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コカイン誘発行動における黒質網様部でのephrinA5-EphA4/EphA5システムの回路特異的な働き

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Academic year: 2021

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(1)Title. Author(s). Citation. Issue Date. URL. Pathway-specific engagement of ephrinA5-EphA4/EphA5 system of the substantia nigra pars reticulata in cocaineinduced responses.( Abstract_要旨 ) Kimura, Kensuke. Kyoto University (京都大学). 2011-09-26. http://hdl.handle.net/2433/151921. Right. Type. Textversion. Thesis or Dissertation. none. Kyoto University.

(2) 京都大学 博士( 医 論文題目. 学 ) 氏 名. 木 村 健 介. Pathway-specific engagement of ephrinA5-EphA4/EphA5 system of the substantia nigra pars reticulata in cocaine-induced responses (コカイン誘発行動における黒質網様部での ephrinA5-EphA4/EphA5 システム の回路特異的な働き). (論文内容の要旨) 側坐核は報酬行動や薬物依存に関わる重要な神経核であり、側坐核からの入 力は直接路、間接路と呼ばれる2つの経路を介して黒質網様部へ到達する。こ れらの入力は黒質網様部で統合され、大脳基底核-視床-大脳皮質を結ぶ神経回 路の調節に関わる。 しかし、統合された情報の処理に関わる分子メカニズムはこれまで明らかに されていなかった。 本 研 究 で は 可 逆 的 か つ 特 異 的 に 神 経 伝 達 を 遮 断 す る 技 術 ( reversible neurotransmission blocking: RNB 法)を用いて、黒質網様部における神経回 路特異的な情報処理機構の解析を行った。 1)RNB 法を用いて直接路を特異的に遮断した D-RNB マウス、間接路を特異 的に遮断した I-RNB マウスを作成し、黒質網様部での遺伝子発現の変化を観察 した。 コカイン投与 1 時間後(コカイン急性期)の野生型マウス、D-RNB マウス、 I-RNB マウスのそれぞれの黒質網様部をマイクロアレイで解析、D-RNB マウ ス特異的に発現が上昇する遺伝子として、ephrin-Eph 受容体シグナルに関わる 分子を同定した(ephrinA5、EphA4、EphA5)。これらの3つの遺伝子発現 は、コカイン急性期、コカインの連日投与後(コカイン慢性期)の両方で、D-RNB マウス特異的に上昇していることを定量的 PCR で確認した。生理食塩水を投与 したマウスでは遺伝子発現の変化は観察されなかった。これらの結果から、 ephrin-Eph 受容体シグナル分子の発現がコカイン急性期、慢性期の両方で D-RNB マウス特異的に上昇していることが分かった。 2)次に ephrinA5、EphA4、EphA5 の黒質網様部における発現を免疫組織染 色で調べた。黒質網様部の GABA 作動性抑制性ニューロンでは ephrinA5、 EphA4、EphA5 の全てが発現していた。またアストロサイトには EphA4 と EphA5 が発現していた。さらに黒質網様部ニューロンの 80%以上で、これら 3つの分子が共発現していた。 3)D-RNB マウスではコカイン依存形成に関わる適応反応が抑制される。そこ で ephrinA5、EphA4、EphA5 のシグナル経路を活性化したときのコカインに よる適応反応の抑制の有無を調べた。ヒト IgG の Fc 領域と ephrinA5、EphA4、 EphA5 の細胞外ドメインを融合させたイムノアドヘジンを、野生型マウスの両 側黒質網様部に投与し、コカイン連日投与における移所行動量を測定した。対 照としてヒト IgG を投与したマウスではコカイン連日投与により、. 移所行動量が上昇する逆耐性現象が観察されたが、ephrinA5-Fc、EphA4-Fc、 EphA5-Fc を投与したマウスでは、コカイン投与による移所行動量の上昇が抑 制された。この結果、ephrin-Eph 受容体シグナルがコカイン依存形成に関わる 適応反応に拮抗的な働きをしていることが分かった。 4)ephrinA5 は Eph 受容体からの刺激により、下流の MAP キナーゼである Erk1/2 をリン酸化する。そこでコカインを投与したマウスの黒質網様部に対し て ephrinA5 抗体とリン酸化 Erk1/2 抗体の二重免疫染色を行った。その結果、 コカイン急性期、慢性期の D-RNB マウス特異的に ephrinA5 陽性細胞における リン酸化 Erk1/2 陽性細胞の割合が約2倍に増加していた。生理食塩水を投与し たマウスではリン酸化 Erk1/2 陽性細胞の増加は見られなかった。この結果か ら、Erk1/2 のリン酸化が ephrinA5 の下流で関与していることを示した。 以上の結果から、黒質網様部における直接路特異的かつコカイン投与依存的 な ephrin-Eph 受容体シグナル分子の発現上昇及び Erk1/2 の活性化、またこの シグナル経路がコカインによる行動変化に対して拮抗的に作用していることが 示された。 (論文審査の結果の要旨) 本研究は黒質網様部での情報処理に関わる分子メカニズムを解明する目的 で、線条体直接路ニューロン、間接路ニューロンのそれぞれの神経伝達を選択 的に遮断する系を用いて、行動実験及び分子生物学的解析を行ったものである。 申請者は直接路遮断マウス、間接路遮断マウス、野生型マウスのそれぞれの 黒質網様部で、コカイン投与時の遺伝子発現の変化を網羅的に解析した。その 結果、コカイン誘発行動が抑制される直接路遮断マウスの黒質網様部でのみ、 コカイン投与時に ephrinA5、EphA4、EphA5 の遺伝子発現が上昇しているこ とを示した。また黒質網様部において EphA4、EphA5 による刺激がコカイン 誘発行動を抑制することを示した。さらに直接路遮断マウスの黒質網様部 ephrinA5 陽性細胞では、コカイン投与により ephrinA5 の下流にある Erk1/2 のリン酸化陽性細胞の割合が増加することを示した。 以 上 の 研 究 は コ カ イ ン 誘 発 行 動 に お け る 直 接 路 特 異 的 な ephrinA5-EphA4/EphA5 システムの神経回路特異的な働きを示すことによっ て、コカイン投与時における黒質網様部での情報処理に関わる分子メカニズム の解明に貢献し、薬物依存症の病態解明、治療法の開発に寄与するところが多 い。 従って本論文は博士(医学)の学位論文として価値あるものと認める。なお、本 学位授与申請者は平成 23 年 8 月 12 日実施の論文内容とそれに関連した試問を 受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日:. 年. 月. 日 以降.

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