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極低温冷凍機直接冷却超電導マグネットとその応用

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(1)

  MEMOlRS

 

OF

 

SHONAN 【NSTITUTE

 

OF

 

TECHNOLOGV   Vol

34

 No

1

2〔Xぬ

極低

冷 凍機 直 接 冷 却 超 電 導

トと そ

応 用

荻 原 宏 康

佐 藤  

**

Drymagnets

Advanced

 

Cryocooler

 

Directly

 

Cooled

 

SuperconduCting

 

Magnets

      

and  

their

 

Application

Hiroyasu

 

OGIwARi4

 and  

Akira

 

SATo

 

Evolution

 of advanced  cryocoolers  and  

development

 of 

high−

temperature superconducting  electric  current  leads have

resulted 

in

 

high

 

pe

 ormance (コry  ooler directly cooled  superconducting  magnets

dry・

magnets

 

New

 phenomena  

hke

the Moses e 丘ect had been discovered 

in

 

high

 magnetic 且eld space of a 

d

magnet

 Industrial apparatus  like a (li:r

  g

net water  pur面  tion magnetic  separator  with  no  

large

 scale 

helium

 

liquiefier

 

is

 

field

 tested

 

This

 paper reviews  possi

ble

 applications  of 

dry−

magnets  and  

discusses

 further 

directions

 for R and  D

1

は じ め に  超 電 導 浮 上 式 鉄 道 (簡 単に浮上式リニ モ

さ ら に簡 略し て浮上式リニ ア とい う)の開 発で は関 連 する 超 電 導

極 低 温 技 術の完 成が キ

ポ イン ト と なっ てい る

100

人に も お よぶ乗 客 を 乗せ た車 両 を 地上 か ら 10  も の 高 さに磁 気 的に非 接 触 支 持 す るために は

強 力 な 電 磁 石が必 要で

軽 量でコ ンパ ク ト

さ らに はエ

失の ない超 電 導マ グ ネ ッ ト と極 低温 冷凍技術な し に は こ の よ う な 非 接触支持を実現 するこ と は不可 能である

超 電導マ グ ネッ トを超電 導 状 態で使 うために は極 低 温 冷 凍 技 術が不 可 欠 だか ら で ある

  超 電 導 浮 上式 鉄 道用超 電 導 技 術の 開発 が も た ら し た も の と し て小 型 高 性 能の極 低 温 冷 凍 機 (ク ライ オク

) が あ る

ク ラ イ オク

に は冷 凍 能 力が

42K に お い て

IW 〜10W

ギフ ォ

マ クマ ホン方式

あ るい はス タ

リン グ方 式の もの が あ る

  他方

超 電導コ イル を極低 温 状 態に維 持 する た めの 極 低温容 器 (ク ラ イ オ ス タッ ト)の断 熱 技 術 もこ こ

10

年 で 格 段の進 展 をみ せ て い て浮上式 リニ ア モ

タ カ

用の 超 電導マ グ ネッ トは も と よ り医療用 磁 気 共鳴イメ

ジン グ装置の超 電導マ グネッ トで もク ラ イ オク

で充 分 に冷 凍で き る程 度に冷 凍負 荷は小さ く なっ て き てい る

 さ らに 1987年に発 見された ビス マ ス系高温 超 電導 酸 化 物でつ くっ た大 電 流 リ

ド の 開 発で

100A

3000A を 流 す超 電導マ グ ネ ッ トで もク ライ オ ス タ ッ トを

ほ と ん ど内 蔵 する超 電 導コ イル の大 き さ と 同 じく らい までに

コ ン パ ク ト化するこ と が 可 能に なっ た

 以 上

二つ の 発 見

研 究 開 発が集 約 さ れた もの が 超電 導コ イル を 冷 や すの に液 体ヘ ウ ム使ない

極 低温 冷 凍 機直 接 冷凍 式超電導マ グネッ ト で あ る

以 下

液 体 ヘ リ ウム を使わ ない こ と に着目 し て ド ラ イマ グネッ トと 略 称 する

  こ の論 文では ドライマ グ ネッ トの 概 要とそ れに よっ て 見出され た 新 しい 磁 気 現 象

効 果につ いて報 告 し

さ ら に ドラ イマ グ ネッ トを 主 要 装 置 と し て 展 開 さ れ よ う とし てい る研 究 開 発

産 業 応 用につ い て紹 介 す る

* 電気工学 科   教授 * * 学 科 教 授   平成

11

10

27

日受 付

2.

ド ラ イマ

ッ トと

6

 ド ラ イマ グネッ トの身 近 な 例に

本 学 電 気工学 科の 愛 称 「湘S (Sh(浦 」1}が あ る

1示 すよ う に 直径

180

  の 常 温 空 間 を も ち

そこ に最 高

6T

の定 常 磁 界 を 発 生 する

。.

1

晦有で;

れ だ けの 空 間にこれ だ けの磁界 を発 生さ せようとするとt たと え ば

2m

程 度の 大 き さの 電 磁 石と大 き な電 源

さらに大 量の冷 却 水を流す水冷ポン プ を必要とする

大 電 力と有に

教 室 分のス ベ

ス を必要と し たc 「湘

6

」は同じ く らい の 大き さの コ ンプレ ッサ と電 源 を 必要とする が

それに し て も

抱 えの き さの もの 二つ あれ ば図 1の よう な大 空

(2)

湘 南工科 大 学 紀 要  第

34

巻  第

1

号 間 (直径

180

  で長さ が約

300

  )に

6T

の高 磁 界 を

超電導の 知識も極 低 温の 知識も 必要と せずに

簡単に発 生 す るこ と ができ る

しか も

その 中で起 き るこ と を 容 易に観 測 で き る オ

プン ボアになっ て い る

現在

ドラ イマ グ ネ ッ トは 直径

10

  の 常温 空 間に 図 1  「湘喝 」

10T

の高 磁 界 を 発 生するもの を標準品と し て購入 で き る よ う に なっ てい る

ま た

こ の標 準品 を基 本と し て 用途 に応じ た常 温 空 間 径

磁 界 強 度の もの がカ タロ グ製 品と して 購 入 可 能 で あ る

 前 述の よ うに超 電導の知 識も極 低温技 術の 熟 も必要 と し な い で高 磁 界 を発生で き る ド ラ イマ グネッ トは幅広 い科 学

技 術 分野の 関心を集め て現在

国 内で

大学

研 究機関に限っ て も

100

基に近い標 準ド ライマ グネッ ト が使 わ れて い る

ドラ イマ グネッ トの 国 内で の 分 布 状 況 を図 2に示 す

 な お

ド ライマ グネッ トで も超 電 導コ イル は 4

2K

(実 際に は 4

5K 程 度)で超 電 導 状 態に な っ て 高 磁 界 を 発 生 し て い る

しか し

最 新の高 温 超 電導酸 化 物 電 線の 開 発 進 捗の結 果

高 温 超 電導体コ イル が作 れるよ うになっ た

冷 凍 温度 22K で動 作 する ビス マ ス 超 電導酸化物コ イル を 使った ドライマ グネッ ト が住 友 電工 (株 )によっ て実 現 されてい る2〕

4

5K

冷 凍22K 冷 凍で は冷 凍 機 容易 さ

冷 凍機 負 荷

必要電 力

効率な どに大 き な 差が ある

ド ラ イマ グネッ トの将 来を占う お お き な 成果であ る

ot

2

  ド ラ イマ グネッ トの 国 内 設 置 状 況

一 68 一

(3)

極 低 温 冷 凍 機 直 接 冷 却 超 電 導マ グネッ トと その応 用 (荻 原 宏 康

佐 藤   昭 }

B

B

3

磁気メニ ス カス     円 筒 軸に直 交 す る 高 磁 界の 中に置かれた水 面

    鉄 円 筒 界 面で観 測された磁 気メニ ス カス

 以 ドで は ドライマ グ ネッ トを使っ て観 測

発 見 さ れ た 新 現 象

新 効 果に つ い て紹 介 し てみる

こ の よ うな観 測

発 見が さ ら に ド ラ イマ グネッ トの需 要 と な り

層の高 性 能化研 究 開 発 促進とい う要望 と なっ て現 れて きて い る

3

ドラ イマ グ ネッ トに よっ て 観 測 さ れ た

      

新 現

, 新 効

  新 しい技 術 開 発によっ て生 ま れる器 材 が 理 学の 進 歩 を 支 え

そ れが さ ら に次の 技術 開発 を生み出し て ゆくとい う螺 旋 階 段 構 造の科 学 技 術の 歩み は ドラ イマ グネッ トに つ い ても真で あ る

ド ラ イマ グネッ トが見 出 し た新 現 象

新 効 果は たくさ んあ る

 

3.

1

磁 気メニ ス カス 3)  液 体表面と物 体の 間の 表 面 張 力に よっ て起 き るの がメ ニ ス カス現象で あ る

図 3は円筒 軸に直 交する高 磁 界の 中に置かれた水 面

鉄 円 筒で観 測 さ れ たメニ ス カスで あ る

円 筒 中 心 を通る磁 界によっ てメ ニ ス カ ス は円 筒 面に 沿っ て昇っ てい る の に対し て円筒 側面で は負の メニ ス カ スが観 測 されてい て

円 周に沿 っ て水の 高さ は プラ スか らマ イ ナスへ

イ ナス からプラ スへ 変 化し てい る

高磁界下 で観 測される

いわ ば 磁 気メニ ス カ ス効 果で あ る

この 効 果 を説明 する の に円筒円周 沿い の磁 界の強度 変 化

磁 界

磁 力の方向を計算 し たの が図 4で あ る。 円 周 沿い に磁 界

水が感 じ る磁 気 力 変 化 し て い て

表 面 張 力に影 響 を与え る結 果

3

のようなメニ ス カスが変化 する と 説 明 で き る

 

3.

2  モ

ゼス効 果 と 逆モ

ゼス効 果4)   超 電 導マ グネッ トの つ く る 高 磁 界 沿い に挿入 された細 長い 容 器が 中 心か ら両側に 分か れるこ と が九 州 図 4  磁 界中の鉄 円 筒の まわ りの磁 界 分 布 大 学 で 観 測 さ れ た

旧 約 聖 書の 紅 海 の 蹟 に 因 ん でモ

ゼス効 果 と 名づけ ら れた

こ の 現 象は東 大工学 部の広 田 に よっ て

水 面に働 く磁 気 力と水に働 く重 力の バ ラ ン ス と して解 析 的に説明されて い る

解析に よる と上 下に あ る 二つ の流体の組み合せ に よっ て は モ

ゼス効果と は逆 に中 央が盛 り上 が る逆モ

ゼス 効 果 も 可 能な こ と が予測 で き

広田 によっ て実 験 的に確 認

実 証 されてい る (図 5 >

 

3,

3

磁 気アル キメデス効 果 5)  

20T

もの高 磁 界の 中で は カエ ル の よ う な 生 体 を 中 空に 浮かすこ とが で き るこ とをフ ラ ン ス で 実 験し て い る

同 じよ うに 20T も あ れ ば 水の塊が磁 界中で浮くこ とを 東 北 大が示 した

カエル の よ う な 生 体は ほ ぼ水の 塊と み な せ る。 つ ま り

カエ ル は水の 塊と し て 高 磁 界 中に浮い た と 説 明で き る

  こ の 実 験 を 東 京 大 学 工 学 部の池 添 は 12T とい う ドライ マ グネッ トで発 生でき る磁 界の 中で再 現 してみせ てい る

そ れに は水 と 高 圧 酸 素 を 使 う

酸 素 と もに微 弱 な 磁 性 を 持っ て おり

高圧酸 素の 中で水の塊が持つ 浮 力が

水に働 く重 力 よ り大きくな るこ と で説 明がつ けられてい る

 

3 .

4

  磁 気メニ ス カ スと不均

酸化 3}   高 磁 界の 中で は微 弱な磁 性で も検知可 能な磁 気 的な振 舞い が認め られる

前に示した磁 気メニ ス カ ス で

水の 中の 溶 存 酸 素はメニ スカスが 強 化 される部 位に集 り

弱 ま る と こ ろ か ら強ま る部 位へ 移 動する

その た め金 属円

(4)

湘南工 科 大学 紀要  第 34巻 第 1号

Center

80mm

ER

Genter

5

 モ

ゼス効 果と逆モ

ゼス効 果    高 磁 界中で の水 面沈 降 (

ゼス 効果 )と

E

昇 く逆モ

ゼス 効 果 )

80mm

6

 磁 界 中の鉄の 不 均

酸化    円 筒 軸に直交する高磁 界の 中 で 鉄 円 筒の磁 界 に向い た 面 で酸 化が集 中 的に起 り

磁 界と平 行な面では 酸 化は    起き てい ない

筒 表 面に生 じ る酸 化

すな は ち さびの発 生 も 不 均

に な る。 図 6に不均

発 生を示

 

3.

5

 水の蒸発促 進6}  高 磁 界の 中で は水の蒸 発が促 進 さ れ る

。TDK

(株 )

東 大の 川 ら は図

7

した実 験セ ッ ト に よって ドラ イ マ グ ネッ トの 中の位 置に よ る水の 蒸 発 を 測 定 し てい る

鰮 空間は直径50 

長 さ470mm で

8

に中 心か ら の 位 置によ る 磁 界の 変化 を示 し た。 最 大 磁 界は 中心で

8T ,

静 磁 気 力に直接 関係する磁気勾配 も同時に示されて い る

円 筒 内の位 置によ る 蒸 発 量の変 化は図

9

に示され て い る

中 心か ら ±00mm に お け る蒸 発 量が極大 を示す こ と と図

8

か ら水の 蒸 発に磁 気 力が関 係し てい るこ と が 考え られた

「湘

6

」をつ か っ て水の 蒸 発 実 験 を 行っ た

こ の実 験で は水 蒸 気を含む 空 気 に 磁 気力が働い て空 気の 流 れ を起 し

蒸 発 を促 進 す るこ とを確か め た。 図 10a は 「湘 E 」の中の磁 界 分 布で

10b

の よ う な

シ リ カ ゲ ル を挿入 した容 器 を 「湘 S 」の図 10aの位 置に 入 れ

5T の磁 界 を

3

時 間 印 加して

その 間の シ リカ ゲル の 重 量増

(5)

極 低 温 冷 凍 機直接 冷 却 超 電導マ グネッ ト と その応用 (荻 原宏康

佐 藤 昭 )       Air

団 圃 回 団 圃

200

      !  

Water

temperature controller 図 7  高 磁 界中の 水の 蒸 発 実 験    ソ レ ノ イ ドコ イルの 中に置い た小さ な水槽での     水の 蒸 発は

磁 気 力が大きくな る中心か ら外 れ    た位置で最 大に な る

        50

60

        oo ⊆ 〇

← 面 N

OnO , 05O 》

糾 面

〇 匡 o

200    

100      0      100        Pesitien x (m ) 図 9  蒸 発 量の変 化 200 図

7

の実 験で磁 界 中に置い た

9

個の小 水槽そ れ それで の水の 蒸 発 量

10 8       6       4       2 ε 口 ⊇   遁 り 蕁   藍 O 而 Σ o

200    

100     0    100   200        

Position

 x mm 400 200

 

   曾

200 曽     qロ

400 図

8

  磁 界の 分 布    直径 50 

長 さ470  の 8T ドラ イマ グ ネッ     ト の発 生 磁 界 分 布 と 磁 気 力の 分 布

を 測 定 し た

結 果は

磁 界の 強い 側と弱い側で

80

%を 越え る重 量 変 化が見られ

水 蒸 気 を 含む空 気が磁 界の強 い ほ う か ら弱いほ うへ こ と が確かめられ た

な お

実 験 は恒温状態 で 行 わ れ

同 じ 温 度 で

磁 界の ない 時の 水 蒸 気 蒸 発 量は

3

時 間で左 右の シリカゲル に差はな く

約 10% で あっ た

この 実 験か ら機 械 的 部 分 を 持たずに 磁 気的に風 を起こす磁 気送 風機の ア イ デア も生 ま れて い る 7)

3 .

産 業 応 用 と その将 来 高 磁 界の 中の 磁 性 体 細 線は周 りに大 き な 磁 気 勾 配の空

b

Silica

        →

 

gel

a

65432

   

ε

oo

1

丶 \   \   丶     丶       \       \

    丶

        \       \       丶 a

し ー

le19rO    

A

S

← ← 丶 、 丶 丶 丶 o

300

 

−200

 

100    

0

   

100

  

200

  

300

X mm

10a

)湘 6 の 磁 気 力 分 布

b

)湘

6

に よる水の 蒸     発 実 験 間 を 作る

高 磁 界で 微 弱な磁 性 を 持つ 物 質に も働 きか け

さらに大 き な 磁 気 勾 配 と合 わせ て強い磁 気 力 を働か せ て細 線のり に集め て

媒 体あるい は溶媒か ら分離し

(6)

湘 南工科 大学 紀 要  第 34巻 第 1号 図

11

    置 磁 場

4

テス ラ

処 理 量

6ton

/hr ド ラ イマ グネッ トを使っ た磁気 分離 浄 水 装 よ うとい う もの に高 勾 配 磁 気 分 離 技 術が ある

高 磁 気は 超 電 導マ グ ネッ トで し か発 生で きない の で超 電 導 磁 気 分 離 と もい う

た と え ば

ワイシ ャツ を白くするの に使 わ れる カ オ リン粘土の 中に極微 量で存在する鉄 粉の除 去に 使わ れ て き てい る。 100 着の 中の

着に鉄 粉がつ い て小 さ な茶色の斑点 を作っ てもワ イ シャ ツ製 造で は問 題にな る からで ある

ま た

浄 水 場にながれ 込む水か ら青コ と い うプラン ク トンを除去 した り

赤潮の原 因と なっ て い るプラン ク トン を除去するの に

プラ ン ク トンにシ

デ ィ ング剤とい う磁 性 粉 を付 着せ て分離

除 去 す るこ とも行われてい る。 以 前は超 電 導シス テ ム は高 価で大 掛 か り な装置で あっ た た め膨 大な量の 母 体か ら極微量の稀 少 資 源 を 回 収 す る よ う な 場合に使 うことが考 え られ てい た

し か し

ドラ イマ グネッ トの開 発によっ て用 途は大 きく広がっ て きて い る

図 11は ドラ イマグネッ ト によ る 浄 水シ ス テム装 置の野 外 実 証 実 験 状 況で あ る

地 球環境 保 全 を 目的にい ろい ろ な 開 発 活 動 が展 開 されてい る

 高 磁 界は

流 体の熱 対流に も 強い電 磁流体 力学の 力を 働か せ る。 半 導 体 産 業の シ リコ ン単結 晶 引き上 げ 装 置で は るつ ぼか ら出る不純物 を壁 面 近 くに拘 束し て お いたり

るつ ぼの 中の対 流 を 安 定さ せて均 質な結 晶 をつ く るの に ドラ イマ グネッ トが 使 わ れてい る

製 鋼 所では 高 温の 金属融 体の制 御に ド ラ イマ グネッ トを利 用 する技術が開 発 途 上で あ る

4 .

本学

の未 来 開 拓

科学技

ェ ク ト

高磁 界

材料

お よび

  

生 体の挙 動に及 ぼ す 効 果

研 究   「湘

6

」の よ う なドライマ グネッ トがつ くる

極 低 温

超 電導に関する知 識や経 験 を 必 要 としないで

身 近で観 測可能な高磁界空間は新 しい現象や効果

そ し て技 術応 用 の可能性 を 提 供し て く れて い る

こ のよう な高 磁 界 空 間で何が で き る かを検 討 する た め に (社 )低温工学 協 会 で は 「新 磁 界工学 展 開の 可 能 性 検 討 」 研 究 会 を 組 織 して い る

ま た

科 学 技 術 庁 管 下の技 術 開 発 事 業 団ではこれ まで 2回の 「新 磁 気 科 学 研 究 報 告 会 」 を 開 催 し て磁 気 応 用の新しい展 開につ い て の研 究 開 発 を集 めてみせ てい る

こ こでは

たとえ ば 「骨 粗 鬆 症モデル に対する静磁 界の 影 響」と か 「腰痛に対 する磁 気 治 療効果の討 」とい う よ う な研 究も報 告されてい る。  こ のよ う な動きの 中で科 学技術 庁は振 興 調整費 研 究と して 「協 奏 反 応 場の 増 幅 制 御 を利 用 した新材料 創製に関 す る研 究 」 を 昨 年 (平 成

10

年 度 )か ら 発 足 させた

こ の 中に 「連 続 強 磁 界印加に よ る蒸着過 程の協奏増 幅と結 晶 配 向制御」お よび 「磁界

超音波 を反応 因 子と し た液 体 プロセ スの協 奏 増幅メ カニ ズムの解明」の研 究が あ る

ま た 日本 学術 振興会で は本 年 (平 成 11年 度 )か ら 5 年計 画で 「高 磁 界 下に おけ る 材 料と生 体の挙 動に関 す る 研 究 」

総額 約

17

億 円 を 発 足 させ た

こ の 主 題の も と に 1

強 磁 場 下の 生 体挙 動と影響評価   2

強 磁場に よ る 磁 気 分離を用い た環 境 改 善と資源 循環利用 

3.

強磁場 下 での溶融凝 固

焼 結

結 晶 化における新 規 効 果  4

微 粒 子

分 子 鎖

薄 膜の 磁 場 下 挙 動 

5.

新 規 強 磁場効 果 の探 索と機 構 解 明  の 五つ の サ ブテ

マ が動 く

いず れ も中心ツ

ル と して ド ライマ グネッ トが用 意されるこ と に なっ てい る

湘 南 工 科 大 学 も 「高 磁 場 下 での腐 食 に 対 す る 磁 気 効 果 」の テ

マ でこ の プロ ジェ ク トに参 加 し て い るe

5 .

ドライマ

ネッ トの課 題   ドラ イマ グ ネッ トは あくま で もク ラ イ オク

の 支 援が不 可 欠であ る

ク ライク

の 冷 凍 能 力

信 頼 性 で ド ラ イマ グネッ ト の性 能

信 頼 性 も 決る

その意 味で 完 成 品で はな く

これか らもつ ねに改良され 使い やすい もの

よ り高い磁 界 を 発 生するものが 生 ま れてくるは ず で あ る

また

標 準 ド ラ イマ グ ネッ トの性 能向上 の

方 で

用途に適 し た形の産業へ の応用 も次々 と現 れるに い ない

 新 磁 界工学 展 開の 可能 性の検 討が進み

電 気 並み に磁 気応用 を広 げる努力が必 要であ る

 ま た

ク ラ イ オ ク

の ドラ イマ グネッ トか ら の 要 請とし て はよ り簡単なか たちで信 頼 性の高い ク ライ オ ク

の開 発 が ある

これに はすで にパ ルス冷 凍 機 と い うタ

ゲ ッ トが で き てい る

パ ル ス冷凍 機は可 動 部 分

(7)

極 低温 冷 凍 機 直 接 冷 却 超 電 導マ グネッ ト と そ の応用 (荻 原宏康

佐 藤

 

昭 ) を もたず

ク ライ オ ク

の 信 頼 性 を決め て い るコ ン プレ ッ サ

を 必 要 としない

GM

冷 凍 機や ス タ

リ ン グ 冷 凍 機の 性 能 向上 に は も ち ろ ん期 待 し た い が

で き る だ け早く

パ ル ス冷 凍 機 冷 却 ドラ イマ グネッ トを実現 し た い

さ ら に

冷 凍 負 荷の 軽 減

高 性 能 化とい う こ と に結 びつ く超 電 導コ イル を高温 超 電 導 酸 化 物で 実現するこ と を 期 待 したい

6 .

ま  と  め  高 性 能 小 型 極 低 温 冷凍 機 直 接冷却超 電 導マ グ ネッ ト (ド ラ イマ グ ネッ ト)の 出現 は

容易 に接 近で きる

大 き な常 温 空 間に発 生 する高 磁 界 を提 供 し て くれ てい る

こ の よう な磁気空 間で起 き るい くつ もの 新しい 磁 気現 象

効 果が報 告されるよう に なっ た

その 中に は高 磁 界 を利用 する新 しい応 用 技 術につ な が る と期待させる もの もお おい 。 実際

半導体単結 晶の 引 上 げ 装 置 や 水 質 改 良 の た めの 磁 気 分 離 装 置 な どが開 発され 実 証試験が進ん で る もの が あ る

ド ラ イマ グネッ トの い っ そ うの 高 性 能化 の ため にはパ ル ス冷 凍 機の 開 発 な どク ラ イ オク

の 高 性 能 化 を 期 待 したい 。 さ ら に高 温 超電導酸 化 物の 工 業 材 料に より

今 よ りは高 温で は動 作 する超 電 導コ イル 開 発にも期 待したい

参 考 文 献

1) 

Sato,

 

A .

 and  

H .

 

Ogiwara,

 ISTEC 4351998

2) Kato, T 砿 α乙

4

Superconductim

ty

 

X ,

 2

 877

 1997

3

) 佐 藤

 

昭ほ か

日本応 用 磁 気 学 会 誌

,22 ,

 

837,

1998.

4

) 

Hirota

 

N.

 et

 aL

lpn

.AppL Phpts

,34

 

L991,1995.

5

Ikez

 

 

Y

al,

 NatUre

 393

 749

 1998

6

) 中 川ほ か

日本 応 用 磁 気学 会誌

,22 ,

 

825,1998.

7) 植 竹 宏 住ほか

回 新 磁 気 科 学シンポ ジ ウムプロ    シ

デ ィン グ

,43,

1997,

参照

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