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亜鉛疲労過程中に生じる結晶粒界移動の方位依存性 利用統計を見る

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(1)

亜鉛疲労過程中に生じる結晶粒界移動の方位依存性

古市博

(昭和42年9月12日受理)

The Orientation Dependence of the Grain Boundary

Migration During Fatigue in Zinc Polycrystals

HiroshiFURUICHI Synopsis  It has been found that a large grain boundary migration occured during fatigue at room temperature in zinc Polycrystals. In some cases, rows of pits and grooves which arised from the joining of pits were observed on the traces of the moved boundaries・ These grooves might be considered to be the cause of fatigue failure. Therefore, it is important to study the cause for grain boundary migration.  As a first step to understand the mechanism of the grain boundary migration, the orientation dependence of grains which invaded or which were invaded has been studied. The main results are as follow:_ (1) The C−axis of the crystal which invaded lies nearly parallel to the surface of the  specimen however, no rule has been found in the case of grains which were invad.  ed. This might indicate that crystal grows in the direction parallel to the C−axis  of the crystal during fatigue. (2)The Iarge part of the moved grain boundaries are medium−angle grain boundaries・ (3) The angle between the C−axis of the crystal which invaded or which was invaded  and the djrection of the specimen axis has not a definite value. 1. 緒 言  金属材料の疲労き裂の発生に関しては,現在までに 種々の説が提出されている1)。これらはいずれも結晶 粒内にき裂が発生する模型であるが,実際には粒内に き裂が認められる場合が多い。  著者2)は,以前に室温で亜鉛の多結晶に繰返し応力 を加えた結果,大きな結晶粒界移動を生じ,その移動 跡に元の結晶粒界にほぼ平行なピット列と,このピッ ト裂が連なりき裂のもとになると思われる凹みを見出 した(図一1)。この結晶粒界移動の原因を調べる一助 として,粒界移動により食われた結晶粒,および食っ た結晶の方位を調べたので報告する。 2. 材料および方法  グラファイトルツボに溶解した99.97%の亜鉛を硬 質ガラス管に吸い上げて試験片を作成した。これを25 %加性カリ溶液で電解研摩iした後2009の無水クロム 酸,および159の無水硫酸ソーダに1000mlの水を加 えた溶液で化学研摩を行ない,さらに2009の無水ク ロム酸に1000mlの水を加えた溶液で洗漁し仕上げ た。電解研摩を行なった後に化学研摩を行なったのは, 電解研摩または化学研摩を単独に行なうよりも仕上が りがよいからである。この際鋳造による柱状晶は電解 研摩iにより完全に取除かれている。  疲労試験は室温で回転曲げにより行なった。この装 置の略図を図一2に示す。その際試験片つかみ部の応方

一12一

(2)

亜鉛疲労過程中に生じる結晶粒界移動の方位依存性

  A.元の結晶粒界

  B.移 動 端

図一12) 結晶粒界の移動跡

(3)

亜鉛疲労過程中に生じる結晶粒界移動の方位依存性   表一13)傾角顕微鏡用腐食液 A液に浸した後B液に浸して使用する        A 腐    食    液 塩 酸        4∼6ml 無水クロム酸飽和溶液 2∼3ml 水       100ml

1時口

10秒 腐    食

B

塩 酸 エチルァルコール 水 液   時 間 10ml

10ml 10秒

100ml 表一2 結晶粒界移動と方法の関係(単位は度) A     B A.チャック B.試験片 C.自動調芯形玉軸受 D.ばね 図一2 疲労試験装置 は±2kg/Mm2であり,応力繰返し速度は本実験の場 合660cpmであった。  結晶の方位の決定は傾角顕微鏡により行なわれた。 その際試験片表面に結晶の方位を示すピットを出す必 要があるが,田岡ら3)によって開発された液を使用し た(表一1)。なお結晶粒の方位の決定は5×104回で行 なわれた。 53.3 87.4 66.6 79.1 26.1 52.7 47.8 41.5 51.4 22.1 57.6 82.0 44.5 74.3 89.7 89.9 87.8 87.8 68.1 68.1 20.1 37.1 70.7 28.2 59.5 78.7 81.9 84.6

C

13.5 38.7 27.5 6.3 16.7 6.9 10.6 25.4 26.3 3.7 12,9 1.4 28。9 10.8

D

19.2 37.5 7.0 9.2 87.0 85.1 85.0 85.0 82.9 20.1 82.9 20.1 77.0 80.0

E

13.1 11.6 11.0 12.5 33.5 34.4 24.2 34.8 25.0 19.1 35.5 26.6 31.6 37.2 A,試験片の軸と食った結晶粒のC軸とのなす角 B.試験片の軸を食われた結晶粒のC軸とのなす角 C.食った結晶粒のC軸と試料表面のなす角 D.食われた結晶粒のC軸と試料表面のなす角 E.・移動した境界をはさむ結晶粒の傾角 3.結果および考察 〔OOI」  表一2に本実験により得られた結果を示す。この表か ら明らかなように,結晶粒界移動により他を食った結 晶粒の{1100}面(図一3)は試験片表面にほぼ平行で あるが,食われた側の結晶粒はこれは必ずしも成立し ない。亜鉛の場合すべり面は{0001}面といわれてい るので,結晶粒界の移動方向から考えてすべりによる ものではないと思われる。この結果は,結晶粒界移動 に際しての結晶成長は結晶がC軸方向に伸びることに よって起こることを示していると思われる(図一4)。 また試験片の軸と,食った結晶粒または食われた結晶 粒のC軸とのなす角(図一5,θ)はぱらついている。こ のことは,結晶粒界の移動には応力の加わり方が特に 関係のないことを示していると思われる。  Cottrell4)によれば小傾角粒界(傾角1°以下)お よび大傾角粒界(傾角30°以上)は移動をしやすいが, 図一3 亜鉛の結晶格子 〔OIO] 中傾角粒界は移動が難かしいとのことである。本実験 の場合移動した粒界は中傾角のものが多く観察された (観察された移動した大傾角も30°付近の傾角のもの である)。

15一

(4)

昭和42年12月 山梨大学工学部研究報告 第18号 (a)      (b)    (a)結晶粒界移動前    (b)結晶粒界移動後 図一4 結晶粒界移動の際の結晶成長 C軸 C軸 言式験片の‖1由 図一5 試験片の軸と結晶粒のC軸とのなす角  疲労過程中では多くの空格子点が生じるともいわれ ているので5),原子の拡散が容易になることが大きな 粒界移動の原因とも考えられる。疲労過程中の結晶粒 界の移動はアルミニウム等においても認められた。他 の金属の場合にも本実験において観察されたものと同 じ現象が生じているかどうかを調べることが今後必要 と思われる。

4.結

論  亜鉛多結晶に片持回転曲げにより繰返し速度600 cpm,つかみ部の応力±2kg/mm2の繰返し応力を加 え結晶粒界移動の状態を観察した。その結果  L 結晶粒界移動により他を食った結晶粒の{1100}   面は試験片表面にほぼ平行であるが,食われた側   の結晶粒にはこれは必ずしも成立しない。 2.試験片の軸と食った結晶粒または食われた結晶  粒のC軸とのなす角はばらついている。 3.食った結晶粒と食われた結晶粒のなす結晶粒界   に中傾角粒界が多く認められた。 最後に本研究の遂行に当り人手をお貸しいただきま した高橋扉教授に感謝いたします。 参 照 文 献 1)たとえば,N. F. Mott:ATheory of the Ori−  gin of Fatigue Cracks, Acta. Met.6,3, P.  195−197(March 1958)   T.Fujii and H. Furuichi:Slip Bands Ex・  trusion and Intrusion, Techallical Report of  Osaka City University 8, p.19−24(1966) 2)H.Furuichi, T. Fujii and K. Mizukawa:  Structual Change during the Fatigue of  Closed−packed Hexagonal Metal, Proc.  Eighth. Jap. cong. Jest. Mat. P.25−28(1965)   H.Furuichi:Large Grain Boundary Motion  and Related Phenomena in Fatigued Zinc  Polycrystals, Japan・J. ApPl. Phys.3,10, P.  668−669(October 1964) 3) 田岡忠美,小笠和男,古林英一,竹内伸二傾角顕  微鏡の金属結晶への二,三の応用例,日本金属学会  誌,33,9,p.820−826(1966) 4) A.H. Cottrell:Dislocations and Plastic  Flow in Crystals, Oxford University Press,  London, (1954)188 5) H.Furuichi, T. Fujii, Y. Soyama and K.  Mizukawa:Slip Bands and Other Phenomena  at the Early stages of Fatigue in coPPer, J.  S.M. E. Bull,8,32, p.550−556(1965) 6) P.J. E. Forsyth:Some Further Observations  on the Fatigue Process in Pure Aluminium,  J.Inst. Met.82, p.449−455(1953−54)

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参照

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