SPEED/JMAG/STAR-CCM+による
モータの熱管理
許容温度の維持
– 絶縁性を維持するための絶縁材について、許容温度が設定されている。潤滑部の粘度変化
– ベアリングの潤滑は温度依存性が大きい。モータの熱管理
なぜモータの熱管理が必要か
© CD-adapco 2013 1 絶縁等級 許容最高温度(℃) Y 90 A 105 E 120 B 130 F 155 H 180 C 180を超えるもの電気抵抗の増大
– 温度上昇とともにコイルの導体抵抗が上がり銅損を増大させる。永久磁石の減磁
– 温度上昇により永久磁石の減磁が生じ性能低下につながる.小型化の要求
– 小型化とともに、単純な構造では放熱性を十分に確保できない。モータの熱管理
なぜモータの熱管理が必要か
© CD-adapco 2013 2 材質 温度係数 キュリー温度 巻線 0.4%/℃ フェライト -0.2%/℃ (可逆) >450℃ ネオジム -0.1%/℃(可逆) >310℃ サマリウム・コバルト -0.03%/℃(可逆) >700℃モータの熱回路(トポロジ)
モータの熱管理
放熱経路
© CD-adapco 2013 3
重要な要素
– 温度上昇させる因子は? • 損失 • 過大な熱抵抗 – 放熱のために必要な要件とは? • 熱抵抗を減らすことを考える。 • 表面積を増やす。 • 良好な熱伝導経路の確保 • 熱伝達係数を上げる。 – 冷媒の変更、流量の変更、新たな冷却方式の検討 – 放熱を実現するために取りえる構造は? • 手計算では見積もりレベル • 特に新たな冷却方式の検討は見積もりレベルの手計算もままならない。モータの熱管理
温度上昇させる因子
© CD-adapco 2013 4銅損
– 巻線抵抗による損失 – 温度上昇はさらに損失を増大させる方向に進む。鉄損
– ヒステリシス損 • 内部磁極の転向により生じる損失 • スタインメッツの式は正弦波による推定式 – 渦電流損 • 内部の磁束密度の変化を打ち消すための誘導電流 • 周波数、導電率、板厚に依存風損、機械損、その他の損失
– 風損 • 流体仕事による損失として現れる。 – 機械損はシャフト、ベアリングの摩擦によるものモータの熱管理
損失の分類
© CD-adapco 2013 5W
ℎ= 𝑘
ℎ𝑓𝐵
𝑚1.6−2.0W
𝑒=
𝑘
𝑒𝜌
𝑓
2𝐵
𝑚2W
𝑐= 𝑖
23𝑅
𝜌 𝑇 = 𝜌 𝑇
𝑟𝑒𝑓1 + 0.004(𝑇 − 𝑇
𝑟𝑒𝑓)
W
𝑤= 𝜇
𝑒𝑓𝑓𝑺
2鉄損の評価は難しい。
電磁界解析ソフトウェアによる評価が必要
– モータ解析における電磁界解析ソフトウェアとしてはJMAGが最も広く使用され ている。ジオメトリの取り込みも電磁界解析モデルを利用できればより効率的
合理的なアイデアとして、JMAGとSTAR-CCM+を組み合わせることが
もっとも近道
モータの熱管理
損失を効率的に取り込むには
© CD-adapco 2013 6JMAGは電気機器の設計、開発のためのシミュレーションソフトウェアです。 機器内部の複雑な物理現象を正確にとらえ、高速に分析します。 EV/HV開発を含むモータ開発における標準解析ツールです。 適用分野 – モータ/発電機、アクチュエータ、トランス、 誘導加熱装置、センサ、シールド、その他 解析機能 – 磁界解析、電界解析、構造解析、熱解析、 連成解析 インタフェース – 主要CADソフトウェア、制御回路シミュレータ、 最適化システム、その他CAEツール 開発元:株式会社JSOL – http://www.jmag-international.com/jp/
JMAGとは
磁気回路網(パーミアンス法)をベース
– 材料の選択,寸法/構造の設定により瞬時に計算実行できる。 – 初期検討 は パラメータ検討を含めて10分程度寸法/構造の入力パネル,巻線の設定パネル等,モータに特化した専用の
GUI
SPEED
各ツールの連携
CD-adapco製品とJMAGを用いた熱管理フロー
© CD-adapco 2013 9
GoFERを経由し、SPEEDで検討した構成をJMAGにエクスポート
– STAR-CCM+のためにxGDFファイルを使用 – JMAGのためにxGDFファイルを使用SPEED→JMAG、STAR-CCM+
© CD-adapco 2013 10GoFERを経由し、SPEEDで検討した構成をJMAGにエクスポート
SPEED→JMAG
© CD-adapco 2013 11
JMAG多目的ファイル入出力ツール
JMAGの解析結果を他のソフトウェアで利用可能
他ソフトウェアの結果をJMAGで利用可能
機能
• 解析に必要な物理量を入出力 • CSV, Nastran, Universalフォーマットに対応 • 他のメッシュにマッピング • 静解析、周波数解析、過渡解析に対応入出力可能な物理量
• 損失、熱伝達係数、電磁力 • 応力、ひずみ、変位、速度 • 加速度、温度、磁束密度 • 磁界、磁化、電流密度 • パーミアンス、電界12
ASCII A B C D E JCF連携解析の流れ
多目的ファイル入出力ツール->STAR-CCM+
13
CSV
損失
電磁力
他の構造/流体ソフトウェア
多目的ファイルにて発熱量QVOLとエレメント情報を出力
• ASCII形式Nastran ファイル(.nas) – 2次元形式は3次元に 押し出し変換 – 対象、軸対象モデルは ミラーリングが可能 – 損失情報は全区間損失 または平均損失として エクスポートできる。JMAG→STAR-CCM+
(JMAG側の作業)
© CD-adapco 2013 14SPEEDインポートウィザードを用いてxGDFファイルをインポート
SPEED→STAR-CCM+
形状のインポート
© CD-adapco 2013 15
3D-CAD、パーツ、領域、物理連続体が準備される。
メッシュ連続体はサイズに合わせて調整が必要
SPEED→STAR-CCM+
形状のインポート
© CD-adapco 2013 16JMAGとSTAR-CCM+のみの場合
– JMAGからエクスポートできるIGESをSTAR-CCM+に取り込み – コイル端の修正や簡略化はSTAR-CCM+で行う。JMAG→STAR-CCM+
© CD-adapco 2013 17CAEモデルのインポートにて、.nasファイルを読み込み
JMAG→STAR-CCM+
© CD-adapco 2013 18
読み込まれたCAEモデルに、さらに発熱量を取り込み
JMAG→STAR-CCM+
© CD-adapco 2013 19
データマッパーを使ってインポートした発熱量をフィールド関数に割り当て
JMAG→STAR-CCM+
© CD-adapco 2013 20
発熱量の推定ができれば
– あとは放熱経路の検討 – 実はモータは構造として難しいところが多い。 • モデル化が必要構成部品
– 巻線 – 電磁鋼板 – ロータ、ステータ間冷却方式
– ファン – 液冷 – 油冷放熱経路の検討
© CD-adapco 2013 21 空冷 Air 液冷 LLC 油 ATF等 冷却方式によって得られる 熱伝達係数W/(m2K): 20…300 5,000 … 20,000 500 … 2,000巻線
– 巻線を直接モデル化することは困難 – しかしバルクで簡単に扱っていいものではない。 – 異方性熱伝導率の定義 • 軸方向とそれ以外放熱経路の検討
巻線のモデル化と異方性熱伝導率
© CD-adapco 2013 22 Slot liner Housing contactSTAR-CCM+の異方性の考慮
放熱経路の検討
フィーチャーカーブに沿った軸方向
© CD-adapco 2013 23
コイルエンドの温度を評価するには異方性熱伝導率の評価は重要
放熱経路の検討
異方性熱伝導の有無によるコイルエンドの温度
© CD-adapco 2013 24一定熱伝導率
異方性熱伝導率
電磁鋼板
– 渦電流のキャンセルのため、積層部ごとに絶縁層が組み込まれている。 – 軸方向に対して1/3~1/6の異方性放熱経路の検討
積層電磁鋼板
© CD-adapco 2013 25ロータ、ステータ間
– エアギャップの存在 – 単純な回転2重円筒としても流れ場は2次流れを含む複雑な状態となる。放熱経路の検討
エアギャップ
© CD-adapco 2013 26回転二重円筒
– ギャップの熱伝達係数は回転数に依存 • 軸方向に流れがない場合のヌセルト数の見積もり – 実験式から等価熱伝導率を与える方法も有効放熱経路の検討
エアギャップの熱抵抗
© CD-adapco 2013 27𝑇𝑎 =
𝜌𝜔𝑟𝑑
𝜇
𝑑
𝑟
𝑖𝑁𝑢 =
1 (𝑇𝑎 < 41)
0.106𝑇𝑎
0.63𝑃𝑟
0.27(41 < 𝑇𝑎 < 100)
0.193𝑇𝑎
0.5𝑃𝑟
0.27(100 < 𝑇𝑎)
ファン
– MRF または Sliding Mesh – MRFは現実的な落としどころ – しかしMRFでは流れ場としては旋回流のモデル化に十分であるが、メッシュの 不足、ブレードの構造によっては流量を低く見積もる傾向がある。 – Sliding Meshは精度は良いが、非定常で計算するため、回転の時間スケールと 過渡熱の時間スケールが大きく異なることに注意放熱経路の検討
空冷:MRF
© CD-adapco 2013 28風損
– STAR-CCM+は粘性加熱 を標準で考慮している。 – STAR-CCM+において、 ひずみ速度と実効粘性係数 からフィールド関数を作成放熱経路の検討
空冷:MRF
© CD-adapco 2013 29液冷
– 一定流量を定義する上では比較的CFDで取り扱いのしやすい領域 – ケーシングを通過する流路の圧力損失と熱伝達係数のバランスが重要 – 特にケーシングを通過する曲がり流路は複雑な流れを示す。 • 少ないメッシュは、熱伝達係数、圧損ともに低く見積もる結果となる。 • 冷媒物性の温度依存性に注意放熱経路の検討
液冷
© CD-adapco 2013 30油冷の一例
– コイルエンドを冷却するために局所的に油を噴霧するような検討 • ラグランジェ+液膜 • 非定常解析が必要 – ロータ、ステータ間の熱抵抗を減らすために油を攪拌する。放熱経路の検討
油冷
© CD-adapco 2013 31モータ仕様
– http://www.jmag-international.com/solutions/rt/modellibrary/019.html検討例
H/EV用トラクションモータ
32 Model 10k_D_D_IV Model name PMSM Max. Power 10(kW) Voltage/Current DC240(V)/60(A) Rotor IPMStator (Outside Diameter) 185(mm)
Stator (Inside Diameter) 105(mm)
Stator Distributed winding
Height 37(mm)
Magnet Neodymium sintered
Inertia Moment 2.79e-3(kg·m2)
Mass 9.35(kg)
Max. Current 84.8(Apeak)
銅損
鉄損
損失分布(銅損、鉄損)
33
Low speed:600 rpm Medium speed:4,000 rpm High speed:8,000 rpm Low speed:600 rpm Medium speed:4,000 rpm High speed:8,000 rpm
34
損失分布(磁石)
永久磁石の損失(渦電流損)
Low speed (600 rpm)
– 銅損が支配的Medium speed (4,000 rpm)
– 銅損と鉄損のオーダーが同程度High speed (8,000 rpm)
– 鉄損が支配的回転数と損失の関係
35 Speed rpm Current A Torque Nm Output kW Copper loss W Iron loss W Magnet loss W 600 84.8 22.8 14.3 334.4 17.2 0.20 4000 60.0 18.5 7.7 167.4 268.1 2.14 8000 30.4 9.1 7.6 43.0 345.3 0.74 Low speed Medium speed High speed発熱の考慮方法
特に鉄損が支配的な高回転の領域では、発熱密度分布を与えることで、
局所温度上昇が大きくなる。
特に永久磁石の温度上昇が重要の場合には発熱分布が有効
36
一定発熱
発熱分布
結果の比較
600 RPM 4000 RPM 8000 RPM
温度のエクスポート
STAR-CCM+ から温度をNastranファイル形式にマッピングしてJMAGに
エクスポート
JMAG側で温度分布を考慮した計算を再度実行
モータの熱管理を行うには
– 正しい損失の見積もり • JMAGを使う。 – 適切なモデリング • 異方性熱伝導率の考慮 • STAR-CCM+の機能を駆使する。 – ポイントを抑えた冷却構造の構築 • 損失の割合を考慮した低回転にも高回転にも対応できる冷却構造 • STAR-CCM+の物理モデルには、様々な冷却を検討できる。まとめ
© CD-adapco 2013 39© CD-adapco 2013 40