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産学連携実践型ゼミナール活動における社会人(基礎)力形成に向けての取り組み - ソーシャルメディアを利用した実践型ゼミナールの試み -

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(1)

〈研究ノート〉

産 学 連 携 実 践 型 ゼ ミ ナ ー ル 活 動 に お け る 社 会 人 ( 基 礎 ) 力 形 成 に

向 け て の 取 り 組 み



― ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア を 利 用 し た 実 践 型 ゼ ミ ナ ー ル の 試 み ―

About a match for Industry-university cooperation hands-on seminar activities

member of society formation of ( basic) skills.

Try of the practice type seminar for which social media were used-

秋 吉  浩 志

Koji Akiyoshi

【 要 約】 本 稿 で は 、 前 稿 、 前 々 稿 に 引 き 続 き 、 社 会 人 基 礎 力 、 な ら び に 入 社 後 の 人 材 を 育 成 す る 即 戦 力 的 な 人 材 育 成 ま で も が 大 学 の よ う な 高 等 教 育 機 関 に は 望 ま れ る こ と と な っ た 大 学 の 教 育 あ り か た に つ い て の 一 試 論 を 述 べ る 。 今 回 は ア ク テ ィ ブ ラ ー ニ ン グ の よ う に 、 学 修 者 の 能 動 的 な 学 修 へ の 参 加 を 取 り 入 れ る 方 法 も 導 入 さ れ 、 そ の 中 で 学 外 ゼ ミ ナ ー ル 活 動 、 社 会 貢 献 、 地 域 貢 献 な ど 、 社 会 に 目 を 向 け た 活 動 が 注 目 を 浴 び る よ う に な っ た 。 そ こ で は 、 実 践 的 な モ デ ル を 提 示 し 、 学 生 に ど の よ う な 効 果 が 求 め ら れ る か が 、 提 示 さ れ る 。 そ の 実 践 的 な 教 育 方 法 が 求 め ら れ て い る な か 、 そ の 試 み の 一 つ と し て 、 経 済 産 業 省 の 社 会 人 基 礎 力 モ デ ル を 引 用 し な が ら 、 九 州 情 報 大 学 の マ ー ケ テ ィ ン グ ゼ ミ ナ ー ル に お い て 「 産 学 連 携 実 践 型 ゼ ミ ナ ー ル 」 の 運 営 を 通 じ て ど の よ う に 社 会 人 基 礎 力 、 人 間 力 を 養 成 す る の か の 試 み に つ い て 、 前 回 同 様 本 年 度 (2014 年 度 ) の 取 り 組 み を 中 心 と し て そ の 活 動 の 報 告 並 び に 今 後 の 課 題 や 問 題 点 に つ い て 述 べ た い と 思 う 。 そ の 中 で 重 要 な こ と は 前 稿 も 強 調 し た が 、 一 般 的 な イ ン タ ー ン シ ッ プ の よ う な 社 会 人 基 礎 力 、 応 用 力 等 を 養 成 す る だ け で な く 、 産 学 連 携 の も と 、 主 に 企 業 や 団 体 、 組 織 と の 産 学 連 携 し た 産 学 連 携 事 業 型 と し て の ゼ ミ ナ ー ル 活 動 の な か で 社 会 人 力 と 学 力 と を 同 時 に 養 成 を す る 試 み の 重 要 性 が 徐 々 に あ ら わ れ て き て い る よ う に 思 わ れ る 。 キ ー ワ ー ド: 産 学 連 携 、 社 会 人 基 礎 力 、 人 間 力 、 キ ャ リ ア 形 成 、 イ ン タ ー ン シ ッ プ  ゼ ミ ナ ー ル  ア ク テ ィ ブ ラ ー ニ ン グ 、 ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア  ソ ー シ ャ ル メ デ ィ ア ミ ッ ク ス 、 マ ー ケ テ ィ ン グ

1 はじめに

九州情報大学ではで特徴ある授業の取り組みが なされている。各初年次教育、税理士資格を得る ための資格取得から、高度専門教育への移行、各 種キャリア教育、最近注目を集めているプロジェ クト型教育法など、大きな変化を迎え、さまざま なカリキュラムの特性を出し始めている。 しかし、それらも卒業時には社会にある程度即 時対応できる「社会人基礎力」がなければ、就職 率にも繋がらず、就職後の離職率も高くなる可能 性も大きい。      研究ノート         

(2)

①第 1 のベクトル:「働く力を理解する講座・科 目群」であり、ここでは、大学オリジナルの映像 教材を使用しながら、社会で働くときに何が求め られるかを、実感を持って学ぶことができるよう 工夫している。 ②第 2 のベクトル:「新しい形のインターンシッ プ」による実践。従来の企業で研修を受けるイン ターンシップではなく、学生たちが実際にビジネ スを体験することで自らの力を試し、実践から意 欲や気づきを得る機会を設定。 ③第 3 のベクトル:法政大学が独自に開発した 「働く力測定アセスメント」によって、学んだこ との成果を振り返り、成長を確かめながら、さら に学びを深めていく。 この 3 つのベクトルを組み合わせることによ り、学生のキャリア観や、将来にわたって役立つ 「働くチカラ」を育てる。 しかし、ここではビジョンを持った個人個人の マネージメント力等については触れていない。そ のあたりも視野において活動推進を考える余地が ありそうである。 (3)本学の産学連携実践型ゼミとは そして、本学のマーケティング論ゼミで行って いる「産学連携実践型ゼミ」、その目的は「企業 や組織と大学ゼミが連携して企業や組織の機能・ 事業の一部を請け負ってより社会人=企業人・組 織人の育成を行うというものである。どちらかと いうと企業で行っている長期 OJT=On the Job Training=長期の仕事中,仕事遂行を通して訓練 をすることに近いものであろう。 そしてそこにおいて、 ①実際にビジネスを体験することで自らの力を試 し、実践から意欲や気づきを得る機会を設ける。 ②上記の経験の中で必要な学力などは、研究書な どの専門書などで研究しながら向上させる。 ③就職後の人生設計(健康管理も含む)を考える 力も身に付ける など  そこにおいてもっとも重要なことは週 1 回以 上、約 1 年間の実践型ゼミであるといえよう。1 年間を一区切りとして、とくにビジネス、とくに 事業実践的なマーケティングスキルしっかりと身 につけることがある程度できるメリットがある。 (注:「事業」・・・・・・生産・営利などの一定 の目的を持って継続的に、組織・会社・商店など を経営する仕事)  本学のマーケティング論ゼミでは、上記の3つ の柱を中心に1年間活動を行ってきた。

3、社会人基礎力とは

さて、ここで経済産業省が提示している「社会 人基礎力」について簡単に触れたい。 提示されている能力は、「前に踏み出す力」、 「考え抜く力」、「チームで働く力」の 3 つの能 力(12 の能力要素)から構成されている。 「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしてい くために必要な基礎的な力」として、経済産業省 が2006 年から提唱された。 企業や若者を取り巻く環境変化により、「基礎 学力」「専門知識」に加え、それらをうまく活用 していくための「社会人基礎力」を意識的に育成 していくことが今まで以上に重要となってきてい るためであると示している。本ゼミではこの力を どれだけ習得できるかを目的として運営している。 そして、その概念図は、図表1のように提示さ れている。

4、本年度マーケティングゼミにおける産

学連携ゼミの本学における取り組み例

これまで、各大学の事例や経済産業省の示して いる社会人基礎力の可能性、有効性について述べ てきたが、それを踏まえたうえで、ここからは本 学マーケティング論ゼミが実際事業の一部として 活動している企業との事例を上げ、その内容につ いて説明したい。 前稿でも述べたが、本学のマーケティングゼミ では、ソーシャルメディアを利用したマーケティ ング戦略を検討し、組織として運営している数社 や組織とインターネットクラウドのUSTREAM生 放送等の産学連携プロジェクトを行っている。 今回は社会人基礎力を養うための取り組みのひ とつとして、本学のマーケティングゼミナールを 通じての取り組み「産学連携実践型ゼミナール活 動」(以降ゼミナールをゼミに省略)の取り組み について、引き続き 2015 年度 1 年間の取り組み を報告させていただきたい。 とくに企業や各種組織などのマーケティング戦 略を練り、ソーシャルメディアを活用した、マー ケティング活動をゼミが請け負いながら活動する ことによって、社会から教わる社会人基礎力を養 うという目的をもとに、経済産業省が 2007 年提 示した「社会人基礎力」を参考にしながら、今回 はゼミ活動を行った。 その報告の前に、本ゼミでも参考にさせていた だいた、他大学での先進的な取り組みについてふ たつほど紹介しながら、ゼミの取り組みについて 若干説明したい。

2 各大学での社会人基礎力養成への取り

組み例

(1)武蔵野大学の「産学連携ゼミ」 http://www.musashino-u.ac.jp/career_international/grow_up/07.html 3・4 年次の 2 年間、企業・自治体等と連携し、 学科横断のゼミ形式の授業と、連携先での長期イ ンターンシップを実施するのが「産学連携ゼミ」。 理論と実践を有機的に構成した教育プログラム。 各学科での専攻(メジャー)に加え、もう一つ の副専攻(サブメジャー)という位置付けで、学 部を超えて、関心のあるゼミに参加することがで きるという特徴がある。産業界側のニーズを取り 入れながら、大学と企業・自治体による協働開発 で教育プログラムを構築していくのが最大の特長 である。現在 6 つのプロジェクトが進行中であ る。 (2)「3D プロジェクト」(法政大学) http://3dep.hosei.ac.jp/about/3d/(以下 HP を抜 粋) 法政大学の「産学連携3D 教育プロジェクト」 では、従来の教員による学生の教育・指導に、産 業界の知見やニーズを反映した教育手法を組み合 わせることによって、4 年間の教育を「立体的 に」展開。 そこで3 つのベクトルを示している。 図表1:社会人基礎力の概念 図 出典:経済産業省HP;http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/㻌

(3)

①第 1 のベクトル:「働く力を理解する講座・科 目群」であり、ここでは、大学オリジナルの映像 教材を使用しながら、社会で働くときに何が求め られるかを、実感を持って学ぶことができるよう 工夫している。 ②第 2 のベクトル:「新しい形のインターンシッ プ」による実践。従来の企業で研修を受けるイン ターンシップではなく、学生たちが実際にビジネ スを体験することで自らの力を試し、実践から意 欲や気づきを得る機会を設定。 ③第 3 のベクトル:法政大学が独自に開発した 「働く力測定アセスメント」によって、学んだこ との成果を振り返り、成長を確かめながら、さら に学びを深めていく。 この 3 つのベクトルを組み合わせることによ り、学生のキャリア観や、将来にわたって役立つ 「働くチカラ」を育てる。 しかし、ここではビジョンを持った個人個人の マネージメント力等については触れていない。そ のあたりも視野において活動推進を考える余地が ありそうである。 (3)本学の産学連携実践型ゼミとは そして、本学のマーケティング論ゼミで行って いる「産学連携実践型ゼミ」、その目的は「企業 や組織と大学ゼミが連携して企業や組織の機能・ 事業の一部を請け負ってより社会人=企業人・組 織人の育成を行うというものである。どちらかと いうと企業で行っている長期 OJT=On the Job Training=長期の仕事中,仕事遂行を通して訓練 をすることに近いものであろう。 そしてそこにおいて、 ①実際にビジネスを体験することで自らの力を試 し、実践から意欲や気づきを得る機会を設ける。 ②上記の経験の中で必要な学力などは、研究書な どの専門書などで研究しながら向上させる。 ③就職後の人生設計(健康管理も含む)を考える 力も身に付ける など  そこにおいてもっとも重要なことは週 1 回以 上、約 1 年間の実践型ゼミであるといえよう。1 年間を一区切りとして、とくにビジネス、とくに 事業実践的なマーケティングスキルしっかりと身 につけることがある程度できるメリットがある。 (注:「事業」・・・・・・生産・営利などの一定 の目的を持って継続的に、組織・会社・商店など を経営する仕事)  本学のマーケティング論ゼミでは、上記の3つ の柱を中心に1年間活動を行ってきた。

3、社会人基礎力とは

さて、ここで経済産業省が提示している「社会 人基礎力」について簡単に触れたい。 提示されている能力は、「前に踏み出す力」、 「考え抜く力」、「チームで働く力」の 3 つの能 力(12 の能力要素)から構成されている。 「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしてい くために必要な基礎的な力」として、経済産業省 が2006 年から提唱された。 企業や若者を取り巻く環境変化により、「基礎 学力」「専門知識」に加え、それらをうまく活用 していくための「社会人基礎力」を意識的に育成 していくことが今まで以上に重要となってきてい るためであると示している。本ゼミではこの力を どれだけ習得できるかを目的として運営している。 そして、その概念図は、図表1のように提示さ れている。

4、本年度マーケティングゼミにおける産

学連携ゼミの本学における取り組み例

これまで、各大学の事例や経済産業省の示して いる社会人基礎力の可能性、有効性について述べ てきたが、それを踏まえたうえで、ここからは本 学マーケティング論ゼミが実際事業の一部として 活動している企業との事例を上げ、その内容につ いて説明したい。 前稿でも述べたが、本学のマーケティングゼミ では、ソーシャルメディアを利用したマーケティ ング戦略を検討し、組織として運営している数社 や組織とインターネットクラウドのUSTREAM生 放送等の産学連携プロジェクトを行っている。 今回は社会人基礎力を養うための取り組みのひ とつとして、本学のマーケティングゼミナールを 通じての取り組み「産学連携実践型ゼミナール活 動」(以降ゼミナールをゼミに省略)の取り組み について、引き続き2015 年度 1 年間の取り組み を報告させていただきたい。 とくに企業や各種組織などのマーケティング戦 略を練り、ソーシャルメディアを活用した、マー ケティング活動をゼミが請け負いながら活動する ことによって、社会から教わる社会人基礎力を養 うという目的をもとに、経済産業省が 2007 年提 示した「社会人基礎力」を参考にしながら、今回 はゼミ活動を行った。 その報告の前に、本ゼミでも参考にさせていた だいた、他大学での先進的な取り組みについてふ たつほど紹介しながら、ゼミの取り組みについて 若干説明したい。

2 各大学での社会人基礎力養成への取り

組み例

(1)武蔵野大学の「産学連携ゼミ」 http://www.musashino-u.ac.jp/career_international/grow_up/07.html 3・4 年次の 2 年間、企業・自治体等と連携し、 学科横断のゼミ形式の授業と、連携先での長期イ ンターンシップを実施するのが「産学連携ゼミ」。 理論と実践を有機的に構成した教育プログラム。 各学科での専攻(メジャー)に加え、もう一つ の副専攻(サブメジャー)という位置付けで、学 部を超えて、関心のあるゼミに参加することがで きるという特徴がある。産業界側のニーズを取り 入れながら、大学と企業・自治体による協働開発 で教育プログラムを構築していくのが最大の特長 である。現在 6 つのプロジェクトが進行中であ る。 (2)「3D プロジェクト」(法政大学) http://3dep.hosei.ac.jp/about/3d/(以下 HP を抜 粋) 法政大学の「産学連携3D 教育プロジェクト」 では、従来の教員による学生の教育・指導に、産 業界の知見やニーズを反映した教育手法を組み合 わせることによって、4 年間の教育を「立体的 に」展開。 そこで3 つのベクトルを示している。 図表1:社会人基礎力の概念 図 出典:経済産業省HP;http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/㻌

(4)

①前に踏み出す力 Action(アクション):失敗し ても粘り強く取り組む力  1)主体性:物事に進んで取り込む力;社会人か ら学ぶことによって主体性の強さは若干出てきた ように思われる。しかし、指示待ち状態はあまり 変化がなかった。  2)働きかけ力:他人に働きかけ、巻き込む力: ゼミ1、2歴代の卒業生の先輩から後輩へのはた らきかけが積極的にあり、そのように先輩後輩関 係で巻き込む力をつけることはできた。  3)実行力:目的を設定し確実に行動する力:放 送や動画を作成するのを確実に行うミッションの み達成が達成できたが、もっとも重要である、 マーケティング戦略の設定や分析や解析をする段 階にまで進めることはできなかった。  このあたりが大きな課題である。 ②考え抜く力 Thinking(シンキング):問題意 識をもち考え抜く力  1)課題発見力:現状を分析し目的や課題を明ら かにする力:これも全くの指示待ち状態であり、 教員が反省会にて指摘しない限り、学生同士で発 見することはできなかった。  2)計画力:課題の解決に向けたプロセスを明ら かにし準備する力:放送終了後の反省会にてその 点を毎回教員の方から指摘してきたが、同じミス をなんども繰りかえす学生もいた。これからの大 きな課題である。  3)創造力:新しい価値を生み出す力:新しい発 想などを学生に働きかけ、その新しい価値の出現 を期待したが、一度もそのような状況にはならな かった。 これも今後の大きな課題になるであろう。 ③チームで働く力 Teamwork(チームワーク): 目標に向けて他人と協力する力  1)発信力:自分の意見をわかりやすく伝える 力:この1年間カリキュラムの内容や勉強、仕事 の所作について、必ず学生の先輩後輩間で段取り を指示することを学生同士で検討をするように なった。  2)傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力:社会人 や教員から指摘をうけながら、その力をつけて いった。  3)柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する 力:これらは礼儀作法等の指示をつねに行ってき たが、学生に浸透しているかどうかは、感想でし かわからない。  4)情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関 係性を理解する力:この力も今回結果として出て きたかどうかは判断できない状況である。  5)規律性:社会のルールや人との約束を守る 力:放送時間やスタッフの役割分担を明確にする ことで、実行可能になっている。 さらには責任感も生まれ、その状況変化がけっこ う出てきているように思われる。  6)ストレスコントロール力:ストレスの発生源 に対応する力:回復力(レジレンス力)にも注意 を払ってきた。本や社会人からのアドバイスなど を有効に活用して、心のコントロール力をある程 度身につけたと思われる。 (2)社会人基礎力とその要素に対しての効果 と課題 主に今回の活動においてこの一年間の目標は以 下のように置いていた。とくに本学の学生の特徴、 ならびに成長が必要なものを考慮して目標を立て ていた。 ①ダンドリ力の育成(体系的な思考経験)②コ ミュニケーション力の強化③報告書・レポート等 文章作成力(卒論への文章力育成)④グループ会 議(コンペディション)⑤資料作成&専門書を読 むくせ(きっかけ)をつける⑥社会人と接して、 強い心をつくる。⑦話す力を養う(説明能力等) しかし、上記の全ての底上げができるか、とく に本年度は上記を行うためのオリジナルの環境つ くりと仕事におけるオペレーションシステム構築 を主に行った。

6、おわりに

今回のその 12 の対応力をこの試みに合わせた 結果以下のような問題点が表面化してきたと思わ れる。 ●学生に関して、 ①基本的指示待ち状態である ②コミュニケーション力が不足 図表2:社会人基礎力3つの力と12の要素 出典:経済産業省『企業の「求める人材像」 -社会人基礎力との関係-』2ページ。 (1)株式会社フラウとのUSTREAM 放送 株式会社フラウは1993 年創業、2014 年 21 年 目になる子育て支援情報提供を中心とした、主婦 向け雑誌「子づれで CHA・CHA・CHA」など 多くの子育て支援関係の雑誌や本を出版している 企業である。 その企業のマーケティング戦略の中でのソー シャルメディア事業の一環として、USTREAM 放送の番組企画・制作等をゼミで、引き受け、番 組表作りなど放送関係の作業をすべてゼミ学生が 行っている。 また、企業側の担当者とも学生が積極的にコ ミュニケーションをとり、定期的に各種ソーシャ ルメディアをどのように利用するか、特に複合的 に各種メディアをミックスさせてプロモーション を行うかの担当者会議を月1回行い、積極的な番 組作りを行っている。また、生放送を録画したも のを動画サイト You Tube にも定期的にアップ ロードしている。 (2)ゼミ内での具体的作業に ついて ①放送前について  放送前は各種準備を行っている。 具体的には、放送機材の準備、ダ ンドリ作業(出演者、ゲスト、大 学外オペレーションスタッフ)、 番組進行表作成、オペレーション 準備(リハーサル)など。 ②放送中について 放送中は、もちろん機材等オペ レーションの進行、報告書の作成、 記録用の写真撮影など。 ③放送後について その日、終了後に反省会、後日 報告書&レポート提出、ソーシャ ルメディアを利用するマーケティ ング戦略の計画を作成などである。 さらに PDCA(注:事業活動 における生産管理や品質管理など の管理業務を円滑に進める手法の 一つであり、Plan(計画)→ Do (実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改 善すること)サイクルの概念を植え付け、必ず過 去の放送の反省から、次回に生かすように各自努 力している。

5、この

1 年間の活動を通じて

 さて、前節では、具体的な活動内容について述 べてきた。この1年間を通じて、社会人基礎力に 関する3つの力とそれにそうように作られた12 の要素に照らし合わせながら、どのような行動な らびに結果になったかを簡単に説明したい。 (1)社会人基礎力を形成する 3 つの力につい て  社会人基礎力の 3 つの力とその 12 の要素は図 表2 のように経済産業省は提示している。  その力と照らし合わせて、今回の結果を考察し てみた。

(5)

①前に踏み出す力 Action(アクション):失敗し ても粘り強く取り組む力  1)主体性:物事に進んで取り込む力;社会人か ら学ぶことによって主体性の強さは若干出てきた ように思われる。しかし、指示待ち状態はあまり 変化がなかった。  2)働きかけ力:他人に働きかけ、巻き込む力: ゼミ1、2歴代の卒業生の先輩から後輩へのはた らきかけが積極的にあり、そのように先輩後輩関 係で巻き込む力をつけることはできた。  3)実行力:目的を設定し確実に行動する力:放 送や動画を作成するのを確実に行うミッションの み達成が達成できたが、もっとも重要である、 マーケティング戦略の設定や分析や解析をする段 階にまで進めることはできなかった。  このあたりが大きな課題である。 ②考え抜く力 Thinking(シンキング):問題意 識をもち考え抜く力  1)課題発見力:現状を分析し目的や課題を明ら かにする力:これも全くの指示待ち状態であり、 教員が反省会にて指摘しない限り、学生同士で発 見することはできなかった。  2)計画力:課題の解決に向けたプロセスを明ら かにし準備する力:放送終了後の反省会にてその 点を毎回教員の方から指摘してきたが、同じミス をなんども繰りかえす学生もいた。これからの大 きな課題である。  3)創造力:新しい価値を生み出す力:新しい発 想などを学生に働きかけ、その新しい価値の出現 を期待したが、一度もそのような状況にはならな かった。 これも今後の大きな課題になるであろう。 ③チームで働く力 Teamwork(チームワーク): 目標に向けて他人と協力する力  1)発信力:自分の意見をわかりやすく伝える 力:この1年間カリキュラムの内容や勉強、仕事 の所作について、必ず学生の先輩後輩間で段取り を指示することを学生同士で検討をするように なった。  2)傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力:社会人 や教員から指摘をうけながら、その力をつけて いった。  3)柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する 力:これらは礼儀作法等の指示をつねに行ってき たが、学生に浸透しているかどうかは、感想でし かわからない。  4)情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関 係性を理解する力:この力も今回結果として出て きたかどうかは判断できない状況である。  5)規律性:社会のルールや人との約束を守る 力:放送時間やスタッフの役割分担を明確にする ことで、実行可能になっている。 さらには責任感も生まれ、その状況変化がけっこ う出てきているように思われる。  6)ストレスコントロール力:ストレスの発生源 に対応する力:回復力(レジレンス力)にも注意 を払ってきた。本や社会人からのアドバイスなど を有効に活用して、心のコントロール力をある程 度身につけたと思われる。 (2)社会人基礎力とその要素に対しての効果 と課題 主に今回の活動においてこの一年間の目標は以 下のように置いていた。とくに本学の学生の特徴、 ならびに成長が必要なものを考慮して目標を立て ていた。 ①ダンドリ力の育成(体系的な思考経験)②コ ミュニケーション力の強化③報告書・レポート等 文章作成力(卒論への文章力育成)④グループ会 議(コンペディション)⑤資料作成&専門書を読 むくせ(きっかけ)をつける⑥社会人と接して、 強い心をつくる。⑦話す力を養う(説明能力等) しかし、上記の全ての底上げができるか、とく に本年度は上記を行うためのオリジナルの環境つ くりと仕事におけるオペレーションシステム構築 を主に行った。

6、おわりに

今回のその 12 の対応力をこの試みに合わせた 結果以下のような問題点が表面化してきたと思わ れる。 ●学生に関して、 ①基本的指示待ち状態である ②コミュニケーション力が不足 図表2:社会人基礎力3つの力と12の要素 出典:経済産業省『企業の「求める人材像」 -社会人基礎力との関係-』2ページ。 (1)株式会社フラウとのUSTREAM 放送 株式会社フラウは1993 年創業、2014 年 21 年 目になる子育て支援情報提供を中心とした、主婦 向け雑誌「子づれで CHA・CHA・CHA」など 多くの子育て支援関係の雑誌や本を出版している 企業である。 その企業のマーケティング戦略の中でのソー シャルメディア事業の一環として、USTREAM 放送の番組企画・制作等をゼミで、引き受け、番 組表作りなど放送関係の作業をすべてゼミ学生が 行っている。 また、企業側の担当者とも学生が積極的にコ ミュニケーションをとり、定期的に各種ソーシャ ルメディアをどのように利用するか、特に複合的 に各種メディアをミックスさせてプロモーション を行うかの担当者会議を月1回行い、積極的な番 組作りを行っている。また、生放送を録画したも のを動画サイト You Tube にも定期的にアップ ロードしている。 (2)ゼミ内での具体的作業に ついて ①放送前について  放送前は各種準備を行っている。 具体的には、放送機材の準備、ダ ンドリ作業(出演者、ゲスト、大 学外オペレーションスタッフ)、 番組進行表作成、オペレーション 準備(リハーサル)など。 ②放送中について 放送中は、もちろん機材等オペ レーションの進行、報告書の作成、 記録用の写真撮影など。 ③放送後について その日、終了後に反省会、後日 報告書&レポート提出、ソーシャ ルメディアを利用するマーケティ ング戦略の計画を作成などである。 さらに PDCA(注:事業活動 における生産管理や品質管理など の管理業務を円滑に進める手法の 一つであり、Plan(計画)→ Do (実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改 善すること)サイクルの概念を植え付け、必ず過 去の放送の反省から、次回に生かすように各自努 力している。

5、この

1 年間の活動を通じて

 さて、前節では、具体的な活動内容について述 べてきた。この1年間を通じて、社会人基礎力に 関する3つの力とそれにそうように作られた12 の要素に照らし合わせながら、どのような行動な らびに結果になったかを簡単に説明したい。 (1)社会人基礎力を形成する 3 つの力につい て  社会人基礎力の3 つの力とその 12 の要素は図 表2 のように経済産業省は提示している。  その力と照らし合わせて、今回の結果を考察し てみた。

(6)

翻 訳 「長 崎 原 爆 の青 い目 の語 り部 」

1

― ポール コブレットのインタービュー ―

The Paul Couvret Story

Survivor of a Japanese POW Camp and Nagasaki A-Bomb

ク リ ス  フ リ ン

Chris Flynn

【 要 約】 [Abstract]

In 1999 Paul Couvret visited Fukuoka as a member of the international exchange group “The Friendship Force”. The group from Australia was made up of couples in their 40s and 50s, so the single Couvret aged in his 70s, and his experience as a Prisoner of War in Nagasaki was unusual for the group, let alone an Australian visiting Japan. An interview with Couvret was conducted by the author and the interview was broadcast in Northern Kyushu (LOVE FM) over four weeks in 1999. The following translation is an attempt to bring the unique war and hibakusha experiences of Couvret to the non-English speaking Japanese community.

平 成 11 年 に 「 フ レ ン ド シ ッ プ フ ォ ー ス 」 と い う 国 際 交 流 団 体 の 一 員 と し て ポ ー ル  コ ブ レ ッ ト 氏 は オ ー ス ト ラ リ ア か ら 福 岡 を 訪 れ た 。 そ の 団 体 は 主 に 40・ 50 代 の 夫 婦 で 構 成 さ れ て い た が 、70 代 の コ ブ レ ッ ト 氏 は 異 例 な 存 在 だ っ た 。 彼 は 日 本 帝 国 軍 の 捕 虜 と 長 崎 原 爆 の 被 爆 の 経 験 を 持 ち な が ら 訪 日 し た オ ー ス ト ラ リ ア 人 だ っ た の だ 。 当 翻 訳 の 筆 者 は 本 人 の イ ン タ ー ビ ュ ー を 録 音 し 、 そ の 話 は 1999 年 に 九 州 北 部 の ラ ジ オ ( LOVE FM) で 4 週 間 に 渡 っ て 放 送 さ れ た 。 こ の 翻 訳 は 英 語 が 堪 能 で は な い 日 本 人 に コ ブ レ ッ ト 氏 の 戦 時 中 、 被 爆 、 そ し て 戦 後 の 体 験 を 伝 え る た め の 取 り 組 み で あ る 。 キ ー ワ ー ド: 原 爆 捕 虜 、 語 り 部 被 爆 者 

(Key words: Atomic Bomb, Prisoner of War, WW2 storyteller, hibakusha )

インタービュー

私はオランダ人で、戦争が始まる前は、東イ ンド諸島に住んでいました。戦争が始まって、 オランダ海軍航空隊に入隊しました。パイロット になりたかったからです。ジャワ島が日本軍に占 領される直前、飛行訓練生は貨物船に乗って、 オーストラリアへ撤退するはずだったのですが、 フリーマンテルから2日間航海したところで、日 本海軍に捕らえられました。セレベスのマカッサ ③ダンドリ力が皆無に近い ④積極的な報告・連絡・相談がない ⑤文章力がない(報告書・レポート提出状況を みて) ●学生自身の多くの性向について ⑥プライドが高いが、心(メンタル)が弱い ⑦ライフプランニング力(将来を考える力)が ない など 上記のような問題がとくに目立ったように思われ る。 また、これからの目標としては、 ①他大学&専門学校(クリエイター)との連携を はかり、より学生同士の交流をすすめること。 たとえば、昨年、博多どんたくでの博多女子高 校放送部との連携作業(You Tube 掲載動画撮 影&公開:昨年 5 月 3 日、4日実施)のような 他学との交流を積極的にすすめる。 ②アクティブラーニングとの関わり。 来年度の実践目標の明確化し、目標は、継続性 のある「学内ベンチャー企業」まで育てられたら、 本当の「事業型」になるであろう。 そして、最後に ③医療分野などから浸透してきている概念の「セ ルフマネジメント」をできる力「セルフブラン ディング力」などをつける力を育てないといけな いことが明確になった。  以上3点に絞って説明したが、今後も上記のこ とにも限らず、従来の問題を踏まえつつ、新たな 学生の問題点が出てきた場合の即座に対応できる ようなシステム作りが必要ではないかと思われる。

謝辞

 今回の研究ノート作成において、株式会社フラ ウの皆様のご協力を得て作成することができた。 厚く御礼申し上げたい。

参考文献

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参照

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