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フタル酸およびトリメリット酸エステル系可塑剤の構成アルコール分布(ガスクロマトグラフィーによる分析)

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Academic year: 2021

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(1)

フ タ ル 酸 お よ び ト リ メ リ ッ ト酸 エ ス テ ル 系

可 塑 剤 の構 成 ア ル コ ー ル 分 布

(ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー に よ る 分 析)

橋 恒 夫

1.は し が き プ ラス チ ッ クあ るい は合 成 ゴ ム に塑 性 を与 え た り,あ るい は塑 性 を 高 め る た め に 可 塑 剤 が用 い られ る。 可 塑 剤 は主 にポ リ塩 化 ビニ ル樹 脂 を成 型 す る揚合 に 用 い られ,そ の添 加 量 の 多少 の 程 度 に よ り,軟 質 製 品 か ら硬 質 製 品 に わ た る種 々 の硬 さの製 品 が得 られ,ま た,可 塑 剤 の化 学 構 造 の差 に よ っ て耐 寒 性,電 気 絶縁 性,耐 水 性,移 行 性 な ど製 品 に好 ま しい物 性 を付 与 す る こ とが で き る。 ポ リ塩 化 ビ ニル の 成 形 の 場 合 には フ タル酸 ジ エ チル ヘ キ シル(ア ル キル基 のC数 は8)が よ く用 い られ るが,ア ル コー ル の 製 法 の変 換 や,製 品 に よ り好 ま しい物 性 を 付 与 し うる こ とな ど か らC6∼C、 。の混 合 アル コー ル で平均C数8の フ タル酸 ジ アルキ ル(フ タル酸 ジ混 合 アル キル〉 が市 販 され る に至 った 。 また,耐 熱 性可 塑 剤 と して は トリメ リッ ト酸 アル キル が あ るが,こ れ も混 合 アル コー ル が使 用 され て い る傾 向 が認 め られ る。 最 近 これ らの 可 塑 剤 の 試 料 を入 手 で き た の で,ポ リ酸 化 ビニル 酸 品 の 物 性 と 可 塑 剤 組 成 との 関係 の 検 討 に役 立 て るた め,そ の アル コー ル成 分 の 分析 を 行 な っ た。 本 報 は い ま だ予備 実 験 の 毀 階 にす ぎな い が,一 応 現 在 ま で に得 られ た知 見 を報 告 す る。 2.実 験 方 法 フ タ ル 酸 エ ス テ ル は 一 般 に は そ の ま ま ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー で 分 析 が 可 能1瞬11)であ る が 沸 点 の 高 い ト リ メ リ ッ ト酸 エ ス テ ル は 通 常 は ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー に は 適 当 で は な い 。 沸 点 の 高 い ポ リエ ス テ リ系 可 塑 剤 の 場 合 に は ア ル コー ル 成 分 の 確 認 に は,試 料 を メ チ エ ス テ ル 化 した り, ア ル カ リ鹸 化 で ア ル コ ー ル 成 分 を 分 離 後 分 析 が 行 わ れ て い る12)。 わ れ わ れ も 同 目的 な の で この 方 法 の 応 用 を 考 え ほ ぼ そ の 目 的 を達 す る こ とが で き た 。 2.1.ガ ス ク ロ マ ト用 試 料 の 作 製(鹸 化) 試 料 約5gを300mlの 三 角 フ ラ ス コ に 入 れ,1N・ エ タ ノ ー ル 性KOHを 計 算 量(V・ ず れ の 揚

(C°

°RCOOR:+2KOH-一(C°CO::一

懿 一 磁 一 一

(;66). COOK

(2)

フ タル 酸 お よび トリメ リ ッ ト酸 エ ス テル 系 可 塑 剤 の構 成 アル コ ール 分 布 合 も ア ル キ ル はC8と 考 え る)の 約2倍 量 入 れ,湯 浴 上 で6時 間 還 流 さ せ る。 冷 後,G3フ ィ ル タ ー で す 早 く吸 引 濾 過 し,濾 液 は2N一 エ タ ノ ー ル 性HClでPH4∼6に 中 和 す る 。 これ を さ ら に 濾 過 し,濾 液 は 湯 浴 上 で 濃 縮 し,こ れ を ガ ス ク ロ マ トグ ラフ ィ ー 用 試 料 とす る 。 2.2.標 準 試 料 と面 積 補 正 係 数 以 下 に 述 べ る ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー の 条 件 下 に お け る 標 準 試 料(市 販 ア ル コ ー ル を そ の ま ま使 用)の 面 積 補 正 係 数 を そ の 沸 点13)と と も に第1表 に示 し た 。 ま た,こ れ らの 結 果 と保 持 時 間 と の 関 係 を第1図 に,標 準 チ ャ ー トを 第2図 に 示 し た 。 2.3.ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ ィ 冑 の 条 件 装 置:H-FIDお よ び 昇 温 機 構 付 ガ ス ク ロ マ トグ ラ フ 第1表 市 販 試 薬 に よ る面 積 補 正 係 数 ア ル コ ー ル 名 エ チ ー ル ア ル コ ー ル n一ブ チ ル ア ル コ ー ル n・ア ミル ア ル コ ー ル n一ヘ キ シ ル ア ル コ ー ル 11・ヘ プ チ ル ア ル コ ー ル n・オ ク チ ル ア ル コ ー ル C数 2 4 5 6 7 8 沸°C)点( 78.5 117.4 138.0 155.7 176.3 194.5 面積 補 正 係 数 (μ9/cm2) 115.66 145.99 :f .. 87.28 109.17 ア ル コ ー ル 名 }2_エ チ ノレヘ キ シ ル ア ル コ_ ノレ n一ノ ニ ル ァ ル コ ー ル 2,6一 ジ メ チ ル ー4一ヘ プ タ ノ ー ノレ 3,5,5一 ト リ メ チ ー ル ーヘ キ サ ノ ー ル ゆ n一ア シ ル ア ル コ ー ル 1血ウ ンデ シル アル   ル C数 8 9 9 9 10 11 沸 点 (°c) 183.5 215.0 178.2 189.0 232.0 243.5 面 積 補 正 係 数 (ug/cm2) ii6.7s 133.60 74:34 ils.17 145.12 159.51 第1図 試 薬 ア ル コ ー ル の沸 点,補 正 係 数 と保 持 時 間 との 関 係,お よ び ガ ス ク ロマ トグ ラ フ ィー に お け る カ ラ ム温 度 の昇 温 模 式 図 第2図 試 薬 アル コー ル 混 合 物 定性 用 標 準 チ ャー ト (67)

(3)

.一. 芻 口 第2表 試料可塑剤 のアル コール成分 の組成分析 結果 A社 フタル酸 エルテル系可塑剤 混 合 ア ル コ ー ル 系 n-C60H branched-OH n-C70H branchedOH(2-thylHexanol) branchedOH(3,5,5-trimethyl-1-hexanol) n-CsOH branchedOH n-CsOH n-CloOH branchedOH n-CiiOH 3.9 4.5 5.2 5.7 5.9 6.4 ・ 7.4 8.4 8.9 9.8 9.5s o.o o.0 1.9$ o.0 67.Oz o:0 1.4s 19.92 0.o o.o ア ル コー ル 成 分 内 容 直 鎖 率%98.Oo 平 均 炭 素 数8.2 B社 o.0 13.2a 31.2s 21.6 0.0 25.2s 1.65 6.91 0.o o.o o:o 63.50 7.6 C社 12.60 0.O o.0 1.ss 2.16鹽 .. o.0 0.74 19.9a O.O o.o 9'6.50 7.7 D社 ・, 0.0 0.0 0.3s O.2z 50.20 0.0 1.5s 38.63 0.o o.o 99.40 8.6 D社 o.o o.o o.0 1.44 0.o o.0 22.44 23.4s 9.4s 25.52 ・:. 49.80 9.7 単 一 アル コ ー ル系 E社 o.o o.o o:0 100.O o:0 0.O o.o o.o o.o o.o o.o 0 8.0 E社 o.o o.0 0.O o.o o.o o.0 0.O o.0 4.Oa 43.3a 52.6a 56.67 10.7 ト リメ リ ッ ト酸 エ ス テ ル 可 塑剤 単 一 ア ル コー ル 系 A社 o.o o.o o.0 100.O o.o o.o o.0 0.O o.o o.0 0.0 0 8.0 F社 o.o o.o o.0 100.O o.o o.o o.o o.o o.o o.o o.o 0 8.0 G社 o.o o.o o.0 100.o o.o o.o o.0 0.O o.o o.o o.o 0 8.0 混 合 ア ル コー ル 系 G社 o.0 19.Ot 21.2s o.o o.o o.0 42.7a 13.9s 3.Oo o.o o.o 38.2s 7:9 G社 0.0 16.Os 17.8s O.3i O.O o.0 40.7s 22.5s 2.3s o.fl o.o 42.8s 8.1 註)名 称 記 入 りな い アル コ ール は それ ぞれn一 ア ル コー ル の 中 間 の炭 素 数 と し,面 積 補 正係 数 は 第1図 の 内 挿 に よ った 。 畑 δ

(4)

フ タル 酸 お よび トリメ ッ ト酸 エ ステ ル 系 可 塑 剤 の構 成 アル コー ル 分 布 カ ラ ム:SiliconeOV・17.3%onChromosorbW(60∼80メ ッ シ ュ)3mmφ ×2mL 温 度:試 料 注 入 部,220°C,検 出 器,220°Cカ ラ ム,90°Cで 試 料 注 入,1分 後 か ら15°C! 分 で 昇 温 し180°Cで 保 温 キ ャ リ ア ー ガ ス:HeO.45kg/cm2G(90°C) 検 出 器:H-FID,H20.7kg!cm2G,空 気1.Okg!cm2G 試 料 量:2;ul 3.結 果 市販 の フ タル酸 エ ス テ リ系 可 塑 剤7種,お よ び ト リメ リッ ト酸 エ ス テル 系 可 塑 剤5種 に つ い て 行 った 結 果 を第2表 に示 した。 表 中 の直 鎖 率 お よ び平 均 炭 素 数 は それ ぞれ 次 式 に よ っ て計 算 した 。

直鎖率%一 聖 窪 謝 蠶 書)×…

平 繊 戴 岬(炭CCi×Ci一 アル ー ・レの顫) ア ル コ ー ル の 全 重 要 4.考 察 第2表 の結 果 は未 だ予 備 実験 の域 を出 な い が お よ そ つ ぎ の こ とが推 定 され る。 1)単 一 アル コー ル を原 料 とす るフ タ ル酸 お よ び トリメ リッ ト酸 エ ステ ル系 可 塑 剤 で は2・エ チ ル ヘ キ サ ノー ル を原 料 とす る もの は確 か に単 一 ア ル コー ル で あ る。 しか し,こ れ よ り高 沸 点 の ア ル コール を原 料 とす る もの は 公 称 単 一 アル コー ル とは 云 って も本 例 の よ うに 混 合 物 で あ る 揚 合 もあ り,平 均 炭 素 数 で表 示 して い るに す ぎ なV・揚 合 もあ る。 2)平 均 炭 素数8の 混合 アル コー ル系 の フ タ ル酸 お よ び ト リメ リッ ト酸 エ ス テル の ア ル コー ル は炭 素 数6∼10の 問 に分 布 して い る もの が 多 い。 しか し,そ の直 鎖 率 は種 々様 々 で あ る。 3)表 中D社 の平 均 炭 素 数9.7の もの は8の もの と は 別 種 の 目的 で作 られ た もの との よ うに考 え られ る。 4)混 合 ア ル コー ル系 可 塑 剤 に は表 に示 した よ うに そ の アル コー ル組 成 にお い て 各 社 そ れ ぞ れ 特 徴 が あ る よ うに思 われ る。 したが っ て,こ れ らの可塑 剤 を ポ リ塩 化 ビニ ル の加 工 に使 用 す る とき は可塑 剤 中 の アル コー ル の分 布 状 況 を加 味 した選 択 も必 要 とな ら う。 参 考 文 献 1)塩 ビ 食 品 衛 生 協 議 会 編:「 プ ラ ス チ ッ ク 添 加 剤 の 衛 生 性 」,1,p.147-177(1970,幸 書 房). 2)村 井 考 一 編:「 可 塑 剤,そ の 理 論 と 応 用 」,p.619-653(1973,幸 書 房). 3)高 橋 秋 水,佐 藤 義 文,藤 原 藤 夫:科 学 と 工 業,42,249-265(1968). 4)赤 染 義 一:油 化 学,22,542-548(1973). 5)調 子 康 雄 か ほ:油 化 学,17,46T-466(1968. ・6)C.D.Cook,etal.:Anal.Chem.,34,1177-1118(1962). 7)G.G.Esposito:AnalChem.,35,1439-1441(1963). 8)L.Veres:Kunststoffe,59,241-246(1969). 9)M.Gillo-Tos,A.Vimercati:Kunststoffe,5G,409-412(1966). ユ0)M.Wande1,H.Tengler:Kunststoffe,55,655-659(1965). 11)H.Haase:Kautschuku.Gummi;Kunststoffe,20,501-507(1967). 12)M.Wandel,H.Tengler:Plastverarbeiter,16,711-718(1965). ユ3)化 学 便 覧,化 学 大 辞 典 な ど. (69)

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