フレーゲの一般系列理論
― ― 『概 念記法』第
3部
研究―一
哲学教室 田
は じめ に
本論文 の目的 は,(i)「一般系列理論か らのい くつかの話題」(Einiges aus einer allgemeinen Reihenlehre)と 題 されたフレーゲの『概念記法』第
3部
。)の内容 を可能 なか ぎ り詳細 に解読・吟味 し,そ
れによって,(1に
の部分が,そ
の後 に展開 され る彼 の論理主義 のある基本的側面一一 それ は 一言で言 えば「命題 の導出において直観 にで はな く純粋思考 にのみ依拠す る」 とい うことである一 ― を具体的な形で実行 して見せ ようとしていること,を
確認 し,い0さらに,「証明の厳密性 の追究」 とい う,19世紀 の数学の哲学 の潮流の中で フレーゲが果 た した独 自な役割 とい うよ り広い観点か ら, この部分 に光 を当てることである。 論理学の革新が1879年に起 こった こと,
この1879年 という年が『概念記法』(a響
笏盈θ哺 モ)が 出 版 された年であることは,今
で はよ く知 られている。そして,『概念記法』の第1部
,第
2部
の内容 は,記
号法 と条件法 。一般性等の論理的概念 についての深い考察であ り,論
理学史上最初 の (第1 階)述
語論理の展開である,
とい う理解が行 き渡 つている。 しか し,第
3部
に関 して は話 は別であ る。従来,こ
の部分 は,後
の『算術 の基礎』での「数 の概念」の展開に先立つ,予
備的な数学的概 念の断片的提示 といった形で しか理解 されず,そ
れが持つ重要 さ もほ とん ど無視 されていたように 思われ る。最近,ブ ーロスが第3部
に関す る啓発的な論文②を著 して この部分 の持つ意義 を明 らかに した ことによ り,そ
ういつた状況 はかな りの程度 は改善 された。 しか し,ブ
ーロスが直接 に扱 って いるのは,事
実上,第
3部
の一部 にす ぎない。 そこで,本
論文で は,こ
れ を補 う意味 も込 めて,よ
り丁寧 に第3部
の内容 を追跡す る (以下,第
1∼ 5節
)。 フレーゲ は『概念言己法』第3部
への導入 (S23)で純粋思考の直観 に対す る優位 を強調す る。彼 に よれば,直
観 は命題 の理解 と構成 において一定 の役割 を果たす とはいえ,命
題 の主張内容 の表現 の 一般性 とい う点で純粋思考 (論理的思考)に
遠 く及 ばない。 このような考 えはフレーゲの「論理主 義」の一つの基本的側面 を物語 るものであ り,第
3部
で数論の展開に必要な一般的な系列理論 の展 開の原動力 となっている。(例えば,後
に詳 しく見 るように,「数学的帰納法」のよ リー般的な系列 理論か らの導出にそのことが典型的 に現れ る。)そして,こ
の純粋思考 の優位 は,透
き間のない厳密 な証明の追究 と結びついている。『概念記法』の5年
後 に出版 され,19世
紀 の数学 の「厳密化」の流 れの中で自らの独 自の位置 を自覚 して論 じている『算術 の基礎』の冒頭で も,フ
レーゲ はこの「厳 密な証明の追究」を強調 している。 この文脈か ら見て,『概念記法』第3部
は,「厳密な証明の追究」 敏 博 畑を
,数
論の展開に必要 な系列 に関す る一般法則 の証明 とい う具体的な場面で遂行す る第一歩である ことが明 らか となる (以下,第
6, 7節
)。1.第
3部
の 構 成 と フ レー ゲ の 意 図 まず,『概念記法』第3部
の全体的構成 を把握す ることか ら始 める。第3部
は,第
1部
「記号 の説 明」(§ 1∼S12),第 2部
「純粋思考 のい くつかの判断の提示」(§13∼§22)に
続 く,『概念記法』の 最後の部分である。 この部分 は「一般系列理論か らのい くつかの話題」と題 されてお り,§ 23から始 まり§31で終わ る。導入的な節である§23で,第
3部
が『概念記法』全体 に占める位置 と目的が説明 される。§24で「特性Fは
f系列 において遺伝す る」 とい う概念の定義が与 えられ (定義69),続
く §25で遺伝性 に関す る諸帰結が導かれ る。S26で「Xは
f系列でyに先行す る」 とい う関係が第2階
の量化 により定義 され る(定義76)。 ここで,『概念記法』におけるフレーゲの論理が公式的には「第2階
述語論理」 になった ことが半J明す る。続 く§27,S28で
祖先関係 の定義か ら諸帰結が導かれ る。 S29で「Zは
Xで
始 まるf系列 に属す る」とい う関係が先 の祖先関係 を用いて定義 され る (定義99)。 続 くS30でそれか らの帰結が導かれ る。最後 に,S31で
「fは一意的(=多
対―の)手
続 きである」 という概念が定義 され (定義115),そ
の諸帰結が導かれ る。(S31の先 に,『概念記法』に登場す るす べての論理式 について,そ
れが何 を導 くのに使われたかを示す表が付録 としてカロえられている。) こうして,導
入部分 (S23)を除 くと,四
つの定義の提示 とそれ らか らの諸帰結 を導 くことが,第
3部
の中心的内容 となっている。 もう一度,
これ ら四つの定義 を取 り出す と,こ
うなる。 定義69:「
特性Fは
f系列 において遺伝す る」 定義76:「 Xは
f系列でyに
先行す るJ 定義99:「 Zは Xで
始 まるf系列 に属す る」 定義115:「
fは一意的手続 きである」 フレーゲに とって重要であるのは,
これ らの定義の内容 と同時にその定義の「仕方」である。すな わち,こ
れ ら四つの定義がすべて「論理的に」定義 されていることである (その具体的な内容 は以 下で考察す る)。 その ことの持つ意義 をフレーゲ 自身の言葉 によって聞 こう。 フレーゲ は,内
容 目次で「導入的論評 (Einleitende Bemerkungen)」 と題 したS23において,以
下のように述べている (少し長いがS23を全文引用す る): 「以下 の導出は,こ
の概念記法 の取 り扱い方 についての一般的観念 を与 えようとす るもので ある,た
とえそれが,こ
の記法の持つ利点 を完全 に知 らしめるに十分で はないか もしれな くとも。 この利点 は,よ
り複雑 な文 [命題]に
おいて初 めて顕著 な もの となる。 その上,この例 において
,純
粋思考 (das reine Denken)一一 それ は感覚 によって または直観 によ って先天的にさえ与 えられ る内容 をすべて度外視す る一―が,そ
の固有 な本性か ら生 じる 内容 だけか ら,一
見す るとある種 の直観 (irgendeine Anschauung)に 基づいてのみ可能で あるように見 える判断 をいかにして生み出 し得 るか,を
われわれ は見 る。われわれ はこの 働 きを,子
供 のように意識 に とって は何 も無い ように見 える空気 [水蒸気]を
眼に見 える 水滴 をなす液体 に変化 させ る凝結作用 に,喩
えることがで きる。系列 に関す る以下で展開 され る諸命題 は,系
列 に関す るある種 の直観か ら導出され得 るどんな類似 の命題 をも一般 性 においてはるかに凌駕す る。 それゆえ,
もし系列 についての直観的観念 を基礎 に取 るの が よ り適切であると考 えたいな らば,そ
のようにして得 られた命題が ここで与 えられた命鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第 47巻 第
1号 (1996) 27
題 と同 じような言葉使 いを持 った として も,そ
れ らは,基
礎づ けられている特定 の直観 の 領域 において しか妥当性 を持たないゆえに,
ここでの命題 ほ ど多 くの ことは語 らないだ ろ う, とい うことを忘れてはな らない。」。) フレーゲ はここで,自
らが考案 した概念記法 の利点 を説明 している。 それが複雑な命題 において こそ大 きな威力 を発揮す ること,そ
の威力の内実 は,純
粋思考が感覚や直観 に基づかないで生 み出 す定義や導出を,は
っ きりと眼 に見 えるように示す こととして一―水蒸気が水滴 に凝結す ることに 喩えて一一説明 され る。 この「直観」 と「純粋思考」 の差異 は,そ
れ らに基づ く命題 の射程距離 の 長さに関 して明白であることが強調 され る。系列 に関す る直観がいかなるものであれ,概
念記法 に よって表現 され る命題 の範囲が,直
観 によるそれ をはるか に凌 ぐとフレーゲ は主張す る。 それを具 体的に示すのが§24以下であ り,さ
らに,な
ぜそ こまで「直観」で はな く「純粋思考」に依存す るこ とに固執す るのか とい う動機 の一端 も,そ
こで暗示 され る。われわれ も§24以下 に進 もう。2.遺
伝性 とその帰結
フレーゲは
S24を次の定義によって始める
:vd(Fd→
va(dfa→
Fa))←
→Her(F)
実際 の フ レーゲ の記 号 で は,障
[「
μ
だ生王
:尋
→
]≡
与
[:♂
め
﹁ ︱ ︱ ︱ ヨ となっているが,以
後,印
刷 の都合上,今
日一般 に使われている記号で表す (またfは任意 の二頂 関係 として固定 されていると考 えてよいので右辺の`Her(F)'一
■hereditary(遺伝性 の)に
因む ―― の表面 には表 さない)。 命題69は,`←→'の右辺 に現れた新 しい記号 の意味 を,既
知 の記号のみ で表 された左辺 によ り説明 し,定
義 している。従 って,命
題69は通常 の判断で はない。すなわち, `←→'の両辺が同 じ内容 を持 つ ことが別 の何かを根拠 として主張 されているのではな く,69自身が「 そ れ ら [両辺]が
同 じ内容 を持つ ことにす る」(Sie SOll denselben lnhalt haben)“ )として自らの根 拠 となることを宣言 しているのである。 フレーゲ は,
これが通常 の判断で はないゆえ,カ
ン トの言 う「総合半J断」で もない とい うことをわざさわざ断ってい る。カン トを引 き合いに出 したのは,カ
ン トが数学の判断 はすべて総合的判断だ と考 えているか らだ という151。 「直観」にで はな く論理的な 「純粋思考」 に基づ くとい う,フ
レーゲの論理主義 の基本的側面が,こ
のようにカン トを意識 させ るのである。 ところで,命
題69は,元
来 は通常の判断ではないが,容
易 に判断に変換 され得 る,
とフレーゲ は 説明す る。一旦,新
しい記号 に意味が定め られ ると,以
後,そ
の意味 は固定 され保持 され る。 よっ て,69は
判断 として成 り立つ。ただし,分
析的判断 としてである。なぜな ら,そ
の判断 は,一
度導 入 された意味 を再 び取 り出すにす ぎないか らだ。 この定義 の二重の働 き,す
なわち,新
しい記号 に 意味 を定 めることと,同
時 に定 めた意味 を分析的 に取 り出す こと,が
フレーゲの記号 において判断線,つ まり判断記号
`トウ
の縦棒
`│',の二重化
`│卜'によって示唆されるのである。さらに,こ の定義の
働 きの要点は表現の短縮化にあり
,右
辺の`Her(F)'は いつでも左辺の`Vd(Fd→ va(dfa→
Fa))'さて以上 は
,命
題69の,言
わば「身分」についての考察であった。次 に,69の
内容 の検討 に移 る。 フレーゲの説明で は,卜
f(「 ,△
)は,「△はFに 手続 きfを適用 した結果である」(△ iSt Ergebnis einer Anwendung des Verfahrens
f auf r)」,ま たは「Fは
,手
続 きfの適用の対象であ り,その結果が△である」(「iSt der Gegenstandeiner Anwendung des Verfahrens F,deren Ergebnis△ ist), または「△はFに 対 してf関係 にあ る」(△ Steht in der f‐Beziehung zu r),ま たは「Fは△に対 して逆のf関係 にある」(「 Steht in
der umgekehrten f―Beziehung zu△
)と
いうことを表 し。), これ らは同 じ意味であると受 け取 らね ばな られ 、 この と乱 ЩD,つ
まり,EI耀
め叫 性
「
は
I翻
こ棘 離 す れ (die Eigenschaft F sich in der f―Reihe vererbt)と 翻肝択さ〃ιる(7)。fは
,そ
れだけを一般的 に取 り出 した場合 は,「手続 きJまたは「関係」として説明 され るが,Her
(F)の
中で は「f系列」 とい う形で述べ られ る。 これ は,手
続 きfが適用 され る対象全体がfに よって体系化 されていると考 えられ るため,お
よび後 に展開 され る筈の「数系列」 とい うイメージ の先取 りを意図 しているため と思われ る。「遺伝J「系列」 をよ り広い意味で理解するため,フ
レー ゲは「親子関係」とい う例 に訴 えている。われわれの記号法で は,そ
の説明 はこうなる。Xfyが,「y
はXの
子である」または「Xは yの
親であるJを表 し,Fxが
,「xは
人間である」を表す とす る。 こ の とき,Her(F)つ
まりVd(Fd→
va(dfa→ Fa))は
,「どんな人間の子供 もすべて人間である」 または「人間 とい う特性 は親子系列 において遺伝す るJを
表す。 フレーゲ は「親子Jの
関係や「人 間である」 とい う特性 は直観的に理解 しやす く,日
常の言葉で容易 に表現で きるが, fや Fが
もっ と複雑 になった場合,「遺伝性」を日常言語で表現す ることは相 当に困難 になることを予測 している。ともあれ
,命
題69の全体 :vd(Fd→
va(dfa→
Fa))←
→Her(F)
は, 「 もし
dが
何であれ, dが
特性Fを
持 てば,手
続 き fをdに
適用 した結果がすべて特性Fを
持つな らば,そ
の ときかつその ときに限 り, 私 は “特性Fは
f系列 において遺伝す る"と
言 う」 と表現 され る。 「f系列 における遺伝」の内容 をイメージす るための図式 を考 えよう。Xfyの 関係 を,X y
O―
一 → ○ と描 く。 この関係f(つ
まり生一→')は多数の対象の間で成 り立 ち,例
えば…
一 〇
預
:・>○預
: °
…
の よ うな「系列Jを
形成 してい る と考 えて よい。 この と き,「 f系列 にお け る遺伝性 」 とは,任
意 のF
f関係 :…一 〇―上→ 。_…
において,Xfy関係 の前者Xが
特性Fを
持 つ:0-一
→ ○ な らばXfy鳥取大学教育学部研究報告 人文 。社会科学 第47巻 第
1号
(1996) 29
F F
関係 の後 者yも特性Fを
持 つ:●―一→0
とい うことで ある。従 つて,上
の「系列」図で*印
のつX y
いた対象が特性Fを
持つ :●*ならば,そこか ら出ている→の到達先,さ らにその到達先か ら出る→ の到達先,等
々がすべて特性Fを
持 つ ことになる:…
一〇
<:*≫
・
<: °
…
続 く§25でフレーゲ は,遺
伝性 の定義である命題69からの諸帰結 を導出 している。まず,第 2部
の 最後の命題 である命題68:(VaGa←
→B)→
(B→
Gc)に
おいて (無用な混乱 を避 ける目的でフ レーゲ自身が使 つている文字 を替 えている。以下同様),`a'にdを
,`G「 'にFF→
Va(Ffa→
Fa)を
,`B'に
Her(F),`C'に
Xを
それぞれ代入す ると,次
式が得 られ る。[vd(Fd→
va(dfa→
Fa))←→Her(F)]
→
[Her(F)→
(Fx→va(Xfa→
Fa))]これ と
,命
題69(こ
の上 の式の先件 となってい る)か
らMP(モ
ドゥス・ポネンス:第1部
S6)に
より,次
の命題70が導かれ る:Her(F)→
(Fx→va(Xfa→
Fa))(f系
列 で遺 伝 す る特性Fを
持 つXの
すべ て の子 はFを
持 つ)(70)
以後
,主
要な式言語の後 に,フ
レーゲ自身の説明か,ま
たは fを 親子関係モデルで表現 した日常言 語への翻訳 を付す る。命題論理 の命題
19:(D→
(C→ B))→ [(B→
A)→
(D→ (C→
A))](第
2部
S16)の`D'にHer
(F)を
,`C'に
Fxを,`B'に Va(xfa→
Fa)を
,`A'に
Xfy→Fyを代入す ると,[Her(F)→
(Fx →Va(Xfa→
Fa))]→[(Va(Xfa→ Fa)→
(xfy→ Fy))→(Her(F)→
(Fx→ (xfy→Fy)))]が 導かれ るが,こ
の式の先件 は命題70で あるか ら,MPに
より,次
の命題71が導かれ る:[Va(Xfa→
Fa)→(xfy→ Fy)]→
[Her(F)→
(Fx→(xfy→
Fy))] (71)
(Xの
すべての子が特性Fを
持 ちyが xの
子な らばyは Fを
持つ ということが成 り立 てば,親か ら子 に遺伝す る特性
Fを yの
親Xが
持 てば, yは Fを
持つ)普遍例化 を主張す る命題
58(S22)i Vafa→
fC
のイ「 'にXfF→FFを
,(C'に yを
代入す ると,V
a(xfa→
Fa)→
(xfy→Fy)が
導かれ るが,こ
れ は71の先件であるか ら,MPに
より,次
の命題72 が導かれ る:Her(F)→
(Fx→ (xfy→Fy)) (72)
(特性
Fが
f系列で遺伝 し, Xが
特性Fを
持 ち, yが
手続 き fをXに
適用 した結果な らば,yは
特性Fを
持つ),(親
子で遺伝す る特性Fを
持つXの
子 yもFを
持 つ)命題論理 の命題
2(S14):(C→
(B→ A))→ ((C→
B)→
(C→
A))で ,℃
'にHer(F)を
, `B'にFxを ,`A'に
Xfy→Fyを代入す ると,[Her(F)→
(Fx→ (xfy→Fy))]→[(Her(F)→
Fx) →(Her(F)→
(Xfy→Fy))]が導出され るが,こ
の式の先件 は命題72であるか ら,MPに
より,次の命題73が導かれる:
(Her(F)→ Fx)→ [Her(F)→
(Xfy→Fy)](特性
Fが
f系列 で遺 伝 すれ ばXが Fを
持 つ とい う こ とが成 り立 て ば,Fが
f系列 で遺伝 し,手
続 きfのXへ
の適用結果がyな
らば, yは Fを
持 つ)命題 論 理 の命題
8(S16):(D→
(B→ A))→ (B→ (D→
A))で
,`D'に
Her(F)
(73)
Fxを
,`A'に
Xfy→Fyを代入す ると,[Her(F)→
(Fx→ (xfy→Fy))]→ [Fx→(Her(F)→
(Xfy →Fy))]が導出 され るが,こ
の式の先件 は命題72であるか ら,MPに
よ り,次
の命題74が導かれ る:Fx→
[Her(F)→
(Xfy→Fy)](Xが , f系
列 で遺伝 す る特性Fを
持 つ な らば,Xに
手続 きfを適 用 した(74)
任 意 の結果 で あ るyも
Fを
持 つ)同一者不可識別原理 (フレーゲ の言葉 で は「内容 の同一 の第一原理」
)で
あ る命題 52(§20):(C
←→D)→
(fC→fD)で
,`c'に
Vd(Fd→
va(dfa→
Fa))を,`D'に
Her(F)を
,Υ「 'にFを代 入 す る と
,[Vd(Fd→
va(dfa→ Fa))←
→Her(F)]→
[Vd(Fd→
va(dfa→Fa))→
Her(F)]
が導 出 され るが,こ
の先件 は命題69であ るか ら,MPに
よって,次
の命題75が導 かれ る:vd(Fd→
va(dfa→
Fa))→Her(F) (75)
(任意 の対 象
dが
特性Fを
持 つ こ とか ら手続 きfのdへ
の適用結果がすべ てFを
持 つ こ とが帰結 す るな らば,特
性Fは
f系列 で遺 伝 す る)3.祖
先関係
(f系
列 での後続関係
)と
その帰結
フレーゲは
S26を定義である
,次
の命題
76で始める
:vF[Her(F)→
(Va(Xfa→
Fa)→
Fy)]←
→Xf*y`←→'の左 辺 に よって定義 され る右辺
Xf*y
はフレーゲの実際 の記号 で は,考
f磁
刑
である。われわれ は簡単のために`Xf*y'で表す。 フレーゲによれば
,Xf*y
は,
「
yは
f系列でXに
後わこす る」(y folgt in der f‐ Reihe auf x)と翻訳 され る。ち もちろん
,fの
意味が具体的に定 め られて初 めて,xf*yの意味 も確定す る。命題76 は,フ
レーゲの日常言語での翻訳では, 「Fが
何であれ,特
性Fは
f系列で遺伝す るとい う命題 と,手
続 きfをXに
適用 したすべて の結果がすべて特性Fを
持つ とい う命題 とか ら,yが
特性Fを
持つ とい うことが推論 され るな らば,そ
の とき,私
は “yは
f系列でXに
後続する"ま
たは “Xは
f系列でyに先行 す る"と
言 う」 となる0。 この命題76の 説明を補足す る目的で,フレーゲは脚註 を与 えている(1の 。それ によると,f
系列 の順序 をここで は一般的に考 えているとい うことであ り,例
えば,①
数珠つな ぎの玉のような 系列だけで はな く,②
家系樹 のように枝分かれ した もの,③
逆 に枝が合流す るもの,④
環 のように 一巡す るもの,等
も含 まれ るとい う。 フレーゲが考 えている例 を図示す る と以下 のような もの とな ろう。 ①O一
〇――→ ○―一→ ○――→ …②
O一
〇
預
:=
③
O一
〇
預
:>○
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第 47巻 第
1号 (1996) 31
④
早
十
一
→
7
0十
一→ ○ ここで, fの
モデル として親子関係 を取 ろう。 これ は,枝
分かれ と枝 の合流 を共 に含む。 この と き,Xf*yは
どのような もの となろうか。任意 の特′性Fを
取 る。Fが
f系列で遺伝する,つ
ま り親 の 持つ特性Fが
その親 のすべての子 に伝 えられ るぅとす る。いま,Xの
子がすべてFを
持 つ とす る。 このような状況 の とき, yは Xの
子孫が持つすべての遺伝す る特性 を持 っている。いま特 に,Fと
して「Xを
祖先 としてその子孫である」 とい う特性 だ とす る。す ると,こ
のFは
親子で遺伝す る と 考 えられ(なぜな ら, Xの
任意 の子孫の子 はすべてXの
子孫であるか ら),し
か もXの
子 はすべてX
の子孫であるか ら, yは
このFを
持つ。すなわち, yは Xの
子孫である。 こうして, fを 親子のモデルで考 えるとき, Xf*yは 「Xは yの
祖先である」 を表す。 例 えば,『創世記』5章
のアダムの系図によれば,人
祖 アダムの後継者 は次のようになっている(共 同訳 による): アダムー→ セ トー→ エノシュー→ ケナ ンー→ マハ ラルエルー→ イエ レ ド ー→エノクー→ メ トシェラー→ レメクー→ ノアー→ …… この とき,セ
ト以下のアダムの子孫 は「 この系列でアダムに後続す る (この家系でアダムの子孫で ある)」 が,そ
れ は,彼
らが,ア
ダムのすべての子 (カイ ンやアベル も含む)が
持つ,こ
の家系で遺 伝す る任意 の特性 を持つか らだ と考 えられ る。例 えば,そ
のような特性 として「人間の父 を持つ」 という特性が考 えられ る。人祖 アダムは神が直接 に創造 した ものであるか ら,彼
自身 はこの「人間 の父 を持つ」 とい う特性 は持 っていない。 しか し,ア
ダム は『創世紀』で は人間の祖先であること に相違 ないか ら,ア
ダムか ら数 えて第十代 目の子孫であるノア も,ア
ダムの子等か ら伝 えられたす べての遺伝的特性 を持つ筈である。「Xは yの
祖先である」または「yは Xの
子孫である」とい う概 念 は,こ
のような例 によつて確かにある種 の直観 によつて理解で きるが,フ
レーゲの要点 は,こ
れ を「f系列」および「f系列 における遺伝性」 とい う,よ
り論理的 。一般的概念 によって これ を定 義することにある。 いずれ にせ よ,Xftty(Xは
f系列でのyの
祖先である)は
,直
観的 には次のようなことである。Fを
任意 の特性 として,こ
れがf系列で遺伝す る,つ
ま りdfal dO一
→Oaな
る任意 のd,aに
対 して,も しFdi●
一→ ○ な らばFa:0-→
● であ り,し
か もXの
子(手続 きfのXの
適用結果) のすべてが この特′性Fを
持つ:XO<f:
とヤヽぅことが成 り立つ場合 イまつねとこyもFを
持つ。こ れが,Xfキ yの意味である (記号f*が fの一般化であることを暗示する)。 §27と§28でフレーゲ は, f系
列での後続関係 (祖先関係)か
らの諸帰結 を導いている。記述 を簡 略化す るために,Va(Xfa→
Fa) を,In(X, F) [inheritanceィ
ロ続] と略記する。(また,今
後 も手続 きfは 固定されているとみなす。)す
ると,命
題76は,とな る。
命題 68(§
22):(VaFa←
→B)→
(B→
Fc)に
類 比 的 な第2階
の命題68′:[VfMβ
ψ ←→B]→
[B→
MβGβ]で
,`f'に Fを
,`Mβ
「 β'に
Her(F)→
(va(xfa→
Fa)→
「y)を
,`B'に
Xfキyを,`G'に Fを
代入 す る と,[vF(Her(F)→
(In(X,F)→
Fy))←
→xfキy] → [xfネy→(Her(F)→
(In(X, F)→
Fy))]が導 出 され るが
,こ
の式 の先件 は命題 76で あ るか ら,MPに
よ り,次
の命題 77が 導かれ る:xf*y→
[Her(F)→
(In(X, F)→
Fy)] (77)(yが
f系列 でXに
後 続 し,特
性Fが
f系列 で遺伝 し,Xへ
の手続 きfの適 用結果 がすべ て特性
Fを
持 て ば,yは
Fを
持 つ)命題
17(S16):[D→
(C→ (B→
A))]→
[C→ (B→ (D→
A))]で
,`D'に
Xf*yを,`C'に
Her(F)を
,`B'に
In(x, F)を
,`A'に
Fyを代 入 す る と,先
件 が命題77とな るか ら,MPに
よ って後件 が次 の命題 78と して導 かれ る:Her(F)→
[In(X, F)→
(xf*y→Fy)] (78) 命題2(S14):[C→
(B→
A)]→
[(C→
B)→
(C→
A)]で ,℃
'にHer(F)を
,`B'に
In(X,F)を
,(A'に
Xf*y→Fyを代入すると,先
件が命題78となるか ら,MPに
よって後件が次の命 題79と して導かれ る:[Her(F)→
In(X, F)]→
[Her(F)→
(xf*y→Fy)] (79)
命題5(S15):(B→ A)→
[(C→B)→
(C→
A)]で
,`B'に
Her(F)→ In(X, F)を
,`A'に
Her(F)→
(xfキy→Fy)を ,`C'に
Fxを代入す ると,先
件が命題79となるか ら,MPに
よ り,
後件が次の命題80と して導かれ る:
[Fx→
(Her(F)→
In(X, F))]→
[Fx→(Her(F)→
(xfキy→Fy))] (80) 命題74ではyは
xfy→Fyの部分 にしか現れないか ら,こ
の部分 をaで
普遍汎化(Sll)する と,Fx
→[Her(F)→
va(xfa→
Fa)],っ
まりFx→ [Her(F)→ In(X,F)]が
導出され るが,こ
れ は命題80の先件 だか ら,MPに
より後件が次の命題81と して導かれ る (これ は一般化 された数学的帰納法である):
Fx→
[Her(F)→
(xfキy→Fy)] (81)(Xが
f系列 で遺伝 す る特性Fを
持 ち, yが xの
子 孫 な らば, yは
特性Fを
持 つ)命題
18(S16):[C→
(B→
A)]→
[(D→C)→
(B→ (D→
A))]で
,℃
'にFxを,`B'に Her
(F)を ,`A'に
Xf*y→Fyを,`D'に Aを
代入 す る と,そ
の先件 が命題 81と な るか ら,MPに
よ り後 件 が次 の命題82と して導かれ る:(A→
Fx)→
[Her(F)→
(A→
(xf*y→Fy))] (82) この命題82で,`A'に
hX,T「
'にhF∨ gFを代入す ると,(hx→
hX∨gx)→
[Her((a:ha∨
ga})→ (hX→ (xf*y→hy∨gy))]が導出され るが
,
この式の先件部分:hX→ hx∨gxは,命
題36(18):
A→ A∨ Bで
(A'にhXを`B'にgxを代入 した式だか ら証明可能である。よって,こ れ とMPに
よ り後 件部分が次の命題83と して導かれ る:Her((a:ha∨
ga))→ [hx→ (Xftty→hy∨gy)] (83)
(特性hまたはgを
持つ とい う特性がf系列で遺伝 し, Xが
特性hを
持 ち, yが
f系列でX
に後続す るならば
, yは
特性hまたはgを
持つ)1
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第47巻 第1号
(1996) 33
1
階 の述語 に よって述語 づ け られ て い る ときはHer(h∨
g)とせず,上
記 の ように集合論 の記 法 でI Her((a:ha∨
ga))と 表 す。1
命題8(S16)i[D→
(B→
A)]→
[B→ (D→
A)]で
,`D'に
Fxを,`B'に
Her(F)を
,`A'に
Xf・y→Fyを代 入 して得 られ る式 の先件 は命 題 81で あ るか ら,MPに
よ り,後
件 で ある次 の命題84が 導かれ る:Her(F)→
[Fx→ (xf*y→Fy)] (84)
命題12(S16):[D→
(C→ (B→
A))]→
[D→ (B→ (C→
A))]で
,`D'に
Xfホyを,℃
'にHer(F)を
,`B'に
In(x,F)を
,`A'に
Fyを代 入 した式 の先件 は命題77であ るか ら,MPに
よ り,後件 で あ る次 の命題 85が 導 か れ る:
xf*y→
[In(x, F)→
(■er(F)→ Fy)] (85)
(Xが yの
祖 先 で, Xの
す べ ての子が遺伝 す る特性Fを
持 て ば, yは Fを
持 つ)命題
19(S16):(D→ (C→ B))→ [(B→
A)→
(D→ (C→
A))]で
,`D'に
Xf*yを,`C'に
In(x,F)を
,`B'に
Her(F)→Fyを,`A'に
Her(F)→
(yfZ→Fz)を
代 入 した式 の先件 は命題 85で あ るか ら,MPに
よ り,そ
の後件 で あ る次 の命題 86が 導 かれ る:[(Her(F)→
Fy)→
(Her(F)→
(yfZ→Fz))]→ [Xfキy→
(In(X, F)→
(Her(F)→
(yfZ→Fz)))] (86)
命題 73で,`y'に
多を,`X'に yを
代 入 した式 は命題 86の 先件 とな るか ら,MPに
よ り,そ
の後件 部分 で あ る次 の命題 87が 導 かれ る:xfキy→
[In(x, F)→
(Her(F)→
(yfZ→Fz))] (87)
フレーゲは命題87の導出を,以
下のように日常言語で説明する(11ち(2)yが
f系 列でXに
後続するとする :Xf*yX y
O一
一→ ○―一→ ○―一→ … (β)手
続 きfのXへ
の適用結果がすべて特性Fを
持つ とす る:In(x, F),つ
まりVa(Xfa→
Fa)6<:
(7)特
性Fが
f系列で遺伝す る:Her(F)
一→0-一
→ ○一→の とき
―→ ●―一→
0-→
(2),(β ),(γ)の
仮定か ら命題85により, (δ)yは
特性Fを
持つ:Fy
X y
O―
―→ ●――→ ●―一→ … (ε)Zを
手続 きfのyへ
の適用結果 とす る :yfzy z
●―一→ ○ 命題72(た
だ し,`X'に
yを`y'に Zを代入)に
よれば,Her(F)→
(Fy→ (yf多→Fz))であるか ら,(γ
):Her(F),(δ
):Fy,(ε
):yfz
か ら,MPに
よ り,が帰結す る。 こうして
,命
題87はを日常言語で表現す ると, 「 もしyが xに
f系列で後続 してお り, Xへ
の手続 きfの適用結果がすべてf系列で遺伝 す る特性Fを
持 ち, Zが
対象yへ
の手続 きfの適用結果であるな らば,そ
の ときZは
特性Fを
持つJ となる。親子モデルでは, 「Xが yの
祖先であ り, Xの
すべての子が親 か ら子へ遺伝 す る特性Fを
持 ち, Zが yの
子 な らば,yは
その特サ性Fを
持 つ」 となる。命題
15(S16):[E→
(D→ (C→ (B→
A)))]→
[B→
(E→ (D→ (C→
A)))]で
,`E'に
Xfキyを
,`D'に
In(x,F)を
,`C'に
Her(F)を
,`B'に
yfzを,`A'に
Fzを 代入 した式の先件 は命題 87であるか ら,そ
の後件である次の命題88が導かれ る:yfZ→ [Xf*y→
(In(x, F)→
(Her(F)→
Fz))] (88)
ここか ら,§ 28に移 る。引 き続 き
,祖
先関係(f系
列での後続関係)に関わ る命題 の導出を追跡す る。命題
52(S20):(C←
→D)→
(fC→fD)で
,℃
'にVF[Her(F)→
(In(X, F)→
Fy)]を
, `D'にXf*yを,`f「 'にFを 代入 した式の先件 は命題76であるか ら,その後件部分が次の命題89と して導かれ る:
vF[Her(F)→
(In(X, F)→
Fy)]→
xf*y (89)命題 5(§
15):(B→
A)→
((C→
B)→
(C→
A))で
,`B'に
VF[Her(F)→
(In(X,F)
→Fy)]を
,`A'に
Xf*yを代入 した式 の先件 は命題89であるか ら,そ
の後件部分が次の命題90と し て導かれ る:[C→
VF(Her(F)→
(In(X,F)→
Fy)}]→ [C→
Xf*y] (90)
命題63(S22)i gx→
[m→
(va(ga→
fa)→ fX)]で,`g「 'にXfFを,`m'に
Her(F)を
,`f'に
Fを ,`X'に
yを代入 し,後
件部分 のFを
普遍汎化 した式:Xfy→
VF[Her(F)→
(Va(Xfa→
Fa)→
Fy)] Xfy→VF[Her(F)→
(In(X,F)→
Fy)]は,命題90で `C'に Xfyを代入 した式 の先件であるか ら,その後件部分が次の命題91と して導かれる: xfy―,xf*y 日常言語 による命題91の導出 はこうなる (フレーゲが与 えている説明(121を少 し変形す る)。 (α
)Xに
手続 き fを 適用 した結果 を yと す る:Xfy (β)Xに
手続 き fを 適用 した結果がすべて特性Fを
持つi Va(Xfa→
Fa), つまりIn(x,F)
(2)と
(β)か
ら (γ)yは
特性Fを
持つ:Fy
が導出され るか ら, (δ)Xに
手続 き fを 適用 した結果がyで
ぁ り,Fが
何であれ,Fが
f系列 で遺伝 し, 手続 き fを 適用 した結果がすべて特性Fを
持つな らば, yは
特性Fを
持つ が導かれ る。(δ)の
下線部分 は「yは
f系列でXに
後続する」 とい うことであるか ら, 「yが Xに
手続 き fを 適用 した結果であるな らば, yは
f系列でXに
後続す るJ となる。 これが,命
題91の内容である。親子モデルで は, (91) つ ま り, Xに鳥取大学教育学部研究報告 人文 。社会科学 第47巻 第
1号 (1996) 35
「
yが Xの
子 で あ るな らば, yは xの
子 孫 で あ る」 と表現 で きる。命題
53(S20):fC→ (C=d→ fd)で
,`fA'にXfy→ Af*yを,`C'に Xを ,`d'に
Zを代 入 した式 :(Xfy→
Xf*y)→
(X=Z→
(Xfy→Zfキy))の先件 が命題 91で あ るか ら,後
件 部分 が次 の命 題 92と して導かれ る:
X=Z→
(Xfy→Zf*y) (92)
命題60(S22):Va(ha→
(ga→fa))→ (gb→ (hb→fb))に類 比 的 な第2階
の命題60′:Vf(Ω
βfβ→ (Nβ ψ →Mβ望 ))→ (Nβgβ→(ΩβgF→ Mβgβ))で
,`f'に Fを
,`Ωβ「 β'に
In(x,F)を
,`NβFβ'
に
Her(「
)を
,`Mβ
Fβ'にFyを,`g'に Fを
代 入 した式 :vF[In(x, F)→ (Her(F)→
Fy)]→
[Her(F)→
(In(X, F)→
Fy)] の後件 のFを
普 遍汎化 す る と次 の式 が導 出 され る:vF[In(x,F)→
(Her(F)→
Fy)]→
vF[Her(F)→
(In(X,F)→
Fy)]ところで
,こ
の式 は,命
題 90で `C'にVF[In(x, F)→ (Her(F)→
Fy)]を
代入 した式 の先 件 部分 に外 な らないか ら,そ
の後件部分が次 の命題 93と して導かれ る:vF[In(x, F)→ (Her(F)→
Fy)]→
xf*y (93)
命題7(S15):(B→ A)→
[(D→ (C→ B))→ (D→ (C→
A))]で
,`B'に
VF(In(x, F)
→
(Her(F)→
Fz))を,`A'に
XfキZを,`D'に
yfzを,℃
'にXf*yを 代 入 した式 の先件 は,命
題93で`y' にZを代 入 した式:VF(In(x,F)→
(Her(F)→
Fz))→xf*Z
で あ るか ら,先
の式 の後件部 分 が次 の命題94と して導かれ る:[yfZ→ {Xfキy→
VF(In(x,F)→
(Her(F)→
Fz)))]→ [yfZ→ (Xf*y→
Xf*z)] (94)
命題 88で `F'が 現 れ てい る部 分 を普遍汎化 して得 られ る式 :
yfZ→ [Xf*y→
vF(In(x,F)→
(Her(F)→
Fz))] は命題94の 先件部分 で あ るか ら,後
件部分 が次 の命 題 として導 か れ る :yfZ→ (Xftty→
xf*z) (95)
命題 8(§
16):(D→
(B→ A))→ (B→ (D→
A))で
,`D'に
yfzを,`B'に
Xf*yを,`A'に
Xf*Z を代入 した式 の先件 は命題 95で あ るか ら,後
件 が次 の命題 96と して導 かれ る:xf*y→ (yfz→Xfキ
Z) (96)
(f系
列 でXに
後続 す る対 象yに手続 きfを適 用 した結果Zは
f系列 でXに後続 す る)また は
(yが Xの
子 孫 で あ り, Zが yの
子 な らば, Zも Xの
子孫 で あ る)命題 75で`F「 'にXf*Fを代 入 す る と,
Vd[Xf*d→ Va(dfa→
Xf*a)]→
Her((a:xf*a))
が得 られ るが
,こ
の式 の先件 は,命
題 96で `Z'をaで
`y'をdで
普 遍 汎化 した式 :Vd[Xfキ
d→Va(dfa→
Xf*a)] に外 な らないか ら,後
件部 分 が次 の命題 97と して導 かれ る:Her((a:xf*a)) (97)
(f系
列 でXに
後続 す る (つま りXの
子孫 で あ る)と
い う特性 は, f系
列 で遺伝 す る) 命題 97の 内容 は,親
子 モ デル で は こうい う こ とで あ る。 い ま,「Xの
子孫 で あ る」とい う特 性 を考 え る。任意 の対 象dが
この特′性を持 って い る としよ う。dの
任 意 の子 をaとす る。その とき,aも
「X
の子孫 で あ る」 とい う特性 を持 つ。図式的 に書 くと,d … … 一 ― → ○
d a
O―
一→ ○ X ○ 一 か19 な らば ○――→ …… ―一→ ○一一→○命 題84で,`F「 'にXf*Fを,`X'に yを ,(y'に Zを代 入 し た 式 :Her((a:xf*a))→ [Xf*y→(yf*
z→xf*z)]の先件部分 は命題97であるか ら
,後
件部分が次の命題98と して導かれる: xf*y→ (yf*z―)Xf*z) (98)(Xが yの
祖先であ り, yが
zの祖先であれば,Xは
Zの
祖先である) 命題98は,祖
先関係 (すなわち, f系
列で後続す る とい う関係)が
推移的であるとい うことを主張 している。4.系
列 (家系)へ
の 所 属 関 係 とそ の 帰 結 対象Xを
固定 し,「Xを
始祖 とす るXの
子孫である(Xに
f系列で後続する)」 という特性 を考 え ると,X自
身が この特性 を持つ とは限 らない。 む しろ,持
たない場合が多い。人間の親子関係 のモ デルにおいて も,あ
る対象がそれ自身の子孫 (また は先祖)で
あるとは,通
常 は見倣 さない。 だが 他方で,命
題97が主張す るように,「Xの
子孫であるJとい う特性 は,親
か ら子へ と遺伝す る。一般 に, f系
列で遺伝す る特性Fを
考 えるとき,た
とえXの
子孫がすべて この特性Fを
持 っていた とし て も,X自
身がFを
持つ とは限 らない。『創世記』の人祖 アダムの家系 において も,ア
ダム自身 はア ダムの子孫で はない。同様 に,「人間の父 を持つ」とい う遺伝する特性 は,ア
ダムのすべての子孫 に 共有 されているが,ア
ダムその人 はこれを欠いてい る(本論文第3節
参照)。 しか し,ア
ダム自身が アダムの家系 (「人間」の家系?)に
属することは間違 いない。そ こで,ア
ダム自身 を含 めたアダム の家系の一員であることを定義するには,「アダムの子孫であるか,ま
たはアダムその人 である」と 規定すればよい ことになる。 これが フレーゲのアイディアである。 『概念記法』§29でフレーゲ は,「ZはXで
始 まるf系列 に属す る」 または「Zは Xを
始祖 とす る 家系に属するJと
いう関係 を,命
題99と して定義 している。 Xfキz
∨Z=X
← →xf*=z
この式 の`←→'の右 辺 で あ る XfキZ
は,フ
レーゲ の実際 の記号 で は , (99)許磁 羽
であ り,
これが「Zは
Xで
始 まるf系列 に属す る」を意味す る。つ まり,命
題99全体 は,「Zが
f系 列でXに
後続す るか またはZが
Xと 同一であるとき,か
つその ときに限 りZはXで
始 まるf系列 に 属す る」 とい うことを表 している。 以下,
この「ある対象で始 まる f系 列 に属す る」(親子モデルで は「 ある家系 に属す る」とい う関 係 の諸帰結 を,フ
レーゲに従 つて導出す る。 命題57(S21)i(C←
→D)→
(fD→fC)で
,`C'に
XfキZ∨多=Xを
,`D'に Xf*=Zを
,`f「 'にF
鳥取大学教育学部研究報告 人文 。社会科学 第47巻 第
1号 (1996) 37
を代入 した式 :
(Xf*Z∨Z=X ← → Xf*=z)→ (xf*=Z→xf*z∨ Z=X) の先件 は命題99であるか ら
,後
件が次の命題100と して導かれ る:xf*=z
→xf*z∨
z=x (100)
命題48(§
19):(D→
C∨
B)→
[(B→
A)→
{(C→
A)→
(D→
A)}]で
,`D'に Xf*=Zを
,℃'にXf*Zを,`B'に 多
=Xを
,`A'にZfy→xf*yを 代入 した式 の先件部分 は命題100であるか ら,後
件 部分が次の命題101と して導かれ る:[Z=X→
(Zfy→ Xf*y)] → [{Xf*Z→ (ZfV→Xf*y)}→ (Xf*=Z→ (ZfV→Xf*y)}] (101) 命 題92で,`X'に Zを ,`Z'に Xを ,`y'に Vを代 入 し た 式 :Z=X→ (ZfV→XfキV)は ,命題101の `y'に Vを代 入 し た 式 の 先 件 で あ る か ら, こ れ か ら 後 件 部 分 : [Xf*Z→ (ZfV→Xf*V)]→ [xf・=Z→ (zfv→ Xf*V)] が導かれ る。 この式の先件部分 は,命
題96で `y'に Zを`Z'にVを
代入 した式:XfホZ→ (zfv→ Xf*V) に外な らないか ら,先
の式の後件部分が次の命題102と して導かれ る:xf*=z
→ (zfv→XfキV) (102)
言葉での命題102の導出はこうである: もしZが
Xと同一 な らば,命
題92に より, Zに
手続 き fを 適用 した結果である対象Vは
f 系列でXに
後続す る。 もしZが
f系列でXに
後続すれば,命
題96により, Zに
手続 き fを 適用 した結果であるVは
f系列でXに
後続する。 従 つて, もしZが
Xで
始 まるf系列 に属す るな らば,そ
の とき手続 き fを Zに適用 した結果であるVは Xに
後続す る 命題19(S16):[D→
(C→
B)]→
[(B→
A)→
(D→ (C→
A))]で
,`D'に
Xfキ=Zを ,`C'
に¬XfキZを,`B'にZ=Xを
,`A'にX=Zを
代入 した式の先件 は命題100であるか ら,そ
の後件が次 の命題103として導かれる: (Z=X→ X tt Z)→ (Xf・=Z→ Xf*z∨ x=Z) (103) 命題55(S21):C tt d→d=Cで
,`C'に Zを,`d'にXを
代入 した式 は命題103の先件 であるか ら, 後件が次の命題104と して導かれ る: xf*=z→ xf*z∨x=Z (104)
ここか ら,S30に
移 る。引 き続 き,「Zは
Xで
始 まるf系列 に属す る(Zは Xの
家系 に属する)」 と いう関係の諸帰結の導出を追 う。 命 題 52(§ 20):(C← → D)→ (fC→ fD)で ,`C'に Xf*Z∨ Z=Xを ,`D'に Xf*=Zを ,`f「 'にF を代入 した式の先件部分 は命題99であるから,後
件部分が次の命題105と して導かれる: xf*z∨Z=X
→Xf*=Z (105)
命 題37(§18):(C∨ B→ A)→ (C→ A)で ,℃ 'にXf*Zを,`B'に Z=Xを ,`A'に Xf*=Zを代 入 した式 の先件部分 は命題 105で あ るか ら
,後
件 部分 が次 の命題 106と して導 かれ る:xf*z
―> xfキ=z (106)
(f系
列 でXに
後続 す る対 象 は,Xで
始 まるf系列 に属 す る)また は
(Xの
子孫 で あ る もの は, Xを
始祖 とす る家 系 の一 員 で あ る)を,`D'にZf*=yを,`C'にyfvを 代入 した式 の先件部分 は
,命
題 106で `X'に Zを`Z'にVを
代 入 した式に外 な らないか ら
,先
の式 の後 件部分 が次 の命題 107と して導かれ る:[Zf*=y→ (y →Zf*v)]→ [zf*=y→ (yfv→
Zf*=V)] (lo7)
命題 102で,`X'に
Zを,`Z'に yを
代 入 した式:zfネ=y→
(yfV→Zfキv)は
命題 107の 先 件 で あ るから
,そ
の後件 が次 の命題 108と して導 かれ る: zfホ=y
→ (yfv→Zf*=v) (lo8)
ここで,こ
の命題 108の 導 出 を言葉 で与 える。 もしyが zで
始 まるf系列 に属 す るな らば,その とき命題 102に よって,yに
手続 きfを適 用 したすべ て の結果 は,f系
列 でZに後続 す る。その とき命題 106に よって,手
続 きfを y に適用 したすべての結 果 は, Zで
始 まるf系列 に属 す る。 従 って, もしyが zで
始 まるf系列 に属 す るな らば,手
続 きfを yに適 用 したすべ て の結果 は, Z
で始 まるf系列 に属 す る。 上 の命題 108で ,`ら'にXを
代 入 し,`y'を dで ,`V'を aで
普遍 汎化 す る と ,Vd(Xf*=d→
Va(dfa→
Xf*=a)) とい う式が導かれ るが,こ
れ は,命
題 75で`F「 'にXf*=Fを代 入 した式:Vd(Xf*=d→
Va(dfa→
Xf*=a))→
Her((a:Xf*=a))
の先件 で あるか ら
,後
件 が次 の命題 109と して導かれ る:Her((a:xf*=a}) (109)
命題78で,`F「 'に Xfキ=Fを
,`X'に
yを,`y'に
mを
代入 した式:Her((a lxf*=a))→
[Va(yfa→
xf*=a)→
(yf*m→Xf*=m)]
の先件 は命題 109で あ るか ら
,後
件 が次 の命題 110と して導かれ る:Va(yfa→ xf*=a)→
(yf*m→xf*=m) (1lo)
命題25(S16):(D→
(C→ A))→ [D→ (C→ (B→
A))]で
,`D'に
Zf*=yを,`C'に
yfvを, `A'にZfキ=Vを
,`B'に ¬Vf*Zを 代 入 した式 の先件 は命題 108で あ るか ら,後件 が次 の命題 ■1と して導 かれ る:zf*=y→
[yfv→ Vf*Z∨zfキiV] (111)
この命題 111の 言葉 による導 出 を与 える: もし
yが zで
始 まるf系列 に属 す るな らば,命
題 108に よ り,手
続 きfの yに対 す る適 用結 果 はすべ てZで
始 まるf系列 に属 す る。従 って,手
続 きfのyに
対 す る適 用 結果 はす べ て,Zで
始 まるf系列 に属 す るか また はf系列 でZに先行 す る。 こうして, もしyが zで
始 まるf系列 に属す るな らば,そ
の とき,手
続 きfのyへ
の適用結果 はすべ て, Zで
始 まるf系列 に属 す るか また はf系列 でZに先行 す る。命題
11(S16):((C→
B)→
A)→
(B→
A)で
,`C'に
¬Xf・=zを ,`B'に
Z=Xを
,`A'に
Xf*=Z を代入 した式 の先件 は命題 105で あ るか ら,そ
の後件 が次 の命題 112と して導 かれ る:Z tt X → xf*=多
(112)
命題
7(S15):(B→
A)→
[(D→ (C→ B))→ (D→ (C→
A))]で
,`B'に
多=Xを
,`A'に
Xf*=Zを
,`D'にZfキ=Xを
,`C'に¬Zf*Xを 代入 した式 の先件 は命題 112で あ るか ら,後
件 が次 の命題鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第 47巻 第
1号 (1996) 39
[Zf*=X→ (ZfキX∨Z=X)]→
[Zfキ=X→
(zf*X∨Xf*=Z)] (113)
命題104で,`X'に
Zを,`Z'に Xを
代入 した式:Zf*=x→
(zf*X∨Z=X)は
命題113の先件である から,後
件が次の命題114と して導かれ る: 多f*=x―→(zf*XVXf*=Z) (114)
(Xが
らを始祖 とす る家系に属するならば, Xは Zの
子孫であるか またはZはXを
始祖 とす る家系 に属す る) この命題114の言葉 による導出を与 える:Xが Zで
始 まるf系列 に属するとす る。その とき命題113によって,Xは
f系列でZに後続 す る か ま た は Zは Xと 同 一 で あ る 。 も し Zが Xと 同 一 で あ れ ば ,命 題 112とこ よ っ て ,Zは X で始 まるf系列 に属す る。 最後の二つの命題か ら,次
が導かれる:Xは
f系列でZに後続するか,ま
たはZは
Xで
始 まるf系列 に属する。 従 つて, もしXが Zで
始 まるf系列 に属す るな らば, Xは
f系列でZに後続す るか またはZは
Xで
始 まるf列に属す る。5.多
対 ― の 関 係 とその 帰 結 これ まで,二
項関係fは全 く一般的な「手続 き」として扱われて きた。従 つて,「親子Jの
ような 「多対多」の関係がモデル として許容 されていた。 しか しぅ フレーゲの本来の意図 は数の系列 にあ り,そ
れの準備 のために一般系列理論 を展開 しているのである。 そこで, fを
限定 して,数
系列 の 構成 に不可欠な「多対一」の関係 (数学的には「関数」の関係)を
定義せねばならない。 それが『概 念記法』§31で命題115によって与 えられる:veVd[dfe→
va(dfa→
a=e)]←
→FN(f) (115)
われわれがFN(f)と
表 した`←→'の右辺 は,フ
レーゲの実際の記号では, δ If(δ,ε) εであり
,「手続き
fは多対―である」または「
fは関数である」と翻訳される
(`FN'はⅢ
nctiO聖に由
来 す る)。 こうして,命
題 115全体 は, 「dが
何 で あれ, eが dへ
の手続 きfの適 用 結果 で あ る とい う状 況 か ら, dへ
のfの適 用 結 果 が すべ てeと同一 で あ る とい う こ とが帰 結 す る とき,か
つ その ときにか ぎ り,「fは
多対 ― の手続 きで あ る(fは
関数 で あ る)」 と定義 す る」 と翻訳 され る。 以下,多
対 ― の関係 の定 義 か らの諸帰結 を,フ
レーゲ に従 って導 出す る。命題68(§
22):[Vafa←
→B]→
(B→
fC)で,`f「'にVd(dfF→ va(dfa→
a=F))を
,(B'に
FN
(f)を
,`C'に Xを
代 入 し,`a'を eで
書 き換 え る と,[VeVd(dfe→
Va(dfa→a=e))←
→FN(f)]
→[FN(f)→
vd(dfX→ Va(dfa→
a tt x))]FN(f)→
vd[dfx→ Va(dfa→
a=x)] (116)
命題9(§
16):(C→ B)→
((B→A)→
(C→
A))で
,`C'に
FN(f)を
,`B'に
Vd(dfX→
Va(dfa→
a=x))を
,`A'に
yfx→va(yfa→
a=x)を
代 入 した式 の先件 は命題 116で あ るか ら,
後件 が次 の命題 117と して導かれ る:
[Vd(dfx→ Va(dfa→
a=X))→
(yfx→Va(yfa→
a=x))]
→
[FN(f)→
{yfX→Va(yfa→
a tt x)}] (117)
普遍例化の主張である命題58(S22)i Vafa→
fcで,`a'を dで
書 き換 え,`fr'に「 fX→
Va(Ffa→
a=X)を
,`C'に yを
代入 した式:Vd[dfX→ Va(dfa→
a=x)]→
(yfx→Va(yfa→
a=x)}
は命題117の先件であるか ら,後
件が次の命題118と して導かれる:FN(f)→
[yfX→Va(yfa→
a tt x)] (118) 命題19(S16):(D→
(C→ B))→ [(B→
A)→
(D→ (C→
A))]で
,`D'に
FN(f)を
,℃
'にyfxを
,`B'に Va(yfa→
a=x)を
,`A'にyfa→a=xを
代入 した式の先件 は命題118であるか ら,
後件 で ある次 の命題 119が 導 かれ る:
[Va(yfa→
a tt x)→ (yfa→a=x)]
→[FN(f)→
{yfX→ (yfa→a=x)}]
命題
58(S22):Vafa→
fcで,`f「'にyfP→F=xを
,`C'に aを
代入 した式:Va
(yfa→a=x)は
命題119の先件であるか ら,後
件 である次の命題120が導かれるFN(f)→
[yfX→ (yfa→a=x)]
(119)
(yfa→
a=x)→
(120) 命題
20(S16):[E→
(D→ (C→
B))]→
[(B→
A)→
{E→ (D→ (C→
A)))]で
,`E'
に
FN(f)を
,`D'に
yfxを,`C'に
yfaを, Bに
a=xを
,`A'に Xf*=aを
代入 した式の先イ牛は命題 120であるか ら,後
件が次 の命題121と して導かれ る:(a=X→
xf*=a)→
[FN(f)→
{yfX→ (yfa→xf*=a)}] (121)
命題112で,`Z'に aを代入 した式
:a=x→
xf*=aは
命題121の先件であるか ら,後
件が次の命題 122と して導かれ る:FN(f)→
[yfX→ (yfa→xfキ=a)]
(122) 命題 19(§16):(D→
(C→
B))→[(B→
A)→
(D→ (C→
A))]で
,`D'に
FN(f)を ,℃
'にyfxを
,`B'に Va(yfa→ Xf*=a)を ,`A'に yf*m→
xfキ=mを
代 入 した式 の先件 は,上
の命題122で yfa→xf*=aの
部 分 の`a'を 普遍汎化 した式:FN(f)→
(yfx→va(yfa→ f*=a))で
ぁ るか ら,先
の式 の後件 が次 の命題 123と して導 かれ る:[Va(yfa→
xf*=a)→
(yf*m→Xf*=m)]
→
[FN(f)→
(yfX→ (yfキm→
xf*=m)}] (123)
上の命題123の先件 は命題110に外ならないか ら,そ
の後件が次の命題124と して導かれる:FN(f)→
[yfX→ (yfキm→
(xf*=m)] (124)
(も しXが
多対―の手続 き fを yに適用 した結果 であ り,mが
f系列でyに後続す るな らば,mは
Xで
始 まるf系列 に属す る) 命題124の内容 を図式的に表す と,鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 47巻 第
1号 (1996) 41
:>6-○
一〇
一 …
か つyO一
一→ … 一一→Om
な らイゴ, ○\\、 ○/
X ○十一→○→
○―一→ … となろう。命題
20(S16):[E→
(D→ (C→
B))]→
[(B→
A)→
{E→ (D→ (C→
A))}]で
,`E'に
FN(f)を
,`D'に
yfxを,`C'に
yf*mを,`B'に
Xf*=mを,`A'に Xf*m∨
mf・=Xを
代入 した式の先 件 は命題124であるか ら,後
件が次の命題125と して導かれ る: (Xf*=m→xf*m∨
mfキ=X)
→[FN(f)→
(yfX→ (yf*m→xf*m∨
mf*=X))] (125)
命題114で,`X'に
mを
,`Z'に Xを
代入 した式 :Xfキ=m→
(xf*m∨mf*=X)は
命題125の先件であ るか ら,そ
の後件が次の命題126と して導かれ る:FN(f)→
[yfX→ (yfttm→(xf*mVmf*=X)] (126)
この命題126の導出を言葉で与 えよう:Xを
,多対― の手続 きfの yに対す る適用の結果 とし,mが
f系列でyに後続す るとする。 その とき,命
題124によれば,mは
xで
始 まるf系列 に属す る。従 って,命
題114に よれば,mは
f系列でXに
後続す るか,ま
たはXは
mで
始 まるf系列 に属す る。 こうして,Xが
多対― の手続 きfのyへ
の適用結果であ り,mが
f系列でyに後続す るとき,mは
f系列でXに
後続す るか,ま
たはXは
mで
始 まるf系列 に属す る。 図式化す ると,以
下のように表現で きよう。 y:≫
6-〇
一〇
一 …
かつ な らば y mO一
一→ ○ 一 〇一一→ … l x_____ ….y m
O一
一→ … 一―→○Ь
_6__→
…
__→
8 ま
たは
命題12(S16):[D→
(C→ (B→
A))]→
[D→ (B→ (C→
A))]で
,`D'に
FN(f)を
,`C'に yfxを,`B'に yf*mを ,`A'にXfキ
m∨
mf*=Xを
代入 した式の先件 は命題126であるか ら,後
件が 次の命題127と して導かれ る:FN(f)→
[yf*m→ (yfx→Xf*m∨
mf*=X)] (127)
命題51(S19):(D→
(C→ A))→ [(B→
A)→
(D→ (C∨ B→
A))]で
,`D'に
FN(f)を
,`C'にyf*mを,`A'とこyfx→ (xf*m∨
mf*=X)を ,`B'に mf*=yを
代入 した式の先件 は命題127である か ら,後
件が次の命題128と して導かれる:[mfホ
=y→
(yfX→Xf*m∨
mf*=X)]
→
[FN(f)→
{yf*m∨mfキ=y→
(yfx→ (Xf*m∨mfキ=X))}] (128)
命題111で,`Z'に
mを
,`V'に Xを
代入 した式:mf*=y→
(yfX→Xfキm∨mf*=X)は
命題128の先 件であるか ら,後
件が次の命題129と して導かれ る:FN(f)→
[yf*m∨mf*=y→
(yfx→ Xfttm∨mf*=X)] (129)
(手続 きfが多対―であ り
,yが
f系列でmに
先行するか またはmで
始 まるf系列 に属す るな らば,手続 きfへの適用のすべての結果
Xは
f系列でmに
先行す るか,ま
たはmで
始 まるf系列 に属す る)命題
9(S16):(C→ B)→
[(B→
A)→
(C→
A)]で
,`C'に
FN(f)を
,`B'に
Vd[dfキm∨
mfキ
=d→ va(dfa→
afキm∨
mf*=a)]を ,`A'に Her((a iaf*m∨mf*=a})を
代入 した式の先件 は,命題129の(X'と `y'をそれぞれaと
dで
普遍汎化 した式:FN(f)→
vd[dfキm∨
mf*=d→ Va(dfa
→af*m∨mf*ia)]
に外 な らないか ら,先
の式の後件が次の命題130と して導かれ る:[Vd[df*mvmfキ
=d→
va(dfa→ af*m∨mf*=a)]→
Her((a:af*m∨
mf*=a})]→
[FN(f)→ Her((a:af*mvmf*=a})] (130)
命題75で,`F「 'に Ffキm∨
mf*=Fを
代入 した式 :Vd[df*m∨
mf*=d→
Va(dfa→ af*m∨mf*=a)]→ Her((a laf*m∨ mf*=a))は
命題130の先件で あるか ら,後
件が次の命題131と して導かれ る:FN(f)→
Her((a:af*m∨
mf*=a)) (131)
(手続 きfが多対―である とき, f系
列でmに
先行す るか またはmで
始 まるf系列 に属す るとい う特性 はf系列で遺伝す る)
命題 9(§
16):(C→ B)→
[(B→
A)→
(C→
A)]で
,`C'に
FN(f)を
,`B'に
Her((a:
afttm∨
mf*=a))を ,`A'に
Xfttm→ (xf*y→yf*m∨mf*=y)を
代入 した式の先件 は命題131であるか ら,後
件が次の命題132と して導かれる:[Her((a:af*m∨
mfキ=a))→
{Xf*m→ (Xfキy→yf*mvmf*=y))]
→