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A県における在宅療養中の人工呼吸器を装着患者における災害避難時の実態と課題― 避難訓練の視点から ―

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Academic year: 2021

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研究ノート

A

県における在宅療養中の人工呼吸器を装着患者に

おける災害避難時の実態と課題

避難訓練の視点から

・岸

・小

* 要旨:ALS(筋萎縮性側索硬化症)で人工呼吸器装着患者及び家族は,災害時には医療依存度が高 いために取り残されていく恐れがある。そのために災害対策が欠かせないが,非常に個別性が高い がゆえに個別的なマニュアルが必要になってくる。各自治体は避難行動要支援者に対して災害対策 マニュアルを作成しているが,人工呼吸器のような医療器具装着患者及び家族の立場にたった避難 訓練や災害対策は十分とは言えない。そのため災害対策に焦点を当て,課題を明らかにする必要性 がある。そこで,①人工呼吸器装着患者が実際に避難訓練を実施した場面からどのような条件が必 要なのかを分析した。②人工呼吸器装着患者及び家族が災害対策に対してどのような考えをもって いるかのアンケート調査を行った。そこから人工呼吸器を装着している在宅療養者の災害対策の実 態と課題を明らかにした。 キーワード:災害,在宅療養者,神経難病,避難訓練,人工呼吸器

Issues Associated with Disaster Evacuation Among Home Care Patients

Who Depend on Medical Equipment

Keiko UCHIKATA

, Rumi KISHIDA

and Yoshikazu KOJIMA

Abstract: Patients with amyotrophic lateral sclerosis, who rely on ventilators and their families, may be left behind during a disaster evacuation due to the patients’ high degree of dependence on medical equipment. Therefore, it is imperative that general disaster measures be developed for these patients. In addition, individ-ualized manuals are necessary given the highly individual nature of these conditions. Although each local government has prepared disaster measure manuals for those who need evacuation support, the evacuation drills and disaster measures are not sufficient for patients and their families who are dependent on medical equipment such as ventilators. Therefore, it is necessary to identify the problems faced by these individuals by focusing on disaster measures. A questionnaire survey will be conducted to (1) analyze scenarios where patients who depend on ventilators actually performed an evacuation drill using a non-participation observation method and (2) determine what patients who depend on ventilators and their families think of the disaster measures. This will clarify the issues associated with disaster measures for home care patients who depend on medical equipment such as ventilators.

Keywords: Disasters, Home care patients, Intractable neurological diseases, Evacuation drills, Ventilators

東京情報大学 看護学部

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1.はじめに

近年,地殻変動や産業規模の拡大,交通ネット ワークの進歩により,世界的規模の災害発生件数は 増加傾向にあり,被害規模も増大している。東アジ ア圏は2006~2015年までの10年間で世界の災害総死 者数の5割以上占め災害多発地域と言える。我が国 においては,平成以降の大きな災害として,1995年 の阪神淡路大震災,2011年に発生した東日本大震災, 2016年の熊本地震があげられる。局地的な豪雨,台 風による洪水で大きな被害は毎年のように発生して いる。1959年の伊勢湾台風を契機として制定された 災害対策基本法は東日本大震災の教訓を踏まえて 2013年に大きく改正された。その中で「市町村長は, 避難行動要援護者の名簿を作成し,個人情報保護の 規制の枠を超えて,避難支援のために情報共有でき る(抜粋)」(災害対策基本法第四十九条の十)と 具体的に示された。しかし,西澤(2017)は「未曽 有の大災害に際して行われるいわゆるトリアージの 現場では,神経難病患者はその医療,介護依存度の 高さ故に,本来最も配慮が必要であるにもかかわら ず,逆にやむなく後回しにされてしまう」(p.2)と 指摘している。 人工呼吸器装着患者の被害状況の例として阪神淡 路大震災では,「固定したベッドが畳を引きずって 壁に当たり,呼吸器の加湿器と蛇腹がひしゃげて空 気を送れない状態となり,アラームが鳴り続いた。 ……略……バッテリー切れで呼吸器会社に連絡し バッテリーが取り付けられるまで30時間以上,妻と 娘の2人が交替でアンビュー(注:蘇生バック)を 押し続けた」(豊浦・水町,1995,pp.13-46)と報 告している。東日本大震災では,ある人工呼吸器装 着患者と家族が一時パニックになり,病院へ行こう と救急隊に連絡したが,全車出動しており,たまた ま通りかかったパトカーに乗せてもらい病院まで搬 送してもらった。(三浦,2011,pp.31-38)これら の事例は助かった事例であるが,東日本大震災では 停電によって人工呼吸器や酸素濃縮器の在宅療養者 が亡くなっている。 在宅難病患者の災害対策に関連する省庁は,内閣 府と厚生労働省である。2004年の新潟・福島豪雨災 害を機に国は自治体に対して「災害時要援護者避難 支援ガイドライン」を示した。「平成26年(2014年) 防災白書」(内閣府)によると地域居住者による地 域コミュニティレベルでの防災活動に関しての先進 的な取り組み事例を紹介している。また平成26年 (2014年)4月に地区防災計画制度が施行されたこ とで自助・共助による「ソフトパワー」が重要視さ れた。このように我が国の災害対策は,自助と共助 が基本であり,公助が入るまでの3日間は自助,共 助で乗り切ることとされている。阪神淡路大震災や 東日本大震災で多くの犠牲者を出した自治体のマ ニュアルや対策本の指針では神経難病や人工呼吸器 装着患者の災害対策・避難訓練についての主な記載 は以下の通りである。東京都:「東京都在宅人工呼 吸器使用者災害支援指針(平成24年)」では防災訓 練実施が必要との記述はあるが,内容は一般的な確 認にとどまっている。千葉県:「災害時における要 配慮者及び避難行動要支援者の避難支援の手引き (平成28年3月)」個別計画の様式があり,個別の 内容が書き込めるようになっている。保健所からは 「あんしん手帳」が出されており患者の基本情報が 書き込めるようになっている。それには避難場所の 確認の欄はあるが,避難訓練の実施に関する記述は ない。兵庫県:「兵庫県在宅人工呼吸器災害支援(平 成18年)」個別災害対応マニュアルがあり,「〇〇 さん災害対応マニュアル」として患者及び家族が書 き込みやすい文字の大きさには配慮されている。さ らに負担が大きいが,避難訓練の必要性と関係者の 役割確認についても記載されている。宮城県:「宮 城県避難行動要支援者に対する支援ガイドライン (平成25年)」個別計画の様式があり,書き込める ようになっている。避難訓練の記載はない。 過去に大きな災害にあった自治体では個別のマ ニュアル導入は進んではいるが,災害対策全般に焦 点をあててみると不十分であるといえる。人工呼吸 器装着患者と家族は災害時の避難行動を家族だけで 行うことは困難である。また避難行動要支援者の災 害対策についての報告はされているが,在宅で人工 呼吸器装着患者及び家族の立場,生の声を聞いた報 告はなかった。さらに災害対策として人工呼吸器な ど医療器具装着患者及び家族の避難訓練の必要性や 課題については実践報告のみであった。 以上のことから在宅療養で人工呼吸器装着患者及 び家族が実際に災害対策の一つとして避難訓練が行 えているのか,行えていないとすればそれを阻害し

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ているものはなにか,また患者及び家族が災害対策 に関してどのような考えを持っているのか知る必要 があると考えた。その実態調査から浮かび上がって くる課題を明確にすることより,実践できる災害対 策についての示唆を得るための研究を行った。

2.研究目的

リサーチクエスチョンは以下の2つである。 1) 人工呼吸器装着している在宅での患者及び家 族が災害対策のため避難訓練を実施している のかを明らかにする。 2) 人工呼吸器装着患者及び家族の避難訓練と災 害対策に対する認識を明らかにする。 1)と2)から人工呼吸器装着患者及び家族の災害 対策の課題を明らかにする。

3.研究方法

1)研究デザイン  ① 人工呼吸器装着患者及び家族が避難訓練を行 うために必要な条件を実際の避難訓練を非参 加観察法によって分析する。  ② アンケート調査   ・ 実際に避難訓練を行ったことがあるのかど うか   ・ 患者及び家族の避難訓練を含めた災害対策 への考え 2)調査期間  ① に関して:日時:2018年6月24日,場所: ALS患者O氏の住居マンションの5階から 1階までと,そこから近くの避難所になって いる近くまで移動する避難訓練状況を客観的 に観察した。  ② に関して:調査票配付及びデータ収集期間: 2018年12月1日~2019年1月31日  3)アンケート調査のデータ収集方法 [アンケート調査の配付]  日本ALS協会(以下協会)が会員に向けて広 報雑誌を郵送する際に,アンケート調査依頼文, 無記名の調査内容を研究責任者への返信用封筒と ともに配付してもらった。 [アンケート調査の回収]  会員は協会を通さずに研究者が準備した返信用 封筒を使用して直接研究責任者へ返信してもらっ た。それによって協会は誰がアンケート調査に協 力したのかを知ることはできないので,匿名性が 担保できた。 4)対象者  ① 避難訓練:A県に在中でALSのため人工呼 吸器装着して在宅療養している患者及び家 族:患者はNPO法人を立ち上げ,自ら災害 対策の啓蒙活動をしている。自分自身の避難 訓練を広く知ってもらうために参加者を募 り,筆者はそれに参加した。  ② アンケート調査    A県の協会に入会しているALS患者及び家 族及び支援者。    (病気のためアンケート記入が困難または独 居で家族がいない場合もアンケート調査に協力 してもいいと考えた患者がアンケートを代筆依 頼する支援者も含めた) 5)分析方法  ① 避難訓練:非参加観察法で観察した事象から 1つ1つの場面を分析する    安全に搬送するための必要な人数,必要物 品,所要時間,注意点,今後の課題,他に啓 蒙するにあたりの手順確認。  ② アンケート調査:質問内容選択肢の部分は, 単純集計    アンケート項目は以下のとおりである。   ・ 性別・年齢・介護度区分・住居(1階かそ れ以上)・同居家族・主な介護者   ・ 避難所の認識・避難所への移動方法・避難 訓練の実施の有無・避難訓練を実施してい ないとすればどんな条件が必要か・電源を 使う医療機器や福祉用具を使用しているか どうか・災害に対して何を備えているか・ 災害対策で考えていること(自由記載)    災害に関する自由記載の部分はSCAT(Steps

for Cording and Theorization)(大谷,2019)を

用いて分析した。SCATによる分析は  〈1〉テクストの中の注目すべき語句  〈2〉テクスト中の語句の言いかえ  〈3〉それを説明するようなテクスト外の概念  〈4〉テーマ・構成概念    分析の過程が可視化されて明示的に残る。こ の 4 つ の 過 程 を 通 る こ と で「 脱 文 脈 化

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de-contextualization」することになる。最後に〈4〉 「テーマ・概念」をすべて使いストーリーライ ンとして記述することによって,「再文脈化 re-contextualization」される。大谷(2019)は「ま ず脱文脈化してそれを再文脈化する特徴的な手 続きと,その再文脈化の結果から理論記述を行 う 手 続 き と を 有 し て い る 」 と 述 べ て い る (p.317)。 6)言葉の定義  〈 災害〉暴風,豪雨,豪雪,洪水,高潮,地震, 津波,噴火その他の異常な自然現象又は大規 模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害 の程度においてこれらに類する政令で定める 原因により生ずる被害を言う(災害対策基本 法:内閣府)  〈 避難行動要支援者〉当該市町村に居住する要 配慮者のうち,災害が発生し,または災害が 発生する恐れのある場合に自ら避難すること が困難な者であって,その円滑かつ迅速は避 難の確保を図るために特に支援の要する者 (内閣府,2013)  〈 神経難病〉厚生労働省が出している難病法の 「指定難病」のうち,次第に障害が進行する神 経の病気(厚生労働省健康局難病対策課資料) 7)倫理的配慮    避難訓練の写真に関しては,顔を見せないよ うにして掲載する許可を得た。急変時に備えて 誘導に看護師と消防署職員が同行した。    アンケート調査対象者に対して研究の趣旨の 説明,無記名の調査であることよってプライバ シーは保護される。また住居の地区も匿名化す ること,このアンケート調査に協力しなくても 不利益は被らないことを依頼文に記載した。調 査用紙の返信をもって研究への同意とした。    本研究は東京情報大学倫理委員会の承認を得 た。(30-011号)

4.結果と考察

4.1【避難訓練】 日時:2018年6月24日 場 所: ALS患者O氏の住居マンションの5階 から1階までと,そこから近くの避難所 になっている近くまで移動。マンション の1階から約140メートルの位置。 参加者: O氏(人工呼吸器を装着),訪問看護師 数名,訪問介護士数名,自治体役員5名, 消防署職員2名(指導のため)某大学看 護学部生6名,教員2名,最低必要人数: 合計11名(交代要員は含まず)部屋から 表1 手 順 状況説明 ①参加者全員でO氏自身が作成した避難訓練マニュ アルを確認 前述したお互いの役割分担などの確認し,安全確保ができるようにした。 ②搬送手技について看護学生をモデルにして確認 搬送の際安全なリフト用ハンモックの持ち方,必要人の確認 ③ベッドに臥床しているO氏の下に介護用リフト ハンモックを敷く 移動しやすいように身体全体を包み込む。手足がハンモックからはみ出さないように留意する ④患者の首だけを支える役1名  身体を持つ・支える役6名(片側3名ずつ)  バックバルブマスク(以下蘇生バック)を操作す る医療従事者(看護師)1名で搬送した。 患者の意識は鮮明だが自分で首をささえることができない。 (図1・2) 患者は全身の力を入れることができない。体位を保持できない。 自発呼吸がなく,人工呼吸器の代わりに代替えの蘇生バック が必要(図3) ⑤途中,3階の踊り場で役割を交代する。 患者は自分の体位を保持できない,成人男性の体重を持ち上 げ支えるには,交代が必要 ⑥患者搬送以外  人工呼吸器用のバッテリー1台:1名  携帯用吸引器1台:1名  消耗品(おむつ,栄養剤,消毒液など)も同時に 運ぶ必要があるため2名 避難所に移動するには,生命を維持するために必要な物品も 一緒に持ち出す必要がある。 (図4・5) ⑦マンションの1階に降りてから通常使用している 多機能車椅子に移乗介助。 多機能車椅子は別途エレベーターで下した。本当の災害時は,これだけを移動させることも考慮が必要

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の所要時間:約20分(図・写真参照) 観察の視点  ①必要人数 ②呼吸器の安全確保方法  ③安全な移動方法 ④所要時間  ⑤避難所に必要な物品 移動における安全の確保 ・ 準備として役割の確認:バックバルブマスクを 持つ役割(看護師),身体を持つ役割,先導と して声掛けを行う役割,観察する役割,写真撮 影を行う役割,途中で交代する役割,緊急に備 える看護師 ・ ハンモックで移動のデモンストレーションのた め学生がモデルとなり,実際に搬送するときの 確認事項の共有を行う。 ・ バックバルブを持つのは看護師,先導役割は看 護師,全体の指導は地元の消防署職員 ・ 看護師,消防職員が数名いることで,O氏の急 変時に対応する。 4.2【アンケート調査】 配付:140名 回収率:41% 有効回答率86% 1) 特性 ・ 男性:25名・女性24名  ・平均年齢:61歳 ・ 介護度:表2,図6 ・ 住まい(療養している寝室)については,1戸 建ての1階:71%,マンションの2階以上: 25% 2) 主な介護者は,妻・21名,夫・14名,母・6 名,父・1名 3) 訪問サービスの利用(看護,介護,リハビリ テーションなど):37名(76%) 4) 避難所の場所について:知っている:37名 (76%)  知らない:12名(24%) 5) 避難訓練の経験:あり:1名,なし:48名 6) 避難訓練の実施要件(複数回答可)(質問: どんな条件が整えば避難訓練の実施ができま すか) 7) 災害対策で備えているもの。(複数回答可) 図1:搬送中階段 図2:搬送中階段踊り場 図3:呼吸状態確認 図4:消耗品  呼吸器接続中 図5:人工呼吸器バッテリーと吸引器

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表4 ①外部バッテリー 30名 60% ②車のシガーソケット 23名 46% ③インバーター発電機 17名 34% ④バックバルブマスク(蘇生マスク) 33名 66% ⑤照明  43名 86% ⑥意思伝達装置 18名 36% ⑦吸引用精製水 30名 60% ⑧消毒薬 31名 62% ⑨医療材 37名 74% ⑩おむつなどの衛生材料 37名 74% ⑪栄養剤 32名 64% ⑫暖房器具 17名 34% ⑬連絡網 27名 54% ⑭その他 7名 14% 4.3 避難訓練や災害の備えに対しての自由記載 (SCATでの分析) 「その他災害に備えに関してのお考えなど,なん でも構いません。ご自由にお書きください」 表5の〈ストーリーライン:《4》のテーマ・概 念の語句「」内をすべて使用しての再文脈化〉人工 呼吸器など医療器具装着患者及び家族が「実践的な 避難訓練の必要性」を感じていても,それには「人 工呼吸器装着患者にとって知識のある人の支援が必 要」である。また「避難訓練は様々な人の協力が不 可欠」である。しかし地域や行政の「病気の対する 認識不足」「人工呼吸器装着患者への不十分な支援 体制」「避難のための移動手段の限界」のため実施 できていない現状である。移動時も避難所において も「人工呼吸器装着患者にとって電気は命綱」であ る。「電源や環境の整った福祉避難所」環境を考え るためにも避難訓練は必要である。また「人工呼吸 器装着患者にとって必要な多くの必需品」があるた め,「災害の種類によっての避難方法の考慮」も必 要である。「自宅のシェルター化」も考える価値が ある。いずれにしても「当事者の防災意識向上の必 要性」,「難病患者も自ら発信の重要性」,「自助努力 の必要性」を意識することが大切である。「災害時 に生きていく価値」を考えてしまう患者及び家族を つくらないためにも「避難行動要支援者への配慮が 形式的」にならないような「公助の必要性」が問わ れる。 4.4【実際の避難訓練とSCATからの考察】 今回のアンケート調査では実際に避難訓練を実施 したことのある人は49名中1名であった。何故その 他の患者及び家族は避難訓練を行えなかったのか, 行える条件について考える。O氏の例でも明らかな ように,搬送するには6~7名の人員が必要であ る。(交代要員を含まないで)しかも人工呼吸器装 着患者は,自発呼吸ができないので呼吸を助ける蘇 生マスクを装着し押してもらいながらの移動にな る。蘇生マスクの操作はある程度知識と訓練が必要 である。患者の表情を観察しながら効果的な呼吸補 表3 条件の 内容 家族の協力 近所の協力 訪問看護などのサービスの協力 行政の協力 住居の構造上 件数 31件63% 30件61% 31件63% 29件59% 5件10% 表2 介護度 人数 割合(%) 介護度1 3名 6.1 介護度2 2名 4.1 介護度3 4名 8.2 介護度4 3名 6.1 介護度5 37名 75.5 図6

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表5 〈1〉テクスト中の注目 すべき語句 〈2〉テクスト中の語句の言いかえ 〈3〉左を説明するようなテクスト外の概念 〈4〉テーマ・構成概念 (前後や全体の文脈を 考慮して) 近所の高齢化 近所に頼れない 自助・共助の限界 人工呼吸器装着患者への不十分な支援体制 災害時のあきらめ 避難訓練はできない 自助・共助の限界 人工呼吸器装着患者への不十分な支援体制 日々手一杯,避難訓練は考 えられない 日常生活が大変,移難で介 助が必要,避難訓練はでき ない 自助の限界 人工呼吸器装着患者への不 十分な支援体制 避難訓練でもエレベーター 使用,在宅での準備をする 移動が困難なので災害時でも自宅で生活する 避難行動要支援者への認識不足 病気に対する認識不足 火災が心配 火災の時は避難する 自宅のシェルター化 自宅のシェルター化 大勢の協力で避難訓練がで きた。サポートが必要 いろいろな人の支援がないと避難訓練はできない 自助・共助のネットワークの必要性 避難訓練は様々な人の協力が不可欠 患者も意識を高める必要あ り 防災意識を持つことの重要性 当事者たちの防災意識の向上の必要性 当事者たちの防災意識の向上必要性 弱者は死を待つのみ 災害時弱者は生きられない 自助・共助の限界による無力感 人工呼吸器装着患者への不十分な支援体制 津波が心配 海が近いので津波被害の可能性 災害の種類によっての避難方法の考慮 災害の種類によっての避難方法の考慮 短時間で避難は無理 津波とき避難は無理 自助・共助の限界 人工呼吸器装着患者への不十分な支援体制 避難には救急車が必要 救急車がないと避難できな 自助の限界 避難のための移動手段の限 一次避難所しかしらない 障がい者への福祉避難所の広報不足 災害時の障害者への配慮不 病気に対する認識不足 避難には介護タクシーが必 要 避難所への移動手段がない 自助の限界 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 自主避難を言われた 災害時行政は自己責任でという 自助の限界 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 病気のことを知らない人に 助けを求めても大変 病気のことを知っている人が少ない 形式だけのネットワーク,実践的でない体制 病気に対する認識不足 行政の障害者に対する意識 が不明 行政は障害者の避難を真剣に考えていない 病気に対する認識不足 人工呼吸器装着患者への配慮が形式的 机上訓練から本格的な訓練 が必要 避難訓練の方法を考えることが必要 実践的な避難訓練が必要 実践的な避難訓練の必要性 普段から手続きが臨機応変 にいかない 障害者に対する手続きが大変 難病患者にとってバリアフリーでない手続き 病気に対する認識不足 公共機関もALSの理解が ない 病気への理解がない 難病患者にとってバリアフリーではない施設 病気に対する認識不足 災害時病気をどれほど理解 してもらえるか 病気への理解がない 病気に対する認識不足と人 工呼吸器装着患者への支援 体制不足 病気に対する認識不足と人 工呼吸器装着患者への支援 体制不足 日本の福祉が遅れているこ とを実感 障害者にやさしくない 難病患者にとって不自由不便な生活 病気に対する認識不足

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〈1〉テクスト中の注目 すべき語句 〈2〉テクスト中の語句の言いかえ 〈3〉左を説明するようなテクスト外の概念 〈4〉テーマ・構成概念 (前後や全体の文脈を 考慮して) 人工呼吸器のための発電機 購入を検討 人工呼吸器には発電機が不可欠 人工呼吸器装着患者には電気が命綱 人工呼吸器装着患者には電気は命綱 災害時エレベーターは使え ない 停電だと移動できない 人工呼吸器装着患者の移動には電気は不可欠 人工呼吸器装着患者の移動には電気は不可欠 消防署に助けてもらう申請 ができる 公助に頼ることも必要 公助の必要性,自らの発信の必要性 難病患者も自らの発信の重要性 電気が止まると外へ避難で きない 停電だと家族だけでは移動できない 自助の限界,電気は命綱 人工呼吸器装着の移動には電気は不可欠 避難所が不安 人工呼吸器装着患者には電源やスペースが必要 人工呼吸器装着患者にとって電源の整った福祉避難所 の必要性 人工呼吸器装着患者にとっ て電源の整った福祉避難所 の必要性 一人では当事者を運べない 協力者がいないと移動できない 自助の限界 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 アンケートで話し合うきっ かけになった 災害時の対応を当事者・家族で話し合う必要がある 難病患者・家族にも必要な積極性 当事者の防災意識向上の必要性 訪問サービスからは家族で 何とかしてといわれた。 災害時訪問サービスを頼れない 行政機関の病気への認識不足 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 救急病院に断られた 助けてもらえる場所がない 病気の認識不足 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 物を持ち出しするときに一 人では無理 持ち出すものが多い 自助の限界 人工呼吸器装着患者にとって必要な多くの必需品 備蓄倉庫に保管してもらい たい 災害時のものを保管する場所がない 自助の限界 人工呼吸器装着患者にとって必要な多くの必需品 行政が呼吸器使用者や車い すの人数を把握し対策をた てる必要がある 行政の力が必要 自助の限界,行政の力の必 要性 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 迷惑かけたくない 自助でなんとかしたい 支援に対する無力感 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 停電が困る 人工呼吸器装着患者には発電機があっても限界がある 人工呼吸器装着者にとって電気は命綱 人工呼吸器装着者にとって電気は命綱 足手まといにならないよう にする 人に頼らないようにする 支援に対する無力感 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 普段は愛情もって接しても らっている 平常時にはみんなに助けてもらっている 災害時の支援に対する無力感 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 家の玄関にスロープを設置 した ハード面を整えている 避難時バリアフリーが必要 自助努力の必要性 外へ避難できるかどうか心 配 外への移動が不安 自助の限界 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 マンションに留まる 避難しない 自助の限界 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 バッテリーの予備が必要 医療器具装着は電気に頼っている 医療器具装着には電気が不可欠 人工呼吸器装着患者には電気が命綱 停電時の東電の対応が明確 でない 東電に頼っている 医療器具装着には電気が不可欠 人工呼吸器装着者にとって電気は命綱

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〈1〉テクスト中の注目 すべき語句 〈2〉テクスト中の語句の言いかえ 〈3〉左を説明するようなテクスト外の概念 〈4〉テーマ・構成概念 (前後や全体の文脈を 考慮して) 自宅で生き延びるように準 備する 外への避難よりも自宅の方が生活しやすい 自宅のシェルター化の準備 自宅のシェルター化の必要性 今はのどかに生活している 普段災害のことは忘れてい 患者の災害がないと防災意識低下 当事者の防災意識向上の必要性 気を引き締める 災害時に対する緊張感が必 患者の災害がないと防災意識低下 当事者の防災意識向上の必要性 救急車への連絡が心配 災害時人工呼吸器装着患者には救急車が頼り 人工呼吸器装着患者への災害支援体制不足 人工呼吸器装着患者への災害支援体制不足 停電が怖い 医療器具装着は電気に頼っている 人工呼吸器装着者にとって電気が不可欠 人工呼吸器装着者にとって電気が命綱 自宅で生活する 自宅に留まる 自宅のシェルター化 自宅のシェルター化の必要 停電が心配 医療器具装着は電気に頼っている 人工呼吸器装着患者には電気が不可欠 人工呼吸器装着者にとって電気が命綱 介護者が家にいないときが 不安 災害はいつ起きるかわからない 自助の限界 人工呼吸器装着患者にとって人の協力が不可欠 避難所で生活できるか心配 医療器具装着患者には電源やスペースが必要 電源や環境の整った福祉避難所の必要性 電源や環境の整った福祉避難所の必要性 電源がないと移動できない 移動は電気に頼っている 人工呼吸器装着患者には電気が不可欠 人工呼吸器装着患者にとって電気が命綱 災害時病院に行って電源を 借りることができるかどう か,行政との連携が必要 医療器具装着は電気に頼っ ている 人工呼吸器装着者にとって電気が命綱,公助の必要性 人工呼吸器装着者にとって電気が命綱,公助の必要性 自分の家族で精一杯 誰も頼れない 自助の限界と支援への無力 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 寝たきりの夫と死ぬ覚悟が できている 当事者の夫を置いて自分だけ避難できない 自助の限界,支援への無力感 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 専門的知識のある人の協力 が必要 医療機器をつけているので 移動には専門職がいないと 心配 周りの人の病気に対する認 識不足 人工呼吸器装着患者害者に とって知識のある人の支援 が必要 自宅の方が安全,火災の時 は避難する 自宅に留まるような準備 自宅のシェルター化 自宅のシェルター化の必要性 災害が起きれば死ぬことが 許される 災害時に生きている意味がない 自助の限界,支援への無力感 災害時に難病患者にとって生きていく価値 病院にお願いしてある。ロ ビーでもよいといわれてい る 病院が頼りになる 人工呼吸器装着患者にとっ て避難場所の支援が必要 福祉避難所の必要性 東日本大震災の折,東電の 対応が悪い。電話してもつ ながらない 東電の対応に疑問 人工呼吸器装着患者には電 気が不可欠 人工呼吸器装着者にとって電気は命綱 停電時の東電の対応が無責 任だった 東電の対応に疑問 人工呼吸器装着患者には電気が不可欠 人工呼吸器装着者にとって電気が命綱 避難訓練には多くの人が必 要 家族だけでは避難訓練はできない 自助・共助の限界 人工呼吸器装着患者への支援体制不足

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助操作を行うためには熟練者が必要である。それが できなければ患者の生命が危機に陥る。このような 手技が必要なため,知識のない近所の人は手が出せ ないという事実がある。また人工呼吸器装着患者が 避難訓練をするときには人工呼吸器用バッテリー, 吸引器や栄養剤,消耗品など3日間の持ち物移動も 必要である。マンションではエレベーターは使えな い。階段や廊下は狭く避難訓練をするにも自助・共 助では困難なことが多い。しかし,実際に避難訓練 を行ってこそ,必要な人員や課題が明らかになる。 患者及び家族にとっては負担の大きいことではある が,避難訓練を行うことで地域住民に患者のことを 周知できる。 日頃から共助として地域住民と公助として保健所 や消防署などのネットワークづくりが重要課題にな る。藤田(2011)は「ネットワークの構築というの は,最終的には人と人とのつながりにつきると思わ れる。最初は同席することから始まっても,1度顔 を合わせておけばケースに関する連絡も取りやすく なる」「災害時の対応はとかく別物にとらえられが ちであるが,あくまでも日常の活動の延長線上にあ る。普段やれていない事を災害時にやれることはあ りえない」(pp.36-37)と述べている。廣井(1989) は「人々の持っている災害意識が,災害時における その行動や,平常時の災害準備にきわめて大きな影 響を及ぼすということは,社会心理学の常識であ る」「人々の災害意識は不安といった情緒的なもの であれ,災害イメージといった認知的なものであれ 災害時の対応行動や平常時の災害準備に影響を与え る大きな要素なのである」(廣井,1986, pp.123-127)と平常時の行動の重要性について述べている。 しかし平常時における避難行動要支援者の課題と して中井(2015)は「要援護者支援対策の周知や普 及が十分でなかったこと,防災訓練の参加率が必ず しも高くなく,要援護者と支援者が協力した訓練を 十分に行うことができていなかった」(pp.77-79) 言い換えると避難訓練自体人工呼吸器装着患者の参 加を想定していないことがあげられる。さらに中井 (2015)は「地域全体の高齢化の進行,近隣住民同 士の交流の低下があり,その結果,頼りたくても頼 れない状況を招いている」(p.79)アンケート結果 SCAT〈テクスト中の注目すべき語句〉にもあるよ うに「迷惑をかけたくない」「足手まといにならな いようにする」「災害が起きれば死ぬことを許され る」など自助の限界から〈テーマ・概念〉「災害時 に生きる価値」について考えている患者及び家族が 〈1〉テクスト中の注目 すべき語句 〈2〉テクスト中の語句の言いかえ 〈3〉左を説明するようなテクスト外の概念 〈4〉テーマ・構成概念 (前後や全体の文脈を 考慮して) 病院に行きつけるかどうか 不安 病院が頼りになる 自助共助の限界 人工呼吸器装着患者には災 害時に安心できる専門職が 必要 成人した子供と車いす移動 の練習はしている 避難するためにも移動の練習が必要 難病患者も防災意識が必要 当事者も自助の確認と防災意識向上が必要 近所が高齢化している 近所に頼れない 自助・共助の限界 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 火災以外は家に留まる 避難には多くの人の助けが必要,自宅に留まる 自助の限界と自宅のシェルター化の必要性 自助の限界と自宅のシェルター化の必要性 介護タクシーが来てくれる かどうか心配,行政の力が 必要 移動には行政の力が必要 自助の限界と行政の必要性 人工呼吸器装着患者への支援体制不足 エアマットがないと避難所 は無理 常に電源とスペースが確保できる福祉避難所が必要 難病患者にとって生活しにくい避難所 福祉避難所の必要性 避難所でおむつ交換はでき ない 排泄介助などが不可欠 難病患者にとって生活しにくい避難所 福祉避難所の必要性 火災が心配,家族と話あう きっかけになった 当事者と家族の意識が必要 難病患者も防災意識が必要 自助の確認,防災意識向上の必要性

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いることも事実である。その反面〈テクスト中の注 目すべき語句〉「アンケート調査が話し合うきっか けになった」「玄関にスロープを設置した」「気を引 き締める」「成人した子どもと車いす移動の練習を している」など〈テーマ・概念〉「自助の努力と当 事者の防災意識向上の必要性」も挙げられている。 自助・共助・公助のネットワークをつくるには, 避難行動要支援者の名簿作成が欠かせない。個人情 報保護という側面もあるが,国は地域の特性や現状 を踏まえた平時からの体制整備を求めている。前述 したように,患者及び家族自身も防災意識向上を認 識し行動に移す方法として蘇武・藤村(2013)は 「“自分でできること”“自分でできないこと”整理 し,援助を必要とする場合,支援を求めようとする 意識を持つことになり,自助として自ら情報を提供 し,制度への登録・届け出がスムーズにできるよう 支援していくことが必要」(p.45)また中井(2016) は「FIMAとアメリカ赤十字が,自分に必要な支援 や資源について計画し,家族や友人あるいは自分の 支援者と議論し計画を準備するように呼び掛けてい る」(p.79)このように自助努力を行ったうえでネッ トワークづくりには行政の関わりが必須であると考 える。アンケートでも多くの人工呼吸器装着患者及 び家族が「自助・共助の限界」を感じているように, 行政を始め地域住民の病気や病気の認識不足が避難 訓練の広がりがない原因の一つでもある。自助努力 は前提条件ではあるが,公助には自助・共助の取り 組みを支援してく役割がある。公助の支援があるか らこそ自助・共助も活かしていけるのではないだろ うか。はじめにでも述べたように自治体マニュアル の防災対策については個別マニュアルの準備も広 がっている。東京都,千葉県,兵庫県は,一人ひと りの個別情報を記入でき,第3者がそれを確認して 支援できやすいようになっているが,「避難訓練」 については必要性を記述しているだけで具体的な方 法には触れていない。患者及び家族の立場を考慮し ているとは言い難い。前述したように,やってみな ければ課題についてはわからないことが多い。 今回のアンケート調査から,災害時自宅に留まる という記述があった。安全に避難することへの限界 について中井(2015)の研究によると自分で安全に 避難できる場所や避難経路がないことから限界を認 識していることである。(p.79)アンケート調査か らも,災害の種類によっては,自宅を避難場所とす ることも選択肢として考えられている。避難所の設 備や環境では電源の確保,付属品,消耗品の多さな どあるため生活できない。医療処置や排泄介助も一 般の避難所では行いにくい。火災以外では自宅を シェルターとしての環境を整えていくことも必要な のではないか。そのためにも避難訓練を実施,せめ て避難訓練のシミュレーションだけでも行うことに より個別の支援方法,課題が明らかになるはずであ る。自宅をシェルターとして備えるにしても,耐震 対策,家具・家電の固定,物落下防止,自家発電装 置,消耗品の備えなど行政の立場からの助言で被害 が最小限になる。今後行政がリーダーシップをと り,地域住民とのネットワークづくりをしていくこ とが急務であることが示唆された。

5.研究の限界と今後の課題

本研究はALS協会に入会中の会員にアンケート 調査をした結果から得たものである。実際には協会 に入会していない患者と家族がいるため氷山の一角 と言える。だからこそもっと広い実態を知るために 行政の関わりが重要となってくると考える。今後は さらに行政との連携を考え一人でも多くの人工呼吸 器装着の患者と家族の災害支援について行動を起こ していくことが課題として考えられる。

6.結  論

1) 地域での避難訓練のほとんどは,人工呼吸器 装着など医療器具が装着されている患者及び 家族の参加を想定されていないことが明確で ある。 2) 医療依存度が高いゆえに患者及び家族は自 助・共助だけでは災害時対応できないことが 多い。しかし患者及び家族にも防災意識向上 と自助努力が必要である。 3) 人工呼吸器装着患者災害対策は,平時からの 避難訓練(またはシミュレーションも含む) をすることで個別に必要な課題が明確にな り,実践的な個別のマニュアル作成につなが る。 4) 自助・共助のネットワークづくりには,公助 のリーダーシップが不可欠である。

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7.おわりに

人工呼吸器装着患者及び家族の避難訓練に関して の研究がなく実践報告のみであった。 今回焦点としなかったが,災害時の停電が大きな 障害になることは明白である。台風や豪雨による長 期間の停電が人工呼吸器装着患者の命をも左右す る。アンケート調査にも「電気は命綱」とあったよ うに,避難訓練の折に触れ電源確保の課題にも対策 が必要だと考える。人工呼吸器装着患者を避難行動 要支援者として大きなくくりとしてとらえるには医 療依存度が高いという課題がある。平時の時こそ避 難訓練を通して,患者及び家族の防災意識を高める 必要性と行政と地域住民の病気の認知度を高める必 要性がある。

8.利益相反

本研究の利益相反はない。

9.謝辞

アンケート調査にご協力いただきました患者及び ご家族のかたに深く感謝申し上げます。麻痺の為に 文字を書くことができない患者様がご家族や支援者 の方のご協力で返信していただいたことに厚く御礼 申し上げます。 また避難訓練の課題など身をもって示してくだ さったO氏に深く感謝申し上げます。 【引用文献】 千葉県.災害時における要配慮者及び避難行動要支援者 の避難支援の手引き.    https://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/documents/ youhairyotebiki.pdf(参照2019-1-31)   https://www.pref.chiba.lg.jp/shippei/alle-nan/documents/ ansintecyo-r0207.pdf(参照2019-1-31) 藤田美江(2011).神経難病在宅者の公的制度と個別支援 の災害対策.難病と在宅ケアVoL.17,No.9,33-38. 廣井脩(1986).災害と日本人,123-127,東京:時事通 信社. 兵庫県在宅人工呼吸器災害支援.    https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf16/documents/000060788. pdf(参照2019-1-31)    https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf16/documents/ kobetusaigaitaioumanyuarur1.pdf(参照2019-1-31) 厚生労働省健康局難病対策課.    https://www.mhlw.go.jp/file/06 -Seisakujouhou-10900000enkoukyoku/0000152076.pdf(参照2019-1-31) 三浦修(2011).地震災害時における神経難病患者の支援 ニーズ分析―被災経験を持つ神経難病患者のインタ ビュー調査から.新潟青陵学会誌,3(2),31-38. 宮城県避難行動要支援者に対するガイドライン.    https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/238323. pdf(参照2019-1-31) 内閣府災害対策基本法.    https://elaws.egov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/ lsg0500/detail?lawId=336AC0000000223#454(参照2019 -1-31) 中井寿雄(2015).医療的ケアの必要な要介護者の自分自 身を取り巻く生活環境を踏まえた災害に対する備え と認識.日本在宅ケア学会誌,VoL.19,No.1,74-81. 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業) 難病患者の地域体制に関する研究.班研究代表者:西 澤正豊(2017).災害時難病患者個別支援計画を策定 するための指針改定版,2.    https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_ files/saigai.kaitei.pdf(参照2019-1-31) 大谷尚(2019).質的研究の考え方―研究方法論から SCATによる分析まで,名古屋大学出版会,271-317. 蘇武彩加・藤村史穂子(2013).東日本大震災の被災実態 からみた難病患者の防災対策.岩手県立看護学部紀 要,15,37-48. 東京都.在宅人工呼吸器使用者災害支援指針.    https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/joho/soshiki/ hoken/shippei/oshirase/saigaijisiennsisinn.files/shishin1. pdf(参照2019-1-31) 豊浦保子・水町真知子(1997).阪神大震災下のALS患 者の実情と安全性についての検討,難病と在宅ケア, Vol.3,No2,13-46.

参照

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