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アラミド繊維筋埋め込み構法の開発(PDF)

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Academic year: 2021

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アラミド繊維筋埋め込み構法の開発

The Development of the Aramid Fiber Stick Implantation Method of Construction 横濱 茂之 YOKOHAMA Shigeshi 1.はじめに 近年、震度Ⅵを超える大地震が発生する頻 度が増えている。被災した木造家屋の中には 基礎に鉄筋を配していない無筋コンクリート 布基礎の建物が含まれている。また、上部構 造体が増設壁や金物で補強されていても、布 基礎が破壊して建物全体が傾いた悲惨なもの もある。この小論は、無筋コンクリート布基 礎の補強方法として、アラミド繊維筋を埋め 込む方法を開発するために行った実験の一部 について報告する。 実験は、課題解決型セミナーの一部として、 (株)コーシンハウスケアリング(代表:池谷成 海 ) と 連 携 し て 実 施 し た 。 ま た 、 ア ラ ミ ド 繊 維筋は、(株)前田工繊製の FF ロッドを用い ている。 2.提案する補強方法 2.1 建築基準法の解釈 我国の建築物の最低基準が建築基準法・同 施行令としてまとめられている。同法上、基 礎の構造を明確に規定したのは 1971 年の法 改正の時であり、基礎はコンクリート造りま たは鉄筋コンクリート造りの布基礎にするこ と に な っ た 。 従 っ て 、 1971 年 以 前 の 無 筋 コ ンクリート造布基礎は法令違反ではないが、 既存の法令から見た場合には「既存不適格」と 言える。 2.2 提案する補強方法 日本建築防災協会の「木造住宅の耐震診断 と 補 強 方 法 」 に は 、 図 -1 の 補 強 方 法 が 示 さ れている。しかし、この補強方法を内部布基 礎で実 施する のは 至難の 業であ る。特 に 、増 難で あ る。 そ こで 、無 筋 コン ク リー ト 布基礎 の 片 側 に 溝 を 彫 り ア ラ ミ ド 繊 維 筋 ( 前 田 工 繊 製:FF ロッド) を配して 、構造物補修剤で 一 体化 する 方法 を提 案す る 。ア ラミ ド繊 維筋 は、 耐 酸 性 ・ 耐 ア ル カ リ 性 に 優 れ 、 か つ 、 強 度 的 には SD235 の約 4 倍の引張強度を有している。 ま た 、 構 造 物 補 修 剤 ( コ ー シ ン ハ ウ ス ケ ア リ ン グ 製 : パ ワ ー ア ラ ス ト ) は 、 樹 脂 系 接 着 剤 に繊 維 を混 入 した もの で コン ク リー ト に比べ て強 度 が高 く 、両 者を 組 み合 わ せて 使 うこと で、被り厚さとアラミド繊維筋の定着長さの 増設 コンクリート 土台 既存 無筋コンク リート布基礎 定着筋を兼 ねた肋筋 新設主 筋 図-1 無筋布基礎の補強例 図-2 提案する補強方法 土台 既存 無筋コンク リート布基礎 新設主筋 アラミド筋 構造物補修 剤:パワーアラ スト

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低減がはかれる。また、住宅布基礎程度の主 筋量の場合には、理論上、せん断力の伝達は コンクリートのみで可能なので肋筋は設けて いない。 現 行 の 建 築 基 準 法 で は 、 30cm 以 内 に 必 ず 鉄筋がある。これは、乾燥収縮に伴うひび割 れ制限を目的としている。一方、提案する補 強 法 は 肋 筋 を 設 け て お ら ず 、 30cm 以 内 に 補 強筋は無い。これは、補強対象の無筋コンク リート造布基礎は長期間に渡って応力を受け ており、既にひび割れが発生している場合に は、補強筋を設けてもひび割れ幅拡大防止程 度の効果しか期待できず事実上無意味なため の措置である。この点に対する対応策として、 構造物補修剤(パワーアラスト)の塗布が極め て有効なことを既に確認している。今回の試 験体は、あくまでも力学性状の把握を念頭に 置いているため、試験体への構造物補修剤の 塗布は行っていない。従って、実験は耐震上 最も大切な構造耐力性能の把握に力点をおい ており、強度上昇が期待出来る構造物補修剤 の効果を無視していることをお断りしておく。 3.補強案の検証実験 3.1 試験体の概要 試験体は、無筋コンクリート試験体 C と、 図 -3 に 示 す ア ラ ミ ド 繊 維 筋 を 主 筋 と し た 場 合の検証を目的とした試験体 FA1、定着長さ の検証を目的とした試験体 FA2、開口補強部 の性能検証を目的とした試験体 FA3 及び FA4 の 5 体である。 アラミド繊維筋は、既存無筋コンクリート 造布基礎に幅 30mm、深さ 20mm の溝内に設置 後、構造物補修剤で一体化している。試験体 FA2 は、重ね長さ約 50d(d:アラミド繊維筋 径)で継いでいる。 試験体 FA3 及び FA4 は、人通孔等の床下 開 口 部 を 補 強 す るた め に 、 FRP 製 の 溝 型 C-100 ×35 ×6 を 前田 工 繊 製ケ ミ カル アン カー (HC-13)6 本、間隔 15cm で固定している。 アラミド繊維筋は、公称径 7.88mm で異形 鉄 筋 の 形 状 を 有 し て お り 、 有 効 断 面 積 42.40mm2、 ヤ ン グ 係 数 53.0kN/mm2、 保 証 引 張耐力 81.4kN である。一般的な鋼材と比較 すると、ヤング係数は 1/4、重量は 1/6、強 度は 4 倍で耐酸性・耐アルカリ性に優れた材 料と言える。 各試験体の試験区間長さは 300cm で、試験 区間中央に集中荷重を加えて破壊に至らしめ た。 3.2 実験結果の概要 各試験体の、荷重-変位特性を図-4に示 す。試験結果一覧表を表-1に示す。 無 筋 コ ン ク リ ー ト の 試 験 体 C は 、 33.9KN で曲げひび割れが発生したと同時に破壊した。 粘り等はなく極めて脆性的な破壊であった。 アラミド繊維筋を主筋とした試験体 FA1 は、 41.4KN で 曲 げ ひび 割 れ が 発 生 す る と一 時 的 に耐力低下を起したが、その後、荷重は再び 上昇し 42.9KN で最大耐力に達した。曲げ圧 縮域のコンクリートも圧壊しており安定した 挙動を示している 定着長さの検証を目的とした試験体 FA2 は、 40.4KN で 曲 げ ひび 割 れ が 発 生 す る と一 時 的 に耐力低下を起したが、その後、荷重は再び 上昇し 48.8KN で最大耐力に達した。曲げモ ーメント最大域で主筋継手を設けているため 主筋量が多くなっているため FA1 より最大荷 重が大きな値となっている。曲げ圧縮域のコ ン ク リ ー ト も 圧 壊 し て お り 最 大 耐 力 以 後 も 20KN~30KN の荷重を保持している。 人通孔等の床下開口部が圧縮側となる場合 の提案補強方法の検証試験体 FA3 は、9.9KN で曲げひび割れが発生すると一時的に耐力低 下を起したが、荷重が低い分その影響は小さ く 、24.3KN で 最大 耐 力 に 達 し た 。 最大 耐 力 は、FRP 溝型材のウエブとフランジ接合部の 破壊で決した。

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300 1500 1500 300 140 310 80 210 アラミド繊維筋 φ7.4mm 試験体 AR 300 1500 1500 300 140 300 100 200 アラミド繊維筋 φ7.4mm 重ね長さ 400 試験体 ARW 試験体FA1 試験体FA2 試験体FA3(開口圧縮側) 300 1500 1500 300 140 120 80 210 開口 幅450 高さ300 50 175 190 300 補強梁 FRP+繊維補 強 C-100×35×6 アラミド繊維筋 φ7.4mm 300 1500 1500 300 140 120 80 210 開口 幅450 高さ300 50 175 190 300 補強梁 FRP+繊維補 強 C 100 35 6 アラミド繊維筋 φ7.4mm 試験体FA3 試験体FA4 試験体FA4(開口引張側) 図-3 試験体図 C - 1 0 0 × 3 5 × 6

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人 通孔 等 の 床 下開 口 部 が 引 張側 と な る 場 合 の提案補強方法の検証試験体 FA4は、5.9KN で曲げひび割れが発生したが耐力低下はなく、 36.3KN で 最 大耐 力 に 達 し た 。 最大 耐 力 は 、 FRP 溝型を固定したケミカルアンカーを起点 とした曲げせん断ひび割れの進展による破壊 である。 開口部の補強効果を検証した2体の試験体 は、最大荷重がやや低いものの安定した挙動 を示している。 4.補強案の実験結果の検証 現在、無筋コンクリート造布基礎の補強効 果に関する基準は一切存在しない。そこで、 現在一般的に行われている構造設計で期待し ている終局曲げ耐力を基準に実験結果を検証 してみることにする。 健全な布基礎断面を図-5と考え、布基礎 立ち上がり部(地中梁部)に構造設計で期待し ている終局耐力を算定する。 一般的に行われている住宅の布基礎の設計 では、フーチング部分は地反力を処理するも のとして設計し、残余の地中梁部分に曲げ耐 力 を 期 待 し た 設 計 を 行 っ て い る 。 現 在 は 、 2 階 建 て 住 宅 布 基 礎 の 上 下 主 筋 に は 異 形 鉄 筋 1- D13 を 用 い る の が 一 般 的 で あ る 。 過 去 に は 丸 鋼 1-12 φ が 一 般 的 な 時 代 も あ っ た 。 こ こでは、安全を最優先に考えて断面積が大き く終局耐力の大きい異形鉄筋 1-D13 を用い た布基礎について考えることにする。 図 - 5 の 終 局 耐 力 は 、 式 (1) で 算 定 す る の が 一 般 的 で あ る 。 式 (1) を 適 用 す る 際 に 鉄 筋 の 規 格 が 問 題 と な る 。 異 形 鉄 筋 の 場 合 、 SD235 , SD295 , SD345( 末 尾 の 数 値 が 基 準 強 度Fで、単位は N/mm2 である) が主に市場に 流通しており、最も使用量の多いのが SD235 と考えられる。そこで、上下主筋には異形鉄 筋 1-D13、材質 SD235 を想定して検討を行 うこととした。 0 10 20 30 40 50 60 0 10 20 30 40 変位(mm) 荷重( k N ) (a) 無筋試験体C 0 10 20 30 40 50 0 20 40 60 80 変位(mm) 荷重 ( k N) (b) 試験体FA1 0 5 10 15 20 25 30 35 40 0 2 4 6 8 10 変位(mm) 荷重( kN ) (C) 試験体FA2 0 5 10 15 20 25 30 35 40 0 20 40 60 80 変位(mm) 荷重( k N ) 0 5 10 15 20 25 30 0 20 40 60 80 100 120 変位(mm) 荷重( k N )

(d) 試験体FA3 (e) 試験体FA4 図-4 荷重-変位特性

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MM A X=0.9at・σy・d---(1 ) ここで、at:引張主筋断面積 σy:主筋の降伏点(F値の 1.1 倍) d:有効せい(d=D-d1) 式 (1) で 、 図 - 5 の 曲 げ 終 局 耐 力 MM A Xを 算定するとMM A X=1610KN・cmを得る。 一方、実験では、試験区間長L=3000mm の試験体中央に荷重を加えている。この時、 試験体中央の最大曲げモーメント M を荷重P に直すと式(2)となる。 P=4・M/L ---(2) 式(1)のMM A Xを、式(2)に代入すると、実 験値と比較する曲げ終局耐力の荷重表現

試験体 PBC δBC PMAX δMAX (kN) (mm) (kN) (mm) 33.9 0.66 33.9 0.66 41.4 1.85 42.90 54.55 40.4 0.48 48.80 19.04 9.9 0.03 24.3 89.99 5.9 0.92 36.3 62.51 曲げひび割れ発生時 最大耐力時 破壊状況 C 曲げひび割れ発生と同時に破壊 FA1 曲げひび割れ発生後一時的に耐力低下。その後の加力でひび割れ進展。曲げ圧縮域コンクリート圧 壊。 FA2 曲げひび割れ発生後一時的に耐力低下。その後の加力でひび割れ進展。曲げ圧縮域コンクリート圧 壊。 FA3 曲げひび割れ発生後、一時的に耐力低下。加力とともに荷重は再び上昇。FRP梁のウエブとフランジの 接合部が裂けて耐力低下。 FA4 曲げひび割れ発生後、一時的に耐力低下。加力とと もに再上昇。FRP梁の損傷が進み耐力が上がりにく くなる。端部のケミカルアンカーを起点として曲げせ ん断ひび割れも発生し耐力低下。 表-1 試験結果一覧表 主  筋 D13 補 助 筋 D10

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D-2d1

図-7 健全な布基礎 断面 T=at・σy C=T 0.9d=0.9(D-d1) 力の釣り合い 布基礎断面 図-5 布基礎断 記号と寸法 記  号 寸  法 (mm) D 600 d1 55 D1 180

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PM A X=21.5KN を得る。 他 方 、 実 験 値 で あ る が 次 の 事 に 注 意 す る 必要がある。主筋量が少ない鉄筋コンクリー ト基礎梁の曲げせん断実験を行うと、曲げひ び割れ 発生( 図 -6 のP) 後に荷重 が大 きく 低下す る( 図- 6の P2) 。その 後の 加力で 荷 重は再 び上 昇し最 大耐 力 ( 図-6の P3) に達 する。実際の布基礎では、力学的な曲げひび 割れ以外に乾燥収縮ひび割れが発生すること がある。仮に、乾燥収縮ひび割れが曲げひび 割れ発生位置近傍に事前に発生すると加力時 の挙動は図-6のO点→2点→3点の順で推 移する。また、対象としている大地震以前に 中小地震で曲げひび割れが発生した場合も同 様の挙動を示す。従って、経年変化後の最大 荷重を検討する際には、曲げひび割れ以後の 耐力で検討すべきである。本実験の場合には、 P1<P3なのでP3を最大耐力として検討す る。この観点に立てば、無筋コンクリート造 の試験体Cは、曲げひび割れ直後に破壊して おり検討すべき最大耐力はゼロである。 以上の事項から、設計で期待している終局 耐力(必要終局耐力)と実験より求めた最大耐 力を比較したのが表-2である。表によれば、 実験値は必要終局耐力を上回っており、本論 で提案する補強方法の妥当性が証明された。 特に、開口部の無い試験体FA1とFA2は、 必要終局耐力の2倍以上の値を示しており十 分な余力がある。開口補強を前提とした試験 体FA3及びFA4では、余力は少ないが構 造設計で期待している鉄筋コンクリート造布 基礎地中梁の構造耐力を保有しており十分な 強度を有している。 5.結 論 無筋コンクリート造布基礎の補強方法とし て、地中梁片面に溝を彫りアラミド繊維筋を 挿入後、構造物補修剤(パワーアラスト)で一 体化する工法を提案し、実験にて構造耐力性 能を検証した結果、満足する性能値を保有し ていることを確認した。 【参考文献】 1) 日本建 築防 災協会 :木 造 住宅の 耐震診 断と補強方法、2004.8.25 2) 前 田 工 繊 : 前 田 工 繊 総 合 カ タ ロ グ 、 Vol.1,2008 3) 日本建 築学 会:建 築耐 震 設計に おける 保有耐力と変形性能,1990 荷重P(kN) 変位δ(mm) δ1(mm) δ3(mm) P1(kN) P3 (kN) 0点 1点 2点 3点 図-6 P-δ特性 実 験 値 設計理論値 実験値 試験体 最大耐力時必要終局耐力 理論値 ①PMAX ②PMAX ①/② 判  定 (kN) (kN) 42.90 21.50 2.00 〇 48.80 21.50 2.27 〇 24.30 21.50 1.13 〇 36.30 21.50 1.69 〇 FA1 FA2 FA3 FA4 表-2 実験結果の検証 P ( k

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