めまい
と
脳卒中
について
横浜市立脳卒中・神経脊椎センター 神経内科
城倉 健
横浜市立脳卒中・神経脊椎センター 市民講演会
あれ?
めまい
がする!
めまいの原因
(平塚共済病院,2002年~2004年) 良性発作性頭位めまい症 716 後半規管型 202 水平半規管型(カナル結石症) 153 水平半規管型(クプラ結石症) 162 前半規管型 2 疑診例 197 緊張型頭痛 211 うつ状態 61 前庭神経炎 52 低血圧 51 脳血管障害 22 メニエール病 6 片頭痛 4 その他 6 原因不明 203 合計 1332めまいの原因のほとんどは耳の病気です
脳卒中はめまいの原因のたった1.7%です
耳
からくるめまいと
脳
からくるめまいは
どうやって区別したらいいの?
耳
が原因の(末梢性)めまい
最も頻度の多い良性発作性頭位めまい症と前庭神経炎を鑑別する ものが二重に見える(複視)
ことはない
呂律が回らない(構音障害)
ことはない
手や足,顔面の動きにくさやしびれ感(多くは片側)
はない
頑張れば何とか
立ったり歩いたり
できる
めまい以外の神経症状を伴わない
脳
が原因の(中枢性)めまい
脳幹と小脳の脳卒中を念頭におく ものが二重に見える(複視)
呂律が回らない(構音障害)
手や足,顔面の動きにくさやしびれ感(多くは片側)
めまい以外の症状
を伴う
手足がちゃんと動くのにどうしても立てない
物につかまっても歩けない
起立歩行障害
が目立つ
めまい患者におけるめまい以外の
神経症状のチェック
症状
►
手や足,顔面の動きにくさやしびれ感(多くは片側)
►
呂律が回らない(構音障害)
►
ものが二重に見える(複視)
►
どうしても立てない,歩けない
診察所見
►
視標(指)の追視
►
構音障害のチェック(「パタカ」の繰り返し)
►
バレー徴候の確認
►
反復拮抗運動(diadochokinesis)の確認
►
体幹失調の有無
脳卒中だったら
どうなるの?
代表的な脳卒中
脳梗塞
アテローム血栓症
脳塞栓症
ラクナ梗塞
脳出血
くも膜下出血
アテローム血栓性脳梗塞
高血圧、糖尿病、高脂血症、 メタボリックシンドローム など 脳の太い動脈が動脈硬化による血栓で 詰まったために起こる脳梗塞です。 主な原因 中程度 重症度 脳の血流を改善する薬、 脳浮腫を改善する薬、 脳を保護する薬などによる治療 治 療 症状に合わせ、入院初期から 積極的に行う リハビリ ●生活習慣の修正 ●血圧・血糖の管理 ●禁煙 ●飲酒制限 ●肥満解消 ●抗血小板薬 ●コレステロール低下薬 再発予防心原性脳塞栓症
心疾患(心房細動 など) 心臓でできた血栓が脳の動脈を閉塞 するために起こる脳梗塞です。 主な原因 広範囲で重症な場合が多い 重症度 血栓を溶かす薬、脳浮腫を 改善する薬、脳を保護する 薬などによる治療 治 療 ベッドサイドでのリハビリから 始め、症状に合わせて積極 的に行う リハビリ ●心疾患(心房細動など)の管理 ●生活習慣の修正 ●血圧・血糖の管理 ●禁煙 ●飲酒制限 ●肥満解消 ●抗凝固薬 (納豆、クロレラ、青汁の禁止) 再発予防 血栓ラクナ梗塞
高血圧、糖尿病 など 脳の細い血管が詰まったために起こる 脳梗塞です。 主な原因 軽度の場合が多い 重症度 脳の血流を改善する薬や、 脳を保護する薬による治療 治 療 入院初期から積極的に行う リハビリ ●生活習慣の修正 ●血圧・血糖の管理 ●禁煙 ●飲酒制限 ●肥満解消 ●抗血小板薬 再発予防脳卒中の症状
Peter M. et al. Neurology, 64:817-820, 2005
症状が軽くても、すぐ病院へ 片方の手足・顔半分の 麻痺、しびれが起こる (手足のみ、顔のみの 場合もあります) 経験したことのない 激しい頭痛がする 力はあるのに、立てない、 歩けない、フラフラする ロレツが回らない、 言葉が出ない、 他人の言うことが 理解できない 片方の目が見えない、 物が二つに見える、 視野の半分が欠ける 脳卒中ではこのような症状が突然起こります。重症のときは意識状態が悪くなることもあります。 また、症状が5分から15分、長くても1日以内に完全に治ってしまう発作を「一過性脳虚血発作 (TIA)」といいます。患者さんの多くは、TIAから48時間以内に脳卒中を起こしています。 もし、ご自身や周りの人にこんな状態がみられたら、一刻も早く専門医を受診してください。
顔,腕,言葉ですぐ受診
脳梗塞
進行予防,再発予防,脳保護
アルガトロバン,ヘパリン,オザグレル,アスピリン,エダラボン,浸透圧性利尿剤 血栓溶解
rt-PA静注(発症4.5時間以内) 血管内治療
局所線溶,機械的血栓回収(発症8時間以内)脳出血
保存的加療
止血剤,浸透圧性利尿剤 外科的治療
開頭血腫除去術,ドレナージ術くも膜下出血
外科的治療
開頭クリッピング術,血管内治療(コイル塞栓術)早ければ早いほど良い
そもそも脳卒中になる前に
きちんと予防を!
再発予防のポイント
手始めに 高血圧から 治しましょう 脳卒中予防十か条 1 糖尿病 放っておいたら 悔い残る 2 不整脈 見つかり次第 すぐ受診 3 予防には タバコを止める 意志を持て 4 アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒 5 日本脳卒中協会より お食事の 塩分・脂肪 控えめに 7 体力に 合った運動 続けよう 8 万病の 引き金になる 太りすぎ 9 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ 10 高すぎる コレステロールも 見逃すな 6 危険因子の管理 生活習慣修正の勧め 発症した場合の対応 脳卒中(脳梗塞)は再発率の高い疾患です。日本脳卒中協会が作成した『脳卒中予防十か条』を 参考に、生活習慣の修正と危険因子の管理をしっかりと行い、再発を予防しましょう。安心っていったってまだ
めまいはするし・・・
良性発作性頭位めまい症
(Benign paroxysmal positional vertigo; BPPV)
耳石残屑の半規管内への移行が原因
特徴的な頭位・頭位変換眼振を有する
▶ 後半規管型 病側を下にした懸垂頭位で病側へ向かう回旋性眼振 ▶ 外側半規管型 病側臥位優位の方向交代性下向性眼振(カナル結石症) 健側臥位優位の方向交代性上向性眼振(クプラ結石症) ▶ 前半規管型 BPPV自体は以前から知られていた
(Bárány 1921, Dix & Hallpike 1952)
近年
BPPVの病態と治療法が普及したことで関心が高まった
(Epley 1992)
▶ 後半規管型:Epley法,Semont法など
めまいの治療
エプリー法
(右後半規管型)
① ② ③
セモン法
(右後半規管型)
① ②
ランパート法
(右外側半規管型)
① ② ③ ④
270˚
0˚
ブラント・ダロフ体操
1. Start in an upright, seated position.
2. Move into the lying position on one side with your nose pointed up at about a 45-degree angle. 3. Remain in this position for about 30 seconds (or until the vertigo subsides, whichever is longer), then move back to the seated position.
前庭神経炎
(様々な原因による急性末梢前庭障害を含む) 末梢性めまいとしては
BPPVに次いで多い
激しいめまいが急性発症し,
1~2週間かけて改善
頭位によらない一方向性水平性眼振(健側向き眼振)
蝸牛症状を伴わない(
cf. 前庭型突発性難聴)
Caloric testで患側の反応低下ないし消失
正確な原因は不明
▶ ウイルス感染(VZV,HSV,EBV,etc) ▶ 前前庭動脈血栓症 病巣は前庭神経上枝(外側半規管,前半規管,卵形囊)
メニエール病
蝸牛症状
を伴っためまい発作を繰り返す
蝸牛症状:難聴(低音障害),耳鳴,耳閉感 発作の持続は数十分から1日程度 患側向き眼振(刺激性眼振)→健側向き眼振(麻痺性眼振) Caloric testで患側の反応低下ないし消失 グリセロール検査(蝸牛機能),フロセミド検査(前庭機能) それほど多い疾患ではない/
30~40歳代に多い
めまい患者の数%程度 準備状態(内リンパ嚢発育不全や感染,自己免疫など) → ストレス,過労,不眠が(VPを介して?)内リンパ水腫を誘導 発作時の治療よりも発作の予防が大切
浸透圧利尿薬(グリセロール,イソソルビド),利尿薬(フロセミド 〔耳毒性〕より,サイアザイドやアセタゾラミドのほうがbetter), 対症療法(抗ヒスタミン剤,鎮静剤),生活指導(ストレス軽減, 生活リズム改善,減塩,カフェインとタバコとアルコールの禁止), 外科的治療(内リンパシャント,前庭神経切断,迷路破壊,GM注入)高齢者の慢性のめまいやふらつき
以前ひどいめまいがあり,その後なんとなくふらつき感が
継続している
→
良性発作性頭位めまい症後の慢性のめまいやふらつき感
脳卒中で入院し,歩けるようになって退院したが,その後
なんとなくめまいやふらつき感が継続している
→
脳梗塞後の慢性のめまいやふらつき感
朝はまだ調子が良いが,日中から夕方になると頭痛とふ
らつき感が悪化し,毎日具合が悪い
→
緊張型頭痛に伴う慢性のめまいやふらつき感
そのめまい,本当に年のせい?