• 検索結果がありません。

す 高齢者に多い不整脈でありまして 特に脳梗塞の原因としても重要になってくるわけです ご存知のように脳梗塞はラクナ梗塞 アテローム血栓性脳梗塞 そして心原性脳塞栓 この 3 つの病型に分類されます ラクナは穿通枝ですから小さい梗塞ですけれども アテローム血栓 性脳梗塞は心筋梗塞と同じ様なメカニズムで

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "す 高齢者に多い不整脈でありまして 特に脳梗塞の原因としても重要になってくるわけです ご存知のように脳梗塞はラクナ梗塞 アテローム血栓性脳梗塞 そして心原性脳塞栓 この 3 つの病型に分類されます ラクナは穿通枝ですから小さい梗塞ですけれども アテローム血栓 性脳梗塞は心筋梗塞と同じ様なメカニズムで"

Copied!
17
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

特別講演

座長:青森県立中央病院 副院長 藤 野 安 弘

「心房細動治療の新展開

~新規抗凝固薬とカテーテルアブレーション~」

弘前大学大学院医学研究科 循環呼吸腎臓内科学講座 教授 奥 村 謙 先生 (座 長) 弘前大学院医学研究科循環呼吸腎臓内科学講座の奥村教授に「心房細動治療の新展開 ~新 規抗凝固薬とカテーテルアブレーション~」ということでお話いただきたいと思います。簡単 に奥村先生をご紹介をさせていただきます。 51年3月に熊本大学医学部をご卒業されまして、第一内科に入局されまして、54年に大 学院に入学されて、58年にご卒業されております。58年から2年半、アラバマ大学のリサ ーチフェローということで、循環器部のほうに留学されております。帰ってこられましてから 助手、それから講師、平成5年に助教授になられまして、平成8年4月から弘前大学第二内科 の教授にご就任されております。現在は弘前大学院医学部の学務委員長、それから大学院医学 研究科の副研究科長ということで、大学のお仕事も非常にお忙しいですけれども、不整脈に関 していろんな業績を残されまして、現在日本不整脈学会の会頭、理事長という事で、非常にお 忙しい日々を送られているということでございます。本日は新しい凝固薬が出ていますので、 その使い方も含めまして心房細動の治療ということでお話をお聞きしたいと思います。宜しく お願いいたします。 (奥村先生) 弘前大学の奥村でございます。平素より我々循環呼吸腎臓内科は先生方には大変お世話にな っております。ありがとうございます。また、この会は久し振りなんですけれども、以前は棟 、 、 、 。 方教授 須田教授 そして僕で その時々のトピックスについてお話をさせていただきました なかなか時間的調整が難しいということで、少し開催の方法も変わったようでございます。僕 も3年ぶりぐらいになるのでしょうか。この会でこうしてお話させていただくことを大変あり がたく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。又、藤野先生にはご紹介いただき まして、大変ありがとうございました。 今日は僕は心房細動治療の新展開ということで、特に新しい抗凝固薬の位置づけ或いはその 使用法について、それから後半の時間を少しだけを頂いて、今僕たちが積極的に取り組んでい る心房細動の根治療法でありますカテーテルアブレーションについても、新しいところを少し ご紹介させていただきたいというふうに思います。 心房細動は先生方が日常診療でご覧になっています頻脈性不整脈で最も多い不整脈でありま

(2)

。 、 。 す 高齢者に多い不整脈でありまして 特に脳梗塞の原因としても重要になってくるわけです ご存知のように脳梗塞はラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、そして心原性脳塞栓、この3 つの病型に分類されます。ラクナは穿通枝ですから小さい梗塞ですけれども、アテローム血栓 、 性脳梗塞は心筋梗塞と同じ様なメカニズムで比較的大きい動脈がアテローム血栓によって閉塞 そして従って比較的大きい脳梗塞にいたるわけです。一方、心原性脳塞栓は心房細動を原因と しまして、心内で形成された血栓が急に飛んで脳の大きい動脈を閉塞するということで、大き い脳梗塞ができるということは先生方もご存知の通りであります。従って重症度としては心原 性脳梗塞がもっとも重症になるということも当然考えられるわけであります。 これは弘前脳卒中リハビリテーションセンターの開設の年の10月から去年の3月まで救急 搬送されました急性期脳梗塞約2000例別の病型別に分けたものですが、全体の40%がア テローム血栓性脳梗塞でした。高血圧、糖尿病等々、メタボ等を背景として最近増加してきて おります。 その次に多いのが心原性脳塞栓症であります。ラクナ梗塞は以前はこれが一番多 、 、 。 かったわけですけれども 高血圧の管理が比較的よくなったことで 随分少なくなっています いずれにしましても心原性脳塞栓が増加していて全体の3分の1を占めるというのもお分かり だと思います。 1例を示します。この方は86歳の女性でありまして、心原性脳塞栓ですけれども第3病日 に入院されました。こういう心房細動があり、右の中大脳動脈瘤領域の脳梗塞でした。この方 は入院されて翌日に経食エコーをみましたが、左房の左心耳に血栓がありました 、これがぷら。 ぷらしていて、主治医は飛ばなければいいなと思っていたのですが、第6病日に意識レベルが また低下しました。それで、すぐにMR I を撮ってみますと、今度は左の中大脳動脈領域に大 きな脳梗塞が出ていまして、MRI上でここで閉塞していました。多分支柱の血栓が飛んだの 、 、 。 だろうということで また経食エコーをしてみますと 実際に血栓が消失しているわけですね これがここに飛んでいって、また脳梗塞をくり返してしまった。さいわいながら生命はとりと めましたけれども、86歳で寝たきりということになりました。こういうように心原性脳塞栓 は非常に重症となるわけです。 これは以前のデータですけれども、脳梗塞の患者さんで、868例の段階でタイプ別にみて います。この時、アテローム血栓性脳梗塞は39%、心原性脳塞栓は30%、ラクナが27% 。 。 、 という内訳でした この患者さん方が退院される時に機能評価を行いました この機能評価は で評価しております。0から6点でありまして、0、1点というのが社会 modified Rankin scale

復帰が出来る程度で退院されたというんですね。2、3、4点となりますと介助が不要、ある 程度必要、かなり必要となります。5は寝たきり、6は死亡となるわけです。ラクナ梗塞を見 てみますと0、1が多くて、アテロームは0、1が少なくなって、心原性になりますと更に少 なく31%になる。一方4、5、6の重症を見てみますと、ラクナは少ないですが、アテロー 、 。 ム血栓症になると増えまして 心原性塞栓になりますと半分以上ということになるわけですね これだけ心原性塞栓は他の病型と比べて重症である。死亡例も15%位いらっしゃいます。久

(3)

山町のデータによりますと、1年での死亡が50%と出ています。あらゆる疾患の中で1年後 、 。 、 の死亡率が50%なんてという病気は 今はもうないと思うんですね 全ての癌をあわせても その程度にはなりませんので、心原性塞栓は、やはりあらゆる病気の中でも最も重症というこ とがいえるかもしれません。そういうことで予防をしなければならない、ということになるわ けであります。 この心原性塞栓の原因は心房細動ということが知られているわけですけれども、どの程度心 房細動が実際に見つかるかということをみてみました。これは2008年、2009年の心原 性脳塞栓267例でみてみますと、入院時の心電図で心房細動であった方は大体半分ですね。 残りの半分は心房細動がありませんでした。しかし前医の心電図、或いは入院中のモニターま たはホルター心電図で発作性心房細動という形でつかまる方は随分いらっしゃいました。つま り、45%が持続性心房細動、いわゆる慢性心房細動です。そして30%が発作性心房細動で した。そして残りの25%では入院中に心房細動はみつかりませんでした。恐らくこのうちの 半分くらいは別の原因、例えば心筋梗塞後の血栓塞栓、或いは卵円孔開存による奇異性塞栓、 或いは機械弁を原因とする血栓塞栓だと思いますけれども、残りの半分は心房細動で、たまた ま見つかっただけじゃないかなと思います。すなわち、少なくとも75%には心房細動が認め 、 。 、 られ 恐らく80%以上ではないかと考えているところであります 先生方は発作性心房細動 持続性心房細動の患者さんを多くご覧になっていると思うんですけれども、発作性であれば脳 ACTVE 梗塞は起こしにくいのではないかと思われるかもしれません ところが違います これは。 、 -W という試験のサブ解析なんですけれども、発作性と持続性の2つのタイプで前向きにずっ 、 。 とフォローしてみますと 脳梗塞を起こす率は全然変わらないということが分かったわけです 発作性であっても持続性と同様に、脳梗塞を起こしていきます。そういう意味で後ほど申し上 げます抗凝固療法をきちんと行わなければならないということになるわけです。また、逆に発 作性と持続性の方で重症度に脳梗塞を起こした場合、重症度に差がないかということをみてみ ました。持続性が40数%、発作性が30%、25%はどうしてもみつからないと言いました けれども、重症者の割合をみてみました。modifieal Ronkin scale4、5、6ですね。持続性、 発作性の間で差はないことが分かりました。すなわち持続性心房細動、或いは発作性心房細動 で脳梗塞を起こす危険性に差がないということに加え、一旦起こしてしまいますと、脳梗塞の 重症度にも差がないわけです。従って発作性心房細動であってもきちんと抗凝固療法を行わな ければならない。 例えばつい先日、僕の外来に紹介された患者さんですけれども、発作性心房細動でした。今 年になって2回発作を起こしている。1回はかなり長く続いていたんですけれども、2回きり なんですね。しかし、その方は高血圧がありました。その受け持ちの先生はダビガトラン(ブ ラザキサ)を投与されておりました。僕はそれは非常に正解だと思うんですね。リスクがある 方はきちんと管理されるというような意味で、非常にいい治療をなされたと僕は思っていたわ けです。この心房細動患者さんの予後は何が規定しているかということをみてみますと、やは

(4)

Manitoba follow up り脳梗塞ということがいくつかの試験で示されています。これはカナダの - ですけれども、新入りのカナダ空軍の4000名の方を44年間フォローしましたと syudy ころ、300名の方が新規に心房細動を起こされました。その方と心房細動がない方で比較を してみますと、死亡率でみますとやはり心房細動があると1.31倍、死亡率が増加します。 その内訳は脳卒中による死亡が2.48倍も増えるということです。脳卒中以外の心血管死亡 は1.37倍です。多いんですけれども、やはり脳卒中で亡くなるということなんですね。非 心血管系疾患で亡くなる割合は心房細動の有無で変わらない。心房細動があると非心血管系疾 患、特に脳卒中で亡くなるということが示されたわけです。心房細動、脳卒中、そして生命予 後の悪化ということになるわけでありまして、この心房細動患者さんでは、やはり脳卒中、脳 梗塞を予防しなければならないというわけであります。以上のような多くの疫学的な調査、或 いは臨床研究をベースにしまして、最近のガイドラインは一様にこういうような診療方針を推 奨しています。 これはヨーロッパ心臓病学会のガイドラインに記載されております心房細動治療の進め方で 。 。 、 す わが国のガイドラインも基本的には変わりありません 心房細動患者さんを診た場合には 。 。 先ず最初に抗凝固療法が必要かどうかを判断しよう そのために血栓塞栓のリスクを評価する そのあとですね、レートコントロール、リズムコントロールすなわちβ遮断薬、ジキタリスを 投与するか、抗不整脈薬を投与するかに移るわけです。まず抗凝固療法が第一の治療とならな ければならないということを記載しているわけです。これは全世界のガイドラインのどれも共 通するところであります。わが国の心房細動治療ガイドラインもそういうことで、心房細動患 者さんには先ず抗凝固療法を行おうということで、こういうことを推奨しています。もちろん 全ての患者さんが適応になるわけではなく、リスクがある患者さんにワルファリンが適応にな るということも先生方がご存知のとおりです。主に CHADS2スコアでリスクを評価するという のもご存知のとおりですね。非弁膜症性心房細動の患者さんを診た場合、わが国のガイドライ ンでは、CHADS2プラス心機能低下というのも入っておりますけれども、2点以上だとワルフ ァリンを推奨しています。1点の場合はワルファリンを考慮としました。それから CHADS2以 外の因子についても心筋症、65歳以上、女性、冠動脈疾患、甲状腺機能亢進症があった場合 もワルファリンを考慮か、どちらかというと投与したほうがいいですよというような立場で今 まで推奨したわけであります。ヨーロッパ心臓病学会では、それに対して CHA DS -VASC2 2 ス コアというのが新たに提唱されました。ようやく先生方が CHADS2に慣れられた頃に、又やや こしくなる CHA DS -VASC2 2 というのが出てきました。しかし、これは日循のガイドラインと VASC Vascular 実はあまりかわらないんです。 とは何か、Vというのは実は冠動脈疾患です。 、主に狭心症、心筋梗塞、その他ASOとか、大動脈プラークなんかもあります。Aと disease いいますのは Age、年齢で65歳以上からリスクにしよう、今迄 CHADS2の時には75歳以上 sex でしたけれども、65歳以上もリスクが高いということです。それからSCというのは ということで女性です。女性もレポートによりますとリスクが高い、女性で心房細動 category

(5)

になると男性よりも脳梗塞を起こしやすいということがいわれていますので、この3つを従来 のCHADS2に追加したというわけです。 それでは年齢75歳以上だとどうなるか。これは2点にしようとして CHADS2のAのところ に2を加えて、ちょっと発音はできないですけれどもね、CHA DS -VASC2 2 というように呼ん だわけであります。基本的には日循のガイドラインとは変わるところはないんですけれども、 こちらにもやはり重要視しようというわけであります。これがどの程度重要なのかということ は、今年のデンマークのnationwide cohort studyで検証され、非常に分かりやすいデータでした ので、これを紹介いたします。 これはワルファリンが何らかの理由で投与されなかった7万3千例を前向きに見て、そして 脳梗塞や塞栓症を起こされた方について、そのリスクを評価したわけであります。まず全体を 2で全部の人を評価しますと、0点から6点まで当然ながら点数が増えますと脳梗塞或 CHADS いは塞栓症を起こしていきます。2点以上になるとやはり増加します。しかし0点、1点も、 。 。 1点も結構高いというのがお分かりかと思います 1点でも年間5%も起こしているんですね 、 、 。 一番の問題点は7万3千例の中の53%ですから 3万7千人ぐらいが実は0点 1点ですね ここに非常に多くの方が集中していますので、ここがもうちょっとばらけてやらないと、きち っとしたリスクに評価がならないというのが、CHADS -VASC2 の考えであります 2点以上は、。 もういいんです。こちらはハイリスク例でワルファリンの適応ですけれども、ワルファリンを 投与するかどうか、特に1点ですね。あまりに多いものですから、非常に多くの方にワルファ リンを投与しないといけないということになるわけであります。そこでCHADS -VASC3 で同じ 患者さんをみてみました。そうしますと、0点から9点になるにつれて、きれいに上っていくわ けですね。0点の人の脳梗塞、塞栓を起こす確立は0.78%で、非常に低いです。1点で2 %ぐらいですね。0点、1点に全体の20%の人がここに入っていたわけであります。そして もう1つ、0点は本当の0点です。0.78%しか脳梗塞を起こしません。この人たちにワル ファリンを投与しますと、日本人の場合、ワルファリンで脳出血を0.6%起こすとされてい ます。変わらないんです。脳梗塞を予防する代わりに、ここにワルファリンを投与したとしま す。そうするとワルファリンはご存知のように60%から70%脳梗塞の発症を抑制します。 ということは0.78が0.2まで減ります。しかし脳出血が0.6%加わりますので、全く 一緒になるわけですね。というような考え方でいうと0点の人はワルファリン投与はいらない ということになるわけであります。そういうことで、この CHA DS -VASC2 2 というのは、更に 詳細に検討するという意味で僕はいい評価法でないかなと思っています。 、 。 さらに見てみますと 75歳以上というのは本当の1点ではないということがわかりました これは CHADS スコアの0点と1点の人の血栓塞栓をみたわけです。これが0点ですね。0点 でも結構、血栓塞栓を起こしていまして、10年みると10%起こしています。一方、1点、 例えば緑、これは高血圧です。そして心不全、それからこれが糖尿病。このあたりは少なくと もここまでは、変わらないですね。1点、本当に1点なんです。ところが75歳以上、これも

(6)

1点なんですが、リスクが他の1点と全然違うというのが、お分かりかと思います。1点は実 は2点なんですね。75歳以上というのは1点ではなく2点なんです。75歳以上はもっとハ イリスクにすべきです。一方、CHA DS -VASC2 2 でみますと、65歳以上を1点にしました。 CHA DS 65歳以上というのは ここのブラウンの点です これ同じなんですね ということで、 。 。 2 2-VASC という評価は、僕は非常に適切ではないかと思っている。ただここで女性を見てみる とどうかというと、0点と変わらないんですね。赤です。ですから女性はあまり重要視しない でいいのかもしれません。わが国のガイドラインは一応考慮はするということになっています が、デンマークのnationwide cohort studyでは、女性はあまりリスクとしては捉えられなかった というわけであります。 。 もう1つワルファリンの場合にはきちんとPT-INRをコントロールしないといけないですね ここがワルファリンの一番の問題点です。例えばこの方は66歳の女性です。従って INR を2 PT-INR から3でコントロールしないといけないんですけれども 約2年間みてみました これは、 。 をプロットしています。2から3はここですけど、1.5とか1.6とか、このあたりしか入 っていないんですね。それで主治医ががんばって、患者さんもがんばってようやくここで2か ら3の間に入ってきました。すなわち全体の期間でいうと、2から3の間に入っているのは全 体の38%で、残りの62%は外れていったわけです。これは悪いコントロールです。大学の 症例で悪いコントロールですね。こういう評価法をTTRといいます。38%だけがこの治療 域に入っていた。これをTTRといいます。このTTRが60%以上ないとワルファリンの効 果は担保できないというのも多くの研究で示されています。TTRが60%未満ですと、脳塞 栓も多いですし、死亡も多いですし、出血も多いです。60%以上になってきますと、いずれ 少なくなるわけですね。ですからワルファリンコントロールは少なくとも測定した3回に2回 はきちんと治療域に入れなければならないというのは、多くのスタディで得られたコンセンサ スであります。 ところが我々、特に不整脈を専門としている医師がどの程度、ガイドラインをきちっと守っ ているかということでTTRがどうなっているかということをみてみました。これは全国の青 PT-INR 森、岩手、東京、大阪、山口の5県から大体100例ずつ位合計500例で2年間の からTTRを測定してみました。これは全患者さんの分布ですけれども、実はTTRが0点と いう人も15例ぐらいいらっしゃいました。100%つまり何時測定してもきちっとコントロ ールできているという人も70数例いらっしゃいました。こうしてみてみますと、多くの患者 さんは大体TTRが60%以上にありますけれども、一部TTRが悪い、すなわちコントロー ルが悪いという人もいらっしゃいました。これを年齢別に見てみますと、70歳以上は293 例でみると、ほとんどの人がいいんです。60%以上のところに、ほとんど分布していました けれども、70歳未満でみるとほとんどの人が60%未満であり、きちっとコントロールがで きていないということがわかりました。これは何故かというと、ガイドラインが影響している んですね。70歳以上の PT-INR のコントロールは1.6から2.6ですから比較的低目にコ

(7)

ントロールする、70歳未満は2から3で、この間に中々入らないんです。低めになっていま す。どうして低めなのか、これに引きずられるのではないかなと僕は思うんですね。どうも、 やはり日本の先生方は、我々の施設もそうですけれども、2から3というと2をコントロール 目標としてしまう。そうするとここになってしまうんですね。そういうことで先生方も恐らく 多少低めになっていると思うんです。これが日本の現状ですね。これが本当に悪いのかという ことになると、これは検証が必要です。若い方のコントロールというのはよくありません。一 方、70歳以上になると低めコントロールがうまくできているということになります。これで 本当に脳梗塞の予防ができているのか。本当に脳出血がどうなのか。ということを、現在 というスタディを我々は行いまして、全国で8000例の心房細動の患者 J-RHYTHM Rogistry さんを登録して2年間のフォローアップを終わりました。現在一生懸命データを解析している 、 、 ところでありまして わが国のこういうコントロールが本当に適切なのかどうかということを 今一生懸命解析しているところでありまして、来年はデータを示せるのではないかというふう に思っております。 ワルファリンで問題なのは、コントロールが難しい、特に若い方のコントロールがよくない ということをお話しました。ワルファリンでもう1つ問題なのは、やっぱり出血が問題になり ますよね。特に脳出血がいやですよね。出血がどういう人に多いかいくつか分かっています。 やはり血圧のコントロールが悪い人です。これは国循のデータですけれども、ワルファリン服 用中の患者さんの脳出血の頻度と血圧をみてみますと、やはり血圧が高くなると脳出血の頻度 も高くなるということが分かります。当たり前かもしれませんね。やはりワルファリン服用中 の患者はきちんと血圧をコントロールしないといけない。又逆にワルファリン服用中の患者さ んでは血圧が高いと実は塞栓も起こすんです。両方起こすんですね。ですからきちんとした血 圧コントロールは必要だということになるわけであります。昨年のヨーロッパ心臓病学会のガ イドラインでは更に複雑なことにHAS-BLEDというのもでました。段々段々複雑になっていく わけです。これは出血のリスクスコアでワルファリンを投与する患者さんでは、必ず出血リス クも評価しようというわけであります。HAS-BLED のHは高血圧、Aというのはアブノーマル な検査値で、腎機能の異常または肝機能障害がAです。各々1点、1点ですね。Sというのは ストロークで脳卒中の既往。Bは出血の疾患がある場合、Lというのは不安定性、PT-INR のコ ントロールが悪い方です。Eは elderly で65歳以上,Dというのはドラッグ、例えば抗血小板 薬を飲んでいる、或いはアルコールを飲んでいる、こういう場合ですね。これをそれぞれ点数 をつけます。2つある場合には2点で合計9点ですけれども、これで3点以上の方は急に出血 が増えるということも分かっています。ですからこの中で3点以上の方は、よりきめ細かなコ ントロールが必要です。ワルファリンをきちんとコントロールしないといけないということに なるわけですね。 このHAS-BLEDの中で、高血圧。これは管理できますね。先ほどいいました血圧が高いと脳 出血が起こしやすくなる、或いは塞栓も起こしやすくなる。ですから血圧はコントロールしよ

(8)

う。基本的には140、90以下で結構です。きちんと血圧は抑えて下さい。これは出来るは ずなんですね。ところが心房細動の患者さんでワルファリンを服用されている方の血圧をはか ってみると150いくつあったという人は実は一杯いらっしゃるんです。これはダメですね。 是非、患者さんに脳出血を起こす、或いは脳梗塞を起こすということで、協力を頂いて血圧を きちんと管理するということになります。それから PT-INR のコントロールが悪いと当然IN Rが高くなり3とか4とか5とかになると出血が起こりやすくなるので、やはりきちんとコン トロールしましょう。これもできるはずですね。それからD、或いはアルコールですね。これ もできるはずです。例えばアルコールを常習されている方は控えましょう。飲むなということ まで言えるかどうかはわかりませんが控えましょう。それからドラッグ。ここが問題です。抗 血小板薬なんですね。これを併用されている方は多勢いらっしゃる。やめましょうというわけ なんですね。こういうことをすると少なくとも3点ないし4点は減らせる可能性があるわけで す。すなわちワルファリン療法中の出血を減らす可能性ができるというわけであります。 さて今から新しい抗凝固薬療法についてお話させていただきます。これは凝固系、内因系と 外因系があるわけでありますけれども、ご存知のとおりでありますけれども、ワルファリンは 、 、 、 。 この中のⅡ Ⅶ Ⅸ Ⅹというところの生合成を抑制することによって抗凝固作用を示します ワルファリンはこういう凝固因子の生合成を抑えるわけですから、いつも効いているというの がワルファリンですね。一方、新しい抗凝固薬、或いは開発中の薬として先ずⅩa阻害薬、活 性化第Ⅹ因子の直接阻害薬がありますし、抗トロピン薬があります。抗トロピン薬のダビガラ ン(プラザキサ 、が今年発売になったのはご存知のとおりであります。X) a阻害薬としてアビ キサバン、リバーロキサバン、エドキサバン等が今開発中でありまして、リバーロキサバンは 恐らく来月中旬、もう承認されているはずです。そうなってきますとリバーロキサバンはバイ エルがどんどん宣伝すると思うんですけれども、来年の春に発売されるだろうと思います。ア ピキサバンが1年遅れぐらいになるんじゃないかなとも言われています。今からこういう新し い抗凝固薬が目白押しで発売されてくるかと思います。新規抗凝固薬の一番の特徴はこの抗凝 固系の下の方を抑えます。しかも直接阻害薬です。合成阻害ではなく直接に抑えます。そして 抑える時間はある程度限られていて、ある程度の時間になると、もう抑えません。すなわち抑 えたかと思うと又元に戻る、こういうパターンをくり返す。ここはワルファリンと全然違う点 ですね。しかも、第Ⅶ因子を抑えていないんですね。出血の時に一番最初に作用するこの凝固 の起点を抑えていないというのが、最も大きな特徴であります。ここが最も大切ですね。例え ば脳には脳出血を予防する機転というのが、実はあるんですね。先生方がご存知のように高齢 者 micro bleeds といいますけれども、CTのT2スターをとると、いっぱい小さな出血がある 方というのはいらっしゃいます。しかし、出血にいたっていないんですね。何故か。恐らくこ ういう凝固機転が働いているからなんですね。脳には多くの組織因子がある。全身で最も組織 因子が多いのは脳なんです。例えば、ちょっとした出血があると、すぐに組織因子と第7因子 が結合し、ここからガァーと凝固系が始まってトロンビンバーストといいますが、トロンビン

(9)

がグッと造られて、そしてフィブリンになって凝固がなされるわけですね。すなわち出血がこ こでしないように働くわけですね。ところがワルファリンはここ第7因子を抑えています。従 ってせっかく組織因子があっても、ここが作用しないからワルファリンを服用している患者さ んでは脳出血が起こりやすくなるということが説明されています。一方こういう薬剤はここを 抑えないから脳出血は起こしにくいのではないかなと一応想定されるわけであります。そうい うような背景でワルファリンと新規凝固薬が臨床研究で比較検証されてワルファリンと劣らな いか、より優れているということが示されたわけであります。その一弾目がダビガトランです ね。プラザキサですが、非弁膜症性心房細動の患者さんで少なくとも CHADS2チャズバスクの 1点以上の患者さんにダビガトランの通常量、または低用量ワルファリンを投与して比較しま すと、これは脳梗塞よりも血栓塞栓症の割合がワルファリンに比べてダビガトランの低用量が ほぼ同じですね。一方ダビガトランの高用量はワルファリンよりも優れていたと、初めてワル ファリンに勝った抗凝固薬ということが言えるわけです。ワルファリンよりも有効であるとい うことは出血を起こしやすいだろうということが危惧されるわけですけれども、脳出血だけを 見てみますとワルファリンが年間0.4%ぐらい起こしたのに対しダビガトランは0.1とい 、 。 、 うことで 有意に少なかったというわけであります これは脳出血だけをみていますけれども その他の出血をあわせると、これから少しおちる位でこの位になりますけれども、決してワル ファリンよりも出血が多いというわけではない。最も重要なのは脳出血が抑えられたというこ とで、プラザキサというのに大きな期待がかかったわけであります。 しかもINRのコントロールがいらない。とにかく1日2回飲めばいい。しかも用量調節が いらない。腎機能がある程度悪い患者さんとか、出血のリスクがある患者さんとか、或いは高 齢者、或いは抗血小板薬を服用している患者さんではダビガトランを低用量にする、それ位で いいのであってワルファリンのような用量調節がいらないというような意味で、患者さんにも 朗報、先生方にも勿論簡便ないいお薬というようなことで、ガァーと出たわけですね。ところ がそのあとに、先生方のところにもブルーレターが届いたと思いますけれども、出血がガァー と起こってしまったわけですね。そして亡くなった方もいらっしゃった。 じゃ、どうしてそうなったかと言いますと、ルール違反で投与された方も結構いらっしゃっ た。すなわち腎機能がわるくて本当は禁忌の方にも投与されていたということ。それから高齢 者に多く投与されていて、100歳以上にも投与されていたとか、それはやっぱりしょうがな いのではないかなと。しょうがないというのは、どんなに脳出血が少ないとはいっても、腎不 全に投与するとダメです。これは腎排泄型ですから当然血中濃度が上ってしまって出血しやす くなります。それから高齢者に投与しますと、いかにクレアチニン濃度低いとはいっても10 0歳でもしクレアチニンが1といえば、クレアチニンクリアランスはもう恐らく20はないと 思うんですね。だから投与禁忌になるはずなんですね。実際はそういうことで多くの事故が報 告されています。結局、ダビガトランに関していいますと、より慎重な投与がなされてなかっ たというところが一番の問題ではないかなと思っています。ある程度しょうがないといいます

(10)

のはこのダビガトランが発売された時に、丁度東日本大震災の時だったんですね。その後いろ んな啓蒙活動が自粛されたこともあって、そういうのも影響したのではないかなと思っていま す。 今後出ます、リバーロキサバン,アピキサバン等に関しては、こういうことが企業にとって も非常に教訓になっていますので、慎重な販売路線、販売戦略が行われるのではないかなとは 思っています。いずれにしましてもワルファリンに代わり得る薬剤が出たという意味では大き く朗報だということであります。こういうことで、各国のガイドラインも少しずつ変わってき ました。これは昨年のカナダのガイドラインであります。カナダのガイドラインては CHADS2 でまだ評価しています。実はカナダの先生方は CHA DS -VASC2 2 をフンと言ってあまり評価し ていませんね。今朝僕はカナダの Turpin 先生、こういうことをやっているトップの人ですけれ ども、座談会をやってきたんですが、僕は CHA DS -VASC2 2 について聞いたのですが、それは ヨーロッパのことで俺は知らないと言っていましたね。そうかな、と思ったのですが、彼らは やはり CHADS2ですね。0点では、彼らはアスピリンと言っていますね。ただ、若い方とか本 当にリスクが低い人には、アスピリンもいらないとここに書いています。CHADS2の1点は経 口防凝固と、ワルファリンと書いていますね。2点以上もワルファリンというふうに書いてい ます。1点以上はワルファリンなんです。この1番下にダビガトランが発売されたらワルファ リンよりもダビガトランの方がいいとここにもうはっきり書いているんですね。ということで 1点以上はダビガトラン、或いはワルファリン、どちらかというとカナダではダビガトラン。 何故カナダではダビガトランかというと、RE-LY 研究の発祥は実はカナダだからというわけな んですね。全世界で行われたんですけれども、RE-LY 研究の一番の中心はカナダのマクマスタ ー大学ですね。今朝僕が座談会してきた先生なんですけれども、そういう意味で彼らはここに 抗凝固療法、ダビガトランということを書いているわけであります。 ダビガトランが発売されましたので、日本循環学会ではやはり何らかのステートメントを出 さないといけないということで、今年の8月の日循の時でしたか。僕も一緒に皆さん集まって ですね、どうしようというようなことで、合意のもとにこういう緊急ステートメントを8月中 旬にホームページに出しました。どうしたかというと弁膜症性心房細動には当然ワルファリン になりますけれども、ダビガトランはこれは認められていません。有効性が分からないからで す。非弁膜症性心房細動には一応ダビガトランは適応になりますけれども、ここははっきり、 2スコアと書きました。 2スコアの2点以上はワルファリンまたはダビガトラン CHADS CHADS を推奨、1点はワルファリンは考慮可、これは今までと一緒ですけれども、ダビガトランは推 CHA DS 奨というように致しました これはクラス1になったというわけで その他のリスクは。 、 2 2-VASC に相当する。チャズバスクに相当するわけです。65歳以上、女性、冠動脈疾患、あ とは心筋症と甲状腺も入りますけれども、これはダビガトランかワルファリンも考慮可という ようにしまして、いずれもダビガトランを入れたわけであります。これが緊急ステートメント です。今ワルファリンを投与されていてワルファリンコントロールがいい患者さんはどうぞ、

(11)

そのままワルファリンで結構です。無理に、ダビガトランに変える必要はありません。但し患 者さんがどうしても納豆が食べたいから、ダビガトランに代えてくれという方がいらっしゃる んですね。そういう方はやはりダビガトランに代えていただければいいのではないかなと思い ます。 僕は以前、血圧がちょっと高かったんですね。下が90から100になりまして、僕はなる べくやはり薬は飲みたくないということで、DASH 食といいますけれど、野菜を多く摂るとい うことで、家内に野菜ジュースを毎朝、そして青汁も入れ、それで血圧が下がったんですね。 毎朝、家内が作った特製野菜ジュースを飲んでいますけれども、そうすると青汁が入っている ので僕はワルファリンは飲めないということになります。僕が心房細動になったら、当然ダビ ガトランということになるわけです。そういう患者さんは結構多いと思うんですね。そういう 、 、 ことも考慮されて どうしてもワルファリンを続けたくないという患者さんにはダビガトラン しかしワルファリンコントロールがいい方は、ワルファリンでそのままいい。新規の患者さん はやはり患者さんに情報提供されていただきたい。ダビガトランは高いですので、そのあたり は患者さんとのお話合いということになります。ダビガトラン投与の際はくれぐれも注意して いただきたい。70歳以上には低用量をお勧めしたいということ。腎機能低下例は出来たら、 。 。 、 。 投与を避ける クレアチニンクリアランス30以下は禁忌です なお eGFRはだめですね ちゃんとクレアチニンクリアランスを出す。先生方のお手元にも恐らく日本べーリンガーが計 算尺みたいなのを今配布していると思います。まだ持たれていない方には配布されると思うの ですが、年齢、体重、クレアチニンクリアランスの換算式があります。そうすると、結構この 人は投与してはだめだということが分かってきます。腎機能低下例には、くれぐれもご用心下 さい。投与は避ける。こういう例にはワルファリンのほうがいいです。ワルファリンで弱めコ ントロールがいいですね。ワルファリンは PT-INR を弱めに設定すれば弱めコントロール。こ れはダビガトランはみんな効いてしまいますから、そういう意味でコントロールできるという 意味ではワルファリンがいいかもしれません。抗血小板薬、これが問題ですね。これは今から 我々は取り組まなければならない。出血リスクがあるのは当然です。アミオダロン、ベラパミ ル、ワソランを投与されている先生方がいらっしゃるかもしれませんが、これは低用量にしな いとだめですね。こういう方がダビガトランは要注意ということになります。 現在開発中の新規抗凝固薬をここにならべていますけれども、ダビガトランは発売になりま 。 。 した それからアストロゼナカからこういうような薬も開発治験中ということを聞いています Ⅹa阻害薬はリバーロキサバン、恐らく来月承認になると思います。アビキサバン、やがてで すね。エドキサバンは現在治験中で、これは第一三共の国産です。 先ほど抗血小板薬との併用をご注意くださいと言いました。ここは我々日本では考えなけれ ばならないですね。これは日本循環学会のこういうガイドラインでありますけれども、狭心症 や心筋梗塞例でアスピリンをとにかく投与しなさいということになっています。この狭心症、 心筋梗塞で心房細動が合併している例にはワルファリンの併用ということになっています。本

(12)

当にこれがいいかどうかなんですね。なぜかといいますと、アスピリンとワルファリンが併用 すると、出血リスクが増えると、これは明らかであります。国循のデータでも明らかでありま す。RE-LY 研究でみても、これがダビガトランの通常量、低用量、そしてこれがワルファリン の大出血の割合です。脳出血です。脳出血は少ないんですけれども、いろんなところの出血で す。これだけ起こりますけれども、アスピリンを併用するだけでも全部増えます。このダビガ トランもワルファリンも全部増えます。更にアスピリンとクロピドグレルが両方併用するとも っと増えるんですね。抗血小板薬と抗凝固薬を併用すると出血リスクが増えます。当たり前の ことですね。ところがですね、実は心筋梗塞、狭心症或いは脳梗塞でもアテローム血栓性脳梗 塞やラクナ梗塞でさらに心房細動がある患者さんは、こういうことが行われているんですね。 さらにPCIして心臓にステントが入って、そのステントが薬剤溶出性ステントですと、3剤 になってしまうんですね。今迄僕が話したとは違う基準で考えないといけないのに非常に出血 を起しやすくなるんですね。これは大きな問題です。それでは本当に抗血小板薬はいるんだろ うか、ということを考えてみないといけないんですね。これは心筋梗塞例に対して、ワルファ リンがいいのか、アスピリンがいいのか、ワルファリンとアスピリンの併用がいいのかという ことをみた、9年前に発表された研究ですけれども、ご覧になっていただけば分かりますが、 一番悪いのはアスピリンですね。その次がワルファリンです。そしてその次がワルファリンと アスピリンの併用です。こういうようにワルファリンで十分アスピリンを凌駕するだけの再発 予防効果があります。ここで統計をとっても、有意差があるんですね。ということでワルファ リンはアスピリンと同様に心筋梗塞の再発を予防するんです。ということは、両方投与する必 要はない。両方投与しても心筋梗塞での再発予防はワルファリン単独と変わらないんです。更 にこれは心筋梗塞を起こした方ですね。これは前向きにみた心房細動の患者さんで、ワルファ リンを投与するか、或いは抗血小板薬を併用するかということでみた場合に心筋梗塞の発症率 ですけれども、抗血小板薬の併用というのは、これはクロピドグレルとアスピリンという意味 です。どちらが心筋梗塞の発症予防に有効かというと、実はワルファリンなんです。これは3 6例で、こっちに書いていますね。ワルファリンに比べて、抗血小板薬を2つ使った場合は、 心筋梗塞になるリスクは1.58倍増えます。増えますが、比較した場合ですよ。ということ でワルファリンでも十分心筋梗塞の予防効果があるということは明らかなんですね。そういう 背景から昨年のヨーロッパ心臓学会のガイドライン、或いはそれと同時に出されましたヨーロ ッパの不整脈学会とヨーロッパのPCI、カテーテルインターベンションのコンセンサスドキ ュメントは同じ事を書いていました。PCIを行った直後にはどうしてもやはり併用が必要で す。先ず基本的にステントは長い病変、細い血管、糖尿病をのぞいてドラッグ・エルーティン グ・ステントは使用すべきではないとなっています。今、日本ではどんどんドラッグ・エルー ティング・ステントを使っています。青森でもそうかもしれません。僕は、心房細動患者には 使用するな立場ですね。僕が狭心症、心筋梗塞になっても絶対薬剤溶出性ステントは入れるな と。何故かと。やっぱりこれを入れますと、抗血小板薬を併用しないといけないんですね。も

(13)

し、患者さんが心房細動になってしまいますと、さらに併用ということで出血リスクが増えて しまいます。ですから使用すべきではないと、明確にヨーロッパの学会ではガイドラインに明 記しているわけですね。そうするとベアメタルステントが使われるわけですけれども、その場 合もある程度の期間は、やっぱり併用せざるを得ません。ここをご覧下さい。長期的には例え ば、1年間とか以後になるとワルファリンのみということを明確に書いているんですね。とい うようなことで、抗血小板薬とワルファリン併用はしないというのが、ヨーロッパの考え方で す。これは我が国でも十分考慮すべきだろうと思っています。 じゃ、循環器の先生方はどう考えているかというと、PCIをやる先生は 「いや、どうして、 も抗血小板薬はやらないといけない」と、自分達はエビデンスも何にもないのに、そういうこ とを言うんですね。そしてどうしているか。ワルファリンを弱めのコントロールしているんで す。プラビックスとアスピリンを投与してワルファリン、心房細動がある場合ですよ。ワルフ ァリンを2以下でコントロールしている。これが日本の現状です。それならそれで、本当にそ れがいいかどうかを検証しなければならない。そういうように考えているわけです。この辺を 日本も十分に考えないといけない。ヨーロッパはそれを脱却しているんですね。エビデンスに よって、脱却しています。このあたりは僕は、ヨーロッパのこの心臓病学会のガイドラインの 中心となって、こういうことを作ったGregory Lipというイギリスの僕の友達がいるんですが、 僕がそういうことを言いましたら、彼が「お前、全然エビデンスを勉強していない」と言って 。 、 、 、 非常に馬鹿にされましたね そいうようなことでありますので 心房細動を合併した 狭心症 心筋梗塞例に対する抗血栓療法をどうするか。我々はもう一度きちんと検証しないといけない 、 。 ということで 僕はこれもちゃんとしたスタディを行わなければならないかと思っております 最後にカテーテルアブレーションを少しだけお話させていただいて終わりにしたいと思いま す。 これは発作性心房細動の患者さんです。普段からPACがとんとんとんと出で、時々心 房細動にもなる患者さんです。たまらないですね。こういう患者さんはいつもドクドクドクし ています。こういう患者さんの症状と,QOLの障害と頻度とどう相関するかということを以 前みたことがありますけれども、発作頻度が多くなればなるほど症状も強くなるし、不安感、 不自由感も強くなります。そういう意味でいいますと、特にこの発作性心房細動はやっぱり発 作を減らしてやるということは重要なことなんですね。これはJ-PHYTHM研究、僕たちが心電 学会で行った研究ですけれども、発作性心房細動の患者さんに抗不整脈薬を投与するか、或い は抗不整脈薬ではなくてβブロッカー等でレートコントロールだけを行うかということで、生 命予後をみてみますと変わりありませんでした。ところが、患者の忍容性をこれに加えてみま すと、こういうように差がでてきまして、やはり抗不整脈薬によるリズムコントロールが良か った。すなわち患者さんはやはりこういう状況はたまらないのです。発作が週に3回以上もあ れば発作性心房細動の患者さんはたまりません。そういうことで、なるだけ発作を抑えてほし い、すなわち抗不整脈薬、リズムコントロールを期待されるわけでありますね。ですから発作 性心房細動は、やはりどうしても抑えたほうがいい。持続性心房細動でもやはり症状の強い患

(14)

者さんがいらっしゃいます。そういう人にはやはりきちっと抑えたほうがいいわけです。そう いうことで日本循環学会のガイドラインでは、通常の心房細動の患者さんで発作性心房細動は 抗不整脈薬療法を第一選択として推奨しています。サンリズム、シベノール、プロノ-ル、プ ロノーン、リスモダン、タンボコールですね。それが無効な場合は、第二番目としてカテーテ ルアブレーションということを推奨しているわけであります。それから持続性心房細動の患者 さんでは基本的にはレートコントロールなんですけれども、症状が強い患者さんは例えばアミオ ダロンとかベプリコールを投与する。或いは一部の患者さんは通常の抗不整脈薬ということを 推奨しているわけであります。それでも有効じゃない場合、症状が強ければカテーテルアブレ ーションへと進んでいくわけであります。実際この発作性心房細動の患者さんはどの程度、抗 不整脈薬が効くかというと、実は残念ながらそれほど効きません。これは以前の検討ですけれ ども、発作性で時々持続性になる290例に抗不整脈薬療法をやりました。色んな抗不整脈薬 を使いましたけれども、平均51ヶ月も経ちますと全く再発がないと考えられているのは39 %にまで減ってしまいます。残りの39%は再発を繰り返して、やはり薬を繰り返し、とっか えひっかえして使っています。残りの22%は慢性心房細動に移行してしまいました。という ことで、抗不整脈薬の効果は長くみてみると、これだけに限られる。あとは効かないというこ とになるわけです。効かない人にどうするか。そこでカテーテルアブレーションということに なるわけであります。現在我々がどういうことをやっているかということだけ簡単に紹介しま す。心房細動はどうして起こるか。多くの患者さんは肺静脈の不整脈であるということが分か ってきました。これは右房を介して左房にカテーテルを入れて更に右の上肺静脈、左の上肺静 脈にリング状のカテーテルを挿入しています。この時記録された心房細動です。洞調律、ここ から心房細動が一過性にタッタッタと出ています。確かに2~3秒のことですね。ちょっとだ け心房細動になっていますね。ここが心房細動で、何処から起こっているか、この電位をご覧 下さい。ガーとここで起こっています。これは右上肺静脈のここで記録された電位で、ここが 起こっている。これが心房に伝わっているというわけです。ここの心房細動の起源というわけ なんですね。発作性心房細動の85%は、肺静脈起源です。あとの15%は上大静脈とか冠静 脈洞とか、或いは心房のどこかということです。多くは肺静脈起源、そういうことで心房細動 アブレーションというのは肺静脈を電気的に隔離することです。 これは左房を後ろから見たものです。肺静脈は4つ入っていますけれども、この肺静脈を左 。 。 房から隔離するようにずっと焼いてやるんですね これが心房細動アブレーションの基本です 僕たちはこういうことを今、やっているというわけであります。これは先ほどの患者さんです ね。肺静脈を隔離しました。そうすると肺静脈に入れた電位はもうありません。この小さいの は左房の遠隔電位です。肺静脈電位はなくなりました。ところが、記録しているとバァーと心 房細動になりました。しかし洞調律です。肺静脈内だけが心房細動になっているんですね。こ の肺静脈内だけが心房細動で、内心房細動にはならない。こういうことが起こるんです。面白 いですね。肺静脈だけがバァーと心房細動を起こす。しかし心臓はきちっと洞調律ですね。こ

(15)

ういうことで隔離すると有効だということがお分かりになるかと思います。以前はどうして隔 離しているかというと、レントゲン透視下にやっていました。これは食道と左房を造影したも のです。左房の中にカテーテルを入れて左房を造影したものですね。肺静脈はこれが左の上肺 静脈と下肺静脈、右の上肺静脈と下肺静脈ですね。こう切ってやるわけです。電気的に焼いて やるんです。実際具体的にどうするかといいますと、ここにマーカーとなるリングカテーテル を入れて、グゥッと焼いてやります。リングカテーテルがこうありますと、その前後をズゥー とカテーテルで動かして1点、1点焼いていきます。1点30秒ぐらいでずーと焼いていくわ けですね。以前は透視下でやっていましたから、たっぷり被爆しながら、患者さんたちもそう ですが、僕たちはずいぶん被爆しながらやっていました。僕が一番あびた時は200~300 、 。 、 マイクロシーベルトですね 辛かったですね ですから10例すると2~3ミリシーベルトで 年間あたりで何10ミリシーベルトもあびているわけですね。とんでもない放射線をあびてい たんですけれども、以前はそういうことだったんですね。やはり、これじゃ辛いですね。患者 さんもいいことはないですね。そこで今、CARTO システムで対応しているというわけであり ます。素晴らしい機械で、簡単に紹介します。 2000年にわが国に導入されました。2008年から2009年そして今年と、どんどん バージョンアップしていっています。これはジョンソン・エンド・ジョンソンから出ています が、我々はジョンソン・エンド・ジョンソンとタイアップしていろんな仕事もやっていますけ れども、僕のところに一番新しいのが、発売前に、承認され直ぐに持ってきて、どんどん使っ ているわけですけれども、先月から CARTO SOUND というのも使われるようになりました。 どうするか、今まではこういう環境でやっています。CARTO というのは三次元構造をコンピ ューターの上でつくることができます。心房の構造をつくってやるわけですね。そうすると三 、 。 。 次元の中でとらえられますので 非常に容易です それにCTを合体させることができました これは左房のCTです。肺静脈、これは後ろからみています。右と左の肺静脈、これは左房で すね。CTと、先ほど CARTO というのを合体させると、この中でカテーテルを動かして三次 元構造、コンピューターをみながらアブレーションしていますので、透視に依存しないで肺静 脈の入口をずーと焼いてやるわけです。1点1点焼いて隔離するということが可能になりまし た。さらにカテーテルの先から水を噴出しながら焼きます。長くカテーテルを入れて焼いてい ますと、血栓をつくる可能性がありますけれども、水を噴出しますので、血栓がつくられなく なるというようなこともあります。このイリゲーションといいますが、水を噴出しながらアブ レーションした場合とそうでない場合と、2年前から使えるようになりましたけれども、直後 の72例と直前の42例を比較しますと、明らかに成績も向上いたしました。これは主に発作 性心房細動ですが、1回のアブレーションで8割ぐらいの方が再発がないんですね。あとの2 割は残念ながら再発してしまっていますけれども、以前よりも成績が向上したということであ ります。これは今年の春に発売になりました。我々は丁度1年前にこれを使い始めた CARTO3 という機械になりますと、アブレーションカテーテルだけじゃなく、こういうリング状のカテ

(16)

ーテルも見えるようになりました。全く透視なく、コンピューターの上でこういうのができる ようになった。これはCTで、CTの中にカテーテルがあるわけですね。透視は全く使わない アブレーションができるようになりました。具体的に示します。ポイントをズーと焼いていっ てやって、残った電位があったので、ここで焼いているわけですね。これは電位がまだ残って います。肺静脈の電位です。ここで焼きます。赤になって1、2、3秒、ここで消えてしまう んですね。全く透視に依存しないで、正確に内側から見ています。カテーテルを内側から見な がら焼く。こういう方法が、今できるようになりました。更に進んで、今度は超音波でガイド しながらやる CARTO SOUND というのが、先月から日本でも出来るようになりました。これ に関して言うと、僕たちは、1ヶ月前からこれを使用始めました。超音波カテーテルを右房に 入れて、エコーで左房を描いて、そしてCTと合体させたんです。エコーですから何も侵襲が ないんですね。合体させて左房をつくってやるとCTをそのまま利用できる。これはテクノロ ジーはすごいですね。この細いカテーテルで通常の経胸壁エコーと同じでドップラーまでつい ているんです。通常のエコーなんです。内視鏡と同じで、色んな方向に変わる、すごいものを つくりますね。これを入れ先週僕がアブレーションした症例ですが、CTとエコーで合体させ ます。あとはCTだけでアブレーションしているところですね。実際おみせします。ここをご 覧下さい。 この症例は透視は全然ゼロです。カテーテルがちゃんと心房壁にあたっているのが分かりわ けです。こうして、僕はただ単にこれを見ながら、1点で20秒から30秒焼いています。ず ーっと動かしてアブレーションしているというわけですね。実際心房壁にあたっていることを 。 。 。 確認します きれいにあたっているのがお分かりでしょう これは心房細動中にやっています ご覧のように心房細動で、ブルブルしていますよね。これは心房細動中の左房です。更にカテ 。 。 。 ーテルが下にいって同じことを続けています 心房壁にあたっているんですね 透視ゼロです 簡単ですね。テレビゲームの世界です。前の方も随分焼きました。そして右側のアブレーショ ンが終わった時点で洞調律になりました。これは以前の CARTOXP、これが CARTO3、そして 今の CARTO SOUND を使うと透視時間が全部で10分とかなり少なくなっているというわけ です。 以上が最先端のテクノロジーですが、この心房細動に対してカテーテルアブレーションと抗 不整脈薬療法、どちらが有効か。これはカテーテルアブレーションに軍配があがりました。こ れはA4 stady の結果ですが再発をみたものです。抗不整脈薬が有効じゃなかった例に、別の 抗不整脈薬を投与した場合とカテーテルアブレーションをやった場合、前向きに検討していま す。明らかにカテーテルアブレーションのほうが再発率が少ないです。優れている。持続性心 房細動も同様であります。来月この不整脈の非薬物治療ガイドラインの改訂版が出ます。僕が 班長をしているのですが、今まで心房細動アブレーションにクラス1はありませんでしたが、 今回はクラス1を作りました。ここに書いています。薬物治療抵抗性の有症構成の発作性心房 細動で年間50例以上心房細動アブレーションを行っている施設で行う場合はクラス1を適応

(17)

にしました。抗不整脈薬をやっても再発する場合には経験の多い施設では心房細動アブレーシ ョンというように進んでいいというようにしました。このように心房細動も今は随分と治療が 変わっています。特に発作性心房細動は、若い患者さんで初期の方ほど有効です。そうじゃな い若い方でない場合が最近多いですが、我々の患者の平均年齢が大体60数歳ですから、最近 は70歳以上も非常に多くアブレーションしていますけれども、発作でお困りの場合には、カ テーテルアブレーションで根治ということが出来るようになりましたので、是非ご紹介いただ ければ大変ありがたいというふうに思います。 全然違う話ですけれども、僕はこの間8月にNHKで今日の健康というところで不整脈の話 をしましたけれども、あれが非常に好評だったようで来週月曜日からもう1シリーズ4回やり ますので、患者さんにご覧になっていただくように勧めていただければと思います。来週の月 曜日から木曜日までNHKの教育テレビで8時半からやっています。 ご清聴ありがとうございました。

参照

関連したドキュメント

わかうど 若人は いと・美これたる絃を つな、星かげに繋塞こつつ、起ちあがり、また勇ましく、

共通点が多い 2 。そのようなことを考えあわせ ると、リードの因果論は結局、・ヒュームの因果

例えば、EPA・DHA

自閉症の人達は、「~かもしれ ない 」という予測を立てて行動 することが難しく、これから起 こる事も予測出来ず 不安で混乱

前項では脳梗塞の治療適応について学びましたが,本項では脳梗塞の初診時投薬治療に

○○でございます。私どもはもともと工場協会という形で活動していたのですけれども、要

高さについてお伺いしたいのですけれども、4 ページ、5 ページ、6 ページのあたりの記 述ですが、まず 4 ページ、5

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から