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ある非可換相互法則について

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(1)

椙山女学園大学

ある非可換相互法則について

著者

吉本 明宣

雑誌名

椙山女学園大学研究論集 自然科学篇

34

ページ

51-55

発行年

2003

URL

http://id.nii.ac.jp/1454/00001291/

(2)

椙山女学園大学研究論集 第 34号(自然科学篇)2003

─ 51 ─

ある非可換相互法則について

吉 本 明 宣

On a Nonabelian Reciprocity Law

Akinori Y

OSHIMOTO はじめに 一般に,有限次代数体上のアーベル拡大に対してアルティンの相互法則が成り立つこと はよく知られている。非可換拡大に対してもある種の相互法則が存在することが期待され ており,その一部の成立はフェルマー予想の解決において中心的な部分になっている。ま た,異種のゼータ関数に対する統一理論の成立の可能性を考えると,非可換拡大に対する アルティンのエル関数は保型エル関数であることが望ましい。そこで,それらを結び付け てくれる有力な候補として,有理数体上の非可換拡大に対する相互法則を考えてみる。こ の論文の目的は,有理数体上の非可換拡大に対応する適当なシンボルを構成し,その相互 法則と有理素数の非可換拡大体での分解法則との関係を説明することである。 アーベル拡大においては,平方剰余の相互法則が最も基本的な相互法則であった。第1 節において,非可換拡大において基本的な相互法則とはどんなものかを考えてみる。有理 数体における平方剰余の相互法則は,有理素数の2次拡大体における分解法則であった。 そこで,有理数体上の非可換6次拡大を考え,有理素数の分解法則を与える相互法則を考 える。そこでは,有理整数環の代わりにある四元数環の整環においてシンボルを定義する。 第2節では,そのシンボルの相互法則が有理素数の非可換6次拡大体での分解法則を与え ることをみる。 1.四元数環の整環におけるシンボル q を有理数体,z を有理整数環とする。 , z に対して,非特異楕円曲線 (1.1) 2 3+ + を考える。ただし,議論を簡単にするために,ここでは , に次の条件をつける。 (1.2) = 3/ 27+ 2 /4

(3)

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(4)

ある非可換相互法則について ─ 53 ─ の類数は1であることはよく知られているので1), の任意の左イデアルは いう形で表される。また,任意の既約左イデアル に対して,N =p なる素数 が存在す ることがわかる。ここで,N は左イデアルに対するノルムである。 を 6 を割らない素数とし, 上にあるシンボルを定義しよう。 を を割る既約左イデ アルとすると, (1.5) =(p) である。ここで, は - なる対応による の像で, も既約左イデアルである。ま た, は 0 0 から生成されるイデアルである。 , + =-1, - =1, =- に同型な元を とおくことにする。 = det とし, に対応する 2, q の既約左イデアルを とする。 の部分群を次のように定義する。 (1.6) = * * 0 * mod , 1 mod , (1.7) = * * 0 * mod , 1 mod そのとき,0を z/ z * の原始根とし, に対しては, 0 mod とするとき, (1.8) = , の元 に対しては, (1.9) =1 0 0 1 , (1.10) 0 1 0 =0 1 1 0 と定義する。 それでは, の元 に対して, を定義しよう。群 は, , , 0 1 0 によって生成 されるので, mod をそれらの元の積によって表したとき, を(1.8),(1.9),(1.10) を使って, , 1 0 0 1 , 0 1 1 0 の積で定義できる。また, の同型によって に対応す る群を とすると,与えられた同型によって の元 に対して, = ( は に対 応する の元),と定義してやれば, の元に対して, を定義できる。そのとき,次

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吉 本 明 宣 の定理が成り立つ。 定理 1.2 任意の における既約左イデアル に対して, は の表現である。 証明 2, z , だから, が の表現であることを証明すればよい。それ には,上の定義がうまくできていることをチェックすればよい。 * 0 , * 0 とすると, * 0 1 0 * 0 * 0 (mod ) また, を 0とおくと, = 0 -1 0 0+2 0 -1 0 0+…+ 0 -1 0 0 であるから, は においてうまく定義できている。 2. /qの分解法則と ・ の関係 この節では,第1節で定義したシンボル ・ と /q のフロベニウス写像の関係について みてみたい。 1 mod 6 なる素数 について考えてみる。 2を平方剰余記号として, = 0 1 2 2 0 0 に対するシンボル を考えてみる。まず, = 0 1 2 2 の部分は q /q のフロベニウス写像を含んでいる。 次に, 0 0 の部分であるが, /q のフロベニウス写像の中での(1.3)における写像 から生成される部分 が恒等写像になる場合を考えてみる。 0 0 を / の元とするとき, 次のように見ることができる。 (2.1) = ( は恒等写像) 0 0 0 3 0 / ) / は / と同型であるので,0 0 は 0 0, , z/ z *),と同型になる。さらに, , 0 3 mod , 0 z/ z * , が恒等写像になることと が恒等写像になることは 同値になる。 以上で定義(1.8)のシンボルの値が /q の分解法則を与えてくれることがわかった。

(6)

ある非可換相互法則について ─ 55 ─ おわりに 平方剰余の相互法則のときのようなガウス和を考えれば(1.9)で定義したシンボルの相 互法則の証明がうまくいく可能性は高いと思われる。また,ガウスが考えた平方剰余の相 互法則の7つの証明のように多角的に証明を捉えることができれば,一般の非可換相互法 則の突破口が見つかるかもしれない。 参考文献 1)浅野啓三:環論及イデアル論,共立出版,1949 (生活科学部 生活社会科学科)

参照

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