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遅延聴覚フィードバックへの順応

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Academic year: 2021

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(1)Title. 遅延聴覚フィードバックへの順応. Author(s). 青木, 剛士. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 29(1): 67-78. Issue Date. 1978-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4771. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 遅延聴覚フィ ー ドバ ックへの順応. 青. 木. 剛. 土. 話し手が自分で話したことばを自分で聴き取ること, すなわち 音声の聴覚フィ ー ドバックは , , 話しことばの成立にとっ て極めて重要な調節的な役割りを果た している たとえば周 囲の騒音が大 . きくて, 自分の声もよく聞こえないような場合話し手の声は大きくなる つまり 聴覚フィ ー ドバッ . , 4 クは声の大きさを調節している, また, 反響のあ る部 屋 では話し方がゆっくりになる (B1 { } ) a ck . つまり聴覚フィ ー ドバックは発声の速度も調節している. 聴覚フィ ー ドバッ クとは普通は気導聴覚 フ ィ ー ト バ ッ ク の こ と で あ る が, そ の 他 に も 骨 導 聴 覚 フ ィ ー ドバ ッ ク と 自 己 受 容 フ ィ ー ド バ ッ ク が. ある. 自己受容フィ ー ドバッ クとは発声活動が筋肉運動感覚およ び触覚としてフィ ー ドバッ クされ ること であり, 骨導聴覚フィ ー ドバックとは音声振動が骨, 皮膚組織を通じて内耳へフィ ー ドバッ クされることである. 3種のフィ ー ドバッ クの所要時間は それぞれ異なっ ている 自己受容フィ ー ドバッ クが最も遅い . . こ の フ ィ ー ド バ ッ ク 信 号 は 初 め か ら 神 経イ ン パ ルス の 形 で伝 え ら れ る つ い で 気 導 フ ィ ー ド バ ッ , ,. ク,最も速いのが骨導フィ ー ドバッ クである. 両者ともフィ ー ドバックは音声の振動の形をとるが , 振動の媒体は後者 がより大きな質量 (皮膚, 骨) を持ち, また相対的には径路 の距離も短い 人は , こ の 3 通 りに 伝 導 速 度 の 異 な る フ ィ ー ドバ ッ ク を 巧 み に用 い て 発 声 活動 を コ ン ト ロ ー ル し て い る .. ところで, 気導聴覚フィ ー ドバッ クは電気・機械的にこれを遅らせることができる この遅延聴 . l i 覚 フ ィ ー ドバ ッ ク (De tory Feedback ayed Aud , D A F) に よ っ て, 一 般 的 に, 話 し 手 の 声 は 大 き. くなり, 速度は低下するが, その他, 語尾が繰り返されたり, 省略されたり, 異音が挿入されたり して, 要するに発話が流暢ではなく なる. このように気導聴覚フィ ー ドバッ クのみを時間的に遅ら すことによっ て, 発声が混乱するということから音声言 語の安定性はただ単に 3 種 類 の フ ィ ー ド バックに支えられているだけ でなく, これら3種のフィ ー ドバック間の時間的なずれの微妙な関係 に 支 え ら れて い る と 考 え ら れ る, つ ま り, 聴 覚 フ ィ ー で バ ッ ク は 自 己受 容 フ ィ ー ドバ ッ ク と 常 に 一. 定の時間的関係にある ことによっ て, 発話の流暢性を調節していると考えられる この時間的ずれ . は音節というような言語的単位に影響を与えるほど大きくはなくて, 音声の振動の位相のずれを起 こす程度のずれである. しかし, この位相ずれは流暢な話し方にとっ て重要な意義を持つと考えら i れる. 幼児の音声言語の発達途上で見られる吃音に似た現象 (no i lhes tat onofspeech) は, rma 幼児がまだ十分にこの位相 ズレに順応していないからだ, という示唆もある 成人は3種のフィ ー . ドバ ッ クと フ ィ ー ドバ ッ ク 間 の ズ レ と を 利用 して, 発 声 活動 を コ ン トロ ー ル でき る .. DAF条件下の被験者を観 察すると, DAFによる発声の混乱に単に受け身になっ ているのでは なく, これに対抗して自分の発声を安定させようと努力しているように見える つまり DAFに . , 自分の発声の調節メカニズムを順応させようと努力して いる . したがって, ある程度長時間DAF が続けば, 少なくともDAF導入直後の話し言葉のひどい混 乱はなくなると期待される. 67.

(3) . 青. 木 剛. 土. 3 ( )キ At k i こよれば,DAFに対する順応は発声強度にも音読速度にも現われなかっ たが(300秒 ns on 間音読) , DAF条件下 での音読の時間をもっ と長くすればその可能性はあり, また別の指標を使え ばDAF順応は検出しやすいのではないかと述べている, 彼のあげている指標とは, 手掌の発汗, 呼吸, 語音や音節の反復や調音の誤りなどである. その後現在にいたるまでDAF順 応に関してま だ確 実 な こ と は わ か っ て い な い.. DAFの効果としての流暢性の阻害は人工吃と呼ばれることもあるが, これは普通の吃音とは異 質なもの である. なぜなら, DAFのもとではカン高い特異な発声と, ことばの語尾の反復が見ら れるが, これは吃音の症状とは明らかに異なるからである. ところが, 吃音者 ではDAFによっ て, むしろ自然吃音が消失したり, 減少したりすることがあ 1 0 7 ( }) 吃音に対してDAFが有効に作用する機制は現在まだよく わかっ ていな )Sode be る(遠藤( r rg . いが, この効果が単に 一過的な現象 でないならば, DAFは有効な吃音の治療法となるにちがいな し、.. DAFに対する発声の調節過程, つまり順応, の様相を明らかにすることは, 当該調節機構にお ける聴覚フィ ー ドバッ クと自己受容フィ ー ドバッ クとの特定の時間的関係の重要性の解明のみでな く, 言語臨床におけるDAFの効果的利用にも示唆を与えるものである. 一般に残効とは, 刺激に対する順応の結果起る現象であり, 順応過程の別の側面であるといえよ う. したがっ て残効を調 べることで順応の様相がわかり, DAFの言語臨床上の効果を考えるには, 残効は特に重要な意義を有する. ( 6 )はDAF解除後の音読時間が平常より長いことを認め 少なくともDAF除去後1 B 1 50秒 ack , ( 1 1 } の 結 果 では B1 l f f ey 間 は そ のよ う な 残 効 が あ る こ と を 見 つ け て い る. Ti any & Han , ack と は 反 対. にDAF後の音読速度は速く なっ たが.彼らはDAF条件下 での音読時間が短かかっ たことと,使っ. ( 8 }; i た フ ィ ー ド バ ッ ク の 強 度 の レ ベ ル が 低 か っ た 点 と を 理 由 に し て 結 論 を 留 保 し て い る. Fa rba血s 9 ) ( は 音 読速 度 な い し 発 声 強 度 に は D A F の 残 効 は 示 さ れ な い と 述 べ て い る Pronko & Kenyon , . 1 ( }はDAF条件下での発声の混乱の程度が残効に関係しているの ではないかと l Za h l os & Sa zman 2. 考えて様々 な条件を設定して実験してみたが, 結果ははっ きりしなかっ た. 本研究においては, DAFによっ て発声の混乱をひき出したのち, 持続して与えられているDA F事態 でこの混乱が被験者の努力によっ て回復していくかどうかを観察することによっ て, DAF 順応の存否を確認すること, また, 上述の3種のフィ ー ドバッ クの時間的関係とDAF順応との関 係について考察することを目的とする. 方. 法. 実験開始時点では, 被験者は1 9才以上の大学生およ び大学院生15名 であっ た. そのうち女性は 11名 であっ た. 全部のセッ ショ ンを終了 しない者がいたの で, 10名 (うち女性7名) のデータにも とづいて結果を報告する. 被験者は全員正常な聴力を持ち, 言語障害の既往歴がない. 実験装置 i 実験に使用した装置の接続系統図を F g .1に示す, 音声遅延用テー プレ コー ダー (図 ではDAF MACHINB)は ソ ニ ー テ ー プ コ ー ダ- T C -808 S を使 用 し た.録 音 ヘ ッ ドと 再 生 ヘ ッ ドと の ヘ ッ ド 間 間 隔 41mm, テ ー プ 走 行 速 度 は 38cm/sec と 19cm /sec の 二 段 あ っ た が, キ ャ プ ス タ ン A C. サーボコントロール用発振器の発振周波数を可変低抗器を用いて, 外部から変えることにより, 38 cm /sec か ら 9.5cm /sec ま での間 で任意に速度を変えることができるようにした. しかし, 予備 68.

(4) . . 遅延聴覚フィ ー ドバックへの順応. 的実験の結果, テー プ走行速度の安定性が良くないことがわかっ たの で やむをえず 本研究にお , , い て は, 遅 延 時 間 は 一 定 の 値 と す る こ と に し た ヘ ッ ドセ ッ ト は ソ ニ ー H S -61A を 使 た ヘ っ . . ッ. ドセッ ト付属のマイ クから被験者の口までの距離. は 全 て の 被 験 者 と も 15cm 一 定 と し た 被 験 者 の . 発 した 音 声 信 号 は こ の マイ ク か ら 遅 延 用 テ ー プレ. . DAF MACHINE. . ブー ス ア ン プ(ソニ ー E N -60) で増 幅 さ れ ヘ ッ ,. のしてある実験室 (東京教育大学脳波実験室) を 用いた ,. .. DA F条 件の設定. BOOTH AMP. HEAD SET. RECORDER. LEVEL. spEED. METER. LEVEL RECDR,. Fig.1 実験装 置の接続系統 図. ①遅延時間について. DAFが発声に最大の混 2 }) 前述のように本実験 で使用した遅延用テー プレ 乱を与える遅延時間は約0, 2s ec である (青木( . コー ダーのヘ ッ ド間間隔は41mm であり, テープ走行速度が19cm/s ecの場合には遅延時間は約 0.22s となる 従来の研究に最も近 ec い遅延時間であると考え, これを使うことに した . . ②遅延フィ ー ドバッ クの強度に ついて 増幅器のVU目盛 が示すピーク値が一定になるようにし . た. つまり, ピーク値が被験者間 で同じになるように被験者の声の大きさに合わせて実験者 が手で 増幅器の音量調節ツマミを調節した なお, 被験者に対していつも一定した大きさ で発声するよう . 指示した.. 音読材料 a. 反復音読材料として用いたのは 「ジャッ クと豆の木」 というしばしば吃音の診断に用いられ ている2 89音節からなる平易な文章 で, 紙に印刷しておき, それを1日に前後5回ずつ計10回 5 ,. 日間読ませる, b, 新音読材料. 一連のストーリーで, 同じ箇所を反復して音読させることはない こ ども向け . の童話, 「ピーターパン」 と 「黒いこひつじの ダニー」 の文章から 1回平均約2 66音節を1日に2 , 回, 5 日間にわたっ て次々と読ませて いく 音読材料の内容の熟知度 が DAF への順応に関係するこ .. とが予想されるの で, 内容的熟知度の高いa材料と熟知度の低いb材料を用いた , c. 身辺の口述. 被験者の日常の身辺についてテー マを与え 話させる 例えば 「あなたの住い , , から大学ま での道順をできるだけ詳 しく話して下さい 」「昨日は午前中何をしましたか?」 など , , 1日1回, 約60秒間 (反復音読材料の音読所要時間とほぼ同じ) a bの材料が書かれた文字を . , 音読するという活動 であるのに対して, 身辺の口述は, 被験者が話す内容を決め 文字に視覚的に , 頼らずに口述する活動 である. このような発声活動はDAFによっ て最も混乱をうけ ることが予想 さ れる. 69.

(5) . 青. 木. 剛. 土. DAFに対する順応を生じさせ為には, 長時間DAFのもと で 音読をくり返すことが必要 である. そこ で, 本実験においては 1日に1回を1セ ッショ ンとし, 不 連続で5 日 間, つ ま り 5 セ ッ シ ョ ン に わ た っ て D A F を 与 え た. 1 セ ッ シ ョ ン 内 の 手 続 き は 次 の よ う である. まず, 被験者にヘッ ドセッ トを装着したのち, DAFを与えない で反復音読材料を1回 順応条件 (練習回数) と手続き. i IAud tory Feedbad( 読 ま せ る.(こ の 手 続 き を Norma , 略 して N A F と 呼 ぶ こ と に す る. ヘ ッ ドフ ォ l では な い ) こ の 後, バ ン を 通 じて, 増 幅 さ れ た フ ィ ー ド ッ ク を 受 け て い る の だ か ら 完 全 に Norma . 第 1 セ ッ シ ョ ン では D A F の デモ ン ス トレ ー シ ョ ン と し て 同 じ 材 料 を D A F の 下 で 1 度 読 ま せ る. が, 他のセ ッ ショ ン ではただちに教示を与える. すなわち,「遅れて聞こえてくる声に影響を受けな いよ う に し て, 平 常 と 同 じ 読 み 方 が でき る よ う に. 「 ÷2 「 伝司 ; 訂自信T封「「 F 樟Rト5種N 自RNAF 閥鰯 信耐 圧【 一 ト ー÷ 一D A F÷ ÷÷→ ト紙F→ 話-撚ツクトmF. 練 習 し て 下 さ い. 声 の 大 き さ は でき る だ け 一 定に. A F AFのドでの反復材料の音読 R N 5 -DAFの下での晒材料の音読 R I - I 2冊新材料の1回目 N ・2回目の音読 ’N F ‐身辺のu迷. 保 つ よ う に して 下 さ い.」と 教 示 し て か ら D A F の 下 での 練習 に 入る. D A F の 下 での 各 材 料 の 順 序 は 被 験 者 毎, セ ッ シ ョ ン 毎 に 変 え た が, 反 復 材 料. Fig .2 セ ッ ショ ン内の手 続きの例. が 10 回 続 い た り 新 材 料 が 2 回 続 い た り し な い よ. う に した, Fig .2 は 材 料 の 順 序 の 1 例 であ る が, こ の 1 セ ッ シ ョ ン の 所 要 時 間 は 約 30 分 間 であ る.. 結果の記録と整理 被験者の発声はす べて録音し, 実験後に録音を再生することによっ て分析, 整理した. 再生した e c 音声波形を高速 度レベルレコー ダーに描かせた. (記録紙送りの速 度は3 mm/s , ペンの速度は 200mm/sec と し た. テ ー プ レ コ ー ダー の 録 音 レ ベ ル は 全 被 験 者, 全 セ ッ シ ョ ン 同 じ であ っ た が,. レベ ルレコー ダーの波形から得られる値は相対SPL である.)グラフのピーク値を平均 して発声強 度を得た, 音読速度については読みはじめから終了ま での時間を測り, その時間に読んだ, ないし は発話した (身辺口述の場合) 総音節で割っ て1音節あたりの発声所要時間を求めた. この指標は 音読材料の発声のしやすさを時間的側面からとらえるものである. 1音節あたりの発声所要時間が 短い場合, 当該の音読材料は発声しやすく, 単位時間内により多くの音節が発声された, つまり音 読速度は高い, と解釈する. 調音の誤りは被験者の発声を繰り返し再生して聞くことによって判定 し, 記録した. 調音の誤りには, 語, 音節, 音の反復, 異音の挿入, 言いなおし, 中断, 音の歪み, 音の欠落, 音の引き伸しが含ま れる. 調音の誤りは, 発話の流暢性の低下の指標である. 1音節あたりの発声所要時間がD AFのもとでの練習の進行につれて 短縮し, 音読速度が上昇し て行く ならば, 順応が生じた, と定義する. 発声強度はDAFのもとでは増大するのだから, 低減 して行く場合, また, 調音の誤りは減少して行く場合に, それぞれDAF順応が生じたと判断する. D A F 順 応 が 生 じ て い れ ば, D A F 解 除 後 の N A F の も と で の 音 読 の パ フ ォ ー マ ン ス に は セ ッ. ショ ンの初めのNAFパフォ ーマンスと比べた場合, 何らかの変化が生じるはず である. DAF解 除後のNAF パフォ ーマンスが改善されるか悪化するか, いずれにしろ, 正, または負の残効が生 じた こ と に な る. 結. 果. DAFによる妨害がどのように現われてくるのか, DAFへの順応と残効 があるか どうかを各 セ ッ シ ョ ン 内 (1 日 ご と) の パ フ ォ ー マ ン ス の 変 化 と, 第 1 セ ッ シ ョ ン か ら 第 5 セ ッ シ ョ ン に い た. る 5 日間を通じての変化とに 分けて記述する. 70.

(6) . 遅延聴覚フィ ー ドバックへの順応. 1. 1 セ ッ シ ョ ン内 での 変 化 a. 1 音 節 あ た り の 発 声 所要 時 間. 3 0 ・. NAFの下での反復音読材料 (ジャッ クと豆の 木)の1音節あたりの発声所要時間を基準として, DAFの下での パフォ ーマンスの変化を各材料ご と に 検 討 す る.(Fig. 3 参 照)D A F の 下 での 1 音. 節あたり の所要時間は各材料 ごとに 異なっ てい た, 反復音読材料の所要時間は短く, つい で, 新 材料(「ピーターパン」 とそのあとに続く 「黒いこ ひつ じの ダニ ー」) , 身 辺 の 口 述 の 順 であ っ た. こ. 身辺の口述. 2 5 ・ 20 ・. 新型盤 / \\ - / ′ 一--反 - 面扉密料 、-. \. 橋. NAF. . (se l s s o嚇) 1. 「「. の 順 位 は 第 2 セ ッ シ ョ ン の 後 半, 第3 セ ッ シ ョ ン の 前半 以 外 は 同 じ であ る. 身 辺 口 述 と 他 の 2 種 類 の 材 料 と の 差 は 有 意 であ っ た. ま た D A F の 下 で. \ \\ - \ \. 前 後. 2. 「「. 前. 後. 3. 「「. 前. 後. 4. 「「. 前. 後. 5. 「「. 前. 後. 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 Fi g.3 ー 音節あたりの発声 所要時間 の変化. (N=1 0人) の全材料の所要時間は, 反復材料をNAFの下 で 読んだ場合の1音節あたりの所要時間よりも有意 に長かった , 反復音読材料は, 1セッ ショ ン中に別の材料を間にはさんで 前後5回ずつ 計1 0回音読させた , , のであるが, 反復に伴なうセッ ション内の所要時間の推移 は F i g , 4のよう であっ た. 第1セッ ショ ンにおいては前半よりも後半の所要時間の方がやや短く なる者が多く(1 0人中8人) , 他のセッ ショ ン では そ の傾 向 は なか っ た. な お, 新 材 料 では 第 1 セ ッ シ ョ ン で10 人 中 6 人 第 2 セ ッ シ ョ ン で10 ,. 人全員において前よりも後の音読速度が速くなっ た つまり, 両材料とも初期のセッショ ンにおい . て, わ ず か では あ る が セ ッ シ ョ ン 内 の 順 応 の 傾 向 がう か が え る .. セッショ ンの初めのNAFの下 での音読と, DAF解除後のNAFの下での音読の発声所要時間 を比べてみると, 1日目 (第1セッショ ン) において, 後の方が速くなる傾向がみられた (10人中 8人) . 0.21. 0.20 4日県 ムー ′. 2 日 目 0.19. ′. 5日目. 3. o.18. 日掛 y. 0.17. ( ) s e c 1. 2. 3. 4. 1 前. 5. 1. 1. 1. 2. 半. Fig .4 反復音読に伴うセ ッ ショ ン内 での発声 所要時間の変化. 3. 4. 5 -. 後. 半. (N=10人) 71.

(7) . 青. 木. 剛. 土. b. 発声強度 (Sound Pressure Level .6 参 照) .5, Fig , S P L) (Fig この測度は記録用のマイクから口ま での距離を厳密に固 定しなかっ たというような問題点がある の で,(被験者が頭 部を上下, 左右に動かしたりしたので, 特にその程度の大きい者2名を除外して. s s i ons Se. 「÷÷「 . 「÷÷「 . 前. 前. 後. 後. 「÷÷「 . 前. 5. 4. 3. 2. 1. 後. - 別. ー. -. 別. . - . Fi g.5 発声強度の変化 (N=8)(NAF の平均 を基準). 十1odB. +5dB. 1. 4. 3. 2. 5 」. 1 前. 半. 1. 3. 2. 4. 1. 1 後. 半. Fig .6 反復音 読に伴う セ ッ ショ ン内 での発 声 強度の変化 (N=8 人, NAF の平均 を基準) 72. 5.

(8) . 遅延聴覚フィ ー ドバックへの順応. 結果を整理したのだが) 今後確かめなおす必要があるが, 今回の傾向は以下のよう であっ た . ①. N A Fの 下 での S P L よ り も D A F の 下 での S P Lの 方 が 大 き か っ た .. ② 図によると反復材料も新材料も第1セッショ ン内において増大傾向を示すが, 両材料とも, 増大したのが5人, 減少したのが3人なの で, 一概に, 増大傾向にあるとは いえない, しかし, 増 大した被験者の増大率は大きかっ た. このことを考慮するとSPLの増大はDAFに順応するため の ス トラ テ ジー の 1 つ であ る の か も し れ な い, ③. セ ッ シ ョ ン の 初 め の N A F の 下 での S P L と D A F 解 除 後 の N A F の 下 での S P L と を 比 べ. ると, 全体的に, 後の方が少し強い傾向がみられ,. 0 1 6 ・ 0 1 5 ・. そ の傾 向 は 第 4, 第 5 セ ッ シ ョ ン に お い て 特 に 明 白 であ っ た (そ れ ぞれ 8 人 中 7 人, 8 人 全 員) .つ. 身辺の 口述 ▲ ///. ー. 0 1 4 .. ま り, S P Lに 関 して わ ず か では あ る が 残 効 がう. 。 , 3 ,. か がえ る. c. 調 音 の 誤 り (Fig ,7, Fig .8 参 照) ① N A F の 下 での 音 読 よ り も D A F の 下 での. o 1 0 , 0 0 ・9. 音読の方が全ての被験者において調音の誤りの多. 0 0 8 ・. い こ と が確 認さ れ た.. 0 0 7 ・ 0 ・偏. ②. 材 料間 で有 意 差 が あ り, 身 辺 の 口 述 の 調 音. 0 5 0 .. の 誤 り が 多 か っ た,. ③. 0 0 4 ・. (諜り/音節. 反 復 材 料 の, 第 1 セ ッ シ ョ ン (1 日 目) に. お け る 先 行 の 5 回 連 続 反 復 音 読 と, 後 続 の 反 復 音 読 と を 比べ る と, あ と の 場 合 に 目 に 見 え て 誤 り が 減 っ て い る. しか し, 第 2 セ ッ シ ョ ン 以 降 の す べ. ・. S e s s 1 o n s 1 「「. 2 「「. 3 「「. 4 「「. 5 「「. 前 後 前 後 前 後 前 後 前 後. 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 Fi g,7 調 音の誤りの変 化 (N=10人). 0.09. 0.08. 4日目. (誤り/音節数). 1 L. 2. 3 』 . 4 半. 5 I. 1 I. 2. 3 後. 4. 5 I. 半. Fi g .8 1セ ッ ショ ン内の反復音読に伴う調音の誤りの変化 73.

(9) . 青 木 剛 土 て の セ ッ シ ョ ン では, 前 半 よ り も 後 半 の 方 に や や 多 い 誤 り が あ っ た. つ ま り, セ ッ シ ョ ン 内 での 順 応 の 傾 向 は 第 1 セ ッ シ ョ ン に は 認 め ら れ る が, 第 2 セ ッ シ ョ ン 以 降 は 認 め ら れ な い. ④. 新 材 料 に お い て は, 反 復 材 料 と は 違 っ て, 第 1 セ ッ シ ョ ン では なく 第 2 セ ッ シ ョ ン に お い て,. 前半から後半にかけて急激な調音の誤りの減少が見られた. その後はセッ ショ ン内の減少はあまり なく, むしろ前半から後半にかけて誤りが増えることもあっ た. 第2セッ ショ ンにおいて顕著な順 応が見られたといえよう, ⑤ 各セッ ショ ンの初めと最後のNAF条件下の音読の際の調音の誤りには差がない. 調音の誤 りという測度においても残効はみられなかっ た. 2, セ ッ シ ョ ン 間 での 変 化. i a. 1音節あたりの発声所要時間 (F g .3参照) . 材料の違いによる1音節あたりの発声所要時間の長短関係は全般にわたっ て身辺の口述が最も長 く (音読速度が遅い) , 次は, 第2セ ッショ ンの後半と第3セッ ショ ンの前半を除けば新材料で, 一 番短いのが反復材料である. 各材料ごとの全5セッ ショ ンの推移を観察すると, 反復材料 ではごく わずか ではあるが全体的に所要時間が短くなり (第4セ ッ ショ ン後半から第5セッ ショ ン前半にか けては1 0人中9人が短縮) , 新材料 では第3セッショ ンま でと第4から第5セ ッショ ンにかけてか なり大きな短縮を示す. 第4セッ ショ ンには全員の音読速度が遅く なるが, これは音読材料の文章 が年少児用にやさ しい表現をしてある 「ピーター パン」 から, 年長児用にかなり複雑な表現をして あ る 「黒 い こ ひ つ じの ダニ ー」 に 変 わ っ た せ い であ る. 一 方, 身 辺 の 口 述 は グラ フ では 第 2 セ ッ シ ョ. 0人 ンに音読速度が低下するが,これは10人中4人の傾向にす ぎない.むしろ第3セ ッショ ン では1 中7人の音読速度が上昇しており, 全体としてみると, 前半2日間よりも後半3日間の方がいくら か速く話せるようになっ ているといえよう. 材料×セ ッ ショ ン回数×被験者の分散分析によると, 材料間の差は有意であるが, セ ッ ショ ン間のスコアの変化は有意ではないの で, 上述の傾向はそれ ほ ど明白なもの ではない. しかし, 順応の傾向がわずかだが見られるといえよう. i b. 発声強度 (F g .5参照) 反復材料の1日目と比べると, 2日目以降のSPLの方が小さい被験者が多い. しかし, 新材料 と 身辺 の 口 述 に お い て は 変 動 が 大 き く, 新 材 料 の 第 1 セ ッ シ ョ ン か ら 第 2 セ ッ シ ョ ン に か け て S P. Lの低下 (すなわち順応傾向) が見られるほかは一定の傾向はない. i c. 調音の誤り (F g .7参照) 各材料ごとにセッ ショ ンの進行に伴う変化を見ると, 身辺の口述は全体的に誤りが多く, 全セッ ショ ンを通じて誤りの減少は見られない. 新材料及 び反復材料については, 身辺の口述よりはずっ と誤りが少く, しかも第3セ ッ ショ ンま では徐々に誤りが減少する傾向があっ た. 結局, 身辺の口 述を除く, 反復音読材料と, 新材料の調音の誤りが第3セ ッショ ンまで徐々に減少して行くことか ら, こ の 2 つ の 材 料 に つ い て は い く ら か の 順 応 の 傾 向 が 見 ら れた と い え よ う. 考. 察. DAFの事態に主体の発声 が順応していく か どうか あるいは DAFの残効 があるかどうか見 , , ようと企図して本実験を行なっ たところ, 調音の 誤りは練習とともに減少することが見られた 1 . 音節当りの発声 所要時間と発声強度でも練習に伴いわずかながら向上するものが多かっ た これら . のことはDAFに対抗して正 しく発声しつつあっ た被験者が多いことを意味するの で 順応の傾向 , 74.

(10) . 遅延聴覚フィ ー ドバックへの順応. の証明と考えられないことはない.しかし, 特に発声速度や強度の向上はわずかであって, 最終セッ ションに 至っ てもなお, DAFに特有な反応である引き伸ばされた, 声の強い発声をしていたこと は, D A F へ の 順 応 と い う も の は な い の では な い か と い う 示 唆 を 強 く 与 え る.. つまり, 順応は明確にあるとも, 全くないともいえ ず, はっ きりはしないがあるらしいという 結 果であり, しかも指標の種類によっ ても順応の現われ方に差があっ た. そして, 筆者が得たような 結果は先述の研 究者たちによっ ても既に得られている, これらのこと を考え合わせると, どんな条 件でも 「ある」 とか 「ない」 とかいうことはないと考えるべきで, むしろ現段階は 順応を起こす条 件, 起こさ ない条件, 順応を検出しやすい指標, 検出しにくい指標, DAFへの順応の理論的, 臨 床的意味などを検討する時期に 来ていることが示唆される, 話し手の発声活動の 自 己調節は, は じめに述 べたように, 自 己受容フィ ー ドバック, 骨導聴覚 フ ィ ー ド バ ッ ク, お よ び気 導 聴 覚 フ ィ ー ドバ ッ ク の 3 通 り のフ ィ ー ド バ ッ ク に よ っ て 行 な わ れ て い 2 )に よ る と .お と な は こ の 3 種 の フ ィ ー ド バ ッ ク を 発 声 の 調 節 の 手 が か り に ( rwin ‐Riper &l る, Van , して い る の に 対 して, こ ども は 主 に 聴 覚 的フ ィ ー ド バ ッ ク を 頼 り に し て い る と い テ. し か し, 各 発. 達段階において, それぞれ特定のフィ ー ドバックが大きい役割を果たすにしても, 発声活動がうま くいくためには, それぞれのフィ ー ドバックがそれぞれの情報を調節の中枢へ伝えるとともにそれ らがうまく 相互作用しあうことが重要であるのはいうまでもない. たとえば聾者であっても発声活 動が可能 であることは 聴覚フィ ー ドバックが話すこと自体に不可欠ではないことを示すが, 流暢性 は著しく損 われるし, 聴覚が失われた人は発声に非常に不安を覚えることを考えると, 両フィ ー ド ると, はじ バックが音声言語にとっ てともに重要であることがわかる. さらにもっ と考えをすすめ. めにも触れたように, 発声活動の調節は, 特におとなにおいては, 3 種 の フ ィ ー ドバ ッ ク の 時 間 的 関係にも強く 支えられているよう である, というのは, 自然的状態つまりNAFの下での3通りの フィ ー ドバッ クの速度は, 自己受容性のそれが最も遅く, ついで,気導聴覚フィ ー ドバッ ク, 骨導聴 覚フィ ー ドバッ クの順になっ ているが,人間の生活環境 では,音響振動の伝導速度が極端にかわるほ どの変化 は あり 得 な い か ら, 聴 覚 フ ィ ー ドバ ッ ク が N A F の 下 で は 常 に 約 0,oolsec 遅 れ て い る こ. とを前提として, おとなは長い時間をかけて発声の調節のやり方を獲得してきた. つまり, これら のフィ ー ドバック間の時間的 ズレに順応してきたと考えられるからである, このように調節の中枢 部分において聴覚フィ ー ドバッ クを貯蔵し, 運動感覚のフィ ー ドバッ クがやっ てくるのを待つ機構 があ り, さ らに 両 フ ィ ー ドバ ッ ク の 照 合 や, 両 フ ィ ー ドバ ッ ク を 話 し 手 の こ と ばの プ ラ ン (話 す 内. 容や, 文字としてはいっ てきた内容) と照合するような機制 が自律的に 働くことによっ て発声が調 節されていると考えられるのである, DAFはおとなにおいて役割りが低い気導聴覚フィ ー ドバッ クのみを人為的に遅らせることであ るから, DAFの下で発声が乱れることは上述の時 間的関係 の崩 壊 に 伴う 自 己調節の崩壊 である と考えることができる. ところで, 発声 の調 節にとって重要 なこ の 時 間的関 係は, 時間的ずれが NAFのように常に安定していれ ばよいのか, それとも3種のフィ ー ドバックの遅速の順序関係の 時間的値をも含めた関係になければならないのかという疑問がここ で起こっ てくる, これについて は, もしただ時間関係の安定が発声活動の調節にとっ て重要であるのならば, 人為的に一定時間聴 覚フィ ー ドバッ クを遅らせ た事態を長時間与えれば順応が起こるはずであるし, 逆に, 遅速の順序 関係が決定因であるならば, いかに長時間DAFを与え 続けようとこの拡大され, 順序関係がNA Fとは全く 異なる事 態に対して順応は起こり得ないと考えられる. 今回, 3つの指標すべてにおけ る向 上はあっ たものの大き な順応はなかっ たことから考えると, 後者が重要だと考えた方がよいか も し れな い. つ ま り, 3種のフィ ー ドバックの順序関係は, 本来はフィ ー ドバック信号が伝送され 75.

(11) . 青. 木. 剛. 土. る径路の物質的特性に規定されて生じたもの ではあるが, フィ ー ドバッ クされた情報と発声のそも そもの意図との照合のための 生理的必然性に基づいて言語の獲得期を通して確立された, いわば照 合処理に組み込まれたタイミン グであっ て, これ以外の聴覚フィ ー ドバッ クは処理のタイミン グを 狂わしてしまうものと考えられなくはない. しかし, 本報告では順応手続きの時間が, 1 回こ約30 分と短く, 合計でも約2時間半にすぎないのに対して, 上述の時間的ズレに対してひとは長い年月 をかけて順応してきたことを考えると, 順序関係が決定因かどうかをいうためには今回の手続きは 不十分 であることは否定 でき ない. この順序関係とはいっ たい何 であるかをいうためにはヘッ ド フォ ンのイヤマフから気導のNAFが漏れ入ることを防止するための技術上の問題の解決も必要 で あ る し, 0.2sec 以外の遅延時間を用いて, 順応の傾向の差を調べる必要もある. そして何よりも,. St t r onの逆転視野実験 での手 続きのよう に1日中D AF事態におくような操作を何日間か続ける a ようなことが必要 であろう. 今回の結果によると, DAF事態への順応傾向は, 調音の誤りに最も大きくみられた (F i g. 3参照) . 指標によっ て相違があるのは何故か, 調音の誤りという指標のみにかなり明白な順応の傾 向がみられるのは何故か考えてみたい. これら3種の指標は発声の調節という同一 の機構の別の側 面に作用するDAFの影響を表わしている.つまり, DAFの下での音読速度の遅れは, 聴覚フィ ー ド バ ッ ク の 0.oolsec の遅れによっ て発声速度を抑制的に調節 している正常な状態 での速度制御機 能が, DAFという大きな時間的遅れによっ てさらに抑制的に妨害されることを意味する. また, 発声強度の増大は, DAFという妨害的な音響刺激に負けまいとして声を張りあげていること であ るから, 発声強度の調節機能を一種の騒音としてDAFが混乱させていることを意味する.そして, 調音の誤りとは, 発話の流暢性が失われること であるから, DAFがこの流暢性を調節する機能を 妨害することを意味する, DAFによっ て混乱させられた指標のうち, DAFへの順応を割合はっ きりと示すのは調音の誤 りだけ であることはこれらの3つの調節機能のうち, 流暢性のそれがDAFの混乱効果への主体の 抵抗を最も現わしやすい性質をもっ ていることを示すといえる. そしてこのことは, 流暢性の崩壊 が主体に よっ て自覚されやすいことと関係が深いと思われる. 逆に, 速度調節, 強度調節の機能は 主体の努力よりも外部の刺激の影響が大きく, それは主体による自覚のされにくさに依存すると考 えられる. したがっ て, 発声速度にみられたわずかの向上は, DAFへの抵抗 ではなく, 調音の誤 りに含まれる 「引き伸ばし」 などの減少の結果として現われた向上であるかもしれない, 第1セッ ショ ンから第2セ ッ ショ ンにかけての, 反復材料およ び新材料の発声強度のわずかの減少は, 単に 主体がDAFからのがれようとした意図の現われにすぎないかも知れない. 発話が非流暢になるのには情緒的不安の影響が強いといわれている. DAFに対する反応の中に は, 異常な事態へのお どろきや, 不安といっ た情緒的反応が含まれているから, このような反応は, 発声の調節機構の動作のタイミン グを狂わせ, 結果的には調音を誤らせる. しかし, DAFへの情 緒的不安自体は, かなり早く消失, ないし弱められるものと考えられる. ところで, 不安反応以外 の情緒的反応も, 発話の流暢性に関係する. たとえば, 心的飽和 であるとか, DAFの妨害的影響 への抵抗的努力といった動機的側面は時間の経過につれて多様に変化しながら影響を与える. 第1 セ ッ シ ョ ン の 後 半 に お け る 調 音 の 誤 り の 顕 著 な 減 少, あ る い は, 2 日目以降における前半の該1 )を 上回る後半の誤りなどの現象は こういう 多様な情緒的反応の影響をうけているとも考えられる. 今回の実験 では既述のように3種の材料を用いた. この材料によるDAFへの順応の違いについ で言及すると,熟知されやすい反復音読材 料 (「ジャッ クと豆の木」) においては,第1セ ッションの 順応傾向, ないし慣れがうかがえたが, 前半から後半にか けて調音の誤りの急速な減少がみられ,J 76.

(12) . 遅延聴覚フィ ー ドバ・ ツ クヘの順応. 第2セ ッショ ン以降には顕著な減少はみられなくなり, しかもどの日も前半よりも後半の方にやや 多い誤りを示した, これに反して新材料(「ピーター パン」など)の調音の誤りにおいては, 第2セッ ショ ンの前半までは大き な変化はなく, 第2セッ ショ ンの後半に顕著 な減少が見られ, その後は減 少はなかった, 反復材料よりも新材料の方が誤りの減少の目立つ時期が遅いことは, DAFの下で 熟知 しない材料を調音する難しさを 反映していると思われる.しかし,どちらの材料も第3セッショ ン以降進歩を示さないこと, および両材料間の誤り数に 差がないことから, 材料の熟知 がDAFへ の順応をそれほ ど助けるのではないことがわかる. これについては, 熟知は, 音読をしやすくする 一方 で, 材料への興味喪失による心的飽和の原因にも なることが考えられる. しかし,フィ ー ドバッ ク間の時間的関係の崩壊は材料の熟知 では補い得ない程に発語にとっ て決定的であると考えた方が よいかもしれない. と こ ろ で, こ の 2 材 料 と 身 辺 の 口 述 と の 間 に は は っ き り と した 差 が み ら れ, D A F の 下 での 身 辺. の口述は非常に困難な課題 であることが示された, 文章の音読のように発声活動を外的に 視覚的に 支える手がかりがある場合と, 自ら発声の プランを立てて, 思考しながら発声する言語過程とは異 質 な過 程 であり, こ の こ と が D A F の 下 での パ フ ォ ー マ ン ス の 低 さ と, D A F へ の 順 応 の 困 難 さ の 原 因と な っ て い る の では な い だ ろ う か. つ ま り, 身 辺 の 口 述 は, 発 声 し な が ら そ の 聴 覚 フ ィ ー ドバ ッ. クによっ て発声内容および思考を確認していると考えられるので, DAFは発声の混乱を通して思 考をも混乱させることによっ て, 発声の混乱に拍車をかけていると考えられるの である. なお, 数 字の暗唱による 順, 逆唱は, 視覚的手がかりはないものの, 音読と比べてほとんど困難ではないこ 1 ) ) とが報告されている(相沢( . これは思考, 発声の プランを立てる必要がないから だと考えられる, なお, DAFの残効として, 本実験 では, 所要時間において第1セッショ ンのDA F解除後に短縮 0人中8人) が見られ(1 , また発声強度においては, 全体的にDAF解除後に強度が増加 して残効が うかがわれた. DAFに順応すると発声の速度はDAFの開始期に 比べて徐々に平常の速さにも どっ て行くはず で, その時にDAFが解除されれば, 聴覚フィ ー ドバックはいわば加速されたこと になり, その結果発声の速度が速まることになろう, 所要時間の短縮はこのように解釈することも できよう, 一方, 発声強度はDAF開始時点で強まっ ていたのが順応によっ て平常と同じ方向へ弱 められていたとすれば, DAF解除後のNAFの下では再び増大するのではないだろうか. 結果は こ の こ と を 示 し て いる よ う に 思 わ れ る, 1 1 { )の 結 果 と 同 じ 方 向 の 残 効 が 示 唆 さ れ た し か し 第 1 f f l 発 声 の 速 度に つ い て は Ti any & Han ey , . セ ッ シ ョ ンに お い て の み 残 効 がう か が わ れ て, 他 の セ ッ シ ョ ン では 見 ら れ な い こ と は, 順 応 の 程 度. や, 順応の経過などをさらに検討しなければならないことを 意味する. このことは発声強度におけ る残効が後のセッショ ンで強く示されているこ とを考え合わせると重要 である. 今回の実験は順応 が完成した時点を明確にしていないし, その意味でも残効については問題を残している. また, 残 効が例えば速度を速める方向, 強度を強める方向で現われるのか, それともその反対の方向なのか を検討する必要もある. 言語臨床へのDAFの応用を考える場合, 特に方向の問題は重要であると 思われる. 文. 献. ( 1 ) 相沢 宏 1 970 遅延側音効果に関する研究, 日本耳鼻咽喉科学会誌, 7 3 96 , 288一2 , ( 2 ) 青木剛土 1 4 遅延聴覚フィ ードバックと吃音. 教育心理学研究. 22 97 8 6-1 91 ,1 , ins ( ) Atk i l ing Di 3 ide lofSpeechand Hea 亡 - on - r rde r ont ode ayedS s o s one ・18 ・ Journa ,1953 Adaptat ,C.J ,386- 391. 77.

(13) . 青. 木. 剛. 土. i i lintens i 亡 ( 4 ) B1ack,J t t CsuPonvoca s --176 a e yandr .い.1950Theeffectofroom character .J .A,S .A. . ,21 ,174 1T h 1 f f 5 い J 9 fd l d i i ( 5 ) B1 t l d t di ack J lofSpeech and t ee ty e c so e a e o n eu ens aean nt y s e ponvoca r ,. . . Journa Hear ing Di so rde r s .16 . ,56 60 1 9 The per i 5 5 ( 6 ) B1 fthe ef f fde l i ack J t de lof Speech and Hea ing tone s s ence o ect so ayed s ‐ na r . ,. .Jour Di - - -68 sorder s .20 .65 .. ( 7 ) 遠藤 真 1 97 2 吃音 祐宗, 春木, 小林編 「行動療法入門」 第2章, 2 川島書店 i lofSpeech and Hea ing i l ive voca le廿ect l t to ry f r ( 8 ) Fa rbanks ec sofde ayed aud eedback .Journa , G,1955 Se D i 3--345 sorder s .20 . ,33 l i IRepo t ( 9 ) Pronko,N.H.& Kenyon,G.Y.1959 Meprobamateandlaboratoryinducedanxiety. Psycho r og ca .5 , 217--238 . l i ing lo fSpeechand Hea ing Di to t te Q o ryf ) Soderberg,G ayedaud eedhackands ut r r so rder s ,Journa , ,A,1968De 33 . ,260--267 l Ti f fany い.R, & Han 1 i lofSpeech and Hear ion t l i det ing t ey a r eN.1956 Adapta na o de ayed s one ,C .Jour Di d 1 1 4 1 2 6 7 2 - - sor e r s . , .. ⑪. 1 1and Mo f l l i 2 q っ za t t t to ua o sh zman e ref ec s ayed aud oryf eedback rcept r .ofde .1965 Af . Pe ,Susan , & Sa 、 L.F Sk i l l 2 0 8 1 7 8 2 3 - - s . , , (本 学 講師 ・函 館 分校). 78.

(14)

参照

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