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腰椎椎間板ヘルニア 理学療法診療ガイドライン

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 530 42 巻第 6 号 530 ∼ 535 頁(2015 年) 理学療法学 第 42 巻第 6 号. 講  座 シリーズ 「エビデンスに基づく理学療法 ―理学療法診療ガイドラインを読み解く―」. 連載第 9 回 腰椎椎間板ヘルニア 理学療法診療ガイドライン. *. 伊 藤 俊 一 1). 表 1 各国の腰痛診療ガイドライン. はじめに 発行年.  世界保健機関(WHO)によると,腰痛の罹患率や有 病率は世界中至るところでほぼ一定であり,さらに世界 1) 中で休業原因の筆頭とされている 。このため,腰痛の. 診療ガイドラインはこれまでに 10 ヵ国以上から発刊さ れてきた(表 1)。  2004 年のヨーロピアン腰痛診療ガイドラインでは,. 国. 発行年. 国. 1994. アメリカ. 2001. イギリス. 1996. イスラエル. 2001. 日本. 1997. ドイツ. 2002. ノルウェー. 1998. スイス. 2002. カナダ. 1999. デンマーク. 2004. ニュージーランド ※. 1999. フィンランド. 2004. ヨーロッパ. ヨーロッパにおける腰痛の生涯罹患率は約 85%で,有. 1999. オーストラリア. 2007. アメリカ(改訂). 病率は 25%としている。以降,各国の統計もこれに習っ. 2000. スウェーデン. 2012. 日本(改訂). て腰痛の生涯罹患率は 85%,さらに画像により確定診. 2001. オランダ. 断ができない非特異的腰痛も 85%とされている. 2)3). 。. さらにこの腰痛診療ガイドライン以降,急性腰痛と慢性 腰痛に対する対処が分けて検討されるようになった。ま. ※オーストリア,ベルギー,デンマーク,フィンランド,フ ランス,ドイツ,イスラエル,イタリア,オランダ,ノル ウェー,スペイン,スウェーデン,スイス,イギリスの 14 ヵ国からの専門委員が作成.. た,このガイドラインでは,現在ではむしろ重要視され ている腰痛予防に関しても記してある。. 疫  学.  世界ではじめて腰痛診療ガイドラインを発刊したアメ リカでは 1994 年,2007 年,2009 年と 3 度,我が国でも.  腰椎椎間板ヘルニアの発症率を男女比でみると 3.3:. 腰椎椎間板ヘルニアでは 2001 年と 2012 年の 2 度,発刊. 1.0 と男性に多く,20 ∼ 30 歳代が 65%を占めるとされ. 時点での最新のエビデンスに基づいて診療ガイドライン. る。また,男性では事務職などに比べて重労働者(運転. の改訂が行われている。理学療法診療ガイドライン第 1. 手,金属・機械業労働者)では発症リスクは 3 倍,女性. 版の腰椎椎間板ヘルニアは 2011 年に発刊されているた. では職種よりも仕事量がリスクと関連しているとしてい. め,おもに 2004 年のヨーロッパ,2007 年のアメリカの. る. 4). 腰痛診療ガイドラインとその内容を参考に報告を吟味し. い. 5)6). た。また,このガイドラインの作成時点では,対象は可. リスクとして高い(グレード C)。. 能な限り腰椎椎間板ヘルニア単独であることに焦点を.  従来から,腰痛に限らず痛みの評価において問診は重. 絞った。しかし,本稿ではおもにガイドラインでの推奨. 要な役割を担う。また,その際に病態,身体機能評価の. 内容を中心にその根拠となった質の高い報告では腰椎椎. 結果,さらに予後などの情報を提供することはきわめて. 間板ヘルニア単独の結果でなくても採用して,理学療法. 7) 重要とされる(グレード A) 。病態および疫学の把握. 診療ガイドラインを有効活用していただくために各々の. は問診のヒントになるだけでなく,腰痛予防時のリスク. 事項に解説を加えて論述した。. 教育としても重要な指針となる. *. Physical Therapy Clinical Practice Guidelines of Lumbar Disc Herniation 1)北海道千歳リハビリテーション学院 (〒 066‒0055 北海道千歳市里美 2‒10) Toshikazu Ito, PT, PhD: Hokkaido Chitose Institute of Rehabilitation Technology キーワード:腰椎椎間板ヘルニア,理学療法,診療ガイドライン. 。現在のところ,スポーツの影響は示されてはいな 。また,重量物の持ち上げとその際の腰部回旋が. 3)7). 。. 評  価  L5 や S1 神経根症状を呈した腰椎椎間板ヘルニアで, 発症,疼痛,側弯,局所の筋スパズム,指床間距離,麻 痺,筋萎縮,腱反射異常,知覚障害や労働災害の認定.

(2) 腰椎椎間板ヘルニア 理学療法診療ガイドライン. 531. などとその診断能力の評価では,疼痛の部位と坐骨神経. ラップ療法は急性および亜急性腰痛が混在する対象の疼. 痛がもっとも診断精度が高く,その他の項目では診断精. 痛および RDQ スコアでの日常動作障害を短期間ではあ. 8). 度が低いかまったく診断的価値は示されていない 。ま. るが軽減する。さらに運動を追加することにより,疼痛. た,straight leg raising(以下,SLR)テストと安静時痛,. はより軽減して機能を改善することを示す 9 件の RCT. 夜間痛,咳嗽痛,鎮痛薬の必要度,歩行障害の関係を調. 17) がある(グレード B) 。これらの結果は,患者の病態. 査した研究では,SLR テストの結果と臨床症状は正の. や適応に関して統一した見解に至っていないが,この報. 相関関係にあり,SLR テストの下肢挙上の角度が腰椎. 告以降我が国でも急性腰痛に対する温熱療法の効果に関. 9). 椎間板ヘルニアの重症度を現すとされている 。さらに. する結果が毎年増加している。また,慢性期に対する温. 病歴と理学所見の意義を検討した meta-analysis におい. 熱療法の効果,さらに寒冷療法の腰痛自体への効果に関. ても,SLR テストが椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛. する質の高いエビデンスも存在していない. に対して感度が 0.85,特異性も 0.52 と高く信頼性のあ. 頭に物理療法を選択する必要がある。. る徴候であり,SLR テストでの評価は重視すべきであ.  また,これまで一般に用いられてきた持続牽引または. 10) る(グレード B) 。. 間欠牽引療法は,急性期,亜急性期,慢性期にかかわら.  また,腰痛の特異的評価である Roland-Morris Disa-. ず,大半の研究においてその方法論に問題があるものの. bility Questionnaire( 以 下,RDQ) と Oswestry Disa-. 有効である可能性は低いとされる. bility Index(以下,ODI)は,腰痛に伴う身体機能だけ.  以上の結果は,物理療法の再検討の必要性を示す結果. 11)12). であるが,それ以上にただ習慣的,盲目的に同一の物理. 現在世界でもっとも広く使用されている RDQ は,24 項. 療法を続けているセラピストや医療機関に対して一石を. 目の「はい」 「いいえ」の 2 択で簡便に評価が可能である。. 投じる結果である。. でなく日常生活の制限や障害の評価に有用である. 。. ODI は現在日本語版 ver.2.0 が使用されるようになり,6 段階 10 項目で RDQ 同様に簡便に評価可能である。ただ. 7). ことを念. 18). 。. 脊柱マニュピュレーション. し,ODI では SF-36 などの健康関連 QOL や患者満足度.  腰椎椎間板ヘルニアに対する脊柱マニュピュレーショ. と適切に組み合わせて評価することが推奨されている。. ンに関しては,2000 年までのガイドラインではそのエ. いくつかのガイドラインでは,可動域や筋力などの身体. ビデンスに関して懐疑的としている報告が少なくなかっ. 機能評価よりもこれらの特異評価の方が重要だともして. た。しかし,急性の腰痛,坐骨神経痛を訴える患者に対. 7). 。また,どちらの評価も,評価精度が報告により. するマニピュレーションの有効性を示す多くの報告によ. 幅がある,精神的側面の評価が少ない,ことなどの短所. り,2004 年のヨーロッパの腰痛診療ガイドラインでも. も指摘されているが,日本人の基準値があること,多く. 2007 年の米国のガイドラインでも急性期に推奨されて. の先行研究があり比較することが可能であるなどの長所. いる(グレード B). いる. 2)7)19). 。しかし,対象が腰椎椎間板. 13)14). ヘルニアのみではないこと,対象の病態が明らかでない. 系統的レビューの結果から,RDQ スコアが 10%変化し. ことやその評価法が独自のものが多く,結果の信頼性に. た場合や 2 ∼ 3 点の変化があった場合には症状が変化し. 関してはさらなる検討が必要とされている。. が認められている国際標準評価のひとつである. 。. たと推定すべきであるとしており,臨床で重要な変化が 起こったと考えるべき点数変化は 5 点であるとしてい る. 15). 。. 保存療法および手術療法  腰椎椎間板ヘルニアに対する保存療法と手術療法の比.  腰椎椎間板ヘルニアに限らず,あらゆる疾病の診断の. 較に関しては多くの報告があるが,短期的な早期予後は. 基本は的確な問診である。単純 X 線写真や MRI などを. 手術療法がよいとするものが多い。しかし,長期的予後. 含む各種画像診断は,本来最終的な診断補助手段であ. における下肢痛の遺残や復職率に関する検討では両者に. り,診断のために有益な情報の収集および病歴(臨床症. は差がないとするエビデンスが示されている(グレード. 状)を吟味することが重要となる. 16). 。また,視覚的評. 20‒22). B). 。一般に腰椎椎間板ヘルニアの絶対的手術適応. 価スケール(Visual Analog Scale:VAS)はもちろん,. は,急性の膀胱直腸障害や神経根脱落所見(麻痺など). SLR や腰痛特異評価など世界的に認められている評価. を呈した場合だが,その頻度は 10 ∼ 20%と高くない。. 結果の変化を捉える必要がある。. 一方で,発症当初は著しい疼痛に見舞われても,50%程. 物理療法. 度は保存療法のみで緩解する。したがって,初期治療の 基本は保存療法が第一選択となる. 16). 。.  特に急性腰痛に対する物理療法に関するエビデンス.  腰椎椎間板ヘルニアの保存療法で,現在の世界スタン. は,近年の質の高い報告によって大きく変化した。腰椎. ダードは McKenzie エクササイズであり,慢性期に対す. 椎間板ヘルニアのみを対象とした報告ではないが,温熱. る効果は明確でないとされながらも急性期に対する若干.

(3) 532. 理学療法学 第 42 巻第 6 号. の効果が認められている 23)。また,それ以上に重視し なければならないことは活動の再開である. 2)7)16). 。活動. の再開に関して腰椎椎間板ヘルニアだけでの報告はない ものの,安静臥床と 2 日間の安静で早期活動再開を比較. 応じた具体的介入法や長期的な効果に関しては現時点で は明らかにはなっていない 33)。. 術後の理学療法. した報告の結果から,3 週後および 3 ヵ月の身体運動機.  術後の早期理学療法に関しては,漸増する集中的な運. 能面と ODI スコア,さらに欠勤日数で有意な差が示さ. 動プログラムが特異的な有効性を示す。短期的に背筋筋. 24)25). 。もちろん,痛みが強い場合はこの推奨. 力,疼痛,QOL を改善,さらに復職率を向上させると. どおりにはいかなくても,前述した評価,物理療法,急. の報告は多く,術後可能な限り早期からの介入が奨めら. 性期の対応などの選択により,活動再開までの期間を可. れる。また,その種目に関しては,早期腰椎伸展筋力強. 能な限り 3 日に近づけることがセラピストに課せられた. 化エクササイズ群と自宅セルフエクササイズ群の比較結. 命題となる。. 果で,セルフエクササイズ群に比べて伸展エクササイズ. れている. 群では,背筋力,疼痛,QOL および職場復帰率の有意. 運動療法. 34) な改善が認められている(グレード B) 。.  運動療法には様々な方法があり,大別して①活動維持.  術後のエクササイズとしては,一般にストレッチン. の推奨,②柔軟性エクササイズ,③筋力強化,④エアロ. グ,筋力強化,スタビリゼーション,などが挙げられて. ビクス(ジョギングやサイクリング),⑤アクアエクサ. いるが,12 ヵ月後の痛みと ODI スコアでは差を認めず,. サイズ,⑥腰部安定化エクササイズ,⑦協調運動,⑧特. 各々単独の効果も,どの時期に,どの順番で,どの程度. 異的な体操療法(McKenzie エクササイズなど)に分け. の強度で施行するか,などに対しては依然明らかになっ. られている。. 35) ていない(グレード C) 。.  以上の結果から,術後は早期から漸増的な伸展筋力強 1.急性期の運動療法. 化エクササイズが一定の効果が認められているが,早期.  腰椎椎間板ヘルニアのみならず,急性期の腰痛の軽減. から伸展域での伸展筋力強化エクササイズは実施できな. や機能障害の改善に運動療法の効果を示している報告は. いことが多いことなどから,具体的な方法に関してはさ. ない。また,具体的な介入法に関するエビデンスはない. らに詳細な検討が必要である。. 2)26)27). (グレード A). 。. 予  防. 2.亜急性期の運動療法.  腰痛予防という観点では,1 次予防(発症予防),2 次.  運動療法とプラセボ治療,運動療法と一般的な保存療. 予防(発症後の悪化予防,急性腰痛の慢性化予防),3. 法とには痛みの軽減や機能障害の改善に差は認められな. 次予防(再発予防)の 3 点での検討がなされている。結. 26)27). 。しかし,エアロビクスを含めて段階的に活動. 論的には,現在腰椎椎間板ヘルニアのみならず腰痛の 1. 量を増やす運動療法は,通常の保存療法に比べて職場. 次予防に関するエビデンスはない。しかし,腰痛の 2 次. い. 28)29). 。また,心. 予防および 3 次予防に関して,運動療法,活動性の維. 理・社会面まで包括した集中的集学的リハビリテーショ. 持・(早期)再開,姿勢・ボディーメカニクス,コルセッ. ンは,運動療法の限定的な結果ではないが,痛みの軽減. ト,認知行動療法,などの指導がおもに職業性腰痛の予. の欠勤日数を減少させる(グレード B). や機能障害の改善に対する効果が示されている. 30). 。. 防として数多く報告されている. 2)3)7). 。2・3 次予防とし. て,早期運動療法,心理指導,職業指導,個別対処をし 3.慢性期の運動療法. た群では有訴率の減少,職場復帰率の向上,医療機関利.  運動療法に関しては,慢性期には一般的には週 1 ∼ 3 回行うことが推奨されている. 31). 。また,その実施に関. 用の減少,内服薬使用量の減少,などにおいて有用であ ることが示されている. 36). 。. しては理学療法士の管理下で行うことで,フィードバッ.  運動療法では具体的方法として,体幹筋の筋力強化,. クのない家庭でのセルフエクササイズに比べてコンプラ. ストレッチング,持久力強化が有効とされているが,1. イアンスがよく,長期成績も良好であることが示されて. 次予防ではなく 2・3 次予防としてもっとも期待がもて. 32). 2)3)37). いる(グレード B) 。. ると示されている.  運動療法は,他の保存療法に比べて痛みや機能改善さ. おりであるが,活動性の維持としては VAS 値の改善や. らに欠勤日数の減少や職場復帰率への効果が認められて. 休業期間の短縮,再発率低下にも効果的であるとされて. いる. 28). 。ガイドラインにおいてもその効果に関して否. 定する報告はなく,慢性期に対する運動療法は強く推奨 3)7). されている(グレード A). 。ただし,痛みの状況に. いる. 。活動性の再開は前述したと. 38)39). 。姿勢・ボディーメカニクスの指導に関して. は,身体障害の予防に有用とのエビデンスを明らかにし た報告はない. 40). 。現在,コルセット装着が腰椎椎間板.

(4) 腰椎椎間板ヘルニア 理学療法診療ガイドライン. 533. 表 2 ヨーロッパの腰痛診療ガイドラインでの推奨(文献 2,3 を一部改変) 急性腰痛 グレード. 効果. グレード. 小. B. −. −. 小. B. −. −. 中等度. B. −. −. 実証(−). I. 実証(−). I. 中等度. B. 中等度. B. 活動継続の維持 書籍・ハンドアウト 表在低温ラップ療法(温熱療法) 腰部サポーター(コルセット) 脊柱マニュピュレーション 運動療法. 亜急性・慢性腰痛. 効果. 強(効果なし). D. 強. B. 鍼治療. 実証(−). I. 中等度. B. マッサージ. 実証(−). I. 中等度. B. ヨガ. −. −. 中等度. B. 認知行動療法. −. −. 強. B. 段階的リラクセーション. −. −. 中等度. B. 集中集学的リハビリテーション. −. −. 強. B. 腰痛学級. 小. I. 中等度. C. 牽引療法. 小(効果なし). I. 小(効果なし). C. TENS. 小. I. 小. I. 寒冷療法. 小. I. 小. I. 低出力レーザー. 小. I. 小. I. 短波療法. 小. I. 小. I. バイオフィードバック. −. −. 小. I. 干渉療法. 小. I. 小. I. 小(効果なし). I. 小. I. 超音波療法. A:強いエビデンスがある  B:中等度のエビデンスがある  C:弱いエビデンスがある D:エビデンスがない  I:エビデンスに足る報告がない. 表 3 アメリカの腰痛ガイドラインの推奨(文献 7 より一部改変) 介入 活動性の維持・再開 セルフケア. 本・パンフレット 温熱療法 脊柱マニュピュレーション. 非薬物療法. 急性腰痛(4 週間未満) 慢性腰痛(4 週間以上) 強. 強. 中等度. 中等度. 強. −. 中等度. 中等度. 運動療法. −. 中等度. マッサージ. −. 中等度. 鍼灸. −. 中等度. ヨガ. −. 中等度. 認知行動療法. −. 強. 集中集学的リハビリテーション. −. 強. ヘルニアを含めて腰痛の 1 次予防に効果があるというエ. 今後さらなる検討は必要であるものの,現在のガイドラ. ビデンスはない。しかし,コルセット装着が腰痛発症後. インでは運動療法に対する期待が大きいこと,さらに患. の罹患期間を有意に短縮し,さらに再発予防に有用であ. 者満足度や心理状態も検討して評価・治療していく必要. るとの報告が示されている. 41). 。認知行動療法の有効性. 性が示されている。. に関しては,2・3 次予防に高いエビデンスを示す報告.  最後に,腰椎椎間板ヘルニア理学療法診療ガイドライ. が数多く,最新の多くのガイドラインで強く推奨されて. ンと比較していただくため,ヨーロッパの腰痛診療ガイ. いる. 3)7)41). 。.  以上の結果は,腰椎椎間板ヘルニアの予防に関しては. ドラインとアメリカのガイドラインでの推奨に関して改 めて表に示す(表 2,3)。.

(5) 534. 理学療法学 第 42 巻第 6 号. おわりに  腰椎椎間板ヘルニアのガイドラインを中心として,腰 痛診療ガイドラインの結論も加味して論述した。  本来診療ガイドラインは 60 ∼ 90%の患者にあてはま る結果であるため万能ではないこと,さらに定期的見直 しを行わないと最新のエビデンスとは合わない結果とな ることを念頭に置く必要があり. 42). ,2008 年までの報告. で作成した腰椎椎間板ヘルニアの理学療法診療ガイドラ インや腰痛そのものの理学療法診療ガイドラインはすで に改訂しなければならない時期となっている。  今後の腰椎椎間板ヘルニア,さらに腰痛のガイドライ ンでは,その診断と治療は心理・社会的問題やストレス などを加味して,informed consent だけでなく患者自身 が治療の選択可能となる informed decision であるべき とも述べられている. 43). 。このために,セラピストは常. に最新の知見を理解して,根拠のない常識や習慣ではな く世界標準に照らして評価・治療を選択していかなけれ ば,保険診療の枠組みからは逸脱していくことになる。 文  献 1)Fleck F: WHO supports Liberia’s health crisis appeal. Bull World Health Organ. 2003; 81(12): 920‒921. 2)van Tulder M, Becker A, et al.: Chapter 3. European guidelines for the management of acute nonspecific low back pain in primary care. Eur Spine J. 2006; Suppl 2: S169‒S191. 3)Airaksinen O, Brox JI, et al.: Chapter 4. European guidelines for the management of chronic nonspecific low back pain. 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