昭 和34年12月(1959) 一91一
=豊年 製 油 鳴 尾 工 場 見 学 記
短 食 ニ ノ ニ
矢
幡
智
子
豊 年 製 油 に は 三 つ の 工 場 を有 し て お り,夫 々次 の 製 品 を 出 し て い ます 。 ○ 清 水工 場(静 岡) ○ 鳴 尾工場(兵 庫) ○ 坂 出工 場(四 国) 大 豆 油 。 大 豆 油,綿 実 油,菜 種 油 等 。 工 業 油(コ ブ ラ 油,パ ー ム 油,パ ー ム カ ー ネ ル 油,あ ま に 油)。豊 年 製 油 鳴 尾 工 場
大 正 七 年 創 立,敷 地2万3千 坪,海 に接 し て お り輸 入 に 頼 つ て い る製 油 原料 を 海 路 か ら 搬 入 し た り,或 い は溶 剤 の 回 収 に大 量 要 す る冷 却 水 を得 や す い 等,立 地 条 件 に 恵 まれ て い る。 先 ず工 場 長 さ ん よ り一 般 の製 油 法 に つ い て 御 説 明 が あ りま した 。 次 に 簡 単 に 要 点 を 記 す こ とに し ま し よ う。 原 料 米,と う もろ こ し,(澱 粉 質 に 富 む もの)澱 粉 と油 が 別 の 所 に 存 在 して い る。 こ れ を分 け て か ら 製 油 す る。 大 豆,菜 種,綿 実,(蛋 白 質 に富 む も の) 種 子 全 体 に 油 を含 む 。 之 は 其 の ま ま製 油 す る。 油 の 採 り方 圧 搾 法:機 械 的 に 押 しつ ぶ し て 無 理 に 搾 取 す る。 小 規 模)/Yも大 規 摸 な 場 合 に も 用 い ら れ る。 こ こで は含 有 量 の多 い もの は あ らか じめ 圧 搾 す る圧 搾 法 を とつ て い ます 。 抽 出 法:油 を 溶 か す 溶 剤 を 用 い て 油 を 抽 出す る。 圧 搾 法 で は よ く搾 つ て も粕 中 に5∼10°oの 油 が 残 るが,抽 出 法 で は0.5∼1.5°oの 油 が 残 るに 過 ぎ な い か ら この 方 法 に よれ ば 採 油 量 が 多 い 。 溶 剤 は 石 油 工 一 テル,石 油 ベ ン ジ ン等 が 用 い られ る。 大 豆 油 製 法:大 豆 は 約20°oの 油 を有 す る。 抽 出法 で 行 う。 圧 扁 大 豆 を 石 油 系 の ヘ キ サ ン(BP. 62∼700C)で 抽 出 し 溶 剤 と油 の 混 つ た ミゼ ラを蒸 溜 し て 溶 剤 を 溜 去 し て 残 つ た油 を 採 る。 こ の 原 油 を精 製 工 場 へ 送 り遊 離 脂 肪 酸,色 素,悪 臭 を 除 き大 豆 白絞 油 とす る。 之 を 更 に精 製 し て サ ラ ダ油 とす る。 菜 種 油 製 法:40∼45%油 を持 つ て い る。 圧 搾 法 で 油 淳 した,粕 を 抽 出法 で 更 に 抽 出 す る。 之 を 圧 抽 法 と云 う。 原 料 の 圧 搾 に は 連 続 圧搾 機 (エ キ スペ ー ラ)を 使 う。 粕 は タバ コの 肥 料 に よい 。 最 近 は 飼 料 に も用 い られ て い ま す 。 綿 実 油 製 法:綿 をつ ん だ 後 の30∼35%の 含 油 率 の も の を 原 料 と し ま す 。 尚残 つ て い る綿 を リン タ )/Yかけ て 除 き ま す 。 繊 維 の長 い も の は ふ と ん綿,短 い もの は 紙 の 原 料 と な り ま す 。 ハ ラ ーで津 を取 り除 き核 を集 め エ キ ス ペ ラ ーに か け る。 綿 実 油 は ゴ シyO'_ル とい う有 毒 の黄 色 々 素 を有 し て い るの で 精 製 工 程 で これ を 完 全 '/rYt-..除く必 要 が あ りま す 。 又 蠣 を持 つ て い る た め 低 温 で 折 出 させ て 除 き,冬 で も凍 ら な い 様 に し ます 。 粕 は肥 料,飼 料 と し 又 塩 酸 で 加 水 分 解 し て ア ミノ酸 とし ます 。一92-' 食物学 会誌 ・第7号
大豆油製造現場見学
〔製 造 工 程 略 図 〕 イ.原 料 大 豆 ロ.油 津 ハ.特 製 油 二.白 絞 油 ホ.サ ラ ダ 油 へ.脱 脂 大 豆 1.除 塵 機2.金 物 分 離 機3.破 砕 機 4.原 料 加 温 機5.圧 扁 ロ ー ラ6.原 料 乾 燥 機 7.抽 出 缶8.ミ ゼ ラ 槽9.蒸 溜 器 10.分 離 機i11原 油 タ ン ク12.精 製 工 場 13冷 却 器14.分 離 機15.溶 剤 槽 16.ポ ン フ イ,陸 揚 げ され た 大 豆 は 原 料 庫 を 経 て 除 塵 機 へ 。 1.除 塵 機 は4台 あ,り 五 段 の 箭 と風 力 で 大 豆 に 混 入 し て 来 た,ご み,茎,さ や,異 種 々実 等 を 除 く。 2. 混 入 し て 来 た 鉄 屑 等 を 金 物 分離 機 で 磁 力 を 用 い て 除 き ます 。 4.圧 扁 し 易 く又 粉 々に な らな い 様 に 大 豆 を原 料 加 温 機 に か け て 水 蒸 気 で 適 当 な 温 度 と湿 りを与 え ま す 。 5.大 豆 を 圧 扁 ロー ラ の 間 を 通 し て0.5mmの 厚 さ に 圧 扁 し,溶 剤 が 組 織 中 に 入 り易 い 様 にす る。 之 よ り薄 くす る と脱 脂 大 豆 に し た 時 粉 に な ります 。 6.原 料 乾 燥 機 で水 分 を 除 き,溶 剤 の 浸 透 を は か り ま す 。 7.一 列 に 並 ん だ 抽 出缶 の 一 方 か ら圧 扁 大 豆 を2t は りこ み,他 方 か ら溶 剤 を 入 れ て 加 熱 し て 油 を抽 出 す る。 大 豆 と溶 剤 は抽 出 缶 の 列 を 反 対 方 向 にご移 動 させ て 行 く。24時 間 で270tの 原 料 を 処 理 し ま す 。 大 豆 油18°o,粕.,.1.と な りま す 。 8.油 と溶 剤 の 混 合 物(ミ ゼ ラ)を ミゼ ラ槽 に一 時 入 れ て 置 く。 9. ミゼ ラを蒸 溜 缶 に 入 れ 真 空 蒸 溜 す る。 溶 剤 は気 化 して 溜 去 され,後 に 油 が 残 る。 10.油 に 混 入 して 来 た 油 倖 を 分 離 機 に 入 れ て 除 く。 11.こ の 様 に して 出 来 た 原 油 を 精 製工 程V'移 す 迄 原 油 タ ン ク に 貯 蔵 す る。 12.原 油 を 精 製 工 場 に 送 る。 こ こ で は 原 油 中 の (1)遊 離 脂 肪 酸 をNaOHを 加 え て 石 鹸 とし て除 く。昭 和34年12月(1959) (2)色 素 を 活 性 白土 を 加 え て 吸 着 除 去 す る。 (3)臭 い の 原 因 で あ る カ ー ボ ニル 化 合 物 を 真 空蒸 溜 に よ つ て 除 く。 こ の 様 に し て こ,大 豆 白絞 油(天 ぷ ら 油)を 作 る。 ホ,サ ラ ダ 油 は 之 を 更 に精 製 す る。 大 豆 油 に は な い が 尚,綿 実 油 を 原料 とし た 時 蝋 分 を 含 む の で 低 温 に 保 つ て 折 出 させ ブ イ ル タ ー プ レ ス に か け て 除 く。 13.蒸 溜 缶 よ り搾 出 し た 溶 剤 は 冷 却 器 を 通 つ て 液 化 す る。 14.液 化 し た 溶 剤 中 の 不 純 物 を 分 離 機 で 除 く。 15.溶 剤 を 溶 剤 槽 に貯 え る。 16.ポ ン プ で 再 び 抽 出 缶 に 溶 剤 を送 る 。 溶 剤 は こ の 様 にご15→16→7→8→9→13>14→15と サ イ ク リ ツ クに 使 用 し,lossを 少 くす る。10万1の 溶 剤 が の こ工 場 で 使 わ れ て い ます 。 17.最 後 の抽 出缶 よ り出 た 油 を 除 い た 大 豆 は 乾 燥 機 で 溶 剤 を除 ぎ,脱 脂 大 豆 とな り味 噌.醤 油,ア ミ ノ酸 の 原 料 等 広 く利 用 され て い け す 。 一93一