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在日コリアン高齢者への介護支援活動─その歴史的展開と現在の課題(2)─

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在 日コ リア ン高 齢 者 へ の介 護 支 援 活 動

そ の 歴 史 的 展 開 と現 在 の 課 題(2)

文 基

キ ー ワ ー ド 在 日 コ リア ン高 齢 者,介 護 支 援 介 護保 険, 在 日本 朝 鮮 人 総 連 合 会,ウ リ式 介 護 は じめ に 第1節 在 日本 朝 鮮 人総 連 合 会 の 組 織 と運 動 第2節 朝 鮮 新 報 にみ る介 護 支 援 活 動 の展 開 第3節 ウ リ式 の 介 護 の 現 状 と課 題 お わ りに は じめ に 拙 稿 「在 日コ リア ン高 齢 者 へ の 介 護 支 援 活 動 一そ の 歴 史 的 展 開 と現 在 の 課 題 」 にお い て'),在 日 コ リア ン高齢 者 へ の 介護 支 援 活 動 の歴 史 的展 開 の一 端 を 在 日本 大 韓 民 国民 団(以 下,民 団)に 焦 点 を合 わせ 紹 介 した。 す な わ ち,在 日コ リア ンの 日常 生 活 の 支 援 か ら高 齢 者 へ の 介 護 支 援 まで の 諸 活 動 を展 開 し て い る民 団の 組 織 と運 動 を概 観 した上 で,民 団 新 聞 に掲 載 され た民 団 の 介 護 活 動 の 記 事 を整 理 しそ の 歴 史 的 展 開 を提 示 した。 そ して,在 日コ リア ン高 齢 1)「 在 日 コ リア ン高 齢 者 へ の 介 護 支援 活 動 一そ の 歴 史 的 展 開 と現 在 の 課 題 一」 「桃 山 学 院 大 学社 会 学 論 集』 第45巻 第1号,2011年 。

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者 を対 象 に した 民 団 の 介 護活 動 の可 能性 を探 究 す る た め に近 畿 地域 にお い て, 在 宅 サ ー ビス や 介 護 老 人 福 祉 施 設 サ ー ビス を提 供 し,先 駆 的 なモ デ ル事 業 を 展 開 して い る 「故 郷 の 家 」 の 活 動 を検 討 した。 これ に よ って 民 族 性 を重 視 し た介 護 支 援 活 動 の 可 能 性 が 示 され る に至 っ たの で あ る。 最 近,在 日コ リア ンの 国籍 と南 北 支 援 は正 確 に一 致 しない 傾 向 が あ る。 朝 鮮 籍 を保 有 す る人 に も大 韓 民 国(以 下,韓 国)の 臨 時 用 パ ス ポ ー トが 発 行 さ れ る。 在 日本 朝 鮮 人 総 連 合 会(以 下,総 連)の 活 動 経 験 が あ る人 も韓 国 を訪 問 す る こ とが 可 能 に な った 。 ま た,朝 鮮 籍 人 が 民 団 の幹 部 に なる場 合 もあ る。 こ う した在 日コ リ ア ンを取 り巻 く環 境 は,今 なお 変 化 して い る。 また,非 常 に複 雑 な政 治 的 問 題 が 絡 んで い る。 しか し,総 連 を朝 鮮 民 主 主 義 人 民 共 和 国 (以 下,北 朝 鮮)の 指 令 を受 け る 集 団 とみ なす冷 戦 時 代 の 意識 が い まだ に存 在 して い る こ とは否 定 で きない 。 本 稿 は,「 在 日 コ リア ン高 齢 者へ の介 護 支援 活 動 一そ の歴 史 的展 開 と現 在 の 課 題 」 の 第 二 作 目で あ る。 第1節 で は,長 年 に わ た り民 団 と対 立 して きた 総 連 の 組 織 と活 動 の 歴 史 を明 らか に したい 。 総 連 も民 団 と同様 に在 日コ リ ア ン の 日常 生 活 支 援 か ら高 齢 者 の 介 護 支 援 まで の 諸 活 動 を展 開 し,民 族 性 を守 る 運 動 を続 けて きたの で あ る。 次 に第2節 で は,朝 鮮 新 報 に掲 載 され た,総 連 の 介 護 支 援 活 動 の 記 事 を紹 介 しそ の 歴 史 的 展 開 を提 示 す る。 介 護 保 険 制 度 の 実 施 後,総 連 の 各 支 部 の 介 護 支 援 活 動 の 展 開 が,こ の 朝 鮮 新 報 に掲 載 され て い たの で あ る。 特 に,最 近 で は民 族 学 校 と連 帯 し,介 護 支 援 活 動 を続 けて い る総 連 の ウ リ(私 達 を意 味 す る韓 国 ・朝 鮮 語)式2)の 介 護 が注 目され て い る ので,そ の民 族 性 を重 視 した 介 護 支 援 活 動 を紹 介 したい 。 2)ウ リ式 介 護 に つ い て の研 究 は,コ リア ン コ ミュ ニ テ ィ にお け る生 活 と文 化 へ の 理 解 を高 め つ つ,コ ミュ ニ テ ィの 再 生 の あ り方 に つ い て 議 論 し,日 本 国 内 に限 らず 共 同 調 査 及 び研 究 を行 っ て い く グル ー プで あ る 「こ りあ ん コ ミ ュニ テ ィ研 究 会 」 に よっ て 一 部 が 議 論 され研 究 を進 め て い る 。

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最 後 に第3節 で は,2節 で紹 介 した ウ リ式 の介 護 の現 状 と課 題 を明 らか にす る。 さ らに,在 日コ リ ア ンの 介 護 支 援 活 動 が 直 面 して い る課 題 を,二 つ の 民 族 組 織 の 対 立 に見 い だ し,そ の 克 服 の 方 向 性 を展 望 したい 。 第1節 在 日本 朝鮮 人 総 連 合 会 の 組 織 と運 動 本 節 で は,文 京 沫(2010)に よ る先 行 研 究 に従 い つ つ,総 連 の 歴 史 の 変 遷 に加 え て 介 護 支 援 活 動 に影 響 を与 え た組 織 と運 動 に つ い 概 観 した い 。 総 連 は,1945年 に大 日本 帝 国 の植 民 地 支 配 か ら解 放 され た 在 日コ リア ンが結 成 し た組 織 の 一 つ で あ る。 神 奈川 県 で 「関東 地 方 朝 鮮 人会 」 が 組 織 され,そ の 後, 東 京,大 阪,兵 庫 な どで も組 織 が作 られ た。 同 年10月 に は,朝 鮮 新報 の前 身 で あ る朝 鮮 民 衆 新 聞 が 創 刊 され る と と もに10月15日,在 日朝 鮮 人 連 盟(以 下,朝 連)が 結 成 され た。 朝鮮 戦争 が 勃 発(1950年6月25日)す る と北 朝 鮮 を死 守 す る と綱 領 に定 め た在 日朝 鮮 民 主 民 族 戦 線(以 下,民 戦)が,新 た に結 成 され た 。 民 戦 は,日 本 共 産 党 民 族 対 策 部 の 指 導 の 下 で 反 米,反 吉 田,反 再 軍 備 の ス ロー ガ ンを掲 げ,在 日米 軍 の 武 器 運 送 を 阻止 す る な ど実 力 闘 争 を広 げ た。 そ の 結 果,日 本 政 府 と対 立 し,日 本 政 府 の 行 動 を内 政 干 渉 で あ る と して 自 ら 日本 共 産 党 との 関 係 を解 消 した。 1954年6月 に は,中 国 ・イ ン ドの平 和5原 則 の共 同声 明 が 出 され,主 権 尊 重 や,内 政 不 干 渉 な どを原 則 とす る平 和 共 存 が 時 代 の 潮 流 とな った 。 在 日コ リ ア ンを共 和 国の 海 外 公 民 とす る北 朝 鮮 の 南 日外 相 の 声 明 が そ うい う なか で 発 せ られ た。 こ こで 海 外 公 民 とは,政 治 に参 加 す る権 利 を もつ 人 々 を指 して お り,中 国 と北 朝 鮮 で は,ほ ぼ国 民 の 意 味 で 用 い られ て い る。 つ ま り,在 日 コ リア ンの 北 朝 鮮 へ の 帰 属 を強 調 す る意 味 合 い を持 つ 言 葉 で あ る。 こ う した 声 明 の も とに北 朝鮮 へ の結 集 を網 領 と して,1955年5月25日 に結 成 され たの が 総 連 で あ る。

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1960年 代 の総 連 は,都 道 府 県 の ほ ぼす べ て に おか れ た 地方 本 部,在 日本 朝 鮮 人 青 年 同盟(以 下,朝 青)な ど14の 組織 団体,朝 鮮 新報 な ど24の 事 業体, さ らに幼 稚 園 か ら朝 鮮 大 学 に至 る150近 くの 民 族 学 校 に よ って 組 織 が 確 立 さ れ た時 期 で あ る。 この 頃,北 朝 鮮 に よ る教 育 援 助 費 の 送 金 もあ り北 朝 鮮 へ の 帰 国事 業 な どが 盛 んで あ っ た。 そ の 当 時,会 員 の 数 は20万 人 ほ どで民 団 の約 3倍 を超 えて い た 。 1970年 代 は,総 連 の全 盛 期 と もい え る。 そ の時 期 には,在 日コ リア ンの ほ ぼ半 数 を傘 下 に置 き,金 日成 の 主 体 思 想 を唯 一 の 指 導 思 想 とす る組 織 体 制 づ く りが 強 力 に推 進 され た。 1980年 代 に は,金 日成 の後 継 者 の地 位 を確 立 した金 正 日の指 導 が 総連 に も 及 ぶ よ う に な る。1995年 に は,綱 領 の大 幅 改 定 が あ り,第 一 条 に は,愛 国愛 族 の 旗 の も とに主 体 の 偉 業 の継 承,完 成 の ため に貢献 す る こ とが 明記 され た 。 そ の 後,1990年 代 か らは,脱 北 者,北 朝 鮮 の食 糧 問 題,拉 致 問題 な どに よっ て 組 織 の 衰 退 が 加 速 し,総 連 を支 援 す る在 日コ リ ア ン は,激 減 し4万 人 前 後 に な って い る3)。 総 連 の 全 体 組 織 は,日 本 の都 道 府 県 ご とに47の 地 方 本 部 を置 い て い る。 た だ し,東 京 都 に は,東 京 都 本 部 と西 東 京 本 部 の2つ の 地 方 本 部 が あ る。 地 方 本 部 は,中 央 本 部 の 決 定 と方 針 に したが って 管 轄 地 域 の 諸 般 の 活 動 を企 画, 組 織,推 進 し,管 下 の 階 層 別 団 体,事 業 体,学 校 を指 導 して い る。 地 方 本 部 の 大 会 と執 行 委 員 会 に関 す る規 定 は 中央 大 会 に準 じ,地 方 本 部 大 会 は 中央 大 会 に派 遣 す る代 議 員 と中 央 委員 候 補 者 を選 出 して い る。 地 方 本 部 に は委 員 長, 副 委 員 長,専 門部 署 部 長,監 査 委 員 をお き,必 要 に よ って 顧 問 をお くこ とが で きる。 地 方 本 部 は,地 域 的 指 導 単 位 で あ り,管 轄 地 域 の 各 界 各 層 同胞 を団 結 させ,民 族 教 育 文 化 事 業 の 発 展 と同胞 生 活 奉 仕 活 動 を続 けて い る。 3)国 際 高麗 学 会 日本 支 部 「在 日 コ リア ン辞 典』 明石 書 店,2010,文 京 沫,195頁 に基 づ い て い る 。

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総 連 の 会 員 は,居 住 地 域 に設 け られ た支 部 と分 会 に所 属 して,会 員 と して の 権 利 を行 使 し義 務 を果 たす こ とに な る。 傘 下 団 体 に は,商 工 業 者,青 年 学 生,女 性,各 分 野 の 専 門家,宗 教 人 な どを広 範 に網 羅 す る階 層 別 の 団 体 と事 業 体,専 門機 関 が あ る。 他 方,総 連 は民 団 と異 な り福 祉 事 業 に影 響 を与 え る 在 日同胞4)福祉 連絡 会,在 日本 朝鮮 人 医学協 会,在 日本 朝鮮 人人 権協 会 を別 に 設 けて い る。 在 日同胞 福 祉 連 絡 会 は,在 日同胞 の 福 祉 活 動 をバ ック ア ップす る た め2001年 に 立 ち 上 げ た 連 絡 会 で あ る 。 さ らに 在 日本 朝 鮮 人 医 学 協 会 は,1977年 創 立 され,現 在,東 西 の本 部 と5つ の支 部 に医療 法 人 と介 護 福 祉 専 門家 を網 羅 して 在 日コ リ ア ンの 生 活 保 護 と健 康 増 進 朝 鮮 学 校 生 の 健 康 増 進 の ため 医 療 奉 仕 活 動 を展 開 して い る。 在 日本 朝 鮮 人人 権 協 会 は,1994年 に結 成 され,在 日 コ リア ンの権 利 擁 護 と 生 活 向 上 に貢 献 す る こ とを 目的 に して い る組 織 で あ る。 弁 護 士,司 法 書 士, 社 会 保 険 労 務 士 や 研 究 者 な どに よ って構成 され,年2回 会 報 を発行 してい る。 人 権 活 動 と して,在 日コ リ ア ン高 齢 者,無 年 金 者 の 問 題 な どに対 して 無 料 法 律 相 談 活 動 に関 わ って い る。 この 三 つ の 組 織 とは別 に,同 胞 生 活 相 談 総 合 セ ンタ ーで は,在 日コ リ ア ン が 民 族 固有 の 美 風 良 俗 に沿 って 共 に助 け合 い,豊 か で 安 定 した生 活 が で きる 地 域 社 会 を 目指 し,生 活 の 上 で 生 じる様 々 な問 題 を解 決 す る ため の サ ポ ー ト 活 動 を行 って い る。 そ の 活動 の一 環 と して冠 婚 葬 祭 や経 済,教 育並 び に文化, 法 律 ・医 療 福 祉 とい っ た生 活 の 上 で 生 じる様 々 な問 題 に幅 広 く対 応 し解 決 す る ため の 相 談 総 合 窓 口 と して,総 連 本 部,支 部 ご とに設 置 され て い る。 この 総 合 セ ンタ ー を 中心 に福 祉 活 動 も積 極 的 に行 い 戦 後 も 日本 で の 生 活 を余 儀 な くされ,多 くの 苦 難 を乗 り越 えて きた在 日コ リア ン高 齢 者1,2世 の 高齢 者 が 心 の や す ら ぎを感 じて も らえ る場 所 を作 る こ とを 目指 して い る。 同胞 生 活 相 4)在 日同胞:北 朝 鮮 が 一貫 と して 使 用 して い る呼 称 と して,国 を離 れ て 生 活 す る在 日 コ リア ンに対 して祖 国 で あ る とい う存 在 感 を示 す 言 葉 の 意 味 で 使 わ れ て い る。 そ れ に 対 し韓 国 は橋 胞 とい う呼 称 を使 用 す る。

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談 総 合 セ ン タ ー は,日 常 生 活 で の 様 々 な相 談 を受 け,総 連 の 全 国 的 な ネ ッ ト ワ ー ク を通 じて そ の 解 決 に努 め る総 合 的 な ラ イ フサ ポ ー トセ ンター と して 設 け られ た。 在 日コ リ ア ンの 多 様 なニ ーズ に対 応 す る ため に も,弁 護 士 や 司 法 書 士,医 師 や 介 護 福 祉 士 な どの 有 資 格 者 を専 門相 談 員 と して 登 録 し,相 談 に 応 じ られ る よ う な態 勢 を整 え,傘 下 組 織 で あ る,在 日本 朝 鮮 人 人 権 協 会,中 央 と地 方 の 同胞 結 婚 相 談 セ ン タ ー と同胞 就 職 情 報 セ ン タ ー を は じめ と した支 援 機 関 も,各 地 の 総 合 セ ンタ ー に寄 せ られ 各 種 相 談 に対 応 して い る。 また, 市 町 村 行 政 窓 口,社 会 福 祉 協 議 会 な ど福 祉 団 体,医 療 機 関,企 業 及 び各NP Oと 連 携 し,全 国の 地 方 セ ンター5カ 所 県 セ ンタ ー31ヵ 所 地域 に130カ 所 で 運 営 が 行 われ る。 総 連 の 組 織 構 成 は図1の とお りで あ る。 総 連 の 福 祉 活 動 に関 す る見 解 は,総 連 中央 委 員会 第17期4回 会 議 で報 告 さ れ て い る。 総 連 は,特 に高 齢 者 に対 す る問 題 につ い て は,日 本 社 会 の い わ ゆ る老 人 対 策 問 題,老 人 福 祉 問 題 とは違 う と述 べ て い る。 高 齢 者 を助 け る こ と は,愛 国愛 族 運 動 の 先 輩 を尊 重 し,年 長 者 を敬 う朝 鮮 民 族 固 有 の 美 風 良 俗 で あ り,亡 国奴 の 悲 しみ を胸 に異 国 で あ らゆ る辛 酸 を なめ,次 代 の ため に一 生 を捧 げて きた 同胞 高 齢 者 に対 す る,新 しい 世 代 の 当 然 の 道 理 で あ り義 理 で あ る。 一 人 暮 ら しや 病 気 の 同胞 高 齢 者 を定 期 的 に訪 れ,健 康 と生 活 を助 け る活 動 を民 族 愛,同 胞 愛 を もって 組 織 的 に行 う一 方,日 本 の 行 政 機 関 と福 祉 団 体 との 連 携 活 動 を しっか り と行 い,同 胞 高 齢 者 の 安 定 した生 活 を保 障 す る よ う 努 力 しな けれ ば な らない 。 ま た,同 胞 高 齢 者 が 常 に 自 由 に集 ま り,と もに過 ごせ る場 を支 部 な ど総 連 の 機 関 に作 り,彼 らを敬 う美 風 が 同胞 社 会 にあ ふ れ る よ う に しな けれ ば な らない 。 と くに今 後,同 胞 高 齢 者 の 医 療 保 険 奉 仕 施 設 を作 る対 策 を積 極 的 に研 究 して い か な けれ ば な らない と表 明 して い た5)。 5)「 朝 鮮 新 報 』1997年9月19日 。

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図1総 連 の組 織機 構 全 国 大 会 i 中 央 調 査 委 員 会 中 央 委 員 会 i 事 務 総 局 ・専 門 局 中 央 常 任 委 員 会 i 祖 国 訪 問 局 中 央 本 部 (92年 新 設) 傘 下 団 体 地 方 本 部 事業 体 朝 鮮 学校 i 支 部 在 日本 朝 鮮 人 商 工 連 合 会 朝鮮 新 報 社

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在 日本 朝 鮮 人 青 年 同 盟 朝鮮 通 信 社 分 団 在 日本 朝 鮮 人 民 主 女 性 同 盟 学 友 書房 在 日本 朝 鮮 人 青 年 商 工 会 金 剛 山 歌 劇 団 在 日本 朝 鮮 人 商 工 連 合 会 在 日朝 鮮 蹴 球 団 在 日本 朝 鮮 人 教 職 員 同 盟 金 剛 保 険 株 式 会 社 在 日本 朝 鮮 人 教 育 会 在 日 朝 鮮 合 営 経 済 交 流 会 在 日本 朝 鮮 人 言 論 出 版 人 協 会 朝 日経 済 交 流 促 進 会 在 日本 朝 鮮 人 社 会 科 学 者 協 会 東 海 商事 株 式社 在 日本 朝 鮮 人 科 学 技 術 協 会 朝 鮮 特 産 物 販 売 株 式 会 社 在 日本 朝 鮮 人 医 学 協 会 朝 鮮産 業 株 式会 社 在 日本 朝 鮮 人 人 権 協 会 株 式会 社 近洋 海 運 在 日本 朝 鮮 人 文 学 芸 術 家 同 盟 株 式 会 社 中 外 旅 行 社 在 日本 朝 鮮 人 体 育 連 合 会 朝 鮮 出 版 会 館 管 理 委 員 会 在 日本 朝 鮮 人 留 学 生 同 盟 同 胞 結 婚 相 談 中 央 セ ン タ ー 在 日本 朝 鮮 人 宗 教 人 連 合 会 ドン ポ 就 職 情 報 セ ン タ ー 在 日本 朝 鮮 仏 教 徒 協 会 統 一 評 論 新 社 在 日本 朝 鮮 歴 史 考 学 協 会 在 日朝 鮮 人 歴 史 研 究 会 在 日本 朝 鮮 人 平 和 統 一 協 会 在 日 同 胞 福 祉 連 絡 会 出 所:国 際 高 麗 学 会 日本 支 部 『在 日コリア ン辞 典 』明 石 書 店,2010,196頁

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この よ う な活 動 は,2000年 の介 護 保 険 制 度 の ス ター トと と もに一 層活 発 な 動 きを見 せ る こ とに な っ た。 全 国 に設 置 され て い る各 支 部 を活 用 して 在 日コ リア ン高 齢 者 向 けの 福 祉 サ ー ビス 事 業 所 が 誕 生 す る きっか け に もな った の で あ る。 以 上 の 多 様 な活 動 は,総 連 事 業 の 一 環 と して 展 開 され,そ の 多 くは朝 鮮 新 報 に掲 載 され て い る。 そ こで 第2節 にお い て は,そ れ らの 記 事 に基 づ い て 在 日コ リ ア ン高 齢 者 の 介 護 支 援 にか か わ る活 動 につ い て,体 系 的 に整 理 され て い る朝 鮮 新 報 の 記 事 の デ ー タベ ース を利 用 して 紹 介 したい 。 検 索 の 手 順 と して は,民 団 の 組 織 を 分 析 した6)のと同 じ手順 で,介 護 保 険 制 度 が実 施 され る前 の1997年 か ら2011 年 まで の 記 事 を検 索 す る。 これ に よ り在 日コ リア ン高 齢 者 の 介 護 保 険 制 度 が 導 入 され る以 前 の 全 体 の 状 況 も把 握 で きる。 なお,記 事 の 検 索 は 「同胞 高 齢 者 」,「福 祉 」,「介 護 」 とい う キ ー ワ ー ドに よ って 実 行 した。 検 索 され た記 事 を参 照 しつ つ,在 日コ リ ア ン高 齢 者 へ の 介 護 支 援 活 動 の 多 様 な展 開 を紹 介 す る こ とに しよ う。 第2節 朝 鮮 新 報 にみ る介 護 支 援 活 動 の 展 開 総 連 の 事 業 体 で あ る 朝 鮮 新 報 は,戦 後 に お け る 総 連 の 活 動 と在 日 コ リ ア ン の 暮 ら し を 映 し 出 す メ デ ィ ア で あ っ た 。 朝 鮮 新 報 の 原 型 で あ る 朝 鮮 民 衆 新 聞 は,ウ リ新 聞 へ と 一 時 変 わ り,解 放 新 聞 と 改 名 し た 。 月6回,5万 部 を 発 行 し た が,関 西 版 は 紙 不 足 に よ り1946年12月 に 停 刊 に な っ た 。 こ の 新 聞 は,在 日 コ リ ア ン の 権 利 擁 護 日朝 民 衆 の 相 互 理 解 促 進 を 目的 と して い た 。 紙 面 で は,在 日 コ リ ア ン を 取 り巻 く社 会 問 題 や 朝 鮮 半 島 の 情 勢 を 伝 え る こ と に 貢 献 した が 朝 鮮 米 軍 政 庁 へ の 批 判 な どの 論 調 に よ りGHQの 検 覧 対 象 とな り,1950 年8月2日 を も っ て 一 時 停 刊 に 追 い 込 ま れ る もの の,1952年 に 復 刊 し た 。 そ の 後1957年 朝 鮮 民 報 と改 称 し,つ い に1961年,朝 鮮 新 報 と な っ た7)。 6)同 上 書,32頁 に 基 づ い て い る 。 7)国 際 高 麗 学 会 日本 支 部 「在 日 コ リア ン辞 典』 明 石 書 店,2010,森 類 臣,62頁 に基 づ い て い る 。

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朝 鮮 新 報 は,2011年 現 在,週3回(月,水,金)発 行 され1万 部 が購 読 さ れ て い る。 編 集 内 容 につ い て は,在 日コ リ ア ンに密 着 させ,地 域 別 の コ リ ア ン生 活 を紹 介 す る情 報 通 信 手 段 と して 用 い られ た。 この 新 聞 に は,民 団 新 聞8)と同様 に介 護 保 険制 度 が 導 入 され る以 前 か ら,無 年 金 者 の 在 日コ リア ン高 齢 者 が 自己 負 担 額 に耐 え られ るか どうか 不 安 の 声 が 寄 せ られ て い た。 在 日コ リ ア ン高 齢 者 は,そ の 多 くが 国 民 年 金 制 度 か ら事 実 上 排 除 され て きた ため,老 齢 年 金 の 支 給 対 象 外 とな って い る ため で あ った 。 1997年 か らは,千 葉 市 を は じめ 岡 山市,倉 敷 市 が 給 付 金 を 支 給 して い た 。 都 道 府 県 単 位 で は,滋 賀 県,北 海 道,神 奈 川 県 に次 い で 兵 庫 県 と静 岡県 が 支 給 す る こ とに な っ た。 特 に静 岡県 の21市 の うち20市 が 外 国 人 高 齢 者 へ の 給 付 金 制 度 を設 けて い る。 そ れ は総 連 の各 支 部 に よ る働 きで あ る と評 価 された9)。 ま た,1998年ll月17日 号 は,介 護 保 険制 度 につ い て特 集 し,制 度 的差 別 に よ る無 年 金 高 齢 者 の 存 在 な ど固 有 の 不 安 材 料 もあ る制 度 の 仕 組 み と,在 日 コ リ ア ンの 立 場 か ら見 た要 注 意 点 を載 せ て い た。 特 に1人 暮 ら しの1世 は, 行 政 か らの 的 確 な配 慮 が な けれ ば,制 度 を活 用 す る こ とは難 しい 。 日本 語 が 不 自由 だ と,制 度 に 関す る情 報 を把 握 す る こ と も不 可 能で あ る と訴 えた。1996 年 の 大 阪 府 下 にお け る在 日コ リア ン高 齢 者 を対 象 に した調 査(以 下,大 阪 府 調 査)で は,自 治 会 が 行 って い る各 種 介 護 保 険 サ ー ビス につ い て 申 し込 み 方 法 を知 って い るの は2∼3%程 度 で あ る こ とが 明 らか にな っ た。 さ らに,外 国 人 は利 用 で きない と思 って い る人 は3割 を 占め て い る。 ま た,介 護 認 定 の 調 査 員 との 十 分 な コ ミュニ ケ ー シ ョン に基 づ く公 正 な認 定 を望 んで い た 。 総 連 は,こ う した現 状 を十 分 に配 慮 す る こ とを求 め る と同時 に,同 胞 高 齢 者 を積 極 的 に手 助 けす る必 要 が あ る と強 調 した。 次 に,在 日コ リ ア ン高 齢 者 の ニ ー ズ の 問 題 につ い て は,前 述 した大 阪 府 調 査 が 例 に挙 げ られ て い た。 そ の 調 査 8)在 日本 大韓 民 国 の 団体 が 発 行 して い る 新 聞 の 名 称 。 9)「 朝鮮 新報 』1998年4月10日 。

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で は,特 に施 設 サ ー ビス にお い て 在 日コ リ ア ンの 文 化 に配 慮 が ない こ とや 入 所 者 に在 日コ リ ア ン高 齢 者 が ほ とん どい ない な どの 不 満 の 存 在 が 明 らか とな っ た。 そ こで,在 日コ リ ア ンを対 象 に含 め た多 様 なサ ー ビス を行 う事 業 所 が 開設 され る こ とが 望 まれ るが,既 にあ る制 度 ・施 設 の 中で も,せ め て 食 事, 文 化,言 語 な どに配 慮 が 行 われ る よ う,自 治 体 な どに求 め る必 要 が あ る と主 張 して い た'°)。 同年 に は,医 療 法 人 同友 会 ・共 和 病 院 に よ って,老 人 保 健 施 設 「ハ ー モ ニ ー共 和 」(大 阪 ・生 野 区)が9月1日 に開 設 され た こ とが報 じ られ て い る。 共 和 病 院 は1967年3月1日,職 員全 員 が 在 日 コ リア ンで,入 院設 備 を備 え た 日 本 で初 の病 院 と して大 阪 市 に設 立 さ れ た。17人 の職 員 と32床 の 病 室 で始 まっ た病 院 は,内 科,外 科,消 化 器 科,神 経 内 科,整 形 外 科,放 射 線 科,血 液 透 析 科 な ど,数 多 くの 診 療 科 目をそ ろ え た総 合 病 院 へ と発 展 した。 職 員 は,同 胞 医 療 と地 域 の 住 民 の ため の 医 療 北 朝 鮮 の 医 学 発 展 と国 際 的 な医 学 交 流 の 拡 大 を 目指 して 積 極 的 に活 動 して きた。 ま た,生 活 環 境 調 査(飲 酒,喫 煙, 食 生 活)や 栄 養 調 査 ま た シ ンナ ーが 充 満 して い る環 境 の 中で 働 く,サ ンダ ル ・シ ュ ーズ 製 造 労 働 者 の 健 康 調 査 な ど も積 極 的 に行 い,具 体 的 な予 防 と医 療 の ため の 対 策 を立 て る だ けで な く,そ の 調 査 結 果 を在 日本 朝 鮮 人 医 学 協 会 (以 下,医 協)の 学 術 シ ンポ ジ ウム や 日本 の 医学 会 な どで発 表 し,医 学 研 究 と 朝 ・日医 学 交 流 に も大 き く寄 与 した と朝 鮮 新 報 は評 価 して い た")。 共 和 病 院 の 老 人 保 健 施 設 ハ ーモ ニ ー共 和 の 利 用 者 や 家 族 か らは 「言 葉 が 通 じ,朝 鮮 料 理 も出 るの で 落 ち着 く」 「家 庭 的 な 雰 囲気 が心 地 良 い 」 「こ ん な に 立 派 な施 設 な ら安 心 して 任 せ られ る」 な ど,喜 びの 声 が 寄 せ られ た。 医 療 法 人 同友 会 は,在 日同胞 社 会 で も高 齢 化 が進 む 中,高 まる 同胞 らの 要望 に応 え, 共 和 病 院 の 老 健 施 設 の 設 置準 備 を進 め て きた。 「ハ ーモ ニ ー共 和 」 で は,リ ハ 10)「 朝 鮮 新 報 』1998年ll月17日 。 11)「 朝 鮮 新 報 』1997年3月ll日 。

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ビ リ,看 護 介 護 を必 要 とす る高 齢 者 を対 象 に入 所 サ ー ビス(定 員95人), シ ョー トス テ イ(定 員5人),デ イケ ア(定 員36人)の3種 類 の サ ー ビス を 提 供 し,ケ ア ワー カ ー28人 と看 護 婦8人,医 師,理 学 療 法士,栄 養 士 各1人, カ ウ ンセ ラ ー2人 な どが 常 時 対応 す る。3カ 月の 入所 サ ー ビス を受 け てい る金 性 松 さ ん(83)は,家 族 はい るが,入 所 す る まで1人 暮 ら しを して い た。 体 調 を くず して7カ 月 ほ ど入 院 した こ と もあ り,退 院 後 は1人 で 食 事 の 準 備 や 入 浴 が で きず,家 族 の勧 め で 入所 した。 「介 護者 はみ な優 し く,家 族 の よ うだ。 施 設 内 で は朝 鮮 の 歌 が 流 れ,食 堂 で も朝 鮮 料 理 が 出 るの で 自然 と気 持 ちが 落 ち着 く。言 葉 も通 じ,イ可よ り友 達が た くさん で きて嬉 しい。」 と金 さ んは話 す 。 利 用 者 の 約8割 が 同胞 で,生 まれ 育 っ た故 郷 の 思 い 出す 話 に花 を咲 か せ る こ と も しば しば だ。 副 施 設 長 で 療 養 科 長 の 鄭 富 士 枝 さ ん は 「病 気 が メ イ ンで な い 利 用 者 の 家 庭 ・社 会 復 帰 の ため に,こ こで の 生 活 を楽 しむ こ とで 精 神 的 ・ 肉体 的 に新 しい 力 を盛 り返 せ る よ うサ ー ビス の 充 実 を図 って い る」 と語 る。 と くに,日 本 の 施 設 で は,言 葉 が う ま く通 じなか っ た り,食 事 が 合 わ なか っ た りす る こ と も多 い 同胞 高 齢 者 特 有 の 民 族 的 な風 習 や 習 慣 を考 慮 し,レ ク リ エ ー シ ョ ンや 食 生 活 の 面 で 民 族 的 な もの を多 く取 り入 れ て い る。 ま た,地 域 の 人 を交 え た イベ ン トな ど も企 画 して い る。 ケ ア ワ ー カ ーの朴 用 浩 さ ん(27, 大 阪 朝 高 卒)は,常 に利 用 者 に生 活 を楽 しんで も らう こ とを心 が けて い る。 「利 用 者 に は寝 た き りだ っ た り,近 所 付 き合 いが なか った りす る人 が 多 く,そ の 過 程 で 人 と触 れ 合 う楽 しさ を忘 れ て しま って い る。 楽 しい と思 うか らこそ 元 気 が 出て,生 き甲斐 も感 じる はず だ。 施 設 で の 生 活 が 利 用 者 の 大 きな楽 し み にな る よう,常 に利 用 者 の ニ ー ズ を把 握 し,ケ アの改 善 に努 め てい きたい。」 と話 して い た12)。 さ らに,医 療 法 人 共 和 病 院 の 居 宅 サ ー ビ ス事 業 所 と して 京 都 伏 見 区 に開 設 され た エ ル フ ァ'3)は,在 日 コ リア ン高 齢者 の憩 い の場 と して 「ハ ナ マ ダ ン(韓 12)「 朝鮮 新報 』1998年10月2日 。 13)エ ル フ ァは 韓 国 ・朝 鮮 語 で うれ しい 時 楽 しい 時 に出 る感 嘆 符 。

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国 ・朝 鮮 語 で 一 つ の 庭 の 意 味)」 を提 供 しなが ら,主 に高齢 者 に 日帰 りサ ー ビ ス や,介 護 が 必 要 な高 齢 者 へ の ホ ー ムヘ ルパ ー派 遣 サ ー ビス な どを行 って い る。 当 時(1999年),京 都 府 下 に は,こ う した在 日 コ リア ンを対 象 に した介 護 事 業所 は一 つ だけ だ っ た'4)。エ ル フ ァは そ の後,総 連 の高 齢 者福 祉 事 業 の 中心 とな る施 設 で,京 都 を基 盤 に して ウ リ式 介 護 を次 々 に拡 大 して い る。 そ の 内 容 につ い て は,3章 で 詳 し く述 べ よ う。 2000年,介 護 保 険制 度 が 実 施 され る と,総 連 各 本 部 ・支部 は,自 治体 に在 日コ リ ア ン高 齢 者 へ の 配 慮 を求 め る要 望 書 を提 出 した とい う記 事 が 掲 載 され た。 要 望 書 の 内 容 は6項 目で,在 日コ リ ア ン高 齢 者 が 制 度 を十 分 に理 解 で き る よ う な広 報 の 徹 底,ケ ア プ ラ ン作 成 の 際 に意 思 疎 通 が 保 たれ る よ う な措 置 の 実 施,無 年 金 の 同胞 や 小 額 受 給 者 へ の 国 の 抜 本 的 救 済 措 置 が 取 られ る まで の 間,保 険 料 や 利 用 料 の 軽 減 措 置 を実 施 さ らに,同 胞 高 齢 者 や 障 害 者 を排 除 して い る 国民 年 金 制 度 の 抜 本 的 是 正 と救 済 措 置 の 早 期 実 現 に関 す る 日本 政 府 へ の 要 請 で あ っ た。 ま た,無 年 金 同胞 に対 す る給 付 金 を老 齢 福 祉 年 金 に準 じて 実 施 す る こ とな どの 要 望 書 を提 出 した15)。 在 日コ リ ア ンが 多 く住 んで い る近 畿 地 域 で は,介 護 ビ ジ ネス に進 出す る コ リア ン商 工 人 が 増 えて い た。 大 阪 の 「グ ロ ーバ ル」 や 「ハ ー トフ ル東 大 阪 ⊥ 要 介 護 者 の 多 くが 地 元 同胞 で あ っ た。 「同胞 の こ とは 同胞 が 一番 よ く分 か る 」 と,ケ ア プ ラ ンの 作 成 か ら同胞 ヘ ルパ ー派 遣 まで携 わ る こ とで2000年10月, 大 阪 ・平 野 区 に,地 域 社 会 に根 差 した ビ ジ ネス を掲 げ るケ アス テー シ ョ ン介 護 の 森 が 開 設 され た16)。 総 連 は,日 本 全 国 に地域 の コ ミュニ テ ィの拠 点 と して支 部 が 存在 してい る。 そ の 支 部 で あ る総 連 姫 路 西 支 部 は,同 胞 ア リ ラ ン会(老 人 憩 い の 家)を 開 設 した。 老 人 憩 い の 家 は,敷 地15坪 の総 連 姫路 西 支 部,広 畑 東 分 会 の1階 を利 14)「 朝 鮮 新 報 』2001年4月2日 。 15)「 朝 鮮 新 報 』2000年4月10日 。 16)「 朝 鮮 新 報 』2000年ll月ll日 。

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用 した もの で あ る。 ア リラ ン会 は1995年,交 流 を深 め,地 域 社 会 の発 展 のた め に貢 献 し,意 義 あ る人 生 を健 康 で 明 る く過 ごす こ とを 目的 に発 足 した 。 ま た,旅 行 会 や 花 見 な どを催 し,交 流 を深 め て きたが,日 常 的 に1世 らが 集 い 話 し合 っ た り,娯 楽 を楽 しめ た りす る場 所 は なか っ た。 開 設 の 際 に は,補 助 金 と して 姫 路 市 か ら30万 円 と老 人 ク ラブ 運営 補 助 金 の援 助 を受 け て い る'7)。 大 阪府 の西 成,浪 速 の支 部 で あ る 同胞 生 活相 談 総 合 セ ン ターで は,1人 暮 ら しの 同胞 高 齢 者 の た め にい きい き教 室 を開 い て い た。 い きい き教 室 は,1人 暮 ら しの 高齢 者 が 月 に1回,1つ の場 所 に集 ま り,健 康 や趣 味 につ い て話 し合 う な ど楽 しい 時 間 を過 ごせ る よ う に とセ ンタ ーが 企 画 した もの で あ った 。 セ ン タ ーで は,場 所 の 確 保 や 運 営 につ い て 日本 の 行 政 に協 力 を要 請 し,準 備 を進 め て きた。 そ して9月 に は,部 落 解 放 同盟 青 少 年 会 館 で 第1回 目を開 き,16 人 の 高 齢 者 が 参 加 した。 教 室 で は,西 成 区役 所 健 康 福 祉 サ ー ビス 課 職 員 の 高 齢 者 向 けの 軽 い ス トレ ッチ 体 操 な どが 紹 介 され た ほか,朝 鮮 の 民 俗 行 事 の ビ デ オが 上 映 され た18)。 2001年1月10日 の記 事 に は,在 日コ リア ンの視 点(介 護 支 援 セ ンター,ハ ー トフ ル東 大 阪 代 表 申万 沫)か ら,実 施 まで9カ 月 とな っ た介 護 保 険 の 問 題 点 が 指 摘 され,介 護 保 険 内 容 の 理 解 問 題 無 年 金 者 の 問 題 心 の ケ アの 必 要 性,閉 鎖 性 な どが 挙 げ られ て い た。 閉鎖 性 とは,在 日コ リア ン高 齢 者 自身 の 問 題 で もあ り,伝 統 的 に儒 教 の 影 響 を受 けて い る こ とに加 え,長 年 に わた り異 国で 生 活 して きた経 緯 か ら,閉 鎖 的 な側 面 が あ る よ う だ。 高 齢 者 の 介 護 につ い て も,親 の 面 倒 は,子 の 責 任 を う んぬ ん しなが ら,次 世 代 の 女 性 ら家 族 に任 せ っ き りにす る傾 向 が 根 強 くあ る こ とを批 判 した。 さ らに,こ の 問 題 を解 決 す る ため 介 護 保 険 制 度 を正 し く理 解 し,利 用 を促 進 す る こ と と,今 日 の 生 活 の 基 盤 を築 い て くれ た高 齢 者 た ちが 余 生 を有 意 義 に過 ごせ る よ う にす 17)「 朝 鮮 新 報 』2000年7月5日 。 18)「 朝 鮮 新 報 』2000年10月25日 。

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る こ とは,私 た ちの 世 代 の 責 務 で あ り,こ う した 社 会 の 構 築 は,次 世 代 の 責 務 で あ る と強 調 した19)。 さ らにそ の 記 事 で は,2000年 こ ろ か ら始 め られ た同胞 生 活 相 談 総合 セ ンタ ー 「江 戸 川 」 の 活 動 も伝 え て い た。 このセ ンター運営 の柱 として掲 げるのは, 生 活 相 談,文 化 活 動,情 報 提 供,行 政 との 窓 口,高 齢 者 デ イハ ウ ス 運 営 の5 つ で あ る。 同胞 に愛 され,信 頼 され る 同胞 の ため の セ ン ター で あ り,運 営 シ ス テ ムの 完 成 度 を高 め る ため,き め 細 か い サ ポ ー ト体 制 の 確 立,業 務 の 円滑 な推 進,同 胞 間の ネ ッ トワ ー ク網 の 確 立 な どを 目指 して い た。 さ らに,デ イ ハ ウス 「う りま だ ん」 の 運 営 に も,大 きな力 を入 れ,カ ラ オケ 教 室 ,パ ソコ ン体 験 教 室,気 功 教 室 な ど,毎 週 曜 日を決 め て 催 して い る。 ま た毎 月,誕 生 日を皆 で お 祝 っ た り,セ ミナ ーや イベ ン トを催 した り して,延 べ800人 以 上 の 高 齢 者 が これ まで に利 用 して い る と報 じ られ た2°)。 ま た,総 連 は民 団 と同様 に大 阪 府 下 にお い て は,各 地 支 部 が 持 って い る会 館 を使 い 高 齢 者 の 街 か どデ イハ ウス を運 営 して い た。 吹 田市 に は別 の 運 営 組 織 と して,民 団 と総 連 の 二 つ の 街 か どデ イハ ウス が 存 在 して い た 。 街 か どデ イハ ウス 「吹 田 トンボ マ ウル」(韓 国 ・朝鮮 語 で 同胞 村 の 意味)は,大 阪府 吹 田市 の 吹 田朝 鮮 会 館2階 に開 設 され,総 連 吹 田支 部 が 施 設 の 改 装 な どを行 い 行 政 の 認 定 を受 け る ため に準 備 した。 大 阪 府 が 施 策 し,吹 田市 が 推 進 す る街 か どデ イハ ウス 事 業 に参 加 す る形 で 発 足 した もの で あ る。 大 阪 府 と吹 田市 か ら合 わせ て 年 間約900万 円の 補 助 金 が 支 給 され る。 対 象 者 は,吹 田市 と摂 津 市 に居 住 す る65歳 以上 の 同胞 で 要介 護 の対 象者 とな らな い在 日コ リア ン高 齢 者 が,健 康 で 心 身 と もに 自立 した生 活 を送 れ る よ う手 助 けす る ため の 日帰 り 介 護 サ ー ビス を提 供 してい る21)。大 阪 府 で は ほか に も泉 州 北 同胞 生 活 相 談総 合 セ ン タ ー,八 尾 ・柏 原 セ ン タ ー事 業 が この 制 度 を利 用 して,そ れ ぞ れ の 事 務 19)「 朝 鮮 新 報 』2001年1月10日 。 20)「 朝 鮮 新 報 』2001年1月26日 。 21)「 朝 鮮 新 報 』2001年4月9日 。

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所 を 開放 し,高 齢 者 を対 象 に した街 か どデ イハ ウス 事 業 を実 施 して い た 。 2002年7月 の記 事 で は,介 護 保 険制 度 発 足 後2年 の 経 過 や その 問題 点 につ い て 報 じて い た。 そ の 内 容 は ,サ ービスを提供する人員や施設の整備 の遅れ, 低 所 得 者 へ の 配 慮 不 足 な ど,制 度 の 不 備 を指 摘 す る内 容 で,同 胞 高 齢 者 の 場 合 は これ に加 えて 制 度 問 題 に よ る無 年 金 高 齢 者 の 存 在 を は じめ,固 有 の 不 安 材 料 が あ る と伝 え た。 ま た,今 後 の 問 題 点 と して 浮 上 して い る問 題 点 を伝 え て い た。 一 つ 目の 問 題 は ,保 険 料 未 払 い に よ る給 付 制 限 の 対 象 者 が 後 を絶 た ない こ とで あ る。 年 金 の ない 高 齢 者 の 場 合,医 療 保 険 に上 乗 せ され て 介 護 保 険 料 を 納 め る こ とに な る。 未 払 い の 場 合,役 所 か ら督 促 状 ・納 付 書 が 郵 送 され て く るが,同 胞 高 齢 者 の 場 合,果 た して 開 封 して そ れ らに対 処 で きるか が 問 題 で あ っ た。 放 置 して い るケ ース が 多 い とい う。 介 護 サ ー ビス を受 けて い て も, 新 た に要 介 護 認 定 を 申請 す る場 合 も保 険 料 未 納 が 判 明 した場 合,第1号 被 保 険 者 の保 険料 納 入起 算 日(2000年10月)に さか の ぼ って納 め ない とサ ー ビス は受 け られ ない 。2年 以 上保 険料 を滞 納 す る と本 来 は1割 負 担 の 介護 サ ー ビス 利 用 料 が3割 に な る。 介 護 保 険 料 が 未 払 い に な る と,い ざサ ー ビス を受 け よ う と して も きつ い 縛 りが 待 って い るの で あ る。 二 つ 目の 問 題 は,同 胞 高 齢 者 の 財 産 管 理 能 力 の 問 題 で あ る。 高 齢 者 の 財 産 管 理 と して 地 域 福 祉 権 利 擁 護 制 度(民 法 の 成 年 後 見 制 度 を補 完 す る もの 。 認 知 症 高 齢 者 な ど自己 決 定 能 力 の 低 下 した人 の 福 祉 サ ー ビス)が あ り,高 齢 者 の 財 産 が 保 全 され る制 度 が 確 立 され つ つ あ る。 介 護 サ ー ビス を受 けて い る独 居 の 同胞 高 齢 者 が 高 額 な財 産 の持 ち主 で あ る こ とが わ か っ た最 近 の事 例 で は, 幸 い 身 内 の 方 が 最 終 的 に管理 す る こ とに な っ たた め大 事 に は至 らな か った が, 管 理 方 法 を巡 って は さ ま ざ ま な議 論 が あ っ た。 介 護 支 援 専 門員 が 利 用 者 の 財 産 を管 理 す る こ とにつ い て は論 議 され て い る とこ ろ だが,い ず れ に して も公 的 な制 度 を利 用 す るの が 無 難 で あ ろ う。 しか し,植 民 地 支 配 の 経 験 か ら行 政 に根 強 い 不 信 を持 つ 同胞 高齢 者 が 公 的 な制 度 を安 易 に利 用 す る とは思 え ない 。

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大 阪 府 の 調 査 で は,施 設 の 介 護 サ ー ビス につ い て 不 満 を述 べ る 同胞 高 齢 者 が 多 か っ た。 現 行(2002年)に お い て も,同 胞 高 齢 者 の 介 護 サ ー ビス の利 用 率 は 日本 人 よ りか な り低 い と され てい る。介 護 保 険 制 度が 強 制 加 入 で あ る以 上, 公 平 な利 用 を はか る ため に も今 後,同 胞 高 齢 者 を対 象 に した多 様 な介 護 サ ー ビス を行 う事 業 者 が 増 え る こ とが 望 まれ る22)。 2004年 に は,日 朝 首 脳 会 談 の影 響 に よ り拉 致 問題 をは じめ とす る 日朝 間の 問 題 や 核 ミサ イル とい っ た北 東 ア ジ ア地 域 の 平 和 や 安 全 保 障 上 の 問 題 等 につ い て 議 論 が 行 われ た。 特 に,拉 致 問 題 に よ り北 朝 鮮 と総 連 に対 す る非 難 の 声 が 高 ま る なか,総 連 の 第20回 全体 大 会 で は福 祉 事 業 につ い て次 の よ うに述 べ られ て い た。 まず 前 提 と して,長 引 く不 況 と拉 致 問 題 に端 を発 した民 族 的 差 別,同 胞 社 会 の 高 齢 化 な どに よ って,同 胞 の 生 活 が 以 前 に も増 して 困 難 を極 め て い る 中 で,同 胞 生 活 奉 仕 活 動 の 重 要 さが 増 して い る こ とが あ る。 そ の ため に,地 域 に設 け られ た 同胞 生 活 相 談 総 合 セ ン タ ー を通 じて 結 婚 や 就 職 各 種 生 活 問 題 や 法 的 問 題 に至 る まで,誠 実 に対 応 し解 決 して い くこ とが 重 要 で あ る。 特 に, 介 護 事 業 所,デ イハ ウス な どの 高 齢 者 福 祉 施 設 を支 部,地 域 に設 け る こ とや 同胞 高 齢 者 の 年 金 差 別 是 正 の ため の 運 動 を展 開 して い くこ とが 強 く求 め られ て い る23)。さ らに,同 年 の6月 に は,在 日 コ リア ン高齢 者 介 護 の 質 の 向上 を図 る ため,在 日コ リア ン高 齢 者 生 活 ネ ッ トワ ー ク 「ハ ナ」 が 設 立 され た。 在 日コ リア ン高 齢 者 生 活 支 援 ネ ッ トワ ー ク 「ハ ナ」 は,在 日コ リ ア ンの 高 齢 者 介 護 や 生 活 支 援 に携 わ る福 祉 施 設 職 員,研 究 者 らが 介 護 ノ ウハ ウ,事 業 経 験 や 知 識,情 報 を共 有 す る こ とで 生 活 支 援 の 質 の 向 上 を図 る 目的 で 設 立 さ れ た全 国で 初 め て の 組 織 で,事 務 局 は京 都 市 南 区のNPO法 人 「京 都 コ リ ア ン生 活 セ ン タ ーエ ル フ ァ」 に置 か れ た。 会 員 同士 の 交 流 会 や 研 修 会,施 設 訪 22)「 朝 鮮 新 報 』2002年7月3日 。 23)「 朝 鮮 新 報 』2004年10月7日 。

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問,シ ンポ ジ ウ ム な どを実 施 す る ほか,会 報 も発 行 して い る。 この ネ ッ トワ ー クの 結 成 は,同 胞 高 齢 者 支 援 活 動 を全 国 規 模 で 展 開 す る動 き と して 注 目さ れ る。 この 総 会 で は,共 同代 表 にエ ル フ ァの 鄭 禧 淳 理 事 長,四 国 学 院 大 学 社 会 福 祉 学 部 教 員 の 金 永 子 氏,社 会 福 祉 法 人 こ こ ろの 家 族 の サ 基 理 事 長 ら3人 が 選 ばれ た。 共 同代 表 の 鄭 理 事 長 は,「 施 設 やヘ ルパ ー の数 が 増 えて い る一 方 で,支 援 に 関 わ って い る人 た ちの 情 報 を共 有 す る場 が 少 な く,こ れ を どう にか した い と い う思 い が あ っ た」 と話 して い た。 ま た,サ 基 ・社 会 福 祉 法 人 「こ こ ろの 家 族 」 理 事 長 は,「 大 阪府 堺 市 に 高齢 者 福 祉 施 設,故 郷 の家 を開 設 して15年 目 に な る。 日本 社 会 で は在 日コ リア ン高 齢 者 らが 安 心 して 余 生 を過 ごせ る施 設 が ま だ ま だ少 ない 。 コ リア ン と して 生 きる ため の 文 化 を取 り入 れ る こ とが と て も重 要 で あ る。 ネ ッ トワ ー クで 情 報 を共 有 す る こ とに よ り,よ り良 い 福 祉 文 化 の 創 造 を 目指 したい 。」 と述 べ て い た24)。 介 護 事 業 所 と して は,NPO法 人 「ア リラ ン はん しん」(兵 庫 県 西宮 市)が 2004年12月 に開 設 され た。 そ の建 物 は,総 連兵 庫 ・西宮 支 部 の 一 階 を改修 し て 建 設 され た。 施 設 に は,オ ン ドルが 完 備 され,民 謡 が 歌 え る カ ラ オケ が 設 置 され て い る。 この 開 業 記念 式 に は,民 団兵 庫 の代 表が 祝 辞 を述べ,「 京 都 コ リア ン生 活 セ ン タ ーエ ル フ ァ」 の 鄭 理 事 長 が 記 念 講 演 を行 っ た。 名 称 に は, す べ て の 在 日コ リア ンが 訪 れ る こ との で きる場 を提 供 しよ う とい う思 いか ら, 朝 鮮 民 族 を象 徴 す る ア リ ラ ンが 用 い られ た。 敷 地 も,西 宮 地 域 同胞 の 心 の よ り どこ ろで あ っ た。 阪 神 朝 鮮 初 級 学 校(2001年3月,尼 崎朝 鮮 初 中級 学 校 に 統 廃 合)か ら 「は ん しん」 の 響 きを受 け継 い で い た。 民 族 教 育 を守 り,支 え て きた1世 の 恩 に報 い,同 胞 た ちの 新 た な心 の よ り どこ ろ,学 校 の 生 まれ 変 わ りの 存 在 に しよ う との 思 い が 込 め られ て い る25)。 24)「 朝 鮮 新 報 』2004年1月4日 。 25)「 朝 鮮 新 報 』2004年12月25日 。

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2005年,総 連 は,民 族 教 育 事 業 と同胞 生 活 奉 仕,福 祉 活動 の貴 重 な経 験 を 積 極 的 に一 般 化 し,拡 大 して い く方 針 を表 明 して い た。 そ の 中で 福 祉 事 業 に 関 して 次 の よ う に述 べ られ て い た。 高 齢 社 会 とな っ た 日本 で は,老 人 介護 問題 が 深 刻 な社 会 問 題 とな っ てお り, 在 日同胞 社 会 の どの 家 庭 で も両 親 の 老 後 と介 護 問 題 が 切 迫 した生 活 上 の 問 題 と して 浮 上 して い る。 しか し,高 齢 の 同胞 た ち は福 祉 面 で も民 族 差 別 を受 け て お り,日 本 の 介 護 施 設 に入 っ た と して も言 葉 と風 習,食 生 活 と文 化 の 違 い に よ り孤 独 に過 ご して い る。 私 た ち は,同 胞 社 会 が 切 実 に望 んで い る高 齢 同 胞 奉 仕 事 業 の た め に 同胞 高 齢 者 の ため の 施 設 を拡 大 し,全 組 織 で 高 齢 同胞 の ため の 福 祉 事 業 体 系 を確 立 す る26)。 2006年 に は,兵 庫 ・西 神 戸 地 域 で高 齢 同胞 を支 援 して い るNPO法 人 「コ リア ン生 活 セ ンタ ー イ オ(韓 国 ・朝 鮮 語 で 「繋 ぐ」 の 意 味)神 戸 」 の デ イサ ー ビス施 設 が 開設 され た 。デ イサ ー ビス を行 う県 下の高齢福 祉施 設 として は,2004年12月 にオ ー プ ン した 「ア リ ラ ンは ん しん」 に続 き2番 目 とな る。 100坪 の 敷 地 面積 にオ ン ドル と畳,健 康 ・運 動 器具,ベ ッ ド,車 椅 子,2カ 所 の 浴 室,カ ラ オケ,ビ デ オ装 置 な どを整 備 した。 す で に体 験 利 用 が 行 われ 契 約 率 は100%と な っ た。 そ の う ち半 数 が 男 性 で,灘 区や 明 石 市 の 同胞 だが, 日本 人 の 契 約 者 もい る。 イ オ神 戸 とい う名 称 に は,わ れ われ を育 て て くれ た 1世 に感 謝 し,1世 の 同胞 た ちが築 い た伝 統 と相 互 扶 助 の温 か い 同胞 社 会 を継 承 して い こ う とい う思 い が 込 め られ て い る と金 理 事 長 は語 る27)。 2007年 に は東 京 都 足 立 区 の東 京 朝 鮮 第4初 中級 学 校 で デ イサ ー ビス セ ンタ ー 「朝 日」 が 開 設 され た。 この デ イサ ー ビス の 特 徴 は,総 連 結 成 以 来,初 め て 民 族 学 校 に開 設 され た教 育,福 祉 事 業 をす る複 合 施 設 で あ る こ と と,東 京 の 総 連 支 部 の 中で,都 行 政 の 許 可 申請 を受 け初 め て 介 護 保 険 が 適 用 され る高 齢 者福 祉 施 設 で あ る こ とで あ っ た28)。さ らに,大 阪 にお い て は在 日 コ リア ンの 26)「 朝鮮 新報』2005年9月27日 。 27)「 朝鮮 新報』2006年9月8日 。 28)「 朝鮮 新報』2007年4月20日 。

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福 祉 を考 え る学 習 会 が 開 か れ 介 護 保 険 施 設 入 所,老 人 医 療,福 祉 給 付 金 な どを テ ーマ に して い た。 主 催 は,NPO法 人 「同胞 生 活 セ ンター 」 で あ る。 この 学 習 会 で は,高 齢 者 の 実 態 調 査 を踏 ま え,同 胞 高 齢 者 が 求 め る福 祉 サ ー ビス の あ り方,支 援 者 の 役 割 につ い て 講 演 が 行 われ た。 特 に,大 阪 市 生 野 区 A地 区在 住 の 高 齢 者(65歳 以 上)494人(有 効 回答 日本 人221人,在 日コ リ ア ン204人)を 対 象 と した この 調 査 で は,平 均 年 齢 男 女 比 で の 差 は なか っ た もの の,高 血 圧,脳 卒 中,心 筋 梗 塞,糖 尿 病 な ど生 活 習 慣 病 の 罹 患 率, 抑 うつ,転 倒 の 割 合 及 び 「生 きが い が な い」 と答 え た在 日コ リア ン高 齢 者 が, 日本 人 高 齢 者 に比 べ て 多 い こ とが 判 明 し,ま た,就 学 年 数 識 字 率,年 金 受 給 率 や基本 的お よび手段 的ADL(ActivitiesofDailyLiving,日 常 生 活動 作), QOL(QualityofLife,生 活 の 質)の 各 項 目にお い て,日 本 人 の そ れ よ り有 意 に低 い 結 果 が 出 た こ とな どにつ い て,講 演 の 中で 報 告 が な され た。 ま た, 福 祉 とい う制 度 を考 え た場 合,基 本 的 に は在 日同胞 が 利 用 で きない 制 度 は な い が,介 護 保 険 利 用 に際 して は経 済 面 の 問 題 に加 え,介 護 保 険 施 設 や デ イサ ー ビス にお け るヘ ルパ ーが 日本 人 で あ る こ とか ら利 用 を抑 制 して い る可 能 性 を示 唆 し,介 護 保 険 制 度 以 外 の 高 齢 者 福 祉 サ ー ビス に参 加 しに くい 状 況 が 横 た わ って い る と指 摘 した。 そ して,民 族 の 独 自性 を持 たせ た高 齢 者 福 祉 サ ー ビス,介 護 保 険 サ ー ビス の 必 要 性 を講 師 は提 言 した29)。 また,愛 知 県 で は愛 知 同胞福 祉 連 絡 会 を発足 させ,2カ 月 に1回 ず つ の定 例 会 を始 め た。NPO法 人 「コ リ ア ンネ ッ トあ い ち」 事 務 局 長 の 話 に よ る と, 介 護 保 険 導 入 前,高 齢 者 福 祉 とい え ば 自立 支 援 とい う観 点 よ り も,特 別 養 護 老 人 ホ ー ムの 建 設 とい う認 識 が 強 か っ た。 焦 る必 要 は ない,ど うせ 遅 い ス タ ー トなの だか ら,情 報 交 換 や 学 習 会 な どで きる こ とか らや ろ う と連 絡 会 の 方 向 づ けが な され た。 そ して,福 祉 連 絡 会 は,愛 知 朝 鮮 学 校 セ ミナー,介 護 教 室 な どを企 画 した り,福 祉 有 資 格 者 連 絡 会 の 発 足 を呼 びか け た り,あ い ち ム 29)「 朝 鮮 新 報 』2007年10月29日 。

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ジ ゲ(韓 国 ・朝 鮮 語 で 「虹 」 の 意 味)会 の 支 援 な ど,草 の 根 的 な 活 動 を して き た 。NPO法 人 「コ リ ア ン ネ ッ トあ い ち 」 の 介 護 保 険 事 業 と して 始 め た デ イ サ ー ビ ス セ ン タ ー 「い こ い の マ ダ ン 」 も4年 目 を 迎 え て い る 。 「い こ い の マ ダ ン 」 の 開 設 に お い て,最 も苦 心 し た こ と は 人 材 確 保 で あ る 。 経 験 者 は 誰 一 人 と して い な か っ た 。 さ ら に,在 日 同 胞 社 会 の 福 祉 を 考 え る う え で 大 切 な の は,民 族 性 を 重 ん じ た 福 祉 体 系 を 作 りで あ り,日 本 の 制 度 を 利 用 し な が ら在 日 コ リ ア ンの ア イ デ ン テ ィ テ ィ,オ リ ジ ナ リ テ ィ を 日本 の 社 会 に 発 信 し,理 解 と協 力 を 得 て い く こ とで あ る 。 真 の 共 生 は 何 よ り も朝 鮮 人 と して 堂 々 と生 きて い く こ とで あ る 。 そ して,「 コ リ ア ン ネ ッ トあ い ち 」 で は,「 い こ い の マ ダ ン」 で の レ ク リエ ー シ ョ ンの 紹 介 を 含 め た 報 告 集 を 発 行 し た3°)。 2008年 に は,高 齢 者 介 護 に お け る 各 地 の 取 り組 み が 紹 介 さ れ た 。 さ ら に, 高 齢 者 の 意 識 とニ ー ズ に 関 す る ア ン ケ ー トの 結 果 も載 せ られ た 。 こ の 調 査 は, 日本 各 地 の10代 か ら80代284人(男 性130人,女 性154人)の 同 胞 を 対 象 と し た 朝 鮮 大 学 校 短 期 学 部 に よ る もの で2006年7月 に 行 わ れ た 。 「同 胞 に よ る 同 胞 の た め の 高 齢 者 福 祉 施 設 が あ っ た ほ う が 望 ま しい 」 と 回 答 し た の は 全 体 の89%に 上 っ た 。 ま た,「 家 族 」 「自 身 」 が 介 護 を 必 要 とす る よ う に な っ た ら ど う す る か との 設 問 に 対 して 「同 胞 の た め の 施 設 が 近 く に あ れ ば そ れ を 利 用 す る 」 が そ れ ぞ れ48%,39%で ト ッ プ,次 い で 「少 し遠 く て も 同 胞 施 設 を 利 用 す る 」 が そ れ ぞ れ14%,15%で,「 近 く に あ る 日本 の 施 設 を 利 用 す る 」 (そ れ ぞ れ13%,14%)を 上 回 っ た 。 「総 連 の 福 祉 活 動 に つ い て 」 は 「非 常 に よ い こ と」 との 回 答 が73%で,福 祉 活 動 の ニ ー ズ は よ りい っ そ う 深 ま っ て い る こ とが う か が え る 。 現 世 代 の 回 答 と鑑 み れ ば 少 な く と も今 後50年 に わ た り,そ の 需 要 は 高 ま り続 け る と考 え る こ と もで き る31)。 そ の 後,現 在 に 至 る ま で 総 連 の 介 護 支 援 活 動 は,主 に 京 都 と兵 庫,愛 知 な 30)「 朝 鮮 新 報 』2007年4月16日 。 31)「 朝 鮮 新 報 』2008年2月18日 。

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どを 中心 に福 祉 事 業 を推 進 して きた。 総 連 は地 域 の 民 族 学 校 と連 携 し人 材 の 育 成 や 地 域 に求 め られ た小 規 模 の 福 祉 事 業(通 所 介 護 サ ー ビス 事 業)実 績 を 積 み 重 ね て きたの で あ る。 第3節 ウ リ式 の 介 護 の 現 状 と課 題 本 節 で は,2節 で 紹 介 した ウ リ式 の 介 護 の 現 状 と課題 を明 らか にす る ため, 総 連 の 高 齢 福 祉 事 業 の 先 駆 的 なモ デ ル と も言 え るエ ル フ ァの 福 祉 事 業 を紹 介 し,さ らに,エ ル フ ァが 活 動 して い る京 都 地域 にお け る 「モ ア(more)ネ ッ ト」 の 活 動 を民 族 介 護 モ デ ル と して 紹 介 し,ウ リ式 介 護 ない し民 族 介 護 の 現 状 と課 題 を検 討 しよ う。 京 都 コ リア ン生 活 セ ン タ ーエ ル フ ァ は,在 日コ リア ン を は じめ とす る外 国 籍 住 民 と地 域 住 民 の ため の ボ ラ ン テ ィ ア活 動 と事 業 を行 い,京 都 府 民 と して 地 域社 会 に貢 献 す る こ とを 目的 と して,2001年3月28日 に京 都 市南 区 に開設 され た。 そ の 前 身で あ る エ ル フ ァは1998年,医 療 法 人居 宅サ ー ビス事 業 所 と して 伏 見 区 に開 設 され た。 多 くの 在 日コ リ ア ンに充 実 した 専 門的 な福 祉 サ ー ビス を提 供 す る こ とを 目的 と したエ ル フ ァ は,憩 い の 場 と して の 「ハ ナマ ダ ン」 を提 供 しなが ら,主 に 同胞 高 齢 者 に 日帰 りサ ー ビス や,介 護 が 必 要 な 同 胞 高 齢 者 に ホ ー ムヘ ル パ ー を派 遣 す る な どの サ ー ビス を実 施 して い た。 2000年4月 か らス タ ー トした介 護 保 険 制 度 を 目前 に し,1999年ll月 に京 都 府 か ら介 護 保 険 の 準 備 指 定 を受 け た居 宅 サ ー ビス 事 業 所 エ ル フ ァ は,ホ ー ムヘ ルパ ー派 遣 の 準 備 を着 々 と進 め て い た。 また,月1回 の勉 強会 で は,「 不 安 と孤 独 を誇 り とや りが い に変 え る」 をモ ッ トー に,同 胞 ヘ ルパ ー の 役 割 家 事 介 護 ・身 体 介 護 につ い て,同 胞 高 齢 者 の 特 性 な どの テー マ を取 り上 げて きた32)。 介護 保 険制 度 実施 か ら5カ 月が 過 ぎた2000年9月,エ ル ファで は,ヘ ルパ ー 32)「 朝 鮮 新 報 』2000年3月10日 。

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養 成 講 座 を8月 か ら毎 週 水 曜 日に開 か れ て い た。 主 催 は,居 宅 サ ー ビス 事 業 所 の エ ル フ ァ と社 会 福 祉 法 人 く ら しの ハ ーモ ニ ーの 共 催 で あ っ た。 開 校 式 で は,エ ル フ ァの 管 理 責 任 者 鄭 禧 淳 氏 が 在 日朝 鮮 人 高 齢 者 の 歴 史 と現 状 につ い で 講 演 し,そ の 後 は,日 本 人 専 門家 資 格 保 持 者 らが 講 師 と して 登 場 し,サ ー ビス 提 供 の 基 本 視 点 や 職 業 倫 理 リハ ビ リテ ー シ ョン医 療 の 基 礎 知 識 在 宅 介 護 の 基 礎 知 識 や 家 事 援 助 の 方 法,基 本 介 護 技 術 な どが 学 ばれ た。 そ して 最 後 に は 同胞 専 門家 が,「 在 日要介 護 高 齢 者 の現 状 と課 題 」 と題 して 講演 を行 っ た33)。 しか し,当 初 は利 用 者 が 伸 び なか っ た。 府 下 の 総 連 支 部 に1万 枚 の チ ラ シ を配 っ た り,個 別 訪 問 した りし,対 象 者 の掘 り起 こ しに努 め た。136人 を訪 ね たが,介 護 保 険 に対 す る認 知 は低 か っ た。 植 民 地 支 配 で 苦 渋 を味 わ っ た1世 の 行 政 サ ー ビス に対 す る不 信 は根 強 い もの で あ っ た。 同時 に,同 胞 社 会 の 関 心 を喚 起 しよ う と,在 日同胞 と介 護保 険 な どをテ ー マ に40回 以 上 講演 を行 っ て い た34)。 エ ル フ ァが 進 め る介 護 サ ー ビス の 柱 は,デ イサ ー ビス(通 所 介 護 事 業)と ホ ー ムヘ ルパ ー派 遣 事 業 の2つ で あ っ た。 エ ル フ ァに登 録 して い る42人 の 同 胞 ヘ ルパ ー た ちが 事 業 を支 えて い た。 さ らに,同 胞 高 齢 者 の 特 性 に合 わせ た ウ リ式 デ イサ ー ビス の あ り方 につ い て も研 究 を重 ね て きた。 行 われ て きた勉 強 会 で は,同 胞 ヘ ル パ ー の役 割,同 胞 高齢 者 の 特性 な どの テー マ を取 り上 げ, そ れ ぞ れ が 経 験 した介 護 の 体 験 も話 し合 い なが ら,討 論 を重 ね た。 そ こで 導 き出 した,ウ リ式 デ イサ ー ビス に必 要 な5要 素 は 「ウ リ友 達 ・ウ リ食 べ 物 ・ ウ リ遊 び ・ウ リ環 境 ・ウ リ歌 」 で あ りこれ に基 づ い て,同 胞 独 自の デ イハ ウ ス の プ ロ グ ラ ムが つ く られ た。 例 え ば 体 操 の 歌 と して 流 れ るエ ル フ ァ タ リ ョン(打 令:李 氏 朝 鮮 に成 立 した民 族 芸 能 で あ るパ ン ソ リの ジ ャ ン ルの 一 つ で あ る)は,ス タ ッフが 作 詞 作 曲 し歌 って い た。 さ らに,朝 鮮 料 理 や 朝 鮮 式 33)「 朝 鮮 新 報 』2001年4月18日 。 34)「 朝 鮮 新 報 』2001年10月15日 。

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の 遊 び,朝 鮮 風 の 飾 り,朝 鮮 語 で の 体 操 な ど,同 胞 高 齢 者 の ニ ー ズ に合 った サ ー ビス が 工 夫 され,そ れ が 利 用 者 の 増 加 につ なが って い た。 高 齢 化 した1世 は 日本 語 が 不 自 由で,母 語 と して 身 につ け た朝 鮮 語 しか 話 せ ない 人 も多 い 。 ま た,食 生 活 を は じめ とす る生 活 習 置 も日本 人 とは異 な る。 加 えて,無 年 金 状 態 に置 か れ た 同胞 の 保 険 料 を どう捻 出す るか,と い う問 題 もあ っ た。 つ ま り,介 護 サ ー ビス を充 実 させ る ため に は,同 胞 高 齢 者 の 歴 史 と現 状 を踏 ま え た対 応 が 必 要 だ っ たの で あ る。 朝 鮮 語 を話 せ,民 族 の 風 習 に 明 る く,朝 鮮 の 料 理 を作 れ る,そ ん な 同胞 高 齢 者 の 現 状 に精 通 した 人 材 を作 る こ とを 目標 と して い た35)。 2001年 に は,エ ル フ ァが 毎 日介 護 賞 を受 賞 し た。 介 護 賞 を 受 賞 した の は, 福 祉 の 目が 届 きに くい 同胞1世 に故 郷 の 言 葉 や 文 化 を取 り入 れ た介 護 サ ー ビ ス を実 施 した点 にあ っ たが,日 本 人 移 民 の 介 護 を は じめ,今 後 世 界 各 地 で 起 きるで あ ろ う 同様 の 問 題 に も応 用 で きる と評 価 され たの で あ っ た36)。 エ ル フ ァは,2002年,宇 治 市 ・ウ トロ地 域 に 同胞 高 齢 者 向 けの デ イサ ー ビ ス 施 設 「ハ ナマ ダ ン南 京 都 」 を開 設 した。 ウ トロ地 域 は,在 日コ リ ア ンの 密 集 地 域 で 日本 の 侵 略 戦 争 遂 行 の ため の 飛 行 場 建 設 に駆 り出 され た 同胞 が,解 放 後 もそ の ま ま住 む よ うに なっ た地 域 と して知 られて い るが,2001年11月 の 最 高 裁 判 所 の 上 告 棄 却 決 定 に よ り住 民 全 員 の 退 去 判 決 が 確 定 され た。 同胞 高 齢 者 た ち はい つ 住 まい を奪 われ るか わか らない 危 機 に さ らされ て い た。 ウ ト ロ に住 む68世 帯 中,36世 帯 が 高 齢 者 世 帯 で,12世 帯 が 独 居 老 人 単 身 世 帯 で あ る37)。 2003年 に は,NPO法 人 「京 都 コ リア ン生 活 セ ンター エ ル フ ァ」 の3号 店 と して,「 ハ ナ マ ダ ン洛北 」 が オ ー プ ン した 。 定員 は15人 で 火,木,土 曜 日 の 週3回 活 動 を行 って い る。 職 員 は6人 で 高 齢 者 の 送 迎 や 入 浴 サ ー ビス,朝 35)「 朝 鮮 新 報 』2001年8月6日 。 36)「 朝 鮮 新 報 』2001年10月15日 。 37)「 朝 鮮 新 報 』2002年6月21日 。

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鮮 料 理 の 食 事,ス トレ ッチ 体 操 や 朝 鮮 の 歌,作 業 療 法 な どの レク リエ ー シ ョ ンを行 う。 エ ル フ ァ設 立 か ら10年 を迎 え た2010年 に は,京 都 の 北 区小 松 原 に も 「ハ ナマ ダ ン洛 北 」 を開 設 し,サ ー ビス の 範 囲 を拡 大 した。 エ ル フ ァは,民 族 に よ る介 護 を実 践 す る ため,そ の 人 材 育 成 に も力 を入 れ て い た。 「同胞 の こ とは 同胞 が 一番 よ く分 か る」 とい う発想 か ら,同 民 族 の介 護 人材 を育 成 して い た。 前 述 の よ うに,通 所 介 護事 業 に お ける訪 問介 護 員(ホ ー ムヘ ル パ ー)育 成 教 育 と民 族 教 育 を受 けて い た人 を採 用 して い る。 そ の 民 族 福 祉 教 育 を担 って い たの が,朝 鮮 大 学 で あ る。 朝 鮮 大 学 は,在 日コ リ ア ン向 けの 民 族 学 校 と して位 置 づ け られ,2003年 に 創 設 され た朝 鮮 大 学 の 短 期 学 部 は,在 日コ リア ン高 齢 化 社 会 を取 り巻 く環 境 の 変 化 に即 して,生 活 科 学 科 に福 祉 コ ース を新 た に導 入 した。 そ の コー スで は,民 族 同胞 の 高 齢 化 が 進 む現 状 に対 応 し,専 門知 識 と技 術 を有 す る福 祉 専 門家 を養 成 す る こ とを 目的 と して い た。 介 護 福 祉 士 を は じめ とす る福 祉 専 門 家 の 養 成 専 門学 校 は 日本 に もた くさ んあ り,資 格 取 得 者 も増 えて い るが,在 日コ リ ア ン民 族 につ い て よ く知 り,同 胞 高 齢 者 を心 か ら理 解 し,活 動 して い る福 祉 専 門家 は多 くない 。 この よ う な事 情 を考 慮 し,朝 鮮 大 学 校 で は短 期 学 部 の 生活 科 学 科 に福 祉 コ ース を導 入 したの で あ る38)。なお,NPO法 人 京都 コ リア ン生 活 セ ン タ ーエ ル フ ァの 介 護 サ ー ビス 事 業 に よ る現 在 の 実 績 は表1に 示 され る。 表1NPO法 人 京 都 コ リア ン 生 活 セ ン タ ー エ ル フ ァ の 事 業 内 容 サ ー ビ ス 介 護 サ ー ビ ス 事 業 所 職 員 対象 者 実 施 日時 間 訪 問介護 訪 問 介 護 事 業 所 エ ル フ ァ 28 82 毎(月 ∼ 土) 居 宅介護 居 宅 介 護 支 援 事 業 所 エ ル フ ァ 2 73 毎(月 ∼ 土) 通所 介護 ハ ナ マ ダ ン 東 九 条 ハ ナ マ ダ ン 南 京 都 ハ ナ マ ダ ン 洛 北 ハ ナ マ ダ ン 洛 西 14 4 10 5 60 13 41 29 毎(月 ∼ 土) 火 ・ 木 ・金 毎(月 ∼ 土) 毎(月 ∼ 土) 出 所:エ ル ファ2011年 度 事 業 報 告 書(https://canpan.info/index_view.do)の 一 部 抜 粋 38)「 朝 鮮 新 報 』2004年12月12日 。

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現 在 の エ ル フ ァは,多 くの 団 体 に よ って 人 権 研 修 の 場 と して 利 用 され て い る。 具 体 的 に は,民 族 学校(朝 鮮 学校)の 生 徒 らに よる慰 問,大 学 の研 究 者, 日本 学 校 の 教 員 な どの 研 修 が ほ とん どで あ る。 さ らに 韓 国 か らは,宗 教 者, 歌 手,学 生 な どが 韓 日の 国際 交 流 の 一 環 と して 訪 問 して い る。 とこ ろが,在 日コ リア ン(在 日韓 国 ・朝 鮮 人)と い う名 称 に は,用 語 自体 に分 断 体 制 が 反 映 され て お り,政 治 的 体 制 の 次 元 で 区分 しよ う とす る傾 向 が あ る。 民 団 と総 連 の 介 護 支 援 活 動 を広 報 す る民 団 新 聞 と朝 鮮 新 報 を見 る と,エ ル フ ァの 活 動 につ い て は民 団新 聞 に は記 事 化 され ない 傾 向 が あ り,ま た,朝 鮮 新 報 に は故 郷 の 家 の 活 動 は見 あ た らない の で あ る。 す な わ ち,目 に見 え ない 思 想 の 区別 に よ り,在 日コ リア ン高 齢 者 の 介 護 現 場 は二 分 化 され て きたの は否 定 で きな い 。 しか し,福 祉 の 対 象 者 で あ る高 齢 者 と高 齢 者 を支 えて い る福 祉 現 場 の 人 た ち に とって そ の よ う な 区別 は無 意 味 で あ るが,エ ル フ ァ に は韓 国 政 府 か ら の 支 援 が 届 か ない の で あ る。 しか し,そ の 区別 を乗 り越 え る動 きが あ る。 国 際 都 市,京 都 に は,在 住 す る外 国 人高 齢 者 や 障害 者 の 生 活支 援 や 人 権擁 護 を 目的 と した ネ ッ トワ ー ク 「京 都 モ ア(more)ネ ッ ト」 が2006年 に立 ち上 が った 。 設立 の 集 い は,京 都 市 中 京 区の ハ ー トピ ア京 都 で 行 われ,総 連 京 都 府 本 部 の 金 学 福 委 員 長,民 団 京 都 府 地 方本 部 の金 有作 団長 を は じめ,200余 人 が参 加 した 。集 い で は8人 の呼 び か け人 が 紹 介 され,設 立 の 経 過 報 告,共 同代 表 と運 営 委 員 の 選 出 と採 択 な ど が 行 われ た。 総 連 と民 団 の 各 種 団 体 お よ び個 人 が 共 に外 国 人 の 福 祉 に関 わ る 同 ネ ッ トワ ー クの 設 立 は,都 道 府 県 単 位 で は全 国 初 とな る。 京 都 府 で は,2005年 よ り在 日 コ リア ン各 団体 と,福 祉 事 業 を展 開 す るNP O法 人,日 本 人,京 都 市 行 政 とで,外 国 人 高 齢 者,障 害 者 の ため の 無 年 金 問 題,言 葉 の 問 題 等 の 解 決 に向 けて,ま た平 等 か つ 外 国 人 の 現 状 に即 した行 政 サ ー ビス が 円滑 に受 け られ る よう,さ らに,多 文 化 共生 社 会 実 現促 進 の ため, 幾 度 も討 議 が 重 ね られ た。 そ の 結 果,福 祉,保 健,医 療 な どの 相 談 員 の 育 成 と支 援 を主 な活 動 目的 と した事 業 を共 に協 働 し展 開 して い くこ とを確 認 した 。

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この 事 業 を よ り迅 速 に,よ り広 範 に展 開 で きる よ う に作 られ た ネ ッ トワー ク が 「京 都 モ ア(more)ネ ッ ト」 なの で あ る39)。 「京 都 モ ア(more)ネ ッ ト」 は,京 都 在住 の外 国人,と りわ け障 害者 や 高 齢 者 に情 報 が 行 き届 か ない ため に福 祉 サ ー ビ ス を受 け られ て い ない 現 状 を踏 ま え,孤 立 して しま って い る外 国 人 に対 して,訪 問 に よ る相 談 支 援 や 見 守 り 支 援 を行 って い る。 そ して,外 国 人 福 祉 委 員 と地 域 の 民 生 児 童 委 員,老 人 福 祉 委 員 な ど,住 民 の 方 々 との つ なが りを作 りつ つ,地 域 で 支 え られ る体 制 を 構 築 し,地 域 福 祉 力 を育 て る こ とを 目的 と して い る。 民 生 委 員 につ い て は,筆 者 も別 稿 で 指 摘 した よ う に,国 籍 条 件 に よ り選 挙 権 を持 た な い在 日 コ リア ンは選 ば れ る資 格 が な い4°)。そ の問 題 は い ま だ に解 決 され て はい ない の だが,外 国人 福 祉 委 員 の 活 動 に よ り,在 日コ リア ン高 齢 者 へ の 介 護 支 援 が よ り可 能 に な る こ とを期 待 したい 。 もち ろ ん,資 格の問題の み な らず,養 成 課 程 の 教 育 内 容 を充 実 す る こ とが 継 続 的 な運 営 に もつ なが る で あ ろ う。 外 国人 福 祉 委 員 養 成 講 座 の 内 容 は表2の とお りで あ る。 表2外 国人福 祉委 員養 成講 座 講 座 内 容 在 日外 国 人 に 対 す る 福 祉 の あ りか た とモ ア ネ ッ トの 設 立 過 程 在 日外 国 人 の 社 会 保 障 の歴 史 、 今 後 の 趨 勢 と 課 題 外 国 人 福 祉 委 員 の 必 要 性 と具 体 的 な 活 動 内 容 に っ い て 外 国 人 福 祉 イ ン ク ル ー シ ブ コ ミ ュ ニ テ ィ と 多 文 化 共 生 社 会 委 員 高 齢 者 に対 す る 理 解 ∼ 高 齢 者 の 尊 厳 と生 き が い 障 害 者 に対 す る 生 活 支 援 の 理 解 相 談 支 援 活 動 の 心 構 え に つ い て 今 後 の 多 文 化 共 生 社 会 の あ り方 と 求 め られ る も の 出 所:http://www.kyoto-more.net/hosyu.htm(2011.10.30参 照),筆 者 作 成 39)「 朝鮮 新報 』2006年3月23日 。 40)趙 文 基 「在 日 コ リア ン高 齢 者 の 介護 問題:二 つ の社 会 調 査 に も とつ い て 」 「桃 山学 院大 学 社会 学 論 集』 第43巻 第1号,桃 山 学 院 大 学 総合 研 究所,2009,62頁 。

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外 国 人福 祉 委 員 に は,「 京 都 モ ア(more)ネ ッ ト」 が 主 管 す る 「外 国人福 祉 委 員 養 成講 座 」 をすべ て履 修 した 人 に任 命 され る。 「外 国人福 祉 委員 養 成講 座 」 は外 国人 の 社 会 的 ・歴 史的 背 景 を深 く理 解 す る と と もに,対 象 者 に対 す る訪 問 ・傾 聴 ・生 活 支 援 の 在 り方 や そ の 心 構 え を認 識 す る こ とを基 本 的 課 題 して 行 って い る。 対 象 とな る外 国 人高 齢 者 ・障害 者 の 定期 的 な見 守 り ・安 否確 認 ・ 傾 聴 活 動 や 対 象 者 の 生 活 状 態 を把 握,孤 立 を防 ぎ適 切 な生 活 支 援 を行 い,今 後 起 こ りう る問 題 な どを未 然 に防 ぐため の 提 案 活 動 で あ る。2011年,現 在 約 100人 余 りの 外 国 人福 祉 委 員 が登 録 され 活 動 して い る。 お わ りに 筆 者 は,在 日コ リア ン民 族 団 体 に よ る 同民 族 の 高 齢 者 へ の 介 護 支 援 活 動 を 研 究 して きた。 本 稿 で は,介 護 保 険 制 度 実 施 以 来 の 総 連 の 介 護 支 援 活 動 につ い て 検 討 を行 い,介 護 支援 活 動 の歴 史 的展 開 を探 り,現 状 と課 題 を把 握 した 。 まず,そ の 歴 史 的 展 開 の 一 端 を,海 外 公 民 と して 活 動 して きた総 連 に焦 点 を合 わせ て 紹 介 した。 ま た,総 連 は,民 族 性 を守 り,生 活 と権 利 を擁 護 す る 運 動 の 一 環 と して 高 齢 者 へ の 介 護 支 援 活 動 を拡 大 して きた。 す な わ ち,民 族 学 校(朝 鮮 学 校)と の 連 携 を強 め,民 族 教 育 を受 けて きた介 護 人 材 を積 極 的 に採 用 し,介 護 現 場 で 活 動 させ て きたで あ る。 そ の 中で も筆 者 は,京 都 にお け るエ ル フ ァの 活 動 に注 目 した。 エ ル フ ァの ウ リ式 デ イサ ー ビス は,在 日コ リ ア ン高 齢 者 が 介 護 保 険 を利 用 す る にあ た って の 問 題 で あ る言 葉 の 壁 文 化 の 差 異 を解 決 す る ため,ウ リ式 の 介 護 の5要 素 を取 り入 れ て い た。 そ の ウ リ 式 の 介 護(ウ リ友 達 ・ウ リ食 べ 物 ・ウ リ遊 び ・ウ リ環 境 ・ウ リ歌)は,在 日 コ リア ン高 齢 者 の 介 護 に よ る不 安 と孤 独 を誇 り とや りが い に変 え るモ ッ トー とな って い た。 こ う して 本 稿 は,総 連 の 在 日コ リア ン高 齢 者 へ の 介 護 支 援 活 動 にお け る, 民 族 教 育 と福 祉 事 業 を強 調 した介 護 支 援 活 動 の 可 能 性 を示 す と と もに,在 日 コ リ ア ンの 高 齢 者 の 介 護 現 場 が 政 治 的 体 制 の 次 元 に よ り二 分 化 され る傾 向 を

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