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最新の温暖化予測 氷河期は来ない

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(1)

(1) IPCC WG1 AR4(2007)の重要ポイント

(2) WG3 カテゴリーIの2℃抑制は科学的に矛盾

(3) 温室効果ガス全体(6ガス、エアロゾル)が増加傾向

(4) 途上国、先進国が合意できる排出シナリオの探求

(5) CO

2

だけに単純化した中長期目標の検討

CO

2

以外の

GHG削減は複雑で、分けて議論することを提案)

CRIEPI

温暖化防止目標と科学的知見の整理

環境科学研究所、我孫子

2008/12/18

参考資料1

1

東京大学

特任教授

湯原

哲夫

(2)

(1) IPCCWG3カテゴリーI のΔT=2℃目標(EU目標)は、等価CO2濃度450ppm(京都6ガスの合計濃度)で安定化

が必要。しかし、2005年の等価濃度は約455ppm(IPCC AR4)、既に目標を超過。科学的にはカテゴリーIの

気温上昇2℃抑制は、オーバーシュート以外は不可能。新たなる気候目標が必要である。

(2)気候目標として、気温上昇ΔT2を2.5 ℃(産業革命以降)程度に緩和すれば、低排出B1シナリオ(IPCC)は削減 目標(2100年のCO2濃度=約550ppm、等価濃度640ppm)の有力候補(IPCC AR4の予測結果参照)。

(3) CO2以外の温室効果ガスGHG(CH4 , N2 O,CFC等)は増加傾向。しかし、 2005年の段階では、たまたま GHG (CO2を除く)の温室効果はエアロゾル(SOx等)の寒冷化効果により相殺されている。今後、中国等の酸性雨 対策でエアロゾル(SOx等)が削減される場合、 GHG(CO2を除く)削減と相殺関係を維持しないと、リバンド効 果で追加的な気温上昇が生ずる。 (4)すべての温室効果ガスを考慮した気候モデルによる予測結果では、B1シナリオと洞爺湖G8の2050年半減シナ リオの気温上昇抑制効果はほとんど変わらない。 (5) GHG(CO2を除く)とエアロゾルの相殺関係を仮定して除外すれば、長期目標としてCO2だけの排出削減(エネル ギー起源+土地利用起源)議論が可能である。今後、途上国(排出量比50%)が550ppm安定化(B1シナリオ とほぼ同じ)、先進国が450ppm安定化を目指せば、世界全体の目標は500ppm安定化となる。 (6) 450ppm安定化目標では、2020年排出量は2005年レベルの8%減、2050年では42%減(2005年比)となり、 G8洞爺湖半減シナリオにほぼ一致する。一方、長期需給見通しの2020年中間目標(2005年比で13%減、森 林吸収分を加えると16%減)は、450ppm安定化をよりもさらに厳しい削減率である。

長期目標に関する科学的知見のまとめ

2

(3)

1. 2005年において、気温上昇0.74℃、CO

2

濃度

379ppm、等価

CO

2

濃度は既に

455ppm

に達している。

2. 平衡気候感度のベスト推定値

3℃(幅:

2.0~4.5℃)

3. 気候モデルの予測結果(21世紀末平均-20世紀末平均):

低排出

B1シナリオ

1.8℃

(幅:

1.1~2.9℃)

(注)

2005年までの観測値0.74℃を加えると、2100年で2.5℃程度となる。気温抑

制目標を

2℃~2.5℃程度と緩和すれば、B1シナリオは世界全体の削減目標の候

補の一つとなる。

○中排出

A1Bシナリオ

2.8℃ (1.7~4.4℃)

○高排出

A2シナリオ

3.4℃ (2.0~5.4℃)

4. 森林と海洋のCO

2

吸収量は目減りしている。

CO

2

濃度を

450ppmで安定化するには、21世紀の総排出量約

670GtC→490GtC(目減り量は約25%)に減らす必要がある。

(注)目減り分の議論は科学的不確実性が大きい。

AR5(2013)の結果を見てから今

後の削減政策に取り入れるのが妥当であろう。

(1) IPCC WG1 AR4(2007)の

重要ポイント

3

(4)

(出典:電中研調査報告V06401、2006年) (AR4では1750年を基準、Co=278ppm)

等価CO

2

濃度の計算方法

GHG放射強制量の総和=等価CO

2

濃度の放射強制力

参考1

4

(5)

http://en.wikipedia.org/wiki/Carbon_dioxide_equivalent

Equivalent carbon dioxide

Equivalent CO

2

(CO2e) is the concentration of CO

2

that would cause the same level of

radiative forcing as a given type and concentration of greenhouse gas. Examples of such

greenhouse gases are methane, perfluorocarbons and nitrous oxide. CO2

e

is expressed as

parts per million by volume, ppmv.

CO

2

e calculation example:

The radiative forcing for pure CO

2

is approximated by RF = αln(C / C

0

) where C is the

present concentration, α is a constant, 5.35 and C

0

the pre-industrial concentration, 278

ppm. Hence the value of CO

2

e for an arbitrary gas mixture with a known radiative forcing is

given by C

0

exp(RF / α) in ppmv(EQ1).

To calculate the radiative forcing for a

1998

gas mixture, IPCC 2001 gives the radiative

forcing (relative to 1750) of various gases as: CO

2

=1.46 (corresponding to a concentration

of 365 ppmv), CH

4

=0.48, N

2

O=0.15 and other minor gases =0.01 W/m2.

The sum of these

is 2.10 W/m2. Inserting this to the above formula(EQ1), we obtain CO

2

e = 412 ppmv.

等価CO

2

濃度の計算法の確認

等価CO

2

濃度の計算法は、WG1のAR4には記載されていない。確認をするため、

WIKIPEDIAを調べると、以下の定義、計算法が紹介されている(参考1と同じ手法)。つまり、

等価CO

2

濃度に変換するガスは、普通はCH4、PFC(厳密にはフロン、代替フロンの全て)、

N

2

Oなど京都議定書対象6ガスである。具体的な計算方法では、CO

2

および他のガスの放

射強制力(Radiative Forcing、RF)を計算し、その総和を求めてから、その総和に等しくな

るCO

2

濃度を一度に計算すること。濃度とRFが線形ではないので、個別のガス毎に等価

CO

2

濃度を計算して、それらを合計して等価CO

2

濃度を求めると間違いになる。

参考2

5

(6)

(IPCC WG3 p.27)Atomospheric CO

2

concentrations have increased by almost 100ppm

since their pre-industrial level, reaching 379ppm in

2005

, with mean annual growth rates in

the 2000-2005 period higher than in the 1990s.

The Total CO

2

-equivalent(CO

2

-eq)

concentration of all long-lived GHGs is now about 455ppm CO

2

-eq. Incorporating the cooling

effect of areosoles, other air pollutants and gases released from land use-change into the

equivalent concentration, leads to an effective 311-435 ppm CO-eq concentration(high

agreement, much evidence).

等価CO

2

濃度(WG3に見られる記載)の対象ガス

等価CO

2

濃度の記載は、IPCC WG3 AR4のp.27には以下のような記載がある。これ

は、参考1,2の計算法から計算される等価CO

2

濃度によって確認することができる。京

都対象6ガスまでを考慮するか、エアロゾルその他のガスまでを考慮するか、どちらを

採用するかは自由である。したがって、削減政策を議論するには、あらためて、対象ガ

スの種類を明確にする必要がある。

参考3

(IPCC WG1 SPM p.4、詳細は後述。)

京都対象6ガスの合計放射強制力:

2.64 W/m

エアロゾル等全ガスの放射強制力:

1.6W/m

(幅=0.6W/m

~2.4W/m

等価

CO

2

濃度=

C

0

exp(RF / α) (EQ1)

京都対象6ガスの合計の等価CO

2

濃度:

455 ppm (C

0

=278ppm

エアロゾル等全ガスの等価CO

2

濃度

375 ppm (幅=311ppm~435ppm)

(IPCC WG3 AR4 p.27)

6

(7)

20000 2020 2040 2060 2080 2100 5 10 15 20 25 30 35 year

CO2 emission (PgC/yr)

A2 A1B B1

各シナリオの

CO

2

排出量と等価

CO

2

濃度

シナリオ

CO

2

単独濃度(

2100年)

等価

CO

2

濃度(

2100年)

A2〈高排出)

829 ppm

1235 ppm

A1B(中排出)

689 ppm

860 ppm

B1(低排出)

537 ppm

638 ppm

CO2単独濃度は産業起源と森林破壊分を加えた分。森林破壊によるCO2排出量はシナリオ毎に異なる。 CO2濃度の計算法はMAGICC(T. WIgley,1995)を用いた(手法により若干の違いがある)。 1900 2000 2100 2200 2300 2400 200 400 600 800 1000 1200 1400 年 2450 CO 2 等価濃度 (ppm) A1Bシナリオ: 中排出 IPCC A2シナリオ: 高排出 B1シナリオ: 低排出 濃度安定化 (京都議定書の6種温室効果ガスと土地利用分を含む) エネ起源(化石燃料、セメント製造 等)のCO2排出量(GtC/年) 低排出B1 中排出A1B 高排出A2 CO 2 排出量 (GtC/ 年 ) (森林破壊分を除く)

(等価CO

2

濃度は、CO

2

、CH

4

,N

2

O,CFCの京都6ガスを対象)

7

(8)

A2 2030 A1B 2030 B1 2030 A2 2100 A1B 2100 B1 2100

各シナリオの1次エネルギー構成の特徴

バイオ

マス

天然ガス

石炭

石油

原子力

再生可

能エネ

A2:高排出

A1B:中排出

B1:低排出

B1の特徴は、1次エネルギーの約50%が原子力と再生エネルギー

8

(出典:電中研(2007))

(9)

IPCC WG1/AR4 SPM(政策立案者向け要約): 例え、温暖化防

止条約のように

CO

2

濃度を安定化できたとしても、気温上昇、

海面上昇は長期間継続する

←気候システムの遅れ

WG1AR4:Δhベスト推定値

(主に海水熱膨張による)

1900 2000 2100 2200 2300 2400 12 14 16 18 20 year

surface air temperature, degree C

A2

A1B

B1

全球気温上昇

1900 2000 2100 2200 2300 2400 0 20 40 60 80 100 120 year sea level change , cm

A2

A1B

B1

濃度安定化

濃度安定化

1.8(1.5)℃

2.8(2.5)℃

3.4(3.7)℃

WG1AR4:ΔTのベスト推定値

本モデルの特性(気候感度

2.7度)

0.18~0.38cm

0.21~0.48cm

0.23~0.51cm

海水の熱膨張による海面上昇 GIS融解は複雑なので検討外

全球

平均気温(

海水の

膨張に

る海面上昇(

cm

21世紀末の温暖化予測結果

9

(出典:電中研(2007))

(10)

Annual Mean Surface Air Temperature Change (2090s - 1990s) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Ca na di an Arc tic R ussi an Arc tic G reenl and Al as ka n Arc tic North ern E urop e Al as ka N or thw es t C anada We st er n S ib eri a Ea st er n S ib er ia Ce nt ra l Ca na da Ea st er n C anada Ce nt ra l R ussi a Eu ro pe M on go lia C en tr al A sia We st er n U. S. Ce nt ra l U .S . Ea st er n U. S. M ed ite rra ne an Ea st A sia Ti bet an Pl at eau North ern Ch in a M iddl e E as t North ern Af ri ca So ut her n C hi na Sahar a Des er t A rabi an P eni ns ul a Indi a Indo chi na Sahel C en tr al A m er ic a Ce nt ra l Af ri ca Indo nes ia Ama zon ia So ut her n A fr ic a North ern Au stra lia Br az il C en tr al A us tr alia Ea st er n Au st ra lia So ut h A fr ic a Arg en tin e So ut her n A us tr al ia A nta rc tic a 2m A ir T em per atu re C han ge ( deg. C ) A1B A2 B1

西部

南部

中部

北部

豪州

東アジア(日本を含む)

北半球

南半球

ヨーロッパ

米国西部

地中海地域

予測結果:気温上昇(

2100年末の10年平均)

10

(出典:電中研(2007))

(11)

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

稚内 札幌 函館 青森 仙台 新潟 前橋 金沢 東京 名古屋 京都 大阪 福岡 宮崎 鹿児島 奄美 那覇 台湾 ジャ カル タ バン コ ク

平均気温

(℃)

2℃上昇:東京→鹿児島

5℃上昇:東京→奄美

2℃上昇:札幌→青森

5℃上昇:札幌→仙台

那覇はジャカルタ並み

現状平均気温

(理科年表、H19)

日本の主要都市の現状気温と

21世紀末の比較

(21世紀末と20世紀末の気温上昇(2℃~5℃)を仮定)

11

(出典:電中研(2007))

(12)

等価濃度が記載。しかし、等価濃度はすでに

455ppm(2005年)に達し、2℃抑制は不可能と解

釈するのが科学的に正しい。

(有力新聞:平成

19年5月5日)

この時のマスコミの誤報道(CO2濃度、等

価濃度の混用)がその後の削減議論をミス

リードしているのではないか?

(2) WG3カテゴリーIの2℃抑制は科学的に矛盾

12

(13)

気温上昇の計算方法の解説(WG3で採用)

簡易式:Δ

T(℃)=ECS・

log

2

(C/C

0

)

(1)

ここで、

ECS=平衡気候感度=3℃

IPCC WG1 AR4のベスト推定値)

C

0

=産業革命(1750年)以前のCO

2

濃度

280ppm

C =安定化のCO

2

濃度

(注)Δ

T=2℃として、式(1)で逆算すると、C=445ppm(カテゴリーI)となる。現

実には、

6種類の温室効果ガスが存在するので、455ppm濃度は全てのガスを考

慮した等価

CO

2

濃度と解釈するのが一般的になった。

13

(14)

1985年頃の値 ΔTe(℃)=ECS・log2 (C/C0 ) ECS=3℃ ESC=4.5℃ ESC=2.0℃ 3.0 2.5 2.4℃ 2.0℃

Δ

F(W/m2)=5.35・ln (C/C

0

)

放射強制力・計算方法

平衡気温上昇・計算方法

ESC=3℃, C0 =280ppmCO2e 445 490 ppm

カテゴリーIでは、CO

2

濃度は350ppm(1985年頃)となり、

過去の濃度に戻すことを意味している(極めて困難)。

等価CO2濃度(ppmCO2e)

2005年に等価濃度は455ppmCO

2e

(IPCC AR4)に達した。すでに、カテ

ゴリーIの濃度安定化目標を超えており、EU目標は科学的に矛盾している。

(IPCCのbest estimate) 等価CO2濃度(ppmCO2e)

C=等価濃度, C0 =280ppmCO2e

(15)

2℃抑制には2100年で負の排出量となる(非現実的)

2℃抑制するに は、1985年の濃 度に戻す必要が あり、2100年の 排出量をマイナ スにする必要が ある

15

(16)

EUの提案(2℃抑制の手段として等価濃度450ppmCO

2e

安定

化)目標とすると、京都6ガス、エアロゾル(寒冷化効果)を考慮し

たオーバーシュートシナリオ(オランダ)の考え方が必要になる。

450ppmCO2e目標では、500ppmまでオーバーシュートし た後、2200年以降に450ppmに安定化を目指すことになる。 気温上昇は2℃を超える。 この検討では、京都6ガス以外にエアロゾス(エネ起源 のSOx、バイオ燃焼起源のスス)の寒冷化効果を考慮 している。簡易モデルの検討ではもっとも厳密である。

(Souce: M.G.J den Elzen and M. Meinshausen, 2005)

500ppmま

でオーバー シュートする

(17)

現状濃度(

CO2換算)は455ppm(2005年)

(有力新聞:

2008年11月26日)

現状の等価濃度が455ppm(2005年)であることを正しく報道。

(18)

(1)2005年時点でGHG全体の等価CO

2

濃度は

455ppmに達した。

280ppmからの増加分は、CO

2

100ppm、他GHG=80ppm程度)

既に、

WG3のカテゴリーIの2℃抑制シナリオ(等価450ppm)を超過。

(2) 2005年の観測値(ΔT=0.74℃)がΔT=2℃(平衡気温上昇)にならない

のは、エアロゾルの寒冷化効果、気候システムの応答遅れが主な原因。

(3)現在、温室効果ガスGHG(CO

2

以外)の温暖化効果とエアロゾルの寒冷化

効果は、たまたま相殺する関係にある。今後、中国等が酸性雨対策からエア

ロゾル(

SOx等)排出を削減すると、リバンド効果で気温が上昇(0.7℃程度)

すると予想されている(政策ジレンマと呼ばれる)。

(4)ポスト京都の議論において、仮に、相殺関係が保持されるならば、中長期

目標の国際交渉は

CO

2

だけを対象にしたシンプルな議論が可能になる。

(5)他の温室効果ガスの削減は、エアロゾルの削減も含めて議論する必要が

ある。気温上昇のチェックのため、

IPCCと協力して、最新の気候モデルによ

る定期的な予測によるチェックアンドレビューが重要。

(3) 温室効果ガス全体(6ガス、エアロゾル)の傾向

18

(19)

メタンの分解により水 蒸気発生 硫酸エアロゾル、有機炭 素、スス等による反射 雲粒増加による雲の反 射率増加(酸性雨)

2005年のCO

2

濃度は379ppmである。しかし、他のGHGガス(CH4,N2O,ハロカーボン類)の放射強制

力も考慮した合計の等価CO

2

濃度(京都6ガス)は約

455ppm(AR4)

。CO

2

以外の温室効果ガスの温暖

化効果とエアロゾルによる寒冷化効果がたまたま相殺しているため、気温上昇が2℃に達していない。

濃度約100ppmに相当 CO2濃度約80pmに相当

ほぼ同じ

相殺

19

(20)

メタンの分解

太陽放射エネルギーの直接反射 雲粒増加による雲の反射率増加

出典:IPCC AR4(2007)

成層圏のエアロゾル(火山爆発等)は

太陽エネルギーを反射(直接効果)

細かな海塩粒子があると雲粒子増加する等

により太陽エネルギーを反射(間接効果)

Twomey効果

地球を冷やすエアロゾルの直接・間接効果の解説

20

(21)

(source :IPCC WG1 AR4, p.142)

最近のメタン濃度とトレンド。

(a)は全球のメタン濃度(ppb) 、青線はNOAA/GMD、赤線はAGAGEの地上 観測点の値。細線は全球平均値、太線は季節変化を除去した全球平均値。(b)は、1984年から2005年末ま での年間の増加率(ppb/yr)で、赤線(NOAA/GMD)、青線(AGAGE) 。縦線は、±2σ(標準偏差)のバラツキ を示す。σ=0.1~1.4ppb/yr。 ピナツボ火山爆発後の寒 冷化によるメタン発生量 (沼地等)の減少が原因 1998年の記録的な全球 気温上昇によるメタン発 生量の増加が原因

最近の全球平均メタン濃度

メタン排出源は多様であるが、大気中の

OHラジカルによって分解される。最

近は、排出量と吸収量(分解+土壌吸収)がほぼバランスしている。

21

(22)

(source :IPCC WG1 AR4, p.542)

多様なメタン発生源

。人為起源は自然起源の排出量の1.3倍~2.5倍程度。自然起

源では、沼沢地、シロアリが主。メタンハイドレートからの排出は少ない。人為起源では、エネル ギー関係(燃焼、石炭産出、ガス・オイル産業)、ゴミ・埋立地、家畜(反芻動物)、米作、バイオマ ス燃焼等。吸収では、土壌、対流圏のOHラジカル、成層圏へのロスなど。 (シロアリ) (反芻家畜)

22

(23)

両半球の

N

2

0濃度(ppb)(十字が北半球、三角が南半球)

AGAGE(1990年代中ごろ以降)のデータには 月ごとの標準偏差を示す(Prinn et al., 2000,2005a)。変動成分が時間的に減少しているのは、主に測定精度が向 上したため。実際のシグナルとして信頼できるのは過去10年間である。

(source :IPCC WG1 AR4, p.143)

N

2

O濃度の変化

工業化以前の

N

2

O濃度は270ppb、2005年は319ppbまで線形的(0.26%/

年)に増加。

N

2

O増加の主な原因は、農耕地の拡大や肥料使用による微生

物生産の増加。

(24)

AGAGEとNOAA/GMDの2種類の観測ネットワーク

の値の平均値を示す。モントリオール議定書の規

制ガスであるCFC、四塩化炭素などは減少に転じ

ている。一方、京都議定書対象の温室効果ガスで

ある代替フロン

HFCが急激に増加している。京都議

定書の規制効果が見られない。

(source :IPCC WG1 AR4, p.145)

ハロゲン(F、Cl等)を含む長寿命温室効果ガスの

全球平均濃度(ppb)の変化

(25)

(出展:Carbon Dioxide Information Analysis Center, CDIAC (http://cdiac.ornl.govl)

2005年に、先進国(Annex B)の排出量を途上国(Non Annex B)の排出量

が上回った。

途上国が合意できる排出削減目標が非常に重要である。

(4) 途上国、先進国が合意できる排出シナリオ

(26)

(出典:International Arctic Research Center/JAXA,2008年9月9日)

ロシア

カナダ

スカンジナビア半島

北西航路

アラスカ

北東航路

グリーンランド

カナダ

ロシア

スカンジナビア半島

(出典:NSIDC、2008年9月3日)

1979年~2000年の平均

2008年9月3日

2つの航路上の氷が事実上消滅(9月6日):記録的減少

暖かい海水が流入

北極海の海氷融解防止は恐らく手遅れ

26

(27)

2008年10月24日(金)の朝日新聞朝刊

適応研究も重要

(28)

現在のモデルによると、グリーンランドの降

雪量(+)と氷床融解(ー)の正味量(ネット)

は、全球平均気温が

1.9~

4.6 ℃になると、

正味量がマイナスになる。その状態が

1000

年程度も継続すると、氷床(厚さ

2000~

3000m)が完全に融解し、海面は約7mも上

昇する(

IPCC WG1/AR4 SPM)。

Ilulisat glacier

海氷融解は手遅れでも、この

現象防止が重要。

ポスト京都では、危険な影響の防止が目標

28

(29)

EU削減政策(2050年で半

減)

(2) IPCC 低排出シナリオ (B1) 2150 年 2000 2020 2040 2060 2080 2100 0 5 10 15 20 25 30 35 * 19世紀末の30年間平均を基準

世界全体

CO

2

排出量

GtC/年

=10億トン

C/年)(エネルギー起源)

1950 2000 2050 2100 2150 2200

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

temperature rise, degree C

year

全球気温上昇

(℃)

(1) 洞爺湖G8合意シナリオ(50%削減) (1) 洞爺湖G8合意シナリオ (50%削減)

予測結果

(全てのGHG を考慮) 削減継続 (3) 柔軟な排出経路 (注) 全球気温上昇は19世紀末の30年間の平均値(工業化以前)から の差

グリーンランド氷床融解閾値

1.9~

4.6℃(

AR4)

(2) IPCC低排出シナリオ (B1

)

削減継続

先進国、途上国の合意できる柔軟な排出経路

(出典:電中研2007) GHG(エアロゾルの寒冷化を含む)全てを考慮した気候モデル(大気海洋結合モデ ル、CCSM3)を用いて電中研スパコンで予測した結果

29

(IPCC低排出シナリオ(B1)と洞爺湖G8合意シナリオの温度抑制結果はほとんど変わらない)

(30)

(1)

GHG(CO

2

を除く)とエアロゾルの相殺関係が保持されれば、CO

2

だけの単

純化した議論が可能。電力研では、気候システムの応答遅れを考慮できる

簡易な炭素循環モデルNICCS(ドイツ・マックスプランク研究所のモデルを

ベース)を開発(2008)。本手法はスイス・ベルン大学のモデル(Bern、

IPCC

第3次評価報告書TAR(2001))と結果がほぼ一致することを確認。

(2)炭素循環モデル(NICCS)の結果によると、洞爺湖サミットの半減シナリオは

ほぼ450ppm CO

2

濃度安定化、B1シナリオのCO

2

排出はほぼ550ppm

CO

2

濃度安定化に対応する。

(3)仮に先進国(2005年の排出比率50%)が450ppm安定化(B1)、途上国(排

出比率50%)が550ppm安定化(B1)を目指せば、世界全体では約500ppm

の安定化が可能。

(4)実際の気候変化は、 CO

2

以外の京都6ガス、エアロゾルの排出動向によっ

て変化するので、IPCCと協力して、最新の気候モデルによる予測が不可欠。

(5) CO

2

だけに単純化した中長期目標の検討

30

(31)

-10 0 10 20 30 40 50 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100 300 350 400 450 500 550 600 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100

電中研の簡易炭素循環モデル

NICCS(2008)の検証

二酸化炭素全排出量 二 酸 化炭素大 気中濃度 (Gt-CO2 /yr) (ppm) ‹B1シナリオにはエネルギー起源と土地利用起源の両 者を含む(TAR)。大気中濃度はその合計排出量で決まる。 ‹合計排出量から大気中濃度を計算する方法として、 Bern大学のモデル(IPCC、TAR)と電中研モデル(2008) を比較した。電中研のモデルはドイツのマックスプランク 研究所の方法(NICCS,2001)をベースに開発(2008)。 両者の濃度結果はほとんど変わらないことが確認された。 合計(①+②) ①土地利用起源 電中研モデル(2008) Bernモデル(IPCC、TAR) ②エネルギー起源 ①エネ ②土地(森林)合計(①+②) 2000 25.30 3.92 29.22 369 371 2010 31.17 2.86 34.03 388 392 2020 36.67 2.31 38.98 412 416 2030 41.07 -0.33 40.74 437 442 2040 44.73 -1.76 42.97 463 469 2050 42.90 -1.50 41.40 488 495 2060 37.40 -1.69 35.71 509 516 2070 31.53 -1.54 29.99 525 530 2080 26.77 -2.20 24.57 537 539 2090 22.37 -2.86 19.51 545 544 2100 19.07 -3.56 15.51 549 545 濃度(ppm) (電中研) 西暦 CO2発生量(Gt-CO2/yr) 濃度(ppm) (Bern)

IPCC SRES B1シナリオの排出量(TAR)

NICCS:Nonlinear Impulse response model of the Coupled

Carbon-climate Sytem, Hooss et al., Climate Synamics,2001

(32)

逆算されたCO2排出量。2000年のCO2排出量8.21Gt- Cは実績値(7.97Gt-C=化石燃料消費6.90、森林破 壊1.07,TAR)と良く一致する。2020年の排出量は 7.75Gt-C(2000年の0.94)、2050年は4.88Gt-C(2000 年の0.59)。2100年の排出量は約2.89Gt-C(2000年 の0.35)となる。 1750年~2005年までの観測CO2濃度を与え、以降の 濃度経路(①~③)は仮定。ちなみに、2005年のCO2濃 度は379ppm。①の経路を採用して検討する。

CO2濃度を与えて排出量を応答関数法(筒井、2008)で逆算。2035

年の濃度安定化は、

Stern Report等でも言及されているが、微分不

連続性から排出量では急激な増減となり不自然。①を採用する。

2035年で450ppm濃度安定化は不自然な結果 濃度観測値 ~2005年(379ppm)

①採用

①採用

32

(出典:電中研(2008))

(33)

(b)平衡気温上昇は

3000年以降に約2.1℃と

なり、

2℃抑制をほぼ達成可能

(a)2100年の気温上昇は、平衡気温上昇(約

2.1℃、右図)の約70~80%程度。これは気候シ

ステムの応答の遅れが原因である。

3つの濃度経路に対して、応答関数法(筒井、

2008年)による予測結

果(平衡気候感度3℃)。平衡気温上昇は約

2.1℃となる。IPCC WG3

の簡易式(平衡気候感度3℃)と同様の結果であるが、気候システム

の応答遅れを現実的に再現している。

平衡気温上昇の70~80%

①採用

平衡気温上昇=2.1℃

33

(出典:電中研(2008))

(34)

(Source: Science, T.Wigley,2006) 目標:2℃抑制 OVERSHOOTシナリオでは 削減のための時間を稼ぐことが可能 Tom Wigley(2006)は、森林破壊によるCO2排出(過去の実績および21世紀のシナリオ値)をモデル (MAGIC)の中で自動的に与える方法を採用している。したがって、CO2排出量は①化石燃料消費、② セメント製造からだけの排出を示す(詳細は丸山他(2000年)参照)。したがって、2000年の排出量は 6.90Gt-C。2050年の排出量は、約5Gt-C、2100年では2Gt-Cと推定されている。ただし、Overshootシナ リオでは、一度ゼロ近くまで排出が減少した後、2400年頃に再び増加するなど、不自然である。恐らく 逆算したことによる推定誤差が原因であろう。

参考

本論文でも気温上昇の遅れが再現されてお り、最終的な平衡気温上昇は約2.2℃程度で ある。 本論文では、このオーバーシュートしたCO2濃度による気温上 昇をGeo-engineering(GEO)の一つである硫酸エアロゾルの 成層圏注入により、抑制することを提案している(右図参照)。

34

(35)

450、550ppmCO

2

濃度安定化と長期需給見通し等との比較

西暦 排出量伸び率(2005年比) 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1.60 1.80 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100 300 350 400 450 500 550 600 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100 450ppm安定化 450ppm安定化 550ppm安定化(B1) 長期エネルギー需給見通し(エネ研) 2005年基準 ( ▲16%、最大導入ケース:2020年) (▲25%、最大導入ケース:2030年) 550ppm安定化(B1) 1.42 技術進展 1.86 レファレンス アジア展望(2007、エネ研) 排出量は、エネルギー起源と土地利用起 源(森林破壊による放出、植林による吸 収)の合計 大気中濃度(ppm)

2020年

8%削減で十分

(2005年比)

二酸化炭素排出伸び率

二酸化炭素大気中濃度

35

(出典:排出量から濃度の計算は電中研の手法(2008)を使用) (内訳:エネ起▲13%、森林吸収▲3%) (内訳:エネ起▲22%、森林吸収▲3%) (ppmCO2 ) 長期需給見通し 2020年(エネ起源のみ): 最大導入ケース:▲13% 努力継続ケース:▲4%

(36)

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100 300 350 400 450 500 550 600 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100 二酸化炭素全排出量 二酸化炭素 大 気 中 濃度 (Gt-CO2 /年=10億トンCO2 /年) (ppmCO2濃度) ‹大気中濃度と排出量を同時に議論する場合、排出量に はエネルギー起源と土地利用起源の両者を含む。 ‹550ppm安定化目標(B1)を途上国(排出比率50%)、 450ppm 安定化目標を先進国(排出比率50%)が採用す ると、世界全体の濃度安定化目標は約500ppmになる ‹平衡気温上昇計算ΔTe=3log2(C/280); C=550, 500, 450ppm。ただし、280ppmは産業革命以前の濃度である。 ①550ppm安定化 ②450ppm安定化 世界目標(①+②)/2(ΔTe=2.5℃) ①550ppm安定化(ΔTe=2.9℃) ②450ppm安定化(ΔTe=2.1℃) 世界目標(①+②)/2

世界全体で500ppmCO

2

濃度で安

定化し、気候影響の軽減を目指す

(出典:排出量から濃度の計算は電中研の手法(2008)を使用)

36

参照

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