 職 や 女 性 雇 用 の 抑 制 に よ っ て対 応 して い る.そ の結 果,ア メ リカ で は,失 業 率 の 低 下 と大 き な賃 金 格 差 が 生 まれ, ヨー ロ ッパ で は,労 働 市 場 か ら排 除 され た労 働 者 の再 編 入 が 困難 に な り失 業 が 長 期 化 して,就 業 者 と失 業 者 との 大 きな格 差(医 療 や 教 育,年 金,住 宅 と い っ た 「社 会 的 な もの」 か らの排 除) が 引 き起 こ され て い る.い ず れ に せ よ,フ ォー デ ィ ズ ム の 時 代 に は 均 質 的 で あ っ た勤 労 者 社 会 は,知 識 と高 度 技 能 を巧 み に利 用 で き る上 層,資 格 や 労 使 協 定 に よ っ て保 護 され て い る 中 層, 失 業 の リ ス ク に さ ら され て い る 下 層 に分 裂 して い る.こ の よ うな勤 労 者 社 会 の 亀 裂 と危 機 は, ア メ リ カ や ヨー ロ ッパ よ りも,企 業 主 導 型 で 雇 用 維 持 ・拡 大 と職 業 訓 練 を 実 現 し て きた 日本 資 本 主 義 に とっ て よ り深 刻 な問 題 に な る はず で あ る. で は,フ ォー デ ィズ ム と と もに 生 まれ た勤 労 者 社 会 を知 識 集 約 経 済 の進 展 とポ ス ト工 業 経 済
の 下 で 再 建 す る こ とが で き る だ ろ うか.規 制 緩 和 と技 術 革 新 に よ って 経 済 の 回 復 を推 進 し よ う とす る新 自由 主 義 の 主 張 は,経 済 と 「社 会 的 な も の」 を対 立 させ,勤 労 者 社 会 の 衰 退 を 放 置 す る や り方 で あ る.ま た,近 年,ア メ リ カ の著 名 な文 明批 評 家,リ フキ ン[35]な どに よっ て 主 張 され た 「労 働 の 終 焉 」 論 は,労 働 市 場 を新 しい 社 会 的 合 意 や 制 度 に よ っ て 調 整 す る こ とで 勤 労 者 社 会 を 立 て 直 す 可 能性 を否 定 す る議 論 で あ る.経 済 と勤 労 者 社 会 を再 建 す る に は,知 識 や 学 習 能 力,高 技 能 に 中心 をお くポ ス ト工 業 経 済 が,商 品 供 給 能 力 の 絶 え ざ る 拡 大 に照 応 す る需 要 増 加 の 仕 組 み を もた な い こ とや,知 識 労 働 者 と低 技 能 労 働 者 の 二 極 化 を と も な う こ と を リ ア ル に認 識 して,新 しい ガ バ ナ ンス 様 式 を考 案 す る必 要 が あ る. 例 え ば,フ ラ ンス で 実 地 され つ つ あ る 「週35労 働 時 間 制 」労 働 法(清 水 耕 一[36])は,ワ ー ク シ ェ ア リ ング(仕 事 の 分 か ち合 い)に よっ て 勤 労 者 社 会 を維 持 す る試 み で あ り,労 働 時 間 の 短 縮 で 供 給 能 力 の 伸 び を抑 え需 要 の 伸 び に照 応 させ る ね らい を も って い る.そ し て,労 働 時 間 の 短 縮 に よ っ て 自 由 時 間 が 大 幅 に 増 加 す る な ら ば,一 人 一 人 の賃 金 生 活 者 が社 会 に必 要 な 財 を 生 産 す る活 動,個 人 を 開 花 させ る 文 化 活 動,家 族 や 友 情 に基 盤 を お く活 動,社 会 生 活 の 目標 に つ い て 討 議 し決 定 に参 加 す る政 治 的 活 動 とい う4つ の タ イ プ に 関 わ る こ とが で き る よ う に な り,勤 労 者 社 会 の 社 会 的 きず な と個 人 の 自己 実 現 の あ り方 も進 化 して 多 面 的 で 豊 か に な る はず で あ る(メ ー ダ[25]). この よ うな 知 識 集 約 経 済 と ポ ス ト工 業 経 済 の 時 代 に ふ さ わ しい 調 整 の仕 組 み と して,複 数 の ガ バ ナ ン ス ・メ カ ニ ズ ム に よる 共 治 を 意 味 す る 「ガバ ナ ンス の ガ バ ナ ンス」が 注 目 され て い る. これ は,複 雑 さ と不 確 実性 を高 め る グ ロ ーバ ル 化 す る 知 識 集 約 的 経 済 の進 展 な か で,主 権 国 家 の 問 題 解 決 能 力 が 相 対 的 に低 下 して い る こ と を反 映 す る もの で あ る.し か し,国 家 は 退 場 して し ま うの で は な い.イ ノ ベ ー シ ョ ンや 社 会 統 合 や 環 境 保 全 とい っ た 共 通 の 問 題 に複 数 の ガ バ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ムが 討 論 と選 択 を 通 じて取 組 む こ とが で き る よ うな 「戦 略 的 指 導 力 」 が,国 家 の新 し い役 割 に な る だ ろ う. 4.転 換 期 に お け る 国 家 と ガ バ ナ ン ス 経 済 の グ ロ ー バ ル化 と複 雑 化 ・知 識 集 約 化 は,ケ イ ンズ 的 福 祉 国 家 や 発 展 途 上 国 の 開 発 国 家 を含 む す べ て の タ イ プ の 国 家 に 「国 家 の 再 考 」 を迫 り,世 界 の至 る所 で 「ガ バ メ ン トか ら ガバ ナ ンス へ 」 と定 式 化 さ れ る よ う な 国 家 再 構築 の傾 向 を生 み 出 して い る5).一 般 的 に は,ガ バ メ ン トは 法 律 や 命令 に よ る 政 府(行 政 機 構)の コー デ ィ ネ ー シ ョ ンの意 味 で,ま た ガ バ ナ ンス は ネ ッ トワ ー ク型 組 織 お よ び ネ ッ トワ ー ク 型 組 織 と企 業 組 織 あ る い は 行 政 組 織 との 相 互 作 用 に よ る コー デ ィ ネ ー シ ョ ンの 意 味 で 用 い られ て い る.し か し,こ の 用 語 法 で は,国 家 の 新 しい 役 割 と 5)ガ バ ナ ン ス 論 争 の 背 景 と そ の 展 開 に つ い て は,堀[17],篠 田[39]を 参 照 さ れ た い.
して 比 較 制 度 分 析 が 注 目す る 「市 場 拡 張 的 見 解 」(民 間 部 門 に よる コー デ ィネ ー シ ョ ンを促 進 し 補 完 す る政 府 の 役 割)の み な らず,Rhodes[34]が 挙 げ る ガバ ナ ンス の6つ の 用 法 の うち の5 つ,た と え ば 市 場 原 理 の 導 入 に よる新 しい行 政 管 理(NPM)や 株 主 優 位 の企 業 統 治(コ ー ポ レ ー ト ・ガバ ナ ンス)へ の転 換 な どは,ガ バ ナ ンス 論 の枠 外 で しか 議 論 で きな い こ と に な る.そ れ ゆ え,近 年 に お け る国 家 再 構 築 の動 向 を ガバ ナ ンス 論 と して 展 開す る た め に は,「 ガバ メ ン トか らガ バ ナ ンス へ 」 とい う定 式 化 の 背 後 に経 済 的 世 界 の複 雑 さ と知 識 集 約 化 の 増 進 が あ る こ と を 考 慮 し て,ガ バ ナ ンス と 「ガ バ ナ ンス の 諸 条 件 の 反 省 的 な組 織 化 」(Jessop[20],P.240)を 意 味 す る メ タ ・ガ バ ナ ンス と を 区別 す る必 要 が あ る. メ タ ・ガバ ナ ンス と区 別 さ れ る,い わ ば 「構 造 」 と して の ガバ ナ ン ス は,現 代 制 度 派 経 済 学 や レギ ュ ラ シ オ ン理 論 に よ る近 年 の研 究 が 明 らか に した よ う に,市 場 メ カ ニ ズ ム に専 一 的 に還 元 され る もの で は な い.資 本 主 義 は,市 場 や 私 的 ヒエ ラ ル キ ー(企 業),国 家,団 体(ア ソ シエ ー シ ョン),コ ミュ ニ テ ィ,ネ ッ トワ ー ク とい っ た少 な く と も6つ の ガバ ナ ンス(統 治)・ メ カ ニ ズ ム を も っ て お り,各 国 の 資 本 主 義 の 型 は これ ら の統 治 メ カ ニ ズ ム 組 み 合 わ せ 方 に よっ て 特 徴 づ け られ る(ホ リ ング ス ワー ス/ボ ワ イエ[15]).市 場 は私 的利 益 を水 平 的 に調 節 す る ガバ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ム で あ る.私 的 ヒエ ラ ル キ ー は垂 直 的 に 統 合 さ れ た 大 企 業 の ガ バ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ムで あ っ て,コ ー ス や ウ ィ リ ア ム ソ ン に よれ ば企 業 ヒエ ラ ル キ ー(垂 直 的 な 制 度 的 取 決 め) の発 生 は取 引 費 用 の 節 約 か ら説 明 され る.国 家 は そ れ 自体 が 経 済 活 動 の主 体 で あ る と と も に, そ の 他 の 多 様 な ガバ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ム を認 可 ・規 制 す る最 高 位 の ガバ ナ ンス で あ る.団 体 は, 経 営 者 団体 や 業 界 団体,労 働 組 合,プ ラ イ ヴ ェー ト ・イ ン タ レス ト ・ガ ヴ ァメ ン トの よ う な類 似 す る ア ク ター 間 の 調 整 をお こ な う ガバ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ム で あ る.コ ミュ ニ テ ィ は信 頼 や 義 務 に も とつ くガ バ ナ ンス で あ っ て,取 引 は社 会 的 文 脈(ア ク ター 問 の 強 い社 会 的 きず な)に 埋 め 込 まれ て い る.ネ ッ トワー ク は,企 業 か ら団 体 や 国家 ・地 方 政 府 ま で も含 む,基 本 的 に は平 等 な ア ク タ ー 問 の 長 期 的 な協 力 関係 で あ っ て,技 術 開発 や 新 製 品 開 発 とい っ た イ ノベ ー シ ョ ン に 適 し た ガバ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ム で あ る.こ れ ら6つ の ガバ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ム は そ れ ぞ れ 自 身 の 論 理 とル ー ル を もっ て お り,そ れ 固有 の 長 所 と欠 陥 を と もな って い る.そ れ ゆ え,い か な る ガバ ナ ンス ・メ カニ ズ ム もそ れ 単 独 で は完 全 で は あ りえ な い.「 市 場 対 国 家 」あ る い は 「市 場 対 ヒ エ ラル キ ー」 の よ う な 二 分 法 に よる 資 本 主 義 認 識 は根 本 的 に不 完 全 で あ る こ とが,銘 記 され な け れ ば な らな い. さ ら に,資 本 主 義 経 済 の 空 間 的領 域 は,国 民 国 家 や 一 国 内 の 諸 地 域,EUの よ う な超 国 家 的 地 域,グ ロ ーバ ル ・レベ ル か ら成 っ て い るが,ガ バ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ム の組 み 合 わ せ 方 は 空 間 的 領 域 の そ れ ぞ れ の レベ ル にお い て 異 な っ て い る.例 え ば,ネ ッ トワー ク や コ ミ ュ ニ テ ィの よ う な ガ バ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ム は一 国 内 の 諸 地 域 で は発 達 し て い る が,超 国 家 的 地 域 や グ ロ ーバ ル ・ レベ ル で は あ ま り発 達 して い な い.グ ロ ーバ ル ・レベ ル で優 勢 な の は,市 場 や 私 的 ヒ エ ラル キ ー (超 国 家 企 業)で あ る.超 国家 的 地 域 で は,市 場 や 私 的 ヒエ ラ ル キ ー に加 え て,ネ ッ トワー ク
が優 勢 で あ る.ま た,国 民 国家 の レベ ル で優 勢 な の は,国 家 や 団体 的 諸 制 度(労 働 組 合 や 雇 用 主 団 体,業 界 団 体),市 場,私 的 ヒエ ラ ル キ ー で あ る. い ず れ にせ よ,グ ロ ー バ ル化 す る 知 識 集 約 的 資 本 主 義 の 進 展 と と も に,こ の よ う な す べ て の タイ プの ガバ ナ ン ス ・メ カ ニ ズ ム が ガバ ナ ンス の た め の 諸 条 件 の 反 省 的 な組 織 化 を余 儀 な くさ れ て い る の で あ る.例 え ば,NPM,政 府 の 市 場 拡 張 機 能 コ ー ポ レ ー ト ・ガバ ナ ンス,ネ ッ ト ワー ク型 組 織 は そ れ ぞ れ,複 雑 さの 増 進 とい う状 況 の 下 で の,政 府(行 政 組 織),市 場,企 業, 団体 の メ タ ・ガ バ ナ ンス 化 の 動 き と して位 置 づ け る こ とが で きる. メ タ ・ガバ ナ ン ス に お け る 国家 の 役 割 は,社 会 的複 雑 さ を い か に調 節 す る か と い う文 脈 で 検 討 され ね ば な ら な い.社 会 的 複 雑 さ を統 治 す る国 家 は,何 よ り も,そ の他 の ガ バ ナ ンス ・メ カ ニ ズ ムが そ れ 固 有 の 役 割 を遂 行 で き る よ うに働 きか け る,パ ー トナ ー の役 割,す な わ ち,社 会 的相 互 作 用 の促 進 者 と して の 役 割 を果 た さ ね ば な らな い.Amin et Hausner([1],p.24)は こ の よ う な 国家 を 「相 互 作 用 促 進 国 家 」 と呼 ん で い る が,ガ バ ナ ンス 間 の ネ ッ トワ ー ク とそ の 相 互 作 用 を促 進 す る とい う意 味 で は 「ネ ッ トワー ク 国家 」 と呼 ぶ こ とが で きる.シ ュ ンペ ー タ ー 的勤 労 福 祉 レ ジー ム を担 うの は,こ の よ う な ネ ッ トワ ー ク国 家 で あ り,多 様 な ガバ ナ ンス ・ネ ッ トワー ク を調 節 す る能 力 で あ る 「戦 略 的 指 導 力 」(AminetHausner[1],p.18)を 備 え た 国 家 で あ る.戦 略 的 指 導 力 とい う概 念 は,支 配 的 集 団 の 同 意 獲 得 能 力 を意 味 す る ヘ ゲ モ ニ ー概 念 と は 異 な り,関 係 的 相 互 作 用 を促 進 す る反 省 的 な統 治 能 力 と誘 導 ・調 停 を主 要 な 任 務 とす る リ ー ダ ー シ ップ との 複 合 を 意 味 す る. この ネ ッ トワー ク 国 家 は,多 元 的 ネ ッ トワー ク ・ガ バ ナ ンス を発 展 させ て い るEUや 「コ ー ポ ラテ ィ ズ ム か ら交 渉 経 済 」(Nielsen and Pedersen[30])に 転 換 した デ ンマ ー ク経 済 に 典 型 的 に 観 察 す る こ とが で き るが,こ こで はEUの 多 元 的 ネ ッ トワー ク ・ガバ ナ ンス にお け る 国 家 の 位 置 と役 割 に 触 れ て お きた い6).EUは,① 超 国 家 的 レベ ル の 欧 州 委 員 会,欧 州 中 央 委 員 会,② 諸 国 家 関係 の レベ ル で あ る欧 州 理 事 会,閣 僚 理 事 会,③25の 国 民 国家 ④ サ ブ ナ シ ョナ ル な レ ベ ル の 地 方 政 府 や 地 方 自治 体 とい っ た多 元 的 ガバ ナ ン ス か ら構 成 され て い る.EUに お け る政 策 の 意 思 決 定 や 政 策 の執 行 は,関 与 す る公 的 諸 機 関 お よび 各 種 の 団 体 や 社 会 運 動 組 織 の あ い だ の複 雑 な ネ ッ トワ ー ク の 形 成 を通 じて お こ な わ れ て い る.市 場 原 理 や 国家 介 入,私 的 ヒエ ラ ル キ ー や 伝 統 的 団体 組 織 で は 解 決 で き な い構 造 的 問 題 に直 面 し て い る こ とが,EUに お い て ネ ッ トワー ク ・ガ バ ナ ンス を発 達 させ て い る の で あ る.例 え ば,地 域 開 発 プ ロ グ ラ ム の 策 定 に は, 欧 州 委 員 会 や 各 国 政 府,地 方 政 府,自 治 体 が 関 与 す る.ま た,欧 州 の 環 境 政 策 は,欧 州 委 員 会 (第11総 局)と 環 境 保 護 団体 との 緊 密 な ネ ッ トワ ー ク ・ガバ ナ ンス を通 じて 形 成 さ れ る.さ ら に,欧 州 委 員 会 は,多 元 的 ネ ッ トワー ク ・ガバ ナ ン ス を 通 じて シ ュ ンペ ー ター 的 勤 労 福 祉 レ ジ ー ム を構 築 し,超 国 家 的 レベ ルや 諸 国 家 レベ ル,各 地 域 レベ ル で イ ノベ ー シ ョ ン を促 進 し,雇 用 6)こ の パ ラ グ ラ フ のEU多 元 的 ネ ッ トワ ー ク ・ガ バ ナ ン ス に お け る 国 家 に 関 す る 議 論 は,中 村 健 吾[28] [29]に 依 拠 し て い る.
労 働 者 の 知 識 と技 能 を 高 め る こ とで,競 争 力 の 低 下 と高 失 業 の 問 題 に対 応 し よ う と して い る. EUの 国 民 国家 は この よ う な多 元 的 で超 国 家 的 な ネ ッ トワ ー ク ・ガ バ ナ ンス に い わ ば埋 め 込 ま れ,そ の 結 節 の 一 つ に な っ て い る.「 欧 州 委 員 会 や 国 民 国 家 は,サ ブ ナ シ ョナ ル な行 為 主 体 や 市 民 社 会 の 行 為 主 体 の 自己 組 織 的 な ガ バ ナ ンス ・ネ ッ トワー ク を上 か ら操 作 す るの で は な く,む しろ ネ ッ トワ ー ク相 互 の 関 係 を水 平 的 に調 整 して や る こ とで,よ り効 果 的 に 政 策 目標 を 達 成 し うる 」(中 村 健 吾[29],p.175)の で あ る. 参 考文献 [1]Amin,A.etHausnerJ,Interactivegovern-anceandsocialcomplexity,Amin,A.etHausner
J.(eds),Beyond Market and Hierachy, Edward Elgar, 1997. [2]青 木 昌 彦,「 官 僚 制 多 元 主 義 国 家 と 産 業 組 織 の 共 進 化 」,青 木/奥 野/岡 崎 編 著,『 市 場 の 役 割 ・ 国 家 の 役 割 』,東 洋 経 済 新 報 社,1999年. [3]バ ー ト ン ー ジ ョー ン ズ,有 賀 祐 子 訳,『 知 識 資 本 主 義 』,日 本 経 済 新 聞 社,2001年. [1]ボ ワ イ エ,中 原 隆 幸 訳,「 グ ロ ー バ リゼ ー シ ョ ン 時 代 の 資 本 主 義 」,横 川/野 口/伊 藤 編 訳,『 進 化 す る 資 本 主 義 』,日 本 評 論 社,1999年. [5]キ ャペ リ,若 山 由 美 訳,『 雇 用 の 未 来 』,日 本 経 済 評 論 社,2001年 [6]コ ー ス,「 企 業 の 本 質 」,宮 沢 健 一 ほ か 訳,『 企 業 ・市 場 ・法 』,東 洋 経 済 新 報 社,1992年. [7]ク ラ ウ チ/ス ト リ ー ク 編,山 田 鋭 夫 訳,『 現 代 の 資 本 主 義 制 度 』,NTT出 版,2001年. [8]ド ッ ラ カ ー,上 田 惇 生 訳 『ネ ク ス ト ・ソ サ エ テ ィ』,ダ イ ヤ モ ン ド社,2002年. [9]エ ス ピ ン ー ア ン デ ル セ ン,渡 辺 雅 男/渡 辺 景 子 訳,『 ポ ス ト工 業 経 済 の 社 会 的 基 礎 』,桜 井 書 店, 2000年.
[10]Esping-Andersen,G,Why We Need a New 既Welfare State,0xford University Press,2002. [ll]二 文 字 理 明/伊 藤 正 純 編,『 ス ウ ェ ー デ ン に み
る 個 性 重 視 教 育 』,桜 井 書 店,2002年. [12]Hodgson,GM.EconomicsandUtopia:Why
the learning economy is no the end of history, Routeledge.,1999, 若 森/小 池/森 岡 訳,『 経 済 学
と ユ ー トピ ア』,ミ ネ ル ヴ ァ書 房,2004年. [13]Hodgson,GM,Capitalism,complexity,and
inequality,Journal of Economic Issues,June
2003.
[14]HollingsworhR.etBoyerR.(eds),Contem-porary Capitalism: The embedness of Institu-tions, Cambridge University Press,1997。 [15]ホ リ ン グ ス ワ ー ス/ボ ワ イ エ,「 経 済 主 体 の 調 整 メ カ ニ ズ ム と社 会 的 生 産 シ ス テ ム の 重 要 性 」, 長 尾 伸 一/長 岡 延 孝 編 監 訳,2000年. [16]ホ リ ン グ ワ ー ス,「 制 度 に埋 め 込 ま れ た ア メ リ カ 資 本 主 義 」,ク ラ ウ チ/ス ト リ ー ク 編,2001年. [17]堀 雅 晴,「 ガ バ ナ ン ス 論 争 の 新 展 開 」,中 谷 義 和/安 本 典 夫 編 著,『 グ ロ ー バ ル 化 と現 代 国 家 』, 御 茶 の 水 書 房,2002年. [18]伊 藤 正 純,「 雇 用 」,二 文 字 理 明/伊 藤 正 純 編, 2002年. [19]ジ ェ ソ ッ プ(1997),篠 田 武 司 ほ か 訳,「 国 民 国 家 の 将 来 」,『立 命 館 大 学 産 業 社 会 論 集 』,第32巻 第4号.
[20]Jessop,B., The Future of Capitalist State,Polity Press,2002. [21]神 野 直 彦,『 人 間 回 復 の 経 済 学 』,岩 波 新 書, 2002年. [22]菅 野 和 夫,『 新 ・雇 用 社 会 の 法 』,有 斐 閣,2002 年 。 [23]木 村 忠 正,『 デ ジ タ ル ・デ ィ バ イ ドと は 何 か 』, 岩 波 書 店,2001年. [24]マ ル ク ス(1964),長 谷 部 文 雄 訳,『 資 本 論 』,第 1部,(世 界 の 大 思 想18),河 出 書 房 新 社. [25]メ ー ダ,若 森 章 孝/若 森 文 子 訳,『 労 働 社 会 の 終 焉 』,法 政 大 学 出 版 局,2000年. [26]宮 本 太 郎,『 福 祉 国 家 と い う 戦 略 』,法 律 文 化 社, 1999年. [27]長 尾 伸 一/長 岡 延 孝 編 監 訳,『 制 度 の 政 治 経 済 学 』,木 鐸 社,2000年.
[28]中 村 健 吾,「 グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン に と も な う EUと 国 民 国 家 の 変 容 」,『 経 済 学 雑 誌 』,第100 巻 第4号,2000 [29]中 村 健 吾,「EUに お け る 多 元 的 ネ ッ ト ワ ー ク ・ ガ バ ナ ン ス 」,『 ア ソ シ エ 』,第4号,御 茶 の 水 書 房,2000年. [30]Nielsen,K,andPedersen,O.K.,Fromthemix- edeconomytothenegotiatedeconomy,Cough-lin.RM,(ed.),Morality,Rationality, andEffi-ciency,M.E.Sharpe,1991. [31]野 口 宏,「IT資 本 主 義 の 歴 史 的 位 置 」,『 関 西 大 学 総 合 情 報 学 部 紀 要 』 「情 報 研 究 」,第17号, 2002年. [32]野 口 宏,「 産 業 社 会 とIT社 会 」,『 日 本 経 営 学 会 第76回 大 会 報 告 要 旨 集 』,2002年. [33]西 山 賢 一,『 複 雑 系 と し て の 経 済 』,NHK出 版 協 会,1997年. [34]Rhodes,RA.W.,Thenewgovernance:gov-erningwithoutgovernment,Journal of Political Studies,Vol.44,no.4,1996. [35]リ フ キ ン,松 浦 雅 之 訳,『 大 失 業 時 代 』,TBSブ リ タ ニ カ,1996年. [36]清 水 耕 一,「 制 度 に よ る 制 度 の 設 計:フ ラ ン ス 35労 働 時 間 労 働 法 と新 し い 労 使 関 係 」,『 進 化 経 済 学 会 論 集 』,第6集,2002年. [37]サ イ モ ン,「 雇 用 関 係 の 定 式 的 理 論 」,宮 澤 光 一 監 訳,『 人 間 行 動 の モ デ ル 』,同 文 舘 出 版,1970 年. [38]篠 田 武 司 編 著,『 ス ウ ェ ー デ ン の 労 働 と 産 業 』, 学 文 社,2001年. [39]篠 田 武 司,「 ガ バ ナ ン ス と市 民 社 会 の 公 共 化 」, 山 口 定 ほ か 編,『 新 し い 公 共 性 』,有 斐 閣,2003 年. [40]Stent,G.,Hermeneuticsandtheanalysisof complexbiologicalsystems,DavidDepewand BruceH,Weber(eds),Evolution at a Cros-sroads, MIT Press,1985.
[41]宇 仁 宏 幸,「1990年 代 に お け る 日 本 の 産 業 と 雇 用 の 構造 変 化 」,(京 都 大 ・慶 北 大 ・星 城 大)日 本 韓 国 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム,『 東 ア ジ ア 経 済 の 現 状 と 構 造 改 革 』,2002年. [42]若 森 章 孝,「 フ ォ ー デ ィ ズ ム ・ポ ス トフ ォ ー デ ィ ズ ム ・女 性 労 働 」,久 場 嬉 子 編 著,『 経 済 学 と ジ ェ ン ダ ー 』,明 石 書 店,2002年. (2005年ll月29日 受 領)