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第3次産業勤労者の口腔保健行動と意識

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Academic year: 2021

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【背景と目的】 近年,口腔の健康を維持するための口腔保健行 動の重要性が謳われており.歯科医療に関する一 般生活者意識調査では,定期歯科健診を受診する 人が増加傾向を示している.しかし,依然として 自覚症状がないと歯科医院を受診しない人が 3 割 と多く,定期健診を受けない人の意識や予防に対 する関心度は不明である.そこで,これらを解明 するために第 3 次産業勤労者の定期健診に関する 意識と口腔保健行動を調べた.さらに,歯科医師 が職場を訪問して実施するブラッシング指導 (TBI: Tooth Brushing Instruction)の効果から,

今後の啓蒙活動や保健指導を検討した. 【対象と方法】 第 3 次産業の勤労者378名(年齢:18~84歳) を対象にアンケート調査(歯科医院に訪れる理 由,定期健診の有無と理由,定期健診へのシステ ム,虫歯の有無,ブラッシングの知識・ 1 回の時 間・ 1 日の回数,補助具の使用,8020への関心) を実施した.アンケート結果より定期健診を受診 している群(健診有群)と定期健診を受診してい ない群(健診無群)に分け,健診有群/健診無群 を従属変数としたロジスティック回帰分析を用い て定期健診との関連項目を検討した.また健診無 群の21名を TBI 実施群(TBI 群:11名),TBI 無 群(コントロール群:10名)に分けた.検者が会 社に出向き,各群に半年毎の計 4 回( 2 年間)の PCR(Plaque Control Record)を実施した.TBI 群には毎回 TBI を実施して,コントロール群に は TBI を実施せず,PCR のみを行った.各群内 で初回と各回の PCR 値を Wilcoxon 符号付順位 検定で比較して TBI の効果を検討した.両群の 比較には,Mann–Whitney 検定を用いた. 【結果】 アンケート総配布数647枚に対して,回答が得 られたのは378枚で回収率は58.4%であった.ア ンケートより健診有群は107名,健診無群は269名 であり,定期健診を受けない理由は「時間がな

〔学位論文要旨〕

松本歯学 46:105~106,2020

第3次産業勤労者の口腔保健行動と意識

志倉 興紀

松本歯科大学 大学院歯学独立研究科 健康増進口腔科学講座 (主指導教員:富田 美穂子 教授) 松本歯科大学大学院歯学独立研究科博士(歯学)学位申請論文

Oral health behavior and awareness of tertiary industrial workers

O

KINORI

SHIKURA

Department of Oral Health Promotion, Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University

(Chief Academic Advisor : Professor Mihoko Tomida)

The thesis submitted to the Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University, for the degree Ph.D. (in Dentistry)

(2)

い」が多く,次に「必要性が不明」「治療費が高 い」であった.定期健診を受けるためのシステム は,定期健診有群ではリコールの連絡を必要と し,定期健診無群では訪問による健診を希望して いた.ロジスティック回帰分析から,定期健診を していることは,年齢(40歳以上)(オッズ比 1.61),女性(オッズ比1.83),虫歯なし(オッズ 比2.24),ブラッシング方法の知識あり(オッズ 比3.62), 歯 間 ブ ラ シ の 使 用 あ り( オ ッ ズ 比 2.41),フロスの使用あり(オッズ比2.09)と有 意な関連が認められた.TBI の効果では,TBI 群は初回に対して 2 回目(p<0.05), 3 回目(p <0.01), 4 回目(p<0.005)は PCR 値が有意に 低下した.コントロール群でも初回に対して 3 回 目(p<0.05) 4 回 目(p<0.01) は PCR 値 が 有 意に低下したが TBI 群の方がより減少した. 【結論】 アンケート調査の結果から,定期健診のために 歯科医院を受診する事は,業種に拘わらず口腔保 健に関する個人の知識,女性であること,補助道 具の使用,40歳以上の年齢が強く関与していた. 従って,定期健診を受診している人は,ブラッシ ングの方法等の知識を習得しており,補助道具を 併用した口腔ケアを実施しているため,口腔内の 状態が良好である.しかし,これらの人は8020を 目指しているわけではなく,生活の一部として口 腔内のケアを実施していると考えられる.さら に,会社へ出向いて実施する TBI の効果も十分 に期待できる事,TBI を実施しなくても検査を する行為だけでも,口腔ケアに影響力があること が明らかとなった.今後,40歳未満の勤労者や定 期健診を受けていない男性の意識改革を強化する とともに,時間がなくて定期健診を受けられない 人に対して,訪問指導をする等の歯科医師の能動 的なアプローチも重要だと示唆された. 松本歯学 46⑵ 2020 106

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