• 検索結果がありません。

エチオピアの主食インジェラ (特集 世界は何を食べているか -- 第三世界の主食)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "エチオピアの主食インジェラ (特集 世界は何を食べているか -- 第三世界の主食)"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

エチオピアの主食インジェラ (特集 世界は何を食

べているか -- 第三世界の主食)

著者

児玉 由佳

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

161

ページ

18-19

発行年

2009-02

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00004827

(2)

アジ研ワールド・トレンド No.6(2009. 2)― 

  ア フ リ カ の 北 東 部 に 位 置 す る エ チ オ ピ ア は 、 サ ブ サ ハ ラ 以 南 ア フ リ カ で は 第 二 位 の 人 口 で あ る 七 九 〇 〇 万 人 を 擁 す る 国 で あ る 。 こ の 国 に は 、 国 内 ( と 他 国 に 移 住 し た エ チ オ ピ ア 人 ) で し か 食 さ れ て い な い イ ン ジ ェ ラ と い う 料 理 が あ る 。   イ ン ジ ェ ラ は 、 エ チ オ ピ ア 高 地 の 人 々 の 主 食 で あ る 。 通 常 テ フ と い う イ ネ 科 穀 物 を 原 料 と し て 作 ら れ る 。 粉 に 挽 い た テ フ を 発 酵 菌 の 入 っ た 水 に 溶 い て 発 酵 す る ま で 二 、三 日 お く 。 こ れ を 直 径 六 〇 セ ン チ ぐ ら い の 丸 い プ レ ー ト に 載 せ て ク レ ー プ の よ う に 薄 く 焼 く と 、 イ ン ジ ェ ラ と い う 名 の 食 べ 物 と な る 。 発 酵 さ せ て い る た め に 独 特 の 酸 味 が あ る 。 焼 き た て で は な く 、 十 分 さ ま し て か ら 食 べ る 。   広 げ ら れ た イ ン ジ ェ ラ の 上 に 、 ワ ッ ト と よ ば れ る 唐 辛 子 の た っ ぷ り 入 っ た 肉 の シ チ ュ ー の よ う な も の や 、 豆 や ジ ャ ガ イ モ を ス パ イ ス と 一 緒 に 煮 た も の を 載 せ て 供 さ れ る 。   敷 い て あ る イ ン ジ ェ ラ を 手 で ち ぎ っ て 、 上 に 載 っ て い る 具 を そ の イ ン ジ ェ ラ で 包 ん で 食 べ る と い う の が 、 基 本 の 食 べ 方 だ 。 食 堂 で の 注 文 で は 、 具 の 種 類 を い え ば イ ン ジ ェ ラ は 自 動 的 に つ い て く る 。

  イ ン ジ ェ ラ の 主 な 材 料 と な る テ フ は 、 栽 培 植 物 と し て は エ チ オ ピ ア 起 源 で あ り 、 現 在 で も 食 用 の 栽 培 は 、 ほ と ん ど エ チ オ ピ ア 国 内 に 限 ら れ て い る 。 他 の 地 域 、 た と え ば 南 ア フ リ カ な ど で は 飼 料 用 の 作 物 と し て 広 く 栽 培 さ れ て い る が 、 食 用 に は 使 わ れ て い な い 。   テ フ に は 、 エ チ オ ピ ア 高 地 の 農 民 に と っ て さ ま ざ ま な 栽 培 上 の メ リ ッ ト が あ る 。 浸 透 性 の 低 い エ チ オ ピ ア 高 地 の 土 壌 で の 生 育 に 適 し て い る こ と 、 比 較 的 干 ば つ に 強 く 、 生 育 期 間 が 短 い こ と な ど が 挙 げ ら れ る 。 特 に 生 育 期 間 は 短 い も の で 四 五 ~ 六 〇 日 な の で 、 他 の 穀 物 の 生 育 に 問 題 が あ る と き に 後 か ら 追 加 で テ フ に 変 更 す る こ と が 可 能 と な り 、 気 候 の 変 動 に 柔 軟 に 対 応 す る こ と が で き る 。 天 水 頼 み の 農 業 が 中 心 の エ チ オ ピ ア で 、 こ の よ う な 特 徴 は 重 要 で あ る 。 種 子 が ひ じ ょ う に 小 さ い た め に 脱 穀 が 困 難 で あ る と い っ た 欠 点 も あ る が 、 そ れ を 補 っ て あ ま り あ る 利 点 を テ フ は 持 っ て い る 。   ま た 、 エ チ オ ピ ア で の 長 い テ フ 栽 培 の 歴 史 の な か で 、 さ ま ざ ま な 在 来 品 種 が 維 持 さ れ て き た 。 農 民 た ち は 、 そ れ ら を 組 み 合 わ せ る こ と で 、 天 候 不 順 な ど の リ ス ク に 対 応 す る 。   テ フ の 品 種 は 、 種 子 の 色 か ら 、 白 テ フ と 赤 テ フ の 大 き く 二 つ の タ イ プ に 分 け る こ と が で き る 。 白 テ フ は 、 食 用 と し て の 味 に 優 れ て い る が 、 生 育 期 間 が 長 い う え 、 土 壌 条 件 が 厳 し く 、 高 度 二 五 〇 〇 メ ー ト ル 以 下 で

児玉由佳

テフ 28.4% トウモロコシ 20.0% 小麦 17.4% モロコシ 17.3% 大麦 12.0% シコクビエ 4.4% 穀物その他 0.4% 10 5 0 15 20 25 テフ トウモロコシ 小麦 モロコシ 大麦 シコクビエ 図1 エチオピアの穀物別栽培面積割合 (%、2005/2006年度) 図2 エチオピアの主な穀物の生産性  (100kg/ha、2005/06年度) (出所)参考文献③。 (出所)参考文献③。

(3)

9 ―アジ研ワールド・トレンド No.6(2009. 2) し か 栽 培 で き な い 。 一 方 、 赤 テ フ は 、 生 育 期 間 も 短 く 、 特 に 高 度 の 問 題 は な く 育 て や す い 。 栄 養 的 に は 、 鉄 分 の 含 有 量 に お い て 赤 テ フ の 方 が 優 れ て い る の だ が 、 見 か け の 白 さ と 味 ゆ え に 、 白 テ フ の 方 が 高 値 で 売 買 さ れ て い る 。   エ チ オ ピ ア 国 内 の テ フ の 栽 培 面 積 の 割 合 は ト ウ モ ロ コ シ や 小 麦 を 抑 え て 一 位 で あ る が 、 生 産 性 で は 、 ト ウ モ ロ コ シ や 小 麦 に は 遠 く 及 ば な い ( 図 1 、2 )。 こ の よ う な 低 生 産 性 に も か か わ ら ず 、 テ フ の 栽 培 面 積 は 増 加 さ え し て い る 。 上 述 の よ う な 栽 培 上 の 利 点 だ け で は な く 、 価 格 が 他 の 穀 物 よ り も 高 い と い う こ と も 、 農 民 が テ フ の 栽 培 を 選 択 し て い る 大 き な 理 由 の 一 つ で あ る 。 首 都 ア デ ィ ス ア ベ バ で 、 テ フ は 小 麦 の 一 ・ 四 倍 、 ト ウ モ ロ コ シ の 一 ・ 九 倍 の 価 格 で 消 費 者 に 売 ら れ て い る ( 二 〇 〇 四 年 四 月 、 参 考 文 献 ④ )。

  こ の よ う に 、 他 の 穀 物 よ り も 高 価 格 で 取 引 さ れ て い る こ と か ら も 、 エ チ オ ピ ア の 食 文 化 の な か で 、 テ フ そ し て イ ン ジ ェ ラ が 重 要 な 地 位 を 占 め て い る こ と が 分 か る 。   イ ン ジ ェ ラ が エ チ オ ピ ア 人 の 主 食 の 地 位 を 維 持 で き て い る の は 、 小 麦 や ト ウ モ ロ コ シ が や っ て く る 以 前 か ら の 長 い 食 用 の 歴 史 に よ っ て エ チ オ ピ ア の 食 文 化 に し っ か り 根 付 い た 味 で あ る こ と が 、 も ち ろ ん 一 番 の 理 由 で あ る 。 し か し 、 そ れ だ け で な く 、 そ の 高 い 栄 養 価 も 重 要 な 要 因 で あ ろ う 。 イ ン ジ ェ ラ と そ こ に 載 せ る 具 の 組 み 合 わ せ で 、 か な り 理 想 的 な 栄 養 バ ラ ン ス の 食 事 を と る こ と が で き る の で あ る 。   テ フ 自 体 に も 、 さ ま ざ ま な 栄 養 分 が 含 ま れ て お り 、 そ の 食 物 と し て の 価 値 は 、 小 麦 と 同 等 か そ れ 以 上 で あ る と 評 価 さ れ て い る 。 種 子 が 小 さ い た め に 、 糠 と 胚 芽 の 割 合 が 高 い こ と と 、 そ の ま ま 全 粒 粉 に し て 食 用 に な る こ と が 主 な 理 由 で あ る 。 タ ン パ ク 質 や 鉄 分 、 カ ル シ ウ ム が 豊 富 で 、 特 に 鉄 分 に つ い て は 、 テ フ の 消 費 量 の 多 い 地 域 で は 貧 血 が 少 な い こ と が 指 摘 さ れ て い る 。   そ し て 、 通 常 イ ン ジ ェ ラ の 具 で 使 わ れ る ス パ イ ス や 豆 、 バ タ ー が 、 イ ン ジ ェ ラ 本 体 に 不 足 す る 必 須 ア ミ ノ 酸 の 一 つ リ シ ン を 補 完 す る 役 割 を 果 た し て い る 。「 イ ン ジ ェ ラ を 二 枚 食 べ れ ば 十 分 健 康 を 保 つ こ と が で き る 」( 参 考 文 献 ② ) と い わ れ る 所 以 で あ る 。

  近 年 の 食 料 価 格 高 騰 の 影 響 か ら 、 エ チ オ ピ ア 国 内 で の 穀 物 価 格 も 大 き く 上 昇 し て い る 。 こ の 価 格 上 昇 は 、 主 に 原 油 価 格 高 騰 か ら き て い る と い わ れ て い る 。 イ ン フ ラ の 整 備 が 進 ん で い な い エ チ オ ピ ア で は 、 流 通 コ ス ト が 食 料 価 格 に 重 く の し か か っ て く る 。   輸 出 入 に 関 係 の な い は ず の イ ン ジ ェ ラ も 、 小 麦 や ト ウ モ ロ コ シ と と も に 価 格 が 高 騰 し た 。 ア デ ィ ス ア ベ バ で の テ フ の 価 格 は 、 二 〇 〇 七 年 夏 に は 一 〇 〇 キ ロ 七 六 〇 〇 円 程 度 だ っ た の が 、 一 年 後 の 二 〇 〇 八 年 夏 に は 一 万 四 〇 〇 〇 円 に ま で は ね あ が っ て い た 。 そ の た め 、 人 々 は 、 イ ン ジ ェ ラ を 作 る の に も テ フ で は な く 、 他 の 穀 物 で 代 用 し て い る の だ と い う 。 国 内 で 需 給 が 完 結 し て い る は ず の エ チ オ ピ ア の 主 食 の イ ン ジ ェ ラ も 、 食 料 価 格 の 高 騰 の 影 響 で 、 見 か け は 変 わ ら ず と も 、 中 身 と 味 は 大 き く 変 わ っ て し ま っ て い る の で あ る 。 ( こ だ ま  ゆ か / ア ジ ア 経 済 研 究 所 地 域 研 究 セ ン タ ー ) ①  As rat W on dim u a nd F re w T ek ab e, " U tiliz a-tio n o f T ef in th e E th iop ian D iet, " in H ailu Te fer ag eta ch ew B ela y, M . S or rell s, N arr ow -in g t he R ift: Re sea rch a nd D ev elo pm en t in Te f, A dd is A ba ba : E AR O , 2 00 0.  ②  B oa rd on S cie nc e a nd T ec hn olo gie s fo r In -te rn ati on al D ev elo pm en t, N ati on al R e-se arc h C ou nc il, L ost Cr op s o f A fric a, V olu m e I: G ra in s, W ash ing ton , D .C .: N atio na l A ca -de m ic P re ss, 19 96 . ③  C en tra l S tat isti ca l A ge nc y, Sta tist ica l A b-str act 2 00 7(C D -R O M ), A dd is A ba ba : C SA , 20 08 . ④  C en tra l S tati stic al A uth orit y, R eta il P ric es of G oo ds an d S erv ice s, A pr il 20 04 (M ia zia 19 96 ), M on th ly Sta tis tic al R ep or t, A dd is Ab ab a: C SA , 2 00 4. レストランの豪華なインジェラ (白テフ、左)と農村の質素なイ ンジェラ(赤テフ、右)(筆者撮影)

参照

関連したドキュメント

70年代の初頭,日系三世を中心にリドレス運動が始まる。リドレス運動とは,第二次世界大戦

検索対象は、 「論文名」 「著者名」 「著者所属」 「刊行物名」 「ISSN」 「巻」 「号」 「ページ」

我が国においては、まだ食べることができる食品が、生産、製造、販売、消費 等の各段階において日常的に廃棄され、大量の食品ロス 1 が発生している。食品

[r]

世世 界界 のの 動動 きき 22 各各 国国 のの.

世界レベルでプラスチック廃棄物が問題となっている。世界におけるプラスチック生 産量の増加に従い、一次プラスチック廃棄物の発生量も 1950 年から

 食育推進公開研修会を開催し、2年 道徳では食べ物の大切さや感謝の心に

その後、反出生主義を研究しているうちに、世界で反出生主義が流行し始め ていることに気づいた。たとえば『 New Yorker 』誌は「 The Case for Not