香 川 大 学 経 済 論 叢 第69巻 第1号 1996年 6月 1-60
わが国の市町村における予算編成過程
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年の調査一一一
目 次 多忙な方のための簡潔な要約 I はじめに II 地方自治体の予算編成過程 III わが国の地方自治体の予算編成の特徴 IV 市町村の予算編成過程に関するこれまでの調査 V 1994年度の地方財政計画について VI 調査の概要と回答市町村のプロフィーJレ VII 問lから問3までの分析西 山 一 郎
(以上香川大学経済論叢』第68巻第2・3号, 1995年 11月) VIII 問4から問10までの分析 問4から問10までは,予算編成における首長の役割についての質問である。 まず最初に,経常的経費の予算編成と政策的経費の予算編成のそれぞれにおい て首長が影響を発揮する段階をたずねた。 問4 まず,経常的経費の予算編成において首長が影響を発揮する場合は, 通常,どの段階かをたずねた。その回答(複数回答)の単純集計の結果は,第 13図のとおりである。圧倒的に多い回答は,首長査定の段階であるとするもの 自由 で,7L8%
である。第2
位は,予算編成方針を策定する段階であるとする回答 (55) 高知県下の市町村においても,この回答の割合は, 698%で,第1位である(拙稿「高2 香川大学経済論叢 第13図 経常的経費の予算編成において首長が影響を発揮する段階 両計画の策定段階 予算編成方針の策定段階 事業担当部課の要求段階 財政担当課の査定段階 首長査定の段階 そのf也 7L 8
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10 20 30 40 50 60 70 80(%) 第14図 経常的経費の予算編成において首長が影響を発揮する段階(市。町。村) 両計画の策定段階 予算編成方針の策定段階 事業担当部課の要求段階 財政担当課の査定段階 首長査定の段階 そのイ也o
10 20 30 40 50 60 70 80 90(%) 図 市 図 町 図 村 2 で,4
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である。したがって,経常的経費の予算編成において首長が影響を 発揮する段階は,通常,首長査定か予算編成方針を策定する段階かであり,市 町村の7
割以上においては,前者であることが分かつた。 これを市町村別にみると,第 14図のとおりである。すなわち,首長査定の段 階を見ると,市が63.9%
であるのに対して,町が7
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,村が7
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7
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となり, 知県下の市町村の予算編成過程一1992年の調査一J,~研究年報 A (香川大学経済学部)32, 1993年3月.46ページ)。3 わが国の市町村における予算編成過程 (2) -3-漸増傾向であるのに対して,予算編成方針を策定する段階では,逆に,村が最 も少なく 36..7%であるのに対して,町が38..7%,市が571%となり漸減傾向を 示している。これは,市に比較して町や村の場合には,予算編成方針の策定と いう,全体的な政策決定の場においてよりも,首長査定という首長自身が直接 采配を振るう場で首長が影響を発揮するケースが多くなるということであろ う。 地域別にみると,第15図のようである。きわだ、った傾向ではないかもしれな いが r首長査定の段階である」という回答は,中部以西の西日本で70%以上と なり,北海道,東北,関東では70%以下となっている。西日本でも,特に四国 では78.8%となり,際だつて高い。他方 r予算編成方針を策定する段階である」 という回答は,関東が53ド0%,中部が46..6%,北海道が43..3%と比較的高く なっている。 (5日 間5 では,政策的経費の場合はどうであろうか。この設問の回答(複数回 第15図 経常的経費の予算編成において首長が影響を発揮する段階(地域別) % ∞
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のロ首長査定の段階図その他 (56) 政策的経費とは r臨時的経費のうち,内容について高度の政治的判断を必要とし,あ-4ー 香川大学経済論叢 第16図 政策的経費の予算編成において首長が影響を発揮する段階 両計画の策定段階 予算編成方針の策定段階 事業担当部課の要求段階 財政担当課の査定段階 首長査定の段階 その他 82齢6 日 わ5
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10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%) 4 答)の単純集計は,第 16図のようである。首長が影響を発揮する段階は,政策 的経費の場合は,首長査定の段階が 826%で圧倒的である。第 2位は,基本計 画や実施計画を策定する段階で 47.9%,第 3位は,予算編成方針を策定する段 階で 32..2%,第 4位は事業担当部課が要求を提出する段階で, 25引2%である。 したがって,政策的経費の予算編成の特徴は,第1に,経常的経費に比較し て,首長査定の段階で影響を発揮するケースが一段と大きいこと,第2
に,首 長が影響を発揮するケースも r基本計画や実施計画を策定する段階である」と るいは地方公共団体の行政執行に重大な影響を及ぽすような経費J(松本英昭『地方公共 団体の予算』ぎょうせい, 1979年, 386ページ)であるが、その範囲については「定型的 にこの種の経費というように特定することはできない。例えば,一般的には経常的,義務 的といい得る人件費であっても,政策課題を達成するために直接必要となる職員の増員 などは,この分類に属するJ(悶上)と言われる。なお,地方財政において r政策的経費」 という範隠は必ずしも一般的なものでないようである。例えば士也方財政小辞典.1(3訂 5版)ぎょうせい, 1993年,を見ても,この言葉は出てこない。ところで,この範障害を最 初に定義したのは,松本英昭氏であろうか。この言葉は,その後も,行政マンの間では使 われているようである。例えば,紀内隆宏編『実践・予算編成ー一一予算編成のテクノロジー 一 一.1(改訂版)ぎょうせい, 1993年, 95ページ,を見よ。それによれば,この経費には, 「大規模な建設事業や単独の補助事業,首長が公約として掲げている各種の事業のほか, 例えば政策遂行のために必要な増員要求や,公営企業の赤字処理問題等も,場合によって はこのような経費として検討されることがありうるものと考えられる。J(同上書,96ペー ジ)という。 (57) この点も高知県下の市町村と同様であり,高知県下の場合にはこの回答の割合が, 73引 6%で,第1位である(向上拙稿, 47ページ)。5 わが国の市町村における予算編成過程 (2) 5ー いう回答の割合が,経常的経費の予算編成の場合に比較して格段に高いことか らうかがえるように,予算編成の初期の段階からその準備が行われなければな らないこと,したがって,第3に,予算編成方針の策定段階において首長が影 響を発揮するケースが経常的経費の場合に比較して低くなっていることであ る。これらは,政策的経費の性格を考えれば,当然の結果のように思われる。 回答を市町村別に区分するとどうであろうか。第 17図を見よ。第 1に,首長 査定の段階で影響を発揮する場合は,市の場合が93..7%と最も大きい。つづい て,町が80..0%,村が 78..5%と漸減傾向を示している。政策的経費の予算編成 の場合,首長査定の段階において首長が影響を発揮するケースが市において最 も多いというのは,常識と少しちがうかもしれない。つまり,市に比較して, 財政規模や行政組織の小さい,小回りのきく町や村の方が首長査定において首 長が影響を発揮するケースが大きいと想像できるからである。 そこで,第18図を見よ。ここから明らかなように,首長査定の段階で影響を 発揮する場合は,当初予算規模に見事に比例しているのである。すなわち, 30 億円未満の自治体では,それが,74引5%であるのに対して, 100億円以上では 92 5%となっているのである。したがって,首長査定の段階で影響を発揮する場合 は,とりわけ 100億円以上の団体において顕著で、あるといえるであろう。 第17図 政策的経費の予算編成において首長が影響を発擁する段階(市“町・村) 両計画の策定段階 予算編成方針の策定段階 事業担当部課の要求段階 財政担当課の査定段階 首長査定の段階 その他
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10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%) 図 市 図 町 図 村-6 香川大学経済論叢 第18図 政策的経費の予算編成において首長が影響を発揮する段階 (平成6年度当初予算規模) 両計画の策定段階 予算編成方針の策定段階 事業担当部課の要求段階 財政担当課の査定段階 首長査定の段階 その他
o
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%) 図35億 円 未 満 図35億円--50億 円 図 刷 開-1側 聞 協100億円以上 6 第2
に,基本計画や実施計画を策定する段階を市町村別にみると,第1
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図の ように,市が最も多く6L5%
で,町が4
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,村が3
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となり,漸減傾向を 示している。また,第1
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図を見ると,基本計画や実施計画を策定する段階も, 同様に,当初予算規模に比例してその回答が多くなっているのである。 なお,これを地域別にみると,第 19図のように,首長査定の段階で首長が影 響を発揮する場合は,関東が一番多く,9
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,つづい、て,近畿の8
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..4%である。他方,少ないのは,7
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の四国,7
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の中国,7
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の九州・沖縄である。 間8 さきに見たように,わが国では予算編成における首長の自主性がきわ めて圧迫されており,首長が自らの政策のために自由に使うことのできる財源 は少額であるといわれている。私は,この点を確かめるためにはどのような設 聞が良いかを思案したが,高知県下の市町村の予算編成過程の調査を踏まえ て,ほぽ同じ設聞を今回の全国調査でも設けた。すなわち,設問は,率直に, 平成6
年度の歳出予算において首長自らの政策的判断に基づいて計上すること のできた金額が歳出予算全体においてどの程度の割合を占めるかをたずねた。 (58) 向上拙稿.50~52 ページ。 (59) ,首長自らの政策的判断に基づいて計上することができた金額」は,先の「政策的経費」7 わが国の市町村における予算編成過程 (2) 7ー 第19図 政策的経費の予算編成において首長が影響を発揮する段階(地域別) l%) lUU 山 町 山 M A U ハ U ハ U ハ U ハ unυ ハ U ハ U f 句 。 司 勺 t n b k υ A 生 q υ つ ω 1 よ 東北 関 東 図両計画の策定段階回予算編成方針 の策定段階
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中 部 近畿 日事業担当部課 回財政担当課の の要求段階 査定段階 九川["沖縄 白首長査定の段階図その他 第20図 首長の政策的判断で歳出予算に計上できた金額の割合 5%未満 張~270 5%-10% 10%-20% 20%-30% 30%以上 よく分からない彰L抜勿~勿勿勿~17..7 O 5 10 15 20 25 30 35(%) し た が っ て , こ の 設 聞 は , 財 政 制 度 上 の 枠 を 別 に し て , 首 長 自 ら の 政 策 的 判 断 と い う , い わ ば 主 観 的 側 面 に つ い て の 質 問 と い え る で あ ろ う 。 とほぼ同じと考えてよいであろう。しかし,厳密には,両者がどの程度一致するかは現時 点、では判然としない。← 8- 香川大学経済論叢 8 その単純集計の結果は,第20図のようである。すなわち, 5 %未満が最も多 く27,,0%,ついで 5 %以上 10%未満が多く, 21,8%である。したがって, 10% 未満が全国の市町村の48,8%となる。そして, 10%以上 20%未満が 16,,0%であ る。しかし, 20%以上 30%未満が 6,,7%,30%以上が 10,8%である。われわれ が注目すべきは, 30%以上という市町村が全国の 10%程度あるということであ 側 る。 なお rよく分からなしりという回答は, 17リ7%である。たしかに,複雑な財 政制度と予算編成過程のなかでどれだけの経費が首長の政策的判断で計上され たかの判定は,回答者にとっては難問であったであろうことは推測にかたくな い。したがって,よく分からないという回答が17,,7%に達したことも十分理解 できるように思われる。 間6の回答を市町村で見ると,第 21函のようである。ここで特に興味深い事 柄は見られないが,あえて言えば, 5 %未満の団体では,市が 33,,7%,町が 27" 。%,村が
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,,2%となれやはり市の場合には,市長の政策的判断の幅が町村長 に比較して小さいことがうかがえる。また, 30%以上の団体の場合は,市が 10。 第21図 首長の政策的判断で歳出予算に計上できた金額の割合(市ゎ町1村) 5%未満 5%-10% 10%-20% 20%-30% 30%以上 よく分からないo
5 10 15 20 25 30 35 40(%) 図 市 図 町 図 村 (60) 高知県下の市町村の場合は, 30%以上という回答が13,,2%,7団体(2市4問1村)で あった(同上拙稿, 52ページ)。9 わが国の市町村における予算編成過程 (2) -9-7% (22団体),町が10..3%(63団体),村が124%(22団体)であり, ほぼま んべんなく分布していることが分かる。 地域別にみると第22図のようである。特に際だった特徴は見られないが, 5 %未満の団体は,関東が34引1%で突出している。つづいて,中国が第2位で, 30引0%である。もっとも,10%未満の回答の割合の合計でみると,東北が53.2% となり,全国で最も高い地域となる。 30%以上の団体が多い地域は, 20.9%の北海道, 14.0%の中国であり,最も 少ないのは, 6引1%の関東である。 財政力指数で見ると,第23図のようである。 ここ、で不思議に思われるのは, 30%以上の団体の場合は,財政力指数が小さくなるにしたがってその割合が増 加していることである。常識で考えると,財政力指数が小さくなれば,首長自 らの政策的判断で計上できる金額の割合も減少するように思われる。 したカまっ て, 30%以上の団体の場合,首長自らの政策的判断で計上できる金額の割合は, (%) 40 35 30 25 20 15 10 5 O 刻 将 川 〉臼や v 刊 :~:: N 7 百3 明 第22図 北海道 殴5%未満 首長の政策的判断で歳出予算に計土できた金額の割合(地城別) 東北
遡J1
関東 図5%-10% 中部 口10%-20% 近畿 中国 四国 回20%-30% 日30%以上 図よく分からない- ] 0 - 香川大学経済論叢 第23図 首長の政策的判断で歳ー出予鉾に計上できた金額の割合(財政力指数) 5 %未満 5%-10% 10%-20% 20%-30% 30%以上 よく分からない
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5 10 15 20 25 30 35 40(%) 1221020未満 ~O 20、o
30 区~O30--0 50~O 50以上 第24図 首 長 査 定 の 方 法 首長に報告だけ(133%) 10 首長の出席の下に行う (495%) 首長の承認をうるだけ (24 財政力指数とは直接の関係がないということであろうか。 間7 首長査定の方法についてたずねた回答の単純集計は,第24図のとおり である。最も多い回答は r首長が出席した席で,事業担当部課の出席を求めて 内容を決めていく」というもので,ほぽ半数の49..5%である。第 2位は r個別 の事業については,事業担当部課の出席の下で査定を行うが,内容については 事前にほぽ固められており,あとは首長の承認をうるだけである」という回答11 わが閏の市町村における予算編成過程(2) 十 11-第25図 首長査定の方法(市・町・村) 首長の出席の下に行う 首長の承認をうるだけ 首長に報告だけ その他 O 10 20 30 40 50 60(%) で, 24..4%,第 3位は I個別の査定は行わず,財政担当課が予算の概要,重要 事業などを報告するだけである」という回答で, 133%である。したがって, 首長査定といわれるものの半分は,首長の出席の下で行われ,首長自身が采配 をふるえるようになっているということであろう。 市岡村別にみると,第 25図のようである。第 lに I首長が出席した席で, 事業担当部課の出席を求めて内容を決めていく」というのは,市より同,町よ り村の方が多く,村の場合には,それが53..1%に達する。また,このような傾 向は I個別の事業については,事業担当部課の出席の下で査定を行うが,内容 については事前にほぼ固められており,あとは首長の承認をうるだけである」 という場合にも同じである。 なお Iその他」という回答は,市の場合に特に多いが,
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例ばかりを紹介す れば,次のようである。 「政策的判断を要する重要事業について財政課が概要等を説明し,首長査定 を受け,問題があるものについては後日,事業担当課の出席の下で再度首長 査定を行う」 「財政担当部から予算の概要,重要事業等の報告をするとともに特定の重要 案件について〔首長の〕判断を仰ぐ。この際に事業担当課は出席しない場合 が多い。」b h i l l -i 4 9 h E S t i -12 香川大学経済論叢 12 「財政担当課が重要事業を中心に予算概要を説明し,首長の承認をうける」 「財政課が予算の概要を説明し,首長が査定し予算を決定」 「財政課が予算の概要を報告するとともに,個別事業についてもその内容を 説明し,財政原案の査定額を報告する。場合によっては,首長が査定額を決 定するものもある。」 「財政課案を提示したうえで事業課より市長へ説明,その結果,財政課案(の〕 数値,内容の変更がある。」 「市長は事業担当課が事業説明を行った後,財政課と個別に査定を行う」 「財政課(部長査定を含む)と事業担当課において事前に個別に査定協議を 実施し,ほぽ事業費を固めたあと,財政担当課が概要,重要事業などを説明 しながら,首長の判断にゆだねる。なお,首長査定には,事業担当部課は出 席せず,いつでも対応できるように待機する。」 「個別の事業について財政担当部長が首長に内容を説明し,その後,事業担 当部長の出席を求め追加説明,復活要求を受ける。最後に,財政担当部長と 首長が内容を決めていく。」 「首長が出席した席で,財政課が説明。事業内容については,助役査定にて 整理。首長査定時は事業担当部長が待機。」 地域別にみれば,第26図のようである。「首長が出席した席で,事業担当部 課の出席を求めて内容を決めていく」という首長査定は,北海道が最も多く, 64.2%であり,第 2位は,中部で 54.3%,第 3位は中国で, 53..0%である。九 州・沖縄の特徴は,-個別の事業については,事業担当部課の出席の下で査定を 行うが,内容については事前にほぼ固められており,あとは首長の承認をうる だけである」という回答が32..8%に達し,全国で最も多いということである。 なお,-個別の査定は行わず,財政担当課が予算の概要,重要事業などを報告す るだけである」という査定の方法は,北海道では皆無である。 間8 首長査定にはどれくらいの日数をかけているのであろうか。この設問 の回答の単純集計は,第
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図のようである。すなわち,3
日未満というのが最 も多く 45..9%,3日から 5日が 36..8%で,両者を合わせると 82ゅ7%となる。なl3 わが国の市町村における予算編成過程 (2) -13 第26図 首長査定の方法(地域別) (%) 70 60 50 40 30 20 10 目 認 け 立ロルド-ニ 中 制 針 長う 首を 東 回 関 席 う 出 行 じ の に 羽 長 下 耳 首 の 回 道 海 レ じ 斗 ﹂ ﹁ ハ U 近 畿 中国 四 国 九 州 ・ 沖 縄 首長に報告 図そのf也 だけ 第27図 首長査定の日数 3日-5日 45..9 3日未満 6日-9日 10日以上 その他 -10..1
o
5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55(%) お, 6日から 9日というのは, 15..4%にすぎない(設問の回答は4つであるが, 「その他」とは1
団体が「直接担当部課との査定はしない」と回答したので, それを「その他」として集計したものである)。-14ー 香川大学経済論叢 14 第28図 首長査定の日数(市・町・村) bのの佐竹勿勿%仏勿勿勿の勿勿必?う4 、 3日未満 3日-5日 6日-9日 10日以上 そのf也 O 10 20 30 40 50 60(%) 図 市 図 町 図 村 この回答を市町村別にみると,第28図のようである。第1に, 3日未満とい う回答は,市が39ι%であるのに対して,町が46..9%,村が49..7%である。こ れは,財政規模や行政組織の大小を考えれば,当然の傾向であろう。第2に, 6日から 9日というのは,市が21“0%で,村の 11引9%に較べるとかなり大きい ことが分かる。これは,財政規模の大きさと関係があるといえるであろう。 興味がある方もあろうと思い,地域別の分布を見ると,第29図のようである。 どういう理由か分からないが, 3日未満の回答は東北が66.4%となり,全国で も突出している。 3日未満が50%以上の地域を見ると,四国が515%,九州、│・ 沖縄が50..6%である。 6日から9日の回答が多い地域は, 20..9%の北海道, 19.. 2%の中部, 17..8%の九州│・沖縄である。なお,東北は 6日から9日という回 答が41%で,きわめて小さい。 間9 平成
6
年度の当初予算の編成における首長査定の段階で,予算の規模 や金額,内容が変化したかどうかについてたずね,首長査定の効果ないし影響 を確認しようとした。この回答の単純集計は,第30図のようである。すなわち, (61) 図は掲げないが.3日未満の場合,その回答が平成 6年度の当初予算規模に比例してい るか,つまり,当初予算規模が小さくなるにしたがってこの回答が増えるかというと,必 ずしもそうではない。つまり.35億円未満の団体の回答が476%に対して.35億円以上 50億円未満の団体の回答は490%となり,かえって増加しているのである。15 わが国の市町村における予算編成過程(2 ) 第29図 首長査定の日数(地域別) -15 70 oU 60 50 40 30 I附 20Hm\l:~h 1 0内閣::r--O
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金額内容ともに変化物~68..3 関東 近畿 中国 第30図 首長査定における予算規模等の変化 内容などの変化 ほとんど変化なし そのイ也o
10 20 30 40 50 60 70 80(%) 「金額,内容ともに変化があった」という回答が6
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,r金額は変わらないが, 項目などの内容において変化があった」という回答が5.2%であり,したがっ て,いずれにしても当初予算が変化したという回答が,両者を合わせると7
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! ー -16- 香川大学経済論叢 16 第31図 首長査定における予算規模等の変化(市"町"村) 金額内容ともに変化 内容などの変化 ほとんど変化なし その他
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10 20 30 40 50 60 70 80(%) 図 市 図 町 園 村 第32図 首長査定における予算規模等の変化(地域別) (%) 100 90 80 70ω
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北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九川│ゃ沖縄 包金額内容 図内容などの 臼ほとんど ともに変化 変化 変化なし 回 そ の 他 5%であった。他方 rほとんど変化がなかった」という回答は25..2%である。 つまり,平成6年度の当初予算は,首長査定において市町村のほぼ 4分の 3に17 わが国の市町村における予算編成過程 (2) -17-おいて変化したのであり,首長査定の効果はかなり大きいと判断されるて?あろ フ。 この回答を市町村別にみると,第31図のようである。この図から確認できる のは,首長査定において「金額,内容ともに変化があった」という回答は,村 が65..5%,町が68..5%,市が70..2%で,村から向,町から市になるにしたがっ て,やや漸増傾向が見られるということであろう。 また,地域別にみると,第32図のようである。ここから分かるように,金額, 内容がともに変わったという回答は,近畿が77..2%,中部が74..5%,中国が73.. 0%で,特に大きいということ,そして,ほとんど変化がなかったという回答は, 四国が39..4%,九州・沖縄が29..9%,東北が29..5%であり,これらの地域でこ の回答の割合が高いということである。 問 10 問9で首長査定の効果の大きさが分かつたので,変化したと答えた団 体にたいして,その変化の原因についてたずねた。その回答(複数回答)の単 純集計は,第33図のようである。すなわち,圧倒的に大きい原因は r首長の
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意向」であり,それが95..5%を占める。第2位は「事業担当部課の意向」とい う回答で, 28..8%,第3位は「住民の要望」という回答で, 236%である。そ 第33図 首長査定における予算規模等の変化の原因 首長の意向 95..5 事業担当部諜の意向 談会の意向 住民の要望 その他o
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110(%) (62) 高知県下の市町村においては,予算の規模や金額,内容が変化したという回答が49-18 香川大学経済論叢 18 して,第
4
位は r議会の意向」という回答であるが,これはぐっと小さくなり84%
である。 市町村別にみると,第 34図のようである。「首長の意向」によるという回答 は,市が 994%,町が 95..1%,村が 92..1%であるのに対して, r {主民の要望」 によるというのは,市が 20,,8%,町が 23,,6%,村が 26,.8%である。したがっ‘て, 村より市の方が首長の意向が原因で当初予算が変化したケースが多いといえそ うであるし,首長査定においてではあるが,住民の意向を汲んで当初予算を変 更したケースは,傾向としては,市より町,町より村の方が多いということで ある。前者を人口規模で見ると,第 35図のようである。すなわち,首長の意向 が原因で当初予算が変化したケースは人口規模に比例し, 6,000人未満の団体 は 92,1%であるのに対して, 3万人以上の団体は 98ド8%である。また,平成 6 年度当初予算規模で見ると,第 36図のようであり,この場合も,首長の意向が 原因で当初予算が変化したケースは,当初予算規模に比例している。すなわち, 第34図 首長査定における予算規模等の変化の原因(市"町・村) 首長の意向 事業担当部課の意向 談会の意向 住民の要望 その他o
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%) 図 市 図 町 図 村 1%,ほとんど変わらなかったという回答が509%となりほぼ二分されたが,前者に関し て,その原因が首長の意向であるという回答が963%となり,圧倒的であった。なお,住 民の要望によるという回答は222%であった(同上拙稿, 57, 62ページ)。19 わが国の市町村における予算編成過程 (2) 第35図 首長査定における予算規模等の変化の原凶(人口規模) 首長の意向 事業担当部課の意向 議会の意向 住民の要望 その他 首長の意向
o
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (%) 図 6千 人 未 満 図 肝 人-1万 人 園 田 人-3万 人 圏3万人以上 第36図 首長査定における予算規模等の変化の原因 (平成6年度当初予算規模) 事業担当部課の意向 談会の意向 住民の要望 そのイ也o
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%) 図 35億円未満図35億円、5崎 円 図50億円、l州 間 関10崎円以上 193
5
億円未満の団体では9
2
.
.
6
%
であるのに対して,1
0
0
億円以上の団体では抑制4%
となっている。 地域別にみるとどうであろうか。それは,第 37図のようである。まず,当初 予算が変化した原因が「首長の意向」によるという割合は,地域によってほと んど変わらない。つまり,いずれの地域においても,それは,90%
以上であり,I t F I t -﹄ 寸 K I t -l r l a -20- 香川大学経済論叢 20 第37図 首長査定における予算規模等の変化の原因(地域別) (%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 ι 、~~.戸 ;;t I, _ _ _ 'P, ----'ι !l
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1
:,1 。 北 海 道 東北 関東 中部 近畿 中国 四 国 九 州 ・ 沖 縄 国首長の意向 図3
5
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当部課口議会の意向 国住民の要望 箇その他 最も高いのは,中部と近畿の97.0%
である。「事業担当部課の意向」が原因とい うケースを見ると,中国が4
2
ド1%
で最も高く,それに続くのは,北海道の3
6
7%
である。「議会の意向」が原因というケースを見ると,最も小さいのは中国 の3.9%
である。また rイ主民の要望」が原因というケースを見ると,最も大き いのは,北海道の3
6
れ7%
であり,非常に高い。また,最も小さいのは,これま た中国の10ι%
である。したがって,北海道は事業担当部課の意向と住民の要 望という原因がともに大きく,議会の意向が小さい地域といえそうであり,中 国は事業担当部課の意向が特に大きく,住民の要望や議会の意向が小さい地域 であるといえるであろうか。I
X
問1
1
と問1
2
の分析 問1
1
と問1
2
は,市町村の経費の査定についての質問である。 間 11 まず,義務的経費以外の経常的経費,すなわち物件費,維持補修費お よび補助費等の査定の方法についてたずねた。その回答(複数回答)の単純集21 わが国の市町村における予算編成過程 (2) 21-計は,第38図のようである。すなわち r前年度の実績に基づき,それに対す る増減という形で査定を行う」という回答が70ι%で圧倒的で、ある。第2位は, 「原則として,前年度と同額である」という回答で, 30..8%,第3位は r経費 によっては,過去の実績をいったん白紙に戻し,毎年度それぞれの経費の効果 を検討すると言う形で査定を行う」という回答で, 26 3%である。したがって, 物件費,維持補修費および補助費等の査定は,わが国の市町村では増分主義に よる査定が中心であるといえるであろう。ただ,注目すべきは r経費によって は,過去の実績をいったん白紙に戻し,毎年度それぞれの経費の効果を検討す ると言う形で査定を行う」という,ゼロベース方式での査定を行う市町村が3 分のl弱あるということである。 市岡村別にみると,第
3
9
図のようである。「前年度の実績に基づき,それに 対する増減という形で査定を行う」という回答は,市町村の聞でほとんど差は ない。しかし r原則として,前年度と同額である」という回答は,市が27ゎ3% であるのに対して村は34..5%であり,市から町,町から村になるにしたがって 漸増している。他方 r経費によっては,過去の実績をいったん白紙に戻し,毎 年度それぞれの経費の効果を検討すると言う形で査定を行う」という回答は, 市が最も多く 28.8%であるのに対して,村は20..9%で,市から町,町から村に 第38図 経 常 的 経 費 の 査 定 の 方 法 前年度と同額 前年度に対する増減 70..4 白紙に戻し検討 各部課ごとに予め内定 そのf也o
10 20 30 40 50 60 70 80(%)22- 香川大学経済論叢 第39図 経常的経費の査定の方法(市・町・村) 前年度と同額 前年度に対する増減 白紙に戻し検討 各部課ごとに予め内定 その他
o
10 20 30 40 50 60 70 80(%) 図 市 図 町 図 村 22 なるにしたがって漸減している。また i各部課ごとに経費の総額またはそのう ちの特定の経費をあらかじめ計算して内定しておき,査定にあたっては改めて 議論しないと言う形で査定を行う」という回答は,単純集計の回答が6.0%と小 さいが,これは,市の場合は13..7%であり, 43%の町や3“4%の村に比較して 格段に大きい。すなわち,経常的経費については,そのような査定が市の場合i
にはよく取られるということであろう。 間 12 つぎに,政策的経費の査定の方法についてたずねた。その回答(複数 回答)の単純集計は,第4日図のようである。すなわち,最も多い方法は, 2つ, lつは i政策的経費の政治経済的効果や社会的効果を考え,またその計上にと もなう財源負担や職員の増員の有無等を考慮して総合的に判断して査定する」 という方法で, 49..3%,もう 1つは iあらかじめ決定された政策課題に適合す る事業を選び出し,政策的経費全体のバランスや実施のタイミング等を考慮し て査定する」という方法で, 48.5%である。第3位と第4位もほぼ同じ割合で あるが,第3位は i前年度の実績を基礎として,それに対する増減という形で 査定を行う」という回答で, 254%,第4位は i過去の実績は参考にするが, 全体についてはいったん白紙に戻し,再検討すると言う形で査定を行う」とい う回答で, 25..3%である。第5位は i過去の実績をいったん白紙に戻し,毎年i
i
23 わが国の市町村における予算編成過程 (2) -23ー 第40図 政策的経費の査定の方法 前年度に対する増減 過去の実績を参考に再検討 白紙に戻し再検討 49..3 ノtランスとタイミング 48..5 総合的に判断 その他o
5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60(%) 度全事業の費用や効果,必要性を検討するという形で査定を行う」という回答 で, 22..8%である。 第l位の回答は,総合判断型とでも称すべきものであり,第 2位の回答は, わが国の予算編成において伝統的な,バランス・タイミング型というものであ ろう。したがって,市町村の政策的経費の2つの大きな査定方法は,総合判断 型とバランス・タイミング型であることが分かった。そして,義務的経費以外 の経常的経費の査定の場合とことなり,政策的経費の場合には漸増主義を採用 する市町村は少ないので、ある。漸増主義は,政策的経費の場合にはその割合が かなり小さくなる。そして,漸増主義とややゼロベース方式に近い方式は,そ の割合がほとんど同じであり,ともに第3位の方式といえるであろう。 市町村別にみると,第41図のようである。すなわち,総合判断型とバランス・ タイミング型はともに市の場合において突出しているということである。すな わち,前者は,市の場合には, 60.5%,後者は,同じく 56..6%である。また, 第3
位の「前年度の実績を基礎として,それに対する増減という形で査定を行 う」という回答も,第4
位の「過去の実績は参考にするが,全体についてはいっ たん白紙に戻し,再検討すると言う形で査定を行う」という回答も,市[の場合 が大きいということも指摘すべきかもしれない。 第42図は,平成6年度当初予算規模で回答を分類したものである。これを見l
i
-24 香 川 大 学 経 済 論 叢 第41図 政策的経費の査定方法(市・町 1村) 24 前年度に対する増減 過去の実績を参考に再検討 白紙に戻し再検討 ノtランスとタイミング 総 合 的 に 判 断 その他o
10 20 30 40 50 60 70(%) 図 市 図 町 図 村 第42図 政策的経費の査定の方法(平成6年度当初予算規模) 前年度に対する増減 過去の実績を参考に再検討 白紙に戻し再検討 ノtランスとタイミング 総 合 的 に 判 断 その他o
5 1015 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 77(%) 図 35億円未満図35億円-50億 円 図50億円-1州 間 協100億円以上 ると,総合判断型もバランス・タイミング型も,当初予算規模に比例している ことが分かる。すなわち,前者は, 35億円未満が39..3%であるのに対して, 100 億円以上が58“0%であり,後者は, 35億円未満が44..7%であるのに対して100 億円以上が531%なのである。したがって,予算規模が大きくなるにしたがっ て,これらの方法がよく採用されるようである。 地域別にみるとどうであろうか。第 43図を見よ。地域によってかなりばらつ25 (%) 60 50 40 30 20 10 O わが国の市町村における予算編成過程(2 ) -25-第43図 政策的経費の査定方法(地域別) トー一ーー 白、戸 ト一一 トー 山叫九〈 白、 〉 白九 J 戸P ト一一 :~ 主 巴J句:、、: ) 戸 、〉 日 ν 白 山 F 目 ::' 山::: ♂ ドー 巴、 句 ' 1 ;、
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h 中 北海道 東北 関東 中部 開前年度に 間過去の実綴を 円白紙に戻し 幽対する増減 凶 参 考 に 再 検 討 凶 再 検 討 一白、円 句 J、 r ーー-ιA;;I: 調 l 近畿 中国 バランスと [,;:) -タイミング ト-lr ト一一中日や 句 J、ト
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r--日~~: トー ::: 山p h買:::・ ,~~~ 円V 同 四国 九州1"沖縄 臼総合的に判断 図 そ の 他 きがあり興味深いが,ざっと見るとつぎのようなことが指摘できるであろうか。 第1に,総合判断型がバランス・タイミング型に比較して大きい地域は52れ3% の関東, 49.5%の中部, 528%の近畿, 44.0%の中国という,わが国の中心的 地域であり,バランス・タイミング型が前者に比較して大きい地域は, 52..2% の北海道, 55..7%の東北, 53.0%の四国, 48ゎ9%の九州、│の,いわば周縁地域で ある。そして,両者の差の大きい地域に注目すれば,近畿において特に総合判 断型が多く,四国では逆にバランス・タイミング型が多い。また,北海道は, 完全なゼ、ロベース予算編成が比較的多く,関東では漸増主義が多い。 X 問13から問18までの分析 問13か ら 問18ま で は , 予 算 編 成 と 国 庫 補 助 金 の 関 係 に つ い て の 質 問 で あ ( ω る。 (63) 国庫補助金に関する地方団体職員の意識調査は,管見の限りでは,やや古いが,米原教i
i
i
-26 香川大学経済論叢 26 間 13 ま ず 政 策 的 経 費 の 査 定 に お い て , 国 庫 補 助 金 の つ い た 事 業 に 優 先 的 に 予 算 を つ け る 傾 向 が あ る か ど う か に つ い て た ず ね た 。 そ の 回 答 の 単 純 集 計 は , 第 44図 の と お り で あ る 。 最 も 多 い の は I大 体 そ う い う 領 向 が あ る 」 と い う 回 答で, 47,7%で あ る 。 第2位 は Iそういう傾向がある」という回答で, 39,,9% で あ る 。 し た が っ て , 政 策 的 経 費 の 査 定 に お い て 国 庫 補 助 金 の つ い た 事 業 に 優 先的に予算をつける傾向を, 87,,6%の 市 町 村 の 財 政 主 管 課 長 な い し 課 員 が 肯 定 したのである。なお,このような傾向は,問1
2
に 関 連 さ せ れ ば , 総 合 判 断 型 の 回 答 の 「 そ の 計 上 に と も な う 財 源 負 担 」 に 関 係 す る と 思 わ れ る 。 つ ま り , 政 策 的 経 費 の 査 定 に お い て 財 源 負 担 を 考 慮 す る 際 に は , 自 主 財 源 と な ら ん で 国 庫 補 助金をも考慮するのが通常なのであろう。 そして I必ずしもそういう傾向はない」という回答は,1L5%
であり Iそ 第44図 国庫補助金と政策的経費の査定との関連 そういう傾向あり 47,,7 大体そういう傾向あり 必ずしもそういう{頃向はない そういう傾向はない -110,,4 その他 。,,5o
5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60(%) 授によるもの(米原淳七郎「国庫補助金に対する地方団体の意識に関する調査J,W新しい 社会経済情勢に即応した国庫補助金等のあり方についての調査研究報告書』地方行政総 合研究センター, 1981年 3月,所収)があり,私の今回の調査票の設計でも参考にさせて いただいた(以下,米原調査と呼ぶ)。米原調査の概略を見れば,調査年月日は不明であ る(1980年頃か)が,調査対象者は愛知他 5府県に所在する 115市の市長または助役,財 政課長,民生部門担当の課長,農林部門担当の課長,土木部門担当の課長の5名であり, 99市が回答し,回収率は 86%であった(同書, 713ページ)。われわれにとって関心があ るのは,財政課長に対する設問と回答であり,それは以下の関連する箇所で紹介したり, 比較したりするの27 わが国の市町村における予算編成過程 (2) -27ー 第45図 国庫補助金と政策ー的経費の査定との関連(市・町"村) そういう傾向あり 大体そういう傾向あり 必ずしもそういう傾向はない そういう傾向はない その他
o
5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60(%) 図 市 図 町 図 村 ういう傾向はない」と,きっぱり否定する回答は,わずか04%
である。 市町村別にみると,第45図のようである。「大体そういう傾向がある」とい う回答は,市が46..3%であるのに対して町が47..5%,村が49..7%であり,漸増 傾向といえるであろう。また rそういう傾向がある」という回答も,市が37. 6%であるのに対して町が40ゅ5%,村が40..7%であるから,わずかながら漸増 傾向があるといえるかもしれない。 問14 ここで、は,問13で,政策的経費の査定において国庫補助金のついた事 業に優先的に予算をつける傾向を肯定した団体に,その理由をたずねた。その 回答(複数回答)の単純集計は,第46図のとおりである。すなわち,圧倒的理 由は r財源の節約になるJという回答で, 91..7%である。第2
位は r国の認 (64) 米原調査の設問は r予算査定において,国庫補助金のついた事務には,優先的に予算 をつける傾向がありますか。」であり,回答は全くそのとおりである。」が, 29..6%, 「大体そう云って良いだろう。」が59..2%,r必ずしもそうではない」が11.2%,rそんな ことはない」が0%である(向上『調査研究報告書J,745~746 ページ)。設問も回答も若 干異なるので,厳密な比較は無理であろう。しかし,設問も大体同じとみなし,回答も「全 くそのとおりである」を私の調査の回答の「そういう傾向がある」と,そして大体そ う云って良いだろう」を「大体そういう傾向がある」と,ほぽ同じとみなせば,米原調査 における財政課長の肯定派は, 888%であるが,私の調査の場合にも,市の財政主管課長 や課員の肯定的回答の割合は, 83.9%であり,調査時期が十数年隔たっていてもほとんど 同じ結果であるといえるであろう。i
i
-28- 香川大学経済論叢 第46図 国庫補助事業に優先的に予算をつける理由 28 財源の節約 9L 7 予算計上の理由が立つ 特定の施策を優先する理由となる 企画カを必要としない その他o
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110(%) めた事業なので,予算計上の理由がたちやすい」で, 42..7%であり,第 3位は, ぐっと少なくなり r議員や住民の聞で施設の優先順位について合意が成り立ち がたい場合に,特定の施策を優先する理由がたちやすい」という回答で,18.5%
, 第4
位は r国庫補助金のついた事業は,事業のフレームも示されるので,自治 体の企画力をあまり必要とせず安心して取り組める」で, 10引4%である。した がって,国庫補助金のついた事業に優先的に予算をつける理由は,なんと言つ 曲 目 ても,財源の節約になるということである。 (65) 多くの識者が,国庫補助金の弊害や問題点をいくつも指摘する。例えば,坂本忠次『現 代地方自治財政論』青木書庖, 1986年, 153~164 ページ:加茂利男『日本型政治システ ム一一集権構造と分権改革一一』有斐閣, 1993年, 124~128 ページ:新藤宗幸『市民の ための自治体学入門』筑摩書房, 1994年, 42~46 ページ;佐藤進・林健久編『地方財政 読本1(第4版)東洋経済新報社, 1994年, 163~165 ページ,を見よ。そして,新藤教授 は,ある県庁の公共事業担当職員の'2,000万円以下の公共事業補助金はペイしない」と いう発言を紹介している(新藤宗幸『日本の予算を読む』筑摩書房, 1995年, 125ページ)。 それは,県の話であるが,市町村の財政主管課長の9割が,国庫補助金は財源の節約にな るという判断は,どう理解すればよいであろうか。この疑問解明の手がかりは,坂田氏の 次の指摘にあるように思う。すなわち,氏は,国庫補助金がつくとなると,自治体の財政 当局の査定は無いに等しいが,その理由は国庫補助金がたとえわずかでもつくと,そ の補助装(事業費から国庫補助金を差し引いた額)に通常起債が相当部分認められ,場合 によっては交付税によって補助哀の一部が措置されることもあるから,国庫補助金の魅 力は極めて大きいJ(坂田期雄『地方分権へのシナリオ」ぎょうせい, 1996年, 94ページ) とし補助金そのものは事業費に対して 2~3 割程度であっても,その補助哀として通 常起債が認められる。国庫補助さえつけば,自治体は1,2割程度の一般財源を用意すれば それでもって10割の事業が、できるというわけである。J(向上書, 94~95 ページ)という。29 わが国の市町村における予算編成過程 (2) -29-第47図 国庫補助事業に優先的に予算をつける理由(市"町・村) 財源の節約 予算計tの理由が立つ 特定の施策を優先する理由となる 企画力を必要としない その他
o
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%) 図 市 図 町 四 村 第48図 国庫補助事業に優先的に予算をつける理由(経常収支比率) 財源の節約 予算f計上の理由が立つ 特定の施策を優先する理由となる 企画力を必要としない その他o
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110(%) 図 65%未 満 図65%-70%図 70%-75%圏 75%以上 市町村ム別にみると,第47図のとおりである。ここでやや興味を引くのは r財 源の節約になる」という回答は,市の場合が97,,7%で,ほとんどの市の財政主 管課長ないし課員がそう答えているということである。 なお,この回答が財政状況に関係するかどうかをみると,第48図のようであ る。すなわち,例えば,経常収支比率で見ると, 65%未満の団体が91,3%,し かし, 65%以上70%未満の団体では88..4%とやや低下するが,70%以上75%未-30- 香川大学経済論叢 30 満の団体が93,,2%,75%以上の団体が 95,7%となり,やや漸増傾向といえるか もしれないが,その回答の割合はほとんど変わらないといえるであろう。その 他の財政状況の指標とクロスさせても,その回答の割合はあまり変わらないの である。したがって,財源の節約になるという理由は,国庫補助金のついた事 業に優先的に予算をつける団体において普遍的なものであるといってよいであ ろう。 間 15 間 13で,政策的経費の査定においては,国庫補助金のついた事業に優 先的に予算をつける傾向のあることが分かった。逆に言えば,国庫補助金のつ かない事業は予算計上において後回しにされるということであろう。そこで, 国庫補助金がつくまで新規事業の予算案への計上を延期する,いわゆる補助金 待ちがあるかどうかを確認するため,問 15を設計した。 この設問の単純集計は,第49図のようである。最も多いのは r必ずしもそ ういう傾向はない」という回答で, 44,5%である。しかし rそういう傾向があ る」という回答が190%,r大体そういう傾向がある」という回答が30“5%で, 両者を合わせると, 49,5%の団体が補助金待ちの傾向を肯定したのである。ま た rそういう傾向はない」とはっきり否定する回答は56%にすぎない。これ に r必ずしもそういう傾向はない」という回答を加えると, 50,1%となる。し たがって,補助金待ちの傾向を否定する団体と肯定する団体がほぼ半分半分と 第49図 新規事業と国庫補助金待ちの傾向 そういう傾向あり 大体そういう傾向あり 必ずしもそういう傾向はない 44,,5 そういう傾向はない その他 ,,。4
o
5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55(%)31 わが国の市町村における予算編成過程 (2) -31ー いうことであろう。 市 町 村 別 に 見 る と , 第50図のようである。 fそ う い う 傾 向 が あ る 」 と い う 回 答 は 市 が171%に 対 し て , 同 は19..2%, 村 が203%であり r大 体 そ う い う 傾 向 が あ る 」 と い う 回 答 も , 市 が28.8%に 対 し て , 町 が30,,8%, 村 が31..6%で あ り , 市 か ら 町 , 町 か ら 村 に な る に し た が っ て , わ ず か で は あ る が 漸 増 傾 向 が 認 め ら れ る よ う に 思 う 。 な お rそういう傾向はなしりとはっきり否定する回答は, 市 が8..8%で, 48%の町と 5.1%の村に比較して,やや多いように思、うて こ こ で 財 政 の 指 標 を2つ 見 る と , 以 下 の よ う で あ る 。 第51図を見よ。「必ず し も そ う い う 傾 向 は な い 」 と い う 回 答 は , 財 政 力 指 数 に 比 例 し , 0..20未 満 の 団 体 が35引0%であるのに対して,。ぃ50以 上 の 団 体 は51..2%で あ る 。 ま た r大 体 第50図 新規事業と補助金待ちの傾向(市 h町・村) そういう傾向あり 大体そういう傾向あり 必ず、しもそういう傾向はない そういう傾向はない その{也
o
5 10 15 20 25 30 35 40 45 50(%) 図 市 図 町 図 村 (66) 米原調査の設問は r今でも,国庫補助金待ちをすることがあるのでしょうか。」であり, 回答は全くそのとおりである。」が, 28..6%, r大体そう云っても良いだろう。」が55 1%, r必ずしもそうではない」が153%, rそんなことはない」が10%である(向上『調 査研究報告書j,761~762 ページ)。設問も回答も若干異なるので,厳密な比較は無理であ ろう。しかし,設問も大体同じとみなし,回答も「全くそのとおりである」を私の調査の 回答の「そういう傾向がある」と,そして大体そう云って良いだろう」を「大体そう いう傾向がある」と,ほぽ同じとみなせば,米原調査における財政課長のうちの肯定派は, 837%であるが,私の調査の場合には,市の財政主管課長ないし課員の肯定的回答の割合 は, 45..9%であり,米原調査から十数年経った今日は,補助金待ちがかなり減少したとい うことであろうか。B a l l o t -' l i l -す s i i 32ー 香川大学経済論叢 32 そういう傾向がある」という回答を見ると,特に
0
.
.
2
0
未満の団体が3
8
.
.
8
%
とな り,突出している。 第52図の公債費比率で見ると Iそういう傾向がある」という回答は,公債 費比率に大体比例している。すなわち,公債費比率が9%
未満の団体が1
2
.
.
9
%
であるのに対して,13%
以上の団体は2
23%
となり,漸増傾向を示している。 また I必ずしもそういう傾向はない」という回答は,公債費比率が9%
未満の 第51図 新規事業と国庫補助金待ちの傾向(財政力指数) そういう傾向あり 大体そういう傾向あり 必ずしもそういう傾向はない そういう傾向はない そのイ也 O 10 20 30 40 50 60(%) ~ 0 20未満尽~0 20-0 30区l:l0 30-0 50~ 0 50以上 第52図 新規事業と国庫補助金待ちの傾向(公償資比率) そういう傾向あり 大体そういう傾向あり 必ずしもそういう傾向はない そういう傾向はない その他o
10 20 30 40 50 60(%) 図 脱 未 満 図 鰯-ll%図 11%-13%閣 13%以上33 わが国の市町村における予算編成過程(2) 33 団体では515%となり,突出している。 地域別にみるとどのようになっているであろうか。第 53図を見よ。第 1に, 関東と中部では r必ずしもそういう傾向はない」という回答がそれぞれ56..1% と486%であり,突出しているのが目につく。なお,北海道も 47.8%である。 他方,四国と九州・沖縄では r大体そういう傾向がある」という回答が45引5% と36..2%であり,かなり高い。そこで rそういう傾向がある」という回答と「大 体そういう傾向がある」という回答を合計した数値を見ると,補助金待ちの傾 向を肯定する地域は四国が63..7%で最も大きく,それに続くのは,九州・沖縄 の59,,2%である。逆に,補助金待ちの傾向を否定する地域は,関東が659%で 特に高くなっている。補助金待ちの傾向を肯定する地域は,歳入に占める国庫 補助金の割合が多い地域であろうか。 間 16 つぎに,財政主管課では,なるべく多額の国庫補助金を獲得するよう, 事業担当課に働きかけているかどうかをたずねた。その回答の単純集計の結果 (%) 70
ω
50 40 30 20 10 第53図 新規事業と国庫補助金待ちの傾向(地域別) 北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州i・沖縄 図そういう傾向 図大体そういう 臼必ずしもそういう臼そういう傾向 .あり .傾向あり 傾向はない はない 関その他-34- 香川大学経済論叢 34 は,第54図のようである。最も多い回答は r大体そのようにしている」で, 5L8%,第2位 は r常にそのようにしている」で, 34.6%である。「そのよう にはしていない」という回答は, 12.1%にすぎない。したがって,なるべく多 額の国庫補助金を獲得するよう,事業担当課に働きかけている財政主管課は, 市町村の86.4%に達するのである。問14で、は,政策的経費の査定において国庫 補助金のついた事業に優先的に予算をつける圧倒的理由が「財源の節約になる」 という回答であることが明らかになIったが,財政主管課では,財源の節約をめ ざしてなるべく多額の国庫補助金を獲得するように,事業担当課に働きかけて いるということであろう。 市町村別にみると,第55図のようである。「大体そのようにしている」とい う回答は,市から町,町から村になるにしたがって増加し,村では55.4%がそ う答えている。また r常にそのようにしている」という回答は,逆に,村から 町,町から市になるにしたがって増加し,市の場合には46.3%がなるべく多額 曲 目 の国庫補助金を獲得するように事業担当課に働きかけている。 第54図 国庫補助金獲得を事業担当課に働きかけているか 常にそのようにしている 大予本そのようにしている 518 そのようにはしていない その他
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10 20 30 40 50 60(~) (67) 米原調査の設問は財政課では,なるべく多額の国庫補助金を獲得するよう,各課に 働きかけていますか。」であり,回答は,全くそのとおりである」が, 74.5%, '大体そ う云って良いだろう」が194%, '必すてしもそうではない」が5..1%,'そんなことはない」 が1..0%である(向上『調査研究報告書), 722ページ)。回答が若干異なるので厳密な比 較は無理であろうが全くそのとおりである」を私の調査の回答の「常にそのようにし35 わが国の市町村における予算編成過程 (2) -35-第55図 国庫補助金獲得を事業担当課に働きかけているか(市。町"村) 常にそのようにしている 大体そのようにしている そのようにはしていなし、 その他
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5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65(%) 図 市 図 町 四 村 第56図 国庫補助金獲得を事業担当課に働きかけているか (平成6年度当初予算規模) 1常にそのようにしている 大体そのようにしている そのようにはしていない その他o
10 20 30 40 50 60 70(%) 図35億円未満図35億円-5C開 図5嶋 円-1001間 協1∞億円以上 平成6年度の当初予算規模でみると,第56図のようである。市町村別の回答 から類推されるように r大体そのようにしている」という回答は,当初予算規 ている」と,そして r大体そう云って良いだろう」を「大体そのようにしている」と, ほぽ同じとみなせば,米原調査における財政課長の肯定派は.93.6%であるが,私の調査 の場合にも,市の財政主管課長ないし課員の肯定的回答の割合は.897%であり,これま た調査時期が十数年隔たっていてもほとんど同じ結果であるといえるであろう。-36- 香川大学経済論議ー 36 模に反比例し r常にそのようにしている」という回答は当初予算規模に比例し ている。特に 100億円以上の当初予算規模の市では, 45.6%の市が「常にその ようにしている」という回答なのである。 問17 問17と問18では,道路,下水道,住宅などの公共事業を国庫補助金 自 由 を受けて実施する場合の箇所づけ等の裁量の幅を,単独事業の場合と比較して たずねたものである。 まず,道路,下水道,住宅などの公共事業を,新規に国庫補助金を受けて実 施する場合の箇所づけ,予算化などにおける裁量の幅は,全般的に見てどの程 度であるかをたずねた。単純集計の結果は,第57図の通りである。最も多い回 答は r国や都・道・府・県の指導はあるが,おおむね自らの判断で行いうる」 で, 54..7%である。つまり,半数以上の市町村が,公共事業を新規に国庫補助 金を受けて実施する場合の箇所づけ,予算化などにおける裁量の幅は大きし おおむね自らの判断で行いうるのである。しかし,このような回答は,われわ れの常識とはことなるであろう。第
2
位 は r国や都・道・府・県の指導による 第57図 新規に国庫補助金を受けて公共事業を実施する際の 予算化等の裁長の幅 おおむね自らの判断で行いうる 自らの判断で行いうる部分は限定 されている ほとんど国などの指導で行う 公共事業の分野による よく分からない その他 54..7o
10 20 30 40 50 60(%) (68) 周知のことではあるが,単独事業とは都道府県および市町村が,国から補助を受け ることなし独自の経費で任意に行う建設事業のことで,補助事業に対する用語j(W日本 行財政コンパクト事典』く1994年改訂>,日本信用調査, 1994年, 275ページ)である。な お,平成5年度の市町村の土木費に占める単独事業費の割合は43.2%で,補助事業費の 19.9%の2倍以上となっている('地方財政白書』平成7年版, 324ページ)。37 わが国の市町村における予算編成過程 (2) 37ー 部分が多く,自らの判断で行う部分は限られている」という回答で, 315%で ある。新規に国庫補助金を受けて公共事業を実施する場合の裁量の幅が狭いと いう市町村は,全国の市町村の約3分のlなのである。なお rほとんど国や都・ 道・府・県の指導に基づいて行っている」という回答は, 8.7%であった。 市町村別にみると,第58図のようである。「国や都・道・府・県の指導はあ るが,おおむね自らの判断で行いうる」という回答は,市が51引7%であるのに 対して,町が551%,村は57..1%であり,市より町,町より村の方が大きくなっ ている。また r国や都・道・府・県の指導による部分が多く,自らの判断で行 う部分は限られている」という回答は,市が33.2%であるのに対して,町が31.. 3%,村は29..9%で,前者と逆になっている。つまり,裁量の幅が大きいという のは村で,裁量の幅が限られているというのは市なのである。 地域別にみるとどうであろうか。第四国を見よ。「国や都・道・府・県の指 導はあるが,おおむね自らの判断で行いうる」という回答は,四国が全国で最 も高く 69..7%,ついで北海道で68..7%である。九州・沖縄は60..3%,中国が54 0%である。他方 r国や都・道・府・県の指導はあるが,おおむね自らの判断 で行いうる」という回答が少ないのは, 45..5%の近畿, 50.8%の関東, 51..0% の中部, 51..6%の東北である。したがって,北海道は別にすると,ほぽ西高東 第58図 新規に国庫補助金を受けて公共事業を実施する際の 予算化等の裁量の幅(市・町。村) おおむね自らの判断で行いうる 自らの判断で行いうる部分は限定 されている ほとんど固などの指導で行う 公共事業の分野による よく分からない その他
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10 20 30 40 50 60 65(%) 図 市 図 町 函 村ー -38 香川大学経済論叢 38 第59図 新規に国庫補助金を受けて公共事業を実施する際の予算化等の裁量の幅(地域別) 80 70 句 :::: 九、0 山 句九 J 九、 白P
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北海道 東 北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 図おおむね自らの 図自らの判断で行いうる回ほとんど国など臼公共事業の分野臼よく分からない 函その他 判断で行いうる 部分は限定されている の指導で行う による 低の傾向があると言えないであろうか。もっとも r国や都・道・府・県の指導 による部分が多く,自らの判断で行う部分は限られている」という回答は,近 畿が374%,中部が36,5%,中国が35,,0%となっている。 間18 では,建設事業を単独事業として実施する場合,箇所づけ,予算化な どにおける裁量の幅は,全般的にみてどの程度あるであろうか。この回答の単 純集計は,第60図のようである。すなわち,最も多いのは国や都・道・府・ 県の指導はあるが,おおむね自らの判断で行いうる」という回答で,それはほ ぼ半数の50,8%である。ただ,第2位が「まったく自らの判断で行いうる」と 制) いう回答で, 44,5%である。これも常識的見解とは若干ことなるであろう。つ まり,単独事業といえども rおおむね自らの判断で行いうる」という回答が第 (69) r補助事業では箸の上げ下ろしまで指図されるのに対し,単独事業では白紙の上に自由 に筆を振るうことができるJ(紀内隆宏編,前掲書, 108ページ)と言われたり,また同じ であるが,単独事業の場合には「白紙の上に思う存分事業計画を描けるJ(向上書,109ペー ジ)と言われる。39 わが国の市町村における予算編成過程 (2) 第60図 新規単独建設事業における予算化等の裁量の幅 まったく自らの判断で行いうる おおむね自らの判断で行いうる 自らの判断で行いうる部分は限定 されている ほとんど固などの指導で行う 建設事業の分野による よく分からない その他 。 “3 0..4 44..5 -39-50れ8
。
10 20 30 40 50 60(%) 第61図 新規単独建設事業における予算化等の裁量の幅(市。町・村) まったく自らの判断で11'いうる おおむね自らの判断で行いうる 「 自らの判断で行いうる部分は限定品 されている P ほとんど国などの指導で行う 建設事業の分野による よく分からない その他o
10 20 30 40 50 60(%) 図 市 図 町 図 村 1位で rまったく自らの判断で行いうる」という回答は第2位なのである。そ して,この2つの回答が全体の95ゎ3%に達し,ほとんどを占める。 市町村別にみると,第61図のようである。すなわち,市の場合には rまっ たく自らの判断で行いうる」という回答が町や村に比較して多く r国や都・道・ 府・県の指導はあるが,おおむね自らの判断で行いうる」という回答は,町や 村に比較して少ないということである。すなわち,前者の場合,市は4
9
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, 後者の場合は44.4%なのである。40 香川大学経済論叢 40 新規単独建設事業における予算化等の裁量の幅(地域別) 第62図 -R μ 主 立 口 町 幽 中 bp ・ p ・ 芯 線 臨 繍 灘 崎 隅 闘 機 臨 機 繍 機 織 噛