• 検索結果がありません。

ホームレスへの自立支援のあり方について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ホームレスへの自立支援のあり方について"

Copied!
21
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1 はじめに 札幌市では、平成17年1月に「札幌市ホームレスの自立 支援のための取組方針」(以下「取組方針」という。)を策定 し、ホームレス支援を行ってきました。 また、平成25年12月に成立した「生活困窮者自立支援 法(平成25年法律第105号)」により、生活困窮者への新 たな自立支援制度が構築されることとなり、札幌市において も、「生活困窮者自立支援計画(案)」の中で、具体的な制度 設計に向けた考え方が示されています。 このような背景のもと、生活困窮者への自立支援のあり方 について、大局的な視点で検討を行うことが必要となり、札 幌市長から当分科会に意見を求められました。 それを受けて、当分科会において、各委員による慎重かつ 活発な討議、意見交換を重ねた結果、札幌市における生活困 窮者への自立支援のあり方についての基本的な考え方をとり まとめるに至りましたので、当分科会として意見を具申する ものであります。

(2)

2 意見具申の背景など (1) 国等の動向 「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成 14年法律第105号)」(以下「ホームレス自立支援法」 という。)によって、国等はホームレスの人権に配慮し必要 な施策を講ずることとされました。 ホームレス自立支援法に基づき、国は平成15年に「ホ ームレスの自立の支援等に関する基本方針」(以下「基本方 針」という。)を策定し、ホームレスの自立を積極的に促す とともに、新たにホームレスになることを防止し、地域社 会におけるホームレスに関する問題の解決が図られること を目指しました。 直近では、平成25年7月に基本方針の見直しを行い、 基本的な姿勢を踏襲しながら、よりきめ細かなホームレス 対策を講ずることとされています。 一方で、平成25年12月には生活困窮者自立支援法が 成立し、生活保護に至る前の段階にある生活困窮者を支援 する、いわゆる第2のセーフティネットの充実・強化が図 られることとなりました。 ホームレス自立支援法と生活困窮者自立支援法の関係に

(3)

ついて、基本方針の関連部分についての所要の改正が行わ れることとされていますが、現時点では明確な考え方が示 されてはいません。 ただし、国は、生活困窮者自立支援法に関する事業説明 会などで、生活困窮者自立支援法により新たに実施される 自立相談支援事業や一時生活支援事業において、今まで行 われていたホームレス支援策を実施していく方針を示して います。 また、北海道においても平成26年3月に「北海道ホー ムレス自立支援等実施計画」が改訂されており、「ホームレ ス等貧困・困窮者の『絆』再生事業」を活用した緊急一時 的な宿泊場所の提供や居宅生活への移行などを行うNPO 法人への補助金交付が行われています。

(4)

(2) 札幌市の動向 札幌市では、平成17年1月に取組方針を策定し、総合相 談会の開催や救護施設等への緊急入所及び就労支援入所、ホ ームレス相談員の配置などのホームレス支援事業を行ってき ましたが、国の基本方針改訂と生活困窮者自立支援法の成立 を踏まえ、取組方針の改訂を行うこととしています。 また、平成27年4月からの生活困窮者自立支援法施行に 向けて、平成25年度から札幌市生活困窮者自立促進支援モ デル事業(以下「モデル事業」という。)を実施中であり、相 談内容の分析や課題の検討などを行いながら、制度の本格実 施に向けた準備を行っています。 今後は、モデル事業の成果などを踏まえながら、札幌市に おける生活困窮者自立支援制度に関する計画である「札幌市 生活困窮者自立支援計画」(以下「自立支援計画」という。) をとりまとめる予定となっています。

(5)

(3) 分科会での検討の視点 上記のとおり、今後は、札幌市による取組方針の改訂や 自立支援計画の策定により具体的な制度設計が行われてい くこととなりますが、現時点では、予算をはじめとする国 の実施計画の詳細が判明していない状況です。 そこで、ホームレスを含む生活困窮者への自立支援のあ り方について検討するにあたり、当分科会では、取組方針 や自立支援計画の基本的な指針となるべき、大局的な観点 からの論点について議論することとしました。 なお、生活困窮者自立支援法による「生活困窮者」の定 義には「ホームレス」も含まれるものの、一般的な生活困 窮者とホームレスとでは、支援にあたって求められる知識 やスキル、必要となる設備などの面で大きく違ったものと なってくると考えられることから、一般的な生活困窮者向 けの支援施策とホームレス向けの支援施策は、それぞれ個 別の総合的な計画あるいは方針として取りまとめられるべ きであると考え、関連はするものの、別の観点からの検討 を行った上で、意見をとりまとめました。

(6)

3 札幌市における生活困窮者自立支援制度のあり方について (1) 制度の対象者について 生活困窮者自立支援法による「生活困窮者」の定義は、 第2条第1項に「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を 維持することができなくなるおそれのある者」と規定され ています。 モデル事業の相談状況からは、仕事探しや生活費につい ての課題を中心としつつも、病気や健康、債務や住まいな どの複数の問題を同時に抱えている利用者が多いことがう かがえます。 これらのことから、「経済的自立に向けた就労支援が必要 な方」を中心となる対象者として想定し、本人に最も適し た就労支援を継続しつつ、就労に向けた支援を行う上で妨 げとなる生活面や健康面での課題について、一つ一つ解決 していく体制づくりが必要だと考えます。 また、制度が目指す「自立」には、経済的自立のみなら ず、日常生活自立や社会生活自立も含まれていることに留 意し、幅広い生活困窮者からの相談を受けとめ、生活保護 などの福祉制度へのつなぎを含めて、包括的な支援を行っ ていくことが必要だと考えます。

(7)

(2) 生活困窮者の早期把握 生活困窮者の中には、複合的な課題を抱えながら、社会 とのつながりが薄れ、自ら支援サービスへアクセスできな い方が存在すると指摘されているところです。 モデル事業においてもニート、障がいが疑われる方、家 計破綻者などの早期発見と早期支援が課題となっています。 これらの自ら生活困窮者自立支援制度を利用することが 難しい生活困窮者を早期に発見するためには、区役所やハ ローワークのような行政機関をはじめ、民生委員・児童委 員や町内会などの地域組織、民間支援団体等を含めた関係 機関とのネットワークづくりが重要だと考えます。 また、生活困窮者が訪れる機会が多いと考えられる区役 所等の各相談窓口において、支援が必要な方を確実に生活 困窮者自立支援制度へつないでいく体制づくりが必要だと 考えます。

(8)

(3) 自立支援事業の充実 生活困窮者自立支援法では、自立相談支援事業と住居確 保給付金の支給の2つは必ず実施しなければならない必須 事業、その他の事業は地域の実情に応じて実施するかどう かを選択できる任意事業とされています。 複合的な課題を抱える生活困窮者には、個々の状況に応 じて複数の支援を包括的に行う必要があり、必須事業だけ では、生活困窮者の自立に向けた効果的な支援を行うこと はできません。 したがって、ハローワークや若者支援総合センター、障 がい者相談支援事業所などの他制度による支援を最大限に 活用しつつ、必要性が高いと認められる任意事業を積極的 に展開し、必須事業と合わせて実施すべきであると考えま す。 なお、自立相談支援事業を含めて、これらの支援事業を 業務委託により実施する際には、委託事業者に求める業務 内容の明確化や、業務委託のより効果的な実施方法につい て注意深く検討し、適切な執行を行うべきと考えます。

(9)

4 札幌市におけるホームレスへの自立支援のあり方について (1) 生活困窮者自立支援制度を踏まえた施策の再編 これまで札幌市では、国の基本方針と北海道の実施計画 を踏まえつつ、積雪寒冷地という札幌市の地域特性も考慮 してホームレスへの自立支援を行ってきました。 より具体的には、総合相談会やホームレス相談員の街頭 相談などによる相談体制や、救護施設などによる緊急的な 宿泊所を用意しつつ、最終的には生活保護の適用により安 定した住居を確保することを基本としており、生活保護制 度を前提とした支援であったと評価できます。 一方で、札幌市内のNPO法人により、「ホームレス等貧 困・困窮者の『絆』再生事業」(北海道の補助事業)を活用 した緊急一時的な宿泊場所の提供や居宅生活への移行支援 などが年間400人程度の規模を対象に行われています。 そして、国からはこれらのホームレス緊急一時宿泊事業に ついて、一時生活支援事業へ移行する方針が示されていま す。 生活保護が今後もホームレス支援の柱であり続けること は間違いありませんが、一時生活支援事業やNPO法人等 によるホームレス支援の取組を活用した、新たなホームレ

(10)

ス支援事業について検討していく必要があると考えます。 また、路上生活を脱却した後に再び路上生活に戻ってし まうホームレスや、屋根のある場所での生活と路上生活を 短期間に繰り返すホームレスの存在が指摘されているとこ ろです。 これらのホームレスに対しては、衣食住の確保のみなら ず、生活や医療・健康に関する相談や助言などの総合的な 自立支援策を講じていく必要があります。 このため、自立相談支援事業を、ホームレスに対しても 積極的に展開できるような体制づくりを検討すべきである と考えます。

(11)

(2) 「ホームレス」の定義の再検証と対象者の再把握 ホームレス自立支援法による「ホームレス」の定義は、 第2条に「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故 なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」と規定さ れていますが、ホームレスとなっている期間や経緯などに よって、必要な支援の内容は変わってくるものと考えられ ます。 長期間にわたって路上生活を続けているホームレスにつ いては、福祉的な支援を拒否する場合が多く、定期的な巡 回相談を通じた粘り強い見守りや呼びかけ、健康や衛生に ついての相談体制の確保が必要です。 路上生活を開始して間もないホームレスについては、で きるだけ早期に、生活保護の適用や生活困窮者自立支援制 度による自立支援へつなげ、対応が困難な長期の路上生活 に至る前に対処していくことが重要です。 また、路上生活に至る前段階として、深夜営業の店舗等 で寝泊まりするなど不安定な居住環境にある方々の存在が 指摘されているところですが、実態把握に努めるとともに、 住居確保給付金の支給など、生活困窮者自立支援制度によ る自立支援の取組を進めていくことが必要だと考えます。

(12)

(3) 広域的な視点でのホームレス対策 平成25年4月から平成26年3月までの間に実施され た、前述のNPO法人による「ホームレス等貧困・困窮者 の『絆』再生事業」を活用した緊急一時的な宿泊場所の提 供について、実施団体による調査結果では、支援対象者の うち、生活困窮に陥った時の直近の居住地が札幌市にある 割合は57%とのことです。 このデータや道内での求人状況などから、札幌市におけ るホームレスの特徴として、職を求めて道内他都市あるい は道外から札幌市に出てきたものの、職が見つからないな どして札幌市でホームレス化するという構造が推測できま す。 このことは、札幌市単独でのホームレス支援策には、自 ずと限界があることを示しています。 このため、北海道や道内他都市との適切な役割分担によ るホームレス支援施策の推進が必要であると考えます。

(13)

5 おわりに 以上のとおり、当分科会では、取組方針や自立支援計画の 基本的な指針を示すべき、大局的な観点からの論点について 検討を行ってまいりました。 提言の趣旨を十分に踏まえた上で、ホームレスを含む生活 困窮者への自立支援に対する理解が広く市民の間にも行きわ たるように取り組まれることを希望し、意見具申の結びとい たします。

(14)
(15)

参 考 資 料 1 審議経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 2 低所得者福祉専門分科会委員名簿・・・・・・・・・・ 19 3 札幌市生活困窮者自立支援計画(案)概要版・・・・・ 21 4 札幌市生活困窮者自立支援計画(案)・・・・・・・・・ 23 5 ホームレス施策に関するこれまでの経過について・・・ 75 6 ホームレスの自立の支援等に関する基本方針・・・・・ 77 7 一時生活支援事業について・・・・・・・・・・・・・ 99 8 札幌市ホームレスの自立支援のための取組方針・・・・ 101 9 平成 25 年度ホームレス自立支援事業の概要と実績・・ 123 10 札幌市内の民間団体による主なホームレス支援・・・・ 127 ページ

(16)
(17)

審議経過 平成 26 年(2014 年)12 月 17 日 第 1 回低所得者福祉専門分科会 ・「札幌市生活困窮者自立支援計画(案)」について ・「札幌ホームレスの自立支援のための取組方針」について 平成 27 年(2015 年)1 月 19 日 第2回低所得者福祉専門分科会 ・札幌市における生活困窮者への自立支援のあり方 (意見具申案審議) 資料1

(18)
(19)

低所得者福祉専門分科会委員名簿 分科会 会長 井上 祐次 札幌公共職業安定所長 分科会副会長 上田 厚子 札幌市母子寡婦福祉連合会 理事長 委員 岡崎 みどり 札幌テレビ放送総務局総務部 ゼネラルマネージャー 委員 斉藤 浩司 札幌地区労働組合総連合 勤医協本部員 委員 佐藤 至英 北翔大学教授 委員 末岡 裕文 札幌市医師会理事 委員 杉岡 直人 北星学園大学教授 委員 深谷 仁 札幌市老人福祉施設協議会顧問 資料2

(20)
(21)

参照

関連したドキュメント

(※1) 「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会報告書」 (平成 29(2017)年 12 月 15 日)参照。.. (※2)

 このような状況において,当年度の連結収支につきましては,年ぶ

本案における複数の放送対象地域における放送番組の

⑤ 

  支払の完了していない株式についての配当はその買手にとって非課税とされるべ きである。

[r]

原則としてメール等にて,理由を明 記した上で返却いたします。内容を ご確認の上,再申込をお願いいた

本制度では、一つの事業所について、特定地球温暖化対策事業者が複数いる場合