自動運転向け道路インフラシステムの運用効果測定シミュレーター
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(2) るように速度調整すれば、合流時の急激な加速度が回避. 表 1 シミュレーターの設定可能パラメーター例. できる。これにより円滑な合流が実現できる。. ྭ. Ϗϧϟʖνʖ ຌતऄྈଐౕ. シミュレーターの必要性 道路インフラシステムの導入は、定性的には交通流の 円滑化にとって効果が期待できるように考えられる。しか し、道路インフラシステムの有効性をフィールドで定量的 に確認することは容易ではない。交通流として成立するだ けの車両数を公道で発生させて実証することは、規模が大. >NPK@. ླྀऄྈଐౕʤऄྈਫ਼࣎ʥ. >NPK@. ຌતऄྈऄྈݗड़ҕ. >P@. ௪৶ҕ. >P@. ࿑ଈιϱγʖઅҒ ʤ࿑ଈιϱγʖͳՅଐϪʖϱً ఼ΉͲಕΕړʥ. >P@. ࿑ଈؽઅҒ ʤ࿑ଈͳؽՅଐϪʖϱ఼ًΉͲ ಕΕړʥ. >P@. ऄྈޜϠυϩ. ,'0ɼՅݰଐϠυϩ. ऄझຘऄௗ. ௪ऄʁ>P@ ܗऄʁ>P@. ऄझຘׄ. ௪ऄʁ ܗऄʁ. で有効性を評価することになる。しかし、道路インフラシス. ऄྈਫ਼ֶؔ. >භऄؔ@. テムの導入による有効性を評価できるものはこれまで開. ࿑ऄؔ௪৶௪৶࣯. Φϧʖ͵͢. ࿑ଈιϱγʖऄྈݗड़ࠫޣ. ͢͵ࠫޣ. きく、現実的ではないためである。このような場合、一般的 には交通流シミュレーターと呼ばれるものを活用し、道路 環境や車両の挙動などをモデル化してコンピューター上. 発されていなかった。 ௪৶Ϡυϩ ʀ௪৶๏ࣞ. ॴཀྵஙԈ࣎ؔ. >භ@. ௪৶ؽིٶ. . ಕ࿑ڧϠυϩ. ʀఽ൘Ϡυϩ. ʀॴཀྵஙԈ࣎ؔ. ʀಕ࿑ ʀ࿑ଈؽʙ࿑ଈιϱγʖઅҒ. システム導入による効果の検証方法 道路インフラシステムの導入により合流が円滑になるこ とは、 どのように評価すればよいだろうか。円滑である状態 では合流に伴う車両の挙動が安定する必要がある。さらに、 挙動が安定するとは、加速度が十分に低いまま無理なく合 ऄྈϠυϩ. ࿑ଈϱϓϧૹϠυϩ ʀݗड़ҕ. ʀݗड़ࠫޣ. ʀऄௗ. ʀऄྈޜϠυϩ. ʀऄझ. ʀଐౕ. ʴड़ྙʵ֦ऄྈଐౕɼՅଐౕɼҒๅ ʴੵʵӣ༽ްՎ. 図 2 シミュレーターの概要. 流の処理が進められ、停止することなく走行が継続できる 状態であると考えられる。このとき、特定の車両挙動のみ が安定すれば良いのではなく、 全体の車両挙動が安定する ことにより、交通流の円滑化は実現される。以上を踏まえて、 定量的に評価する方法を考えると、図3に示すように合流 に伴う各車両の最大加速度(絶対値とする)を統計的に取 得していき、 それを累積分布関数として表し、道路インフラ システムを導入した場合の累積分布関数が、導入しない場. OKIはこの点に着目し、 自動運転を支援する道路インフ. 合の同分布より、最大加速度の分布として低い方向に移動. ラシステムの実用化に向け、自動運転車や混在する一般. すれば、全体の車両挙動が安定する、すなわち、円滑な合. 車の車両制御モデル、各種道路の上限・下限速度、路車間. 流の実現に有効であるという判断ができると考えられる。. 通信の路側機設置条件や路側センサーの設置条件などを. ऄྈڏಊ͗҈ఈ. 取り入れた運用効果測定用のシミュレーターを開発した2) (図2)。本シミュレーターにより、高速道路などの合流シー ンフラシステムを設置する前にシステムの導入効果を確 認できる。なお、道路環境、路側センサーの検知性能や路 車間通信装置の通信性能など、 さまざまな条件を変更して、 設置環境に最適な設備の構築を検証することができる。 例えば、表1に示すような環境を変更して評価することが できる。. ྩා਼ؖ. ンでの車両挙動の安定性を評価することで、実際に道路イ. 100%. ຌεητϞΝ ͪ͢. ͵͢. 50%. 0%. χϧώʖ͗ չͶͪ͏͵ͣ״ Όඬ ૺߨ࠹Յଐౕ >*@. 図 3 車両挙動安定性の検証方法. O K I テクニカルレビュー 2019 年 12 月/第 234 号 Vol.86 No.2. 53.
(3) 次に、各車両の走行中の最大加速度をどの程度まで低. 次に、設計による効果を累積分布関数の比較により確. 下させれば、車両が安定したとみなせるのか確認する。文. 認する。道路インフラシステムを導入した図3の領域を満. 献. 3)、4). によれば、 ドライバーが不快に感じず、車両が安定的. たす★の設置条件の場合、満たさない☆の設置条件の場. とみなせる走行は、最大加速度が概ね0.2G(重力加速度). 合、 及び道路インフラシステムを導入しない場合の3パター. 以下となっている。また、普通車とトラックなどの大型車で. ンの結果を図5に示す。. は挙動が安定する最大加速度も異なり、 トラックでは普通. ★の設置条件の場合では、設計の期待どおりに、発生し. 車より低い加速度で走行することが一般的である。これらを. た全ての合流車両の最大加速度は0.15Gを下回っている. 踏まえ、 現在の検討では、 合流時に伴う全車両にとって走行. ことが確認できる。一方、領域の範囲外の値を用いて設計. 中の最大加速度が0.15G以下となるように道路インフラシ. した☆の設置条件の場合では、0.15Gを上回る車両が存. ステムを設計する方針として進めている。. 在してしまうことが確認できる。道路インフラシステムを導 入しない場合に比べて改善はするが、設計が適切でないと 交通流の円滑化に十分な効果が得られないことが確認で. シミュレーターを用いた設計とその有用性. きる。シミュレーションでは便宜上、0.15Gを大幅に上回る. 具体的に、本シミュレーターにより設計し、 その有用性を. 最大加速度が生じてもそのまま走行を継続させている。し. 確認する。なお便宜上、路側機と路側センサーの設置条件. かし、実際の車両ではこのように大きな加速度を伴って走. に着目して設計することにする。それ以外の値は表1に. 行することはないと考えられ、急ブレーキやアクセルなど. 示す値を用いる。実際の設計では、実環境の調査によりシ. により加速度を調整する、あるいは停止すると推測する。. ミュレーションモデルを最初に精緻化する。今回は路側機. その場合、渋滞の発生や、後続する車両の挙動に影響する. と路側センサーの設置位置を変更しながら、1000台の車. ため、 円滑な交通流を妨げる原因となる。. 両数を発生させシミュレーションを実施した。結果を集計. 実際の導入には路側機や路側センサーの位置を敷設後. し、前述のように最大加速度の累積分布関数を求め、全車. に変更することはコストが非常にかかるため、本シミュレー. 両の最大加速度が0.15G以下となるかを確認する。0.15G. ターを用いて十分な検証を事前にしておく必要がある。. 以下となる場合の設置条件と0.15G以下とならない場合 の設置条件を区別して集計した結果を図4にまとめる。 ˔અܯ. . ࿑ଈؽઅҒ >P@. ˓અܯ. ͵͢. . χϧώʖ͗չͶ״ ͣ͵͏ͪΌඬ. ˔ . . ˓. . 図 5 システム導入による効果. . . . . . . . . ιϱγʖઅҒ >P@ 図 4 全走行車両の最大加速度が 0.15G 以下となるための 路側機と路側センサーの設置条件(ハッチ領域内). まとめ OKIは、 次世代交通分野でインフラと車などが通信手段に より情報交換を行うインフラ協調型ITSサービスの実現を推. 横軸は路側センサーの設置位置、縦軸は路側機の設置. 54. 進している。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が. 位置を示す。青色にハッチされた領域は、走行中の合流車. 推進する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第1. 両が0.15G以下の加速度で合流できる場合の路側機と路. 期/自動走行システム」の一環として2018年度に実施され. 側センサーの設置位置であることを意味する。すなわち、. た「実環境を想定した自動走行通信支援のメッセージセット. この領域内の値を満たすように路側機と路側センサーを. 及びプロトコルに関する調査検討」に参画してきた。. 設置すれば、走行中の全車両の最大加速度は0.15G以下. この中で実環境で想定される周辺車両による電波の遮. になることが期待できる。. 蔽やマルチパスなどの影響を評価、 さらに今回開発したシ. OKI テクニカルレビュー 2019 年 12 月/第 234 号 Vol.86 No.2.
(4) ミュレーターを利用して、車両挙動の安定化や交通流の円 滑化を支援する通信のメッセージセット及びプロトコルの 検討を進め、道路インフラシステムによる合流時の円滑化 を評価してきた。 今後は、本シミュレーターの検証結果を踏まえてフィー ルドでの検証を重ね、 自動運転の普及と道路交通に関する さまざまな課題の早期解決を目指して、道路インフラシス テムの実用化に幅広く取り組んでいく。 ◆◆. 1)国土交通省:高速道路の交通状況ランキング(平成27 年年末年始)、http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-data/pdf/ ranking_5.pdf 2)菊池典恭、矢野貴大、中林昭一、金子富、浜口雅春:路車 間通信を用いた合流支援システムによる車両挙動安定性 の評価、第18回情報科学技術フォーラム、2019年 3)田中裕章、 竹森大祐、 宮地智弘、 入部百合絵、 小栗宏次:自 動車の制動時の安心感に関する研究、 DENSO TECHNICAL REVIEW、Vol.21、2016年 4)橋本博、川越麻生、岡山巧:大型トラックの制御時減速 度調査、JARI Research Journal、Vol.30、No.11、2008年. 菊池典恭:Noriyasu Kikuchi. 情報通信事業本部 社会イン フラソリューション事業部 コンポーネント開発第二部 矢野貴大:Takahiro Yano. 情報通信事業本部 社会インフ ラソリューション事業部 コンポーネント開発第二部 中林昭一:Shoichi Nakabayashi. 情報通信事業本部 社会 インフラソリューション事業部 コンポーネント開発第二部 浜口雅春:Masaharu Hamaguchi. 情報通信事業本部 IoT アプリケーション推進部. 自律系センサー 車両単独で周辺の障害物などを検知できるレーダーやカ メラなどの車載センサーのこと。 路車間通信 LTEなどの基地局を介さない、道路に設置した通信設備 と自動車間で行われる直接通信のこと。 累積分布関数 確率変数Xがある値x以下となる確率を表す関数のこと。. O K I テクニカルレビュー 2019 年 12 月/第 234 号 Vol.86 No.2. 55.
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