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新たな開発課題の取り組みについて(PDF)

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Academic year: 2021

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1. はじめに 応用課程が発足して7 年になる。この間、「も のづくり」全工程を生産システム技術系3 科の 学生でグループを組み、学生が主体的に実施す ることで複合した技能・技術、活用能力及び高 度な専門性を習得することを目的とした開発課 題(54 単位)を多岐に渡り取組んできた。 しかし、この複合した技能・技術とより高度 な専門性を同時に習得することは相反するもの があり、近年学生の仕上がりに「どちらにも付 かず」と言った傾向が見られる。 そこで、生産システム技術系職員全員でこの 「開発課題」の在り方について「どうあるべき か」を議論し、次のように結論付けた。 「ものづくり」を既存の技能・技術で全工程 を主体的に実施することで複合した技能・技術 及び活用能力を習得する課題と複合的要素を含 みつつより高度な専門性を習得する課題に分け 実施するほうが良いとした。 今回、既存の技能・技術で全工程を主体的に 実施することで複合した技能・技術及び活用能 力を習得する課題(開発課題Ⅰ)を新たな取組み として実施したのでここに報告する。 2. 取り組みの背景及び考え方 近年、応用課程生産システム技術系「開発課 題」実施上の問題点としては、 ① 複合的な技能・技術を習得させようとする と内容が広く浅くなってしまう。 ② 結果的に専門性の追求が困難となる。 ③ 新しい専門性知識等の習得が困難になる。 ④ 期間が長いため中だるみが発生する。 ⑤ 3 科合同の課題だとどうしてもシステム系 に偏ってしまう。 などが掲げられる。 このような問題に対して、生産システム技術 系職員全員で検討した結果 ① 既存の技能・技術のみで3 科合同の課題を 行う。 ② 複合的した技能・技術の活用能力の習得を 主な目的とする。(開発課題Ⅰ) ③ 従来の目的を持った課題を期間短縮して実 施する。(開発課題Ⅱ) ④ 開発課題Ⅰを16 単位、開発課題Ⅱを 38 単 位とする。(従来の開発課題は 54 単位) ⑤ 開発課題Ⅰ、Ⅱは並行して実施する。 ⑥ 開発課題Ⅰ、Ⅱ共にプレゼンテーションま で実施する。 ⑦ 開発課題Ⅰは同じテーマで取り組む。 以上のような考え方にまとめた。 3. 課題の選定 具体的な課題を選定する上で上記の考え方を 考慮し次のような基本的スタンスを考えた。 ① 生産系学生が全員参加できること。 ② 既存の技能・技術でできること。 ③ 同じ課題でも独自性が発揮できるもの。 具体的課題としては、第 43 回技能五輪全国 大会「電子機器組立て」競技職種の障害発見及 び修繕課題に取り上げられた「ハノイの塔」を 参考とした。この課題には、 ① システム全体の設計・製作や筐体の加工、 機構部分の設計・製作、組立て調整など機 械的要素の精密加工、計測制御、自動化、 CAD/CAM などの要素が含まれている。。 ② システム全体の制御としてセンサから信 号の読み取り、負荷装置への動作コントロ ール、PC との通信制御による制御基盤の 設計・製作および組立て調整など電気・電 子的要素の、電子装置設計、制御システム、

開発課題の新たな取組みについて

Approach of a New Development Project

福岡 秀雄 FUKUOKA Hideo

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マイコン制御、通信技術、CAD/CAM など の要素が含まれている。 ③ メカ部分とシステム全体をPC を使用して 制御コントロールするなど情報的要素の ネットワークシステム、計測制御、オブジ ェクト指向プログラム応用などの要素が 含まれている。 これらの必要な要素は、各生産科の既存の技 能・技術であり、且つ複合的な要素が盛り込ま れている。この課題を学生用にアレンジし開発 課題Ⅰとして選定した。 4. 開発課題Ⅰの進め方 4-1 「ハノイの塔」基本仕様 学生に創造力(企画力、独創力、論理的思考等) 及び状況判断力(計画性、柔軟性等)を習得させ るため「ハノイの塔」の動作を説明し、基本仕 様のみ提示した。提示した基本仕様は次のよう である。 ① ベースの大きさは、40cm×30cm とする。 ② ポール(軸)の太さはφ10、ポール間は 10cm とし、横並べとする。 ③ ワークは、φ40、φ45、φ50、厚さ 10mm、 穴径をφ10.5 のウレタン製とする。 ④ 直動機構は、ベルト駆動とする。 ⑤ 装置の制御(動作コントロール)は PC から 操作する。 ⑥ 位置決め制御等は、PIC マイコンで行う。 ⑦ 機構部、制御部、PC の詳細については、 別途詳細仕様書を参照のこと。 ⑧ 標準部品は、別途部品一覧を参照のこと。 ⑨ 支給されたものは自由に加工してよい。 上記仕様を守れば、それ以外は自由とし、 各自の創意工夫を盛り込むことが重要である と強調説明した。 4-2 提出物 「ものづくり」を意識させるため次のような 成果物を提出させることとした。 ① 設計書(組立図、部品図など) ② 日程表(計画、実績)、コスト計算書 ③ 発表資料、取扱説明書(ビデオ含む) ④ 成果物 4-3 採点基準の提示 学生に予め採点基準を提示し、どのような点 を注意すればよいかという判断の材料とした。 (最後に自己評価を実施) この採点基準は「ものづくり」を意識させ更 にどのような創意工夫が盛り込まれているのか を重要項目としそれぞれの項目を設けた。 ① 品質:成果物が基本仕様を満たしているか に注目し動作状態などを中心とした項目で ある。 ② コスト:今回使用した部品は全て単価を提 示し、部材費の算出および時間コストも盛 り込ませコスト計算をさせた。これにより 「ものづくり」におけるコストパフォーマ ンスを意識させている。(具体的には 6,000 円/時間とし居残った時間もコスト計算の 対象とさせた) ③ 納期:予め最終日(発表日)を定め、課題を完 成させることで責任感を持たせた。 ④ ユニーク度:創意工夫点である。加点のウェ イトも大きくし、本課題の重要な部分であ ることを意識させた。 ⑤ 安全:作業中の安全と成果物(製品)の安全と に分けた。成果物は、ユーザーが安心して 使用できる物とし、「ものづくり」では重要 であると認識させた。 なお、採点表を巻末に提示したので参照願い たい。(表 4-1 採点基準表) 4-4 標準部品 同じ課題に取り組む為、標準部品を準備し た。これらを使用することにより次のような 訓練効果が期待できた。 ① 「ものづくり」現場における標準部品(常 時在中品、汎用品)の概念を体得できる。 ② 互いの成果物の評価がしやすい。 ③ 訓練事業費のコストダウンができる。 などが挙げられる。 4-5 担当職員及び実施場所 ① 担当職員は、各系2 名の計 6 名で担当し た。(Ⅶ期、Ⅷ期でメンバーの変更があり、 延べで生産機械4 名、生産電子 2 名、生 産情報3 名の計 9 名で担当)

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② 開発課題Ⅱと並行実施のため開発課題Ⅰ 専用の実習場は望めなかった。 ③ 解決策として開発課題ⅠとⅡの実施日が 重複しないことで同じ場所を使用した。 4-6 グループ編成 ① 各科3 名計 9 名で 1 グループ単位とする。 ② リーダー1 名、サブリーダー(各系 1 名)、 物品担当者1 名(兼任可)を選出する。 ③ 物品担当者は、標準品以外の部材につい て教官に購入依頼する。 4-7 運営方法 全体の進捗状況や、各グループ討議を同一日 に行うことで、全体またはグループごとの状況 把握や指導を行った。具体的に次のようである。 ① 毎週金曜日を3 科合同打合せ日とする。 ② 時間は、9:15∼10:30(各科出席確認後) ③ 終了後、各グループ討議に入る。(個別指導) 5. 開発課題Ⅰの成果 学生自ら成果の度合いを発表する場として 次のような発表会と競技会を実施した。 5-1 発表会 標準的開発課題としたため、正式な企業招待 は行わなかった。しかし、何社かの企業と神奈 川県立短大、総合大の研究生の参加があった。 予稿集については、時間的都合や、開発課題 Ⅱの発表会もあるのであえて作成しなかった。 しかし、全体的な説明は必要と判断し主旨や 概要説明(A4 2 頁)を作成し、課題内容につい て職員が代表して説明した。従って学生は、パ ワーポイントを使用した発表のみとした。 発表内容については、同じ課題を設計・制作 しているので概略説明など行わず、主に創意工 夫(ユニーク度)した点、苦労・失敗に対する解 決方法、体得度などを発表するよう指示した。 5-2 競技会 競技内容は、コマの移動時間を競うものとし、 互いの性能を評価した。 競技ルールは、次のように定めた。 ① 指定したポールにコマを指示通りセット する。 ② スタートを合図にコマの位置を読み取り。 ③ 移動先のポールへ「ハノイの搭」のルール に従ってコマを移動する。 ④ 競技中にコマを落とす又はコマが引っか かった時は、コマを最初の位置にセットし なおしてリスタートとする。 ⑤ 競技中に、コマに手を触れた場合は、直ち に停止し、コマを最初の位置にセットし、 ウエイト 5点 4点 3点 2点 1点 0点 得点 ステージ動作の滑 らかさ(横動作) 2 全域滑らかに稼動 し、停止点等が正 確である 全域滑らかに稼動 し、停止点等に誤 差がある 一部滑らかに稼動 しない部分がある 滑らかに稼動しな いし、停止点も不 正確である なんとか動作する 未完成又はまった く動作しない 10 ワークの脱着 (上下動作) 2 滑らかなスライド移 動、確実な脱着が できる ワークの掴む位置 に誤差がある たまにワークを水 平に掴めないこと がある たまに脱着できな いことがある 脱着ができない 未完成又は、まっ たく動作しない 10 一連の動作 2 仕様通り(マニュア ル、オート動作が できる) 動作が遅い(ソフト上 の問題) たまに、オート動作 時に誤動作する マニュアル動作し か動かせない なんとか動作する 未完成又は、まっ たく動作しない 10 ユーザーインター フェース 2 動作状態が表示さ れる。操作性が良 い 動作表示がぎこち ない 動作状態が表示さ れない 操作性が複雑であ る たまに動作しない ことがある 未完成又は、まっ たく動作しない 10 2 残業時間も無く、 低コストの材料と 部品で完成させた 低コストの材料と 部品で完成させた 材料と部品の一部 に再支給があった製品を作り直した まったくコストを考 えてない 未完成 10 2 決められた日限で完成した 納期は、守られた が時間外作業が多 かった 完成したが、性能 試験はしてない 主要部分は完成し たが、動作に不安 定な部分がある まったく納期を考え てない作業であっ た 未完成 10 4 すばらしい創意・工夫が含まれている独自の創意・工夫が含まれている 一般的な発想であ 他の人の真似をしている 全て教えてもらった設計ができない 20 安全作業 2 実習中、危険な作業等がまったくな かった 不安全な作業は無 かった 一部不安全作業が あった 擦り傷も火傷など の怪我をした 他人に迷惑を掛け た 安全作業をまった く無視していた 10 製品に対する安全 配慮 2 マンインターフェー スに配慮した安全 な装置である 安全に考慮した装 置である 非常停止が確実に 行われる 一部にバリ、充電 部露出が見受けら れる 非常停止装置が付 いてない 安全上、重大な欠 陥がある 10 合 計 100 安全 品質 ユニーク度 (創意・工夫点)

採点基準表

評価項目 コスト 納期 表4-1 採点基準表

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リスタートすること。 ⑥ 競技時間は5 分とし、時間オーバーの場合 は、失格とする。 表5-1 は、競技結果である。上位 3 チームは 競技時間がほぼ同じで秒単位の戦いであった。 グループ名 時間 順 位 第1 グループ 48 秒 3 位 第2 グループ 2 分 14 秒 5 位 第3 グループ 1 分 56 秒 4 位 第4 グループ 45 秒 優勝 第5 グループ 46 秒 2 位 第6 グループ 棄権 7 位 第7 グループ 4 分 13 秒 6 位 表5-1 競技結果 優勝、2 位のグループには、校長から表彰され 競技会を多いに盛り上げた。 6. 評価について 競技終了後、先の採点基準表(表 4-1)にて職員 と学生(自己採点)が採点を行った。 採点方法は、生産系全職員が全グループの採 点を行い、学生は、グループごとである。 各項目について職員採点と学生の自己採点に ついて分析を行う。 6-1 品質について 競技結果が示すように上位3 グループの評価 が高い。これは、職員(担当職員以外)は競技前 のデモや競技大会における動作状況から判断し たと推測できる。 また、学生は製作段階から他グループの動作 状態と比較しそこからの判断から出た自己採点 結果と推測できる。(表 6-1 参照) 品 質 0.00 5.00 10.00 15.00 20.00 25.00 30.00 35.00 40.00 45.00 1 2 3 4 5 6 7 グループ 名 点数 職員 学生 表6-1 品質についての評価 6-2 創意・工夫について 表6-2 から第 5 グループの評価が一番である。 これは、ワークの脱着装置部にロータリソレノ イドを使用し且つ機構にもかなりの工夫が考え て作成されており、職員・学生間でも高い評価 であった。また、第3 グループは、テーブルの 移動方式、ワークの脱着機構と全体に創意工夫 が見られ高い評価であった・ だが第3 グループは、競技中にワークの脱落 などがあり上位入賞が果たせなかった。しかし、 デモではスムーズな動きを見せ優勝候補の一角 であったのは事実である。 創意・工夫 0.00 5.00 10.00 15.00 20.00 25.00 1 2 3 4 5 6 7 グループ 名 点数 職員 学生 表6-2 創意・工夫についての評価 6-3 納期及びコストについて コストについては、純粋な部材費は、グルー プ間に大差はないが、設計・製作(人件費相当) に費やした時間が多いグループについては、評 価が低い。特に第6 グループについては、機構 部の製作で再度やり直した事が起因である。 (表 6-3 参照) コスト 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00 9.00 10.00 1 2 3 4 5 6 7 グループ名 点数 職員 学生 表6-3 コストについての評価 次に、納期についても第6 グループの評価が 低い。これは、再度製作したことが大きく響き、 当日まで動作が不安定であったためである。

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第4 グループは、一番早く完成し調整にも十 分な時間があった。この事項が高い評価となっ て現れている。因みに、他のグループも1 週間 前ほどに完成していた。(表 6-4 参照) 納 期 0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 1 2 3 4 5 6 7 グループ 名 点数 職員 学生 表6-4 納期についての評価 6-4 総合評価について 総合評価では、第5 グループが最も高い評価 である。このグループは、装置全体の動作はも ちろんであるが、PC の画面上にも動作状況が 表示され(他のグループには無かった)この点が 最も高い評価を受けた要因である。 競技結果は、2 位だが、動作手順に若干問題 がありこれが競技結果として現れたものである。 その他のグループ評価については、競技結果 が示す内容となった。 評価結果が職員・学生共同様な結果が出され ており、職員・学生共々同じ評価であった事が特 筆すべき点である。(表 6-5 参照) 総合評価 0.00 20.00 40.00 60.00 80.00 100.00 120.00 グループ名 点数 職員 学生 職員 86.42 80.08 82.83 87.00 93.42 54.58 78.25 学生 89.75 86.75 82.25 89.11 95.32 67.91 82.75 1 2 3 4 5 6 7 表6-5 総合評価 6-5 学生の成績について 学生の成績については、本年度カリキュラム 上、開発課題Ⅰ、Ⅱと分かれていないので部分 評価となった。(次年度は、2 つに分かれる予定) 具体的には、次のような評価方法である。 ① 職員の採点をグループ点とする。(学生の自己 評価は考慮しない) ② 全体を100 点満点とし、内訳としてグループ 点を70 点、個人点を 30 点とした。 ③ 個人評価については、各科担当職員が採点 し学生の個人評価とした。 ④ 100 点換算したものを各担任に報告する。 (全体評価については各担任に委ねる) 上記のように評価し、結果を担任へ報告した。 7. 開発課題Ⅰの課題及び問題点 この開発課題Ⅰは、昨年度末にトライアルを 決定し、俄かに計画・立案・実施の運びとなった。 もちろん、計画段階では、トラブルが発生し ないように立案・計画したが、実施した結果次の ような課題・問題点が生じた。 7-1 課題・問題点 ① 初年度と言え実施場所の確保、機器等の準 備、加工実習場の確保などの準備不足があ った。 ② 特に加工実習場使用については、従来の開 発課題では、後期に(Ⅶ、Ⅷ期)に集中するよ う計画されていたが、開発課題Ⅰでは、Ⅵ 期(7 月、8 月)に集中したため十分な使用時 間が確保されておらず、結果として機械加 工に遅れが生じた。(訓練計画の不備) ③ 開発課題ⅠとⅡは曜日が重複しないよう実 施したが、それぞれの部材や PC 等の保管 場所の確保ができなかった。結果として 個々に保管場所を確保することになった。 しかし、開発課題Ⅰ後半では3 科の学生が 一堂に集まり組立て・調整を行う為の実施 場所の確保に苦慮した。特に、成果物が出 来上がり PC と接続し調整段階に入ると全 員(62 名)が集まるのでグループ間の間が無 くかなり圧迫感があった。併せて、実施場 所の重複により、その都度準備、後片付け が生じ無駄な時間浪費に感じた。以上の事 柄から開発課題Ⅰの実施期間専用に使用で きる場所の確保が必要である。 ④ 採点項目(品質、コスト、納期、ユニーク度、 安全)が成果物の出来合い評価に偏ってい

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る。(表 4-1 参照) 設計・製作過程における学生間のコミュニ ケーションの取り方やリーダーシップ能 力など途中経過でしか評価できない項目 を追加すべきである。 7-2 習得度について ① コミュニケーション力(応用力、問題解決力) の習得 本課題を実施するに当たり生産機械科と生 産電子科の学生間ではセンサの選定、取り 付け位置、配線周り等の打ち合わせ、生産 電子科と生産情報科の学生間では、本体と PC 間の通信制御システム等の打ち合わせ、 また、調整段階では、3 科でコミュニケー ションが取れるようになり、各科間で問題 点や改良点の提案し目的に対する問題解決 までのプロセスを習得する様子が見られた。 ② 創造的能力の習得 「基本仕様のみ提示とそれ以外は自由設 計」がもたらしたものは、全グループがそ れぞれ独自の成果物を作り出したことであ る。これは、学生が自ら創造力を生かし自 由な発想で設計・製作したことの証明であ る。 ③ 管理能力の習得 学生には、最初に計画と実績欄を設けたガ ンチャート(工程表)を作成させた。 その都度実績を記入し、ずれが生じた場合 は、原因究明と対応策を作成し、常に実績 を計画にフィードバックすることで現状把 握し、課題の完成(納期)の重要性を意識させ ることができた。 ④ 複合した技能・技術の習得 開発課題Ⅰでは発注者(基本仕様のみ)から 学生が受注し、製品を意識した「ものづく り」全工程を体験した。学生達も最初は、 「どうやって作るのか?」「大変だ」など否 定的な意見があったが、他科の学生とディ スカッションを行い目的に向かって行く姿 を日々見ていると学生の変化が良く見えた。 課題も全員完成し学生達も達成感を感じた。 この体験から学生が「応用力」「問題解決力」 「創造的能力」「管理能力」の習得がなされ たと判断できる。 7-3 学生からの意見 学生の製作中、終了後の意見を次に示す。 ① 課題の準備不足があった。 ② 部品が入手できず困った。 ③ 加工機が不足している。(使用できる時間が 不足していた) ④ メンバー次第で負担の不公平がある。 以上が不満な点の意見である。 次に、良かった点としては、 ① 全員で最後までできた。(完成した) ② 3 科合同になり、他科と話し合いが持て良 かった。 ③ 自分達独自のアイデアで動いた時嬉しか った。 ④ 競技が楽しかった。 などが挙げられた。 図7-1 成果物(第 5 グループ製作) 8. おわりに 開発課題Ⅰを実施して、「ものづくり」を既 存の技能・技術で全工程を主体的に実施するこ とで複合した技能・技術及び活用能力を習得す る目的は達成された。 しかし、従来方式の開発課題Ⅱは現在進行中 である。本来54 単位で計画されたものを 38 単 位に減らしたことによる影響は、どのようなも のかまだ見えない。 この2 課題を終了した時点で改めて開発課題 のあり方について議論すべきであろう。

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