幼児の数認識における3から4への移行過程について
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(2) . 幼児の数認識における3から4への移行過程 について. 内. は. じ. め. 島. 貞. 雄・水. 谷. 秀. 和. に. 幼児期 に事物と数を正確 に一 対一 に対応できるようにすることは, その後の数の教育を成立させ. る根本であるといえよう. ところで, 幼児は同一 のものを認知する能力を基礎としなが ら, 3歳前後までに2(ふたつ) およ. び3(みっ つ)の数について理解するようになる. この段階では幼児の集合数の理解は直観的な性格 が強く, 形状にまとまりがない個物では混乱を起こす. また, 4以上のものは「いっ ぱい」などのこ とばで総称される, そして, この段階から次に4とし・う数が理解されるようになるまでに半年から. 1年の期間を要するが,4が理解されるとほぼ同時か少 し遅れて5あるいは6も獲得され, それ以上 の数の理解も可能となる. つまり,幼児の数認識において,3から4への移行にはかなり大きな質的変化 が伴ってし・ると考 え られるのである, 本研究ではこの移行過程について考察したいと思う, また, 障害児教育の分野では一対一対応を形成するために, 形と色の分析・総合, 量 (大きさ,. 長さ, 重さ) や空間をとらえる力の形成を試みている が, 幼児も数認識と並行してこれらの能力を 獲得していっている, そこで, こうした諸能力の獲得との関連をみることで, 数認識の移行過程を より深く分析してみたいと思う. さらに,4個以上のものをとらえる際にも直観的な面 は関与してい ると考 えられるので記憶能力との関係もみることにしたい.. 1 方. 法. 以上の課題を明らかにするため, 3歳後半から4歳前半の幼児を対象に, ①数の認識 に関する課 題, ②色・形・大きさに関する課題, ③記憶 に関する課題からなる実験を実施した. 1. 実験課題 ある数, 例 えば3を理解しているということは, 3個の個物に対して3(みっ つ) と言 えるだ けで なく, 自分で3の集合物を作れるということである, そこで, 予備実験をふま えて, 以下の実験課. 題を設定 した, 1. 数の認識に関する課題 69.
(3) . 内島貞雄・水谷秀和. 〈使用道具〉 正方形タイル(一辺4.5cm, 青色および桃色) , 園備 えつけの ブロック(タイルと同 程度の大きさのもの, 2色) , 鉛筆. A 集合数の個数表示問題 A, 同 一 の個物を用 いた場合. α : 形 状 にま と ま り の あ る個 物 (ブ ロ ッ ク .ま た はタ イ ル を 使 用). β: 形状にまとまり のない個物 (鉛筆を使用) A2 混成物を用 いた場合 (ブロック, タイル 鉛筆を使用) , B 指定された個数を集合体 から取り除く作業 問題 (A と同様 に B,一α・β , B2の課題を設定). B3 混成物を用いた集合体か ら特定の個物を抽出する C 2種類の集合物を提示 し, どちらが多 いかそれとも同じかを尋ねる個数比較問題 C. 同じ個物で個数を比較 ( 2色のタイルを使用) C2 異なる個物で同じ個教を比較 (タイルと鉛筆を使用) C3 同じ個物で異なる個数を比較 C4 異なる個物で異なる個数を比較. D. 数唱作業 ( 50をこえた場合 は, そこでうち切る) づ 対応 け操作(タイルを横一列 に10枚並べ, 声を出 して数 えさせ, いくつまで対応 づ けられる かを調べる) E. 右側から対応 づ けを行なう. E. E2 左側から対応 づ けを行なう 1 1. 色 ・ 形 o大きさに関する課題. 〈使用道具〉厚紙を用 いて次のような大中小の図形を作成した, 円(直径18 13 6cm)正方形(一 , , 辺 19 , 10 , 5.5cm) 正 三 角 形 (一 辺 17 ,8 , 5cm) 星 形 (中 心 か ら頂 点 ま で 10 ,7 , 3.5cm) , そ. して同じ大きさの同 じ図形 に対 し赤青黄の三種類を作成し, さらに各図形 の最小のものには緑と 白も加 え合計44枚を準備 した.. F 形 にかかわりなく色を弁別する作業 ( 44枚使用) F, 色を指さしできるか F2. 色 を 分 ける こ と が で き る か. G 色にかかわりなく形を弁別する作業 ( 44枚使用) G, 形を指さしできるか. G2 形を分 けることができるか H 同じ形のものでの大小比較問題 (色に はこだわらない) 1 同じ形のもので大中小を順序 づ ける問題 (同じ色のものを用いる) m. 記憶 に関する課題. く使用道具〉 画用紙 ( 27×38cm) に表1 に示 した絵を描し・た図版10 ,枚と, 画用紙 (13×19cm) に, それらの個物を1 つずつ描いた絵カー ド17枚を用意する,. J. K. 70. 図版の個物をことばで再生する問題. 図版の個物を絵カー ドで再 認する問題 (図版を5秒間提示 し, 1 0秒間目をつぶらせる, 目を開いてから何が描いてあっ たかを尋ねる..
(4) . 幼児の数認識における3から4への移行過程について. 表1 再生・再認問題で使用する図版 提示数. 図 版 の 内 容 り ん ご, み か ん. ぶどう, あめ ケー キ, チ ョ コ レー ト, アイ スク リー ム メ ロ ン, ドー ナ ツ, お に ぎり スイ カ, な し, いち ご メ ロ ン, 目 玉焼, カ レーラ イ ス, バ ナ ナ り ん ご, み かん, な し, か き ぶ どう, バ ナナ, あ め, お に ぎり ケー キ, り ん ご, チ ョ コ レー ト, み か ん, あめ ソフ トクリ ー ム, バ ナ ナ, い ち ご, お にぎり, カ レー ラ イ ス. 全部言 えなかっ た場合, 絵カー ドを見せそれがあっ たかどうかを尋ねる, ことばで再生できたも のは, 絵カー ドによる再認もできたものとみなす,) 2, 対象と実施方法. ① 対 象児. )を対象とした. 旭川市内の1 幼稚園と2保育園に依頼し, 3歳児クラスの幼児48名(男23 , 女25 実験実施時の幼児の年齢は, 3歳8ヵ月 から4歳7 ヵ月 の範 囲 で あ っ た,. ② 実施方法. 実験 はすべて水谷が担当し, 各園の保育室またはホールで1対1 で実施することを基本 とした. できる限り事前のラ ポートづ けを行ない, 幼児の状態 に応じて担任の保育者 につき添っていただい. た, 他に記録者1名 が同席した, )まず, 課題工~mについて, 集合数3 に関してと, 色と形の弁別作業を 課題の提示の順序は, 1 ) についての正答 づ と進む. 3 ) なお, 1 ) 次に集合数4 行ない, 2 , 形の大小比較, 対応 け, 数唱へ 率が低い場合は, 集合数2についての問題を実施 し, 対応づ け, 数唱を行なって実験を終了する. 被験児の解答 が聞きとれなかっ た場合 には, 聞き直さずに別の課題の後に再 びその問題を行なっ た 実験 に要した時間 は1人あ た, ま た数 唱 の際 は, 1 , 2 までは実験者もいっ しょ に言うようにし . たり約 15~20 分 で あ っ た.. ③ 実施期間 1 98 3年11月 15日~11月 30 日 3. 分析の視点 先に述べた課題意識にもとづ き以下のような分析を行なうこととする, 71.
(5) . 内島貞雄・水谷秀和. ① まず, 実験課題1 の正答率 (通過率) をもとに 幼児の数認 識の達成順序を明らかにし 段 , , 階区分を行なう, なお, 本研究で は形状 にまとまりのある個 物(α)で 指定された個数を取 り除く , ことができた時に, その数を一応理解できたも のとみなす . ② 個物が異なる場合 の達成時期のちがいや 個数比較 の方法などを検 討 し 区分された段階毎 , , の特徴を吟味する. ③ 次 に, 実験課題1 1の結果をもとに色・形 の認識および大小比較などと数 認識との関連 を分析 す る,. ④ ⑤. さらに, 実験課題1 1 1により幼児の記憶力と数認識と の関係を探る. そして最後 に, 数認識の発達 に年齢的要因が関与しているのかどうかを検討する .. 1 1 結 果 と 考 察 1, 移行過程の段階区分 個数表示 問題 (A) , 指定個数取 り除き問題 (B) の各項目を正答率 (通過率) の高い順 に並べ直 し, 各項目 間の有意差を示したものが表2 である ここからいくつかのことが指摘できる . , ① 形状にまとまりのある3個の個物 での個数表示( 3A.-α)ができても, その取り除 き作業( 3 B,-α) はできない段階がある . ② 形状にまとまりのない個 物で3個 の個数表示 ( 3A,一β) が できる段階では, 4個の個数表示 ( 4A.-α, β) もほぼ可能 である. しかし この段階では3個 の α の取り除きはできるが β では , , で き な い,. 表2. A, B課題の正答率 と 項目間 の有意差. 正答数 3A 「α 3A I-β 3B「α 4Arβ 4A I-α 3A 2 3B「β 3B ( 率) 2. 人 % 3A,-α 4 2 ( 8 ) 7 5 .. *. 3A 0 ( 8 3 ) 3 ー-β 4 . 3B,-α 3 4 ( 7 0 ) 8 .. *. *. *. .. ・. 4A 2 4B I-α 4B「β 4B 2. *. **. *** *** *** *** *** *** *. 4A 3 ( 6 8 8 ) ,一α 3 , 3 3 ( 6 ) 8 8 .. 3B ( 0 6 2 ) 5 --β 3 . 3B 2. 2 8 ( 5 8 3 ) .. 4A2. 2 ( 7 5 6 ) 7 . 4B 5 ( 2 ) 5 1 ,-α 2 . 4B 3 ( 4 7 ) 9 ,-β 2 . 4B2. 1 9 ( 3 9 6 ) ,. 3B 3. 1 2 2 ( 5 ) 0 ,. 曇B 3. 8 ( 6 1 7 ) ,. *** *** ***. *. *** *** ***. *. *** *** ***. *. *** *** *** *. *** ***. .. *** *** *. ***. *. ***. *. *** *. ・P<.1 0 72. 4B 3. *** *** *** *** *** *** *** ***. 4Aー-β 3 4( 0 ) 7 8 , 3A2. 3B 3. *P<. 05. **P<.0 1. ***P<,00 5.
(6) . 幼児の数認識における3から4への移行過程について. ③ 4個の個数表示では α, β に差はない, これらができる段階で は,3個の混成物の取り除き( 3 B2 ) はでき, 4個の取り除きでは α はほぼできるがβ はできない. ④ 4個のとり除き作業において α, β , 混成物の間に有意差 はみられない. しかし, それらの課 題と混成物の中から特定の個物を3ないし4個とり除く場合( 3B3 )とでは有意差がみられる, ,4B3 以上のことから,幼児の数認識 における3から4への移行を3 つの段階に区分することができる, 1 3を理解しつつある段階 1 1 3を理解し, かつ4を理解しつつある過渡的段階 1 1 1 4を理解した段階 1は4 について認識しはじめることにより,3の理解 が正確になる前半と それを基礎に4 な お, 1 ,. についての理解 が深ま っていく後半に分 けられる,. 本研究の被験児をこの3段階に分 けると, 各, 1 1人, 1 6人, 21人であっ た.. 2. 個物 が異なる場合と個数表示・取り除きの. 表3 3個の取り除きにおける個物の関係. 関係. 表 2 の結 果 で は, 指 定個 数 取 り 除 き作 業 に お い て, 3個, 4個 の 場 合 と も α, β, 混 成 物 で差. が み られ な か っ た が, さ ら に表 304 によ っ て 同 一 個 物(α およ び β)と混 成 物 の場 合 を 比 較 して. 1. 0. 33. 7. 3. 5. 15. 39. 4. 5. 48. 同一個物. 混成物. できた できなし・. び混 成 物 で の 3個 の 取 り 除 き作 業 と 4個 の個 数 表 示 と で 正 答 率 に有 意 な差 は な く, ほ ぼ 同 時期. にで きる よ う に なる と予 想 で き る, こ の こ とを. さ ら に細 か く 検 討 す・る た め に 3B 課 題 と4A 課 表5 4A 3B. (人) 32. p<.001. 両 方 片 方 で き た できた で きた (人) 2 3 4. 両方で き ない. 計. 0. 27. 7. 3. 11. 21. 計. 30. 7. 11. 48. 2=1 9 2 3 x .. 3 c=0 5 .. p<.001. 4A,-α. 4A,-β. 4A2. ○. 25. X (人) 9. ×. 8. 6. ○. 25. 5. ×. 8. 10. 蔓. 23. 5. 22. 6. 22. 10. 10. 12. 8. 6. 33. 15. 34. 14. 28. 計. 計. 4個の個数表示 と3個 の取り除 きとの関係 O. *p< 0 ,5. 両方で きない. 表4 4個の取り除きにおける個物の関係. ま た, こ れも 先 にみ た よ う に, 同 一 個 物 およ. 織. で き た できない. 片 方 できた. だ=・ (連関係数)=o 7 7 8c 2 5 , .. と い う こ と が示 さ れ る,. 3B,-β. 両 方 できた. 計. みると, 同一個物で個数を正確に把握していな けれ ば混成物 の個数を とらえることはできない. 3B,一α. 同一個物 混成物. 半. O. X. O. X. 25. 9. 24. 10. 9. 5. 4. 1o. 24. 6. 23. 7. 10. 8. 5. 13 6. 計 *. *. 縄 1 4 30 18 28. 14***. 20. 20. 48. *“ p< 00 . 1 73.
(7) . 内島貞雄・水谷秀和. 表6 個数比較の方法 方. 法. ① 直観的・感覚的に ② 個物を対応させて ③ 個数を数えて なお. 人数. 数認識との関連. 30 1段階の1 1人全員. 表7 10までの対応づ けと数認識の段 階. 数認識 の段階. 両 方 できた. (人) 4. 左から. 右から. で き 4. の. み. の. み. な. い. 13 1 1段階の16人中9人. l. 2. 1. 17 1 1 1段階の2 1人中1 3人. 1 1. 13. 1. 0. 2. 1 1 1. 16. 5. 0. 0. 計. 33. 8. 1. 6. ①と②を用いたもの 〃 ①と③ ②と③. 3人 7 2. 題との関係を示したのが表5である. この結果 から,4個 の同一個 物の個数表示と3個 の取り除き作業 は,全体的には相補的関係にはな く, 互いに独立してできるようになっ ていくと考 えられる, しかし, 混成物の個数表示は3B 課題 と関連がある. このことは, 同一個 物の個数表示 はより直観的なものであり, 混成物の個数表示と. 取り除き作業 はより操作的な能力 にもとづ いていることを示唆しているように思う, 3, 数認識の段階と個数比較・対応づけ. 個数比較問題(C)において, 被験児 は次の3つのいずれかの方法を用 いて判断していた, ①個数. を把握せずに直観的・感覚的に多少を決める. ②個物を1つずつ対応させて多少を決める, ③個数 を教 えて, その数を比べることで多少を決める. これらの方法別の人数を示 したのが表6である.. ①の方法による場合 は, 同型の個物での異 なる個数の比較 はできた が, 同数であっ たり異なる個 物での比較の問題 はできなかっ た. 段階1 にいる子ども は全員 がこれに該当 している, ②の方法を. 用 いている幼児 は, 異なる個数, 同じ個数の比較ともできていた. しかし解答には数を用いず,「同 じ」 という答 え方をする場合 は少 なかっ た. この方法 は段階1 1の子どもに多くみられた, ③の方法. を用 いた場合 は, 解答 は数を確認 した上でなされ, 正答率 は高く, 「同じ」ということばを用いるこ とが多い, この方法 は段階皿の子ども に多い. このように, 数認識の発達とともに比較の方法が操作的 なものに変化するといえる.. 対応 づ けについては右手を用いたため,左側 から行なっ た方が右側からの場合よりも正確である, また, 指をタイルにふれて対応 づ けている子 どもの方が正確な答 になっていた. 表7に示 したように,3の認識が形成されている第1 1段階の幼児の多くは1 0までの対応づ けを行 な う こ と が で き て い る, そ して, 第1 1 1段 階 で は, 左 か ら の 10 までの対応づけはほぼ完全になるとい えよ う.. 4. 数認識と色・形の理解 まず, 色に関して男児に青色を, 女児には赤色を抽出させたが, 43人 ( 89, 5%) ができた, これ A を3 .-α の課題のできた幼児 についてみると, 42人中3 9人( 92. 8%)となり, 色の認識 は集合数 3を認識する以前 にほ ぼできあがっ ていると考 えられる. , 次 に形 の 認 識 につ い て み る と, 丸, 四 角, 三 角 の順 に85 , 77.1 , 60,4% の正 答 率 で ある, 四 角 の. できた子どもの丸の正答率, および三角のできた子どもの四角・丸 の正答率 が100%であり, 丸・四 角・三角の順 に理解されていくことが明僚 に示されている.. 表8 に示 したように, 丸・四角 は3個の個数表示ができる段階でかなり獲得されているのに対 し,. 74.
(8) . 幼児の数認識における3から4への移行過程について 表8. 各テス ト項目正答者 の形 の認識率. 項 目 3A】-α 3A,-β 3A2 3B,一α 3B,-β. 三角 66,7 67.5 69.7. 四角 80.9. 61,8. 82,5 84,8 82,4. 70.0 75,0. 86,7 82.1. 3B2. 丸. 項 目. % 88,1 4A.-α 90,0 4A,一β 87,9 4A2 91,2 93,3 92.9. 4B.-α 4B,-β 4B2. 三角 72.7 70.6 77,8 72.0 86.9 84.2. 0 形のi 表1 順序性の正否と数認識の段階 数認識. 順序性. 1. 1 1. 1 1 1. 個 数 形の大小. 竺 惇. 数える. 計. 7. 7. 34. 3. 2. 9. 14. 23. 9. 16. 48. 直観的 (人) 20. 直観的 重ねる, 比べる 計 2=87 ズ .8. 93 c=0.3. 05 p<.. 表1 1 形の大小比較と順序性との関係 計. で き た. (人) 5. 7. 12. 24. できない. 6. 9. 9. 24. 計. 11. 16. 21. 48. 1 26 c=0,. 0 p>,1. だ=0,7 69. 表9 個数比較の方法と形の大小比較の方法の 関連. 大小比較. 順序性. で き た (人). で き なし・. 計. で き た. 13. 6. 19. できない. 11. 18. 29. 計. 24. 24. 48. で=4, 27. 28 c=0.. 05 p<.. 三角に対する理解がこのレベルに達するのは,4個の取り除きができる頃になってからである,三角. を認識する場合には, 丸や四角に比べてより分析的な知覚能力を必要とすると考 えられ, 操作的な 数認識 ができるようになることと関連があると考 えられる,. 5. 数認識と大小比較 形の大小を比較する時に, 形の大きさを直観的に判断する場合と実際に重ねたり, 一辺 の長さを 比べたりする方法を用いる場合とがみられた. これを,3で述べた個数を比較する時の方法と関連さ. せて整理 したものが表9である. この結果から, 数の比較と形の大小の比較とは, ともに直観的・ 感覚的なものから操作的なものへと移行していくと考 えられる, 0で 次に, 同じ形のものの大中小の順序づ けについて, 数認識の段階との関係でみたものが, 表1. ある. 数認識のこのレベルでは, 数認識の段階と形の大きさの順序づ けとは関連 があるとはいえな. し・ .. さらに, 形の大小比較の結果と順序づ けとの関係をみたものが表11である. 大小比較で正答でき ることと順序づ けができることには関係 があることが示されている, 以上のことから, 操作的方法 によ って大小比較ができるようになると順序づ けもやや正確 にでき るようになると考 えられるが, 系列化というもう一つの要因が加わらないと順序づ けは完全 にはな らないといえそうである, そしてそれは, もう少 し後の段階の課題であると予想できる,. 6. 記憶力と数認識の関係 図版の絵の再生・再認の課 題によって記憶力をみたが, その結果を数認識の段階別 に整理 したも. の が表 12 で あ る.. 実験手続きから言っ ても当然ながら, ことばによる再生よりも絵カー ドによる再認の方 が数が増 えている が, 提示した個数よりも多くをあげる場合もみられる. また, 再生・再認数とも ゼロとい 75.
(9) . 内島貞雄・水谷秀和. 2 再生・再認数と数認識の段階 表1 数認識 提示数. 再 認 で き た 数. 再 生 で き た 数. Q U (人) ー 丁 ー 7 ▲ ” ’ 1 q J 5 養 生 2 1 1 亡 。 3 Q U 6 ノ 4 1 1 1 3 に り 2. 計. 1. 2. 3. 4. 5. 0. 1. 2. 3. 4. 5. 提示数 以上. 0. 3. 1. ・. ・. 4. 0. 1. 4. ・. ・. 2. 1. 1. 1. 0. .. 1. 0. 0. 1. 0. ・. 2. 2. 2. 6. ・. ・. 4. 0. 2. 8. ・. ・. I. 15. 1. 5. 2. 5. ・. 3. 0. 0. 2. 10. ・. O. 15. 0. 2. 3. 4. 0. 1. 0. 1. 2. 3. 4. 1. 12. 1. 8. 4. ・. ・. 2. 0. 2. 11. ・. ・. 4. 19. 1. 6. 4. 7. ・. 1. 1. 3. 1. 13. ・. 2. 21. 1. 4. 7. 1. 3. 2. 0. 3. 1. 3. 5. 4. 18. 0. n 4. う中には実験課題を十分に理解できなかっ た場合も含まれるので, ここでは全体的な傾向を指摘す る こ と に と ど め て お き た い,. まず, 数認識の第1段階では,3個提示の場合 は全部を再生することはできないが, 再認すること ができる子どもは多い, しかし, 4個提示の場合は再認も不正確となる, 第1 1段階では3個 についてはほぼ再生できるようになり, 4個 についても再生できる子 どもが増 え, 再認 はほ ぼできている. そして, 第1 1 1段階でも全体的には第1 1段階と同じ水準であるが,5個 に. ついて再生できる子 どもが3名存在した. うち1名 は, 今回の実験課題すべてに正答しているかな り数認識の発達 している子であっ た,. 以上のことから,数認識の第1 1段階である 3 についての認識ができあがり,4 について理解し始め る頃に, 記憶力も3個のものを再生できるレベルに達すると考 えられる, そして,5個のものを再生. 1 1段階よりも後に発達するものと予想される. つまり, 集合数3の理解の完 できる力 は数認識の第1 があ 成 は記憶力と関連 る が, 次に4を理解する上では必ず しも記憶力のさらなる発達を前提としな い とし・えそ う で あ る.. 7. 数認識の発達における年齢的指標 ここまで, 数認識の段階や移行過程 について分析してきたが, 最後にこれらの段階が幼児の年齢 的発達とど● うかかわっているかをみることとする. 被験児を月 齢によって ABC の3つのグルー プに分 け数認識の段階とかかわ らせて整理 したもの 表14 年齢 グルー プ間 に有意差 のあるテス ト項目. 表13 数認識 の段階 と年齢. 数認識. 年齢. 1 1 1. 皿 計. A (人) 6. B. 計. 4. 3. 11. 10. 2. 4. 16. 3. 11. 7. 21. 19. 17. 2=II92 c=o446 05 x p<, , . A:3歳8ヵ月~3歳11カ月 B:4歳0カ月~4歳3カ月 C:4歳4カ月~4歳7カ月 76. C. 12. 48. 項. 目. A とB. B と C. 3A.-β 3B2 4B,-α 4B,一β 4B2 4B3. * * * * **. *. *. *. 三角 の認 識 三角の認識. 較 比較 大小 小比 大 * p<,05. A と C. * * ** p<.01.
(10) . 幼児の数認識における3から4への移行過程について. が表13である, 全体として年齢と数の発達段階には関係 があるといえる, これをさらに細かく検討 4に示したように A と B するために, 各テス ト項目毎に ABC 間の差の検定を行 なっ たところ, 表1 の間で,4個の取り除き作業と大小比較において有意 な差がみられた, また,B と C の間では有意な 差 は全く存在しなかっ た, 以上のことから, ちょ うど満4歳の頃に4を認識できるようになる画期 が存在するといえる,. ま. と. め. 以上の分析をまとめると次の通りである,. 1. 幼児の数認識の3 から4への移行過程は3つの段階に区分できる, 1 3を理解 しつつある段階 1 1 3を理解し, かつ4を理解しつつある過渡的段階 1 1 4を理解 した段階 1 1段階) に達成される が, 2, 4個の同一個物の個数表示と3個の取り除き作業はほぼ同じ時期 (第1 相補的な関係にはない. 1 1にかけて直観的なものから, 対応づ け, 数 えるというそれへ 3, 個数比較の方法 は, 段階1から1 1段階においてかなりできている, と移行する. また, 1 0までの数の対応 づ けは第1. 4. 色と丸・四角 についての認識 は段階1以前 にかなりできている, 三角についての認識 がこのレ ベルに達するのは第1 1 1段階においてであり, 操作的・分析的な能力の発達 と関連していると思わ れ る,. 5, 形の大小比較と数の比較の方法 が直観的なものから操作的なものに変化することには関係がみ 1 1段階より後に系列化というもう一 つの られる. しかし, 大中小の順序づ けが完成するのは, 第1. 要因が加わってからであると予想される. 1段階への移行には, 提示された3個 のものを再生できる記憶力の発達が前提となっ ている 6. 第1 と考 えられる, 1 1への移行の画期 が存在 している, 7, 年齢的には, ちょ うど満4歳の頃に段階1 これらの結果 は, 幼児の数認識において4の理解 が成立するということは, 幼児の認識活動 が直 観的なものから操作的なものへと移行することによることを示しているといえよう, そして, 年齢 的には満4歳頃にその画期 が存在 している,また,3の理解 が正確 になる過程では記憶力の発達も関. 与していると考 えられる, くり返 しになる が, 幼児の数認識 において4の理解 が獲得されるということは, その質的転換を 意味する重要 なことがらであり, その後の数の操作能力を飛躍させる前提でもある, したがっ て,. この時期までは直接数 そのものを教 えるよりは, 操作的に事物に接する経験をゆ っくりとたっぷり 保障すること が重要であろう, その時に感覚的・直観的 なものも大事にしなけれ ばな らないことは い うま で も な い,. 〈付記〉 お忙しい中, 快く実験 にご協力いただいた各園の皆様にこの場を借りて心よりお礼申し上 げます, また喜んで参加 してくれた子どもたちにも感謝したいと思います, 水谷・昭和59年3月 同分校卒業) (内島・本学助教授 旭川分校 77.
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