地域に開かれた学校運営とPTAの役割 : 北海道農村小規模学校における地域との連携
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(2) . 平成7年3月. 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第45巻 第2号. March , 1995. Se i i i fEduca t i i )VOL 45 lo fHokka do Un t t onIC on( c 1ourna vers yo .2 , No. 地域に開かれた学校運営とPTAの役割. 秀÷÷ --北海道農村小規模学校における地域との連携 玉. 井. 康. 之. 北海道教育大学釧路校. 亮運営とPTAの課題-- はじめに--開かれた学校 1. 地域との連携の在り方と開かれた運営の課題-- 臨時教育審議会の 「生涯学習体系への移行」 の答申以降, 「地域に開かれた学校」 づくりが, 学校運営の 課題として強く求められている‐ 「地域に開かれた学校」 づくりは, まさに学校教育と社会教育を統一した, 生涯学習時代における学校と地域の総合的な連携を目指すものである‐ 991年 1990年施行の学習指導要領では, 「家庭や地域社会との連携を深める」 という項目が新設された. 1 4月の中央教育審議会答申では (注1), 高等教育を中心に述べたものではあるが, 「学校に対する親や地域 の意見や希望を十分把握し, これを学校運営に反映するなど, 学校が地域に開かれたものとなることが大切」 92年9月から実施された学校五日制下でも, 学校と地域の連携が強く求められて であると指摘している‐ 19 「 いるが, 学校運営等に関する調査研究協力者会議の答申でも (注2) , 学校施設を子どもを含め地域住民に 積極的に開放する ととも に, 家庭や地域社会の学校に対する要望な ども考慮し, 開かれた学校づくりを目指 す 必 要 がある」 と して いる.. 「 1992年7月の生涯学習審議会答申でも (注3) , 学校に対して, 発展段階に伴う 一定の年齢層の児童・生 徒に対する教育機関としての役割のみでなく, 幅広く地域の生涯学習のための役割を果たすよう, その教育 機能を社会や地域にひろげることが期待される」 とし, 学校教育の地域への開放を期待している‐ また同答 申では, 「社会人や生涯学習の指導者な どを, 幅広く学校教育の場に迎え入れることは, 学校の教育機能を 高めることに役立ち, 学校教育の活性化にもつながる」 とし, 地域の人材の活用を指摘している‐ これらの一連の答申をみても分かるように, “開かれた学校づくり”“学校と地域の連携” は, 学校運営上 の課題として, 極めて重要な課題として位置づけられてきている. このような地域との連携の必要性は, 子 ども自身がすでに社会体験・生活体験を失う中で, 地域での協力を得ながら, 学校外での体験や人間関係を 形成するこ とが大きな課題となっ ているということであり, また人格形成上, 地域の人々が子どもの発達に 関わることや, 地域住民の共同の姿を見せることが, 有形無形の教育効果を及ぼすことが明らかであるから である.. この開かれた学校にとっ ての地域とは, 在学児童の父母のみに限られるものでもなく, また単に青少年研 修施設などの社会教育施設を指すに留まるものではない‐ 地域とは多様な地域住民が子どもの発達や教育に 関わることが本来重要である. 子 どもの非行や歪みの問題でも, その一因としては都市化によって地域の身 近な人々が子どもの発達に注意を払わなくなり匿名性を増したことにもよるが, このような子どもの健全な 発達に関わる際にも, 地域の住民が日常的にまた総合的に子 ども に関わることが重要になっている. しかし, 現実の多くの学校においては, 市街地の大規模な学校にしばしばみられるよう に, 学校施設を地 31.
(3) . 玉 井 康 之. 域住民に貸すことで, 学校開放をなしえたとする学校も少なくない‐ 学校規模の大規模性がどうしても, 学 校運営を含めた学校開放の障害となるからである. 行政の施策も実際には 「学校施設開放事業」 の施行など, -という意識に留まったりしている‐ しかし 施設貸与に重点があったために, 学校の開放は施設の開放である このような学校施設の開放はあくまで, 施設の開放であって, 学校の開放ではない‐ すでに欧米の学校では父母・地域住民に開かれている学校が多く, 日本の学校は総じて学校参加の度合い は弱いと言えよう (注4) ‐ ただ日本の中でも, 地域に開かれた学校をつくりうる条件のある地域もあり, また実際に意識的に学校開放を実践している学校もある. そのような・地域をできるだけ取り上げることは 重要であろう. 学校開放の求める内容は学校施設の開放に加えて, PTAへの地域の参画, 学校運営方針への地域の参画, 学校行事への地域の参画, 学校による社会教育活動への援助, 学校・PTAによる地域への学習会や研修会 の提供, 地域の教育要求の把握と実現, など学校運営や教育内容の開放を含むものである. また学校にとっ ても当然地域からの協力を得て, 学校教育活動を高めていくことが重要になる‐ 社会体験学習・自然体験学 習等における地域の協力, 地域の人的・物的資源の教材化, 地域ぐるみの生活指導, 学校施設環境整備, な ど教育活動全般における協力を必要としている. このように地域との連携は学校教育活動を創造的に展開す る 契機 を 含 んで いる.. このような学校と地域の連帯を進めるためにも, 改めて学校が地域に運営を開き,‐父母や地域住民の期待 に応える教育活動を積極的に展開していく必要がある. 学校行事の開放や職員の社会教育活動への関与など を含めて, 学校が地域の文化センター的な役割を担うことによって初めて, 地域による学校教育への協力や, 子どもの共同性等に与える潜在的な地域の教育力を高めることができるのである. 本稿 で は, “開 か れ た 学校 づ く り“ 及 びそのための ”学校と地域の連携” が求められる中で, 北海道の農 村小規模学校において, 地域に開かれた学校づくりを進める条件が存在し, また実際に開かれた学校づくり が展開していることを事例的に明らかにするとともに, そこでのPTAの果たす役割が重要であることを明 らかにする. 一般的に都心部の学校は, 学校規模も大きく, 地域ぐるみの学校運営がそもそもできにくい限 界的な条件が存在している. 他方で農村小規模学校では, 多面的に地域と協力し得る条件が存在している. 本稿において取り上げる事例は戦中戦後を通じて設立された学校であり, 19 94年時点の在籍児童数は, 23 名の小規模校である. 教員を除く地域住民戸数は38戸で, そのうち28戸に対してアンケートによる意識調査 を行うことができた. 回収率は7 4%である‐ すでに私は, 戦前設立の北海道の学校の特色として, 開拓期を 経た学校と地域の連携の強さを事例的にとらえてきた. ここで戦後設立の学校を取り上げるのは, 戦後にお いても開拓期を経た北海道的な特色を残していることを示すことができるからである‐ また一般的に戦後に おいては, 学校と地域の連携が切れていく中にあって, 農村小規模学校が一層地域との連携を強めていく過 程とその条件を鮮明にとらえることができるからである‐ 戦後北海道の農村は, 避地性が急速に解消されて 行く中で, 以前として学校と地域の密接な関係を保てるか どうかが問題なのである (注6). 2. 地域との連携とPTAの役割 このような地域との連携を図る上で, これまで学校にとって最も身近で普遍的に存在する団体はPTAで ある この P TA の設 置 は C IE (民間情報教育局) の指導による 「父母と先生の会--教育民主化の手 .. ,. 948年にかけて全国のほとんどの学校に設置され 947年3月に出された後, 1947年から1 引き--一 の資料が1 て いる‐. 1 948年のPTA審議会作成 「PTA (父母と先生の会) 参考規約」 では, 「父母と教員とが協力して, 家 庭と学校と社会における児童・青少年の幸福な成長を図ることを目的とする」 ことが調われている. 地域と 32.
(4) . 地域に開かれた学校運営とPTAの役割. の連携の在り方・媒体は, PTAに限られるものでは全くないが, 学校教育活動や学校運営を日常的に把握 することができ, また多様な地域の構成員を含み得る可能性をもつ学校関係団体としてのPTAの存在は極 め て 大きい とい えよう.. しかし, 現実的にはこのPTAの多く は, 学校と地域の連携の理念もなく 学習活動にも形式的な講演会等 や当たりさわりのない行事だけに終始するPTAも多い‐ また学校の伝達機関となっていたり, 父母と教師 の率直な交流がみられないPTAも多い. 戦前の学校後援会は, 学校や教員 と父母等は対等ではなく, また 教師も-会員にはなれず, 単に学校への財政援助を目的とするものとして学校に従属 していた‐ 戦後発足時 のPTAは, 理念としては学校に従属するものではなく, 教員と父母は対等の立場で協力しあう というもの であったが, 多分に学校後援会的な様相を徐々に復活させていったのである‐ だがしかし, 他方で学校と家庭と地域が真に結 び付くような, 多様な教育活動を行っ ているPTAも存在 していたり, あるいは父母や地域に開かれた運営に改善していったPTAが少なからず存在するのも事実で ある. そのよう な先進例からPTAと地域と学校の関係の在り方について学ぶところも多い‐ とりわけ北海道では, 開拓の過程で, 地域住民が学校創立や運営に大きく関わってきたという .歴史をもち, その中で戦後結成されたPTAにおいても, PTAと地域と学校の関係は密接不可分の関係にある学校も多 い‐ すでに全道の小学校の調査で統計的にとらえてきたように (注5) , 北海道の農村では, 地域住民の全 戸がPTAに加入している比率も高く, また多様な行事や活動において, 学校と地域が密接に結びついてい る‐ このような農村地域でのPTAの役割の大きさを評価する とともに, そこで開かれた学校づくりの在り 方から学ぶ点は, 大きいと言えよう. 本稿では, 先進的な事例を元に, PTAの役割に注目しつつ, 開かれ た学 校 づ く りの在 り 方 を と らえ てい き たい‐. 1. 中御卒別の開拓と学校の創立 L 中御卒別の開拓と私設教育所の設立 4年 (大正 1 4年 (大正3年) の平林農牧場の入植による開拓である‐ 19 中御卒別の最も最初の開拓は, 191 3年) に人夫が40数名入植し, その後順次その家族が入植している‐ 児童数も増えてきたために, 農牧場の 管理人は, 1 919年 (大正8年) に釧路支庁に学校設置の陳情を行っ ているが, 認められなかった‐ 行政から の援助がないために, 農牧場では1920年 (大正9年) に私設学校を開設し, 使用人の子第の教育にあたって いる‐ それは使用 人の高い教育要求に応えたものである. 農牧場の管理人としても使用人の子女を無視する ことはできず, 最低限の教育の必要性を痛感している‐ 0年) に標茶尋常高等小学校所属 7年 (大正1 さらにこの私設学校を公的な学校としての許可を申請し, 190 907年 (明治40年) 以降は, 代用私立小学校制度は廃止されたが, し 平林特別教授場として許可を受けた. 1 かし北海道の場合の多くは単に正規の教育機関卒業であることを認知してもらうための手法であり, 実質的 には費用も教育内容も平林農牧場に任されたものであっ た‐ このように北海道の学校設立には, 行政が予算 を保証していない場合が多く, 私立の学校が広範に展開している. 行政が資金を保障しない代わりに, 逆に 学校運営や教育内容においても行政の規制が比較的ゆるやかで地域と密着していたのが特徴である. 92 5 この平林教授場は, この地に木材が取れなくなり平林農牧場 が従業員を撤退させたために, 4年後の1 42年 (昭和17年) の東沼幌分教場 ができるまでは, 開拓住民もほとんど 年 (大正14年) に閉鎖している‐ 19 定住しておらず, 学校を維持する ことができなかったためである.. 33.
(5) . 玉 井 康 之. 2‐ 戦後開拓と小学校の創立 中御卒別には再び1 935年 (昭和10年) から1 936(昭和11年) にかけて炭焼き人が数戸入植し, さらに1 940 年 (昭和15年) から1 9 41(昭和16年) に, 炭焼き人十数戸が入植した. 住民が急速に増加 したために 再び , この時にも, 学校の必要性が住民から強く主張され, 19 42年 (昭和17年) に沼幌国民学校束沼幌分教場とし て中御卒別地区の端に学校が設置された. その時の教員は住民が探し, 私有地・私宅の一部を寄付 している‐ 中御卒別にあっ た製炭所が19 4 4年 (昭和19年) に事業を中止したが, 炭焼き人のなかにはそのまま残って 農業開拓者となる者もいた‐ 中御卒別の中心部から東沼幌分教場まで通っていた児童は数戸であるが 1 , 0キ ロほど離れており児童の通学にはかなり遠く, 中御卒別地区の中心地に学校建設の要望が出された. 終戦後は, 農業入植者が増え19 46年には18戸ほ どなっ た‐ 東沼幌分教場は, 1 946年4月から中御卒別国民 学校中御卒別分校に所属がえしたが, 校舎はそのままであった‐ この所属替えを契機にして新校舎建設の要 望が高まり, 中御卒別地区住民で相談して1 94 6年10月から再び校舎建築を再開することに決めている‐ 学校 を近くに建てる ということは, 児童の親のみならず, 全地域住民の課題でもあった‐ 校舎は, 地区住民自身の労働によっ て2年がかりで建設され, 校舎建築費は材料等で当時で6万6千円か かっている‐ 建設された後, 村役場は, 学校買い上げ代として1万円を補助 している. この労働には児童の 有無にかかわらず, 全住民が参加し, 費用も全戸で分けている. 2 1戸しかないために, 1戸当たりの負担も 大きいが, それは学校が児童のみならず, 地域住民に取っても大きなメリ ッ トがあると判断しているからで ある.. さらに19 49年から1951年までに農地解放もあって34戸が入植し, 分校の独立学校化の気運が高まり, 役場 の分校の拡張を陳情している‐ その結果, 1952年に中御卒別小学校として独立改称し, 19 53年には中学校も 併置されている‐ 中御卒別小学校の記念行事などは“ この独立を基点 にして行われる‐ 中御卒別の分校設 立に開拓住民は大きく関与してきたが, さらに,19 49年以降に入植した人達も, この分校独立を契機にして, 学校運営や行事などに大きくかかわるよう になってる‐ 戦後の学校設立や分校独立に関わった家族のいる割 合 は, 「非 常 に よく 関 わ っ た」 17.9% 「よく 関 わ っ た」 25‐0% を 合 計 する と 42.9% の 人 が関 わ っ た こ と に , なる. (表1)‐ ま た若 い 世帯 主層 に伝 聞 さ れた割 合 は, 「非 常 によく 聞 いた」14‐3% 「よく 聞い た」10‐7% で ,. 合計すると2 5 ‐0%の人が, 開拓時の学校設立の様子を聞いている (表2) これらのことは, 必然的に地域と 密接に結び付いている という意識を持たせ, 学校教育の地域住民の連帯を容易 している. 校舎を建てた後もグランドの造成や整地は毎年住民総出で行われていた. 1 9 58年の校舎増築の際も, PT A・地区総出で資材運搬等の労働力奉仕をし,197 4年の学校バックネッ トづくり,1980年の学校門柱づくり, 1985年 の 校 庭 フィ ー ル ドアス レ ッ チ ッ ク づ く り, 1990年 の 学 校ス キ ー 場 ・ス ケ ー ト場 づ く り も す べ てP T. A・地域総出で行っている. 住民の学校整備への関わりは現在までも続いているが, 例えば春秋の環境整備 では, 「現在児童が通っ ている」 家庭は, 参加している家庭が多いのは当然であるが, 「過去に児童が通って 表1. 家族の学校設立への関わり. 1) 非常によく関わっ た 2) よく関わっ た. 表2. 1) 非常によく聞いた. 3) 少し関わっ た. 5 17.9% 7 25.0% 4 14‐3%. 3) 時々聞いたことがある. 4) あまり関わらなかっ た. 3 10‐7%. 4) あまり聞いたことがない). 6 21.4% 9 32.1%. 5) 関わらなかっ た. 9 32‐1%. 5) 全く聞いたことがない. 6 21.4%. Tota l. 28 100‐0%. 99 ※1 4年の玉井による中御卒別調査により集計. 以下表同様. 34. 学校設立に関する先代の人達からの伝聞. 2) よく聞いた. Total. 4 14‐3% 3 10‐7%. 28 100‐0%.
(6) . 地域に開かれた学校運営とPTAの役割. 表3 児童の有無別 春・秋の学校環境整備への参加状況. 児童の有無. 長 老. 麓. ) 壱. 蕃. 毒. 妻. 華. 棄. 素. 中. 等. ど. 曇. 辱. 爺. 荒. 事. 加. T砥 l a. ‐. 畜. 老 9 75‐0% 3 25‐0%. 3 25‐0%. 3) 児童以外の家族が中御卒別小出身. 2 50.0%. 2 5QO%. 4) 家族及び児童が通っ たことがない. 0 0.0%. 0 0‐0%. 1) 現在児童が通っ ている 2) 過去に児童が通っ ていた. Tota l. 6 5QO%. 11 14 5QO% 39.3%. 0 0‐0% 3 25‐0%. ( 12) ( 100.0). 0 0‐0% 0 0‐0%. 4) ( ( 100‐0). ( 12) ( 100.0). ) ( 0 ( ) エ00‐0. ) 3 ( 28 ) 10‐7% ( 100‐0. いた家庭」 で 「児童の卒業後も時々参加」 する家庭が50%も存在している (表3) ‐ さらに設立当初から学校に関わったことは, 校舎建築や設備だけではない. 学校校舎等の整備も落ち着い てきた19 51年には, すでに第一回目の学校と地域の合同運動会を開催している‐ 運動会を代表とする学校行 事にも地域が積極的に関わっていたのである. このように, 学校設置時から自分たちの費用で建設するな ど住民が学校に関わり, さらに運動会を初めと した行事や運営にも, 当初から地域住民がかかわってきたという歴史性が, 現在の北海道の小規模学校には 残 っ てい る の である.. ロ. 中御卒別PTAの創立と地域における役割 1. PTAの創立と地域との連携 PTAには一般的に, 父母と教師の協議体というよりは, 戦前の財政的援助を目的とした学校後援会の流 れを受けて, 単に予算補助や施設整備を中心と した活動に終始するところが多いのも実態である‐ 北海道の開拓地では, 住民自らが学校を設置したという歴史からすれば, 学校後援会的な性格を一層強く もっ ている と言えるが, 他方で開拓後の校舎が整備されてくると, 生活活動・文化活動など地域の文化セン ターとして学校が果たす役割も極めて大きくなる‐ 開拓地の何も生活条件が整っていない中では, 都府県よ うに村落が文化活動を担える歴史的な蓄積もなく, 学校以外に生活・文化の活動を担う機関が存在しないか らである‐ こう した地 域 の文 化 セ ンター と して 学校 と地 域 の パイ プ役 を果 た している の がPT A である.. 48年までに存在していた学校後援会を改組して, 1 949年に結成されている‐ 戦前 中御卒別のPTAは, 19 の学校後援会は, 予算援助のために在籍児童の親は全員が加入するように指導されていたが, PTAに改組 するときは, 児童のいる家庭の中でも自由意志による加入制度となっ た. しかしその際中御卒別地区では, 地域全員が学校設置に関わっ てきた歴史があり, また実際に施設の乏しい小規模校では地域が協力すること 35.
(7) . . 玉 井 康 之. が不可欠であり, 再び地区住民全員がPTA会員になることにした. PTAの理念や活動内容は大きく改革 されるが, 会員構成は開拓時の構成範囲を引き継いでいるのである‐ 会費は, 児童のいる家庭を正会員とし, 児童のいない家庭を準会員として会費を別にしている‐ 設立当初 は, 多くの農村で見られるように, 会費に加えて薪を供出しその販売でPTAの運営資金を作るようにして い た. 会費 差 は例 え ば1994年 の 会 費 で は, 正 会員 が4000円, 準 会員 が1200円と している‐. PTAの役員は, 初代会長は戦前から在住していた人を選出し, また1 950年代後半までの会長も, 早くか ら入植していた人達が多かった. それは開拓の中で学校設立に貢献しているということと, 地域全体で学校 を支えるためには, 児童の有無に関わらずに地域をまとめてきたリーダーが会長となることが重要であった からである‐ しかし19 60年代前半にはPTAでの女性の役割も増大し, 1 965年に女性のPTA会長も誕生し た‐ 地域の名士的な役員から子どもの教育に直接関わる人を役員に選出するように考え方が変化してきてい る.. 4戸の合計38戸であり, 教員会員は, 1994年現在の中御卒別の地域のPTA正会員は14戸であり, 準会員は2 ー とな て いる 9ロ っ ‐. 以上見てきたように, PTAの構成員は全住民であり, 地域とPTAは構成員として全く一致して創立さ れた‐ このことは, 当然学校に対する地域の協力を容易にする条件となる‐ PTAは子どもと学校に対する 独自の課題をもつ組織ではあるが, 歴史的な創立過程を見ても, PTA自体が地域と極めて密接不可分の組 織と言えよう. 2. 中御卒別地域におけるPTA組織の役割 それではPTAが地域全体の中で どのような役割を果たしているかをとらえておきたい. 中御卒別の地域 組織は, まず全体を統合する組織は中御卒別地域振興会と中御卒別PTAがあり, 地域振興会とPTAがあ らゆる活動場面において連携されている (図1) 地域振興会の下での組織を大きく分類すると 「振興会役員会」 と 「諮問委員会」 と 「自主サークル」 の3 つの組織に分類できる‐ 地域振興会役員会はさらに, 総務部と酪農部・農地部・牧野部の4つの部に分かれ, 総務部は生活と福祉の改善や敬老会などの行事な どの地域全般のことを担うが, この総務部の事務局を担っ ているのが, 歴代の学校教頭である. また酪農部が担当している行事 「緑のフェスティ バル」 は学校行事の 一環にも位置づけ, PTAが広報等で行事を支える関係にある. 地域振興会の各部の活動も学校と関係が深 い こ とが分 かる.. また諮問委員会とは, 各層・団体の集まりであるが, それぞれの団体が学校とPTAの行事等で相互に協 図1 中御卒別地域組織機構図 卒別. 会 総務部・酪農部・農地部・牧野部 会 会 グ会 所 友 人 ン空 育. 幸 婦 ヤ青 保. フ. 会. アーマーズク ラ ブ. (若妻会) P. 中御卒別. - 一 -÷. 委員. (老人クラブ). とT の会. 自主サークル (趣味・スポーツ ・旅行等のクラ ブ) 卒別PTA. 36.
(8) . 地域に開かれた学校運営とPTAの役割. 力している関係にある‐ 幸友会 (老人クラブ) は, お年寄り参観日での学校訪問, 敬老会などの児童の出L 物, 高齢者の児童への語り部な どでPTAと連携している. 婦人会では, 地域とPTAとが一緒になった行 事で炊き出しやお握り作りな どで, PTAに協力している‐ ヤングファーマーズクラブ (青年会) や青空会 (若妻会) は, 盆踊りの企画等を行い児童・生徒の参加を促すほか, 学校や地域で, 行われるソフトボール などのゲームでも児童を含めた地域の中心的な役割を果たし, 学校教育との連携を強めている. このように地域の全戸がPTAに加入している だけでなく, 地域振興会や各団体 ごとに学校やPTAと連 携 してい る‐ 学校 教育 に関 わる 活動 は, 直接 関わる の はあく ま でもP T A である が, P T A を 窓 口と しつ つ. 地域全体で児童.生徒の学校内外での教育活動の一端を担っている‐ このように学校行事が地域に開かれる 条件 は, 地 区全戸 のP T A の加 入 による と ころ が大き い‐ した が っ て, P T A は学 校 関係 の 組織 である と と. もに, 生活・文化面での地域を代表する組織であるとも言える‐ PTAの組織構成は, 研修部・事業部・厚生部の3つに分かれているが, 児童のいる家庭は全戸が役員に なっ ており, 事実上全員で対応している‐ 学校と地域を結 び付 ける 上でPTAが関係している活動を, 活動内容面から大きく3つに分けてみる と, 一つは運動会など学校と地域の共催の行事に関する こと, もう一つは行事以外での, 教科にも位置づけてい る炭焼きな どの地域素材の教材化及びお年寄り参観日を初めと した参観日の出席促進など学校教育課程の- 環として行われる こと, またもう一つは学校・教員が協力して行われる親子交流やサークル活動に関するこ と, の3つ に わ ける こ と ができる‐. これらの学校行事や学校活動 を地域にも聞き, また地域の協力を得ながら進めていくことによって学校は 地域に大きな役割を果たしている. 地域に果たした最も大きい役割は, 当然ながら地域住民と教員・学校と の関係を緊密にし, また行事等を通じて住民 どう しのまとまりや連帯感を作り出したことである‐ このよう な住民のま とまりや教師との緊密性の形成は, 逆に学校教育へも大きな教育効果を果たすものである‐ 行事 の開放, 学校教育課程の開放, 社会教育活動の開放は, 学校教育の開放の大きな柱となっ ているものであろ う‐ これらの媒介となるのが, 全戸加入のPTAである‐ 以下, 学校行事と地域行事の連携, 行事以外での 教育課程に関する活動, 社会教育活動に関する活動の3つを取り上げたい‐. m. 学校行事・地域行事の連携と教育的効果 すでに学校とPTAとの行事等における関係を指摘してきたが, 学校と地域は事務的には分担があっても 相互に協力しあっている ために, 学校行事であるか地域行事であるかは明確に分類しがたい‐ まず年間を通じて中御卒別地域の人がどのような行事に参加しているかをとらえることで, 行事の性格を とらえておきたい‐ 調査しえた28戸が参加している行事を見る と, 最も多いのは,「酪農祭」の27人である(表 「 4) . 酪農祭」 とは, 毎年敬老の日に地域とPTAが共催で開くお祭りで, 昼間はゲームをしたり農産物に 関わるクイ ズ等をし, 夜は学校体育館を会場にして, 子どもを含めた地域のサークルの出し物大会を行う行 事 である‐ そ の 次 に多 い の が 「教員 の送別 会一 の26人 と 「教員 の 歓迎 会」 の25人 参加 である‐ 主 催 は地 域 とP TA で. あり, 学校教員の参加は当然であるがその上でPTA準会員もかなりの人が参加している‐ 児童の有無に関 わらず教員を地域ぐるみで迎えていることが分かる. 春に開催する 「緑のフェスティ バル」 も25人と多い. この行事は元々は地域住民が農作業の安全を祈願し た安 全祈 願 祭 と して1980年 か ら始 め たお 祭り であ っ た が, 1990年 か ら 「緑 のフ ェ ス ティ バ ル」 に名 称 を 変更. している‐ 行事開始当初から学校も1日休講にして子 ども達の参加を促し, 学校行事に振り替えている. 37.
(9) . 玉 井 康 之. 「運動会」 も PTAと地域の共催によるもので2 3人と多い. 運動会では, 子 どもの競技だけでなく, 地域 , 住民の競技も多い. これらの行事はいずれもPTAと地域の共催で開くか, 双方が参加している行事であり, 学校と地域の密接な関係を示していると言えよう. このような行事の中で, 興味ある行事について意識調査したものが, (表5) である‐ 学校に通う児童が 表4 《年間地域行事の参加状況-2 8名中》 事. 行. 参加人数. 名. ①4月-PTA総会と新任教員の歓迎会. 25人. ②5月-緑のフェスティ バル. 25人. ③6月-地域と共催の運動会. 2 3人. ④7月-親子交流会. 1 3人. ⑤8月一素焼き. 1 2人. ⑥9月-酪農祭. 2 7人. ⑦10月-学芸会. 17人. ⑧11月-敬老会. 1 7人. ⑨1 2月-意見発表会. 2人 1. ⑩1月 -冬季体育大会・カルタ. 16人. ⑪1月-父親参観日・雪像づくり. 11人. ②月-町民スケート大会. 11人. ⑯2月 -スキー教室 (ビラオ). 1 2人. ⑭3月一教員の送別会. 26人. 表5 《行事で最も興味あるもの, 有意義だと思うもの》 住民. 38. 1. 位. 2. 位. 3. 位. 4. 位. 児童有無. I. 運動会. 酪農祭. 冬季体育大. 送別会. ○. 2. 酪農祭. 運動会. 学芸会. ○. 3. 運動会. 酪農祭. 学芸会. 敬老会 冬季体育大会. ○. 4. 親子交流会. 酪農祭. 敬老会. スキー教室. ○. 5. 酪農祭. 運動会. 学芸会. 6. 運動会. 学芸会. 7. 親子交流. 酪農祭. スキー教室. ○. 8. 歓迎会 運動会. 学芸会. ○. 運動会. 酪農祭 酪農祭. 緑 のFEST工VAL. 9. 親子交流会. 冬季体育大会. ○. 10. 運動会. 炭焼き. 学芸会. 意見発表会. 〇. 11. 酪農祭. 運動会. 緑 のFESTIVAL. 青年会. ×. 12. 緑 のFBSTIVAL. 酪農祭. 13. 酪農祭. 運動会 敬老会. 14. 酪農祭. 炭焼き. 15. 歓迎会. 運動会. 16. 運動会. 酪農祭. 17. 酪農祭. 運動会. 18. 酪農祭. 運動会. ×. 19. 運動会. 酪農祭. ×. ○ ○. × × ×. 酪農祭. 送別会. × ×. 学芸会. ×.
(10) . 地域に開かれた学校運営とPTAの役割. いる10人の親の意識では, 1位に上げたもので最も多い行事は, 「運動会」 の6人である. 一方学童の子ど も の い な い9 人の 家 庭 で は, 1位 にあ げ た も の で 最 も 多 い 行 事 は, 「酪農 祭」 である‐ た だ 1 位 と2位 を 合. 5人が 「運動会」 わせると, 学童の有無にかかわらず, 「運動会」 と 「酪農祭」 がいずれも多く, 19人のうち1 を重要だとし, 12人が 「酪農祭」 が重要だとしている‐ この運動会と酪農祭の2つの行事は, いずれも学校 とPTAの共催で行っている行事であり, 学校地域の双方に関係しているものほ ど, 全体として重要である と意 識 している こ と が分 かる‐ PTAは行事において地域住民と学校とを結び付ける役割を果たしているの であ る.. これら学校と地域の行事の影響を総じて5段階評価でとらえてみると (表6) , 地域に与える効果では, 「地域行事に先生方の協力 を得る」 が66 ‐4%で最も多い‐ これは地域の行事を発展させる上で教師の役割が 表6 学校と地域の共同の行事が地域・子供に与える効果 (地域に与える効果) 地域住民どうしの信頼関係を増す 住民どうしの情報交換ができる 農業面での共同化 (農家の方のみ) 父母の文化活動・文化交流の活発化 役職に関係ない対等な地域の人間関係 地域行事の先生方の協力を得る (子供に与える効果) 近隣の人々との協力・共同の精神. 地域への帰属意識 子どもの社会的規範や公共心の養成 家族の中での協調 子どもどうしの協調性・親密度 生活文化の伝承 子 どもの自立心の育成 他人の子 どもを含めたしつけ 子 どもの遊び …環境の整理. 地域の先生の教育活動への理解・協力 子 どものリーダーシッ プの形成. 1 0. 0‐0% 0. 0‐0% 5. 17.9%. 2. 3. 0. 6. 0‐0% 21‐4% 1. 6. 3‐6% 214 % 3. 11. 10‐7% 39.3%. 0. 1. 0.0%. 3‐6%. 0. 0. 0‐0%. 0‐0%. 8. 28‐6% 7. 25.0%. 9. 32‐1% 8. 28‐6% 6. 21‐4% 11. 39‐3% 9. 32‐1% 6. 5 13. 46‐4% 13. 46.4% 3. 10‐7% 8. 28‐6% 12. 42‐9% 18. 合計 28. 100‐0% 28. 100‐0% 28. 100‐0% 28. 100.0% 28. 100.0% 28. 0. 0. 0‐0%. 0‐0%. 14‐3%. 21.4%. 64‐3%. 100‐0%. 1. 2. 3. 4. 5. 合計. 0. 0. 0‐0%. 0‐0%. 0. 0. 0二0%. 0‐0%. 0. 0. 0.0%. 0.0%. 0. 0. 0‐0%. 0.0%. 0. 0. 0.0%. 0‐0%. 0. 0. 0‐0%. 0.0%. 4. 4. 6. 21.4% 9. 32.1% 5. 17.0% 7. 25‐0% 4. 14‐3% 9. 32‐1%. 0. 0. 11. 0‐0%. 0‐0%. 39.3%. 0. 2. 10. 0‐0%. 7‐1%. 35.7%. 0. 0. 0‐0%. 3.6%. 0. 0. 0.0%. 0‐0%. 0. 0‐0%. 1. 5. 17‐9% 6. 21-4% 9. 3‐6% 32.1%. 8. 28‐6% 6. 21‐4%. 14. 500% 13. 46‐4%. 10. 13. 35.7%. 46‐4%. 1o. l1. 35‐7%. 39‐3%. 9. 32‐1% 8. 15. 28. 100‐0% 28. 100‐0% 28. 100‐0% 28. 100.0% 28. 53.6% 100.0% 11. 28. 28‐6% 39.3% 100.0% 9. 8. 32‐1% 28‐6% 9. 32‐1% 9. 32‐1%. 7. 25‐0% 13. 46‐4%. 10. 12. 35-7%. 42.9%. 12. 6. 42‐9% 21‐4%. 28. 100‐0% 28. 100‐0% 28. 100.0% 28. 100.0% 28. 100‐0%. 注 数値の上段は実数、 下段は割合. 評価は5段階、 5が最も高く、 1が最も低い. 39.
(11) . 玉 井 康 之. 大 きく, ま た期 待 している こ とを 示 して いる‐ この こ と は 自 由記述 による 意見 でも, 「地 域 の こ と につ い て. 教師と意見交換できる」 とか 「教師の特技や能力を地域の文化活動に生かせる」 という意見が多いことから 「 も分かる. 地域に与える効果で次に多いのは, 「地域住民どうしの信頼関係を増す」46 ‐4%, 住民どうしの 情報交換ができる」46 ‐4%で多い. これらはいずれも地域住民の人間関係が密接になったことを示している. その結果 「役職に関係ない対等な地域の人間関係」 づくりも42 ‐9%と多くなっている‐ 人間関係は単に児童 のいる家庭 だけでなく, 「子どものいない家庭とも触れ合いがもてる」 という効果も含めてのことである‐ これらは総じていえば, 住民どうしの連帯感と地域活動の活発化をもたらすことにつながるということであ る.. 「 子 どもに与える影響では (前掲表6) , 5を選択する人が最も多いのは 子ども どうしの強調性・親密度」 の53.6% であり, 次 に多 い の が 「近 隣の 人々 と の協力 ・ 共 同の精神」 で, 50‐0% である. 大 人 が行 事 に関わ. ることが, 子どもどう しの人間関係の親密度に影響しているととらえていることが分かり, また大人どうし の共同作業を見せているために近隣の人々 との協力・共同の精神を模倣学習することにつながっ ていること が分かる. また 「地域への帰属意識」 や 「子どもの社会規範や公共心の養成」 も50%弱であり, 社会規範の 形成にもつながっ ているとしている. 「子どもの遊 び環境の整備」 も50%弱であり, 大人も参加するような 規模の大きい行事が, ソフ ト面で子どもの自由な遊び環境づくりにもつながっていることが分かる‐ また自 由記述による意見では, 「自分の子どもも他人の子どもも区別なく, しかったり注意したりできる」 という 意見も多い‐ そのことで, 「子どもの善悪の判断がつくようになる」 とみており, 地域全体の教育力の向上 につな がっているこ とが分かる. 「子ども達と大人たちや老人たちと交流ができる」 といった世代間交流に 果たす役割や 「子どもが年下の子どもの面倒をよくみるよう になる」 といった異年齢集団の教育効果の指摘 する人も多い. これらの行事に親や地域住民が参加するこ とによって, 親や地域住民が教育上考え直したこ とは, 「小学 生達ができることは小学生達ですべきであり, 親があまりかまい過ぎてもいけない」 とか 「子どもの集団行 動の良さを見直した」 などの子ども自身の自立心に対する関わり方を反省したり 「子どもの言葉づかいや態 度が悪く, しつけの在り方を考え直した」 など家庭内でいる時とは異なった社会的な場面での子どもの様子 などを反省したりしている‐「一方学校の行事や教育に地域が関わることで, 社会的なものの見方・考え方・ 地域での自分の役割な どを, 大人と一緒に学ぶことができる」 ことも確信したりしている. 以上のように, 地域を含めた行事によって, 子供どう しの協力関係・人間関係や社会性や異年齢集団の教 育力を体得するとともに, 大人が行事等で子どもの様子を知り, 親も子どもの自立心やしつけなど教育上反 省 も したり している. こ れ ら によ っ て地 域の 教育力 全 体 が 向上 して いく の である.. すでに学校と地域が共同で行事を開くことの重要性をみてきたが, さらに行事ごとにそれらを地域住民の 自由記述による意識でとらえていきたい. 1年の第一回運動会から, 地域と合同で開いており, 単なる学 運動会は既にみたように, 学校設立後の195 校行事を家族に見てもらう というのに留まらず, 地域住民も主役として参加している‐ その後1960年代後半 に学校規模が児童・生徒数150人程に急増したために, 地域住民の競技の時間を確保できず, 子どもの競技 のみにしていた. すなわち学校の主催による運動会となったが,1976年に再び学校と地域の共催としている. 運動会に対する地域住民の意識 を自由記述で見ると, 「子どもが学校に行けなく とも気軽に運動会に参加 できる」 ことや 「お年寄りも参加する」 ことが前提となって, 「地域の親睦がはかられ」 たり, 「地域の連帯 感・団結が強められた」 ととらえている. また 「準PTA会員の家も教員 とつながりができた」 り, 「教員 ‐ も 地 域住 民 の 一 人 と して 参 加」 し, 「先 生 の 奥 さ んたち と も 親 しく で きる よう にな っ た」 と と ら え て いる.. 運動会が地域の行事として位置づく中で, 父母とPTA準会員と教師とを全体として結び付けているのであ 40.
(12) . 地域に開かれた学校運営とPTAの役割. る‐. ‐ 酪農祭はすでに述べたように, 学校を会場として地域とPTAの共催で,.ゲームや成吉思汗や各団体によ る夜の演芸大会を一日中行う行事である‐ もともと地域のお祭りは, 神社のお祭りであったが, 戦後入植者 がふえてきたことを契機に, 1955年に神社のお祭りを氏子のお祭りから一応独立させた‐ 一方お祭り自体は 年々 衰 退 して いく が, 子 ども が楽 しみ に し続 けて いる こ とや 地域 の 交流 が欠 けてくる こ と から, 1960年代 前. 1年より神社 半より収穫祭のような行事を企画に含めることにしている‐ さらに地域を活性化する上で, 198 の夜宮祭の翌日に現在の酪農祭を行う ようにした‐ 当初から学校は会場になっている だけでなく, 子どもや 教師の演芸披露などで大きな役割を果たしていた. もともと収穫を祝う収穫祭の意味を含めたお祭りとして 出発し, その後地域の文化祭的な行事に発展してきている‐ この酪農祭も運動会と同様に子どもからお年寄 0人近く が集まる行事で, 地域をまとめ活性化させる大きな条件となっている. りまで地域のほぼ全戸の20 酪農祭に対する地域住民の意識を自由記述で見ると, 「働いて収穫した喜びをみんなで分かち合える」 と いう勤労体験学習の一環としての意義を感じている他に, 「子 どもと大人とが共同でお祭りを盛り上げるこ と は素 晴 ら しい」 と感 じている. ま た, 運動 会 と 同様 「子 ども と一緒 に遊 べる」 とか 「子 ども か ら大 人, 老. 人まで全員で楽 しめる」 など親子交流や世代間交流の意味をとらえている人もいる‐ また, 「地域が一体と なる」 ことや 「地 域 の仲 間 づ く り」 に役 立つ と している 人も いる.. これら運動会と酪農祭は年間の行事の中でも代表的なものであるが, このほかにPTAが媒介しつつ学校 と 地域 が共 催 で行 っ て いる も の と して は, 前 述 した 「緑のフ ェ ス ティ バ ル」 と, ス ケー トや 雪 像作り や カ ル. タ大会を盛り込んだ 「冬季体育大会」 がある‐ これらの行事も 「地域全体が一体となる」 とか 「子ども達と 遊 べる」 という 意見 が多 く, 同 様の効 果 をも っ ている‐. 「 「 学校が主催する行事としては, 「学芸会」 , 親子交流会」 があるが, いずれもPTAが大 , 意見発表会」 きく関わっ ている. 「学芸会」 では, 地域住民の多くが手芸作品を自ら展示しつつ鑑賞し, 地域の学芸会に もなっ ている. 「意見発表会」 では, 大勢の親や地域住民の前で話すことによって, へき地児童の不得手な 特性を解消する役割を果たしている‐ 「親子交流」 の参加者は親が中心であるが, 朝夕の搾り乳作業に出る 表7 学校と地域との共催の行事への参加状況. 行事への参加状況. PTA役員経験. 猪. ) 享. 寡. 男. 塁. 墓 琴. 参 琴. 参 琴. 考 話. 参 ぞ. る. る. る. の有無. 左. T砥 l a. な し). し). 4 100‐0%. 0 0‐0%. 0 0‐0%. 0 0‐0%. 4) 0 ( 0‐0% ( 100‐0 ). 2) 過去に児童の親が役員を している. 4 66‐7%. 1 16.7%. 1 i6‐7%. 0 0‐0%. 0 ( 6 ) 100‐0 ) 0.0% (. 3) 親以外の家族が役員の経験あり. 3 3QO%. 5 50.0%. 2 20‐0%. 0 0‐0%. ) 0 ( 10 ) 0‐0% ( 100‐0. 4) 家族のだれも役員の経験がない. 3 37‐5%. 4 5QO%. 1 12-5%. 0 0‐0%. 0 ( 8 ) 0‐0% ( 100.0 ). Tota l. 14 50.0%. 10 35.7%. 4 14‐3%. 0 0.0%. ) 0 ( 28 ) 100‐0 0‐0% (. 1) 現在児童の親が役員をしている. 注 数値の上段は実数、 下段は割合 41.
(13) . 玉 井 康 之. 酪農地帯にありがちな親と子のコミュニケーションやスキンシッ プの寡少性を補うものとして位置づけられ ている‐ 「敬老会」 は地域主催ではあるが, 児童の舞踏等の演芸披露を行っ ており, 学校としても高齢者と の交流学習として位置づけている. 「孫が老人を楽しませ地域の福祉活動 にもなる」 ととらえている‐ 以上の学校と地域の共同による行事は, PTAの役員であるから参加するということに留まらない. 「現 在児童の親が役員をしている」 家庭は, 行事に 「ほとんど参加する」 家庭が100%であるのは, ある意味で は当然であるが, 「家族のだれも役員の経験がない」 家庭でも, 「ほとんど参加する」 家庭が37 .8%であり, 「よく 参加 する 家 庭 が50 0% 存在 して いる PTA役員経験の有無に関わらず 学校と地域の行事に参加 」 . ‐ ,. する地域住民が多いことが分かる (表7) . これらの行事は, 学校と地域の連携, すなわち地域と児童と教師, 及び地域住民相互の結び付きを強め, あらゆる地域と学校教育の活性化を支える大きな条件となっている.. W. 学校教育課程とPTA・地域の協力 1. 体験学習と地域の協力 学校と地域の連携は, 行事以外の教育活動でも見られる. その一つは, 近年重要な教育活動として位置づ けられている地域素材の教材化や体験学習である‐ 中御卒別で毎年定期的に行われている体験学習であり, 重要な教材としても位置づけられている活動として炭焼きがある‐ この地域の歴史には, 元々自然条件の厳 しい中で炭焼きから始まり副業としても炭焼きを行っていた歴史がある‐ 厳しい開拓の歴史を学ぶ上でも炭 焼きを実際に行ってみる生産体験学習は, 児童の現実的な認識を深める上で有効である. この炭焼きの行事 は, 地域住民からすでになくなっ た炭焼きを伝えたいという要望と, 学校や開拓の歴史認識を深めていくと いう教師の教育活動目標が一致して, 1 989年から始められた‐ 4メートル四方の炭窯は, 学校の敷地に作ら れている が, す べ て地 域住 民 の 手 によ っ て作 ら れている.. この炭焼き体験学習では, 地域の人々の指導を受 けながら, 子 ども達が炭木の切り出し協力から行い, 炭 窯への入れ方, 翌日の取り出すタイミングなどの学習を行っている. 炭木の切り出しは, PTA役員総出で チェーンソーやトラックを持ちより協力しあっている. 児童中心に体験学習として行う日以外にも, PTA が中心となって, 行事等で年間に必要な木炭を生産している‐ このような炭焼き体験学習を行いながら, 同時にこの地域の人々の開拓時代の歴史や暮らしぶりを語って もらっている. この体験学習及び聞き語りは, 毎年全学年を含めて行っ ており, これらの地域の素材と人材 を通じて, 地域の歴史学習や先人の苦労を学習できるようにしている‐ またこのような勤労によって製造さ れた木炭を販売して, 木炭が生活の糧になることを学ぶとともに, その販売金で教材を購入するなどの学校 教育充実費用に当てている‐ 購入した教材の一つ一つについて, 児童の炭焼き活動によっ て購入できたもの であることを児童と確認しつつ生産労働の意味と自覚を与えている‐ 児童には, 炭焼き体験の中で調べたり, 感じたりしたことを発表してもらうよう にしている. 199 3年度は, ヘき地教育研究大会が中御卒別小学校で 開催されたために, この研究大会で炭焼き体験発表を行っ ている. この炭焼き体験を子ども達に伝えることの意義を地域住民がどのようにとらえているかをみてみよう (表 「 8) . その意義を5段階評価でみると, 5の評価が最も多いのは, 地域の伝統文化や先人の苦労を伝える」 で, 85.7% が5 を 選 択 して いる. 以 下5 を選択する人が多いのは, 「学校教育内容が豊かになる」 5 0 .0%, 「子 ども達 の勤 労 観の育 成 42 9% 「基 本的な 生 活 技能 を 伝える 32 9% と 続 いている 「親 と 子 の結 び付 」 . , 」 . .. き」 や 「手先が器用になる」 という意義は, この炭焼き体験学習では比較的少ない. むしろ学習内容の問題 として, 学校教育内容を豊かにするものとしてとらえていることが分かる. また地域の伝統文化, 生活様式, 42.
(14) . 慾割 地域に開かれた学校運営とPTAの役. 表8. 炭焼きを子 ども達 に伝 えることの意義 伝. え. る. 意. 義. 地域の文頭文化や先人の苦労を伝える 学校教育内容が豊かになる 子ども達の勤労観の育成 基本的な生活技能を伝える 親と子 どもの結び付きが強まる 手先が器用になる. 1. 2. 0. 0. 0‐0%. 0‐0%. 0. 2. 0‐0%. 7.1%. 0. 2. 0‐0%. 7‐1%. 1. 3.6% 0. 0‐0% 1. 3‐6%. 3. 10‐7% 6. 21.4% 3. 10.7%. 4. 3. 1. 24. 3‐6%. 85.7%. 3. 107% 9. 32‐1%. 4. 14‐3%. 28. 100‐0% 28. 7. 8. 15. 53‐6%. 28. 100‐0%. 9. 4. 14‐3% 32.1% 28‐6%. 28. 100‐0%. 12. 8. 7. 25‐0%. 5QO%. 28.6% 42‐9%. 11. 39‐3%. 28. 100.0%. 14. 3. 10.7%. 6. 21‐4%. 5. 52‐0% ′. 100‐0% 28. 5. 17‐9%. 100‐0%. も 大 き 5 が 最 い ) (滋 嘘 滋養 挙議論舎 生活技能のほかにも, 「じっくりと観察することを学んだよう だ」 とか 「炭焼きの中身と着火後の変化が分 かっ たようだ」 という炭焼きへの子どもの観察力の向上も重要な意義をもつものと認識している‐ 炭焼き体験の他には, 学校農園を管理しており, 耕転や播種等では地域住民も協力している‐ 9月には児 童による収穫作業を行う とともに, 児童会主催の収穫祭を開き, 作物の料理をしながら収穫を喜び合う. そ のことによっ て児童の勤労の結実としての作物の結実を確認している‐ 「移り変わり」 )を 炭焼き・農園体験以外にも地域素材を教材化したものも多い‐ まず児童が地域の歴史 ( 地域住民への聞き取りによって明らかにし, 年表を作成したりしている. また教員と地域住民と子ども達が 一緒になって, 中御卒別案内板を作成している. この案内板は中御卒別の住宅地図と特徴を書き込んで掲示 板にしたもので, 地域学習の一環として作成した‐ 掲示板を立て掛ける時には, 地域住民の協力を得ている‐ またこのほかにも学校と地域を結び付けるものとして, 学芸会での開拓時代の体験談を古老に順番に語って 98 0年に中学校が閉校となったのを機 もらい, 地域の生活史の語り部学習を取り入れたりしている‐ さらに1 に, 旧中学校の校舎を郷土資料館とし, 地域住民から戦前からの民具や資料, 地域の歴史を語る資料を提供 してもらい, 歴史的な学習の参考にしている‐ これらも共同作業や五感を伴いながら児童の地域の実態認識 を深めていくものであるが, いずれも地域住民の聞き取りや作業協力を得ながら行っているもので, 学校教 育課程内の課題であっても地域との協力関係は前提となっているのである. 2. 世代間交流と学校の開放 世代間で交流している 中御卒別の行事としては, 敬老会と 「お年寄り参観日」 の2つがある. 敬老会は, 前述したように地域が主催で学校にも演芸披露の協力要請があり, 学校としても協力している. お年寄り参観日は, 学校主催で日常的な児童の様子を祖父母を初めとしたお年寄りに見てもらう ものであ る. 酪農地帯は一般的に父母が早朝からの搾乳作業が入るために, 祖父母が子どもの世話に当たる場合が多 い- その際に, 単に世話するだけでなく, 児童に求められる厳しさや自立を促す生活指導が求められる為, 子 どもの生活上の課題を祖父母やお年寄りにも取り組んで頂く必要がある. 学校・PTAは, 子 どもの様子 える条件として位置づけてい る. また . 、をまず学んで頂く という意味で, お年寄り参観日を学校教育課程を支 児童にとっても祖父母等のお年寄りへの理解を深める という意味もふくめている. お年寄り参観を実施することで, 「子どもが祖父に見てもらっ たことをとても喜んでいる」 「祖父母に対す る子どもの接し方が優しくなった」 「祖父母に対する信頼性が増した」 「祖父母が家族の一員として重要な位 43.
(15) . 玉 井 康. 之. 置を占めるようになった」 などの祖父母に対する児童の変化が出ている‐ また祖父母にとっても 「孫の学校 での様子, 生活態度が分かっ た」 「子どもの生活態度に対して, 厳しく考えるようになっ た」 などの子ども に対する見方も変化している. お年寄り参観実施後の祖父母と孫の交流について, 返答のあった13人のうち 8人が, 程度の差はあれ何らかの形で交流が活発になっ たとしている. このようにお年寄りに学校に来てもらうことで学校を開放している‐ 世代間の交流を通じて, 子どもと, お年寄りの相互の認識を深めていき, 子どもの指導を学校と親と祖父母を含めた地域ぐるみで行うようにし ているのである. 無論お年寄り参観以外にも, 父親参観を含めて年数回の参観日を設けている. 毎年秋に行 われる町内へき地教育研究大会にも父母等が参観できるよう に呼びかけている. これらの参観日以外に学校の取り組みを知らせる手段として, 毎週発行の学校通信の他に学校蔓重信を月に 一度発行 している‐ 学校通信は教頭を中心に作成し, 学校全体に関わる行事や運営や, 家庭の教育上留意し ておいた方がいいこと等について記され, 内容面においても家庭や地域との連携も図っている. この学校通 信は, 準PTA会員を含む全戸に配布しており, 学校の行事等の取り組みが常に伝わるよう になっている‐ これらのお年寄り参観や学校通信の全戸配布は, 学校の授業や行事を父母のみならず地区住民に開いてい ることによるものであり, それを通じて学校教育を支える家庭や地域の教育力をも高めようとするものであ る.. V. 地域の社会教育活動と学校・教員との連携 PTAはすでに述べたように, 行事や学校教育課程において, 学校と地域を結びつける上で大きな役割を 果 た して いる‐ PTAそれ自体は日本最大の社会教育団体でもあり, PTAのこう した活動そのものが本来 社会教育活動に位置づくものである. すなわち, 既にみた学校と地域が一緒になっ た行事や行事以外の教育 課程, などは学校教育活動の一環だけでなく, 社会教育活動の一環でもある. さらにこれらの教育活動以外の学校・教員が重要な役割を期待されている社会教育活動に, 地域の文化活 動がある‐ 一般に農村小規模学校では, 学校教育に対して地域は協力的であり, 逆に地域の独自な文化活動 に対しても, 教員・学校の果たす役割も大きい. 中御卒別小学校の教員が地域の文化サークルに関わっ ているものには, (表9) のようなものがある. ア ンケートの回答があっ た地域住民28家族中で, 参加者の多いサークル順に学校との協力関係を見てみよう. 表9. 中御卒別の文化サークル活動の参加状況と学校・教員の関わり サークル名. 参加者. 学校及び教員の協力. ・ ミ ニノぐし 一 ・. 1 3人 体育館の開放, 教員の参加. ・ ダ ンス ク ラ ブ. 11人. ・ゲートボール. 教員夫妻の指導, 他の教員の参加 9人 学校の敷地開放, 教員の指導. ・日本舞踏. 8人 元校長夫人の指導. ・やち ぼう ず旅の会. 8人 教員の参加. ・カラオケ ・ ゴル フ ク ラ ブ. 教員の参加, 教員の機材寄付 6人 教員の参加. ・書道会. 2人 中学生に対する教員の指導. ・花き. 2人. ・ ペン習字会. 1人. 6人. 教員の指導. (アンケート回答のあっ た28家族中) 44.
(16) . 地域に開かれた学校運営とPTAの役割. ミ ニ バ レー の 参加 は13人 で最 も多 く, 教員 も 一 緒 に 参加 して行 わ れている. ダンス ク ラ ブの 参加 は11人で,. 教員夫妻の指導を受けている. ゲートボールの参加は9人で, 学校の敷地の一部分にゲートボール場を設置 し, 教員の指導を受けている‐ 日本舞踏の参加は8人で, 元校長夫人に現在も中御卒別にきてもらいながら 指導を受けている‐ 地域住民で旅行に出かけるサークルである, やちぼうず旅の会への参加は8人で, 教員 も 旅行 に参加 して いる‐ カ ラ オケ サ ーク ルや ゴルフク ラ ブも 教員 が 参加 して いる. その ほか書道 会や ペ ン習. 字は教員が指導している‐これらのサークルは学校・教員 が技術・技能的に指導しているというだけでなく, 事務局として関与している側面を含んでいる. また施設面では, ミニバレーは学校体育館を毎週利用しており, 施設面での学校開放も行われている. サ ークルのみならず, 酪農祭での演芸大会や学芸会な どでも体育館が利用されており, また行事のたびに, 子 いて学校施設の果たす役割は どもと地域住民対抗のソフトボールを校庭で行っており, 地域の文化活動にお‐ 大き い. こ れらを見 て 分 かる よう に, 中御 卒別 の サ ーク ル活動 は, 学 校教育 を離 れては いる もの の, ほと ん どす べ. て学校教員の指導や参加を得て行われており, 事実上学校・教師の役割は極めて大きいことが分かる‐ 993年度 学習会活動でいえ ば, さらに中御卒別PTAが主催する学習会活動も毎年開かれている. 例えば1 の中御卒別PTA 学習会は, 農業共済組合支所長を講師に招き, 「酪農と教育」 について学んでいる. 学習 内容は, 家庭教育に関するもの, 地域の将来に関するもの, 学校教育内容に関するもの, など多様なテーマ で毎年開催されており, 学校長他教員が講師となる場合もある‐ これら文化サークル活動にしても学習会活 動にしても, 学校・教員との連携協力のもとに展開されており, 現段階に求められている学社連携の一端を 示すものである‐ このように教師が地域の文化活動・教育活動に積極的に出ているために, 逆に学校教育活 動にもPTA・地域の協力が得られたり, 家庭教育・生活指導における連携が可能となるのである. このよ うな学校・教員が地域に出ている ということは, 当然都市化・非行化傾向に対する児童の健全育成や児童相 互の共同・協力の精神にも影響するのである. このことは, 単に農村小規模学校においてのみ可能となるも のではなく, 理念として市街地・都市部の学校においても通じるものがある‐. おわりに 近年, 子どもの生活体験の不足を多様な体験活動で補完する為にも, 学校教育課程を支える為にも, また 子どもの問題行動や健全な発達に対応する為にも, 学校と地域が密接に関わることが重要であることが強く 指摘されてきている. 例えば, 地域の素材や人材の学校内への導入, また地域の社会や自然の現実の姿を体 験する体験学習などは, 多様な力量を持つ地域住民の協力が不可欠であるからである‐ 他方で, 地域との有 益な関係を築き家庭や地域の教育力を高めるためにも, 学校をまず地域に開くことが求められているが, そ の際, 単に学校施設を開放することのみで, 学校を地域に開いたとされるものではない‐ すでに中御卒別小学校で見てきたよう に, 北海道の農村小規模学校では戦後においても, 開拓の中で地域 創立後も校舎の拡充 の協力を全面的に得ながら学校を創立する という伝統が残っていた‐ 中御卒別では学械蕩 では地域住民総出で労力奉仕をし, 施設やグランド整備やアスレッチック等の等の設置にも, PTAを中心 として地域住民が関わってきた. また施設面のみならず, 第一回運動会から地域との共催で行うなど, 行事や内容面での地域が歴史的に大 きく 関わっ てきた. 中御卒別では, 現在でも行事において学校と地域の分担はあるものの, 運動会や酪農祭 を初めとして双方とも関わっている行事が多い. 学校としても子どもの教育活動の一環として地域行事に参 加 している‐ そ れ らの行 事 が地 域 のま とま りや 児童 の 共 同・協 力 の精神 を培う こ と にもつ な が っ て い た‐ 45.
(17) . 玉 井 康 之. これらの関係は, 地域住民全戸が関わって学校を創立したという歴史的な伝統が戦後も継承されたものが あるが, それを現在にまでも支える条件は, PTA創立時に児童の有無に関係なく校区の全戸のPTA加入 の原則を打ち立てたことによる. このようにして, PTAを通じて地域が学校との連携を強めたのである. 中御卒別の行事は, 運動会・酪農祭を初めとして, 学校と地域が共同で行う行事が多いが, そのことによ の教育に関わることに っ てまず地域住民どうしの協力関係を作り出している‐ 地域住民がまとまって子ども◆ よって, 子どもどう しの協力関係を無意識のうちに模倣学習させていた‐ 他方で地域住民は, 行事を初めと した子どもの教育活動に関わることによって, 大人が子どもの日常的な姿を見ることができ, 自立心やしつ けなど子どもの教育に関して地域の大人の反省をももたらしている‐PTAによる教育等に関する学習会も, 地域に根差したテーマを取り上げて毎年行っている‐ また行事だけでなく, 地域の協力を得ながら炭焼きなどの勤労体験学習を行ったり, 資料館を設置したり しているが, これらを通じて, 地域素材を使った伝統的な地域文化の学習や自然科学的な観察力も養うなど, 教育内容を豊かにしていた. さらに児童による敬老会の演芸披露や, お年寄より参観日を設けることで, 異世代間の交流も行い, 地域 住民の協力を得ながら人間性を高め, また家庭や地域の教育力を高めるようにしている‐ PTAの諸活動も,学校外地域との交流や体験学習もすべて社会教育活動にも位置づくが,これらの学校・ PTA・地域の連携が日常的に行われているために, 教員も一層地域に出やすく, 地域の文化サークル活動 などでの教師の役割も大きくなている‐ 以上のように, 行事や教育環境整備や文化活動において, あらゆる面で学校と地域のつながりは深く, こ のつながりによっ て農村小規模学校の積極面がさらに生かされている. PTAを媒介にして学校と地域が結 び付き, それによって地域の大人と子 どもが交流することで, 子 どもの教育活動を活発にし, 同時に地域の 潜在的な教育力を活発化していくのである‐ 単独では効果の弱い学校も地域も家庭も, 相互に連帯すること によってあらゆる教育的な活動内容を豊かにしているのである‐ このような学校と地域の連携は, もともと地域の熱烈なる期待が学校にかけられたことに始まるが, さら に学校がそのことを受けて学校の教育内容や行事や教員の特技を地域に開放していった結果でもある. この ような学校と地域の連携は, 学校及び教員が意識せずとも, 学社連携の求められる生涯学習時代下での, ひ とつの先進的な学校運営の在り方を示しているものと言えよう‐ ここでの中御卒別の事例は小規模学校での 事例であり, 大規模校と同様にできる訳ではもちろんない. だが, 学校と地域の連携の方向性としては, 小 規模学校に学ぶべき先進的な理念と実践が存在すると考えられる.. 注記 1年4月 1‐ 中央教育審議会 「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革にっいて」199 「 社会の変化に対応した新しい学校運営等の在り方につい 社会の変化に対応した新しい学校運営等に関する調査研究協力者会議 2‐ て」 1992年 2月. 2年7月 3‐ 生涯学習審議会 「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興にっいて」199 ‐「西 ドイツにおける学校運営への父母の参加」 4‐ 欧米の学校開放に関しては, 例えば以下のようなものがある. 天野正治・柳沢良明 , 4年, 学文社など. 9 教科研 『教育』 51 0号, 19 89年7月, 国土社‐ 西村絢子 『父母の学校参加-イギリスに学ぶ』19 『 99 3年3月 5. 玉井康之 「北海道における 『学校と地 域 の連携と地域の教育力」 , 北教大避地教育研究施設 避地教育研究』 第47号, 1 「 『 6. ヘき地地域の避地性の解消とへき地児童の特性の変化にっいては, 玉井康之 ヘき地学校と地域的福祉」 ,神田・岩崎・玉井・朝岡 教 99 育と福 徳 1 4年, 高文堂出版, 参照‐. 46.
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