投資情報室
オーストラリアレポート
オーストラリア経済とリート市場の動向についてオーストラリア経済とリート市場の動向について
インドが追加利下げ
今年4回目
豪州は、高い人口増加率を背景にした堅調な内需に支えられ、23年連続で安定した経済成長を実現 豪州経済のけん引役は内需型産業、資源から非資源への転換も進む 豪州リートは、人口増加と堅調な経済を背景とした消費拡大の恩恵を受けると期待 豪州株式の相対的に高い配当利回りが長期のトータルリターンを下支え、豪年金基金の資産拡大にも注目 豪ドル相場は、豪州、日本、米国の金融政策の違いや海外投資家の証券投資の流入などが豪ドルを下支え豪州は23年連続で経済成長、今後も相対的に高
い成長率が見込まれる
豪州のGDPは23年連続でプラス成長を達成 リーマンショック後の2009年もプラス成長 2016年以降も3%程度の成長が見込まれる 豪州は23年連続して安定してプラス成長を実現してき ました。他の主要国が軒並みマイナス成長となったリー マンショック後の2009年もプラス成長となっています。 2016年以降も引き続き、日本や米国を上回る3%程度 の成長が見込まれています(図1)。非資源セクターの企業収益は長期拡大傾向
資源ブームがピークを迎え、資源セクターの企業収 益は減少傾向 非資源セクターの企業収益は堅調に拡大 資源セクターの企業収益は、ここ10年の資源ブームを 受け大きく拡大しましたが、資源価格が頭打ちとなる中 で伸び悩んでいます。 一方、非資源セクターの企業収益は、人口増加を背 景とした小売売上の安定した拡大などの恩恵を受け、 長期的に拡大傾向にあります(図3)。図1:日米豪の実質GDP成長率の推移(IMF)
図2:豪州の産業別構成
豪州経済のけん引役、内需型産業に注目
鉱業が豪州のGDPに占める割合は約9%、労働人口 では約2%にすぎない 豪州経済は資源から非資源への転換が進む 資源国のイメージのある豪州ですが、実はGDPに占め る鉱業の比率は約9%、労働人口では全体の約2%にす ぎません(図2)。豪州では、GDPの70%以上を占める サービス産業を中心とした内需が経済成長のけん引役 となっています。 豪州経済は、足元、非鉱業セクターの民間設備投資 が鉱業セクターを逆転するなど、資源から内需を中心と した非資源への構造転換が進んでいるとみられています。 (年) ‐6 ‐4 ‐2 0 2 4 6 1990 1993 1996 1999 2002 2005 2008 2011 2014 2017 2020 オーストラリア 日本 米国 予測値 (%) (出所)ファクトセット、1990年~2020年(2015年以降は予測値) 農林水産 2% 鉱業 9% 建設 8% 製造 7% 金融・保険 9% 医療・ 社会扶助 7% 専門・科学・ 技術サービス 6% 行政・ 国防 6% 運輸・郵便・ 倉庫 5% 小売 5% 教育・訓練 5% その他 30% 農林水産 3% 建設 9% 製造 7% 鉱業 2% 医療・ 社会扶助 13% 小売 11% 専門・科学・技術 サービス 9% 教育・訓練 8% 宿泊・レストラン 7% 行政・国防 6% 運輸・郵便・倉庫 5% その他 21% 【GDP】 【労働人口】 (出所)オーストラリア統計局、GDP:2015年6月時点、労働人口:2015年11月時点 図3: 豪州の資源・非資源セクターの企業収益の推移 0 100 200 300 400 500 2000/12 2003/12 2006/12 2009/12 2012/12 (億豪ドル) (年/月) 非資源セクター 資源セクター (出所)オーストラリア統計局、2000年第4四半期~2015年第3四半期 ※資源セクターは鉱業セクターの企業収益、非資源セクターは鉱業セクター以外 のすべての産業の企業収益の合計値(すべて季節調整済み)●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、レッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイア セットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼 できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料 のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税 金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来 の市場環境の変動等を保証するものではありません。 2/4 毎年約20万人の移民を受け入れ 2050年までに約40%の人口増加が見込まれる 豪州は積極的に毎年約20万人※の移民を受け入れ ており、自然増と合わせて世界でも人口増加率の高い 国の一つです。2050年までに約40%の人口増加が予 測されています(図4)。人口増加は、豪州の長期にわ たる経済成長にとって重要な要因となっています。
国内消費は堅調に拡大
豪州リートは店舗用不動産が約5割を占める テナント売上高と賃料は拡大基調、安定したキャッ シュフローに貢献 豪州リートの特徴として、ショッピングセンターなどの店 舗用不動産が市場全体の約5割を占めることがあげら れます(図6円グラフ)。そのため、豪州リートは、人口増 加と堅調な経済の改善を背景とした消費拡大の恩恵 を受けることが期待されます。 また、高い人口増加率を誇る豪州ですが、人口は東 部沿岸の都市に集中しています。これら都市の郊外型 ショッピングセンターでは上位リートによる寡占化が進ん でおりテナント空室率も低く、テナントに対する賃料上昇 の圧力ともなっています。 実際に、豪州の上位リートが運営するショッピングセン ターのテナント売上と賃料は拡大基調にあり(図6線グ ラフ)、豪州リートの安定したキャッシュフローと成長に 貢献しています。オーストラリアレポート
図4:予想人口増減率(2015年~2050年)
図6:豪州リートの用途別構成比とテナント
売上高・賃料の推移
図5:日米豪の小売売上高の推移
※2005年~2014年の平均値 人口増加を背景に小売売上高は拡大傾向 低金利と豪ドル安も個人消費を押し上げ 安定した人口増加を背景に、豪州の小売売上高は 堅調に拡大しています。リーマンショックで落ち込んだ 米国や横ばいが続く日本を大きく上回って推移してい ます(図5)。 また、足元では、低金利と通貨安による恩恵が個人 消費や住宅、観光などに広がりつつあることも、豪州経 済を支える要因となっているとみています。人口増加が内需成長の原動力
人口増加の恩恵が期待される豪州リート市場
‐15 ‐10 ‐8 ‐2 15 21 30 40 ‐20 ‐10 0 10 20 30 40 50 日本 ロシア ドイツ 中国 ブラジル 米国 インド オースト ラリア (%) (出所)国際連合人口部 80 100 120 140 160 180 200 2002/1 2004/1 2006/1 2008/1 2010/1 2012/1 2014/1(年/月) ※2002年1月を100として指数化 豪州 米国 日本 (出所)ファクトセット、名目値を使用、2002年1月~2015年11月 500 700 900 1,100 1,300 1,500 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 1㎡当りのテナント売上⾼(左軸) 1㎡当りのテナント賃料(右軸) (年度) (豪ドル) (豪ドル) (出所)マーティン・カリー・オーストラリア、ブルームバーグ、1999~2015年度 ※用途別構成比は、S&P/ASX300 A-REIT指数の2015年11月末時点の時価構成比 ※テナント売上高・賃料は、センター・グループ、GPTグループ、ヴィシニティ(旧ノビオン、 旧フェデレーション・センターズ)の平均値 豪州リートの用途別構成比 豪州リートは日米のリートと比較して、相対的に高い配 当利回りを提供 2015年12月末時点の豪州リートの配当利回りは4.9%と、 日本や米国のリート、豪州国債と比較して高い水準にあり ます(図7)。また、豪州リートは安定的な賃料収入から今 後の配当成長も予想されます。 日米と比較して、豪州リートはいまだ出遅れ 足元、日米のリートが金融危機以前の水準を上回って いるのに対し、豪州リートは相対的に高い配当利回りにも 関わらず、依然として出遅れ感があると思われます(図8)。 出遅れの要因としては、日米では積極的な金融緩和策 が取られたことがあげられます。また、金融危機以降の豪 州リート市場では、財務体質の改善を目的とした大型増 資が相次ぎ、投資家が嫌気したことも豪州リートの上値を 抑える要因になったものと思われます。 足元、豪州リートは金融危機以前と比べて債務比率が 大きく低下しています。そのため、金融市場が不安定とな る局面においても、日米のリートと比べて底堅く推移するこ とが予想されます。また、堅調な豪州経済の改善などを 背景に、今後は豪州リートの出遅れ感の解消が期待され ます。 豪年金基金の40%が豪州株式への投資 豪年金基金は長期的に拡大が予想される 豪年金基金は豪株式市場のけん引役として注目 豪州では公的年金に加えて、雇用主が給与の9.5%に 当たる額を拠出する年金基金があります。 近年、豪年金基金の資産構成は預金から株式へのシ フトが顕著となっており、足元では総資産の40%がリートを 含む豪州株式への投資となっています。 豪年金基金の総資産は、現在の1.9兆豪ドルから2035 年には3倍超の6.1兆豪ドルに拡大することが予測されて います。また、雇用主の拠出率も2025年7月まで段階的 に12%に引き上げられる予定です。 豪州株式市場の時価総額1.5兆豪ドル(2015年12月 末時点)を考慮すると、豪年金基金は今後も豪州株式 市場のけん引役となることが見込まれ、豪州リートへの長 期資金の流入が期待されます(図9)。
図7:利回りの比較
図9:豪年金基金の総資産残高の推移と構成比
図8:
日米豪のREIT指数の推移豪州リートの相対的に高い配当利回り
出遅れ感のある豪州リート
豪州株式市場をけん引する豪年金基金
4.9
4.0 3.2 2.9 0 1 2 3 4 5 6 豪州リート 米国リート 日本リート 豪国債 (%) (出所)ブルームバーグ、2015年12月末時点※豪州リート: S&P/ASX300 A-REIT指数、米国リート: FTSE/NAREIT オール・エクイティREIT指数、日本リート: 東証REIT指数 ※豪国債は10年国債の最終利回り 99 179 140 0 50 100 150 200 2007/12 2009/12 2011/12 2013/12 2015/12 日本 豪州 米国 (年/月) ※2007年12月100として指数化 (出所)ブルームバーグ、2007年12月~2015年12月
※豪州: S&P/ASX300 A-REIT指数、米国: FTSE/NAREITオール・エクイティ REIT指数、日本: 東証REIT指数、(すべて配当込、現地通貨建て) 0 1 2 3 4 5 6 7 90 95 00 05 10 15 20 25 30 35 (兆豪ドル) (年) 2035年 6.1兆豪ドル (約537兆円) 2015年 1.9兆豪ドル (約168兆円) 豪州 株式 40.0% 預金 13.9% 豪州 債券 8.0% 海外資産 19.9% その他 18.2% (出所)オーストラリア統計局、クーパー・レビュー、1990年~2015年 ※2015年は9月末時点のデータ、2035年はクーパー・レビューの予測値 ※為替は2015年12月末 1豪ドル=88.05円で換算 豪州年金基金の資産別構成比 (2015年9月末)
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、レッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイア セットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼 できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料 のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税 金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来 の市場環境の変動等を保証するものではありません。 4/4 円は日銀の量的緩和などから対米ドルで下落 豪ドルは金融政策の違いなどから対米ドルで大幅下落 豪ドルの対円為替相場は、基軸通貨の米ドルを軸に① 米ドル対円、②米ドル対豪ドル、それぞれの掛け算で成り 立っており、分けて考えることが重要です。 ①米ドル対円については、米国のQE3(量的緩和第3弾) 終了や日銀の異次元緩和などを背景に円安傾向となりま した。しかし、②米ドル対豪ドルについては、米国の利上げ が意識される中、豪州では資源ブーム一巡後の内需喚起 のため利下げが実行され、両国の金融政策の方向性の違 いなどから、豪ドルが大幅に下落しました(図10)。 上記のように、対米ドルで①円安と比べ②豪ドル安が相 対的に大きな動きとなった結果、豪ドル円レートは2014年 初より低水準で推移しています。 金融政策の違いなどから豪ドルの底堅い推移を予測 海外投資家の証券投資が豪ドル相場を下支え 足元、米ドル対円相場は、リスク回避の動きから円が買 われる場面もみられますが、今後も日米の金融政策の違 いなどから緩やかながらも米ドルは底堅く推移すると予想さ れます。 今後の米ドル対豪ドル相場については、米国の利上げ ペースが緩やかになると予想される一方で、景気刺激効果 による豪州経済の底堅さから、豪ドルの今後の下落は限定 的と思われます。以上のことから、今後は豪ドルは対円でも 安定した推移が期待されます。 また、海外投資家による対豪証券投資は、相対的に高い 利回りや安定した豪州経済を背景に、資金流入が続いて います(図11)。海外投資家による証券投資の流入は、今 後も豪ドル相場の下支え役になることが期待されます。