• 検索結果がありません。

インド哲学仏教学研究 07(200003) 001木村, 清孝「故江島恵教教授を想う」

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "インド哲学仏教学研究 07(200003) 001木村, 清孝「故江島恵教教授を想う」"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)故江島恵教教授を想う. インド大乗仏教、とくに中観思想の権威であられた本研究室の前主任教授江島恵教先生が、 昨年5月22日、特発性食道破裂により亡くなられた。その数ヶ月前から少し疲労がたま っておられるようにお見受けし、時折気にはかかっていたが、まさかこのような形で急逝 されるとは、まったく考えてもいなかった0いま思い返しても、残念でならない。 私の時代とを合わせると、私が先生の近くにあった年月は、20年以上に及ぶ。つまり私 は、先生のご生涯の約3分の1の時間を、ほとんど同じ空気を吸い、学問に触れ、社会を 見てきたことになる。 学生時代のことでは、ことに昭和38年(1963)から41年までの3年間は親しく交わらせ ていただいた0というのは、いわゆる60年安保の影響もあって、当時、研究室に所属す る学生たちの有志によって「宗教と社会」研究会が組織されていて、先生も私もかなりそ の活動に熱心で、しばしば激しい議論をたたかわせていたからである。39年9月に発刊 された同研究会誌の第6号の編集長を務められた先生は、「歴史感覚」と題するその巻頭 言で、これを欠いたままに生・死・苦を語る伝統的仏教者に厳しい批判の矢を放っておら れる。この一文からは、同研究会における議論の熱っぽさとともに、先生晩年の大蔵経デ ータベース作成のお仕事などにも通ずる御自身の歴史感覚の鋭さの一端を窺うことができ よう。 また、後年、研究室の同僚となって以後のこととしてまず想起されるのは、先生が上にお られたためにどれほど学務の遂行の面で助けられ、楽をさせてもらえたかということ、そ して、先生と時に激しく議論させていただいたお陰でどれほど私自身の哲学や仏教観を鍛 えることができたかということである○けれども、思えばこのことは、先生にそれだけ多 くのご負担をおかけし、また幾度かは簡単には消し去ることのできない苦痛を与えていた ということかもしれない。先生のご生前にそうしたことを率直に申し上げ、感謝し、お詫 びすることができなかったことが悔やまれる。 先生はここ数年来、憑かれたように新時代の仏教研究に不可欠の諸事業を推進してこられ た。いわば、学者というよりも事業家の顔をしておられた。振り返って考えれば、それは 先生が自ら選択された菩薩行であったに違いない。なぜそう受け止められるのかといえば、 近年しばしば口にされたお言葉の端々から、先生が自己の生き方の問題として、急速に大 乗的な宗教世界に傾斜されつつあったことを強く感ずるからである。大蔵経データベース 完成のための寄付を募る際によく用いられた「勧進小僧」という言葉はつとに有名である が、ご自分の名前の前に「愚」やこれに類する語を付されたりもしていた。就中、私が印 象的であったのは、亡くなる1、2ケ月前にいただいたお手紙の中で、ご自身を「念仏者」 と明言され、自らの念仏を「酪訂念仏」と表現されていたことである。そこには、酒がほ んとうにお好きであった先生の苦渋・葛藤とともに、ある特別の心の安らぎが示されてい るように、私には思われてならなかったのである。. ー3-.

(2) ここに、先生の発案と実行力のもとに開始された本誌の第6号を先生の追悼号として刊行 するに当たり、編集委員会を代表していささか追懐の想いを述べさせていただいた。いま 先生は、浄土往生を遂げられ、「酪訂念仏」ではなく、まさしく「本願念仏」に安らいで おられるであろう。私どもはこのことを深く信じ、私どもに対する先生のこれまでのご恩 顧の数々を省みつつ、改めて衷心より感謝の誠を捧げるものである。. 平成12年2月1日. 東京大学大学院人文社会系研究科教授 インド哲学仏教学研究室主任. 木村清孝. -4-.

(3)

参照

関連したドキュメント

突然そのようなところに現れたことに驚いたので す。しかも、密教儀礼であればマンダラ制作儀礼

工学部の川西琢也助教授が「米 国におけるファカルティディベ ロップメントと遠隔地 学習の実 態」について,また医学系研究科

鈴木 則宏 慶應義塾大学医学部内科(神経) 教授 祖父江 元 名古屋大学大学院神経内科学 教授 高橋 良輔 京都大学大学院臨床神経学 教授 辻 省次 東京大学大学院神経内科学

奥村 綱雄 教授 金融論、マクロ経済学、計量経済学 木崎 翠 教授 中国経済、中国企業システム、政府と市場 佐藤 清隆 教授 為替レート、国際金融の実証研究.

ハンブルク大学の Harunaga Isaacson 教授も,ポスドク研究員としてオックスフォード

学識経験者 品川 明 (しながわ あきら) 学習院女子大学 環境教育センター 教授 学識経験者 柳井 重人 (やない しげと) 千葉大学大学院

海洋技術環境学専攻 教 授 委 員 林  昌奎 生産技術研究所 機械・生体系部門 教 授 委 員 歌田 久司 地震研究所 海半球観測研究センター

【対応者】 :David M Ingram 教授(エディンバラ大学工学部 エネルギーシステム研究所). Alistair G。L。 Borthwick