高等学校の化学における光学異性体の扱い方について : 簡易旋光度測定装置と旋光度測定
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(2) 2 7年 2 月 f 'e b r u a r y . 2 0 1 5. 北海遊投下手太子r 紀要(教育科学編)第6 5巻 首~ 2~. J o u r n a lo fHokkaidoU n i v e r s iり ァ o fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n ) Vo . l6 5 .N O . 2. 、│え成. 高等学校の化学における光学異性体の扱い方について 簡易旋光度測定装置と旋光度測定. 早 野 市? f i.仲 鉢 大 地 ・ 大 和 同 秀 一 *. 北海遊教育大学教育学部札幌校化学校本 *酪農学│京!大学長食環境学群化学教 4 4 f. H a n d l i n go fO p t i c a lIsomeri nt h eChemistryo ft h eHighS c h o o l: S i m p l eO p t i c a lR o t a t i o nMeasuringEquipmentandO p t i c a lR o t a t i o nMeasuring HAYANOKiyoharu,CHUBACHID a i c h iandOHWADAS h y u i c h i * C h e m i s t r yL a b o r a t o r y .SapporoCampus.HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n ァ. ァ. *ChcmislryL a b o r a l o r y .C o l l c g co [i ¥g r i c u l i u r c .FoodandE n v i r o n m c l l lS c i c n c c s .EakunoGakucnL n i v c r s i i y. 概要 高等学校の化'手で扱う光学異性体の特徴ある性質は,「干面偏光を同転する」ことと ' 1床や t t .J里作用)が異なる」ことである。「平面偏光を同転」する'1' ' + . 1 1を授業や実験のIjrで体 香り (. 験しながら光学異性体を'アtぶための簡易旋光度測定装置を作成した。この装置を使うことで身 近な生活の中にある水溶性のた学異性体の旋光性を簡 l j i .に授業や実験で扱うことができ,光学 兵性体についてより楽しく,驚きをもって学ぶことができる c また,. ) t学異性体でレモンとオ. レンジの香りを放つ物質リモネンをほ業に取り入れることは, )じ学異性体の「脊りが異なる」 性質を更に驚きをもって体感でき,光'、?異性体の授業理解と定Ji:をー屑深めることができる 。 今同,. Jt iLfíに馴染み深い身の同りにある光 /f~ 異性体の物質を高等'、?校のイヒ /f~ の授業で扱う l祭,. 香り物質の導入に加え,旋〉日生雌認と旋〉じ度iJ[U定のための f I T i劫旋光度iJ[ J I定装置の作成とその教 育的効呆を検討したので、本論点;にて報告 したいわ. はじめに 高等学校の教科, I i : (第一学 y f /社,東京 l!?籍)1). 覚臭覚などに対する作用(生理作用)が異なる」. tに対ーする性質についても「光 とある。また,釘D 学異性体の溶液に偏光を通過させると振動面が傾. における光学異性体についての記述は,「右手と. き,光学異性体同士でその向きが逆になる」とい. 左干,または鏡に対する実像とその鏡像の関係」. う旋光性についても説明されているわ光'アt異性体. がた学異性体であり,「偏光に対する性質や,味. *表示)の存在につい と不斉炭素原(図 l中の c 1 8 1.
(3) 早 野 清 治 ・ 仲 鉢 大J 也・大和田秀一. ての説明は,乳酸を例にして説明されることが多. hyl~ を雌立するためには以下の 3 点を検討しなけ. い(図 1)c このようにた学異性体を理解させる. ればならなし ¥ 0 1点日は,新たな簡劫旋光度測定. 場介,図や分子模型, f j ・子とメr.子の関係などの視. 装置の作成と改良である. 覚的な教材での説明で理解定Ji:を補っているぺ. 光学異性体物質の旋光度測定を検討するぺ 3点目. 2点日は,. Mの凶りの. は,光'、?異性体の水溶液が旋光度測定において安 定であるかを調べるぺ. COOH. * 1. HC / ¥ -H < l. OH. u. 以下に,実体験をもとに理解できる J 受業や実験. HOOC. L * HJ/C¥. 活動における,「新たな f I T i劫旋光度 i J!iJ定装置の作. 1の 成と改良ついて J, I身の同りの光学異性体物 1. I"CH. HO. < l. 旋光度測定について J, I光学異性体の旋光度測定. U. における水溶液の安定性について」の ) I I Hに実験の. l 乳酸. d 乳酸. 内容や」二夫を詳しく説明する c. 図1 . : f L 酸の光子t異性体. 2-1 新たな簡易旋光度測定装置の作成と改良 光学異性体の旋光性の実験確認については, 2 枚の偏光板を組み合わせた安価な簡易旋光計の作. ついて 光子t異性体の旋光性を十分に確認するために. 成と白然光での旋光度測定の教材開発が報告 2)さ. は,)(きな旋光度 ( α ) の測定結呆が必要である。. れている c L アスコルビン酸 , L-i 附 イi 酸ナトリ. 旋克度 αは,実験によって観察される実iJ[ J Iの光. ウムカリウム,ショ糖などの実際の円然たによる. の凶転何度であり,光学異性体が持つ固有の比旋. 旋光度 ( α ) 測定では,ショ糖以外は. o~ 9. 0. と. 光度 [ α ]は一定である c これら│刈者の問には [ α ]. 非常に小さく扱いづらい。驚きや感動を持って実. =α /lcの関係式が成り立っており,実iJ[ J I怖の. 験観察させるためには, もっと大きな旋〉日生や旋. 之 さ 1(dm) とた学 旋克度 αは,たが通る光路の L. 光度を観察体験させたい。. 異性体の濃度 c ( g/100ml溶媒)に比例してい. 今同,大きな旋光度が観察できる簡易旋光度測. ることが分かるわ大きな旋光度を観察するために. 定装置の作成と,この装置を使った身の同りの光. は,光路の長さを長くし,濃度を):.きくすると良. J I定を実験し,光学異性体 学異性体物質の旋光度iJ[. )は,た路が 0 . 9 3 いc 奈良教育大学の間劫旋光計 2. の旋光性が驚きや感動を持って理解できる高等学. dmと知いので旋光度 αが小さく観察されている. 校化学の活動を,脊り物質のリモネンを剤[み什わ. ことを考慮し,われわれは,まず光路を長くする. せて新たに考えたぺ. こととした。円筒状の脊 2 5と し て , 黒 画 用 紙 で. 本i J 命えーでは,光'、?異性体の旋光性を確認するた. 遮光したガラス管と③堀ピ管を用いる。. めの新たに作成した間劫旋た度測定装置と,身の. では直作 2cm長さ 3 . 3dmの県 l 山 i 用紙をま. 同りの光学異性体物質の旋光度測定の実験と,香. いたガラス管を用意し,ガラス管の一方に偏光板. り物質のリモネンを導入した場合の高等学校化 /f~. 妾ぷこしてその[--に 1 [ 1央に 5m mの穴をあけた をJ. のほ業や実験における教育的な効果について考察. 県l 山 i 用紙をかぶせて覆い,ベット樹脂の円筒に張. したので間作したい. りつけた偏光板を中央に 1cmの穴をあけた県│山i. C. 周紙で、覆って作ったふたをガラス管のもう. 2 実験. Hに. かぶせ,白然光が品):.限明るく見えるふたの位置 を o とし,角度をきざんだ用紙をふた側の本体 0. 身の同りの光学異性体の旋光性を驚きや感動の. に張り付けるぺこのガラス管の存器に光'アt異J性体. 実体験をもとに理解できるほ業や実験活動の実施. の水溶液を直接人れてラップフィルムと輪ゴムで. 1 8 2.
(4) 高等学校の化学における光学異性体の扱い方について. 密封してふたをかぶせ,光が回転された分ふたを. いて,その測定後の水溶液は,再度旋光度測定が. 回転し,最大限明るく見える時の角度,いわゆる. できるのかどうか,あるいは変質してしまうのか. 大きな旋光度 αが測定できるかを検討する。こ. どうか,を調査する。. の測定装置の評価は,. L(十)酒石酸ナトリウム. カリウム凹水和注 1)と f 乳酸とで行う。 ②では TSソケット雌(塩ピ管 Vp16用)をつ. 3 結果. ないだ塩ピ管 Vp16 (内径 16mm,外径 22mm,. 本実験を行った結果は,「新たな簡易旋光度測. 長さ 30cm) を使い,一方を透明ポリ板接着で密. 定装置の作成と改良ついて j, I身の回りの光学異. 封し,それに偏光板をつけて直径 5mmの穴から. 性体物質の旋光度測定について j, I光学異性体の. 光が通るように黒画用紙で覆う。ラップフィルム. 旋光度測定における水溶液の安定性について j,. 用) 密封の代わりに TSソケット雄(塩ピ管 Vp16. 「安全対策について」の 4つに分けて以下に説明. のねじ側を透明ポリ板接着で密封して TSソケッ. する。. ト雌(塩ピ管 Vp16 用)にねじ込んで、密封し,ベッ ト樹脂の円筒に張りつけた偏光板を直径 1cmの. 3-1 新たな簡易旋光度測定装置の作成と改. 穴から光が通るように黒画用紙で、覆って作ったふ. 良ついて:簡易旋光度測定装置の作成は,①遮光. たを TSソケット雄にかぶせて旋光度の測定を検. したガラス管と②塩ピ管を用いて行った。. 討する。測定装置の評価は,. L(+) 酒石酸ナト. ・④について,直径 2cm長さ 3.3dmのガラス. リウムカリウム四水和と l一乳酸とで行う。また,. 管の片側に円形偏光板(直径 20mm,厚さ 0 . 7 5. 密封するために張り付ける透明ポリ板の旋光度測. mm) を接着剤で張り付けて黒画用紙で遮光し、. 定への影響があるかどうかも検討する。. 張り付けた偏光板が見えるように直径 5m mの 穴をあけた。ベットボトル板で作った高さ 45mm,. 2-2 身の回りの光学異性体物質の旋光度測定 について. 直径 25mmの筒の片方に円形偏光板を張り付け て黒画用紙で遮光し,偏光板が見えるように直径. 歴史的に重要な光学異性体の L(+) 酒石酸ナ. 1cmの穴をあけたふたをガラス管のもう一方に. トリウムカリウム四水和と f 乳酸は,簡易旋光. かぶせた。 2枚の偏光板で挟まれたガラス管の. 度測定装置の評価を行うのに使用したが,生徒た. 光路をふた側から覗き込み,ふたを回転させてー. ちが生活の中で出会う光学異性体物質の旋光度測. 番明るくなった位置を. 定を試みる。身の回りにある光学異性体物質とし. を9 0。として角度が分かるように本体には 1 0刻. て,ぶどう糖注 1),パルスイート(ジペプチド)注 1),. みの日盛りをつけた。ふたにも 0。の位置に印を. グラニュ糖注 1),味の素. ( Lーグルタミン酸ナトリ. O¥ 一番暗くなった位置 0. 付けた。ガラス管でイ乍った④の簡易旋光度測定装. ウム)注目,ポツカレモン 1 0 0について大きな旋光 度の測定が可能かどうかを調べる。. 2-3 光学異性体の旋光度測定における水溶液 の安定性について 旋光度測定に使用する光学異性体, 石酸ナトリウムカリウム四水和,. L (+)一酒. l 乳酸,ぶど. う糖,パルスイート(ジペプチド),グラニユ糖, 味の素. ( L グルタミン酸ナトリウム),ポッカレ. 0 0で,大きな旋光度が観察できる物質につ モン 1. 図 2 ①の簡易旋光度測定装置. 1 8 3.
(5) 早野清治・仲鉢大地・大和田秀一. きい回転角度で測定されることが示された。①の ガラス管を用いた簡易旋光度測定装置は,ラップ フィルム部分からの水漏れや重さの点で使い勝手 が悪かった。. ・ ・ ・ ・ ・ ・ 圃 ・ ・ ・ ・・ ・ マ │ 寸ーー 透明塩ビ板. 偏う倣. 図 3 ①の簡易旋光度測定装置の角度表示. 30cmの主任 ピ管 V p16. TSソケ ッ トt 惟. 図 5 ②塩ビ管の簡易旋光度測定装置 置(光路 1=3.3dm) を図 2, 3に示す。この 装置のガラス管に L(+)一酒石酸カリウムナトリ. -そこで②の塩ビ管を用いた簡易旋光度測定装置. c= 6 3g/1 0 0ml)を入れて ウム四水和水港液 (. の作成を試みた注 2)。②の装置全体は,図 5に示. 空気が入らないようにラップフィルムをかぶせて. した。 TSソケット雌(塩ピ管 Vp16用)をつな. 輪ゴムでとめた。ふたをかぶせて 0。の位置に合. いだ塩ピ管 Vp16 (内径 16mm,外径 22mm,長. わせ,自然光を見ると回転されて暗くなっている. 0cm)の一方に円形透明塩ピ板(厚さ 1m m, さ3. 5 で一 ので,ふたを右回り(+)に回転すると 4. 直径 22mm) を接着し,その上に 5m mの穴か. 番明るくなったので旋光度 αは +4 5 と観測され. ら自然光が入るように黒画用紙で細工した円形偏. た。図 4にふたが o の位置の暗い自然光(左側). 光板(直径 22mm,厚さ 0 . 7 5mm)を張り付けた。. と十 4 50 の位置の明るい自然光(右側)を示した。. TSソケット雌の部分にねじ込む TSソケット雄. 0. 0. 0. 部分は,図 6に示した。ねじ側の穴は円形透明 塩ピ板(厚さ 1m m,直径 18mm) を接着してふ さぎ,ねじ部分には密封できるように 2 枚重ねの パッキン(内径 22mm,外径30mm,厚さ 2mm) をはめ,最後に頭部分には①と同様にベットボト. 2 0x1 0 0mm) の円筒(直径 30mm) と円 ル板 ( 。の位置(左側)と +45。の位置(右側)の 図4 0. . 7 5mm) と黒画用 形偏光板(直径40mm,厚さ 0. 自然光. 紙(偏光板が見えるように直径 1cmの穴をあけ る)で作成したふたをかぶせた。ねじ込み式 TS. L(+)一酒石酸カリウムナトリウム四水和水溶. ソケット雄部分を本体の雌部分にねじ込んで密封. c 6 3g/100ml)で大きな旋光度二十 4 5 液 (. し,①の時と同様に自然光がもっとも明るい位置. 0. ニ. が観測できたので,次に J 一乳酸(純度 85.0~. 92.0%) を用いて同様に旋光度測定を試みた。 1 -乳酸の濃度が2 3 . 7g/]0 0ml,7 0 . 9g/1 0 0ml,. 1 2 0 . 6g/1 0 0ml)の 3種類で測定実験を 原液 ( 行うと自然光が左回り(一)に回転され,それぞ , -1 5 , -3 0 , -4 5 と観測 れの旋光度 αは 0. 0. 0. された。このように自然光が通る光路 lを3 . 3dm と大きくすると旋光度 αがインパクトのある大. 1 8 4. ど す 長. 図 6 ねじ込み式 TSソケット雄部分.
(6) 高等学校の化学における光学異性体の扱い方について. を 0。としてふたにも印をつけ,さらにふたを回 転させてもっとも暗い位置を 9 00 として回転角度 の目盛りを本体に張り付けた。このような組み立 . 1 て方で②の簡易旋光度測定装置(光路 fニ 3. dm) が作成できた。そこで,④と同様に同じ光 学異性体の旋光度 αを新たに作成した②の簡易旋 光度測定装置で調べてみることとした。その結果,. L(+) 酒石酸ナトリウムカリウム四水和水溶液 (濃度 cニ 63g/100ml)の旋光度 α =-45 と 0. 左回りに , l- 乳酸水溶液(純度 85.0~92.0% , 濃度 c=7 l .0g/1 0 0ml)の旋光度 α =十 3 0と 0. 右回りに変化してしまった。この②の測定装置で の自然光の回転方向は,①で得られた結果とは全. 図 8 透明塩ビ板の偏光面への影響. く逆になって観測された。このことから,①と② で異なっている点は,透明塩ピ板を 2枚使用して いることである。この影響により旋光度の符号が 全く逆になったものと考えた。 ・そこで,接着させた透明塩ピ板の旋光度測定へ の影響を調べることとした。調べる方法は , 2枚 の偏光板の間に 2枚の塩ビ板を自然光が最も通過. 図 9 透明塩ビ板 2枚同時に 4 5 回転 0. するように向きをそろえて段ボールの台に立て, 偏光板や塩ピ板を回転させて自然光の見え方の変. 戻った。このように透明塩ピ板が 2枚重なって偏. 化を探った。板の向きをそろえたときに左右の縦. 光板の間にあると旋光度測定に影響を及ぼすこと. にマジック黒線のマークを入れた。塩ピ板と偏光. が示された。この塩ピ板の実験の結果を図 8に示. 板の配置を図 7に示した。この状態では自然光が. した。さらに,透明塩ビ板 2枚を同じ方向で 45. 0 回転し よく通っていて,手前の透明塩ビ板を 9. 回転すると奥の偏光板の見え方が暗く変化し,逆. でも見え方に変化はないが,45 回転すると奥の. 方向に 45 回転すると奥の偏光板の見え方が明る. 偏光板の見え方が暗く変化し,この状態で手前の. く変化することも分かつた。この結果を図 9に示. 偏光板を 9 0 回転するともとの明るい見え方に. した。このように透明塩ピ板 2枚を偏光板の聞に. 0. 0. 0. 0. 0. 使用すると旋光性の確認や旋光度測定に明らかな 影響のあることが分かつた。他に透明な PET樹 脂板やアクリル樹脂板も実際に②の簡易旋光度測 定装置を密封するために 2枚組で使用すると実際 の旋光度測定に影響を与えた。このように透明の 樹脂板には多少の差はあるものの偏光性を示して いることが示されたので,②の簡易旋光度測定装 置には透明塩ビ板 1枚を使用して改良作成するこ ととした。 ・②改良型簡易旋光度測定装置注2)は,以下のよ 図 7 塩ビ板と偏光板の配置. うに簡単に行うことができた。塩ピ管 Vp16の底. 1 8 5.
(7) 早野清治・仲鉢大地・大和田秀一. 部分の密封に使用した透明塩ピ板を取り除き,代. 株式会社J)は,水溶液を調. わりに偏光板だけを使用して接着した。ねじ込み. 製するのに 5 g ずつ増やし. 式 TSソケット雄部分は図 6と全く同じにした。. ての旋光度測定を行った。そ. この②改良型で再度光学異性体の旋光度 αの測. の結果, 1 0gか ら は 旋 光 度. 定を実施した。結果は , L(十)酒石酸ナトリウ. 十1 5 と変わらなかった。濃. 3g/1 0 0ml ) ムカリウム四水和水溶液(濃度 c=6. 度を高くしても大きな旋光性. の旋光度 α =+45 と右回りに ,l乳酸原液(純. や旋光度は得られないことが. 0. 度 85.0~92.0% ,濃度 c. = 1 2 0 . 6g/100ml)の旋. 光度 α =37.5 と左回りに観測され,透明塩ピ 0. 0. 示された。この理由については不明で、ある。この 結果を表 1に示した。. 板の影響がなくなった。①型よりも②改良型は,. 表 1 味の素の旋光度測定結果. 軽く ,密閉性に優れ,大きな旋光度が観察された。. 味の素 ( g ). 旋光度. 5 . 0. + 7 . 5 。. 定について:②改良型旋光度測定装置が完成し,. 1 0 . 0. +1 5。. L(+) 酒石酸ナトリウムカリウム四水和と f 乳. 1 5 . 0. +1 5. 2 0 . 0. +1 5. 2 5 . 0. 十1 5. 3 0 . 0. 十1 5. 3-2 身の回りの光学異性体物質の旋光度測. 酸での旋光度 αの測定でインパクトのある大き な旋光性が体験できることが分かったので,生活 の中にある身の回りの身近な光学異性体,ぶどう 糖,パルスイート(ジペプチド),グラニュ糖, 味の素. 0. 0. 0. 0. ぶどう糖(有限会社大丸. ( L ーグルタミン酸ナトリウム),ポッカレ. 本舗. DF, α. グルコース=. 1粒 3g. 0 0の 5種類において同様に大きな旋光度 α モン 1. D-ぶどう糖)は,. の測定が可能かどうかを検討した。. のもの 5粒 , 合 計 1 5g を水. ポッカレモン 1 0 0 (株式会社ポッカコーポレー. 100mlに溶かして旋光度を. ション PLN) は,液体が濁っておりこのままで. 5 となった 測定すると, +4. は旋光度測定ができないので,ろ過してろ液を使. が,時間がたつにつれて+. うこととした。普通のろ紙での自然ろ過では濁り. 3 0。になって落ち着いた。こ. は取り除くことができなかったので,ろ紙上にセ. の +4 5 から +3 0 への減少. ライトをのせて押し固めたもので吸引ろ過を行っ. は,ぶどう糖が平衡混合物に. +3 0. なっていく変化住 3)であるこ. , た。得られた黄色のろ液の旋光度 αは. 0. であった。市販のポッカレモン 1 0 0とその原液と. 0に示した。 ろ液の様子を図 1 味の素 (Lーグルタ ミン酸ナトリウム ,味の素. 0. 0. 0. とが知られている。 パルスイ}ト(アスバル テーム,味の素株式会社J,. Lー フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン 化 合 物)注 1),は,. ]袋1.2g入り. のものを 1 2袋 , ] 5 . 6g を 1 0 0. mlの水に溶かして旋光度を 調べると,十 4 5 を示した。 0. グラニュ糖(スクロース, 三井製糖株式会社 HD)注目の 図1 0 市販のポッカレモン 1 0 0. 1 8 6. 旋光度測定は,グラニユ糖.
(8) 高等学校の化学における光学異性体の扱い方について. 1 5 . 5g を水 1 0 0mlに 溶 か し た 水 溶 液 を 用 い て. や旋光度を測定するときには起こらないので,回. 行った。その結果は,旋光度が +45 を示した。. 収して使用することができた。. 0. 以上のように,身の回りで身近な化合物や混合 物の 5種類には光学異性体が含まれており,それ らの水溶液の旋光性や旋光度が観察できることが. 旋光度 臼. 分かった。 5種類のうち,味の素は濃度に比例せ. f 乳酸水溶液の旋光度変化. ( 0 ). 3 5. 0 0は ずに旋光度が大きくならず,ポッカレモン 1. 30. 手間のかかるセライトベッドでの吸引ろ過をしな. 一千世せ -. 25. ~浄、. . . ,与 そこご 、-寸 ミ一.一. 20. いと測定できない結果であった。残りの 3種類,. k. 1 5. ぶどう糖とパルスイートとグラニュ糖は,濃度に. 1 0. 。 一一一一一一一一一一一一一一一一一 5. 比例して旋光度が大きく観察された。. 門. 言竺竺竺竺竺竺竺竺里竺 252 。- N W..J>,.V1O'刈∞、0 Q 22-w. 3-3 光学異性体の旋光度測定における水溶液 の安定性について. 図1 1 [-乳酸水溶液の旋光度変化. 光学異性体の歴史や学習で良く扱われ,本実験 でも①型(光路 Jニ 3 . 3dm),②型(光路 Jニ 3 . 1. dm),②改良型(光路 Jニ 3 . 1dm) の簡易旋光度. ポッカレモン 1 0 0のろ液(旋光度+3 0 )は, 0. L(+)一酒石酸ナトリウ. 1日たつと新たに沈殿が生じるので,再びセライ. ムカリウム四水和と J乳酸の 2種類と,それに. ト吸引ろ過して旋光度を測定すると,旋光度は小. 加えて 5種類の身近な生活の中の光学異性体物. さくなっていた。ポッカレモン 1 0 0は,やはりそ. 質,ぶどう糖,パルスイート(ジペプチド),グ. の後も沈殿が生成して不安定で、あり旋光性も減少. 測定装置の評価に用いた. ラニュ糖,味の素・. ( Lーグルタミン酸ナトリウム),. することが分かつた。. ポッカレモン 1 0 0,の合計 7種類の水溶液を作成. 味の素の水溶液 (L グルタミン酸ナトリウム,. し,②改良型で、旋光度測定を行ってきた。それら. 1 0g/100ml,旋光度 α =+1 5 )は, 2週間たっ. の調製された水溶液は,保存することができれば. ても旋光度に変化はなく,安定であった。. あとで再び実験に使用できる。そこで,時間がたっ. 0. ぶどう糖水溶液(15g/1 0 0ml,旋光度 α = +. た水溶液の旋光度を再び測定して比較することと. 4 5 )では,平衡が安定すると旋光度(+3 0. した。. はそれ以上変化しないが,. L (十)酒石酸ナトリウムカリウム四水和水溶. 0. 0. 光度が下がりはじめ,. ). 3週間後から徐々に旋. 1ヶ月後には+1 5 に減少 0. 液 ( 6 3g/100ml,旋光度 α =十4 5 )の 2週間. した。長い期間のっくり置きはできないことが分. 後に測定した旋光度は,変わらず+4 5 であった. かる。. 0. 0. ので,水溶液は数週間安定で、保存がで、きる。. 7 1 . 0g/1 0 0ml,旋光度 α J乳酸水溶液 ( 3 0 )にいては,. パルスイートの水溶液 ( 1 5 . 6g/100ml,旋光 度 α =+4 5 )は,作った直後は透明で測定可能 0. 2週間の聞に 1 1回の旋光度を測. であるが、 5日たつと白く濁り、ろ過しでも透明. 定して比較した。時間が経つにつれて少しずつ旋. にはならず測定できなくなってしまう。したがっ. 光度が小さく変化していった。その様子を図 1 1に. て,使用する際には、その都度i 容液は作るように. 示した。この実験結果より , 1 -乳酸水溶液は,. して測定したほうがよい。. 0. 不安定で時間が経つにつれて d一体が少しずつ生. グラニユ糖水溶液(15 . 5g/100ml,旋光度 α. 成するラセミ化の起きていることが分かった。こ. 二十 4 5 )では,. のラセミ化は , 1 乳酸の原液を使用して旋光性. 旋光度の測定が不可能になった。. 0. 3日後:には白く濁ってしまい,. 1 8 7.
(9) 早野清治・仲鉢大地・大和田秀一. 以上の実験結果から,調製した水港液は,安定. を観察させ,のぞきふたを回転させてもとの明る. である期間があるものの,作り置きしない方が良. さにすると旋光性と旋光度が体験できる。ただし. く,旋光性や旋光度を測定する実験のたびに新た. 「右に回す」か「左に回す」かについては,教員 i(十)または. dJ であれば右へ,. i(一)また. に調製することが大切である。含まれている光学. が. 異性体が空気中の酸素で変化(酸化)されて濁っ. はしであれば左へ回すように指示すると体験し. たり沈殿ができたりして旋光度が小さくなると考. やすい。また,授業内容で「味覚臭覚などに対す. えられた。. る作用(生理作用)が異なる」などの授業場面で は,香り物質のリモネン注 5)を導入する。光学異. 3-4 安全対策について:光学異性体を学. 性体の Jーリモネンと dーリモネンを少量綿棒か脱. ぶときに,授業や実験で用いられる L(+)一酒石. 脂綿にしみこませてシャーレや試料ピンなどに入. 酸ナトリウムカリウム四水和水溶液は弱塩基性で. れ,ラベルで示した光学異性体同士の香りを比べ. あり , l-乳酸は弱酸性の有機酸であるので,皮. る活動を通して,一方がレモン臭で他方がオレン. 膚や目などに触れないように保護メガネや保護手. ジ臭であることに気付かせたい。言葉や頭の中で. 袋を使用しなければいけない。万一,衣類や皮膚. の知識だけではなくて,臭覚を使った学習は,具. 等についた場合には,すぐに流水で十分に洗い流. 2 リモ 体的で面白く,驚きもあるであろう(図 1. すように注意する。. ネンの香りと構造)。. 身の回りの身近な光学異性体物質は,生活の中 レモン. で使用している食品類を用いているので,飲食な. オレンジ. どの行動に及ばないよう十分に注意する必要があ る。特に,ぶどう糖やグラニュ糖やパルスイー トの甘味料は,包装されたままの配布はせずに, 実験容器などに入れて使用させ,口に入れづらい ように配布するなどの工夫が必要である。. CH 3. CH 3. 4 考察 i3. 結果」から,光学異性体の旋光性の確認. や旋光度の測定を体験するための簡易旋光度測定 装置が②改良型として作成できた。 L(+) 酒石 酸ナトリウムカリウム凹水和や J 乳酸の旋光度. H2C CH 3. 1 リモネン. CH3. d リモネン. 図1 2 リモネンの香りと構造式. は,大きな回転角度として観察され,それらの旋 光性の性質を強烈に印象づけることができる。 この 2つの光学異性体は,教科書の例示や光学. 光学異性体の授業理解を深めた後で,更に身の 回りの身近な光学異性体物質を用いた旋光性の確. 異性体の発見などで良く扱われているので,その. 認や旋光度の測定実験に発展することができる。. 授業内容に合わせて体験として旋光度測定の実施. 測定実験に簡単に使用できる物質は,ブドウ糖,. を追加し,旋光性の理解を深めることができょう。. グラニュ糖,パルスイートの甘味料 3種類である。. 旋光度の精度は求めていない校4 )。その際,水溶. 味の素 (Lーグルタミン酸ナトリウム)とポッカレ. 液はあらかじめ別容器に調製しておき,空の②改. モン 1 0 0は,旋光度が小さかったり面倒な吸引ろ過. 良型で自然光が直進して明るいのを確認後,水. をしなければならなかったりで,実験には適さな. i 容液を満たして自然光の回転による明るさの減少. い。もちろん,授業内容の補完として考えた 2つ. 1 8 8.
(10) い方につい て 止 高等学校の化学における光学異性体の抑. (+)一酒石酸ナトリウムカリウム の光学異性体 , L. ) ある 。. o. 四水和と J 乳酸,の 実験での扱いも面白く,甘. 0. _ . . . _ . . . / * _ . . . _ . . . / _. . . . _ . . . / .. 味料 3種類と組み合わせての実験も可能であろう 。. 10 十. / . '. . 'Na. O. Y. 以上のように,授業や実験に簡易旋光度測定装 NH2. 置② 改良型を用いた光学異性体の大きな旋光度の 観測は,新鮮な驚きを 学 ぶ者に 与 えることができ るとともに,光学異性体の旋光性の深い理解を可. .Dーぶどう糖 太線は紙面の 手前側を向き,細線は紙面の 裏側を ( 旬いている )。 │. 能にすることであろう 。授業における視覚的なモ. CHO. デルや例示での光学異性体の理解に加えて, 実験. *. や活動を通してのより具体的な体験での光学 異性 体の理解が実現できるものと考える 。. 注. CH20H 注 2)透明樹脂板や偏光板を塩ピ用 接着剤で塩ピ管 に接. 注 1)構造式を示す。線と線の交わった部分には Cや H. が省略されている場合がある 。不斉炭素 には*正1を付 けた。. .L(+)一酒石酸ナトリウムカリウム. iは紙面の裏側を i 7 太線は紙面の手前側を向き,細 4 ( 向いている )。. 着するには,カ ッ ト而をきれいな断面にしなければな らない。塩ピ管 のカットにはメリー エ ンビパイプカ ッ. 9) を使用した 。塩ビ管 室本鉄工株式会社 PIP-1 ター ( 寺には,ヒシボン Vp16と TSソケ ッ ト雌 を接着 させる H 三菱樹脂株式会社) を用いた。偏光板 0g) ( 0 1 ドA ( 1cm厚さ 0.75 0x2 はケニス株式 会社 偏 光 シ ー ト 3 , m mを. COO-. -OH r H-. 雄 ・雌)はアロン化成 Vp16用 TSソケ ッ ト(. TS給水用ソケット・ TSバルブ用ソケ ッ トを,パッキ 内. 三栄水栓製作所有Ii修ユニオンパッキン 株) ンは (. * 1. K+Na+. アH HOi. 2m m外 径 30mm厚 さ 2 m mを,透明塩ピ板はケ 径2 0x45cm厚 さ 1m m 透明) 5 ニス株式会社塩ビ板( を,それぞれ使用した。. COO-. 注 3) D ぶどう糖の平衡混合物になる様子を化学式 で. -パルスイート (ジペプチド) クサピは紙面の 手前側を向 き,細線は紙面の 上 に (. 示す。. ある )。. 0 ,0.. _ . . . . . . . . . . _. ~. 1. OH. *ノに. y. 1. NH2. 、. N. H. H 0. ・グラニュ糖 太い線の結合は紙面の手前に向いている )。 (. OH 1床の素 .. L グルタミン酸ナトリウム ) (. Jを向き,利1線は紙面の上に クサピは紙面の 手前似I (. HO H H. D-ぶど う糖 s70) [α]=+18. 64% ( 注 4)旋光度の精度は求めていないが, 参考のために②. 改良型を使 った 5種類 の旋光度か ら比旋光度を 算 出し. 9 8 1.
(11) 早 野 清 治 ・ 仲 鉢 大J 也・大和田秀一. て以下に示すハ. ・ぶどう糖. [ α ]二+15"/( 1 5g/100ml X 3 . 1dm). 二+96.8". (既知 1 { J i ' t+1 1 2. 0. ). 平衡混合物. [ α ]ニ +30"/( 1 5g/100ml X 3 . 1dm) 三十. 6 4 .5 :. (既知イ直+:52 .r). 0. .パルスイート. [ α J= +45. C. 三十. ・グラニュ. 0. * m. [ α J= +45. C. 三十. ( 15.6g/100ml X : ' L1dm). /. 9 : 3 -. 1. ( 15 .5 :g/I00mlX : 3 .1dm). /. (既知イ直 +66. 5 "). 9 : 3 -. 7. 0. .l乳 酸. [ α J= - : 37 .5 :. C. 二. ( 120.6g X 0.85/100mlX : 3 .1dm). /. (R先生,,~丙+ 2 .6 "). 10". .L (+) 酒 石 酸 カ ナ ト リ ウ ム リ ウ ム 同 水 和 [ α ] +15"/(63g/100mlx3.1dm) 二. 二+23. ( 既 主l 嗣 +22.1"). 0. n :5)リモネンは,和克純薬 1:業株式会社の試薬を用いたハ 参与までに伯段を示すハ (-)リモネンニ l リモネン. 5ml 3150円 (+)リモネンニ d リモネン. 2 5ml 1200円. 参考文献 1) 高 等 学 校 改 定 化 学 1,pp.2: 3 1 2 : 3 -2(第一学習社, 4年 2月 10H 発行)ハ光学異性体の例として乳酸 平成 2 と α アミノ酸をぶ L,不斉炭素の存在にふれている。 高等学校化学1,. pp.262 (東京芹籍,平成 2 4{ f2. 刀1 0日 党行)ハ乳酸を例に不 n 炭 素 原 子 を も っ 光" ?異 性休は生理作用や光学的性質が異なると説明されてい る ハ. 引 2) I白 然 界 に お け る 右 子 と 左 子 の 述 い を 題 材 と し た 化 1、 ア y 教材の開発」 山 山1 1 崎 , 1 府 l 崎 奇 耐 f 祥手子.山;漫量 f 信 言 今.松村 f 作士てチ子.三上)同 吋 治.福田武叶,奈良教育大学 1 、 y 戸 ア 予t研 究 紀 要. V o ω1 . 1 凶9. ) pp.1 げ 7 : 31 げ7 5 :ω ( 凶 2 引o 川1 0 f 年 f J 宇. 「簡易旋光計の製作」片江安己,古川工,化学と教. 育. 4 6き ' . 7 9号. pp.566-568 ( l998{ f ). 「簡易旋光計の作成. 少人数ゼミナール C 2. (伊藤芳雄)J hUp:! / m o l e . r c . k y u s h u u . z c . j p / ~y i L o / O p t i c a l .hLml. (平野清治札幌校教授) (仲鉢大地札幌校大学中). (大平日目秀一. 酪民"?[京I ) : . " ? 准教授). ) ( }. ( l.
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