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移民と日本人―ブラジル移民110年の歴史から(資料紹介)

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移民と日本人―ブラジル移民110年の歴史から(資料

紹介)

著者

近田 亮平

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

ラテンアメリカレポート

36

2

ページ

94-94

発行年

2020-01-31

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00051555

(2)

94 ラテンアメリカ・レポート Vol. 36, No. 2, 2020

深沢正雪 著

『移民と日本人―ブラジル移民 110 年の歴史から』

無明舎出版 2019 年 173 ページ ISBN 978-4-8954-4653-2 ブラジルへの最初の日本移民が「笠戸丸」でサントス港に到着したのは 1908 年であり、2018 年 はブラジルへの日本移民 110 周年だった。110 年以上の歴史において約 25 万人の日本人がブラジ ルに渡り、世界最大となる約 190 万人もの日系社会を形成した。しかし、日本史から「日本を出 た日本人」は除外され、なぜ・どのような人たちが日本を出て、移住先の国にどのような影響を 与えたかという「広義での日本史」が欠落している。このような見解をもとに、ブラジルで唯一 の日本語新聞となった『ニッケイ新聞』の編集長である著者は、インタビューを含む現地での取 材や歴史的な文献・資料の調査を行い、壮大な民族学的な実験である日本移民がどのようにして はじまったかを本書で明らかにしている。 本書は、移民は「日本近代史から欠落した歴史」であるとの著者の主張が込められた序章では じまり、笠戸丸以前の「Ⅰ 420 年前に南米に来た日本人の歴史」について日本人奴隷も含め詳説 する。そして、戦前ブラジルへ渡った日本移民の出身県・地域に偏りがある点に着目し、移民の 中には「Ⅱ 明治という時代に不満があったものたち」が多かったという論を展開するとともに、 部落出身者などの「Ⅲ マージナルマン」も含まれていたことを指摘する。また、主要な人物や 団体を紹介しながら「Ⅳ カトリック系キリスト教徒の流れ」と「Ⅴ プロテスタントと自由民 権運動のつながり」から移民をとらえ、ほとんど知られていない「Ⅵ 明治政府と距離を置いた 宮家」のブラジルへの移民もとりあげる。そして、日系社会で存在感を増している「ウチナーン チュ」(沖縄の人)に注目し「Ⅶ なぜ日系人の中で沖縄県系人が一番多いのか?」という視点を もとに、外国人を多く受け入れるようになった近年の日本が「Ⅷ ブラジル移民の歴史から学べ ること」について著者の持論を提示する。なお巻末には、16 世紀から 20 世紀半ばまでの日本人の 海外渡航や移民に関する出来事をまとめた略年表が付されている。 ブラジルの日本移民や日系人に関して、移民後の歴史や民族性、近年の日本への「デカセギ」 などを対象とした研究や文献は多く見られる。しかし、「日本史の範囲内」だと著者が唱える日本 人の移民の開始や出国要因に焦点を当てたものは僅かであり、本書は貴重な著だといえる。読者 の理解を困難にする文章構成や著者の思い入れの強い箇所も若干見受けられるが、日本がただの 島国ではなく「世界と地続き」であることを説く本書の視座は、外国人が隣人として存在するよ うになった現在の日本および日本人にとって大変有益だといえよう。 近田亮平(こんた・りょうへい/アジア経済研究所)

参照

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