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目的呼吸器の主な機能は 肺を循環する血液のガス交換である この機能はさらに 換気機能や肺胞機能 肺循環機能に分類できる 本実習では スパイロメーターを用いて肺気量を測定し 肺の換気機能について考察する また 呼吸機能を評価する他の検査方法について学習し 呼吸機能を理解する 実験装置 器具 スパイロメ

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生理学実習レポート

実験日:2005年 4月19日 提出日:2005年 4月25日

実験項目:

呼吸機能

グループ:*

学籍番号:0341***

氏 名 :emm386

共同実験者: 0241***:** ** 0341***:** *** 0341***:** ** 0341***:** ** 0341***:** ** 0341***:** ** 0341***:** ** 0341***:** ** 0341***:** ** 0341***:** ** 0341***:** **

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■ 目的

呼吸器の主な機能は、肺を循環する血液のガス交換である。この機能はさらに、換気機能や肺胞 機能、肺循環機能に分類できる。本実習では、スパイロメーターを用いて肺気量を測定し、肺の換 気機能について考察する。また、呼吸機能を評価する他の検査方法について学習し、呼吸機能を理 解する。

■ 実験装置・器具

スパイロメーター、マウスピース、ノーズクリップ、コルセット

■ 実習方法

被験者は、使い捨てマウスピースをスパイロメーターに装着し、ノーズクリップを用いて鼻腔を 塞ぐ。実験者の指示に従い、マウスピースを通じて吸気および呼気を行う。実験者は装置の説明書 をよく読みながら被験者に指示を与え、下記項目を測定、記録する。 (実習1) 1.肺活量(VC)の測定 1)安定した安静呼吸を少なくとも3回以上続けた後(TV 測定)、遅すぎない程度でゆっくりと 最大呼出を行う。 2)完全に呼出したところからゆっくりと最大吸気を行う(吸気肺活量)。 3)最大吸気位から続けて最大呼気を行わせる(呼気肺活量)。 標準式で求められた予測値(Baldwin の式)と比較し%肺活量(%VC)として評価する。 2.努力性肺活量(FVC)の測定 安静呼吸の後、最大吸気位まで息を吸って、実験者の指示に従い一気に呼出させる。少なくて も6秒以上の呼出を行い、長くても 15 秒で終える。

努力性肺活量(FVC)、1秒量(FEV1.0)、1秒率(FEV1.0%)、最大呼気中間量(MMF)、ATI(Air Trapping Index)などを計測する。 3.フローボリューム曲線を記録する。Peak Flow、V・50 およびV・25 を計測する。 4.最大換気量(MVV)の測定 被験者にできるだけ速く深い努力性呼吸(1秒量程度の大きさの呼吸で 15∼20 回換気)を 12 ∼15 秒間行わせ、1分間の換気量として評価する。標準式で求められた予測値(Baldwin の式) と比較し%MVV として評価する。 (実習2)マウスピースの口径を狭くする。 (実習3)コルセット等で胸・腹部を拘束する。 (実習4)マウスピースの口径を狭くし、さらに胸・腹部を拘束する。 (実習5)ベッドの上に仰臥位になる。

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今回の実験では、まず、実験者全員が(実習1)の手順1、2 の方法で測定を行い、次いで得られ た測定結果から換気機能評価を行って、正常であった者の中から男女 3 人ずつを選び、計 6 人を被験 者として以降の実習を行った。

■ 検査結果のまとめ

1.測定した各肺気量分画を正常値と比較する。

今回の実習では、実験者全員が肺活量の計測を行ったので、ここでは、自分のデータについ て考える。 項目 単位 測定値 予測値 %予測値 正常値※ 項目 単位 測定値 予測値 %予測値 VC L 4.50 4.43 101.3 4.6 FVC L 4.50 4.43 101.6 IC L 2.79 3.6 FEV1.0 L 4.26 4.33 98.4 TV L 0.78 0.5 FEV1% % 94.67 83.21 113.7 IRV L 2.01 3.1 V・50 L/s 7.18 6.25 114.9 ERV L 1.38 1.0 V・25 L/s 3.08 3.53 87.3 ※ 成人、20∼30 歳のもの(標準生理学より)

◇ 考察

どの値も予測値を大きく下回るものは無く、換気機能評価も正常である。正常値と比較する と、IC や IRV がやや下回っていることがわかる。IC や IRV は呼吸筋力の低下や拘束性換気障 害などで低下するが、%肺活量(%VC)は正常であるので拘束性換気障害ではなく、呼吸筋力 の低下か、緊張などの環境要因、何らかの測定ミスなどが考えられる。

2.男女両群間で肺活量の平均値、標準偏差を求める。

男 肺活量 BSA HL VC/BSA VC/HL 平均値 4.547 1.771 170.1 2.59 0.0268 標準偏差 0.236 0.192 5.014 0.294 0.00170 女 肺活量 BSA HL VC/BSA VC/HL 平均値 3.194 1.48 157.24 2.159 0.02033 標準偏差 0.369 0.0173 2.217 0.261 0.00254 男女平均肺活量 0 1 2 3 4 5 6 男 女 肺 活 量 ( ℓ) ※ BSA=体表面積、HL=身長、VC=肺活量

◇ 考察

男女両群間の肺活量の平均値には、男女間で体表面積や身長に差があることからも予想され るように、有意の差が見られた。この男女間の肺活量の差の原因となるパラメータは何かを検 討するために、原因となると予想されたパラメータである体表面積と身長のそれぞれで肺活量 を割った値(上表の VC/BSA および VC/HL)を計算し、次項のグラフを作成した。

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VC/BSA 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 男 女 VC/HL 0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 0.03 男 女 肺活量の差に寄与する原因として予想された値のどちらで割った結果も、依然として男女間 に有意の差があることを示していることがわかる。このことから体表面積や身長の差が、男女 間の肺活量の差の主要な原因でないことがわかる。 次に、肺活量を体表面積で割った値にも男女間で差が出たことから、男女間の基礎代謝量の 差が肺活量の差の原因になっているのではないかと考え、調べた。 今回の実験の被験者は全員 20 歳代であった。日本人の 20 歳代の基礎代謝量は、 男性:36.2 kcal/cm2 女性:33.1 kcal/cm2 であった。この差が男女間の肺活量の差に寄与しているのではないかと考えられる。

3.実習(2∼5)の結果を実習(1)の結果と比較し、変化のみられたパラメータ

を列挙する。

それぞれの実習の条件から、大きく変化すると予想されるパラメータ VC、FVC、FEV1.0%、ATI にそれぞれ着目し、換気機能評価を行い、その結果について考察した。

◆ 実習2

VC FVC FEV1% ATI 実習1 3.48 3.32 95.48 4.6 実習2 3.26 3.05 46.89 6.44 換気機能評価 0 70 140 0 80 160 %VC F E V 1 % FEV1%の大幅な減少と、FVC の減少、ATI の上昇が得られた。

(5)

◇ 考察

マウスピースの口径を狭くすることで、予想した通り、閉塞性換気障害を示す結果が得られ た。正常な呼息時には、肺内圧と口腔内圧(外気圧)には大きな差があり、その差のため圧の 高い方から低い方へスムーズに呼息することができる。しかし、マウスピースの口径を狭める ことで、呼息時の口腔内圧が高まり、肺内圧との差が小さくなることで呼出量が減少し、FVC、 FEV1%の減少を招いたものと考えられる。ATI の上昇も閉塞性換気障害に見られる特徴である。

◆ 実習3

VC FVC FEV1% ATI 実習1 3.63 3.63 91.74 0 実習3 2.48 2.33 82.83 6.05 換気機能評価 0 70 140 0 80 160 %FVC F E V 1 % VC、FVC の大幅な減少、FEV1%の減少、ATI の大幅な上昇が得られた。

◇ 考察

コルセットで胸・腹部を拘束することで、予想した通り、拘束性換気障害を示す結果が得ら れた。コルセットにより胸郭の動きが制限されることで、吸気量自体が低下し、VC、FVC の低 下が引き起こされたと考えられる。ATI の値は上昇しないと予測されたが大幅に上昇した。ATI は{(肺活量−努力性肺活量)/肺活量}×100(%)で計算するので、VC と FVC の値に差が生 じたことが ATI 上昇の原因である。この実習では拘束性換気障害を示す結果が期待されるので、 ATI の上昇は起こらないと考えられ、この結果は、被験者が必要以上に努力呼息を行ったため に空気とらえこみ現象が起こり、ATI が上昇したのではないかと推測される。

◆ 実習4

VC FVC FEV1% ATI 実習1 3.63 3.63 91.74 0 実習4 2.21 1.72 57.56 22.17 換気機能評価 0 70 140 0 80 160 %FVC F E V 1 % VC、FVC、FEV1% の大幅な減少、ATI の大幅な上昇が得られた。

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◇ 考察

実習2、3の両方の手段により、閉塞性、拘束性の換気障害を同時に再現することで、予想 した通り、混合性換気障害を示す結果が得られた。両方の制限を行うことで、VC、FVC、FEV1% のどの値も実習2、3よりも大幅に減少していることがわかる。ATI も大幅に増加した。ATI の正常値は 5%以下なので、被験者に相当な負荷がかかったと思われる。

◆ 実習5

VC FVC FEV1% ATI 実習1 4.46 4.08 98.04 8.52 実習5 4.28 3.96 92.17 7.48 換気機能評価 0 70 140 0 80 160 %FVC F E V 1 % どの値もやや減少した。

◇ 考察

通常は重力の方向に働いている横隔膜が、仰臥位になることで動きが悪くなるため VC や FVC がやや減少する。また、肺の伸展方向も重力方向であることも VC や FVC の減少の原因になり うる。ただし減少の幅は少なく、換気機能評価も正常を示した。よって、仰臥位になることは 正常人にとってほとんど問題は無いが、呼吸器系に病態のある患者では、その体位を考慮しな くてはならないと考えられる。

■ 考察

1.各肺気量分画について説明し、実習で使用した装置では測定できない肺気量は何

かを考察せよ。

・VC(vital capacity)肺活量 / 最大吸息後にゆっくりと最大呼息努力を行ったとき、肺から呼出されるガス量。 ・IC(inspiratory capacity)最大吸気量 / 正常の呼息位から最大の吸息を行って呼入できる空気の量。 ・TV(tidal volume)1 回換気量/毎回の呼吸運動ごとに出入りする呼吸量。

・IRV(inspiratory reserve volume)予備吸気量 / 安静吸気位から最大吸気位までの気量。 ・ERV(expiratory reserve volume)予備呼気量 / 安静呼気位から最大呼気位までの気量。

(7)

これらの肺気量分画のうち、残気量(RV) 以外はスパイロメーターで測定することが できる。一方、残気量は間接的にのみ測定 できる。実際には He 混合ガスを利用した指 示ガス希釈法か体プレチスモグラフィーが 用いられる。

2.肺活量は%VC を指標として評価されるが、それはなぜか。

肺活量は、性、年齢、身長の影響をうけるため、これらの値を用いてその人に期待される正 常予測値を算出し、肺活量をその予測値に対する比率(%VC)で表すことによって、その人の 換気機能を相対的に評価することができる。

3.気道閉塞の有無を判断するとき、一般に1秒量ではなく1秒率が使用されるのは

なぜか。

努力肺活量のうちで、最初の 1 秒間に呼出される量を 1 秒量と呼ぶ。また、1 秒量の努力肺活 量に対する割合をパーセントで表したものを 1 秒率と呼ぶ。 拘束性換気障害では、全肺気量が低下するため努力肺活量も低下する。対して閉塞性換気障 害では安静呼吸時に比べ、努力性呼気のときに気道閉塞が起こるので、完全に呼気するための 時間が延長する。よってどちらの障害においても 1 秒量は低下するが、1 秒率は閉塞性換気障 害でのみ低下するので、気道閉塞の有無を判断するときには、1 秒率が利用される。

4.換気機能障害は、どのような基準により分類されているか。

肺活量と 1 秒率から左図のように換気機能障害が 分類される。%肺活量が 80%以下を「拘束性換気 障害」、1 秒率が 70%以下を「閉塞性換気障害」と いう。両方とも低下している場合は「混合性換気 障害」という。

(8)

5.実習(2∼4)の結果は、それぞれどのタイプの換気障害に対応していると考え

られるか。

(実習2)閉塞性換気障害 / マウスピースの口径を狭め、気道抵抗の上昇を再現している。 (実習3)拘束性換気障害 / 胸・腹部をコルセットで拘束し、肺−胸郭系のコンプライア ンスの低下を再現している。 (実習4)混合性換気障害 / 閉塞性、拘束性の換気障害を同時に再現している。

6.フローボリューム曲線の Peak Flow、V

50、V

25 およびV

50/V

25 の値から何がわかる

かを考察せよ。特に等圧点(equal pressure point、EPP)の概念を用いると、最

大呼気速度(Vmax)はどのような関係式で規定されるか。

フローボリューム曲線の Peak Flow、V・50、V・25 およびV・50/V・25 の値は、閉塞性障害の程度判定 指標として用いられる。V・25(25%肺活量でのV・max)、V・50/V・25 は末梢気道での閉塞性障害を、 Peak Flow(PEF)やV・50(50%肺活量でのV・max)は中枢側の閉塞性変化を検出できる。

特にV・25 は患者がある程度呼気努力をしていれば再現性が非常に高いといわれている(effort independent)。

呼気時の1個の肺胞の内圧 Palv は、肺弾性圧 Pst(l)と胸腔内圧 Ppl の和に等しくなる。気 道は外から Ppl で押しつぶされるように力を受け、内からは気道内圧 Paw で押し広げられる力 を受けている。気道内圧は肺胞側が高く口側で 0 となる圧勾配をもっている。したがって、気 道の途中では Paw と Ppl が一致する点があり、この点を等圧点 EPP という。気道系は EPP より 肺胞側の末梢では気道が押し広げられるように、また EPP より口側の中枢側では押しつぶされ るように力が働いている。EPP より末梢の気道抵抗を Rus とすると気流速度 V とは、 Pst(l)=Rus・V の関係にある。Palv を上げて Ppl を上昇させると V が増加していくが、Pst(l)は肺気量が変 わらない限り一定であるため、Rus は減少しなければならない。そのためには EPP より末梢の 気道の距離が短くならねばならず、したがって EPP は末梢の方向に移動しなければならない。 EPP が末梢に移動しても肺胞内圧は常に Pst(l)より高いため、EPP が肺胞に達することはない。 そのため、EPP はある点で固定する。EPP が固定すれば、

Rus

l

Pst

V

max

(

)

の関係成立し、これは Ppl とは無関係となり Palv をいくら上げていっても V が増加しない最 大吸気速度となる。

(9)

■ 調査研究

1.肺の呼吸機能は換気機能、肺胞機能および肺循環機能に分類される。それぞれの

機能を評価する方法について説明せよ。

・換気機能:%FVC と FEV1%における関係をもとに換気機能評価を行う。また、フローボリュー ム曲線やクロージングボリュームなどによっても評価される。フローボリューム曲 線では呼出が進むほど中枢から末梢気道の状態に規定されるようになる。PEF やV・50 では中枢側の閉塞性変化を、V・25 では末梢気道での閉塞性障害を検出できる。V・50/V・ 25 が3以上だと異常とされ、末梢気道病変を示唆する。また、肺活量が低下してい る時には閉塞性換気障害の有無や重症度の判定に FEV1%は有効ではなく、フローボ リューム曲線のパターン判定が有効である。フローボリューム曲線の利点はひと目 で換気機能障害の種類や程度が判別できることにある。クロージングボリュームは 通常のスパイロメトリーでは検出しにくい末梢気道閉塞病変の程度を調べる時に 有用である。 ・肺胞機能:肺拡散能力 DL で評価する。肺拡散能力は定義の上では、分時 O2摂取量を肺胞気 の PO2と肺毛細管血の PO2の較差で求められる。しかし測定に際しては O2の代わり に、Hb と速く完全に結合する CO を用いて肺胞のガス拡散能を測定する。その際、 DLO2=1.23×DLCOを用いて求める。CO の拡散能は O2と同様に求められ、計測法は単 一呼吸法と恒常状態法の二種類ある。拡散距離の増大や、面積減少、分圧差減少な どにより拡散は障害される。 ・肺循環機能:換気血流比によって評価される。換気血流比とは、肺循環血流量に対する肺胞 換気量の割合をいう。肺は上下に長い臓器であるため静水圧が肺尖部と底部では異 なる。底部のほうが、静水圧が高いために血管が伸展して抵抗が減少し、その結果 として血流量が多くなる。したがって、換気血流比は肺尖部よりも肺底部のほうが 低くなる。また、換気血流比が低下するとシャントと同じ効果をもち、上昇すると 死腔と同じ効果を持つ。換気効率の悪化は、肺循環血流量の低下によるものが多い。

2.換気の駆動力は何か。

換気のための肺の動きはまったく受動的である。したがって、換気の行われる過程や速度は 肺に働く応力 force、すなわち圧 pressure(P)によって決まる。よって、換気の駆動力は圧 pressure(P)、肺気量 volume(V)と気流量 flow(V・)である。

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3.換気の応力(P)、換気量(V)および気流量(V

)は換気の3要素とよばれ、それ

ら相互の関係を知るのは、換気力学を理解するのに役立つ。

(1)応力(P)− 換気量(V)関係、

(2)応力(P)− 気流量関係(V

)関係、

(3)換気量(V)− 気流量(V

)関係 から、それぞれ何がわかるか。

(1)気流のない(静的 static)状態での、応力(圧)と肺気量との関係は静的コンプライア ンスと呼ばれ弾性を表す。 (2)気流の流れている(動的 dynamic)状態での応力(圧)と気流量との関係は抵抗と呼ば れ粘性を表す。

(3)肺気量と気流量との関係は気流−量曲線 flow-volume curve として解析される。

4.教科書等に記載されている経呼吸系圧−肺容量曲線を参考にして、安静呼気位(機

能的残気量位)を規定する因子について考察せよ。

全呼吸器系についての圧−容積の特性曲線は、弛緩圧曲線と呼ばれる。この曲線において、 機能的残気量に対応する肺内圧は 0 であり、これより大きい容積に対しては陽圧、これより小 さい容積に対しては陰圧となる。この曲線の傾斜は肺コンプライアンスであり、機能的残気量 を規定する因子を考えるにはコンプライアンスを規定する因子を考えるとよい。コンプライア ンスを規定する因子として考えられるのは、肺の大きさ、ヒステリシス、肺の線維要素、肺サ ーファクタント、重力などがある。肺コンプライアンスは次式で表される。 C=⊿V/⊿P これは、一定の圧差(⊿P)に対する容積の変化(⊿V)の比である。肺コンプライアンスが 大きくなるということは、弾性力の低下を意味するので機能的残気量は増大することになる。 機能的残気量の増加は、肺気腫、気管支喘息、胸郭奇形などで起こる。

5.解剖学的死腔と生理学的死腔の違いを説明し、後者を変動させる要因について述

べよ。

1 回換気量のうち約 1/3 は肺胞に到達せず、実際のガス交換には役立たない。このように換気 に役立たない分を死腔 dead space(VD)と呼び、吸入気と同一ガス組成を持つ。死腔は呼吸系

の全容積から肺胞容積を除いた解剖学的死腔量 anatomical dead space とガス交換にあずから なかったガス量すなわち生理学的死腔量 physiological dead space に区別される。

健康人ではこの二つの死腔体積はほぼ一致するが、病的状態では差が生じる。換気血流分布 異常があると生理学的死腔量は増加する。

(11)

6.肺胞気 − 動脈血較差(A – a Do

2

)の開大する主な原因はなにか。

A-aDO2は肺胞気と動脈血の酸素分圧の差を示す。肺における血液酸素化能を示す指標となり、 この値の大きさは肺におけるガス交換の障害の程度を表す。この値の開大する原因としては、 換気血流比不等分布、拡散障害、シャントの増大などが考えられる。また、新生児期の A-aDO2 は大きく、この原因は心・肺における右→左短絡なのではないかと考えられている。

■ 参考文献

・標準生理学 第5版 本郷 利憲・廣重 力 株式会社 医学書院 2003 ・南山堂医学大辞典 第18版 鈴木 肇 株式会社 南山堂 1998 ・最新医学大辞典 第2版 後藤 稠 株式会社 医歯薬出版 1997

参照

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