年金政策の一考察
一 福祉政治論を中心 に
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年金,社会保障審議会,基礎年金,厚生年金要
ヒエ日 公明党の年金政策について焦点をあてた。1
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年改正と2
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年改正におけ る同党の公的年金 についての理念,政策を 概観 した。基本的には基礎年金国庫負担の引上げや,夜間学生の年金特別納付制度等 に大 きな影響を及ぼ したが,与党 になったのは1
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年であるので,2
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年改正における今後の動向を見ていか なければ,同党の年金政策についての結論 がでないというのが, この研究の結論である。1
.研 究
目 的
年金制度は旧年金審議会で5
年 に一度財政再計算が行 われ,小出 し的な改正が施行 されている。基本的には中 央集権体制 と官僚による政策立案が なされている。そも そも年金政策については医療や介護のような関係団体は 多 くは存在せず,圧力団体が少 ないことが特徴である。 ゆえに,官が年金について世論づ くりを形成 し,官主導 の年金政策決定がなされたと言えよう。 しか し,今 日の少子高齢化は福祉政策の決定をただ官 に委ね るだけでは,制度を維持できず混迷を深めている のが現状である。 こう した現状 において,年金をただ官 に任せ るだけでなく福祉政策,年金政策,他の政策にお いても国民の自己決定によ り制度を作 っていこうという 流れが少 しづっであるが形成 しつつあるのが現在である。 この 自己決定は,直接的に国民ができる方法は市民活 動,NPO活動が考え られ る。 しか し,年金政策 におい ては米国の全米退職者協会のような年金受給者が組織化 され ない限 り,年金政策の決定 に国民が関与す ることが 困難であるのが現実である。 ゆえに,国民が次に年金政策 に関与できるのは国政選 挙において どの党を選ぶのか ?各党の年金政策の ビジ ョ ンが どのようなものか ?を選択 していくしか方法が ない のも現実である。 しか し,年金や福祉政策は政治の大 き な課題であ りなが ら,政治の世界では政策優先順位はき わめて低 く,ほとん ど取 り上げ られなか った ことも一面 では否定 Lがたい。ただ,現在 の少子高齢化は良 くも悪 くも年金についての関心を国民に向かわせ ることになっ たのである。年金は国民にとっては最大の関心事であり, 社会保障の中核 と言える。 このような現状において, 自民党が年金政策に消極的 であるため厚生労働省の影響が強いが,1
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年の連立政 権 に公明党が内閣に参加す ることにより曲が りなりにも 福祉政策が変化 し始めている。 同党は,1
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年代に福祉 政策を政治の場に押 し上げ,福祉政策を同党の看板に し, 国民より 「福祉の公明党」 とい う評価を受けている。い ずれに しても,政治主導の福祉政策の展開が求め られて いる今,同党に焦点を置き,年金政策の考え方や論点, 年金の基本政策を研究す ることは,これか らの年金政策 を考えるうえで重要であるとい う観点か らこのテーマを研究,分析す ることに した。
2.
研
究
方
法
公的年金政策の現状を過去5年程度を前提に概観 した。 特 に1999年改正,2004年 6月に改正 された年金改正に焦 点 を置いた。資料 として旧年金審議会資料,年金関係の 文献,新聞,雑誌を精査,分析を した。公明党関係の年 金政策 については,党機関紙 「公明」,党 出版 の年金関 係 の文献等を使用 した。3.1
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年改正 の動向 と政治
1999年改正の財政再計算への検討は,1996年の後半に は給付 と負担のバ ランス,厚生年金の廃止,民営化論 と 言 った論点がマスコミを通 じて国民に提示 され ている。 また,1997年 1月に国立社会保障,人 口問題研究所が発 表 した新人 口推計値により,年金の負担が厚生年金の最 終的保険料率34,5%,国民年金が 2万4600円という数字 を国が国民に提示す ることにより,年金の国民的関心は 高 まった。国の方も初めて 「年金 自書」を刊行 し,情報 公開を積極的に進めたことは評価すべ きことである。 ま た,国は1997年12月に年金審議会の論点 と年金改革の 5 つの選択肢 を公表 している。内容は,厚生年金の給付 と 負担の関係 について国民に選択 させ るものであるが,塞 礎年金や他の論点についての言及はなか った。 次に旧年金審議会であるが,1997年 5月か ら審議を始 め計31回の審議を消化 した。そ して,1998年10月に意見 書を発表 し,1998年10月に 「年金制度改正案」を公表 し, 厚生年金の支給開始年齢や給付水準を示 した3つの案を 厚生省は国民に示 し,内容決定は当時の与党の判断に委 ねた。 さらに,1998年末に年金保険料凍結す ることが決 まり,1994年改正で決まっていた厚生年金保険料率を 5 年 ごとに2.5%ずっ,国民年金保険料を毎年500円のペー スで引き上げていくことが足止め状態となったのである。 年金 と政治の関係は,1997年 4月より自民党年金制度 調査会や社会部会,厚生労働省の合同審議が行われてい る。そ して,1998年12月に自民党の年金制度調査会長の 私案を発表 している。基本的には,基礎年金の国庫負担 2分の 1の引き上げを除いて,国の改革案 とほとん ど同 じものである。 その後, 自民党 と自由党の連立政権が1999年12月に発 足 し両党の協議 において福祉 目的税 とその財源による基 礎午金,高齢者の体系を合意 した。 しか し,1999年 には いると自由党が基礎年金を税方式化す ることにこだわ り, 1999年 7月27日に国会提出 した年金改革案は継続審査 と なった。結果的に, 冒, 臼の中で合意を見 ることができ ず,最終的に合意 したのは,年金改正案に 「2004年 まで の間に安定 した財源を確保 し,国庫負担の割合を 2分の 1に引き上げる。」 ということであ った。ゆえに,1999 年改正案は,3国会にまたが ってお り難産の末に成立 し た年金改正であると言える。 では,公明党はというと1999年10月の連立政権 に加わ り政治,政策合意を取 り交わ し,社会保障においては, 「2005年 をめ どに年金,介護,後期高齢者医療 を包括 し た総合的な枠組みを構築す る。 それに必要 な財源の概ね 2分の 1を公費負担とする。財源は福祉 目的税をあてる。」 ということを 3党で合意 した。つ まり,1999年の年金改 正については,直接的には公明党は年金政策に関与せず , 基礎年金の給付水準の引き上げを見据えた附則の修正を 主張 し,現実には基礎年金の繰 り上げ支給率を引きあげ た。
4.
公明党 の概要
公明党は1963年 に結党 し,1994年 に当時の新進党に同 党の衆議院議員が合流 した。そ して,同党の参議院議員 と地方議員で公明を結党 したが,1997年に新進党は解党 し,1998年の今 日の公明党が結成 された。 現在は公 明党 には国会議員,地方議員合せ て3,489人 の議員がお り,衆議院議員31名,参議院議員25名の国会 議員が存在 している。 (2004年 3月現在) 年金政策立案は同党においては,政務調査会の厚生労 働部会,総合政策委員会,女性委員会で なされたが, 2004年の年金改正にむけての同党の独 自色を打ち出すた め去年の 2月20日に党の年金制度調査会を創設 し,具体 的な年金政策立案に着手 した。5.
これまでの公明党の年金政策の概要
1969年 に 「老人福祉対策の大綱」を発表 し,60歳以上 の高齢者に月20,000円を支給す ることか らスター トし, 1972年 に年 金制 度 改 革案 を発表 , 賦課 方 式 に よ る月 60,000円支給 を主張 した。当時は,高度経済成長の中で 今 日の基礎年金 に相当す る制度を提言 した。 次に基礎年金施行後は,1989年 3月に発表 した 「21世 紀 トー タルプラン」の中で基礎年金の定額保険料方式か ら所得再分配を重視 した 「均等割保険料」,「所得割保険 料」の導入を提言 し,低所得者に配慮 した年金制度を詣 っ ている。 また,同様 に低所得者つまり年金額の低い高齢者に対 して優遇 した年金制度を指向 した ことが理解できる。6.1
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年までの公明党の年金政
策の概要
1994年改正には反対であることが理解できる。例えば , 行財政改革や補助金 カ ッ ト等で財源を捻 出すべ きであ り 保険料率ア ップや給付額削減には反対 している。 次に基礎年金については,国庫負担の2分の 1引き上 げは1995年 当時か ら1999年 まで再 々にわた って主張 して いる。 そ して,基礎年金は最低生活を保障す るナシ ョナル ミ ニマムであるので,すべての高齢者に一律に支給すべ き であると し,夫婦同居世帯については一定率を減額,高 額所得者は受給制限をすべきであると同党は主張 してい る。 しか し今 日の基礎年金の空洞化があ り,保険料未納 者が全体の3分の 1存在す る現状のなかで,一律に支給 す るというのは現実的には困難である。元 々同党は,礼 会保険方式を是 と してお り,税方式 に しない場合 どのよ うな方法で一律支給す るのかは不明確である。 次に基礎年金の委任事務は廃止すべ きであると し,国 の直轄機関よりすべて運営す るよう改正すべ きであると 同党は言 っているが, これは1999年 に 「地方分権推進一 括法」の制定により,2002年 4月よ り基礎年金の運営は 国に業務が移 ってお り, この年金政策は今 日においては 実現 した政策であると言える。 次に厚生年金であるが,報酬部分の 「積立て方式」へ の転換を詣 っている。そ して,離婚時においては比例報 酬部分を折半すべ きである し,基礎年金 の上乗せ も主張 している。 この論点は,2001年末に発表された厚生労働省の 「女 性 と年金検討会」の報告の中にも問題提起がなされてお り,2004年の年金改正の論点の 1つである。 その他 と して,不動産を担保 に老後の生活資金を年金 方式で貸出す る リバースモーゲージ制度創設を詣 った り 年金政策立案のために総理大臣の下に包括的な協議機関 を設け,同大臣の下 に検討を進めるとか,立法府 におい て社会保障制度改革特別委員会を設置 し,行政府 と並行 して検討を行 うことも同党は主張 している。 また,社会 保障制度改革に関す る国民会議を設置 し,幅広い国民的 議論を展開すべ きであるとい った政策が, この時期の同 党の年金政策の特徴である。後 に,2000年 1月に 「社会 保障構造のあ り方について考える有識者会議 (後 に首相 の私的諮問機関)」,政府与党の社会保障改革協議会発 足に少 なか らず影響 を与えた。 しか し,立法府において の特別委員会発足はまだであ り,これについては実現 し ていない年金政策の 1つ と言えよう。7.2
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年までの公明党の年金政
策の概要
今までの年金政策は,基本的 には野党時代の年金政策 の概要である。 しか し,1999年末か ら同党は与党入 りを し,現在 2党の連立政権で内閣を組織 してお り現在 も続 いている。 (2004年 3月現在) では,与党になってか らの年金政策であるがここでは 概要を述べ る。 まず基礎年金であるが,1999年改正において基礎年金 の繰 り上げ支給率の緩和 を主張 した り,学生納付特例制 度における夜間学生の適用 を謳 っていたが, これ らは現 実に実現 した年金政策である。 またこの期間において主 に主張 した年金政策は,無年金障害者に対 して全額公費 で救済す る坂 口私案である。月 に40,000円を支給す る案 で同党の2000年以降,機関紙で数回にわた り主張 してい る。 しか し, この政策についてはまだ与党決着を見てい ない。それか ら,子育ての社会保険料 の拡充の中で 自営 業者にが加入す る国民年金につ いて同様の免除も指摘 してお り,2004年改正の中で議論 されている。他の厚生年 金においては,従来 どお り同党が主張 している内容 と同 じである。 最後に, この期間における同党の年金政策の特徴を2 点あげたい。1つは,2000年7月に提案 した社会保障基 金機構である。 これは,現在の保険制度 を一元化す るも ので,2000年10月20日にその内容が明 らかになった。端 的に言えば,年金,雇用両保険制度を同機構に組み込み , 同組織が保険者 となる。被保険者,受給管理,保険料徴 収 を一元化す ることが同制度の特徴である。 そ して,厚生年金 など被用者年金の報酬比例部分は現 役世代が支払 った保険料 を高齢者 の年金給付 にあて る 「賦課方式」か ら自分のために積み立てる 「積み立て方 式」を詣 ってお り,医療,介護 も一元化す ることにより 5,000億 円か ら6,000億 円の コス トが削減できると同党 は主張 している。 この研究では, この年金政策が実際に運用す るにあた りどのような問題があるかについては検討 していないが , 個人単位のカー ド化の必要性があ り,個人情報の観点や 国民総背番号制につ なが ることもあ り,国民的議論が不 可決である。ただ, この政策は2003年春よ り電子政府の 一環 により社会,労働の