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香川大学教育学部附属特別支援学校のセンター的役割に向けての取り組みとその展望--特別支援教育相談事業「やまもも教室」を中心に-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川大学教育実践総合研究(助JJ.且血c.R錯.花αC九βeveJ呼.極wdU〃fv),17:95−98,2008 香川大学教育学部附属特別支援学校のセンター的役

割に向けての取り組みとその展望

一特別支援教育相談事業「やまもも教室」を中心に一

小方 朋子・有家 由佳子*

(特別支援教育)(教育学部附属特別支援学校) 760−8522 高桧市幸町1−1 香川大学教育学部 *762−0024 坂出市府中町字綾坂889 香川大学教育学部附属特別支援学校

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拘c〟妙q「肋cα血〃,ぬgαHノαU乃∫ve相和ノーム此血血−dわ∴花血邪批油粕7∂β−β∫22 ●/んし人●心ハIl′/川いlハれ=〃/′川・・J\・/腑/J川・・\/両′/\、・いハ\JJ!./川ハ.・\ヾり‥卜.′小ハり人り./川/仙両.\.′人.′ん/し・ ̄ハごJ〟Jご/ 要 眉 平成19年度から,盲・聾・養護学校は特別支援学校となり,在籍している児童生徒 の教育だ桝こ留まらず,これまでに蓄積された障害児教育の知識や技能をもとに,近隣の 小・中学校などへ助言することが求められるようになった。香川大学教育学部附属特別支援 学校においても,地域の特別支援教育センターとしての役割が期待されている。今後これら 地域貢献事業を充実させていくために,その一つである特別支援教育相談事業「やまもも教 室」のあり方を検討することにした。 キーワード 特別支援教育 センター的役割 教育相談事業 地域貢献 1.はじめに 平成19年4月から特別支援教育が本格実施と なり,特殊教育から特別支援教育へと転換して いく中で,特別支援学校にも新たな役割が期待 されている。 今回の「学校教育法」の改正では,盲学校∴ 聾学校,養護学校は障害種別を超えた特別支援 学校に一本化され,特別支援学校においては, 在籍児童等の教育を行うほか,小中学校等に在 籍する障害のある児童生徒等の教育について助 言援助に努める旨を規定された(「学校教育法」 第73条の3)。すなわち特別支援学校はこれま での障害児教育に関する蓄積された知識と技能 を活用して,地域の特別支援教育のセンターと して地域の幼・小・中学校へ貢献するというこ とである。 平成17年12月に出された中教審答申「特別支 −95−

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学者を確保したいという目的も含まれていた。 特殊教育特別専攻科の学生や学部学生の研修 の場として,また介護等体験の学生たちの活動 の場としても活用してきたが,学生たちにとっ ては障害のある幼児・児童に接する貴重な機会 であり,その保護者と交流し,中には保護者の 悩みに触れるという貴重な体験の場でもある。 平成19年度より,この事業を地域貢献事業と してより効果的な活動にするために新たな活動

を付け加えることになった。まず,小学校に

入ってからの相談を受け付けてくれるところが 少ない,引き続き利用したいという声に応えて 就学前ではなく小学生までを対象とした活動と し,名称を特別支援教育相談事業「やまもも教 室」とした。また以前からも要望のあった個別 相談を受け付けることとした。その際行う検査 を本校の職員の専門性を高めるための研修と兼 ねることにし,検査のやり方,結果の分析・解 釈,具体的なかかわりや指導の提案をするため の事例研究とすることにした。 3.活動内容について これまでほぼ毎月1回,年に約15回ほど開催 してきた。基本的には子どもと保護者にわかれ て活動する。子どもは10時から10時40分頃まで 体育館で集団遊びなとをし,その後おやつ,自 由遊びとなり,12時頃まで保護者の勉強会が終 わるのを遊びながら待つことになる(写真1)。 保護者及び保育者などの大人の参加者は約1 時間半の講話や意見交流会である(写真3)。 これまでに行われてきた勉強会の内容をいくつ か挙げてみると,以下のようになる。 附属特別支援学校の教員による障害のある子 どもに対する支援方法や支援グッズの作り方の 講習,学校内の工夫の紹介,身辺自立など日常 生活の指導に関する講話,就学について,香川 大学教育学部特別支援教育講座の教員による講 話,医療関係者による講話.他の養護学校の教 員による講話,療育施設・福祉関係者による講 話,附属特別支援学校を卒業した生徒の保護者 による講話などである。講師の話を聞くばかり 援教育を推進するための制度の在り方につい て」では,特別支援学校に期待されるセンター 的機能の例が以下のように示された。 (D小・中学校等の教員への支援機能 (参特別支援教育等に関する相談・情報提供機 ③障害のある幼児児童生徒への指導・支援機 (彰福祉,医療,労働などの関係機関等との連 絡・調整機能 ⑤小・中学校等の教員に対する顧修協力機能 (釘障害のある幼児児童生徒への施設設備等の 提供機能 このうち「特別支援教育等に関する相談・情 報提供機能」については,「地域の小・中学校 等に在籍する幼児児童生徒や保護者への相談・ 情報提供のほか,幼稚園等における障害のある 幼児への教育相談が考えられる。これまでに も,盲学校及び聾学校の幼稚部では,乳幼児期 の子どもを対象とした早期からの教育相談を実 施している場合があるが,障害者基本計画にお いて乳幼児期からの一貫した相談支援体制の構 築を図ることとされていることも踏まえ,今 後,それぞれの地域の実情に応じて,こうした 取組を広げていくことが期待される。」と答申 の中で述べられている。 本学部附属特別支援学校においても地域貢献 事業の1つとして平成6年度から,就学前の幼 児とその保護者や指導者を対象とした教育相談 事業を行ってきた。今後より地域のニーズに応 えられる地域貢献事業としていくことを目指 し,地域貢献事業のあり方を検討する。 2.「やまもも教室」の開講から現在まで 「やまもも教室」とは,育ちに遅れの見られ る幼児・児童に成長・発達への支援や指導,ま た,保護者や関係者に養育並びに指導に資する ような教育相談を行うというものであり,平成 6年度から附属特別支援学校において,まずは 就学前の幼児を対象として実施してきた。開講 当初の目的には附属特別支援学校小学部への入 −96−

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でなく,参加の保護者たちの意見交換・交流の 場も1年に1,2回は用意されてきた。 これらに加えて,平成19年度は新たに希望に 応じて個別の相談(主には幼児の就学相談) と個別の検査(WISC−ⅢやK−ABCなど)を実 施した(写真2)。 またこれらの個別検査の実施と分析・解釈を 附属特別支援学校の現職教育の一部として位置 づけることとし,毎回その検査ができる教員が 主たる実施者となり,経験の少ない教員がその 検査の補助や記録をし,分析・解釈にも参加す ることで研修を積むことができるようにした。 この新たに始めた個別の相談や検査はおおむ ね好評であり,平成20年度においても希望者が 多い。 これまで保護者から寄せられた感想は次のよ うなものである。 ・毎回とても参考になり,元気と希望をもら うことができた。 ・講演等での具体的な話が,毎日の対応のヒ ントとなった。 ・施設・教室参観や教材・支援グッズ等の紹 介がとても参考になった。 ・子どもが楽しんで参加できている。先輩保 護者の話は共感できた。 ・担任だけでなく,医療機関やサービス機関 にも呼びかけて多くの人に講演を聞いても らえるようにして欲しい。 ・就学後も参加したい。 ・もっと回数を増やして欲しい。 写真1 子ども達の遊びの様子 写真3 保護者の勉強会の様子

4.今後のセンター的役割

特別支援教育が幼・小・中・高校に定着して いく過程において特別支援学校に求められる助 言や指導の依頼が減ることはないと思われる。 ただこれからそれぞれの地域の特別支援学校ご との特長を生かした地域への貢献が考えられ, 役割分担ができていくだろう。これまで附属特 別支援学校においても連携訪問,巡回相談を中 心に近隣の小・中学校に協力してきた。しかし 規模の小さな附属特別支援学校が,さらなる地 写真2 個別の検査の様子 −97−

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地域のセンター的な役割 域貢献を考えるにしても,職員が外に出向くこ とになる連携訪問や巡回相談の回数をこれ以上 増やすことはできない状態にある。 そこで現在,附属特別支援学校が考えている 地域貢献のあり方は,まずそれぞれのサービス の質を高めることと,足を運んでもらう地域貢 献事業のプログラムを増やすことである。 職員の支援の質を向上させることは,保護者 などの相談者のニーズに応えることになり,地 域の信頼を得ていくことに繋がる。また附属特 別支援学校と坂出市との人事交流を考えると, 将来的には坂出地区の小・中学校の特別支援教 育に資することができると考えている。 日頃の教育活動を見学する機会も含めて,よ り魅力的な企画を考えるなど外部の人に足を運 んでもらうやり方で,センター的役割を果たす ことを考えている(図1)。 附属特別支援学校の特徴となりうるのは大学 と協力して運営できる点である。今後センター 図1 附属特別支援学校のセンター的役割 的役割に対する期待はますます高くなると思わ れる。大学という資源を活かしながら,できる だけ質が高く効率のよい地域貢献の道を探る努 力が必要であると考えている。 付記:本研究は平成19年度学部教員と附属学校 数貞による共同研究プロジェクト研究費の補助 を受けた。 −98−

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参照

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