Title
沖縄における畑土壌の微生物的性質 2.垂直分布
Author(s)
外間, 数男
Citation
沖縄農業, 34(1): 38-46
Issue Date
1999-12
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/1433
Rights
沖縄農業研究会
沖縄における畑土壌の微生物的`性質
2.垂直分布
外間数男
(沖縄県病害虫防除所)
KazuoHokama:MicrobialpropertiesinfieldsoilinOkinawa、
2.Verticaldistributioninneld. 場はサトウキビが株出および新植夏植圃場を対象とし て,株出は収穫直後,新植夏植は平均培土後に土壌を 採取した.またキャベツは結球後期から収穫期の圃場, パイナップルは新開地新植園および古株の更新園,植 付後7年経過した古株園で調査した採取した土壌は ポリエチレンビニール袋に入れ,速やかに室内に持ち 込み,有機物や礫を取り除き,5mm以下に粉砕した あと十分に混和した.採取後は冷蔵保存(5℃前後) し,10日以内には分離に供した. 土壌のpHはガラス電極法,土壌水分は70℃,24時 間乾燥後に秤量し含水比で表した はじめに 土壌の生成条件や土壌統の設定,土壌の生産力を把 握するために,表層とともに土壌の断面形態や層位の 理化学性なども重要な調査項目となっている.土壌の 微生物的性質を比較検討する場合でも,下層を含めた 層位の調査が必要である. 土壌の微生物の垂直分布については多数報告されて おり,石沢・豊田a印は火山灰および非火山灰土壌につ いて,蘭・石沢3)は放線菌,石井8)は森林土壌,足立2) はサトウキビ畑土壌,吉田・坂井1,は北海道の畑土壌‘ 東田,)は草地土壌,近藤・高井'')は水田土壌,和田・ 石沢'4)は海岸砂丘地土壌について報告している. 沖縄における畑土壌の微生物的調査の一環として, 表層土壌についてはすでに報告したが,,今回,微生物 数の垂直分布について報告する. 2.微生物の分離 微生物の分離は希釈平板法で行い,分離用培地とし て,細菌及び放線菌はアルブミン寒天培地,本培地に クリスタルバイオレットを30mg/L添加してグラム 陰性菌用培地とした4).糸状菌はローズベンガル寒天 培地を用いたい.なお分離方法の詳細は前報の通りと した5). 材料および方法 1.供試土壌 サトウキビとキャベツ畑の土壌は1992年1月から3 月にかけて採取を行った.国頭マージは石川市石川, 山城,島尻マージは読谷村渡具知,渡慶次,ジャーガ ルは具志川市豊原,前原でそれぞれ採取したまたパ イナップル園の土壌は1976年10月に久米島仲里村で採 取した採取には移植ごてを用い,サトウキビおよび キャベツは株際から垂直に深度50cmまで掘り,表層 下10cmまでは5cm,それ以下は10cm立方単位で採取 した.パイナップルは深度70cmまでとした.調査圃 結果 1.キャベツ畑 表1に示すように、表層(0-5cm)の全細菌数 は3土壌型の中でジャーガルが最も多く,426~ 735×105であった.島尻マージと国頭マージは214-340×105の範囲にあったが,全細菌数に差はなかっ た.グラム陰性菌数は国頭マージでやや多く,島尻マ外間:沖縄における畑土壌の微生物的性質 39 表1.キャベツ畑における微生物数の土壌型別垂直分布. 土壌型深度PH細菌数グラム陰性菌放線数糸状菌 (c、)(H20)(、)×105(DB)×105(A)×105(F)×104 国頭マージ0-56.70332.1168237.76.8 A圃場5-106.75343.1182.962.59.3 10-206.21293.4152.343.96.3 20-306.45234.190.030.05.4 30-405.70198.763.738.84.3 40~505.65112.726.529.83.2 国頭マージ0-54.70340.7136.530.950.7 B圃場5-104.79148.1107.816.642.9 10~205.0599.345.820.714.4 20-305.3270.522.010.73.7 30-405.2340.17.95.41.2 40-505.4337.36.52.91.2 島尻マージ0~57.89345.9110332.45.1 A圃場5~107.90261.579.128.26.0 10-207.47298.377.316.24.9 20-308.04139.338.910.93.4 30-407.84121.740.210.30.9 40-507.4854.711.54.70.4 島尻マージ0-57.54214.152.917.948.2 B圃場5-107.45204.759.417.924.7 10-207.60183.741.021.424.4 20-307.77135.920.95.77.1 30~407.8587.721.74.63.2 40-507.6871.923.93.63.6 ジャーガル0-57.24426.532.656.93.8 A圃場5-107.04248.525.148.14.6 10-207.45204.943.533.64.6 20~307.74152.834.152.62.0 30-407.6874.111.514.61.6 40-507.6592.510.422.90.8 ●●・CCC■-------.--■-------------------口-ロ-----.-●CCC●・●・●。。-・●-●●------C---C●-。●・-ロロ■・c---C■。■■■---C--Cc‐・CCC●-●●-●●●-------------c----- ̄ ̄●● ̄●。 ̄●●CCC-●●-ロー●o-p--D-----C ̄●--- ̄- ̄ ̄-- ̄ ̄ ̄ ̄■■ ̄ ̄● ̄ ̄ ̄ ̄。 ̄ ̄ ̄● ̄cロー ジャーガル0-57.13734.697.429.12.6 B圃場5-107.21194.140.626.53.0 10-206.91215.133.239.82.4 20-306.75145.020.728.91.7 30-407.11205.717.643.44.5 40-506.9577.411.234.20.9
40 沖縄農業第34巻第1号(1999) ルでやや多く,全細菌数が177-219×105,グラム陰 性菌数は55-144×105の範囲にあった.国頭マージと 島尻マージの間に差はなく,全細菌数は82-107×105, グラム陰性菌数は15-55×105の範囲にあった.放線 菌数や糸状菌数は国頭マージおよび島尻マージでやや 多く,両土壌型間に差がなかったが,ジャーガルはや や少なかった. 垂直分布をみると,いずれの土壌でも表層から下層 に向かうにつれて微生物数は減少した.表層から下層 への量的変化はキャベツ畑と同じように土壌型間や栽 培様式で違いがみられた全細菌数をみると,国頭マ ージと島尻マージの新植夏植圃場は深度20cmまで表 層と大差がないが,株出圃場では深度5cm以下の層 から著しく減少する傾向を示したグラム陰性菌数も 同じ傾向にあった.これに対しジャーガルの新植夏植 は,深度10cm以下の層で全細菌数が急減するが,株 出では30cm以下の層から減少が著しくなった.グラ ム陰性菌数は新植夏植で深度5cm以下の層で急減す るが,株出では深度20cm以下の層から急減した 放線菌数は,国頭マージや島尻マージでは新植夏植 が深度10cmまで表層と大差はないが,株出圃場では 20cmまで大差がみられなかったしかし新植夏植は 深度10cm,株出圃場は20cmから著しく減少した.ジ ャーガルは深度30cmまで差がなく,また新植夏植で も40cmまで大差がなかった.国頭マージでは,糸状 菌数が下層に向かうにつれて減少が著しいが,島尻マ ージは20cmまで差がなく,ジャーガルは30cmまで大 差がなかった. 各菌数間の比は表層および下層で大差がなく,また 圃場間でも異なった傾向がみられ,分布パターンの特 徴化はできなかった. サトウキビの根群の分布を表4に示したが,国頭マ ージは比較的表層部に分布が多く,島尻マージは10-20cm,ジャーガルでは20~30cmの中間層に分布が多 かった栽培様式で違いはなかった. 一ジ及びジャーガルは差がなかった.放線菌および糸 状菌数は圃場によって異なり,土壌型間の違いを見い だすことはできなかった. 微生物数の垂直分布をみると,いずれの土壌でも表 層から下層に向かうにつれて数は減少した.しかし表 層から下層への量的変化には土壌型間に特徴がみられ た.全細菌数は,ジャーガルで深度5cm以下の層か ら急激に減少するが,島尻マージは深度20cmまで表 層と大差がなかったまた国頭マージは圃場によって 異なり,A圃場では深度20cmまで表層と差がないが, B圃場では深度5cm以下の層から菌数が半減した グラム陰性菌数は,島尻マージで深度20cmまでは 表層と大差がないが,20cm以下の層は表層に比べて 菌数が半減し少なくなった.国頭マージやジャーガル は圃場によって異なり,また放線菌数や糸状菌数の分 布パターンも圃場間で大きく異なり.土壌型間の特徴 は見いだせなかった. 全細菌数/グラム陰性菌数の比は,国頭マージで下 層に向かうにつれて高くなる傾向がみられたが,島尻 マージやジャーガルではほとんど差がなかった.また 全細菌数/放線菌数の比は,ジャーガルで表層から下 層に向かうにつれて低くなる傾向がみられたが,国頭 マージおよび島尻マージは表層と下層で大差がなかっ たまた全細菌数/糸状菌数の比は圃場間で傾向が異 なり,土壌型の違いは見いだせなかった 各土壌型の糸状菌数の垂直分布を表2に示したが, いずれの土壌型でもPenicilium属菌の分離頻度が高く, ジャーガルでは全分離菌数の70%程度を占めた.同属 菌は国頭マージや島尻マージでは表層近くで分離頻度 が高かったが,ジャーガルは表層および下層で大差が なかった.Aspergils属菌やTrichoderma属菌, FusaIium属菌は分離数が少なく,分布のパターン化は できなかった. 2.サトウキビ畑 サトウキビ畑における微生物数の垂直分布は表3に 示した.表層の全細菌数やグラム陰性菌数はジャーガ
外間:沖縄における畑土壌の微生物的性質 41 表2.キャベツ畑における糸状菌の種類別垂直分布. 成一 形一
定秣131001-683000-142200-412001-010000-000000
同胞一
未識-020111-743211-124401224400-011000-001000
胞一》關一000000-310100-001000-001000-000000-000000
,・皿一
伽蠅-000000-300100-101101-001101-000000-000000
町珂一
d一
孵菌一
椰鵬-022130-874001-123131-243131-10110J011000
卜菌一仙胴γ皿8644一別的9110-3岨2322-肥32322-344221-221222
Ph-
雑、一時刊卿『》卿一時刊卿『卿捌時刊卿郷螂鯏時司卿郷卿鯏叶刊卿螂御卿一時司卿螂卿卿
一ル
ール
一》ン 一》ン 鷺ン 意ン 型一一 一一 一一 一一 一ガ ーガ ーマ場 一マ場 笘場 苣場壌一脈鯛
一マ場 一頭圃 一尻圃 一尻圃 一ャ圃 一ャ圃 土一国A 一国B 一島A 一局B一ジA
一ジB
42 沖縄農業第34巻第1号(1999) 表3.サトウキビ畑における微生物数の土壌型別垂直分布. が一
数川-750986-492156-569759-975289-804807-274619
鵬⑱1M閉弱、8-脇犯四m21-919482-冊蝸伯凹乃姐一肥冊冊卯珊皿氾閉刈妬ⅡⅢ
-8182 -1 -1 -221 1-1211 グラム陰性菌 (DB)×105 54.7 52.7 21.8 16.1 5.9 4.5 37.3 11.2 2.8 3.3 3.7 2.9 15.1 18.7 14.8 2.9 04 0.9 44.1 14.2 9.3 2.2 2.2 0.4 144.3 66.7 322.2 22.2 31.0 19.7 54.9 75.1 39.8 22.9 34.9 31.7 放線数 (A)×105 23.3 29.9 5.8 4.7 2.7 3.5 21.8 20.9 20.4 5.2 1.9 0.9 26.7 26.5 9.2 2.2 0.4 0.4 19.8 22.6 16.5 4.2 1.7 0.9 16.1 2.6 11.1 13.6 17.7 12.3 14.5 34.8 12.3 12.7 6.8 8.1 糸状菌 (F)×105 18.6 14.2 8.9 1.5 2.0 2.7 25.0 15.7 9.9 2.8 3.3 4.6 34.8 53.9 35.8 17.9 3.8 5.2 24.3 21.4 23.8 5.1 5.2 4.3 3.7 9.6 4.2 4.6 2.5 4.6 6.9 26.2 9.8 17.4 5.5 16 土壌型 深度 (c、) 0-5 5-10 10-20 20-30 30-40 40-50 0-5 5~10 10-20 20-30 30-40 40-50 0-5 5-10 10-20 20-30 30-40 40-50 0-5 5-10 10-20 20-30 30-40 40-50 0-5 5-10 10-20 20-30 30-40 40-50 0-5 5-10 10-20 20-30 30-40 40-50 PH (H20) 6.26 5.94 6.05 5.43 5.41 5.62 5.38 5.16 5.32 5.01 5.04 5.62 7.17 7.15 7.19 7.25 7.24 7.30 7.72 7.70 7.83 8.09 8.15 8.30 7.68 7.35 7.51 7.45 7.69 7.81 6.82 6.93 7.19 7.15 7.23 7.43 国頭マージA (新植夏植) 国頭マージB (株出) 島尻マージA (新植夏植) 島尻マージB (株出) ジャーガルA (新植夏植) ジャーガルB (株出)外間:沖縄における畑土壌の微生物的性質 43 表4.サトウキビ根群畑の土壌型別垂直分布.
根釧一
根苅泌姐nuE一別卿仙駈陥7-冊弱妬冊Ⅳ5-珊巧ⅢⅢ皿別-3M咀昭Ⅲ2-7蛆似朋85
1 太一 一11 土壌型 深度 (c、) 0-5 5-10 10-20 20-30 30-40 40~50 0-5 5-10 10-20 20-30 30-40 40-50 0-5 5~10 10-20 20~30 30-40 40-50 0-5 5-10 10-20 20-30 30-40 40-50 0-5 5~10 10-20 20-30 30-40 40-50 0-5 5-10 10-20 20-30 30-40 40-50 U一数繊-330343-003532-開例珊釦56-343161-110312-154602
1- 重量 (g/乾燥) 0.72 1.66 0.28 0.78 0.74 0.63 392 3.38 1.96 1.88 0.54 0.51 1.48 3.95 10.18 6.82 0.93 0.08 1.49 1.38 1.72 1.31 0.72 1.22 0.03 0.12 0.18 0.30 0.08 0.01 0.02 0.18 0.78 142 0.08 0.19 PH (H20) 6.26 5.94 6.05 5.43 5.41 5.62 5.38 5.16 5.32 5.01 5.04 5.62 7.17 7.15 7.19 7.25 7.24 7.30 7.72 7.70 7.83 8.09 8.15 8.30 7.68 7.35 7.51 7.45 7.69 7.81 6.82 6.93 7.19 7.15 7.23 7.43 国頭マージA (新植夏植) 国頭マージB (株出) 島尻マージA (新植夏植) 島尻マージB (株出) ジャーガルA (新植夏植) ジャーガルB (株出)a)1mm以上
b)1m以下
44 沖縄農業第34巻第1号(1999) 3.パイナップル畑 パイナップル畑における微生物数の垂直分布は表5 に示したいずれの圃場でも微生物数は表層から下層 に向かうにつれて減少した表層の微生物数はいずれ も古株園で多く,新開地新植園は少なかった. 古株園および古株更新園の全細菌数は,深度20cm まで表層と大差がないが,新開地新植園は深度10cm 以下の層から著しく減少した.放線菌数はいずれの圃 場でも深度30cm以下の層から急減するが,糸状菌数 は古株園および新開地新植園で深度10cm以下の層か ら著しく減少した. 16根の分布量と関係している'). 森林土壌は,落葉の堆積で腐植層が形成され,微生 物や小動物の活性が高く,下層に向かうにつれて,そ の数や種類は減少する.また畑地では森林生態系と同 じ様な有機物の堆積はみられないが,植え付け後,表 層が撹乱されない限り,表層には作物の残漬が堆積し てくる.そのため表層は下層に比べて有機物量が著し く多くなる.表層から下層へ向かうにつれて,有機物 含量や根量,炭素量(C%)の減少にともない微生物 や土壌動物の数と種類が減少する'3). しかし表層から下層への量的変化には,土壌型や作 物の栽培様式によって異なる傾向がみられたジャー ガルでは,キャベツ畑の全細菌数が比較的表層に多か ったが,国頭マージや島尻マージは深度20cmまで表 層と大差がなかった.またサトウキビ畑では国頭マー ジと島尻マージが新植夏植で深度20cm,株出で30cm まで表層と差がなく,ジャーガルは新植圃場で10cm, 株出では20cmまで表層と大差がなかった.土壌微生 物数は停滞水の影響を大きく受けると考えられる土壌 考察 土壌の微生物数や種類は表層で最も多く,下層に向 かうにつれて減少することはよく知られている'1).今 回の調査結果もほぼ同じであった表層から下層に向 かうにつれて量的に減少することは,ササラダニなど の小動物でもみられ,腐植の含量や根の分布と関係す ることが報告されている.またコガネムシの幼虫密度 表5.パイナップル畑における微生物数の垂直分布. 土壌型深度PH細菌数グラム陰性菌糸状菌 (c、)(H20)(、)×105(DB)×105(F)×104 新開地新植園0-104.557.72.38.1 10-204.553.61.63.9 30-404.581.60.81.1 40-504.700.80340.4 60-704.600.40.1、4 更新畑新植園0-103.7013.44.230.3 10-203.799.56.020.3 30-404.053.32.419.5 40-504.323.10.96.6 60~704.43130.44.8 古株園0-103.8838910.632.1 10-203.9922.410.69.1 30-404.147.33.57.3 40-504.204.54.12.0 60-704.623.90.90.9
45 外間:沖縄における畑土壌の微生物的性質 なり,微生物の深度分布が促進されるまた耕起した 土壌は微生物相が豊富になり,微生物的に貧弱な下層 土を耕起により微生物の富化を図ることができるとい われる.パイナップルの古株園や古株更新園で微生物 数および深度分布が促進されたのは,有機物の供給や 耕転,根群分布が影響したと考えられる. ほど卜5cmの表層に多くなるといわれる16).ジャーガ ルは重粘質土壌で比較的地下水の影響を受けやすいこ とが,国頭マージと島尻マージとの違いとして表れた と考えられる.また株出しでは深度20cmまで表層と 差がなくなったのは,根群の分布により土壌構造の変 化をきたしたことによると推測される. 表層から下層に向かうにつれて微生物数は減少する が,程度は微生物によって一様でないといわれる.減 少度は放線菌より細菌で大きく,細菌数/放線菌数の 比は表層から下層に小さくなる.この傾向は火山性ま たは非火山性土壌でも差がない`の.また森林土壌では, 表層は胞子形成桿菌が60%近くを占め,グラム陽性多 形態性桿菌が16%を占めるなど,比較的単純相になっ ているが,下層は種類が多様になることが報告されて いる8). 今回の調査でも微生物数の比は土壌型や作物で異な り,キャベツ畑では全細菌数/グラム陰性菌の比が国 頭マージで下層に向かうにつれて高くなったが,ジャ ーガルや島尻マージでは差がなかった.全細菌数/放 線菌数,全細菌数/糸状菌数の比は表土と下層士で大 差がなかったいずれの比もサトウキビ畑では差がな かったなど,土壌型の特徴として表すことができると 思われる. 放線菌数は下層になるにつれて減少し,種類も単純 になる.下層は気相率が低く,酸素不足,炭酸ガス過 剰などにより好気性放線菌にとって生存環境がきびし くなるためと考えられている3).また糸状菌数も下層 に向かうにつれて指数関数的に減少するが,最適生息 場所が種類によって異なるため規則的に分布する8). キャベツ畑ではPenicilium属菌が表層で分離頻度が高 かった.微生物相間の比や糸状菌の種類と分布などは, 土壌型や栽培様式などによってかなり特徴化できると 思われる. パイナップル園では熟畑化した圃場で微生物数が多 く,新開地などは微生物数が貧弱であった畑地では 耕地化が進み,耕転などが行われると表層が撹乱され 地表下に有機物が供給され,土壌中の微生物も活発に 摘要 キャベツ畑の微生物数の垂直分布は,表層から下層 に向かうにつれて減少した.表層から下層への量的変 化には土壌型間に特徴がみられた全細菌数は,ジャ ーガルで深度5cm以下,島尻マージは深度20cmから 急激に減少し,国頭マージは圃場によって異なった グラム陰性菌数は島尻マージが深度20cmから急減し たが,国頭マージやジャーガルは圃場間で異なった 放線菌数や糸状菌数は特徴が見いだせなかった. 全細菌数/グラム陰性菌数の比は,国頭マージが下 層に向かうにつれて高くなったが,島尻マージやジャ ーガルでは差がなかった.また全細菌数/放線菌数の 比は,ジャーガルの下層で低かったが,国頭マージお よび島尻マージは大差がなかったまた全細菌数/糸 状菌数の比は表層と下層で大差がなかった Penicilium属菌は国頭マージや島尻マージで表層に 多かったが,ジャーガルでは差がなかった. 国頭マージと島尻マージの新植夏植の全細菌数およ びグラム陰性菌数は深度20cm,株出圃場では深度 5cm以下の層で著しく減少した.ジャーガルの新植夏 植は,10cm以下,株出では30cm以下の層で全細菌数 が急減するが,グラム陰性菌数は新植夏植で深度5cm 以下,株出では深度20cm以下の層から急減した 放線菌数は国頭マージや島尻マージでは株出圃場で 分布範囲が深くなったが,ジャーガルは深度30cmま で差がなく,また新植夏植でも40cmまで大差がなか った国頭マージの糸状菌数は下層に向かうにつれて 著しく減少したが,島尻マージは20cm,ジャーガル は30cmまで表層と大差がなかった パイナップル園では熟畑化した圃場で微生物数が多
46 沖縄農業第34巻第1号(1999) く,新開地などは微生物数が貧弱であった. 5.外間数男1998.沖縄における畑土壌の微生物的性 質.1.土壌型と微生物相.沖縄農業33:29L35. 6.石沢修一・豊田広三1964.本邦土壌の微生物フロ ラに関する研究.農業技術研究所報告B-14号: 204284. 7.石沢修一・豊田広三1961.日本の土壌のミクロフ ロラ.東大応微研シンポジウム第2集「微生物の 生態」:163-193. 8.石井弘1974.森林土壌から希釈平板法によって 分離される糸状菌の種類相.地理的分布および生 態分布.土と微生物15号:12-20. 9.東田修司1993.天北地方における重粘土草地の土 壌微生物活性と牧草生産.北海道立農業試験場報 告80号:1-123. 10.熊田恭一・高井康雄・加村崇雄訳1960.バージェ ス「土壌微生物」.朝倉書店. 11.近藤照・高井康雄1979.透水条件下における水 田土壌の微生物生態に関する研究.第1報水田 の土壌断面における微生物の垂直分布.土肥誌. 50:535-539. 12.仁王以智夫1973.森林土壌の微生物.醗協誌31巻2 号:4サ55. 13.渡辺巖1976.土壌の微生物相.高井・早瀬・熊 沢編「植物栄養,土壌肥料大事典」:455-460. 14.和田修治・石沢修一1980.海岸および湖岸砂地土 壌のミクロフロラ.土肥誌.51:15-21. 15.吉田富男・坂井弘1963.土壌の水分環境と微生 物相について.土肥誌.34巻5号:155F160. Summary ThesoUoftheOkinawalslandcanbeconvenienUy subdividedintothreesoilgroups(soiltype).The northempartofthelslandisdistributedwithKunigami gravelsoil(kunigamimarji)andthecentraltothe southernpartconsistsmainlyofGrayclaysoilOargaru) andRyukyulimestonesoil(Simajirima1jn Verticaldistributionofsoilmicrobialinfieldis characterizedinsoiltyperelativelyunifOrmmicrobial numberwithfromsurfacelayertolowerlayer・ MicrobialnumberofthesoilclearlydecreasedatfiFom thesulfacesoiltothelowerplowlayers・ InthepineapPlefield,microbialnumberofplow layerweremoreabundantinthefieldmatunngthanin virginsoil. 引用文献 L青木淳一1973.土壌動物学.北隆館,497-511. 2.足立仁1937.甘蕨糖業の応用微生物学的研究 (第10報)POJ2725の出穂と土壌の微生物的活動 について(予報).熱帯農業9:34-40. 3.蘭道生・石沢修一1972.本邦土壌の放線菌フロ ラに関する研究,農業技術研究所報告B-23号: 147-249. 4.土壌微生物研究会編1975.土壌微生物実験法.養 賢堂,東京,431-434.