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中学校選択教科としての技術・家庭「家庭分野」-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学教育実践総合研究(励/£&k. ーa. ,d.£)e 「卯.瓦α即wa陥副,16:115−122,2008

中学校選択教科としての技術・家庭「家庭分野」

挑田 由貴子・小川 育子* (高松市立紫雲中学校)(家庭科教育)* 760-0015 高桧市紫雲町8 −25 高松市立紫雲中学校 *760-8522 高松市幸町1−1 香川大学教育学部

Home

Economics as an Elective Subjed

    in

Lower Secondary Schoo1

Yukiko Momota and lkuko Ogawa

    Shi14n Jt4nior High School, 8-25,Shh4n-dl∂,72z尨7謂a£szf 76θ-0015 *凡za砂げ&函α71jQ,1,瓦,2ga,ga画g肖iりろ7-j,S・2jw・2j-dθ,7ilえal?1α£szlア6θ-,!lj22

要 旨  選択教科としての技術・家庭「家庭分野」について,家庭分野担当教員を対象に

実態調査を行った結果,衣生活・食生活領域の実習を中心に実施されていること,生徒は興

昧を持って,楽しんで学習していること,教員も必修科目を補って発展させられると,肯定

的にとらえていることが明らかになった。一方で,授業時数の制約,敦材選択や準備の大変

さなど課題も多く挙げられた。

キーワード 中学校,選択教科,家庭,教員,実態 1

緒言

 中学校の選択敦科は,学習指導要領の改訂に よって,大きく変化してきた。現行の平成11年 中学校学習指導要頒では,選択敦科の敦育的意 義が俯認され,時数の確保および開設可能な教 科の種類や内容の拡充が回られ,すべての生徒 が全学年で履修できるようになった。特に こ れまで選択敦科に含まれていた外国語が必修敦 科になったため,選択教科の変化は大きいと指 摘されている(長瀬,2001)。しかし,次期の 改訂を前に選択教朴は,授業数の縮減など, 再び大きな変化が予想されている(教育課程審 議会初等中等教育分科会教育諜程部会,2007)。  このような激しい変動下で,技術・家庭の「家 庭分野」は,選択敦科としてどのように実施さ れているのであろうか。本研究では,中学校の

選択教科としての技術・家庭の「家庭分野」に

ついて,実施状況や担当している教員の意識

を,香川県の中学校教員を対象に調査した。

2.研究の目的

2.1 背景

選択教科の現状

 選択教科・選択科目は現在に至るまで開設さ

れ続けてきたが,従来はどの敦科を選択するか

は学校が一律に決定していた。平成元年度の

学習指導要領で始めて,中学生が自分の意思

で教科を選択する選択教科となった(文部省,

1989)。生徒は自分の興昧関心や適性等に基づ

いて,学習する教科を選ぶことが出来るように

なり,学習の個性化,個別化を前進させ,学習

内容や指導方法の多様化を生むことになった

(2)

(長瀬2000)。  平成11年学習指導要領の改訂に先立ち,教育 課程審議会答申(平成10年7月)で,「中学校 敦育においては‥(中略)‥生徒の能力・音け, 興味・関心等が次第に多様化してくることに適 切に対応する観点から,選択の幅を一層拡大し て,個性の仲長を図る教育を進めていく必要が ある」,「興昧・関心のある教科の選択を通して, 生徒の学習意欲の高まりや主体的な学習活動が みられるなどの成果を上げてきており,更にこ れを進め得るようにすることが適当」との見解 を元に「選択教科の種類を拡大」し,全学年 で「すべての敦科について開設することができ るようにする」との提言がなされた(教育課程 審議会,1998)。これを受けて,平成11年度学習 指導要鎖における選択敦科では,「ゆとり」の 中で「特色ある教育」を展開し,基礎的・基本 的な内容を確実に身に付けさせることはもとよ り 自ら学び白ら考える力などの「生きる力」 をはぐくむ」として,「授業時数の縮減と敦育 内容の厳選」「個に応じた指導の充実」「体験的, 問題解決的な学習活動の重視」などとともに 「選択学習の幅の拡大」を図った。特に,「中・ 高等学校では,選択学習の幅を拡大し,生徒の 能力等に応じ,発展的な学習も行う」とされ, 長瀬(2001)は,課題学習,袖充学習,発展学 習の3つの役割が期待されることになり,運営 理念と指導の方法論が問い直されると指摘し た。  しかし,次期の学習指導要領の改訂に向け て,中央教育審議会教育課程部会(2007)のま とめでは,「総合的な学習の時間の創設や中学 校において選択敦科を重視した結果,ほとんど の必修敦科の授業時数は減少した」(p36),「国 語,社会,数学,理科及び外国語といった必修 敦科について,基礎的・基本的な知識・技能を 定着させ,総合的な学習の時間と相まって思 考力・判断力・表現力等を育成するというね らいが十分に達成できていない」(p37),さら に「選択敦科に加え,総合的な学習の時問が導 入され,敦育課程が複雑化しすぎている」など の理由により,「選択敦科の授粟時数を縮減し, 一 必修敦科の敦育内容や授業時数を増加すること で,教育課程の共通性を高める必要がある」と いう方向が示されている。中学校の標準授業時 数について,総合的な学習の時間を1学年50時 問,2学年70時問,3学年70時間とし,このう ち,第2,第3学年の時間の一部を選択敦科等 に充てうるとすることについて検討中である (p37)。このように選択教科は学習指導要領の 改訂の度に大きな変化を受けてきている。 選択教科としての家庭科  中学校の家庭科は,選択教科の一つとして開 設されてきた歴史を持つ。昭和22年度学習指導 要頷(試案亘文部省,1947)では,「選択科目は, 習字,外国語,職業(必修で課せられるものよ り いっそう深いことを学ぶ)及び自由研究」 で,「家庭科は,中学校では職業科の中の一つ の科目になって,生徒は農,商,工,水産,家 庭のうちの一科目又は数科目をきめて学習する ことになっている。」と示されている。昭和26 年学習指導要領でも,選択教科として,外国 語,職業・家庭,その他の教科,特別教育活動 が挙げられ,職業・家庭には,各学年105∼140 時間が配当されている。昭和33年および昭和44 年学習指導要領では,技術・家庭が必修教科に なり,家庭が外国語,農業,工業,商業,水産 などとともに選択教科として取り上げられてい た。昭和52年学習指導要領では,技術・家庭は 必修教科と同時に選択教科の1つで,第3学年 に対し開設可能となった。平成元年には,技 術・家庭は,他の教科と同様に,必修教科であ るとともに,第2学年,第3学年を対象として 開設できる選択教科の1つとなった。  平成11年学習指導要領では,引き続き,他教 科と同じく,必修教科であると同時に,全学年 を対象として開設可能な選択教科である。授業 時数は第1学年で年間30単位時間,第2学年第 3学園では年間70時間単位の範囲内とされてい る`(文部科学省,1999)。学習指導要領には「生 徒の特性等に応じ多様な学習活動が展開できる よう,第2の内容その他の内容で各学校が定め るものについて,課題学習,基礎的・基本的な 116−

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知識と技術の定着を図るための補充的な学習, 地域の実態に即したり各分野の内容を統合した りする発展的な学習などの学習活動を各学校に おいて適切に工夫して取り扱うものとする。」 と示されており,生徒一人一人の特性等に応 じ,多様な学習活動を充実することをねらいと している。 2.2 従来の研究  選択敦科「家庭」については,これまで敦材 についての研究がいくつか行われている。佐 藤ら(2006)は,第3学年の選択教科[家庭] で,Flour Baby Projectを実施し,中学生が 「子どもを育てるということ」「親になるという こと」を白分の問題として捉えていると報告し ている。またこの結果を,中学校総合的な学習 および高等学校での同じ実践の結果と比較して いる。食物領域については,一ノ瀬ら(2003, 2004,2005)は,そばを敦材として,「核物に 親しむ」をテーマに一連の実践研究を行って いる。森ら(2004)は,技術分野と家庭分野と の連携を視野に入れ,インテリジェントハウス を用いた合同形式による授業実践を行ってい る。住生活領域についても学習効果が得られた ことが報告されている。  このように選択敦科の敦材についての検討が いくつかあるものの,実際にどのように選択敦 科としての家庭が実施されているかについて は,まだ明らかにされていない。

2.3 本研究の目的

 本研究では,中学校において最も選択教科に

重点が置かれていると考えられる現在,実際に

どのように選択敦科として技術・家庭の家庭分

野が実施されているか,その実態と課題を明ら

かにすることを目的とし,香川県の中学校で技

術・家庭の家庭分野を担当している教員を対象

に調査を行った。

3.研究方法

調査は,選択教科としての家庭分野の実施状 況,生徒の選択の状況や家庭分野担当教員の意 識などについて,2007年6月から7月に,自記 人質問紙法により実施した。香川県の全中学校 全59校の家庭分野担当教員に依頼し,57名から 回答を得た。

4.結果と考察

4.1 選択教科「家庭」の実施状況 開設状況  技術・家庭の家庭分野を選択教科として開設 しているのは45名(78.9%)であった。開設さ れていない14名について,開設されていない理 由は,「家庭科教員が足りない」4名,「家庭科 教員の授業数が多い」4名,「その他」4名(「専 門教論がいなかった」[生徒が少ない]「特別支 援を担当しているため」「技術の教員が足りな く バランスが悪いため」)であった。開設さ れていないことに対し,「開設すべきである」 1名,「出来れば開設したい」7名,「開設しな いでよい」2名であった。

実施状況

 表1∼表3は,選択教科としての技術・家

庭(家庭分野)を開設している学校における実

施状況を示している。表1から,実施の対象学

年は,3年が最も多く,次いで2年,1年は少

なく,4名のみであった。表2では,学習領域

は,衣生活が最も多く,次いで食生活,保育,

住生活でり,家族,消費の領域は1名のみしか

実施していなかった。学習方法としては,製

作・実習が最も多く取り入れられており,調ベ

学習,実験も実施されている。

 表3から,生徒の選択方法は,苦手の克服の

ためは1名のみで,興味を伸ばす,得意を伸ぱ

すために選択しているという回答がほとんどで

あった。選択教科の学習では,諜題学習,補充

的な学習,発展的な学習が挙げられている(文

部科学省,1999)が,生徒の立場からみると,

興味を伸ばす発展的な学習がほとんどであると

考えられる。しかし,実施されている内容(表

2)からみると,衣生活領域,食生活領域の実

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習が中心で,必修科目では扱えない内容を袖充

的に学習しているとも考えられる。

4.2 選択教科「家庭」の担当状況  選択教科として家庭分野を開設している教員

表1 選択教科「家庭」の実施状況

        実施数平均最大最小最頻

1 年 生   受 講 者 数 ( 人 )   遇 当 た り 時 間 数 ( 順 )   年 間 時 問 数 - ㎜ ■ ■ ■ ■ ■ ■ - ■ - ■ ■ ■ 皿 ㎜ - ■ - ■ ■ - 一 晶 - ㎞ 血 ■ ■ 2 年 生   受 講 者 数   週 当 た り 時 間 数   年 間 時 間 数 -3 年 生   受 講 者 数   週 当 た り 時 間 数   年 聞 時 間 数 4 33 39 51.0 0.8 22.3 35.0 25.4 1.2 37.8 176 1.0 35 46 2.0 一 135 30.27 3 0,5 20 1 20 25135 1  50.l O  rD00 芦 18乙7 表2 選択教科「家庭」の学習領域と学習方法       1年生 2年生 3年生       n=4  n=33  n=39 学習内容  家族  食生活  衣生活  住生活  保育  消費  その他 学習方法  製作・実習  実験  調べ学習  講義  ワーク  その他 0060000 600000 0 17 25 n乙101 34Cy︶Q CXI O H 表3 選択教科「家庭」の選択方法 選択理由        回答者数(名) 興昧を伸ばす      24 内容が楽しそう         18 得意をのばす      16 苦手を克服する      1 *全実施教員(n=45)に対する割合。複数回答。 I1531310II 41IQ。‘りa9ハ︼I (%)*  53.3  40.0  35.6   2.2 45名の選択教科の担当状況については,週平均 で平均2.4時間,最大で13時間,最小で0.5時間, 最頻は2時間であった。年間では,平均69.2時 間,最大210時問,最小15時間,最頻は70時間 であった。担当している学年は2年生のみ2 名,3年生のみ12名,2年及び3年が25名,全 学年6名であった。学年別に開講しているのが 42名,複合学年で開講しているのは3名であっ た。実施に当たって,受講者数の制限は26名 が行っており,平均22.4名,最大40名,最小10 名,最頻は20名であった。教員によって,すな わち,学校によって,担当状況は著しく異なっ ている。 4.3 選択教科「家庭」に対する意識  表4∼表6に教員の選択教科「家庭」に対す る意識を示した。表4では,「中学生が興味を 持って取り組んでいる」「家庭科に対する興昧 が高まっている」「楽しんでいる」と大半が感 じている。表5から,「必修教科の内容を補っ ている」,「必修敦科を発展させている」,「必修 教科への興昧を高めている」と捉えていること が明らかである。また,「準備が大変である」 と感じている一方で,ほとんどの敦員は「担当 するのは楽しい」としている。表6は全般的な 選択敦科「家庭」に対する意識の結果であるが, 「必修敦科「家庭」に対する興昧を高めるのに 役立つ」「必修教科「家庭」で学習できない内 容を扱える」「将来,生徒の生活に役立つ」と 90%以上が提えている一方,62.2%が「必修教 科[家庭]の時問を増やす方がよい」と回答し ている。 表7に学校や教員の独自の取り組み,工夫など についての白由記述を,表8に実施にあたって 表4 選択教科「家庭」の生徒の受講状況 興味を持って取り 組んでいる 家庭科に対する興  多い いる  28   17 (62.2%)(37.8%) 16 昧が高まっている(35.6%) 楽しんでいる    22          (48.9%) 遊びに近い     0          (0.0%) −118−  26 (57、8%)  23 (51.1%)  8 あまり いない  0   0 (0.0%)(0.0%)  2   0 (4.4%)(0.0%)  0   0 (0.0%)(0.0%)  24   13 NA 一 〇 (0.0%)  1 (2.2%)  0 (0.0%)  0 (17.8%)(53.3%)(28,9%)(0.0%)

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困っていることや課題についての自由記述を示

した。表7から,授業時間の制約の中でも,個

に応じた教材など,特に学習内容に関してい

ろいろな工夫をしていることが明らかである。

表8では,いろいろな問題点が挙げられてお

り,特に授業時間の少なさ,教材の選択や準

備の犬変さ,指導上の問題が多く記述されてい

表5 現状の選択教科「家庭JC.     思う 少し あまり         思う 必修科目[家庭] 14 の授業内容を補う(31.1%) 必修科目「家庭」 20 を発展させている(44.4) 必修科目「家庭」 21 ͡ヽの興昧を高める(46.7%) 受講者が偏る    9          (20.0) 受講者が多すぎる  8          (17.8) 時間が少なすぎ   2          (4.4%) 準備が大変     13          (28.9%) 担当は負担が大きい  7          (15.6%) 担当するのは楽しい 16          (35.6%) こ対する意識  22 (48.9%)  22 (48.9%)  22 (48.9%)  22 (48.9%)  7 (15.6%)  5 (11.1%)  16 (35.6%)  15 (33.3%)  25 (55.6%)  8 (17.8%)  3 (6.7%)  2 (4、4%)  12 (26.7%)  25 (55.6%)  26 (57.8%)  11 (24.4%)  16 (35.6%)  1 (2.2%) 思わ ない - 1 (2.2%)  0 (0.0%)  0 (0.0%)  2 (4,4%)  4 (8.9%)  11 (24,4%)  4 (8.9%)  6 巾.3%)  2 (4.4%) NA - 0 (0.0%)  0 (0.0%)  0 (0.0%)  0 (0.0%)  1 (2.2%)  1 (2.2%)  1 (2.2%)  1 (2.2%)  1 (2.2%)

た。制約がたくさんある中で,苦労しながら

種々の工夫を重ねていることが推察される。

4.4 選択教科「家庭」の評価  選択敦科としての家庭も教科の め,評価が必要である。表8でも こと」が困っていることや諜題の 1つであるた 「評価をする 1つとして記 述されている。  表9に評価の方法について尋ねた結果を示し た。それぞれの評価の観点を作晶,ワークシー ト

授業中の様子,テストなど,それぞれどの

割合で考慮して評価を行っているかを%で示し 表6 全般的な選択教科「家庭」についての感想          思う 必修科目「家庭」 23 に対する興味を高(51.1%) めるのに役立つ 必修科目「家庭」 24 で学習できない内(53.5%) 容を扱える 生徒の家庭科につ 5 いての力に差がで巾ユ%) きる 将来,生徒の生活 25 に役立つ    (55,6) 必修科目としての 14 家庭科の時間を増(31.1%) やす方がよい 少し 思う -20 あまり (44.4%)(0. 18 (40.0%)(4, 16 (35.6%)  17 (37,8%)  14 0 O%) 2 4%) 思わ ない - 1 (2.2%)  0 (0.0%)  21   2 (46.7%)(4.4%)  2   0 (4.4%)(0.0%)  14   1 (31.1%)(31.1%)(2, NA  1 (2.2%) 2%)  1 (2,2%)  1 (2.2%)  1 (2.2%)  1 (2.2%) 表7 選択教科「家庭」における独自の取り組み・工夫  授業時間に関する工夫  ・2,3年生は実習ができるよう2時間続きで取っている。  ・3年生の必修の授業時数が隔週になるために全員が技術・家庭科を選択する。  学習内容に関する工夫  ・1年生では手縫いの基礎,2年生ではミシンの基礎,3年生ではミシンの応用と3年続けて受けると基本がある程度身に   つけられているようにしたい。(未実施校の敦員)  ・必修であまりていねいに取り扱えていない製作に重点をおいて開設している。  ・個に応じて応用できる教材の工夫をしている。  ・地域の保育所や幼稚園へ4回,実習に行く。  ・生徒の興床あるものを個々に製作できるようにしている。  ・授業の時間数がどんどんへっているので,選択授業ではなるべく実習や作品製作など体験的な学習ができるようにしてい   る。  ・生徒白らが作品を完成させる喜びを感じる事ができる教材の工夫。 少し発展的な教材を取り入れて家庭科の興味をもっている。生徒によ る。 前期は衣生活,後期は食生活と内容が偏らないように工夫している。 日本(和)のテイストで…。 り 力がつき,楽しんで学習できるようにしてい ・あまり長い時間をかけて作晶が完成するような題材ではなく,なるべく2ヶ月(10時間以内)でできあがるものをと考え  ている。 ・ものづくりの楽しさを昧わせられるように心がけている。 ・3年生は卒業記念として学校に残す共同作品を作る。 ・住生活を扱っているが,敦科書に載っているだけでは不足である。現代社会にあった最新の住宅情報が欲しいので,ハウ  スメーカーにパンフレットをもらったり,ビデオをかりたり,雑誌を買ったりしている。 ・毎時間の記録用紙で本日の作業を振り返ると同時に次時にむけての見通しがたてられるように工夫している。 ・身近な材料で生活に生かせるもの,白分白身が気に入って使えるようなモノ作り。 ・食育にからめ,必修の発展として50分の授業で2年生は朝食作り,3年生は弁当のおかずづくりをしている。メニューに  ついては,家族に聞いたり,本やインターネットで調べたりしている。 指導方法に関する工夫 ・できるかぎり個別に対応するようにしている。 ・ただ作品製作だけで終わらせずに,自己評価や相互評価としている。

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表8 選択教科「家庭」の授業の実施について困っていることや課題 授業時間の問題 ・技術・家庭科の授業が隔週にしかないのに選択授業の方が多い状況でやりにい ・選択教科もよいが,やはり3年生は教科の授業として取り組みをきちんとしてり ・年間35時間確保しかねる。 ・50分だとできることが限られている。 哺たい。 ・3年では,ゆかた製作に取り組んでいるが,時間が足りない。他の教科は選択に時間は,あまりいらないようで,  択の時間がカットされるので困っている。 ・選択の授業はよくとぷので計画が立てにくい。 ・団の行事によく変更するため実質年間35時間は確保できにくい。 受講者数の問題 ・9教科の中での選択にしている人数が少ない。 よく選 ・人数が多いと作品の個人選択をおこなう事ができにくい。 教材選択に関する問題 ・教材選びが大変。 ・教材,用具の準備が結構大変。 ・技能差が大きく一斉授業が難しい場合がある。 ・準備がたいへんである。 ・授業準倫,計圓に時間がかかる。 ・やりたい内容はいろいろあるのだが,どうにも実情を考えると平易なもの,実施可能なものに偏っている。 ・長時間かかる作品製作では生徒の集中力がもたず,短時間でできる作品,あきない教材開発が必要。 ・希望人数が多く,より発展的な内容を敦材に選ぶことが難しい。 ・準備が大変である。 ・内容についてもっと工夫したいがいろいろ考える余裕がない。 材料・材料費の問題 ・教科の特性上,材料の集金が必要であり,集全しにくいことがある。 ・個別集金になり,未納者への働きかけに困っている。 ・実習費の回収がなかなかできない。 ・材科費がかかる。(個人負担だが) ・生徒が材料の準備をきちんとしないのでついつい私物の持ち出しが多くなっている。先生のものとなると材料を大切に扱  わず,無駄に使用することが多いのが悩みのタネである。 指導上の問題 ・選択した生徒の個人の能力差が大きい場合,個別指導することが必要だと感じている。 ・授業時間が1時間という限られた中での作業が大変。 ・生徒の技能にとても大きな差があるし,全体にみんな技能が低く,基礎基本が定着していない子が多いので,「選択」授  業といえどもそう難易度の高いものは要求できないし,進み具合もバラバラになってしまう。 ・集まってくるメンバーしだいだと思うが,少人数なので仲良く楽しくやれる雰囲気を作っていくこと。 ・被服製作をする場合,全員違う課題をとるので一人で指導するのがたいへんなときがある。(特に最初の5∼8時問ぐらい) ・技能の差,経験不足などですべてを一人一人チェックしていかないといけない。 ・出張したとき,代わりの人に管理補欠をして作業を進める事が難しい。 ・生徒の基礎基本となる力の不足。 ・2,3年生と一緒の合同の選択授業なので扱う内容にこまる。 ・時問割の関係で選択を受け持つ敦員が決まるが,生徒たちの希望とあっているかどうか疑問である。 ・評価をすること。 表9 選択敦科「家庭」の評価の方法 評価の観点 生活や技        術への関        心・意欲・        態度         n=42 作 品   平 均   最 大   最 小 皿 ㎜ ㎜ 皿 ㎜ ㎜ 皿 ㎜ ㎜ 皿 ㎜ ㎜ 皿 ㎜ 皿 皿 ㎜ 皿 皿 ㎜ ㎜ ワ ー ク シ ー ト   平 均   最 大   最 小 授業中の活動  平均  最大  最小 テ ス ト   平 均   最 大   最 小 ふ 皿 - d ㎜ ㎜ ㎜ ・ ・ ㎜ ㎜ そ の 他   平 均   最 大   最 小 18.5 66.7 0.0 56.5 100 0.0 匹一500 4.5 50 0 生活を工生活の技能 夫し創造 する能力  n=36  n=41 52.2%  100  0 19.7 100  0 77.0%  100  0 5.7 66.7  0 生活や技術 についての 知識・理解  n=32 34.1%  100  0 28.4 100  0 m 500 11 .1 500 心一 1 000 4.450升 2.8500 6.3 50 0 000 23.8 100  0 0.6 20 0 ている。「生活や技術への関心・意欲・態度」 は授業中の活動,「生活を工夫し創造する能力」 [生活の技能]は作晶,「生活や技術についての 知識・理解」は作品,ワークシート,テストで 主に評価が行われている。  選択敦科としての家庭分野の評価について は,「評価しやすい」と回笞したのは4人のみ, 「少し難しい」22名,「とても難しい」5人で あった。評価の難しさを感じている事がうかが える。この要因には,選択敦科では実習や実験 を中心に実施されているため,「興昧・関心」 や「技能」については評価しやすいものの,「知 識・理解」は,評価しにくいことが考えられる。 また前述の困っていることや課題についての自 由記述の中でも,3年生の必修教科としての技 術・家庭の授業が隔週になるために全員に技 術・家庭科を選択させている学校では,評価を 一 120 −

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必修教秤と選択敦科とでどう区分するか難しい  一ノ瀬孝恵(2005)「中学校選択教科「家庭」の教材 という記述もあった。       開発(3)1時間で調理実習」中等敦育研究紀要。        51,103-110. 5.まとめ       敦育課程審議会(1998)[http://www.mext.co.jp/        b_menu/shuppan/sonota/010801]  以上,選択教科としての技術・家庭の家庭分  敦育課程審議会初等中等教育分科会敦育課程 野について,家庭分野担当教員を対象に調査し   部会(2007)「教育課程部会におけるこれ た結果,ほとんどの学校で,衣生活・食生活領    までの審議のまとめ」[http://www.mext. 域の実習を中心に実施されていること,生徒は    go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/ 興床を持って,楽しんで学習していること,敦    siryo/001/07110606/001.pdf] 員も必修科目を袖って,発展させられると肯定  文部省(1969)「学習指導要領」 的にとらえていることが明らかになった。一方  文部省(1977)「学習指導要領」 で授業時数の制約や,教材選択や授業の準備の  文部省(1989)「学習指導要領」 大変さなど課題も多く挙げられていた。     文部科学省(1999)「学習指導要領」  次の学習指導要領の改訂では,選択敦科の授  森慎之助・楠橋光久・原田妙子・白演弘幸(2004)「中 業時数は減るといわれており,選択敦科として    学校選択敦科のっ合同学習における融合敦材“イ の家庭科がどうなるかは不透明であるが,生徒    ンテリジェントハウス”を用いた学習効果」愛 の興昧関心を仲ばすためには,大きな役割を    媛大学敦育実践総合センター紀要,22,25-34. 担ってきたと考えられる。この選択教科として  長瀬荘一(2000)「中学校・総合的学習の導人と敦 の家庭がどう変化するのか,今後も興昧深い問    育課程縮成の課題」神戸女子短期大学論放,45, 題である。       1-20。        長瀬荘一(2001)「新敦育課程における中学校・選       参考文献      択敦科の運営課題」神戸女子短期大学論仇46, 一ノ瀬孝恵・日浦美智代(2003)「中学校選択教科「家    1-23.   庭」の教材開発 そばからみえる世界」広島大  佐藤園・三浦聖子・原田省吾(2006)「白分と子ども   学附属中・高等学校研究紀要,49,77-84.      のかかわりから白己理解を図る保育授業の開発 一ノ瀬孝恵・日浦美智代(2004)「中学校選択敦科「家   (第5報)中学校選択教科「技術・家庭(家庭分

  庭)の教材開発(2)日本そばと沖縄そば」広    野)」におけるFlour Baby Projectの実践と検討」   島大学附属中・高等学校研究紀要,50,37-44.    岡山大学教育学部研究集録,131,57,67.

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調査票 この頷査は申学校・遭択教科としての披栖・家崩科C家庭分野〕(以後。寂窓料とずる) の実鮑と課題を捺るものです。お裳えいただきました内麻にりきましては,統肝的に 処遅をして用い,個別のデーターとして扱うことは絶対にありません。 ご協カいただけますよう,よろしくお願い申し上げます。 QI,先生の孝校では,挫術・寂庭利(庶窓分野)が遭択教料として│銅設されていまずか。     1,團絞されている →Q4・ヽ     2.いない    -4Q2-ヽ 閣設されていない場合 Q2.家庭科が│釦没されていない瑚由を選んでください。     1.家庭科教艮が足りない     2.家血料皺貝の樫業時数が参すぎて持てない     3.主嬰料目に限りl設されている     4.その他( ) Q3.関設されていないことに対し,先生はどのようにお ーじでLょうか。     1.家庭科を開股するべき開詮しないでよい     2.できれば開設したい 3 その他(  Q12へお進みください。 ) 家庭科がー択教科J!して閣詮されている中学校の発生にお笛えをお願いします。 Q4.家庭科を遷択している生些の李年,人数,時間数はどのくらいでしょうか。    1年生 : 釣(  人) 週あたり鮑( 時間) 年断鮑C    2年生 : 約〔  人〕 週あたり約( 時間) 年限]鮑(    3年生 : 約〔  人〕 週あたり約( 時聞) 年ll]釣( Q5.先生の道択教料    瑞あたり :(    対象学年 :1。          5,    開設の状況:1,    人数制限は:1, (家庭分野)のご担当についてお答えください。  時間)年問約( 時間) 1年のみ 1年と2年 孝年ごと している能 6.受講者が參すぎる  (1.思う 2.少し思う 7.準備が大変  (1.思う 2.少し思う 8.担当ずるのは負担が大きい  (1.毘う 2.少し思う 9.柏.当するのは楽Lい  (1.思う 2.少し思う 2.2年のみ s.1年とa年 2.複合孝年 3 7 3年のみ 2年と3年 人)2.していない 3、あまり思わない 3.あまり思わない 3.あ室り思わない 3.あまり思わない 4.思わない) 時 間 ) 時 間 ) 時 間 ) 4.全学年 4.思わない) 4.思わない) 4.思わない〕 Q11.先生は,遭択教科としての家庭科の評価に・っいてどのようにお考えでしょうか。   (1.とても謹しい 2.少し麺しい 3.どちらでもない 4.しやすい) Q12.どのように植点別評価をおこな・ていますか。 割合を倣宇でおきえください。(大iかで紬構です)  ①生話や技術ぺの関心・意教・飽度   作品( %) ワークシート( %) 推業態度C %)   テスト( %) その仙〔内窓   〕( %)  (勁生話を:[夫し創遭する能カ   作品( %) ワークシート( %) 授業能度( %)   テスト( %) その仙{内奪   3( %)  ③生活の技飽   作品( %) ワークシート( %1  授業能度( %)   テスト( %) その他(内窓   l( %)  a)生括や技術にりいての知│瞳・理解 作 テス ぐC 品卜 j j % % ワークシート( その他(内容 % ) )( 授業態炭(  %〉 % ) Q13,先生は,全般的に選択教科の家底科にっいて,どうお感じでしょうか。  ①家庭科に興咲を高めるのに役立っ ( む ( 1 思う 2.少し思う 3.あまり風わない 4.風わない〕 (l赦料としての家庭科で学習できない内容を扱うことができる ] 『 1 1 悒う 2.少し思う 3.あまり思わない 4.思わない) ③生徒7)家庭科にっいての力に差ができる ④将来,生徒白身の生活に役立つ ( ? . ( 引 ( l ( 思う 2,少し思う 3.あまり恩わない 思う 2.少し思う 3.あまり思わない 2.少し思う a.あまり恩わない 4.思わない) 4.思わない) 4.思iっない) ⑤高校で家血科Iご関わる=1−スに進学するのに役立・っ   (1.思う 2.少L思う 3.あまり恩bない 4.思わない) ⑤選択教科として実施するよりも撒科の時聞を噌やずほうがよい 1 思う ありがとうございました 一 122− Q6,選択教科で現在,実施されている内容について教えてください。(複数粕 【1年生】  実施方法:1.製作,実習2.実駿3.鯛ぺ学習4.講義5.ワーク6.その他  実旅内容:1.家肢2,食生話3.衣生活4.住生活5.保育6.消費7.その他 【2年生】  実旅カ法:1.製作,実習2.実映3.調・e学習4.講蓋5.ワーク6.その他  宦隻内容:1.家族2.食生活a.衣生語4.住生活5.保脊6.消雙7.その他 IS年生】  実童方法:1.製作,実習1実験3.贋/4学習4.講麹5.ワーク6.その仙  実旅内容:1.家族2.食生活a.衣生活4.佳生活5.儡冑6.消昏7.その他 Q7.生徒は、選択勲科をどのように遍択していると思いますか。  1.得意を伸ばすために漫択している  2.苦手を克服するために遷択している  3、奥喊を伸ぱすために遭択している  4.楽しそうな内容を廻択している  5.その他〔         〕 Q8.家庭料を遭択する生徒の状況はいかがですか。  仙の級料lご比べて希望者は 1.参い 2.少ない Q9.遭択教科とLての家庭科を受けている生徒の状況はど5でしょうか。  1.興味を持りて取り組んでいる   { 1.多い 2.少し多い 3.あまりいない 4.いない}  2.家庭科に対する興味が高ま、ている   (1.多い 2、少し多い 9.あまりいない 4、いない)  3.遊ぴに近い   (1.参い 2.少し多い a.あまりいない 4.いない)  4、楽しんでいる ( Q 1 0 .   1 . 2 3 4 5 1.参い 2.少し多い a.あまりいない 4.いない〕 先生は,現状の遷択教科の家庭科についてどうお越こでしょうか. 家庭料の授業内聊を補ヽている  (1.思う 2.少L思う 家庭科の授奎内容を発屋させている  (1.思う 2.少し思う 家庭科に対する興味が高ま、ている  {1.思う 2.少し思う 受講者が偏る  (1.思う 2.少し思う 時開が少なすぎる  (1、思う 2.少し思う 9.あまり思わない 3.あまり思わない 3.あまり思わない 3.あまり思わない 3.あまり思わない 4.思わない) 4.思わない〕 4,思わない〕 4.思わない) 4.思わない〕

参照

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