Kobe Shoin Women’s University Repository
Title
白山・山村住居の最新状況
-住空間の史的展開過程に関する研究(その 10)―
Haku-Mountains' Dwellings of Today
Author(s)
島村 昇(Noboru Shimamura)
Citation
生活科学論叢(Review of Living Science)
,
No.26:1-31
Issue Date
1995
Resource Type
Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
URL
Right
白山 ・山村 住 居 の最 新 状 況
住 空 間 の 史 的 展 開 過 程 に 関 す る 研 究(そ の10) 島 村 昇 目 次 1.現 代 ・山 村 住 居 の 概 要4,リ ビ ン グ 系(生 活)空 間 の 現 代 的 変 容 1.1.外 観 の 変 化4.1.室 空 間 の 分 化 過 程 1.2.住 空 間 形 状 の 多 様 化4.2.ヒ ロ マ の 解 体 ・分 化 1.3.住 空 間 規 模 の 伝 統 と 革 新4.3.台 所 の 規 模 拡 大 1.4.住 空 間 の 階 層 性4.4.K.D.Lの 組 合 わ せ タ イ プ の 変 化 1.5.住 空 間 の 階 層 分 布4.5.接 客 空 間 の2方 向 分 化 1.6.進 入 形 式 の 伝 統 性4.6.生 活 機 能 と 祭 祀 ・儀 礼 機 能 の 競 合 4.7.ネ マ の2階 化 ・洋 室 化 2.現 代 ・山 村 住 居 の 住 空 間 構 成 2.1.サ ー ビ ス 系 空 間 と リ ビ ン グ 系 空5.り ビ ン グ 系(祭 祀 ・儀 礼)空 間 の 現 間 の 配 分 率 代 的 変 容 2,2.サ ー ビ ス 系 空 間 の 配 置 型5.1.ブ ツ マ の 経 過 2.3.伝 統 的 ・前 面 配 置 型5.2.ザ シ キ の 経 過 2.4.準 伝 統 的 ・前 面 配 置 変 形 型5.3.ブ ツ マ の ザ シ キ 化 2.5.新 規 ・側 面 配 置 型5.4.ザ シ キ の 一 般 化 2.6.新 規 ・分 散 配 置 型5.5.ブ ツ マ ・ザ シ キ の 生 活 化 5.6.ツ ヅ キ マ の 導 入 ・流 用 化 3.サ ー ビ ス 系 空 間 の 現 代 的 状 況5.7.接 客 空 間 の 外 化 分 離 3.1.ゲ ン カ ン の 風 土 性5.8.接 客 空 間 の 洋 風 化 3.2.台 所 の 拡 大 ・設 備 化 3.3.ロ ー カ の 発 達6.現 代 ・山 村 住 居 の 住 空 間 型 3.4.エ ン の 継 承6.1.住 空 間 型 の 形 成 要 因 3.5.便 所 の 内 化 ・床 上 化6.2.住 空 間 型(1)・ ザ シ キ 生 活 型 3.6.フ ロ の 内 化 ・床 上 化6.3.住 空 間 型(2)・ ツ ヅ キ マ 生 活 型 3・7.ア マ の 消 滅6.4.住 空 間 型(3)・ 現 代 ヒ ロ マ 型 6.5.住 空 間 型(4)・ 現 代 タ テ ヤ 型 6.6.住 空 間 型(5)・ ツ ヅ キ マ 儀 礼 型 6,7.住 空 間 構 成 の 現 代 的 特 色1.現 代 ・山 村 住 居 の 概 要 1.1外 観 の 変 化 外 観 上 の もっ と も大 き な変 化 は モ ヤ の 解 体 で あ る。近 代 か ら戦 後 期 に か け て は 、2階 建 の モ ヤ の まわ りに下 屋 を まわ す 構 成 が と られ た。 した が って 、 主 体 と な る モ ヤ が1・2階 を通 して 停 立 す る外 観 を呈 して い た が 、 こ れ が 崩 れ て1・2階 が 分 離 し、 従 来 に比 して2階 の ヴ ォ リュ ー ム が 減 少 す る。 これ は い う なれ ば 新 興 住 宅 地 の1戸 建 住 宅 と変 らな い 形 姿 に移 行 した こ と に な る。ま た 、 階 数 につ い て み て も102例 すべ て が2階 建 で 、 戦 後 期 に少 数 例 み られ た3階 建 は な い。 以 上 の よ うな2階 の減 少 傾 向 を2階 率(延 べ 面 積 に 占 め る2階 面 積 の 比率)で み る と、 近 代44 %、 戦 後 期 改 造 住 居42%、 戦 後 期 新 築 住 居41%、 現 代 住 居30%と 推 移 して い る。戦 後 期 ま で の2 階 建 の モ ヤ を主 体 とす る構 法 で は2階 率 は40%台 で あ るが 、現 代 住 居 で は30%に 減 少 して い る。 2階 面 積 を実 数 で み る と、19,6坪 →23,2坪 →17.6坪 →12.0坪 と推 移 し、近 代 と現 代 で は7.6坪 の 差 が 存 在 す る。2階 部 分 の 縮 少 化 は 、 い う まで も な くア マ の 消 失 が 主 因 で あ る。別 の 視 点 か らみ る と、 併 用 住 宅 の 専 用住 宅 化 とい う こ と もで き る。 上 記 の よ うな 形 態 的 変 化 の他 、建 築 材 料 の 変 化 も外 観 に影 響 した。屋 根 材 料 は い ま や 粕 薬 瓦 が 使 用 され 、外 壁 も旧 来 の 土 壁 や 板 張 りか ら吹 付 け や 鉄 板 張 りに移 行 して い る。 アル ミサ ッ シ の ガ ラ ス 戸 、ガ ラ ス 窓 な ど も外 観 の 変 化 に作 用 して い る。全 体 の形 態 的 変 化 に建 築 材 料 の 変 化 が 加 わ り、 外 観 上 の 山 村 住 居 と して の 特 質 は そ の 多 く を消 失 し た。 1,2住 空 間 形状 の 多様 化 モヤ 主体 空 間 の解 体 は 、上 記 の よ うに外 観 の 変 化 に も作 用 した が 、住 空 間 の 平 面 形 状 に もす く なか らず 影 響 した。 も と も とモヤ は 整 形 の 長 方 形 平 面 を もっ て お り、 こ れ の み に よ っ て構 成 さ れ る住 居 は ス ゴヤ(直 屋)で あ る。 当 山村 に お い て も、 この よ うな ス ゴヤ も存在 し たが 、 前 面 の サ シ カ ケ や 背 面 の ツ ケ タ シ(ブ ツ ダ ン ダ シ)が 部 分 的 に 付 加 さ れ る よ うに な る と、 お の ず か ら平 面 に 凹 凸 が 生 じ る よ うに な る 。 近 代 住 居 に お い て は 、多少 の付 加 空 間が つ け加 え られ た が 、戦 後 に 入 って これ が 改 造 さ れ る に 及 ん で 凹 凸 の 度 は 一 段 とは げ し くな った 。戦 後 の 生 活 革 新 に 対 応 す るた め にか な り随 意 的 な 改 造 の 手 が 加 え られ た か らで あ る。 台所 や 便 所 の改 造 、 押 入 ・物 入 の増 設 な どが お こ な わ れ、 モ ヤ の まわ りに小 空 間 の 凹 凸 が 生 じた。 しか し、同 じ戦 後 期 で も新 築 住 居 に な る と、計 画 段 階 にお い て あ らか じめ 必要 な空 間 を意 図 的 に配 置 す るの で 改 造 住 居 の よ うな 恣 意 的 な 凹 凸 は少 な くな る。 しか し、旧来 オ モ ヤ 内 に 組 込 ま れ て い た サ ー ビ ス系 空 間 を突 出 させ る外 化 分 離 型 が現 わ れ 、こ の 場 合 は平 面 に か な り大 き な 凹 凸 を 生 じ させ る結 果 と な っ た。
さ て 、現 代 住 居 に お い て は 、上 記 の 戦 後 期 新 築 住 居 の 傾 向 を受 け つ ぎ な が ら も さ ら に新 しい 傾 向 が つ け加 わ る。 そ の 第 一 は、 家 屋 前面 に 洋 室(応 接 間)を 突 出 させ る タイ プ で あ る。 こ れ は 先 にふ れ た サ ー ビ ス系 空 間 の 外 化 分 離 型 と同 じよ うに 平 面 の 一 部 が か な り大 き く突 出 し、平 面 全 体 と して は 大 きな凹 凸 とな る。 そ の 第 二 は 、 オ モヤ 全 体 をL型 に 配 置 す る タ イ プ で あ る。 こ の タ イプ は102例 中7例(7%)で 数 量 的 に は 決 っ して 多 くは な い が 、い ま まで に な い平 面 形 状 と して 注 目 さ れ る。 この タ イ プ は 、 エ ン の つ い た ブ ツ マ や ザ シ キ を生 活部 分 か ら直 角 に突 出 す の で 結 果 的 に はL型 に な るの で あ る が 、 い わ ば ハ レの 部 分 を外 化 分 離 させ た もの で あ る。 以 上 の よ うに、住 空 間 の 全 体 的 な平 面 形 状 は 、長 方 形 か ら部 分 的 な 凹 凸、 さ ら に大 きな 凹 凸 、 L型 な ど に発 展 して き、現 代 に お いて は 当初 の 長 方 形 平 面 に 比 べ る とか な りの 自由 度 を も って 多 様 化 した と い え るで あ ろ う。 1.3住 空 間 規 模 の 伝 統 と革 新 現 代 住 居 の 住 空 間 規 模 を み るに あ た っ て 、近 代 → 戦 後 期 改 造 住 居 → 戦 後 期 新 築 住 居 → 現 代 住 居 の 変 化 を跡 づ け て お く。 まず 、1階 の平 均 床 面 積 は24,8坪 →31.4坪 →24.9坪 →28.0坪 と変 化 して い る。戦 後 期 の 改 造 住 居 が 突 出 して大 き い の は 改 造 時 の 増 築 に よ る もの で あ るが 、 こ れ を除 く と 24.8坪 →24.9坪 →28.0坪 とな り、現 代 住 居 が3坪 程 度 面 積 増 加 して い る。生 活 の 主 要 部 を受 け も つ1階 部 分 の 増 強 され て い る こ とが わ か る。 次 に2階 の 平 均 床 面 積 は 、19.6坪 →23.2坪 →17.6坪 →12.0坪 と変 化 して い る。戦 後 期 改 造 住 居 が 突 出 して い るの は1階 と同 じ理 由 に よ るが 、 これ を 除 い て み る と、19.6坪 →17.6坪 →12.0坪 と 一 方 的 に 減 少 して い る 。 こ れ は2階 ア マ の消 失 に起 因 して い る。戦 後 期 新 築 住 居 の17.6坪 は まだ そ の 中 に14.6畳(7.3坪)分 の アマ を含 ん で い る。 この ア マ を除 い た10.3坪 が2階 の生 活 部 分 面 積 で あ り、こ れ が 現 代 住 居 の12.0坪 に相 当 す る。完 全 にア マ の 消 滅 した現 代 住 居 の12.0坪 は純 粋 に 生 活部 分 の 面 積 で あ り、 戦 後 期 の新 築 住 居 の そ れ とほ ぼ 等 しい 。す な わ ち、現 代 住 居 で は2階 部 分 の 専 用 住 宅 化 が 完 了 して い る とい え る。 次 に1階 と2階 を合 わせ た 平 均 延 べ 面積 は44.4坪 →54。6坪 →42.5坪 →40.0坪 と推 移 して い る。 戦 後 期 改 造 住 居 の54.6坪 を上 記 の 理 由 で 除 くと、44.4坪 →42.5坪 →40.0坪 と な り、 多少 減 少 して い る が 大 きな差 と は い え な い 。す な わ ち 、伝 統 的 な住 空 間 規 模 は生 きつ づ け て い る とい わ ね ば な らな い 。 しか し、実 の と こ ろ上 記 の変 化 は併 用 住 宅 と して の ア マ の 面積 を含 ん で い るの で 、こ れ を除 い た生 活 部 分 の面 積 につ い て み る と、24.8坪 →42.3坪 →35.2坪 →40.0坪 と変 化 し て い る 。現 代 住 居 の40.0坪 は戦 後 期 改 造 住 居 の42.3坪 に近 い 。現 代 住 居 が ダ ム 建 設 の 代 替 住 居 と して 建 設 され た 事 情 を考 え合 わせ る と、こ の こ とは と うぜ ん の こ とで あ る が 、 まだ伝 統 性 の つ よか っ た近 代 住 居 の
改 造 規 模 が 現 代 住 居 の 規 模 を決 定 して い るの で あ る。 1.4住 空 間 の 階 層 性 い ま ま で住 空 間 の 階 層 性 は 、 モヤ の 間 口長 さ を基 準 に して きた。 旧来 、 当 山 村 に お い て は 間 口 長 さ3,0間 を もっ て一 人 前 とす る慣 行 が あ っ た。 こ れ につ い て は 先 に述 べ た と こ ろ で あ る。 しか し、現 代 に 入 る と 旧来 の モ ヤ が 解 体 し、モ ヤ の 間 口長 さ とい う もの が 特 定 で き な くな っ た 。 した が って 、 モ ヤ 間 口長 さ に よ る階 層 性 の判 定 は で きな い。 しか し、振 返 っ て み る とモ ヤ の 間 口長 さ を階 層 基 準 に して い た と き も、実 際 の 間 口長 さ はモ ヤ 2階 の 間 口長 さに よ っ て い た の で あ っ た 。1階 部 分 で は 下 屋 が つ くの で 主 体 とな る モ ヤ が わか り に くか っ た 。こ れ に対 して、2階 部 分 で は モヤ が よ り明 瞭 なか た ちで 現 わ れ 間 口長 さ の 判 定 も容 易 で あ っ た 。 この 方 法 を現 代 に も適 用 し、 階 層 性 の尺 度 とす る の で あ る。 た だ し、こ の場 合 は 純 然 た る モ ヤ 間 口長 さ とは い え な い。 旧来 の モヤ 間 口長 さ に相 当 す る とい う意 味 に お い て 、モ ヤ 間 口相 当長 さ とよぷ 。同 様 に して奥 行 長 さ の方 もモ ヤ 奥 行 相 当長 さ とい う。 い ず れ も 「相 当 」 を付 して 本 来 の 意 味 と区 別 す る の で あ る。 この よ うな 方 法 に よ っ て 階 層 分 布 をみ る と、現 代 住 居 の 間 口相 当長 さ は2.0∼5,0間 に分 布 し、 0.5間 き ざみ に ラ ンキ ン グ を お こ な う と全 部 で7ラ ン クに な る。近 代 住 居 に お け る 間 口長 さは 、や は り2.0∼5.0に 分 布 し全7ラ ン ク が 設 定 され た。現 代 の ラ ン ク と全 く同 様 で あ る。戦 後 期 の新 築 住 居 で は2.0∼4,5間 の6ラ ン ク で あ っ た 。 こ れ も類 似 で あ る。 こ う して み る と、 モ ヤ が 解 体 して も2階 間 口長 さ を モヤ 間 口長 さ に相 当 す る もの と考 えて も よ さそ うで あ る。換 言 す れ ば 、階 層 を 表 示 す る従 来 の 間 口長 さは 、現 代 に お い て も2階 の 間 口長 さに つ よ く伝 承 さ れ て い る とい え る 。 現 代 住 居 の 階 層 基 準 を以 上 の よ うに 設 定 した と して 、そ の 実効 性 をみ る ため 試 み に1階 床 面 積 と2階 床 面 積 との 相 関性 をみ る。 間 口相 当長 さ(a間)と1階 床 面 積(A1坪)の 相 関 度 は0.9507 で き わめ て 強 い 正 の 相 関 性 を示 す 。ち なみ に 、相 関 式 はA、=4.99a+13.44で あ る。同様 に して 、 2階 面 積(A2坪)と の相 関 度 は0.9424で こ れ も きわ め て 強 い正 の 相 関性 を示 す 。 関係 式 はA2= 4.79a-2.08で あ る。 この よ うな検 証 の 結 果 、2階 間 口長 さ を モヤ 間 口相 当長 さ と し、階 層 基 準 にす 之 る。 そ の こ とに よ って 、 近 代 や 戦 後 期 との 比 較 も整 合 性 を え る。 1.5住 空 間 の 階 層 分 布 前 項 で 設 定 した 間 口相 当長 さ に よ る7ラ ン クの 階 層別 戸 数 を み る と、1ラ ン クは13戸(13%)、 IIラ ン ク34戸(33%)、IIIラ ン ク17戸(17%)、IVラ ン ク21戸(21%)、Vラ ン ク12戸(12%)、VI ラ ン ク4戸(4%)、VIIラ ン ク1戸(1%)と な り、 間 口相 当長 さ2.5∼3.5間 に 当 るII、m、IVラ ン クが 高 率 で 、 こ れ ら を合 わせ る と全 体 の71%を 占め る。
戦 後 期 の 新 築 住 居 と比 較 す る と、 戸 数 比 の変 化 の 大 きい ラ ン クはIIラ ン クの 増加(2%→33%)、 IVラ ン クの減 少(50%→21%)で あ り、 他 の ラ ン ク は大 差 が な い。 す な わ ち 、 全 体 と して は 多少 小 間 口の 方 へ 移 行 して い る よ う にみ え る 。 しか し、こ れ は現 代 住 居 に 占め る2階 の ウエ イ トが 旧 来 よ り縮 少 され た 結 果 必 然 的 に 生 じる 間 口相 当 長 さの 減 少 で あ り、住 空 間 そ の もの の圧 縮 を意 味 す るの で は な い 。 この こ とは 、住 生 活 の 主 要 部 分 を受 け もつ1階 の 床 面 積 を み る とよ くわ か る 。1階 の 平 均 床 面 積 は 近 代24.8坪 、戦 後 期 新 築 住 居24.9坪 、現 代 住 居28,0坪 で、現 代 で は む しろ 増 加 して い る。現 代 住 居 で は 従 来 よ りは1階 に ウ エ イ トが お か れ て い る。 こ の こ とは1階 の 平 面 計 画 に も影 響 す る。 旧来 の伝 統 的 な 列 構 成 か らの 脱 却 で あ る。 ち なみ に 、 階 層 基 準 と して き た 間 口(相 当)長 さ の い ま まで の 変 化 を振 り返 っ て お く と、 そ の 平 均 値 は近 代3.2間 、戦 後 期 新 築 住 居3.3問 、現 代 住 居3.0間 で 、現 代 にお い て 多少 減 少 して い る が 大 き な差 が あ るわ けで は な い 。 この あ た りに 間 口長 さ に対 す る伝 統 的 意 識 が感 じ られ る。間 口 に 対 して 奥 行 の 方 をみ る と、 平 均 奥 行(相 当)長 さ は、5.5間 →4.8間 →4.0間 と変 化 して お り、 間 口 に 比べ て か な りの 減 少 を きた して い る。 平 面 形 状 の方 形 化 は 確 実 に 進 行 して い る。 1,6進 入 形 式 の 伝 統 性 当 山 村 に お い て は なが ら く妻 入 りタ テ屋 造 を伝 統 と して き た。お そ ら く近 世 以 前 に は、ほ とん どす べ て の 山村 住居 が 妻 入 りで あ っ た と考 え られ るが 、近 代 に お いて は 戸数 比 に して84%が 妻 入 り、16%が 平 入 りで あ っ た 。戦 後 期 の 新 築 住 居 で は 妻 入 り73%、 平 入 り27%で 平 入 りが や や 増 加 して い るが 、や は り妻 入 りが 優 勢 で あ る。戦 後 期 に お いて は まだ 妻 入 りの伝 統 が生 きて い る こ と を示 して い る。 さて 、 現 代 住 居 の 場 合 は 、102例 中妻 入 りは86例(84%)、 平 入 りは16例(16%)で 戦 後 期 よ り む しろ 妻 入 りが 増加 して い る くら い で あ る。一般 に 民 家 は妻 入 りか ら平 入 りに移 行 す る とい わ れ て い るが 、近 代 か ら戦 後 期 に か け て は ひ じ ょ うに 弱 いが こ の傾 向 を示 して い た 。 しか し、現 代 住 居 に お いて は こ の傾 向 が 逆 転 して い る。 この事 実 は 、新 規 の造 成 宅 地 が タ テ 長 の形 状 を も っ て い る こ とに も起 因 して い る と考 え られ る が 、い ま ひ とつ は ロー カ や エ ン に よ って 玄 関 か らブ ツマ へ の祭 祀 動 線 を確 保 して い る例 が み られ る こ と も見 逃 せ な い。 こ の場 合 は 、 ゲ ン カ ン か らプ ツマ へ 居 室 を通 らず に到 達 で き る。 本 来 、妻 入 りか ら平 入 りへ の 転 換 は 、 日常 の 生 活 動 線 とザ シ キ に 到 る儀 礼 動 線 や ブ ツマ に到 る 祭 祀 動 線 を分 離 す る ため に 生 じる現 象 で あ るが 、当 山村 に お い て は最 上 層 の住 居 を除 い てザ シ キ は設 け られ な か っ たの で祭 祀 動 線 の み が 平 入 りへ の 動 因 で あ っ た が 、それ も近 代 以 降 はエ ン の 発 達 に よ っ て ニ ワ→ エ ン → ブ ツ マ の 経 路 で 処 理 され 、 オ モ ヤ は や は り旧来 ど お りの 妻 入 りで あ っ た。
この よ うな妻 入 りの 伝 統 は戦 後 期 に まで 及 び 、大 き な変 化 もな く現 代 住 居 に流 れ 込 ん だ。現 代 住 居 に お い て も妻 入 りタ テ ヤ造 が 圧 倒 的 に 多 い 理 由 で あ る。妻 入 りタ テ ヤ 造 で は 妻 側 が 間 口 に な り、 これ が フ ァサ ー ドに な る。 これ も旧 来 と変 らな い 。先 にふ れ た2階 間 口長 さが 現 代 住 居 の 階 層 基 準 に な り う るの は 、 この 進 入 形 式 と不 可 分 の 関 係 に あ る。か つ て は モヤ の 間 ロ長 さが 階 層 を 表 示 して い た が 、モヤ の解 体 した 現 代 住 居 に お い て は2階 の 間 ロ長 さが そ の 痕 跡 を と どめ て い る の で あ る。 2.現 代 ・山 村 住 居 の 住 空 間 構 成 2.1サ ー ビ ス系 空 間 と リビ ン グ系 空 間 の 配 分 率 住 空 間 を構 成 す る2大 要 素 と して サ ー ビ ス 系 空 間 と リビ ン グ系 空 間 に つ い て そ の 配 分 率 をみ て お きた いが 、 まず 生 活 の 主 要 部 分 を 占め る1階 の それ を近 代 以 降 の変 化 と と も にみ る。順 序 は 例 に よ っ て 、近 代 → 戦 後 期 改 造 住 居 → 戦 後 期 新 築 住 居 → 現 代 住 居 で あ る。 サ ー ビ ス系 空 間 の 平 均 配 分 率 は 、33%→42%→46%→53%と 増 加 の 一 途 を た ど っ て い る 。近 代 と現 代 を比 較 す る と20%の 増 で あ る。 こ れ は か な り大 きな差 で あ る。 こ の差 の 原 因 を明 確 に す る た め サ ー ビ ス系 空 間 の 各 部 分 に つ いて み る と、 ゲ ン カ ン は2%の 減 、 台所 は12%の 増 、エ ン は3 %の 減 、 通 路 は6%の 増 、 収 納 は1%の 増 、 サ ニ タ リー(浴 室 、 洗 面 ・脱 衣 、 便 所 、 洗 場)は6% の増 で あ る。 以 上 に よ っ て わ か る よ うに 、 ゲ ン カ ンや エ ンは や や 減 少 して い る が 、 台所 、通 路 、収 納 、 サ ニ タ リー が 増 強 され て い る。就 中 、台所 は もっ と も増 加 率 が 高 く台 所 設 備 の現 代 化 と同 時 に面 積 的 拡 大 もお こ な わ れ た こ とを示 して い る 。次 に高 い増 加 率 を示 して い る の は 通 路 とサ ニ タ リー で あ る 。通 路 の 増 加 は 旧 来 な か っ た 玄 関 ホー ルや ロー カ の 設 置 に よ る が 、サ ニ タ リー の 増 加 は浴 室 の 各 戸 設 置 、 こ れ に付 帯 す る 洗 面 ・脱 衣 室 の 設 置 、便 所 の オ モ ヤ 内 配 置等 に よ っ て い る。 以 上 の よ うに 、住 空 間 の 近 代 か ら現 代 に い た る大 きな変 化 は、サ ー ビ ス系 空 間 の 増 強 に あ っ た 。 住 生 活 の 炊 事 ・衛 生 面 の 改 良 が 要 求 され て い た こ とが わ か る。 サ ー ビス 系 空 間 の 増 強 は、 他 方 で は リビ ン グ系 空 間 の圧 縮 に つ なが り、 そ の 減 少 は67%→58%→54%→47%と 推 移 して い るが 、 そ の減 少 は2階 が補 う こ とに な る。 2.2サ ー ビ ス系 空 間 の 配 置 型 戦 後 期 で は まだ 旧来 の列 段 構 成 の伝 統 が つ よか っ た が、現 代 に お い て は そ れ が か な り崩 れ て き て お り、住 空 間 の構 成 手 法 をみ る方 法 も変 えね ば な ら な い。本 論 で は サ ー ビ ス 系 空 間 の 配 置 状 況 か ら これ を検 討 して お きた い 。 近 代 以 前 の 住 空 間 に お い て は、サ ー ビス 系 空 間 は オ モヤ 前 面 に集 約 的 に配 置 さ れ て いた 。 い わ
ば 前 面 配 置 型 とい え る もの で あ っ た。 しか し、戦 後 に入 る と この よ うな 配 置 手 法 は 変 革 の き ざ し をみ せ る。 戦 後 期 の 新 築 住 居 で は 、伝 統 的 な 前 面 配 置 型 は 戸 数 比 率 に して27%、 準 伝 統 的 な 前 面 配 置 変 形 型58%、 新 しい側 面 配 置 型8%、 同 じ く分 散 配 置 型8%で あ っ た 。 現 代 住 居 に お け るサ ー ビ ス 系 空 間 の 配 置 型 をみ る と、タ イプ と して は 上 の4型 を ひ きつ い で い るが 戸 数 比 率 に は か な りの 変 化 が み られ る 。その 変 化 の 状 況 を み る と、伝 統 的 な 前 面 配 置 型 は27 %→16%と 減 少 、準 伝 統 的 な前 面 配 置変 形 型 は58%→28%と 大 幅 な 減 少 、新 しい 側 面 配 置 型 は8 %→54%と 圧 倒 的 な 増 加 、 最 後 の分 散 配 置 型 は8%→2%の や や 減 少 とな って い る。 以 上 の 変 化 状 況 をみ る と、伝 統 的 と 目 され る前 面 配 置 型 とその 変 形 型 は85%→44%と 大幅 に減 少 し、 これ に対 して新 しい 側 面 配 置 型や 分 散 配 置 型 は16%→56%と 大 幅 に増 加 して い る。 と くに 側 面 配 置 型 の 増 加 が 著 し く、要 約 的 に い えば 、戦 後 期 か ら現 代 へ の 住 空 間 構 成 の 大 きな変 化 は、 サ ー ビス 系 空 間 の 前 面 配 置 か ら側 面 配 置 へ の移 行 で あ っ た。 以下 、そ れ ぞれ の配 置 型 に つ い て み る。 2.3伝 統 的 ・前 面 配 置 型 現 代 住 居 に お け る伝 統 的 なサ ー ビス 系 空 間 の 前 面 配 置 型 は102例 中16例(16%)と 僅 少 で あ る が 、 もっ と も歴 史 の 古 い タ イプ で あ る 。 も と も と住 空 間 の サ ー ビ ス 的要 素 は そ の 多 くが 戸外 で 処 理 さ れ て い た が 、生 活上 の 利 便 性 の た め に 出 入 口近 辺 に もっ て こ られ た。 こ れ が サ ー ビ ス 系 空 間 の 前 面 配 置 の 由 来 で あ る。 当 山村 に お い て は 、モ ヤ の前 面 に付 加 され るサ シ カ ケ や モ ヤ 前 部 の カ ッ テ あ た りに こ の サ ー ビ ス系 空 間 を集 約 化 し、 そ の 背 後 に ヒ ロマ ・ブ ツマ ・ネマ な どの リビ ン グ系 空 間 を配 置 した 。 こ う して 住 空 間 の2大 部 門 で あ るサ ー ビス 部 門 と リビ ン グ部 門 は 裁 然 と区分 され て い た 。こ の伝 統 を 受 けつ ぐの が 本 項 の前 面 配 置 型 で あ る。 サ ー ビス 系 空 間 を従 来 どお り前 面 に 配 置 す る と必 然 的 に リビ ン グ 系 空 間 は その 背後 に くる 。つ ま り、 リビ ン グ 系 空 間 は 間 口幅 い っ ぱ い に と られ る こ とに な り、間 口長 さが 小 さ い 場 合 は1列 、 間 口長 さ が 大 き い場 合 は2列 の 居 室 を とる こ とが で き る。これ は結 局 伝 統 的 な 日の 字 や 田 の 字 型 の 室 構 成 とな り、 リ ビン グ系 空 間 の 方 も伝 統 的 な 構 成 とな る。 しか し、 この よ うな 前 面 配 置 型 が 減 少 す るの は、サ ー ビ ス系 空 間 の 質 的 変 化 に よ る。給 排 水 、 炊 事 ・採 暖 の 熱 源 、便 所 の 構 造 、居 室 との動 線 処 理 等 の 面 で の 合 理 化 、 利 便 庄 の確 保 が 前面 配 置 型 減 少 の 大 きな 原 因 で あ る。 2.4準 伝 統 的 ・前 面 配 置 変 形 型 準伝 統 的 な 前 面 配 置 変 形 型 は102例 中29例(28%)あ る。 この タ イ プ を準 伝 統 的 とす る の は 、 伝 統 的 な前 項 の 前 面 配 置 型 の 台 所 部 分 を突 き出 して 食 事 室 に 隣 接 させ た り、 ダ イニ ン グ ・キ チ ン様
の室 に した りす るか らで あ る。基 本 は前 面 配 置 型 で あ るが 、主 と して 台 所 部 分 を変 形 させ る もの だ か らで あ る。 こ の タ イプ は す で に戦 後 期 の 改 造 住 居 や 新 築 住 居 にみ られ た もの で あ り、こ の タ イ プ の 発 生 は 簡 易 水 道 に よ る 各 戸給 水 、炊 事 用 熱 源 と し て のプ ロパ ンガ ス の普 及 、従 来 の ドマ に あ っ た す わ り 流 しか ら ス テ ン レス 製 の 立 ち 流 しへ の 移 行 等 、 一 連 の 台所 の 改 善 と軌 を一 に して い る。 台 所 にお け る水 処 理 の 合 理 化 や 無 煙 化 は 、台 所 スペ ー ス を 旧来 の サ ー ビ ス 系 空 間 か ら一 歩 リ ビ ン グ系 空 間 に近 づ け る こ とに な っ た。ヒ ロマ 横 の 側 面 ツ ケ タ シ部 分 に細 長 い 台 所 を 設 け た の が こ の タ イプ の は じ ま りで あ っ た 。現 代 住 居 に お け る この タ イ プ は 、当 時 の 台所 に比 べ る とも ち ろ ん 面 積 的 に も設 備 的 に も増 加 発 展 して い るが 、 住 空 間 の構 成 理 念 と して は 同様 で あ る。 住 空 間 の 発 展 過 程 か らみ る と、もっ と も古 い前 項 の 前 面 配 置 型 の 次 に くるの が こ の タ イプ で あ る。 戸 外 や ドマ に あ っ た水 まわ り台所(K1)と ヒロ マ に あ っ た 火 ま わ り台 所(K2)が 合 体 して 一 箇 の 台所(K)と して確 立 し、 食 事 室(D)や 居 間(L)と 関連 してK・DLやKD・Lな ど の 諸 タ イプ を発 生 させ る前 提 が つ くられ た こ とに な る。 し たが っ て 、 台所(K)の 横 に はDやLが き、 それ らが連 動 す る こ と に よ っ て 旧来 の ヒ ロマ に 相 当す る機 能 を もつ 。つ ま りヒ ロマ 系 の 空 間 を形 成 す るの で あ る。 この ヒ ロマ 系 空 間 の 背 後 に は 旧来 の ブ ツ マ や ネマ が 設 け られ 、 この あ た りの 空 間 は伝 統 を維 持 して い る。 2.5新 規 ・側 面 配 置 型 い ま まで に な い新 し い タ イプ と して 側 面 配 置 型 が あ げ ら れ る。 こ の タ イ プ は102例 中55列(54 %)で 最 高 率 で あ る。 列 段 構 成 の1列 分 をサ ー ビ ス系 の 空 間 と し、他 の1列 を リビ ン グ 系 の 空 間 に 当 て る タテ 割 の住 空 間 構 成 を と る タ イ プ で あ る。 先 に あ げ た2型(前 面 配 置 型 お よび 前 面 配 置 変 形 型)は いず れ もサ ー ビ ス 系 空 間 の前 面 配 置 を特 色 と して い た が 、 こ の タ イプ は側 面 配 置 が 特 徴 で あ る。 側 面 に 配 置 さ れ るサ ー ビ ス 系 の 空 間 は 、 台 所 、 浴 室 、 洗 面 ・脱 衣 室 、 便 所 、 ロー カ ・階 段 等 で あ る。これ らが タテ1列 に 配 列 さ れ 、横 の1列 に居 室 が これ ま た タ テ1列 に2∼3室 配 列 され る 。 台 所 部 分 は 居 室 と接 す る が 、他 の 部 分 で は ロー カ が通 り居 室 と隔 て られ る。 台所 も ロー カ も家 族 的 スペ ー ス で あ る か ら、 居 室 へ の ア プ ロー チ は他 の 居 室 を通 過 す る 必要 が な い。 す な わ ち、 室 の 独 立 性 が え ら れ る。 伝 統 的 な 日の 字 型 や 田 の 字 型 の室 構 成 で は室 の独 立 性 が え られ な か っ た が 、こ の 側 面 配 置 型 で は そ れ が 可 能 とな っ た。た だ し、タ テ に 配列 され る 居 室 の 間仕 切 は フ ス マ を使 用 す る もの が 多 く、 居 室 の連 続 性 も維 持 さ れ て い る。伝 統 的 な室 の 連 続 性 と現 代 的 な 室 の 独 立 性 が 同 時 的 に解 決 さ れ て い るの で あ る。こ う した 室 の連 続 と独 立 を実 現 し えた の もサ ー ビス 系 空 間 を側 面 に タ テ1列 に 配 列 した か ら こそ で あ り、 旧来 の 前 面 配 置 で は不 可 能 な もの で あ っ た 。側 面 配 置 型 の 新 規 性 が そ
こ に あ る。 ま た 、以 上 の こ と を可 能 と した 背 景 に は、サ ー ビス 系 空 間 の 質 的 向 上 が 決 定 的 な影 響 を及 ぼ し て い る。 台 所 の 水 道 ・排 水 設 備 、 流 し台 等 の3点 セ ッ ト、 浴 室 の給 排 水 、 ガ ス 釜 、便所 の水 洗化 等 の 現 代 的 設備 が サ ー ビス 系 空 間 と リビ ン ク系 空 間 の 共 存 を可 能 に し た と い え る 。 2.6新 規 ・分 散 配 置 型 以 上 の3型(前 面 配 置 型 、 前 面 配 置 変 形 型 、 側 面 配 置 型)の いず れ に も入 らな い タイ プ と して 分 散 配 置 型 を あ げ て お か ね ば な ら な い。以 上 の3型 は 前 面 と側 面 の 違 い は あ る が一 定 の 空 間 に サ ー ビス 系 の 空 間 が ま とめ られ て い た。伝 統 的 な列 段 構 成 の観 点 か らみ る と、前 面 配 置 型 は 前 面1 段 分 を、側 面 配 置 型 は左 右 いず れ か の1列 分 をサ ー ビ ス系 の空 間 と した もの で あ っ た。 した が っ て 、 残 る シ ビ ン グ 系 の 空 間 も一 定 の ま と ま りを も っ た。 しか し、分 散 配 置 型 は サ ー ビ ス系 の 空 間 が2ケ 処 程 度 に分 散 して 配 置 され る の で 、 リビ ン グ系 の 空 間 も分 断 され る 。 この タ イ プ は102列 中2例(2%)と きわ め て 少数 で あ るが 、現代 をその萌 芽 期 と考 えた 場 合 捨 て 去 る こ とが で き な い の で 本 項 で と りあ げ て お く。 そ の 第 一 は 、台 所 を極 端 に突 出 させ 他 の 部 分 か ら外 化分 離 させ る もの で あ る。 こ の揚 合 の 台 所 は独 立 し3方 が 外 気 に接 す る。 台所 は水 や 火 を 日常 的 に使 用 す る場 所 で あ り、他の室 に比べ て換 気 性 能 の求 め られ る場 所 で あ る。後 に述 べ る金 沢 市 中 の近 代 住 居 で は 台 所 を含 む サ ー ビ ス系 空 間 の 外 化 分 離 が 進 行 す る が 、 当 山村 住 居 に もそ の微 徴 が み とめ られ る。 その 第二 は 、 台所 、浴 室 、便 所 が3ケ 処 に分 散 配 置 され る もの で あ る 。 こ れ らの サ ー ビス系 空 間 は いず れ も ロー カ に面 し使 用 上 の 不 便 は な い が 、 居 室 との 関 係 か ら分 散 配 置 と した よ うで あ る。 以 上 の よ うな サ ー ビ ス系 空 間 の 分 散 配 置 型 は 、旧来 の 列 段 構 成 を基 本 とす る住 空 間構 成 を破 る もの で あ り、 よ り自由 な構 成 手 法 を求 め る動 き と して 注 目 され るの で あ る。 3.サ ー ビ ス 系 空 間 の 現 代 的 状 況 3.1ゲ ン カ ンの 風 土性 か つ て ネ ブ キ ゴ ヤ の 前 に は サ シ カ ケ が つ く られ 、その 屋 根 の 下 に ゲ ン カ ン の機 能 が 含 まれ て い た。ネ ブ キ ゴヤ の 中 は すべ て カ ヤ 敷 き等 の土 座 で あ り、 ゲ ン カ ンの 機 能 を もつ ドマ は なか っ た 。 サ シ カ ケ の 下 の ゲ ン カ ン は い わ ば ソ トゲ ン カ ン とい え る もの で あ っ た。 そ の後 、モ ヤ 出 入 口の 中 に もゲ ン カ ンが つ く られ る よ うに な り、サ シ カ ケ の ソ トゲ ン カ ン に対 して い ま ひ とつ ウチ ゲ ン カ ンが 加 わ っ た 。 二 重 構 造 の ゲ ン カ ン で あ る。 と くに 当 山村 の よ う な豪 雪 地 帯 で は 、出 入 口 の 防 雪 が 必 要 と され 二 重 構 造 の ゲ ン カ ン とされ た
の で あ っ た が 、 出 入 口の 戸 の水 密 性 ・気 密 性 が 向 上 す る に つ れ て しだ い に ウ チ ゲ ン カ ンの み の 一 重構 造 に移 行 して い く。 この 移 行 状 況 は ゲ ン カ ン面 積 の 推 移 に よ く現 わ れ て お り、近 代 の 平 均 ゲ ン カ ン面 積 は3.1畳 、戦 後 期 改 造 住 居 の そ れ は4.3畳 、戦 後 期 新 築 住 居 の そ れ は3.3畳 、そ して現 代 住 居 で は2.4畳 で あ る 。 現 代 住 居 の2.4畳 が他 の 時 期 に 比 べ て 最 小 な の は 、 それ だ け一 重 構 造 の ゲ ン カ ン が 一 般 化 した ため で あ るが 、 こ れ は新 築 時 の こ とで あ り、事 後 的 に ソ トゲ ン カ ン が 追 加 さ れ る こ とが 多 い 。現 代 に お い て は 、そ の ソ トゲ ン カ ン を玄 関 フー ドと よび ア ル ミ製 枠 の ガ ラ ス 入 りの サ ン ルー ム様 の もの で あ る。 この ゲ ン カ ン フ ー ドをつ け る とゲ ン カ ン は昔 と同 じ よ う に二 重構 造 とな り、ゲ ンカ ン面 積 も2畳 程 度 増 加 す る。 ウチ ゲ ン カ ンの み の 住 居 は、 出 入 口の 水 密 性 ・気 密 性 に よ る とこ ろ も大 で あ るが 、 そ れ 以 上 に 温暖 少 雪 な表 日本 の住 様 式 の影 響 が 大 きい 。表 日本 で は簡 単 な ピサ シか 吹 放 しの ゲ ン カ ン ・ポー チ が ソ トゲ ン カ ン と して 付 加 され る程 度 で あ るが 、寒 冷 多雪 な裏 日本 、 と くに 山地 か ら山 麓 に い た る多 雪 地 域 で は その よ う簡 易 な 構 造 で は す ま され な い 。 3.2台 所 の 拡 大 ・設 備 化 現 代 に お い て は 、台 所 と い うスペ ー ス は 明 確 に一 室 を な して い るが 時代 を遡 及 す る と必 ず し も そ うで は な い 。 も と も と台 所(K)は 水 ま わ り台 所(K、)と 火 まわ り台 所(K2)の2ヶ 処 に分 裂 して い た。 水 ま わ り台 所 は、 か つ て 谷 水 や 山 の 清 水 な ど を利 用 す る か 、 カ ケ ヒで 山水 を引 きサ シ カ ケ の フ ネ に溜 め て使 用 した。 これ らの 水 の使 用 場 所 は すべ て ミン ジ ャ(水 屋)と よ ば れ た。 した が って 、ミン ジ ャ な る水 ま わ り台 所 は オ モ ヤ の前 が 横 の 戸 外 か ら離 れ た 場 所 ま で い ろい ろで あ っ た。 他 方 、火 まわ り台 所 は ヒ ロマ の 炉 の 周辺 で あ っ た 。 よ り厳 密 に い え ば 、炉 周 辺 の カ カ ザ とい わ れ る主 婦 の 座 席 の あ た りで、 この 部 分 は タナ マ エ(棚 前)と も よば れ た 。 壁 に接 して 置 か れ た 食 器 棚 と炉 の 間 の2畳 程 度 の ス ペ ー ス で あ る。 し たが っ て 、火 まわ り台所 は ヒロマ の 一 角 に あ っ た わ け で あ り、1室 を な して い た わ け で は な い。 この よ うな水 ま わ り台所(K、)と 火 ま わ り台 所(K2)が1室 の 台 所(K)と して 成 立 す るの は 戦 後 の こ とで あ り、簡 易 水 道 の 敷 設 や プ ロパ ン ガ ス の 普 及 が これ を促 進 し た。 この 台所 は ヒ ロ マ 横 の 側 面 ツ ケ タ シ部 分 に 設 け られ 、1日来 の ヒ ロマ の 炉 の ま わ りで の 食 事 は その ま ま続 行 され た が 、 そ の後 台 所 の 炊 事 機 能 を充 実 させ る た め に、 次 には ダ イ ニ ン グ ・キ ッチ ン と して も利 用 で き る よ うに 台 所 の 面 積 的拡 大 が進 行 した。 台所 の 面 積 的 拡 大 は 平 均 値 で み る と、近 代0,7畳(こ れ は ミン ジ ャの 面 積 で タナ マ エ の 面 積 を加 え る と3畳 程 度 と な る)、戦 後 期 改 造 住 居 で は4.9畳 、戦 後 期 新 築 住 居 で は5.1畳 、現 代 住 居 で は7,7 畳 と増 加 して い る 。現 代 住 居 に お い て は 、 台所 面積 が8畳 に近 づ い て お り、昔 日に 比 べ る とか な
り大 型 化 して い るが 、 これ は 時 に 応 じて 食 事 もで き るダ イニ ン グ ・キ ッチ ン様 式 を と り入 れ て い る こ と もあ る が 、食 器 棚 や 電 気 冷 蔵 庫 、 テー ブ ル(食 卓 兼 調 理 台)、 イ ス 等 の 旧来 な か っ た 台 所 用 設 備 器 具 を導 入 す るた め で もあ る。そ の 結 果 、台 所 は都 市 住 居 の そ れ と変 わ ら な い モ ダ ー ン な も の に な っ た。 3.3ロ ー カの 発 達 現 代 の 山村 住 居 に お い て、 オ モヤ 内 の 通 路 スペ ー ス と して ロー カ の 発 達 が あ げ られ る。列 段 構 成 の 明 確 で あ っ た伝 統 的 な 山村 住 居 に お い て は 、サ ー ビ ス系 の 空 間 は 前 面 に 集 約 配 置 さ れ 、居 室 も タテ 、 ヨ コに 連 続 して い た の で と くに ロ ー カは 設 け られ な か っ た。 サ ー ビ ス 系 空 間 の うち 主 だ っ た もの と して 水 ま わ り台所(ミ ン ジ ャ)と 小 便 所(シ ヨ ンベ ン ジ ャ)が あ るが 、 これ ちは ソ トゲ ン カ ンや ウチ ゲ ン カ ンの 左 右 に配 置 され る の で ゲ ン カ ンが こ れ ら へ の 通 路 を も兼 ね て い た 。居 室 関 係 に つ いて み る と、ゲ ン カ ン の 次 に ヒ ロ マ が き、 そ こか らブ ッ マ や ネ マ に ア プ ロー チす るの で こ の場 合 は ヒ ロマ が通 路 を も兼 ね て い た。 した が っ て、 ロー カ と い う通 路 専 用 の 空 間 は基 本 的 に は不 必要 で あ っ た。 た だ 、2階 の ア マ へ 上 るハ シ ゴや 階 段 の ス ペ ー ス に少 量 の通 路 専 用 空 間 が あ っ た。 しか し、戦 後 か ら現 代 に い た る は げ しい 生 活 革 新 の結 果 、サ ー ビ ス系 の 空 間 は前 面 配 置 か ら側 面 配 置 、 さ らに分 散 配 置 等 に移 行 した 。 こ の場 合 、 リビ ン グ 系 の 空 間 か らサ ー ビス 系 の 空 間 へ い た る通 路 が 必 要 とな る と同 時 に両 空 間 を隔 離 す るた め に もロ ー カ が 必 要 で あ っ た。 また 、居 室 間 の 通 り抜 け を な くす た め に も ロ ー カ は 有 効 で あ った 。 以 上 の よ う な経 緯 か ら、近 代 以 降 ロー カ を主 とす る通 路 面 積 は一 方 的 に増 加 し、近 代 に お け る 平 均 通 路 面 積 は3.7畳(ゲ ン カ ン横 の 小 ドマ通 路 を含 む)で あ った が 現 代 住 居 の そ れ は7.3畳 に増 大 して い る。4畳 分 の増 加 で あ る 。0.5間 幅 の ロー カで あ れ ば 長 さ4.0間 に相 当 す る増 加 で あ る。 しか し、現 代 的 な住 居 計 画 の 観 点 か らす る と、 ロー カ の 増 加 を必 ず し も 良 とす る こ とが で きな い が 、 この 時 点 で の 山 村 住 居 の到 達 点 と して は 首 肯 さ れ る と こ ろで あ る。 3.4エ ンの 継 承 エ ンは 前 項 の ロー カ と同 じ よ うに通 路 的 な要 素 を も って い るが 、よ り多 くは外 部 と住 空 間 の 緩 衝 帯 と して の要 素 を もつ もの で あ る。断 面3角 形 の ネ ブ キ ゴヤ の よ うな建 物 で は エ ンは つ け よ う が な か っ た。エ ン をつ け る た め には 、 まず 柱 建 て 構 造 に発 達 し側 柱 の柱 間 が 開 放 され る必 要 が あ っ た 。ネ ブ キの 次 に くる ク ズ ヤ は 柱 建 て構 造 で あ っ た が 、寒 冷 多雪 な 当 地 で は近 世 に タ イ コ壁 と よば れ た大 壁 の 厚 い土 壁 をめ ぶ らせ た 閉 鎖 的 な 壁 面 を もっ て い た。 しか し、近 世 で も最 上 層 の 小 倉 家 で は か な り開 放 的 に な り、家 屋 側 面 の 柱 間1.0間 の うち0.5問 分 を板 壁 と し残 り0.5間 分 を 片 引 きの 板 戸 と して い た 。つ ま り柱 間1.0間 の うち 半分 が 開放 可 能 で
あ っ た。 しか し、 当家 に は ま だエ ン が な か っ た。小 倉 家 よ り後 の 近 世 末 の 杉 原 家 で は さ ら に 開放 的 とな り、柱 間1.0間 は2枚 引 違 い の 障 子 戸 に な る。柱 間2.0間 の と こ ろは4枚 引 違 い の 障 子 戸 に な る。 障 子 戸 は 防水 性 能 が な いか ら、外 側 に雨 戸 の つ い たエ ン を併 設 す る。 エ ン はす べ て ツ ケ タ シの 下 屋 で あ る。 近 世 末 で は 杉 原 家 の よ う な最 上 層 住 居 で は エ ン を も って い たが 、これ が 一 般 化 す るの は 近 代 で あ る。 これ は クズ ヤ か らイ タ ヤへ の 移 行 と同 時 で あ る。 イ タヤ は養 蚕 の た め に2階 建 と した が 、 2階 は従 来 の 大 壁 と し1階 は 開 放 的 な 障 子 戸 と雨 戸 つ きエ ン の構 成 を とる こ とが 流 行 し た。近 世 末 の 杉 原 家 の 手 法 が 一 般 化 したの で あ る。 当 山村 の 場 合 、エ ンの 発 達 は 防 雪 空 間 の発 達 を意 味 す る。ゲ ン カ ンが ソ トゲ ン カ ン とウ チ ゲ ン カ ン の 二 重 構 造 に な っ て い た の と同様 で あ る。 この よ うな エ ンの 機 能 は現 代 に も継 承 され 、現 代 住 居102例 中83例(81%)が エ ン を もち 、 エ ン の平 均 面積 は4.4畳 で あ る。0,5間 幅 の エ ンで あ れ ば 4.5間 長 さ に相 当 す る。 こ れ は か な り長 い エ ン とい わ ね ば な ら な い。 エ ン の 発 展 的 継 承 は 、それ に対 す る外 部 空 間 を修 景 的 なニ ワ と して 特 化 させ る役 割 りを もっ て い た。 ニ ワ ・エ ン ・ザ シ キ とい う書 院 風 の 空 間構 成 が 明 確 に現 わ れ て い る プ ラ ン が み られ る よ う に な る の も この 時 期 で あ る。 3.5便 所 の 内 化 ・床 上 化 便 所 は か つ て セ ン ジャ(雪 隠)と よば れ 、 オ モ ヤ か らす こ し離 れ た と こ ろ に別 棟 と され た 。 セ ン ジ ャ は セ ッチ ンの 転 詑 で あ るが 、 も との セ ッチ ン は禅 宗 寺 院 に 由 来 す る呼 称 で 中 世 起 源 で あ る。した が っ て 、当 山村 に お け るセ ン ジ ャ の 起 源 は そ の 呼 称 法 か ら も わか る よ うに 中世 で あ ろ う。 当 山村 の 主 た る生 産 活 動 は 焼 畑 農 耕 で あ り、 これ は施 肥 を必 要 と しな い。肥 溜 と して の セ ン ジャ は 、 キ ャ ー チ の 疏 菜 畑 に 利 用 され た もの で あ ろ う。人 肥 の農 業 的 利 用 は 中世 で あ るか ら、 こ の 動 き と軌 を一 に して い るの で あ ろ う。 セ ン ジ ャ は 建 物 は ひ とつ で も肥 桶 は 大 小 に わ か れ て い た。つ ま り大 便 所 と小 便 所 の2機 能 をそ な え て い た 。 しか し、後 年 に は小 便 所 の 方 が オ モ ヤ 前 面 に 設 け られ る よ うに な り、 こ れ を シ ョン ベ ン ジ ャ と称 した。つ ま り小 便所の方 だ け住 空 間に取 りいれ たので ある。大便所 の方 は もとの ま まセ ン ジ ャ に 残 っ た。 こ の過 程 だ け で も便 所 の 内 化 が み とめ られ るの で あ る が 、い ま だ そ れ は ド マ に あ り床上 に は な か っ た。 近 代 に お い て は まだ その よ うな 状 態 で あ った 。 しか し、戦 後 期 に入 る と従 来 の 汲 取 り式 か ら浄 化槽 付 きの 便 所 に変 り、大 小 便 所 と もに オ モ ヤ の 一・角 に 設 け られ る よ う に な る。 こ の 時 点 で 大 便 所 の 内 化 も完 了 す る の で あ るが 、 ま だ そ れ らの 多 くは ドマ に あ り床 上 化 は未 完 了 で あ る。 しか し、現 代 住 居 に な る と水 洗 式 の 便 所 に な り、一 気 に便 所 の 床上 化 が 進 行 す る。い ま ま で ゲ ン カ ン横 の ドマ に あ った 便 所 が床 上 に上 り、他 の 生 活 と 同 一 レベ ル に 位 置 ん け られ る の で あ る。こ の こ とは便 所 の 平 面 上 の 配 置 も大 き く自由 度 を え る こ
とに な るの で あ る。 先 に述 べ た サ ー ビ ス系 空 間 の伝 統 的 前 面 配 置 か ら側 面 配 置 や 分 散 配 置 へ の移 行 は、以 上 の よ う な便 所 構 造 の 変 革 に と もな う便 所 配 置 の 自由 度 が 大 き く影 響 して い よ う。た だ この 時 点 にお け る 便 所 の 伝 統 性 とい う こ とを指 摘 す る な ら、そ れ は2穴 式 が 多 く坐 式 の 和 風便 所 で あ る と い うこ と で あ る。現 代 の 都 市 住 居 にお い て は1穴 式 の 腰 掛 け 式 洋 風 便 所 が 一 般 化 し て お り、 この 点 か らみ て そ こ に昔 日の 伝 統 を感 じな い わ け に は いか な い の で あ る。 3.6フ ロの 内化 ・床 上 化 フ ロ も前 項 の 便 所 と同 じ よ う な発 展 過 程 をた ど る。 当 山村 に 伝 わ る近 世 文 書 の ひ とつ 「鴉 ヶ谷 村 火事 覚 」(元 禄8年1695)の 中 に、 「火 本 又 右 衛 門 ふ ろや よ り火 出 申候 」 とあ り、 「ふ ろ や 」な る 語 が み え た 。 この ふ ろや(風 呂屋)は 、 オ モ ヤ とは別 棟 の 入 浴 の た め の コヤ で あ っ た ろ う。 そ れ はセ ン ジ ャ が 別 棟 の コヤ で あ っ たの と同 じで あ る。 わ が 国 に お いて 今 日の よ う な入 浴 形 式 が 一 般 化 す る の は 近世 以 降 の こ とで あ るか ら、山奥 い 山 村 の 元 禄 期 に ふ ろや が あ った こ とは注 目 され ね ば な らな レ㌔ もち ろ ん ふ ろや は各 家 に あ った の で は な く少 数 の 上 層 住 居 の み が これ を も ち、他 の 村 人 は も らい 風 呂 を して い た 。5∼10戸 程 度 に1 つ の ふ ろや で あ る。も ら い風 呂 の 風 習 は ず っ と後 年 ま でつ づ き、そ れ は 戦 後 期 に まで 及 ん で い る。 戦 後 期 の 改 造 住 居 で は 、 フ ロの 設 置率 は70戸 中35戸(50%)で ち ょ う ど5割 で あ る。 同 じ く戦 後 期 の新 築 住 居 で は52戸 中24戸(46%)の 設 置率 で あ る。 この 結 果 を み る と、 戦 後 期 で は約 半 数 が フ ロ を も って い た とい え る。これ で もか つ て の も ら い風 呂 の 時 代 に比 べ る とか な りの 増加 で あ ろ う。 フ ロ の増 加 を促 進 した の は、前 に もふ れ た よ うに簡 易 水 道 に よ る各 戸 給 水 とプ ロパ ン ガ ス の 普 及 に よ る とこ ろ が 大 き い。 給 水 の 自由 度 、熱 源 の 無 煙 化 は フ ロ を住 空 間 に 内化 させ 、 ま た便 所 と 同 じよ うに 床 上 化 した 。 現 代 住 居 に お け る フ ロ、す な わ ち浴 室 は すべ て の 住 居 に 設 置 され 住 空 間 内の 配 置 も 自由 度 を高 め た。 ま た 、 浴 室 に付 帯 す る脱 衣 ・洗 面 室 の普 及 もめ ざ ま し くサ ニ タ リー 部 門 の 充 実 は特 筆 さ れ て しか るべ きで あ ろ う。 3,7ア マ の 消 滅 サ ー ビス 系 空 間 の 最 後 に ア マ を と りあ げ て お く。 ア マ(天)は 結 局 屋 根 裏 空 間 の こ とで あ り、 床 上 の 生 活 面 の上 方 に存 在 す る空 間 で あ る。 その た め 屋 根 裏 空 間 は 無 に近 い 「空 」で は な く何 ら か の 存 在 す る 「天 」 で あ っ た 。 断 面3角 形 の ネ ブ キの 内部 空 間 は、す べ て が 屋 根 裏 空 間 の よ うな もの で あ っ た が 、そ れ で も上 方 の 空 間 利 用 が お こ な わ れ た 。 サ ス丸 太 にわ た した 梁 の 上 に板 を わ た し、 そ こ を収 納 ・貯蔵 スペ ー ス と し た。 ア マ の発 生 で あ る。 ネ ブ キ の次 に くる クズ ヤ で は、1階 部 分 を柱 建 て と し、 そ の上
に ネ ブ キ を乗 せ た か た ち に な るの で2層 の ア マ が 生 ず る。1層 目の ア マ は ネ ブ キ の 地 上 床 の 面 積' と同 様 で あ り、 か な り広 い規 模 と な っ た。 ネ ブ キの 次 に くるイ タヤ は2階 建 に さ れ た の で2階 部 分 も側 壁 が 直 立 し、クズ ヤ の ア マ の よ う に 断面 が3角 形 に な ら なか っ た 。 した が っ て 、イ タヤ の ア マ で は 立 脚 可 動 面 積 が拡 大 され 全 床 面 積 が 有 効 に利 用 さ れ る こ とに な った 。近 代 に お け る イ タヤ の普 及 は養 蚕 の 盛 行 が 主 因 で あ る が 、 こ の 時 点 が ア マ の もっ とも発 達 した段 階 で あ る。その 意 味 に お い て も近 代 の イ タ ヤ は 当 山村 住 居 の 完成 期 で あ る。 しか し、戦 後期 に入 る と養 蚕 の 衰 退 に つ れ て2階 ア マ の 必 要 性 は減 少 し、こ の 空 間 に ネ マ をつ くる よ うに な る。つ ま りア マ の 居 室 化 が推 進 され るの で あ る。 と うぜ ん ア マ の面 積 は 減 少 す る。 そ の減 少 状 況 を振 りか え っ て お くと、ア マ の 平 均 面 積 は近 代 で は39.1畳 で あ った もの が 、戦 後 期 の 改 造 住 居 で は24.6畳 に 減 少 し、 戦 後 期 の 新 築 住 居 で は さ らに減 少 し14 .6畳 になってい る。 さ らに 降 って 現 代 住 居 に な る とア マ は 完 全 に消 滅 し、2階 はす べ て 居 室 化 され る。 これ は 山村 住 居 が 併 用 住 宅 か ら専 用 住 宅 に移 行 した こ とを も示 して い る が 、住 生 活 上 の変 化 、 と くにネ マ と い う個 室 の 要 求 も大 きな 影 響 力 を も って い よ う。 4.リ ビ ン グ 系(生 活)空 間 の 現 代 的 変 容 4,1室 空 間 の分 化 過 程 前 節 で は サ ー ビ ス系 の 空 間 につ い て 述べ た の で 、本 節 で は リビ ン グ系 の 空 間 につ い て ふ れ る。 一 般 に リビ ン グ系 の 空 間 は 、 い くつ か の 室 に よっ て 構 成 さ れ る。 しか し、 それ は一 定 の 室 分 化 を 閲 した 結 果 で あ っ て 、 も と も とは ネ ブ キ ゴ ヤ の よ うな ヒ ロマ1室 の 単 室 住 居 で あ っ た。 その 意 味 で ヒ ロマ は諸 室 の 母 胎 で あ っ た とい え る。 この よ うな ヒ ロマ1室 の 住 居 は も ち ろ ん ひ とつ の棟 を構 成 して い た が 、そ の棟 は他 の い くつ か の付 属 屋 と区別 して オ モ ヤ(母 屋)と よば れ て い た 。 す な わ ち、 内部 空間の ヒロマ もオモヤ で あ っ た 。当 山村 に お い て 今 日 まで ヒ ロマ をオ ミヤ と よん で きた の は 、古 語 の オ モ ヤ に 由 来 す る と し た ゆ えん で あ った 。 さて 、オ ミヤ な る ヒ ロマ は1室 な る が ゆ えに と うぜ ん 多機 能 とな ら ざ る を えず 、そ の機 能 は 火 ま わ り台所(K2)、 食 事(D)、 休 息 ・団 らん(L)、 接 客(R)、 作 業(E)、 就 寝(B)、 通 路(S)、 祭 祀(P)な どで あ る。 これ らの 諸機 能 は、 最 終 的 に は室 分 化 をす るの で あ る が、 そ の 前 段 階 と い っ た 状 態 もみ とめ られ た の で あ っ た 。 まず最 初 に み とめ られ た の は ネ ドコで あ っ た。ネ ドコ は ヒ ロマ の奥 部 や 低 い板 で 囲 った 特 定 の 就 寝 場 所 で あ り、ま だ 室 とな っ て い なか っ た 。本 論 で は この よ うな 状 態 を就 寝 機 能 の 空 間分 離(動 寝 分 離)と よ ん だ 。 後 、 就 寝 の た め の 室 が 成 立 す るが 当 山村 で は そ れ もネ ドコ と よん で いた 。 し
か し、 本論 で は 就 寝 室 が成 立 した場 合 は就 寝 機 能 の 空 間 隔 離(就 寝 隔 離)と よ ぴ 、 そ の 就 寝 室 を ネ ドコ と区 別 して ネ マ と した 。 ネ ドコな い しネ マ の次 に分 化 す るの は祭 祀 機 能 で あ る。これ もネ ドコ と同様 に最 初 は ヒロマ の 特 定 の場 所 に 仏 像 や 仏 壇 を祀 っ て い た が 、後 年 ブ ツ ダ ン ダ シ とい わ れ る祭 祀 空 間 を 家 屋 背 面 に ツ ケ タ シ と し、 その 前 に ブ ツ マ を設 け た 。 この 場 合 も空 間分 離 か ら空 間 隔 離 へ と進 行 した 。 ヒロ マ の 内 包 す る諸 機 能 の うち、近 代 以 前 に空 間 隔 離 し室 と して 成 立 した の は ネ マ とブ ツマ で あ る。そ の 他 の 機 能 はや は り ヒ ロマ が 受 け もち戦 後期 に流 れ こ む 。い まや ヒロ マ か らは就 寝(B)、 祭 祀(P)の2機 能 が 除外 され 、 残 る は 火 ま わ り台所(K2)、 食 事(D)、 休 息 ・団 らん(L)、 接 客(R)、 作 業(E)、 通 路(S)の 諸機 能 とな っ た 。 4.2ヒ ロマ の解 体 ・分 化 ネ マ や ブ ツ マ は 単 機 能 的 な 室 と して独 立 した が 、 ヒロマ は 多 機 能 な 室 と して 戦後 に入 る 。前 項 で み た よ うに ヒ ロマ の機 能 は 、 火 まわ り台 所(K2)、 食 事(D)、 休 息 ・団 らん(L)、 接 客(R)、 作 業(E)、 通 路(S)の6機 能 で あ っ た 。 しか し、 戦 後 期 に入 る と山 村 の 産 業 構 造 も農 業 ・林 業 の 第1次 産 業 か ら第2・ 第3次 産 業 へ と移 行 しは じめ 、 まず ヒ ロマ の 作 業(E)機 能 が 消 失 して い く。 こ れ は ヒ ロマ の よ うな 広 い スペ ー ス が 不 必要 に な っ た とい う こ とで あ る。 次 に簡 易 水 道 に よ る各 戸 給 水 とプ ロパ ン ガ ス の普 及 に よ っ て今 日的 な 台所 が 成 立 す る。旧来 、 戸 外 や サ シ カ ケ 部 分 に あ っ た 水 ま わ り台所(K1)と ヒ ロマ の 炉 で お こ な わ れ た 火 ま わ り台 所 (K2)の 両 者 が 合 体 して 台所(K)に な っ た の で あ る。 こ れ は従 来 不 可 欠 な生 活 装 置 で あ っ た炉 の 存 在 価 値 を大 き く減 じ る もの で あ っ た。 す な わ ち、 ヒ ロマ の も っ て い た 火 ま わ り台 所(K2)機 能 も消 失 す る こ と に な る 。 次 に通 路(S)機 能 で あ る。 広 い ヒ ロマ は 背後 の ブ ツ マや ネ マ へ の通 路 機 能 を も って い た が 、 ヒ ロマ が 分 割 され て も室 相 互 は フ ス マ や 板 戸 の 可 動 間 仕 切 で仕 切 られ 流 動 的 で あ るの で 、室 空 間 そ の もの が 通 路 機 能 を 内 包 して い る こ と に な る。戦 後 期 に お い て は まだ ロー カ の よ うな通 路専 用 の 空 間 は発 生 して い な い 。 以 上 の よ うに 、従 来 ヒ ロマ の も って い た6機 能 の うちE・K2機 能 は 自然 消 滅 し、S機 能 は 自己 保 存 の 状 態 に あ るの で都 合3機 能 が 除 外 さ れ 、 残 るは 食 事(D)、 休 息 ・団 ら ん(L)、 接客(R) の3機 能 とな る。 こ の う ち食 事(D)は 先 の 台所(K)と 密 接 に 関連 す るの で 、 改 め てKを も加 え る と、結 局K、D、L、Rの4機 能 が 戦 後 期 に 求 め られ た ヒ ロマ に 由 来 す る機 能 で あ っ た。 本 論 で は これ らの 機 能 を もつ 空 間 を ヒ ロマ 系 空 間 と した。 し たが っ て 、戦 後 期 の ヒロ マ 系 空 間 は 結 局K、D、L、Rの 空 間 的 関 係 の 問 題 と な る。 これ ら の4機 能 が どの よ うに組 合 わ さ れ るか 、 ま た独 立 す るか の 問題 で あ る。戦 後 期 の 新 築 住 居 に お い て は6種 類 の組 合 わせ が現 れ て い た 。 その6種 類 の タ イ プ を戸 数 比 率 と と もに列 挙 す る と、K・
DLR(38%)、K・DL・R(25%)、K・D・LR(19%)、K・D・L・R(6%)、KD・ LR(8%)、KD・L・R(4%)で あ っ た 。 こ こ で 注 目 す べ き は 、K(キ ッ チ ン)タ イ プ とK D(ダ イ ニ ン グ ・キ ッチ ン)タ イ プ の 比 率 で あ る 。Kタ イ プ は88%、KDタ イ プ は12%と な り、 Kタ イ プ が 圧 倒 的 に 多 い 。 4.3台 所 の 規 模 拡 大 戦 後 期 の 山 村 住 居 にKタ イ プ が 多 い の は 水 ま わ り 台 所(K1)で あ る ミ ン ジ ャ の 思 想 が 大 き く影 響 し て い る 。 サ シ カ ケ 部 分 に ミ ズ フ ネ(水 舟)を 置 き 、 す わ り流 し を 据 え た ミ ン ジ ャ は も ち ろ ん ドマ で あ り広 さ も3畳 程 度 で あ っ た 。そ れ が 簡 易 水 道 の 布 設 に よ っ て ヒ ロ マ 横 の 側 面 ツ ケ タ シ 部 分 に 床 揚 げ さ れ た 。床 は も ち ろ ん 板 床 で ヒ ロ マ と同 レ ベ ル で あ り、 ヒ ロ マ の 食 事 室 と も 隣 接 し至 近 性 の 面 か ら も 申 し分 が な か っ た 。 従 来 の よ う に 、 ヒ ロ マ か ら外 の ドマ へ 降 り て 水 仕 事 を す る 必 要 が な く な っ た 。 山 村 に お け る 主 婦 の 生 活 改 善 で あ る 。 次 に プ ロ パ ン ガ ス の 普 及 に よ っ て ガ ス レ ン ジ が 一 般 化 す る に つ れ て 従 来 ヒ ロ マ の 炉 で お こ な っ て い た 煮 炊 き も し だ い に 台 所 の 方 へ 移 行 し て い く。 こ こ に 水 ま わ り 台 所(K1)と 火 ま わ り 台 所 (K2)が 合 体 して 今 日 的 な 台 所(K)が 成 立 す る の で あ る が 、 広 さ の 方 は ミ ン ジ ャ の 規 模 を踏 襲 し て3∼4畳 程 度 の も の が 多 か っ た 。 以 上 の よ う な 台 所(K)の 成 立 過 程 か ら み て 戦 後 期 の 山 村 住 居 はKタ イ プ と な ら ざ る を え な か っ た 。 し か し、 そ れ で も 台 所 を い ま す こ し 広 く し たKDタ イ プ も12%の 少 率 で は あ る が 現 れ て い る 。 戦 後 期 に お け る 台 所 の 平 均 規 模 は5.1畳 で あ っ た 。 そ れ か ら20年 ほ ど た っ た 昭 和50年 代 の 現 代 ・山 村 住 居 に お け る 台 所 規 模 は7.7畳 と大 幅 に 増 加 し て い る 。 戦 後 期 か ら 現 代 へ か け て の 大 き な 変 化 の ひ と つ は こ の 台 所 の 規 模 拡 大 で あ る 。規 模 拡 大 の 理 由 は 台 所 設 備 の 充 実 と ダ イ ニ ン グ ・キ ッ チ ン化 で あ る 。 い ま 、 現 代 ・山 村 住 居 の 台 所 規 模 の 分 布 状 況 を 戸 数 比 率 で み る と、4畳3%、5畳2%、6畳17%、7畳11%、8畳52%、9畳10 %、10畳4%、12畳1%、13畳1%と な る(1畳 未 満 切 捨)。 こ の よ う な 規 模 分 布 を み る と 、か つ て の ミ ン ジ ャ の 規 模 を お も わ せ る4∼5畳 は5%に 激 減 し て お り、 そ れ よ りや や ゆ と り を も た せ た6∼7畳 が28%、8畳 以 上 が68%と 台 所 の 大 型 化 が あ き ら か で あ る 。 就 中 、8畳 の52%は 最 高 率 で こ の 時 期 の 台 所 規 模 の 平 準 を 示 す も の と い え よ う 。 ま た 、 こ の8畳 がKDタ イ プ の 最 小 規 模 で も あ る 。8畳 未 満 の 台 所 で は 規 模 的 に ダ イ ニ ン グ ・キ ッ チ ン と さ れ に く い 。か つ て 広 い ヒ ロ マ で お こ な っ て い た 山 村 の 食 事 様 式 か ら す れ ば こ れ が 限 度 な の で あ る 。 こ の 点 、 戦 後 の 公 団 住 宅 な ど で6畳 の 台 所 を ダ イ ニ ン グ ・キ ッ チ ン と し て い た の と は 異 な る の で あ る 。 ま た 、12∼13畳 の 台 所 に い た っ て は 、 か つ て の ヒ ロ マ(平 均14.5畳)を 想 起 さ せ る も の が あ る 。 4.4K、D、Lの 組 合 わ せ タ イ プ の 変 化
台 所 規 模 の拡 大 は 、す な わ ちK→KDの 変 化 で あ った 。戦 後 期 の 新 築 住 居 に お い て はKタ イプ が圧 倒 的 に 多 く、戸 数 比 率 に して88%に 達 して い た。現 代 に お いて は こ のKタ イ プ は32%に 減 少 して い る。 そ の 結 果 、K、D、Lの 組 合 わ せ につ い て み る と、K・DLタ イプ は63%→27%、K・ D・ 上 タ イプ は25%→6%、KD・Lタ イ プ は12%→68%と 変 化 して い る。 戦 後 期 にお い て は 、Kを 独 立 させDとLを 兼 用 す る場合 が 多 い が 、現 代 に お い て はKとDを 兼 用 させLを 独 立 させ る傾 向 が つ よ くな って い る。 この よ うな流 れ の 背 景 に は 、上 記 の 台所 規模 の 拡 大 、台所 の 質 的 向上 に よ って 台所 に お け る食 事 が可 能 とな っ た た め で あ るが 、す べ て の 食事 が 台所 に お いて お こ な わ れ る わ け で は な い。 現 代 の 台 所 は板 床 の イ ス 座 で あ り、居 間 は 畳 敷 きの ユ カ 座 で あ る。K、D、]Lの 組 合 わせ を考 え る 場合 、 この イ ス座 ・ユ カ座 に よ る生 活 様 式 の 差 異 も見 逃 す こ とが で きな い 。 現 代 ・山村 住 居 に お い て は この イ ス座 とユ カ座 が 時 に 応 じて使 い わ け られ るの で あ る 。 す な わ ち、 食 事(D)は 時 に よ って 台 所(K)で お こ な わ れ た り居 間(L)で お こ な わ れ た りす るの で あ る。 した が って 、 ダ イ ニ ン グ ・キ ッチ ン(KD)タ イ プ とい っ て もそ れ は完 全 な ダ イ ニ ン グ ・キ ッ チ ン を意 味 す るの で は な く、 しば しば 台所(K)の み に使 用 さ れ る と い う こ とで あ る。 その 結 果 、 居 間(L)の 方 も完全 な居 間 で は な く、 時 に よ っ て は 食事 もお こ な わ れ る の でDLと もな りう る の で あ る。 す な わ ち 、 食事(D)は 台 所(K)と 居 間(L)の 間 を 流動 す る の で あ る。 こ の よ う な食 事 場 所 の 適 宜 性 か ら、 こ こ で い うKDと は 食事(D)が お こ な わ れ る こ と も あ る 台 所(K)と い うの が実 情 で あ る 。 そ し て 、KD・LのLは 食 事(D)の お こ な わ れ る こ と も あ る居 間(L)と い うの が 正 確 で あ る。 しか し、Kタ イプ の場 合 のKは 完 全 に台 所(K)の み の 機 能 で 食事(D)は お こ な わ れ な い 。 し たが っ て 、K・DLのDLは 完 全 に 食事 室 兼 居 間(DL> で あ る。 4.5接 客 空 間 の2方 向分 化 以 上 、K、D、Lの 組 合 わ せ に つ い て み た が 、 戦 後 期 の ヒ ロ マ系 空 間 で は そ の 他 にR(接 客) を入 れ たK、D、L、Rの4者 の 組合 わ せ タ イ プ に よ る分 類 を お こ な って い た 。 そ れ は本 来 ヒ ロ マ が もっ て い た 機 能 が分 化 した結 果 に よ る と こ ろで あ った が 、そ のRは 現 代 に お い て は また 大 き く変 化 して い るの で あ る。 従 来 、接 客 は ヒロ マ の 炉 辺 で お こ な わ れ た 。 ヒロ マ が客 室 を も兼 ね て い た の で あ る 。 しか し、 戦 後 に入 る と ヒ ロマ の分 割 が 進 行 し、そ の過 程 で 客 室 の独 立 す る もの が 現 わ れ 戸 数 比 率 に して35 %が これ に該 当 した。これ は も ち ろ ん住 居 規 模 と も関連 す る の で す べ て の住 居 が 客 室 を独 立 させ る こ とは不 可能 で あ る が 、で き る こ とな ら客 室 を独 立 させ た い とい う願 い が この35%に は 現 わ れ て い る。 しか し、この35%の 独 立 した客 室 もけ っ して 一 般 の 床 の 間つ きの ザ シキ とい っ た もの で は な か
っ た。従 来 の ヒ ロマ を分 割 して で き た客 室 で あ っ たか ら、床 の 間 や 床 脇 の よ うな座 敷 構 えの な い` の は もち ろん の こ と、その 位 置 も ヒ ロマ と同様 ゲ ン カ ン を 入 った す ぐの と こ ろ に あ った 。しか し、 そ れ で も台 所(K)や 食 事(D)や 居 間(L)な どの機 能 が 除去 さ れ 純 粋 に 接客(R)の み に 純 化 した客 室 は 伝 統 的 な ザ シ キ に近 い 非 生 活 的 な 空 間 の 質 を獲 得 して い た。それ は い ま まで に な い 接 客 空 間 で あ っ た 。 以上 の よ うな傾 向 を示 して い た 山 村 住 居 は 、現 代 に 入 る と一 気 にザ シ キ を導 入 す る。こ の 場 合 のザ シ キ は必 ず 床 の 間 を付 帯 し、位 置 か らみ て も最 奥 部 に設 置 す る。 これ は い う まで もな く近 世 武 家 住 居 に由 来 す るザ シ キ の つ く り方 で あ る。い まま で ザ シ キが ほ とん ど皆 無 で あ っ た 山 村 住 居 も昭 和50年 代 に 入 る と爆 発 的 に これ が 導 入 され る。戦 後 期 の 客 室 は独 立 して い る とは い う もの の そ れ は あ くまで ヒ ロマ 系 の客 室 で あ っ た。 しか し、今 回 の ザ シ キ は 上 記 の よ うに武 家 生 活 に 由来 す る、 い わ ば書 院 造 系 の客 室 で あ る。 こ こ に ヒ ロマ 系 の 客 室 は消 滅 す る。 い ま ひ とつ の客 室 は家 屋 前 面 の ゲ ン カ ン横 に突 出 した 客 室 で あ る。 この 突 出 型 客 室 は102例 中 66例(65%)が もち か な りの 設 置 率 で あ る。 突 出型 客 室 の特 色 は 他 の部 分 か ら完 全 に 隔 離 して い る こ と、 また 客 の 動 線 もゲ ン カ ン か ら直 接 客 室 に 入 る こ とに よ って 完 全 に分 離 さ れ る。 ま た 、 こ の 突 出型 客 室 の58%は これ を洋 風 と して い る。 い わ ゆ る応 接 間 で あ る 。 以 上 の よ う に、 現 代 ・山村 生 活 に お け る接 客 空 間 は伝 統 的 な書 院 造 系 の ザ シ キ と洋 風 の 応 接 間 を含 む 新 規 な隔 離 型客 室 の2方 向 に分 化 した の で あ る。 4.6生 活機 能 と祭 祀 ・儀 礼 機 能 の競 合 前 項 で み た よ うに 、Rの2方 向 分 化 に よ っ て従 来 の ヒ ロ マ系 空 間 の も って い たK、D、L、R の う ちのR機 能 が こ こか ら分 化 し、ザ シ キ な い し突 出型 客 室 の 方 へ 移 譲 され て し ま う と、 ヒ ロ マ 系 空 間 に要 求 され るの はK、D、Lの3機 能 とな り、 これ らが リビ ン グ系 空 間(生 活 部 分)の 主 機 能 と な る。 この よ うな観 点 は、生 活 部 分 か らみ た現 象 で あ り、他 方 に は祭 祀 空 間 と して の ブ ツ マ が あ る。 また 、こ の 時 期 に は従 来 ほ とん ど皆 無 で あ った 儀 礼 空 間 と して のザ シ キが 導 入 され る。そ の た め 、 上 記 のK、D、Lか ら構 成 され る 生 活 部 分 と祭 祀 ・儀 礼 部 分 で あ るブ ツマ や ザ シ キ との 間 に 一 定 の競 合 関係 が 生 じて くる。と くに 住 居 規 模 が 小 さ く室 数 が 少 な い場 合 に は こ の競 合 関 係 が 顕 著 と な る。 突 出型 客 室 の 場 合 は 、生 活 部 分 か ら隔 離 さ れ て い る の で 生 活 部 分 との 競合 は 生 じな い が 、 ま た そ の た め に 突 出型 と して い る の で あ る が 、これ に対 して ザ シキ は 住 空 間 の最 奥 部 に設 け られ 生 活 部 分 と連 続 な い し重合 す る場 合 が 多 くな り競 合 関係 が 発 生 す る。 した が って 、Rの2方 向 分 化 に 際 して 突 出 型 客 室 は よ い と して 、 問 題 は ザ シ キ と生 活 部 分 の競 合 関 係 で あ る。 従 来 、ブ ツマ や ザ シ キ は 非 日常 的 な 空 間 と して 常 時 は使 用 し な い清 浄 な室 と して 維 持 さ れ て き