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268 LSG 図 Lee ABCD 表 1 4 Age BMI C Duration Still DiaRem 表 1 4 HbA1c Ⅱ 対象と方法 1 17 LSG 6 3 Excess Weight Loss EWL BMI 25 kg/m 2 Hb

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Ⅰ はじめに  高度肥満症患者に対する Bariatric Surgery で は,減量効果に加え,肥満関連合併症,特に 2 型 糖尿病に対する高い改善効果を有しているとされ ている1).この高い糖尿病改善効果のほか,さま ざまな代謝改善効果が報告され,最近は metabol-ic surgeryと提唱されるようになった.海外で行 われている胃バイパス術では,2 型糖尿病合併高 度肥満患者に対する,糖尿病寛解を予測するスコ アとして,ABCD スコア2),3)や DiaRem スコア4) が報告され,その有用性について述べられてい る.本邦では 2014 年に腹腔鏡下スリーブ状胃切 除術(Laparoscopic Sleeve Gastrectomy:以下 LSG)が保険収載された.LSG は自動縫合器を用 いて,大弯側の胃を切除し,細い胃管を作成する ことで,摂食制限を行う術式である(図 1). LSGは病的肥満症に対する治療として,急速に 普及してきている5).LSG における 2 型糖尿病改 善効果についても良好な治療成績が報告されてい る6).本邦における LSG の術前糖尿病寛解予測 スコアの詳細な比較・検討はされていない.今 回,当院における糖尿病合併肥満症に対する LSGの減量効果,糖尿病改善効果および 2 型糖 尿病寛解予測スコア(ABCD スコア,DiaRem ス

糖尿病合併肥満患者に対する腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の

糖尿病改善効果と糖尿病寛解予測スコアについての検討

額原  敦,宮崎 安弘,高橋  剛,黒川 幸典,田中 晃司,

牧野 知紀,山崎  誠,中島 清一,森  正樹,土岐祐一郎

 高度肥満症患者に対する腹腔鏡下スリーブ状胃切除(以下 LSG)では,減量効果に加 え糖尿病に対する高い改善効果を有しているとされている.糖尿病寛解を予測するスコ アとして,ABCD スコアや DiaRem スコアが報告され,その有用性について述べられて いる.  当院における LSG 症例の糖尿病改善効果,糖尿病寛解予測スコアの有用性について検 討した.術後 3ヵ月で糖尿病治療薬は 93.1%が中止,インスリンは 80%で中止となっ た.糖尿病寛解率は術後 1 年で 70.8%(CR37.5%,PR33.3%)であった.術後 1 年後の 糖尿病寛解率を ABCD スコアでは 5 点以上,DiaRem スコアでは 12 点以下の症例で糖尿 病寛解率が高かった.  当院における糖尿病合併肥満症患者に対する LSG は,良好な糖尿病寛解効果を認め た.ABCD スコアと DiaRem スコアはともに,LSG の糖尿病寛解予測スコアとして有用 である可能性が示唆された. 腹腔鏡下スリーブ状胃切除術,ABCD スコア,DiaRem スコア 2018年 8 月 16 日受付:2018 年 9 月 11 日採用決定 大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘 2-2 発表学会:日本外科代謝栄養学会第 54 回学術集会

原  著

(臨床研究)

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コア)について検討した. Ⅱ 対象と方法  2010 年から 2017 年の間に LSG を施行した糖 尿病合併肥満症患者で術後 6ヵ月以上フォローを 行った 30 例を対象とした.術後体重減量効果に ついては,超過体重減少率(% Excess Weight Loss:% EWL)で評価した.BMI=25 kg/m2 理想体重とし,治療前の超過体重のうち,術後に 減少した体重の割合を示したものである.本研究 では初診時の体重を基準とした.糖尿病改善効果 については,糖尿病治療薬・インスリンの減量・ 中止の有無,HbA1c 値で評価した.糖尿病寛解 については術後 1 年以上フォローした 24 例を対 象とした.糖尿病寛解の定義については完全寛解 (Complete Remission:以下 CR)を糖尿病治療薬 からの離脱かつ HbA1c6.0%未満,部分寛解(Par-tial Remission:以下 PR)を糖尿病治療薬からの 離脱かつ HbA1c6.0%以上 6.5%未満と定義した. 糖尿病治療薬の減量かつ HbA1c7.0%未満のもの を改善(Improve),HbA1c7.0%以上のものを効 果 不 十 分(No Change: 以 下 NC) と 定 義 し た7).術後 1 年,術後 2 年での糖尿病寛解の有無 を評価した.糖尿病寛解予測スコアとして,以下 の 2 つの予測スコアを用いた.1 つは Lee らが提 唱している ABCD スコア(表 1)である.4 つの 因子(年齢(Age),術前 BMI,血中 C ペプチド 値,糖尿病罹病期間(Duration))からなるスコ アで,0-10 点で評価する2),3).スコアが高いほど 糖尿病寛解を得られる可能性が高いとされてい る.もう 1 つは Still らが提唱している DiaRem ス コ ア で あ る(表 1).4 つ の 因 子(年 齢, HbA1c値,糖尿病治療薬(メトホルミン以外) の有無,インスリン使用の有無)からなるスコア で,0-22 点で評価する4).スコアが低いほど糖尿 病寛解を得られる可能性が高いとされている.こ れら 2 つの予測スコアを用いて,糖尿病寛解予測 について後ろ向きに評価した. Ⅲ 結果  患者背景は,性別(男 / 女)=11/19,平均年 齢=45 歳(23-64), 初 診 時 平 均 体 重 112.7 kg (87.3-170 kg), 初 診 時 BMI43.0 kg/m2 (33.0-58.4), 初 診 時 HbA1c7.25%(5.5-11.5),C ペ プ チド 4.2(1.2-7.7)ng/ml,空腹時インスリン値 25.4(7.1-91.8)糖尿病罹病期間 9 年(1-30),イ ンスリン使用 10 症例,糖尿病治療薬 29 例であっ た(表 2).術後超過体重減少率は,術後 1ヵ月 46.8±19.5%,3ヵ月 23.5±23.5%,6ヵ月 66.2± 25.1%,1 年 67.7±29.1%,2 年 75.2±20.0% で あった(図 2). 術 後 3ヵ月 で 糖 尿 病 治 療 薬 は 93.1%(27/29 例)が中止,インスリンは 80% (8/10 例)で中止となった.HbA1c の推移に関し ては,術後 1ヵ月 HbA1c6.2±0.66%,3ヵ月 HbA1c6.1 ±0 . 7 5 % , 6 ヵ 月 H b A 1 c 6 . 3 ±1 . 1 % , 1 年 HbA1c6.2±0.93% ,2 年 HbA1c6.6±0.85% で あった(図 2). 術 後 1 年 の 糖 尿 病 寛 解 率 は 70.8%(CR37.5%(9/24 例),PR33.3%(8/24 例)),Improve20.8%(5/24 例),NC8.3%(2/24 例)であった.87.5%(21/24 例)はインスリン を含めた糖尿病治療薬を使用していなかった.   ま た 術 後 2 年 の 糖 尿 病 寛 解 率 は 35.3% (CR17.6%(3/17 例 ),PR17.6%(3/17 例 ),Im-図 1 腹腔鏡下スリーブ状胃切除術のシェーマ

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prove47.1%(8/17 例 ),NC17.6%(3/17 例 ) で あった.76.5%(13/17 例)はインスリンを含め た糖尿病治療薬を使用していなかった.  術後 1 年後の糖尿病寛解率を ABCD スコアで 5段階に分けて検討すると,0-2 点は該当なし, 3-4 点 で は 57.1%(4/7 例 ),5-6 点 で は 72.7% (8/11 例),7-8 点では 80%(4/5 例),9-10 点で は 100%(1/1 例)であった(図 3).DiaRem ス コアも同様に 5 段階に分けて検討すると,0-2 点 100%(2/2 例 ),3-7 点 88.9%(8/9 例 ),8-12 点 83.3%(5/6 例 ),13-17 点 33.3%(1/3 例 ), 18-22 点 25%(1/4 例)であった(図 3).  術後 2 年後の糖尿病寛解率についても同様に検 討すると,ABCD スコアでは 0-2 点では該当な し,3-4 点 で は 16.7%(1/6 例 ),5-6 点 で は 42.9%(3/7 例 ),7-8 点 で は 66.7%(2/3 例 ), 表 2 患者背景 n=30 性別(M/F) 11/19 年齢(歳) 45 (23-64) 初診時体重(kg) 112.7 (87.3-170) 初診時 BMI(kg/m2 43.0 (33-58.4) HbA1c(%) 7.25 (5.5-11.5) Cペプチド(ng/ml) 4.2 (1.2-7.7) 空腹時インスリン値 25.4 (μU/ml) (7.1-91.8) T2DM罹病期間(年) 9 (1-30) インスリン治療率(%) 33.3 (10/30) 表 1 ABCD スコアと DiaRem スコア 因子 ABCDスコア 因子 DiaRemスコア 年齢 年齢 <40 0 <40 0 ≥ 40 1 40-49 1 BMI(kg/m2 50-59 2 <27 0 ≧60 3 27-34.9 1 HbA1c(%) 35-41.9 2 <6.5% 0 ≧42 3 6.5-6.9% 2 Cペプチド(ng/ml) 7.0-8.9% 4 <2 0 ≧9.0% 6 2-2.9 1 糖尿病治療薬の有無 3-3.9 2 (メトホルミン以外) ≥ 5 3 なし 0 糖尿病罹病期間(年) あり 3 >8 0 インスリン治療の有無 4-8 1 なし 0 1-3.9 2 あり 10 <1 3

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9-10 点では 0%(0/1 例)であった(図 4).Dia-Remス コ ア で は 0-2 点 50%(1/2 例 ),3-7 点 40%(2/5 例),8-12 点 40%(2/5 例),13-17 点 33.3%(1/3 例 ),18-22 点 0%(0/2 例 ) で あっ た(図 4). Ⅳ 考察  LSG による良好な糖尿病改善効果が認められ た.ABCD スコアと DiaRem スコアはともに, LSGの糖尿病寛解予測スコアとして有用である 可能性が示唆された.LSG の術後早期からイン スリンを含む糖尿病治療薬が多くの症例において 中止となり,高い糖尿病改善効果が示された.そ の機序として考えられているのは,消化管ホルモ ン分泌の変化である.胃バイパス術と LSG はと もに術後のインスリンや GLP-1 分泌を増加さ せ,糖代謝を改善することが示されている8) GLP-1 はインクレチンの一つで,インスリン分 泌を促進する作用を示す.LSG 術後は胃内容排 泄時間,小腸の通過時間が短くなっているとさ れ9),食後すぐに未消化の食物が小腸へ流入する ため,下部小腸の L 細胞が早期に刺激され GLP-1の分泌が起こるとされている(後腸仮説)10)  糖尿病寛解予測スコアでは Lee らの報告によ ると ABCD スコア 3 点以下では寛解率は 50%を 下回っていたが,6 点以上になると 80%を超える 0 20 40 60 80 100 0‐2点 3‐4点 5‐6点 7‐8点 9‐10点 ABCDスコア 0 20 40 60 80 100 0‐2点 3‐7点 8‐12点 13‐17点 18‐22点 DiaRemスコア 糖尿病 寛解率(%) 糖尿病寛解率(%) 図 3 術後 1 年目の糖尿病寛解予測スコア別の糖尿病寛解率(CR+PR) 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 pre 1M 3M 6M 12M 24M 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 pre 1M 3M 6M 12M 24M

超過体重減少率

HbA1cの推移

(%) HbA1c(%) 図 2 術後の超過体重減少率と HbA1c の推移

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寛解率を認めた2),3).Still らの報告においては, DiaRemスコア 7 点以下で寛解率は 60%を超えて いたが,8 点以上になると 40%を切る寛解率で あった4). 当 院 の LSG 症 例 に つ い て 検 討 す る と, 術 後 1 年 で は ABCD ス コ ア 5 点 以 上 で 76.5%(13/17 例 ) に 対 し,4 点 以 下 で 57.1% (4/7 例)であった.DiaRem スコアは 12 点以下 で 88.2%(15/17 例 ),13 点 以 上 で 28.6%(2/7 例)とスコアを反映した寛解率を認めた.術後 2 年 も 同 様 に ABCD ス コ ア 5 点 以 上 で 45.5% (5/11 例),4 点以下で 16.7%(1/6 例),DiaRem スコアは 12 点以下で 41.7%(5/12 例),13 点以 上で 20%(1/5 例)であった.LSG においても 術前糖尿病寛解予測スコアは有用であると考えら れた.少数の検討であり,ABCD スコアと Dia-Remスコアの優劣については判断できないが, 今回の検討では共に有用であると考えられた.わ れわれはこれらの予測スコアを活用し,糖尿病寛 解率が低いと予測される患者に対しては,患者お よび内科主治医とも本情報を共有している.これ らの患者については術後糖尿病治療薬を減らすこ とを主眼にするのではなく,血糖コントロールの 改善を第一優先とし,適切に経口血糖降下薬を併 用することが重要である.  糖尿病寛解予測スコアにおいて,術後 1 年での 糖尿病寛解率(CR+PR)が 70.8%に対し,術後 2年になると 35.3%と寛解率の低下を認めるこ と,また,術前糖尿病寛解予測スコアにより寛解 率が低いとされる症例が問題と考えられた.  術前の糖尿病寛解予測スコアにより寛解率が低 いと予測される症例においてはスリーブ状胃切除 術+十二指腸空腸バイパスおよび胃バイパス術と いった,バイパス手術を伴う術式がよいと考えら れている.バイパスを伴う術式は摂食制限のみな らず,栄養吸収障害の効果も加わり非常に高い糖 尿病改善効果を有していると報告されている11) 本邦においても先進医療 A(UMIN000030837) として,「腹腔鏡下胃切除術および十二指腸空腸 バイパス術」が BMI32 以上,ABCD スコアが 5 点未満の症例を対象に始まっており,その有効性 が期待されている.  糖尿病合併肥満症患者に対する LSG におい て,良好な減量効果,糖尿病寛解を認めた. ABCDスコア 5 点以上,DiaRem スコアで 12 点 以下の症例で寛解率が高率であり,両方のスコア リングシステムはともに LSG 糖尿病寛解予測ス コアとして有用である可能性が示唆された. 本報告の要旨は 2017 年度の日本外科代謝栄養学 会第 54 回学術集会の一般演題として発表した. 本論文に関する著者の利益相反なし. 文献

1) Halperin F, Goldfine AB:Metabolic surgery for type 2

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0‐2点 3‐4点 5‐6点 7‐8点 9‐10点 ABCDスコア 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0‐2点 3‐7点 8‐12点 13‐17点 18‐22点 DiaRemスコア 糖尿病 寛解率(%) 糖尿病寛解率(%) 図 4 術後 2 年目の糖尿病寛解予測スコア別の糖尿病寛解率(CR+PR)

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Two scoring systems for predicting type 2 diabetes remission

after laparoscopic sleeve gastrectomy at our institution

Atsushi Gakuhara, Yasuhiro Miyazaki, Tsuyoshi Takahashi, Yukinori Kurokawa,

Koji Tanaka, Tomoki Makino, Makoto Yamasaki, Kiyokazu Nakajima,

Masaki Mori, Yuichiro Doki

Laparoscopic sleeve gastrectomy(LSG)for highly obese patients greatly affects type 2 dia-betes mellitus in addition to its weight reduction effects. ABCD and DiaRem were originally reported as useful scoring systems for predicting type 2 diabetes mellitus remission after gastric bypass surgery.

In this study, we evaluated the effects of LSG on diabetes improvement and the usefulness of these scoring systems for diabetes remission in patients at our hospital. Three months af-ter surgery, 93.1% of patients discontinued diabetic agents and 80% of the insulin users no longer needed insulin treatment. One year after LSG, the overall diabetes remission rate was 70.8%(CR: 37.5%, PR: 33.3%), and the rate of diabetes remission was higher in patients with an ABCD score of 5 or more and a DiaRem score of 12 or less.

LSG for obese patients with type 2 diabetes mellitus greatly improved diabetes, and the ABCD and DiaRem scores were both useful for predicting diabetes remission.

Laparoscopic sleeve gastrectomy, ABCD score, DiaRem score

Department of Gastroenterological Surgery, Osaka University Graduate School of Medicine. 2-2, E-2, Yamadaoka, Suita City, Osaka, 565-0871, Japan

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