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香川県水田地帯における人家内衛生害虫の季節的消長 (四国地方における主要衛生害虫の生態学的研究 II)-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第12巻第2号 正誤表

URL

http://www.lib.kagawa-u.ac.jp/metadb/up/AN00038339/AN00038339_12_2_e.pdf

Notice

Technical Bulletin of Faculty of Agriculture, Kagawa University

Vol.12 No.2 Errata

URL

(2)

第12巻第2号(1960) 255/

香川県水田地帯における人家内衛生害虫の季節的消長*

(四国地方におけ卑主要衛生害虫の生態学的研究 Ⅱ)

松 沢

On the seasonalprevalence of someimportantinsects from the sanitary

viewin the house at the paddy丘eld districtin Kagaw鱒Prefecture.

(EcologicalstudiesonsomeimpoItantinsectsfr・Omthe sanitaryviewinShikoku・ⅠⅠ)

fIiroshiMATSUZAWA 緒 衛生害虫の季節的消長忙関する研究は,本邦でも決して少なくはないが,その様相は地方により相当に・いちじる しいちがいを示すものである.かつまた都心部,農村地帯,山地地帯あるいは漁村地帯などにあっては,それぞれ の間でかなりな相異をみせることか考えられ,とくに水田地帯に.おいては,近年のきわめでさかんな殺虫剤散布の 影響もあって,種類庭.よりその様相は以前とはかなりちがった傾向を示すのではないかと予想せられる・・そこで著 者は1959年以来,香川県の水田地帯を代表する−地方ともいうべき木田郡三木町付近の人家内衛生害虫の季節的消 長をしらべてみたが,その間衛生芋虫の種類に・よっては多分に香川県的特長をよく示す発生型をもっているものが 存すること,殺虫剤散布の影響が事実きわめて大きいと考えられる場合の存することなど2,3注意すべき点を見 出した以下に大要を述べて参考に傲したいと思う… 調 査 方 法 この調査は1959年に予備的な観察を行ない,1960年軋入って本格的な仕事に移ったが,調査場所は前記三木町池 戸大宮の本学農学部官舎(第4号)を主に.し,その他三木町内の2,3の人家をえらんだい数百戸の町の周囲はす べてかなり広い水田でもってかこまれ,その間に点々と人家もちらばっているが,上記官舎付近はとくに水田地帯 の人家を代表する一つの場所とみて山向さしつかえないように考えられたい ところで本文でとりあつかうクロゴキプリは,毎夜の台所に・おける捕殺数を記録することによって季節的消長の 概要をつかむこととし,人家内の蚊群は捕殺したもの,電灯に・とりつけた捕虫器に飛びこんだもの,蚊取線香に・よ って死亡転落したものなどの全数を種類ごと.によりわけて記録することにより,ハエ類は主に便所あるいは台所に 設置した捕蝿チー・プ,蝿取瓶などで捕えた数,捕虫網で捕えた数などを種類ごとに合新して記録することによって 発生消長の概要を知ることにしたが,とくにハエ類は場合によつて種類の厳密な判定に困難をきたす場合も存した. したがって今回は一応ハエ群のみは群(科)単位で集計し,その季節的消長を追跡してみた. 調 査 結 果 前記のような方法で調査集計した1960年の成繚は第1図(便宜上すべでを一つの図に.おさめた)のようであるが, 香Jtt県の水田地帯人家における実状は,かなりよくみとめられると思うい まずクロゴ・キブリ 鳥両神紬加イ妨g∼乃〃.ゞαは4月中旬頃からポッボツ活動を開始するが,7月,8月の頃が成 虫出現の最盛期で,9月に入って急激に個体数を減ずるようである.しかしそれでも11月まではかなりの個体数が *香川大学虚学部応用昆虫学研究室兼摂 Noい45

(3)

みとめられた.この季節的消長 の型は,本邦西南暖地ではきわ めて普通な型であろうが処に.よ り(同一・町内)ピー・クの巾がやや 広い場合も存するようであった. 今回の調査で人家内で認めた 蚊の種類は,コガタアカイエカ CαJβ.方(C〝Jβ∬)わ・よ■fαβ乃≠−∂γ々γ・・ れCゐ〝S,アカイエ・カ Cり(C払k.ガ) が寮♂乃S 少〃JJβ乃S,トラフカク イカ C.(エ〝′z吏α)ぴ0γα.ガ,オオ クロヤプカ dγ桝よgβ′g.S(A7一 例哀■gβ㌢・βざ)s〟∂αルαf〝S,ヒトス ジシマカ A射ねs(ざfβg∂椚.γよ−α) αル〃♪査cf〟5, シナハマダラカ A乃(ゆゐβJβS(d乃0クゐβJβS)ゐ.γγ■− cα乃αS 扇乃β犯S去■g の6種であっ たが,圧倒的に多かった種類は, 第1図(中段)に示した4種類 であった‖ 5月下旬頃から7月 上旬頃まではオオクロヤプカ以 外の3種が特に相前後してピーー クを形成するが ニカメイガ C彪わs鋸♪〆β,S.SαJfぶの第1化 期の防除時期を・すぎると,にわ かに個体数の激減を釆たすよう であって,このことはすでに.以 前から体験している通りであっ たしたがってこれはまずPa・ ratbionのような強力な殺虫剤 散布の影響,多盈の濯がい用水

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ユ1 12

季節(月) 算1区l人家における主要衛生害虫の季節的消長 (香川県木田郡三木明大宮にて.1960)

の流入に.よる下水溝の浄イヒの影響などがきわめて大きいとみてさしつかえあ

るまい.そうでないとすればこれらの放浪は決して7,8月頃個体数を減ず

る筈はないからである..九州地方に・おいては,オカクロヤプカの発生は長い

夏季のあいだ中つずきか、つまたその発生最も賽大であるが,香川県の事情せ

みるとやや様子がことなっている‖すなわち香川県では毎年第1図のように

6月中旬ないし7月上旬頓にも少々は現われるが,9月に入って後はじめて

ォォクロヤプカのピークが形成される(きわめて稀に,初夏の候大鼠の降雨

のあった年などには,夏季の発生騒がもう少し顕著な場合もある)・明らか

にこれは年間の降水品分布と密接な関係がある筈で,第2図に示した香川県

(高松)の気候図(轟雨図)からも十分に推察されると思う・一・方温暖多雨 な宮崎地方は香川とははなはだしくことなった気候条件をもった地方である

が,オオクロヤプカの発生型も第3図のように非常な特異性を示し,まった

く香川と対照的である.まことに香川におけるオオクロヤプカの9月以後に

ピ・−クをもつ発生型は,その夏季に少雨,秋季に多雨という独特な気候条件

0 100 200 300 第2図 高松市の気候を示す温 雨図(Hythergraph).

(4)

第12巻第2号(1960) につながっているというべきであろう 次にノ\ユ.群であるが,これは水田などの殺虫剤散 である布の影響はもちろんほとんどないようであっ た‖ 今回は前述のように便宜的に個々の種ごとに.取 りあつかうのを・さけ,群(科)ごとにまとめて集計し てみたい イエバエ群肋.sc∠dαβはイエバエ肋scα do∽eSf∠cαぴオc壷■乃α,オオイエバエ 肋.sc去■乃α.Sfα∂〟・ Jα乃S,〝.α乃gαSf去二/■グ〃乃Sなどヒメイエバェ群爪z乃・ 〝査dα¢はヒメイエバェ.爪㍑成一αぐα乃∠c〟Jα7査,S,コフ ァシヒメイエバエ.且ざC・αJαγ・よ\s,クロバユ群CαJJ去■・ 少ゐ0γま放㍑はオオクロバエ CαJJ∠♪ゐ0㌢αぴ0椚去■れけ’よ’α (Subsp.),ケブカクロバェC‖grahami,フタオク ロバェ・rわ■cβタαね♪.γgαCαJJ∠少如γ0∠dβS,ミドリヰ 257 150 個 体100 数 50 4 5 6 7 8 9 10 11 季節(月) 節3医l宮崎市に.おけるオオクロヤプカの季節的消長 (宮崎大学々芸学部便所にて調査.1952) ンバェ.エ以CよわーαオJJ弘Sfγ∠5,コガネキンバエエ.α研一 ♪鋸gJαCβα,トウキョウキンバェ肋刑豆♪.γγ・βJJ∠αJ査g〝㌢・7査β乃ざなど,ニクパェ群ぶαγ・Cβ♪ゐαg去’dαβ はブーミニクパェ ぐαγ叫如gαSよ桝玄わS,センチニクバェ∫・クβ㌢−βg㌢よ乃α′シリグロニクバェ5、∽βJα?鋸γαなどが認められたが,時 に.ヤシバエ科封抑制函■dαβのヤシバェ5わ∽叩γS CαJc戎−ゎ′α乃」Sやエ.γタβ㌢・∂Sよαβ一再’g祝αも侵入することがあった イエパェ.−セメイパェ群はもちろん始終イエノ〈ェ・が大部分であって,3月から11月までのかなり長い間に.わたっ て人家内に侵入してくるが,ピークほ5月∼8月,とくに6月下旬から7月下旬頃までのようである,しかしクロ バエ熟ま,ケブカクロバエがもっとも多かったが,4月から7月までの比較的短期間のみ侵入して来,ピークは5 月−ばい位であった(12月に入って少数は現われる).ニクバム群は4月から大体10月イ立までの間に数個の山を作り ながら増えたり減ったりしたが,シリグロエクバェがもっとも多く,ピークは6月下旬から7月中旬頓に.当るよう に見受けられた ショウジョウバエ・の仲間 ∂㌢∂SO♪ゐ≠J哀■dαβ は春季から夏季にかけても少数個体の侵入は認められたが,特に9月 に.入って個体数をまし,10月上中旬頃が最大畳であった(特に個体数観測は行なわず) 絹本年(1960)ノミ P〝gZcオdαβやドクガ叛β〟クγ〃Cg査\sの発生はきわめて少数で季節的消長などといった調査の 対象に.はなり得なかった.しかし第1図忙示したように,最盛期と考えられる時期は大体見当つけることができた (香川県三木町付近のドクガとしては,ナ・ミドクガダお♪㌢〃C才∠\s.伽びα,モンシロドクガ 且Sよ刑よJよぶ,チャドクガ 且.如銅必狛㈹S♪βダ.Sα などがあり,前2者はかなり頻繁に人家内に飛来することがある).時に.はまたミズアブ科 5わ・αわ0沼.γ∠−∠dαβのコウカアブアgβCf去−cαS fβ乃β∂γ−査ノれアブ科 rα∂α乃査−dα♂のヤマトアブ γα∂α乃〝S㌢〝dgβ紹ざ,ウ シアブ rいわ′去■go乃αSも人家内に侵入することがあったが,数段的に、は問題ではなかった 考 察 以上簡単に∴香川県木田郡三木剛寸近の人家内の主要衛生害虫の季節的消長について大略をのべたが,それらの種 類や発生型はやはり一応暖地型というべきであろうしかしすでに.のべたように,蚊の場合は明らかに水田に対す る強力な殺虫剤散布の影華や催がい用水に.よる下水溝の浄化の影響が彼等の発生に少なからず及んでいるようで, 恐らく近年は以前とはずい分ことなった様相を呈するに至っていると思われる.その上カオクロヤプカの発生型な どはやはり香川県地方の独特な気候条件とくに−一年間の降水鼠分布と深い関係があるのであろう‖ ハエ類について は今回は便宜的にグル・−プごとにまとめて処理したが,それで大体のこ・と(すでに報質されている西南暖地諸地方 の質料と比較してそれほど大きなちがいは存しない)は分るとしても,やはり各種腰間の微妙な関係まで論及する わけをごiましかない.とくにこれらのハエ群の間では,同一ブループでも時期的に.優占種が交替したり,時間的また 時には空間的鋲分H ̄とも見られるよぅな現象が存する場合もある上トラップなどを仕掛けて個体数をしらべる場 合など,抑こよって彼等の称頬や数鼠の上に大きな変動が起りうることも考えられる.今回の調査は「応結合的な 採集璃療法で行なったわけであるが,以上にのべたような秤間関係あるいはそれぞれの種ごとの発生消長の追跡は 今後の課題としたいとに角この報告はその概要のみを記すものである

(5)

摘 要 香川県の水田地帯における人家内衛生害虫の季節的消長の概要を知るために1959年から1960年にかけてこの調査 を行なったい その成繚はおおむね次のようである 1)クロゴキプリの情動は,4月中旬頃から11月までの長期間にわたったが,7,8月頃がそのピー・クであった. 2)人家内で認めた蚊の種類はわずかに.6種であったが,アカイ1エカ,コガタアカイエカ,シナハマダラカとオオ クロヤプカの活動がもっとも願著であった‖ 前3者はもちろん5月下旬から7月上旬頃までに顕著なピークを作 ったが,それ以後の発生はきわめて急激な減少を来たし,それほど大きな復活の傾向も見られなかった.この立 とは水田に対する強力な殺虫剤散布の彩響と,多量の催がい用水による下水滞の浄化の影響が非常に次なること に.よると考えざるを得ない.オオクロヤプカはしかしながら通常夏季に.はきわめて活動数少なく,9月以後にな ってかなり顕著なピ・−クを作った‖ これは香川県の降7k盈分布と密接な関係があるように思われる 3) ハエ類の消長は便宜上群ごとにまとめてしらべてみたが,イエバエ・−ヒメイエバエ群はやはり7,8月をピー クとし,春から秋までの長期にわたって活動がみられたりクロバェ群は5月をピ■−クとして8月以後はほとんど 侵入活動をみないといった変った様相を示した(きわめて少数12月にも現われたが)り しかしニクバェ群は春か ら秋に.わたって数個のピ一夕を作って発生し,他の群とはずい分ことなった様相を呈した丞 各群の主な橙類は本 文中に示した 4) ノミの最盛期は個体数の関係で十分にはわからなかったが,6月中下旬頃がそれにあたるように推測された. 5) ナミドクガの飛来最盛期は6月中下旬であったが,モンシロドクガのそれは不明瞭であったり しかしその羽化 期(6月,7月旬∼8月中旬,10月)にはこれも時々飛来した. 6) 以上のべた大要は第1区けこまとめて示しておいた 引 用 交 献 (本稿ではとくに引用したものはないので省略する) R‘sllm‘

In order to clarify the actualstate of the seasonal prevalence of someimportantinsects董rom the sanitaryviewinthe house at thepaddy負eld district of Kagawa pr−efecture,this study was carTiedout

extending from1959to1960.The resultsof the study are summerized as follows:

1)The duration of appear・anCe period of thecommon black cockroach,PeriPlaneia.fおJiginosa was

longanditlasted from the middle of ApriltoNovember,althoughthe peak ofappearance wasJuly

Or August

2)The number・Ofindividuals of the4species of mosquitoes,Culexpibi’ensl)allens,CulexiYi’iaeni・

or.ynchu5,Ano♪heles h.yrcanus sinensi−s and ArmigeY’eS Subalbaius was thelargest,although6species of mosquitoes wer・e foundin the house.Of course,the peak of the3species ofmosquitose exccpt

ArmigcY・CS Subalbaius was seen at the season from thelatter’partOf MaytothebeginningofJuly,

butlater,those speciesof mosquitoes rapidly reducedits numberIand therevivalofthenumberofthem

was scarcely observed.It seems thatit was due to the efEect ofthe spraylng Or・the dustingofsome stronginsecticides such as Parathion,EPN,Malathion,etC.tO the ricefieldin summer・and that ofthe deaning of the sewer・along the street or the road by alarge quantity of theirr・igation water for・the

paddyfield。The numberofArmigeres subalbatus wascomparativelylar・geafter・September although not solargein summerlPerIhaps,it may have some ralation with the distribution of the rainfa11dur− 1ng a yearin Kagawa prefectur・e

3)The seasonalprevalence offliesin the pr.esent study was consideredon every group or fami1y The appearance of the Musca一飯nni’a grouplasts along timefr・OmSpringtoautumnhavingaremark・ able peakin summer,July to August.The CalliPhoY’a gr・OupShowed the specialtype of appearance anditlasts from spr・ing to earIly’Summer・having a peak of appearIanCein May,although a small mmberofthemappearedagaininI)ecember,} Butthestateof appear・ance Of the Sarco♪haga group was

(6)

第12巻第2号(1960) 259

differ・ent from other2groupsandseveralpeaksofappearancewereobservedfr・OmSpr・1ngtOautumn. SomeimportantSpeCiesofthosegroupsof Aies,WereShowninthepresentpaper.

4)Thepeakofappear・anceofPule.xandotherfleaswa;hotsodi占tinctasthenumber。fthemwa$ VerySmall,butit wa$COnjectured that the period of the peak corr・eSpOnded tothemiddle or thelatter

ParItOfJunein general.

5)Thepeakoftheperiodof魚ight to thehouseof Euprocti一ざ.Pava was fr・Om the middleofJuneto thelatter.part Ofthe same month,althoughthe peak of E.si’mi’lis was not so distinct‖ But,SOme・ times,a Smallnumber of E.similirs負ight to thehouse at theiremerIgenCe periodinJune or・fr・Om the

latter part ofJuly to the middle ofAugust or・in October・.

6)Theoutline ofthe results descf・ibed abovewasshownin Fig.1.

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