トンネル工法の概要と
山岳トンネルの地質調査・地山評価
- 先進ボーリング調査・試験を活用するために -
北電総合設計株式会社 森藤 勉
⑥ 施工中の地質調査(切羽前方探査) ⑦ 水文調査 ⑧ 立地条件の調査(トンネル周辺の環境調査)
(4) 先進ボーリングに関する調査・試験
① 先進ボーリング調査・試験の目的とおもな項目 ② ボーリングコア観察・RQD ③ 原位置試験(孔内水平載荷試験・速度検層) ④ 室内試験-1(一軸、超音波速度、密度) ⑤ 室内試験-2(スレーキング・浸水崩壊度) ⑥ 室内試験-3(吸水膨張、粉末X線回折) ⑦ 化学分析(重金属等の含有量・溶出量)(5) トンネルの地山評価
① 調査結果の整理(事実と解釈、設計・施工へ) ② 地山評価の方法 ③ 地山分類による地山評価 ④ 地山分類表(地山等級区分) ⑤ 経験的な指標(特殊な地山条件)(6) 設計・施工 の参考資料
① NATM工法の一般的な流れ ② 掘削工法、掘削方式 ③ 坑口部の区間 ④ 補助工法(1) トンネルとは?
1)一般に ・2地点間の交通と物資の輸送 あるいは貯留などを目的とし、 建設される地下の空間 ・断面の高さあるいは幅に比べて 軸方向に細長い地下空間 ・立坑、斜坑、地下発電所なども含む 2)1970年のOECDトンネル会議 ・計画された位置に所定の断面寸法 をもって設けられた地下構造物 ・仕上がり断面積が2m2以上のもの 3)トンネル技術協会 ・2)に加え、 ・地中の管路については、仕上がり 断面の直径が0.8m以上 ・鉱山における坑道等は含まない 出典:一般社団法人トンネル技術協会 HPより 表 トンネルのいろいろな呼び名 軸方向の長さ 高さ 幅 注)道路トンネル では異なる(2) トンネル工法
①おもな3種類の工法(山岳、シールド、開削)
★山岳工法 ・矢板工法(木製支保工)(1950年頃まで) ・矢板工法(鋼製支保工)(1970年代前半まで) ・NATM工法 (1970年代後半以降) ★シールド工法 ・シールドマシンの前方部で地山の崩壊を 防ぎながら掘削・推進し、その後方部で セグメントをはめ込む覆工する ★開削工法 ・地面を掘り返してトンネルを構築し埋め戻す ☆沈埋工法 ☆ケーソン工法★トンネル工法 の比較
★ シールド工法の例(1) 泥水式シールド機 土圧式シールド機 おもなシールド工法 の分類 泥土加圧シールド工法のイメージ図 セグメント 面板(回転部)
★ シールド工法の例(2)
泥水式シールド工法の全容
断面図
覆工(セグメント) 鋼製セグメント RCセグメント
② 山岳工法の概要
1)山岳工法とは ・文字どおり、山岳部にトンネルを掘るための工法 ・横方向にトンネルを掘り進めながら、その後方に 支保工を設けて掘削面を支える ・最後に覆工を巻いて仕上げる 2)これまでの支保工(矢板工法≒在来工法) ・木製支保工(1950年頃まで) ・鋼製支保工(1970年代前半まで) ★ 矢板工法(鋼製支保工)の手順 ・掘削後、地山崩落防止のため鋼製支保工を立て込む ・地山と鋼製支保工の間に矢板を挿入し、鋼製支保工 間の地山を固定(矢板を地山に当てた後、次の鋼製 支保工を立て込む場合あり)★ 矢板工法の短所 ・地山と支保工の間に空隙が残るのが通例 ・周辺地山を緩め、支保工への荷重が増加しやすい ・支保工に応力集中、アーチ構造としての耐荷力低下 ・裏込め注入しても空隙を完全に充填するのが困難 ・中~大断面では、施工性が悪く、長い工期を要する ★ 矢板工法の長所 ・掘削断面が小さく、機械施工の選定制約がある場合 ・高圧多量の湧水かつ排水工の効果が不十分な場合 ・吹付けコンクリートの施工が困難な場合 矢板工法の構成部材 支保工図の例
★ NATM工法(New Austrian Tunneling Method) ・トンネル周辺の地山の支保機能を有効に活用する ・掘削後、吹付けコンクリート、ロックボルト、鋼製 支保工により地山の安定を確保して掘進する ★ NATM工法の適用条件(地山条件) ・掘削時の切羽が自立することが前提 ・周辺地山の支保機能よりグランドアーチが形成され ることが基本である。 ★ NATM工法の適用範囲の拡大 ・切羽の安定性を向上される補助工法の技術的な進歩 ・都市部の未固結地山、土被りの小さな場所で施工事 例が増加(従来はシールド・開削工法が通例)
★ NATM工法のおもな原理(在来工法との比較) トンネル構造物の考え方 1.トンネルを支保するのは基本的には周囲の岩盤 2.岩盤がもともと有している強度できるだけ損なわない トンネル周辺の緩み 3.岩盤の緩みは、極力、防がなければならない 緩みによる覆工規模 岩盤中に生成される支持リング 5.岩盤の変形は抑えるようにしなければならない 4.岩盤は三軸状態で安定、一軸・二軸応力状態を避ける
★ NATM工法の支保工・標準支保パターン <1> 道路トンネル(中断面の標準的な支保パターンの例)
★ NATM工法の支保工・標準支保パターン <2>
★ NATM工法・道路トンネルの標準断面の例 <1> 支保パターン:CⅠ
★ NATM工法・道路トンネルの標準断面の例 <2> 支保パターン:CⅡ-b
★ NATM工法・道路トンネルの標準断面の例 <3> 支保パターン:CⅡ-b-i
★ NATM工法・道路トンネルの標準断面の例 <4> 支保パターン:DⅠ-b
★ NATM工法・道路トンネルの標準断面の例 <5> 支保パターン:DⅡ
★ NATM工法・道路トンネルの標準断面の例 <6> 支保パターン:E
★ NATM工法・道路トンネルの標準断面の例 <7> 支保パターン:DⅢ
(断熱材あり)
(坑口)
(3) 山岳トンネルの地質調査
★ 地山条件の調査
・地形、地質、地質構造、水文など
・トンネル周辺や工事に影響及ぼす条件
★ 立地条件の調査
・自然環境、社会環境、生活環境
① 地山条件の調査の流れ <1>
① 地山条件の調査
の流れ <2>
② トンネル周辺や工事に影響を及ぼす条件
★ 特殊な地山条件
② トンネル周辺や工事に影響を及ぼす条件
★ 留意すべき設計・施工条件
③ 地質調査の
項目、
利用法、
適用段階
<3>
★地山条件、 調査項目と 調査法の 関係④ 路線選定のための地形と地質の調査
★ おもな目的
・トンネル周辺の地山条件の概要を把握
・複数の計画路線から選定
・問題点の整理とその後の調査計画立案
★ おもな調査方法
・資料調査
・空中写真判読
・地表地質踏査
・物理探査(弾性波探査・・)
・ボーリング調査
・標準貫入試験
⑤ 設計・施工計画のための地質調査
★ おもな目的
・トンネル地山条件の全容を把握
・設計施工に必要な基礎資料を得る
・段階的に実施し、精度を高める
★ おもな調査方法
・地表地質踏査
・物理探査(弾性波探査、電気探査・・)
・ボーリング調査
・原位置試験(速度検層、電気検層・・・)
・室内試験(物理、力学、劣化、膨張性・・)
・化学分析(重金属等、水質・・)
⑥ 施工中の地質調査(切羽前方探査)
★ おもな目的
・施工事前に不可能だった調査を実施
・施工事前に予想されなかった問題に
対して調査する
・トンネルを安全かつ経済的に施工する
★ おもな調査方法
・物理探査(弾性波速度、比抵抗・・・)
◎先進ボーリング調査(地質、地下水・)
・原位置試験(強度、変形係数、緩み・・)
・室内試験(物理、力学、劣化、膨張性・・)
・化学分析(重金属等、水質・・)
★切羽前方探査技術 の現状と評価
(施工中の坑内から 実施する調査技術)
⑦ 水文調査
★ おもな目的
・坑内湧水量の予測
・設計、施工上の問題点を把握
・周辺環境への影響を把握
★ おもな調査方法
・資料調査 ・事例調査
・水文地質調査
・水収支
・水文環境(水源、水利用)
★ 実施段階
・路線選定~設計・施工~維持管理
⑧ 立地条件の調査(トンネル周辺の環境調査)
★ おもな目的
・トンネルルートの施工に関わる範囲に
ついて、自然環境、社会環境、生活環境
および工事を規制する法規の情報取得
★ おもな調査方法
◎生活環境調査
・騒音、振動 ・渇水 ・地盤沈下
・汚濁水 ・交通障害 ・鉱染、重金属
◎環境影響評価(環境アセスメント)
★ 実施段階
・路線選定~設計・施工~維持管理
★トンネル周辺の 環境調査項目
(4) 先進ボーリングに関する調査・試験
① おもな目的と項目
<目的>
・施工事前に不可能だった調査を実施
・施工事前に予想されなかった問題に
対して調査する
・トンネルを安全かつ経済的に施工する
<調査・試験項目>
・先進ボーリング調査
・原位置試験
・室内試験
・化学分析
② ボーリングコア観察・RQD
★ ボーリングコア観察のおもな着目点
・岩種区分
・塊状岩盤か層状岩盤か
・硬軟
・コア形状(割れ目間隔、頻度)
・割れ目の状態(風化、劣化、粘土化)
・風化の状態(岩盤のサビ方)
・変質の状態(岩盤劣化の一要因)
・色調(新鮮色、風化・変質色)
・RQD「(5)と(10)」(割れ目頻度)
・断層、破砕部、脈、鉱物などの存在
RQDの定義 → 岩盤の不連続性 割れ目の頻度 ・RQD(10) コア長10cm以上のものを扱う ・RQD(5) コア長 5cm以上のものを扱う 北海道開発局の道路トンネルを調査対象と する場合、地山を評価する際の1指標
★ RQD<1>
RQDは万能か?
注意点 すべて → RQD(10)=0 ↓割れ目とボーリングの方向